生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品及びその製造方法
出願番号:2002125906
年次:2004
IPC分類:7,A23L1/20,C12F3/10


特許情報キャッシュ

大城 宗貞 JP 3597177 特許公報(B2) 20040917 2002125906 20020426 泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品及びその製造方法 宗英道琉球薬草本舗株式会社 502151989 石戸 久子 100097250 ▲橋▼場 満枝 100101111 赤澤 日出夫 100101856 山口 栄一 100103573 大城 宗貞 20041202 7 A23L1/20 C12F3/10 JP A23L1/20 Z C12F3/10 7 A23L 1/20 A23L 1/29〜308 C12F 3/10 特開平05−161473(JP,A) 特開2001−231499(JP,A) 特開2003−210135(JP,A) 12 2003310210 20031105 10 20020426 鈴木 恵理子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、産業廃棄物である泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品、より詳細には、クエン酸、ミネラル、不飽和脂肪酸、アミノ酸等の栄養素を豊富に且つバランス良く含む栄養補助食品である泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品及びその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】泡盛(地酒)は、沖縄県の文化の1つであり、現在、沖縄県内には48社の泡盛メーカーが存在している。泡盛は、タイ米に黒麹菌を植菌して糖化・クエン酸発酵させたものを麹とし、この麹に水と焼酎酵母を添加してアルコール発酵させてもろみとし、このもろみ中のアルコールを蒸留して得られるものである。一方、アルコールを蒸留した後には蒸留粕(泡盛蒸留粕)が多量に生じ、従来、この蒸留粕は産業廃棄物として処理されてきた。【0003】泡盛メーカーは、週1回から毎日仕込みを行うところまで様々であるが、一般には、週2〜3回の仕込みを行っている。従って、泡盛蒸留粕は、週に2〜10トンのペースで排出され、沖縄県の泡盛メーカ全体では、1週間に約550トンにものぼる量が排出されている。泡盛蒸留粕を産業廃棄物として処理すると、多大な費用がかかってしまう。【0004】泡盛蒸留粕には、有機酸、ミネラル、アミノ酸等の栄養成分が豊富であることが知られている。特に、多量のクエン酸が含まれていることに着目し、泡盛蒸留粕を濾過したものをクエン酸酢として商品化したものが種々販売されている。クエン酸は、大きな社会問題となっている生活習慣病の予防に特に有効であることが知られている。例えば、体液を弱アルカリ性にし、疾病に対する自然治癒力を高める;カルシウムの吸収を促進する;血液を浄化し、血管を丈夫にする;疲労物質である乳酸の生成を抑制し、疲労回復・肩こり・神経痛・リウマチを予防する;中性脂肪やコレステロールの蓄積を防ぐことにより、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中などを予防する;免疫力を高める;アレルギー性疾患の症状を緩和する;血糖値を下げる等の効果が知られている。【0005】また、上記のクエン酸酢以外に、最近、クエン酸酢を採取した後のもろみ粕を、さらに加工して粉末としたものに、大豆、黒糖及びウコンを加えた粉末状の健康食品も販売されている(商品名:命どぅ宝 天然発酵クエン酸 POWER STICK60、命どぅ宝総本舗社製)。【0006】豆腐の製造に伴って生じるおからも、食物繊維、ビタミン、不飽和脂肪酸などを豊富に含む栄養価の高いものであるが、その一部のみが食品、飼料等として利用され、残りの大部分は泡盛蒸留粕と同様に産業廃棄物として処理されている。【0007】【発明が解決しようとする課題】上記現状に鑑み、本発明は、泡盛蒸留粕の栄養的価値を有効に活用し、同時に、従来は産業廃棄物として廃棄処理されてきた泡盛蒸留粕を生産性の有る産業に利用することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アルコールを蒸留した後に残る蒸留粕に、乾燥おから末を混合し、濃縮した後に粉末化することで、高濃度のクエン酸を含み、且つ、有機酸、ビタミン、不飽和脂肪酸、ミネラル、アミノ酸等の栄養素をバランス良く含有する食品を提供できることを見出し、本発明に到達した。【0009】すなわち、本発明は、液体部を濾過により除去していない泡盛蒸留粕と乾燥おから末とを5〜100:1(質量部)の割合で混合し濃縮して得られる、少なくとも泡盛蒸留粕と乾燥おから末からなり、クエン酸が2質量%以上含まれていることを特徴とする食品及びその製造方法を提供する。乾燥おから末は、大豆から製造されるものであるが、ここでは、おからとなった状態のものを意図しており、泡盛蒸留粕と大豆自体とからなる食品は意図していない。【0010】また、本発明は、液体部を濾過により除去していない泡盛蒸留粕と乾燥おから末とを、5〜100:1(質量部)の割合で混合し、混合物を加熱することにより、混合物の水分を蒸発させて元の質量の約40〜45質量%まで濃縮して粘体とし、該粘体をその内部温度が70〜80℃となる温度で乾燥することにより、固形物とし、該固形物を粉砕機によって粉末化することを特徴とする食品の製造方法を提供する。【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の食品(以下、「黒麹もろみ末」と呼ぶ)は、少なくとも泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなることを特徴とする。【0012】本発明で用いる泡盛蒸留粕は、前述の通り、タイ米に黒麹菌を植菌して糖化・クエン酸発酵させたものを麹とし、この麹に水と焼酎酵母を添加してアルコール発酵させてもろみとし、このもろみ中のアルコールを蒸留して得られたものである。原料であるタイ米や黒麹菌、焼酎酵母の種類には特に制限はなく、通常、泡盛の製造に用いられているものであればいずれの種類のものであってもよい。【0013】泡盛蒸留粕は、90〜94質量%の水分と6〜10質量%の固形分とからなっている。本発明では、前述の命どぅ宝総本舗社製の粉末状食品とは異なり、泡盛蒸留粕の固体分を濾過すること無くそのまま用いて濃縮させる。それにより、クエン酸等の水溶性成分が濾過によって減少せず、従来の粉末状食品に比べてクエン酸等が豊富に含まれた食品が得られる。【0014】一方、乾燥おから末は、豆腐の製造時に生じる豆乳のしぼり糟を乾燥させたものである。通常のおからは、乾燥前の状態で約85質量%程度の水分を含んでいる。【0015】本発明の泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品は、クエン酸を、通常2質量%以上、好ましくは5質量%、さらに好ましくは7質量%以上含有し、従来のクエン酸を主成分とする栄養補助食品と比べて、クエン酸を非常に高濃度で含んでいる。それ故、前述のような種々の効果を発揮することができる。【0016】また、本発明の泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品は、カルシウムとマグネシウムとを、約2:1(質量部)の割合で含有しており、カルシウムの吸収効率が最適のバランスで混合されている点で優れている。【0017】本発明の泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品は、泡盛蒸留粕のみでなく、おからを原料として使用しているため、おからに含まれる栄養素をも含む。特に食物繊維が豊富で、便通を改善するなどの効用が期待できる。さらにはビタミン類、特にビタミンB群も多く含んでいる。【0018】本発明の泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品は、必須脂肪酸(不飽和脂肪酸)を多く含み、血液の浄化作用等が期待できる。【0019】本発明の泡盛蒸留粕と乾燥おから末とからなる食品は、アミノ酸(必須アミノ酸及び非必須アミノ酸)をバランス良く含んでいる。具体的には、体がタンパク質の合成を行うためには、必須アミノ酸と非必須アミノ酸のバランスがとれている必要がある。そして必須アミノ酸は1つ1つがお互いに適切なバランスとなっている必要がある。例えば、リジンとメチオニンの比は2:1となるのが好ましいとされているが、本発明の場合では、リジンが1090mgに対し、メチオニンが470mgであり、略2:1の割合となっている。また、リジンとトリプトファンの比は3:1となるのが好ましいとされているが、本発明の場合では、リジンが1090mgに対し、トリプトファンが310mgであり、略3:1の割合となっており、理想的なバランスとなっている。【0020】本発明の食品は、上記のように、人間の健康を維持するのに必要な種々の栄養素をバランス良く含むものである。なお、本発明の食品の原料はいずれも天然物由来の泡盛蒸留粕、おから、秋ウコン、春ウコン、紫ウコンなどの薬草類であり、それらの成分組成は、季節、気温等の環境条件によって変動するものであり、それに連動して、本発明の食品の成分組成も変動しうることは言うまでもないことである。【0021】次に、本発明の食品の製造方法(以下、本発明の方法という)は、泡盛蒸留粕と乾燥おから末とを、5〜100:1(質量部)の割合で混合し、混合物を加熱することにより、混合物の水分の約40〜45質量%を濃縮させて粘体とし、該粘体を送風乾燥することにより固形物とし、該固形物を粉砕機によって粉末化することを特徴とする。【0022】泡盛蒸留粕と乾燥おから末は、5〜100:1(質量部)、好ましくは10:1(質量部)の割合で混合する。泡盛蒸留粕が5質量部未満であると、栄養バランスの点で満足するものが得られず、目的とする栄養価を達成できない恐れがある。また、100質量部より多く使用しても、本発明の食品の吸収性にそれ以上の向上は見られず、水分を蒸発させる手間及びコストがかかるため現実的でない。泡盛蒸留粕が10質量部とすると、栄養バランスが優れ、且つ食品の吸収性及びコストの観点からも優れている。【0023】泡盛蒸留粕と乾燥おから末との混合物の加熱は、例えば、直火型攪拌機中に混合物を入れ、混合撹拌して行うのが好ましい。加熱温度は70℃以下であっても、滅菌可能である。加熱時間は、混合物の水分の約40〜45質量%を蒸発させるのに必要な時間である。なお、70℃程度で1時間以上加熱することにより、原料中の大腸菌、サルモネラ菌等を滅菌することもできる。70℃以上の高温であっても、短時間であれば、成分の性質の変化は問題とならないので、適用可能である。例えば、330℃で3分間とすることにより、内部成分の変化せずに、短時間で滅菌可能である。この場合、内部温度は、70〜80℃となる。水分を蒸発させて濃縮するための送風乾燥は、温風を用いることが好ましい。【0024】粘体を乾燥させて得た固形物を、粉砕機で粉末化して本発明の食品を得る。粉末化された食品の粒子サイズは、好ましくは約0.037〜0.1mmである。微粉末とすることにより、食品中の栄養素の生体への吸収性が向上する。【0025】また、本発明の食品には、泡盛蒸留粕及び乾燥おから末の他に薬草末を混合してもよい。薬草末を混合することにより、特定の効果を目的とする栄養補助食品を得ることが可能となる。【0026】本発明の食品に混合される薬草末には、特に制限はないが、例えば、薬草末には、秋ウコン、春ウコン、紫ウコン、クミスクチン、グァバ、月桃、パパイヤ、ゴーヤー、ギムネマシルベスタなどが好ましい。薬草末は、1種のみ又は2種以上を用いることができる。【0027】本発明の方法において、上記薬草末を用いる場合には、泡盛蒸留粕、乾燥おから末及び薬草末を一緒に混合する。泡盛蒸留粕:(乾燥おから末+薬草末)の割合は、通常5〜100:1、好ましくは10:1である。乾燥おから末:薬草末の割合には、特に制限はないが、1:1(質量部)であることが好ましい。【0028】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって何ら限定されるものではない。【0029】実施例1:黒麹もろみ末の製造泡盛蒸留粕(水分93〜91質量%、固形分7〜9質量%)500kgと、乾燥おから末(水分7〜9質量%、固形分93〜91質量%)50kgを、直火型攪拌機に入れ、70℃の温度で6〜8時間混合撹拌し、約220〜250kg(元の質量の約40〜45%)の粘体になるまで濃縮する。【0030】得られた粘体を、70℃の温風乾燥機で48時間乾燥し、水分含量5.7質量%の固形物を得る。固形物を粉砕機で、約0.037〜0.1mmの微粉末とし、黒麹もろみ末を得る。【0031】実施例2:薬草入り黒麹もろみ末の製造泡盛蒸留粕(水分93〜91質量%、固形分7〜9質量%)500kg、乾燥おから末(水分7〜9質量%、固形分93〜91質量%)25kg及び薬草末25kgを、直火型攪拌機に入れ、70℃で6〜8時間混合撹拌し、約220〜250kg(元の質量の約40〜45%)の粘体になるまで濃縮する。【0032】得られた粘体を、70℃の温風乾燥機で48時間乾燥し、水分含量5.7質量%の固形物を得る。得られた固形物を粉砕機で、約0.1mmの微粉末とし、薬草入り黒麹もろみ末を得る。【0033】上記実施例1で得られた黒麹もろみ末の成分分析試験結果を下記表1及び表2に示す。【0034】【表1】【0035】【表2】【0036】泡盛蒸留粕を原料とする粉末状食品の従来例として、前記の「命どぅ宝 天然発酵クエン酸 POWER STICK60 」の成分表(命どぅ宝総本舗社のホームページ http://www.nuchidu−takara.com/index.html より転載)を表3〜5として示す。【0037】【表3】【0038】【表4】【0039】【表5】【0040】上記表1及び2と表3〜5とを対比してみると、本発明の黒麹もろみ末が、極めて高いクエン酸含量を有していることがわかる。これは、命どぅ宝総本舗社製のものと異なり、クエン酸酢を採取することなく、泡盛蒸留粕をそのまま使用して濃縮して粉末化していることによる。【0041】本発明の黒麹もろみ末は、おから末を原料の1つとして利用しているため、食物繊維が非常に豊富であり、便通を良くするなどの効果が期待できる。さらには、おから末に由来するビタミン類、不飽和脂肪酸類を豊富に含み、優れた栄養補助効果を有すると言える。【0042】また、本発明の黒麹もろみ末は、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸などをバランス良く含み、栄養補助食品として優れていると言える。特に、ミネラルについては、カルシウムとマグネシウムが、ほぼ2:1というカルシウム吸収率の最も良い理想的なバランスで含有されている。アミノ酸については、必須アミノ酸と非必須アミノ酸のバランスが良い。不飽和脂肪酸については、必須脂肪酸がバランス良く含まれている。【0043】【発明の効果】本発明によれば、これまで産業廃棄物として廃棄されてきた泡盛蒸留粕とおからを有効利用することができる。本発明によれば、有機酸、特にクエン酸を豊富に含み、食物繊維が多く含まれ、ミネラル、不飽和脂肪酸、ビタミン、アミノ酸のそれぞれをバランス良く含む栄養価に優れた食品が得られる。 液体部を濾過により除去していない泡盛蒸留粕と乾燥おから末とを5〜100:1(質量部)の割合で混合し濃縮して得られる、少なくとも泡盛蒸留粕と乾燥おから末からなり、クエン酸が2質量%以上含まれていることを特徴とする食品。 カルシウムとマグネシウムとが、約2:1(質量部)の割合で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の食品。 薬草末をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の食品。 薬草末が、秋ウコン、春ウコン、紫ウコン、クミスクチン、グァバ、月桃、パパイヤ、ゴーヤー及びギムネマシルベスタからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の食品。 液体部を濾過により除去していない泡盛蒸留粕と乾燥おから末とを、5〜100:1(質量部)の割合で混合し、混合物を加熱することにより、混合物の水分を蒸発させて元の質量の約40〜45質量%まで濃縮して粘体とし、該粘体をその内部温度が70〜80℃となる温度で乾燥することにより、固形物とし、該固形物を粉砕機によって粉末化することを特徴とする食品の製造方法。 液体部を濾過により除去していない泡盛蒸留粕と乾燥おから末を10:1(質量部)の割合で混合することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。 液体部を濾過により除去していない泡盛蒸留粕と乾燥おから末の混合物を、直火型攪拌機に入れて混合撹拌することによって、水分を蒸発させることを特徴とする請求項5又は6に記載の製造方法。 粘体の乾燥を、温風を用いて行う送風乾燥によることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。 粉砕機によって粉末化された食品の粒子サイズが約0.037〜0.1mmであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造方法。 薬草末をさらに混合することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の製造方法。 薬草末が、秋ウコン、春ウコン、紫ウコン、クミスクチン、グァバ、月桃、パパイヤ、ゴーヤー及びギムネマシルベスタからなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。 乾燥おから末と薬草末とを1:1(質量部)の割合で混合することを特徴とする請求項10又は11に記載の製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る