生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_表面疎水化吸水性ポリマー粒子
出願番号:2002108835
年次:2008
IPC分類:C08F 291/00,A61K 8/81,C08F 2/20


特許情報キャッシュ

鬼頭 哲治 南部 博美 JP 4071030 特許公報(B2) 20080125 2002108835 20020411 表面疎水化吸水性ポリマー粒子 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 義経 和昌 100098408 鬼頭 哲治 南部 博美 20080402 C08F 291/00 20060101AFI20080313BHJP A61K 8/81 20060101ALI20080313BHJP C08F 2/20 20060101ALI20080313BHJP JPC08F291/00A61K8/81C08F2/20 C08F 251/00-289/00 C08F 291/00-292/00 C08L 1/00-101/16 特開平11−199635(JP,A) 特開平10−279768(JP,A) 特開昭64−048805(JP,A) 特開平11−279287(JP,A) 特開平11−060644(JP,A) 特開2002−125457(JP,A) 特開昭55−003424(JP,A) 特開平11−130968(JP,A) 特開平10−060014(JP,A) 特開2003−165883(JP,A) 8 2003301019 20031021 22 20041216 守安 智 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、制汗剤等のスキンケア製品、ヘアケア製品、メークアップ製品等の化粧料に有用な表面疎水化吸水性ポリマー粒子及びその製法に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】吸水性ポリマーは生理用品、おむつ等の衛生材、農業分野での保水剤、土壌改良剤、更には人工スキー場の人工雪、洗顔料のスクラブ剤等、広範な分野で利用されてきている。またこれらの用途の他に、化粧料の分野において、自己架橋型ポリアクリル酸ソーダを、汗を吸収する制汗剤として利用する例が、特開昭60−81120号に開示されている。しかし、この吸水性ポリマーは、吸汗後、べたつくという問題がある。【0003】一方、吸水性ポリマーは、吸水後、表面に粘着性や、ゲルブロッキング(ままこ現象)を起こさないように、吸水性ポリマーの表面を、多価金属イオンや有機架橋剤によって架橋したり、あるいは非揮発性炭化水素又はステアリン酸カルシウム粉末等疎水性物質により疎水化処理する方法が知られている。【0004】例えば、特開平10−60014号公報には、吸水性樹脂をフッ素活性剤存在下で重合する改質された吸水性樹脂を開示している。しかしこの方法では、疎水化処理に使われるフッ素活性剤は吸水性樹脂の極表面を疎水化するのみで、疎水化の効果が不十分であるという問題がある。【0005】本発明の課題は、各種製剤の配合処方中においても、疎水性重合体被膜が吸水性ポリマー粒子の表面に存在し、吸水後においてもサラサラした使用感を付与できる表面疎水化吸水性ポリマー粒子及びその製造法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、吸水性ポリマー粒子の表面が、疎水性ビニルモノマーの重合体により被覆されてなる、表面疎水化吸水性ポリマー粒子は、充分な吸水力を有し、且つ吸水膨潤後でもべとつきが少なく、それら物性が各種製剤の配合処方中においても発揮されることを見出した。【0007】すなわち、本発明は、吸水性ポリマー粒子の表面が、疎水性ビニルモノマーの重合体により被覆されてなる表面疎水化吸水性ポリマー粒子、及び吸水性ポリマー粒子、油溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、疎水性ビニルモノマーを重合させる、表面疎水化吸水性ポリマー粒子の製法、及び親水性ビニルモノマーを、水溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、逆相懸濁重合させ、重合中又は重合後に、疎水性ビニルモノマー及び油溶性重合開始剤を添加し、重合させる、表面疎水化吸水性ポリマー粒子の製法、並びにその表面疎水化吸水性ポリマー粒子を含有する化粧料である。【0008】【発明の実施の形態】[表面疎水化吸水性ポリマー粒子]本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子の形状については、特に限定はなく、真球状、卵型、塊状等が挙げられ、その他、燐片状、板状、繊維状、微粒子集合体状(造粒状)、不定形状のいずれも用いることができる。好ましくは、入手しやすさから、真球状、卵型、塊状であり、更に、感触的に好ましいことから真球状である。これらは、多孔質であってもよい。【0009】本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子が、真球状、卵型、塊状の場合、化粧料として、視覚的に目立たなくするために、平均粒径は、好ましくは0.1μm〜500μm、更に好ましくは0.5μm〜250μm、特に好ましくは1μm〜150μm、最も好ましくは1〜50μmである。平均粒径は、光学顕微鏡によって、乾燥した吸水性ポリマー粒子の断面の画像分析を行うことにより求めることができる。【0010】本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子の吸水量は、後述する吸水量測定法により、求めることができる。吸水量は、好ましくは5g/g〜500g/g、更に好ましくは5g/g〜100g/g、特に好ましくは5g/g〜50g/g、最も好ましくは5g/g〜30g/gである。この範囲では、吸水量が充分であり、べとつき感も低減され、好ましい。【0011】本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子は、吸水性ポリマー粒子の表面が、1種類以上の疎水性ビニルモノマーの重合体により被覆された、吸水性ポリマー粒子であり、好ましくは吸水性ポリマー粒子をコア部とし、疎水性ビニルモノマーの重合体をシェル部とする、コアシェル状表面疎水化吸水性ポリマー粒子である。更には、シェル部とコア部の間に、1種以上の官能基を有するシリコーン化合物が存在することが好ましい。これにより、更に疎水性が高くなる。【0012】本発明において、被覆とは、吸水膨潤粒子の表面のべとつきを抑えられる程度に少なくとも吸水性ポリマー粒子の粒子表面の一部を被覆していることを意味する。【0013】また、粒子中のシェル部とコア部の間に、1種以上の官能基を有するシリコーン化合物が存在することは、例えばα,β−不飽和カルボン酸等の親水性ビニルモノマー及び架橋剤を、水溶性重合開始剤、及び分散剤として1種以上の官能基を有するシリコーン化合物を用い、逆相懸濁重合させ、得られた吸水性ポリマー粒子の表面解析で、ケイ素原子が存在することにより、確認することができる。【0014】1種以上の官能基を有するシリコーン化合物の存在量は、吸水性ポリマー粒子を(シリコーン化合物を含めて)100質量部とすると、下限は、好ましくは0.1質量部以上であり、更に好ましくは0.5質量部以上であり、特に好ましくは1質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。【0015】疎水性ビニルモノマーの重合体が、吸水性ポリマー粒子の表面に、被膜として存在していることは、クロロホルム中で、表面疎水化吸水性ポリマー粒子(対クロロホルム10質量%)を、2時間攪拌処理(30rpm、50℃)し、遠心分離する洗浄工程を行うと、表面に観察される凹凸が消失し、平滑な吸水性ポリマー表面が現れることから確認することができる。【0016】本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子表面の疎水性ビニルモノマーの重合体の存在量は、吸水性ポリマー粒子を100質量部とすると、下限は、好ましくは、1質量部以上であり、更に好ましくは5質量部以上であり、特に好ましくは、10質量部以上である。上限は、好ましくは、1000質量部以下、更に好ましくは400質量部以下、特に好ましくは200質量部以下である。この範囲であれば、吸水後のべとつき感がなく、また吸水速度もとくに阻害されることがなく好ましい。【0017】[吸水性ポリマー粒子]本発明の吸水性ポリマー粒子に用いられるポリマーとしては、水分を吸収する作用を有するポリマーであれば、天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマーを用いることが出来る。含水性を有するためには架橋構造を有するポリマーであればよく、そのようなポリマーとしては、後述する架橋方法による(共)重合体の架橋体、又は水素結合もしくは疎水結合を介した架橋、部分的な結晶構造に由来した架橋、ヘリックス構造等に由来した架橋等を有する(共)重合体である(但し、(共)重合体とは、重合体又は共重合体を意味する)。【0018】例えば、天然ポリマー、半合成ポリマーとして、澱粉、カラギーナン、ゼラチン、寒天、ドラガントゴム、ビスコース、セルロース(例えば、結晶性セルロース)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等、又はそれらの架橋体、例えば、澱粉−(メタ)アクリル酸塩グラフト共重合体(又は架橋体)(但し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を意味する)等を挙げることができる。【0019】合成ポリマーとして、親水性ビニルモノマー(例えばアニオン性モノマーもしくはその塩、ノニオン性親水性基含有モノマー、アミノ基含有不飽和モノマーやそれらの四級化物)の(共)重合体の架橋体を挙げることができる。親水性ビニルモノマーが、親水性とは、100gの水中(25℃)、溶解度が、好ましくは6質量%以上のものであり、より好ましくは20質量%を超えるものである。【0020】合成ポリマーの製造に用いられる親水性ビニルモノマーの例として、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のアニオン性モノマーもしくはその塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等のノニオン性親水性基含有モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマーやそれらの四級化物等を具体的に挙げることができる。四級化物の対イオンとして、塩素等のハロゲンイオンや、メトサルフェート等の有機アニオンが挙げられる。また、得られる重合体の親水性を極度に阻害しない程度に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類や、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の疎水性ビニルモノマーを、吸水性ポリマー粒子を構成する全モノマーの、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下の量で併用して共重合することもできる。【0021】ここで疎水性とは、100gの水中(20℃)、溶解度が、好ましくは6質量%未満のものである。下限は特に無いが、0.01質量%以上であってもよい。【0022】モノマー成分としてはこれらのうちから1種又は2種以上を選択して用いることができるが、α,β−不飽和カルボン酸又はその塩が好ましく、特に(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸もしくはその塩が、これらの(共)重合体の架橋体が、吸水能力が高く、入手し易いため、好ましい。α,β−不飽和カルボン酸及びその塩以外に、他のモノマーを、共重合することもできる。【0023】吸水能力を高くするためには、親水性ビニルモノマーの割合は、吸水性ポリマー粒子を構成する全モノマーの好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。【0024】吸水性ポリマー粒子は、好ましくは、親水性ビニルモノマー及び/又はその塩の重合体又は共重合体の架橋体であり、更に好ましくは、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその塩の重合体又は共重合体の架橋体であり、特に好ましくはポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、ポリ(ビニルアルコール/(メタ)アクリル酸塩)共重合体の架橋体、澱粉−(メタ)アクリル酸塩グラフト共重合体の架橋体及びポリビニルアルコール−ポリ無水マレイン酸塩グラフト共重合体の架橋体等のカルボキシル基又はその塩を有する高分子化合物の部分架橋体であり、最も好ましくは、高い吸水性能の点から、ポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体である。上記吸水性ポリマーは、各々単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。【0025】また、「塩」としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)、アンモニウム塩(第四級アンモニウム塩、第四級アルキルアンモニウム塩等)等が挙げられる。中でもナトリウム塩が最も安価であり好ましい。ここで、上記吸水性ポリマー粒子の中和度は、該吸水性ポリマー中の酸基(又は塩基)のモル数に基づいて、好ましくは0.01〜100%、更に好ましくは1〜99%、特に好ましく40〜95%である。尚、本発明において、「中和度」とは、該吸水性ポリマー中の酸基(又は塩基)のうちの塩を構成しているものの割合(モル基準)、即ち、[塩を構成している酸基(又は塩基)のモル数]/[塩を構成し得るフリーの酸基(又は塩基)及び塩を構成している酸基(又は塩基)の全体のモル数]×100(%)をいう。【0026】[架橋方法と架橋剤]上記(共)重合体の架橋体を形成させる方法として、(a)重合時の自己架橋、(b)多官能性モノマーとの共重合、(c)放射線の照射等の方法により架橋した共有結合性架橋、及び(d)多価金属イオンを介したイオン結合性架橋が挙げられる。これらの中でも、架橋構造の安定性、製造し易さの点から(b)が好ましく、多官能性モノマーとして少なくとも2個の反応性不飽和基を分子中に有する架橋性ビニルモノマー、及び分子内に少なくとも2個の不飽和基以外の官能基を有する化合物が挙げられる。【0027】(b)の少なくとも2個の反応性不飽和基を分子中に有する架橋性ビニルモノマーとしては、(1)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物;(2)N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド化合物;(3)ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;(4)ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;(5)ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。【0028】これらの少なくとも2個の反応性不飽和基を分子中に有する架橋性ビニルモノマーの中では、(1)〜(4)が好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミドが更に好ましい。【0029】分子内に少なくとも2個の不飽和基以外の官能基を有する化合物として、(6)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングルコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルアルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール;(7)エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;(8)エピクロロヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;(9)グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド;(10)エチレンジアミン、ポリエチレンイミン等のポリアミン化合物;(11)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の多価カルボン酸が挙げられる。【0030】これらの分子内に少なくとも2個の不飽和基以外の官能基を有する化合物の中では、(7)が好ましく、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが更に好ましい。【0031】(b)及び(d)の場合、架橋剤の添加量は、架橋剤の種類、架橋方法によっても異なるが、吸水性ポリマー粒子を構成する全モノマー量、100質量部に対して、反応系中、好ましくは0.001〜20質量部、更に好ましくは0.01〜10質量部、特に好ましくは0.01〜5質量部存在させる。0.001質量部以上では、得られる吸水性ポリマーの水可溶性成分量の割合が少なくなるため、吸水量が維持でき、一方、20質量部以下であれば、架橋密度が適度となり、得られる吸水性ポリマーの吸水量も充分となる。【0032】[疎水性ビニルモノマーの重合体]本発明に用いられる、疎水性ビニルモノマーは、重合により疎水性重合体が得られる重合性モノマーであり、一般的なラジカル重合開始剤や紫外線照射等の重合法により、重合することができる。【0033】ポリマー粒子同士のゲルブロッキングや、使用時のベトツキ感を抑えるために、吸水性ポリマーの表面を被覆する重合体は疎水性である必要がある。なお、疎水性ビニルモノマーが、疎水性とは、前述と同じ意味を表わす。【0034】疎水性ビニルモノマーは、通常のラジカル重合性ビニルモノマーが好適に用いられる。かかるモノマーの具体例として、例えば、スチレン、酢酸ビニル、ジビニルベンゼン、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデセニル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸パルミチル、アクリル酸ヘキサデセニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸オクタデセニル、アクリル酸ベヘニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデセニル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸パルミチル、メタクリル酸ヘキサデセニル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸オクタデセニル、メタクリル酸ベヘニル等のメタクリル酸エステル類、トリフルオロエチルメタクリレート等のフッ素系単量体、シリコーンマクロモノマー等が挙げられる。これらの疎水性モノマーは1種以上を使用することが出来る。これらの中で、スチレンや、α,β−不飽和カルボン酸エステル、特にアルキル基の炭素数1〜22のアルキル(メタ)アクリレートが、疎水性が高く、モノマーが入手し易く、好ましい。【0035】本発明において、疎水性重合体の重量平均分子量は、好ましくは1000〜50万、更に好ましくは3000〜20万、特に好ましくは1万〜20万である。この重量平均分子量の測定方法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、ポリスチレン換算)による。カラムは、昭和電工製、Shodex KF−806を用いた。【0036】また、得られる疎水性重合体の疎水性を極度に阻害しない程度に、生成する重合体の吸水性ポリマーへの接着性を向上させる目的で、親水性ビニルモノマーを共重合させてもよい。親水性ビニルモノマーが、親水性とは、前述と同じ意味を表わす。【0037】そのような親水性ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、クロロメチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これらの親水性ビニルモノマーは1種以上を使用することができる。親水性ビニルモノマーの使用量は、疎水性ビニルモノマーの重合体を構成する全モノマーに対して、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜20質量%である。【0038】[表面疎水化吸水性ポリマー粒子の製造法]本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子は、吸水性ポリマー粒子(又は重合体)、油溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、疎水性ビニルモノマーを重合、好ましく溶液重合又は逆相懸濁重合することにより得ることができる。【0039】より好ましくは、親水性ビニルモノマー及び好ましくは架橋剤を、水溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、逆相懸濁重合させる工程(工程(i))、この工程(i)の重合中又は重合後に、さらに疎水性ビニルモノマー及び油溶性重合開始剤を添加し、重合させる工程(工程(ii))からなる方法であり、特に好ましくはα,β−不飽和カルボン酸モノマー及び好ましくは架橋剤を、水溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、逆相懸濁重合させ、重合中又は重合後に、さらに疎水性ビニルモノマー及び油溶性重合開始剤を添加し、重合させる方法である。【0040】架橋は、親水性ビニルモノマーの重合と同時に行ってもよく、親水性ビニルモノマーの重合後、架橋剤を添加し、表面架橋させても良い。より好ましくは前者の方法である。【0041】工程(i):親水性ビニルモノマー及び架橋剤を、水溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、逆相懸濁重合させる工程本工程において、吸水性ポリマーに、親水性ビニルモノマーの重合体を用いる場合、親水性ビニルモノマーの重合方法としては、如何なる方法を採用してもよいが、親水性ビニルモノマーの水溶液(好ましくは濃度1〜70質量%)を重合させる方法が好ましく、例えば逆相懸濁重合法を採用することができる。親水性ビニルモノマーの重合温度は20〜120℃であることが好ましく、重合時間は20〜180分であることが好ましい。親水性ビニルモノマーとしては、前述の親水性ビニルモノマーが挙げられる。【0042】油中水型の逆相懸濁重合法で重合するに際し、水溶性重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下でラジカル分解し、単量体の付加重合を開始させるもので、水溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が一般的に用いられる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等のペルオキソ二硫酸塩; 過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物;2,2'−アゾビス−2−アミジノプロパン塩類(V-50)、4,4'−アゾビス−4−シアノペンタノン酸等のアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は、二種以上を混合して使用することも可能であり、更には、クロムイオン、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン等を加えてレドックス系重合開始剤として使用することも可能である。水溶性重合開始剤の使用量は、吸水性ポリマー粒子を構成する全モノマーに対して0.03〜3モル%が好ましく、 0.1〜1モル%が更に好ましい。【0043】架橋剤は、前記の(b)、(d)が好ましく挙げられ、モノマーに対しての使用量も前記の通りである。【0044】分散剤としては、親水性ビニルモノマーを、油相(有機溶媒)中に分散安定化させるために使用されるものであり、一般のアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性の界面活性剤、天然、半合成及び合成ポリマー、1種以上の官能基を有するシリコーン化合物等が挙げられる。【0045】例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム等のアニオン性界面活性剤;トリメチルステアリルアンモニウムクロリド及びカルボキシメチルジメチルセチルアンモニウム等のカチオン性及び両性の界面活性剤;ショ糖モノステアレート、ショ糖ジラウレート等のショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステルのポリオキシアルキレン付加物等のノニオン性界面活性剤;デンプン及びその誘導体、エチルセルロース等のセルロースエーテル、セルロースアセテート等のセルロースエステル等のセルロース誘導体等の天然及び半合成ポリマー;ポリビニルアルコール及びその誘導体、マレイン化ポリブタジエン、スチレン−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩等の合成ポリマー; アミノ基、アンモニウム基、ヒドロキシ基、及びカルボキシ基等の1種以上の官能基を有するシリコーン化合物が挙げられる。これらのうち、1種以上の官能基を有するシリコーン化合物が好ましく、吸水性ポリマー粒子がカルボキシ基を有する場合は、カルボキシ基との相互作用により接着性に優れる、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有するシリコーン化合物がさらに好ましい。また吸水性ポリマー粒子がアミノ基又はアンモニウム基を有する場合は、カルボキシ基を有するシリコーン化合物がさらに好ましい。【0046】分散剤の添加量は、吸水性ポリマー粒子を構成する全ビニルモノマー100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1〜10質量部が更に好ましく、1〜5質量部が特に好ましい。【0047】逆相懸濁重合法に用いる溶剤は、好ましくは、炭化水素系溶剤もしくはシリコーン系溶剤又はそれらの混合物である。炭化水素系溶剤として、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソオクタン、水添トリイソブチレン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が例示され、シリコーン系溶剤として、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等が例示される。これらの中でヘキサン、シクロヘキサンが特に好ましい。【0048】以下に、分散剤として用いられる1種以上の官能基を有するシリコーン化合物について記載する。1種以上の官能基を有するシリコーン化合物は、吸水性ポリマー粒子表面に化学結合、好ましくは共有結合及び/又はイオン結合できる官能基を1つ以上有する、少なくとも2個以上のケイ素原子を含むシリコーン化合物である。【0049】ポリマー粒子同士のゲルブロッキングや、使用時のベトツキ感を抑えるためには、疎水性であることが好ましい。特に、複数の種類の官能基を有するシリコーン化合物であって、反応に寄与しない官能基を有する場合、疎水性であることが好ましい。【0050】ここで疎水性とは、100gの水中、25℃での1種以上の官能基を有するシリコーン化合物の溶解度が、10質量%以下、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下のものである。下限は特に無いが、0.01質量%以上であってもよい。【0051】1種以上の官能基を有するシリコーン化合物の重量平均分子量は、好ましくは1000〜50万、更に好ましくは3000〜20万、特に好ましくは1万〜20万である。この重量平均分子量の測定方法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、クロロホルム溶離液、ポリスチレン換算)による。【0052】官能基は、アミノ基、アンモニウム基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基が好ましく、アミノ基及び/又はアンモニウム基であることが更に好ましい。これらの官能基は、シロキサンの側鎖、片末端及び/又は両末端のいずれに位置していてもよい、またその混合物でも良い。更に、1種以上の官能基を有するシリコーン化合物は、エポキシ基又はラジカル重合性の不飽和基を有していてもよい。【0053】本発明に用いられる1種以上の官能基を有するシリコーン化合物の具体例を以下に示す。【0054】1)アミノ基及び/又はアンモニウム基を有するシリコーン化合物(以下、アミノ変性シリコーンという)アミノ変性シリコーンは、下記一般式(I)で表わされる重合単位を有するものが好ましい。【0055】【化1】【0056】〔式中、R1は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、複数個のR1は同一でも異なっていてもよい。R2はR1又はXのいずれかを示し、Xは−R3−Z(R3は直接結合又は炭素数1〜20の二価炭化水素基、Zは1〜3級アミノ基含有基又は四級アンモニウム基含有基を示す)で表される反応性官能基を示す。aは2以上の数、bは1以上の数を示す。〕一般式(I)中、R1は、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基、例えばアルキル基もしくはフェニル基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、更に好ましくはメチル基である。R3は、好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられ、より好ましくはトリメチレン基又はプロピレン基である。a及びbは、それぞれ重合単位の繰り返し数を示し、aは2〜1000の数が好ましく、bは1〜50の数が好ましい。また、Zは、下記の一般式(II)又は一般式(III)で表わされるアミノ基又はアンモニウム基含有基が好ましい。【0057】【化2】【0058】また、一般式(III)において、複数個のR5は同一でも異なっていてもよい。またT-の具体例としては、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲンイオン、メトサルフェート、エトサルフェート、メトフォスフェート、エトフォスフェート等の有機アニオンが挙げられる。【0059】一般式(I)中、好ましいX基は、−(CH2)3−NH2、−(CH2)3−N(CH3)2、−(CH2)3−NH−(CH2)2−NH2、−(CH2)3−NH−(CH2)2−N(CH3)2、−(CH2)3−N+(CH3)3・Cl-であり、更に好ましくは、−(CH2)3−NH−(CH2)2−NH2である。【0060】アミノ変性シリコーンの重量平均分子量は、好ましくは3000〜20万であり、アミン当量は、吸水性ポリマーのアニオン性官能基と反応し易く、またシリコーン化合物が疎水性であるためには、好ましくは250〜10000g/mol、更に好ましくは1000〜5000g/molである。アミン当量はエタノール等の溶媒中、濃度既知の塩酸で滴定することができる。【0061】2)カルボキシ基を有するシリコーン化合物(以下、カルボキシ変性シリコーンという)カルボキシ変性シリコーンは、ケイ素原子とカルボキシ基とが飽和炭化水素で結合している化合物、並びに、特願2000−305741号明細書に記載されているカルボキシ基及び/又はその塩が、一般式(IV)及び(V)の少なくともいずれか一方で表わされる構造で、ケイ素原子に結合しているオルガノポリシロキサン化合物が好ましい。【0062】【化3】【0063】〔式中、R7、R8、R9及びR10は、同一又は異なって、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数2〜22の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキレン基もしくはアルケニレン基、又はアリーレン基を示す。Yは−O−又は−NH−基を示す。Mは水素原子、金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。〕また、特開平6−1711号公報に記載されているカルボキシ基及びアンモニウム基の両官能基を有する両性イオノマーシロキサンも、好ましく用いることができる。【0064】カルボキシ変性シリコーンの重量平均分子量は、好ましくは、3000〜20万である。カルボキシ当量は、吸水性ポリマーのカチオン性官能基と反応しやすく、シリコーン化合物が疎水性であるためには、好ましくは250〜10000g/mol、更に好ましくは1000〜5000g/molである。カルボキシ当量は、エタノール等の溶媒中、濃度既知のNaOHで滴定することができる。【0065】3)ヒドロキシ基を有するシリコーン化合物(以下、ヒドロキシ変性シリコーンという)ヒドロキシ変性シリコーンとして、下記一般式(VI)で表される分岐型シリコーン、下記一般式(VII)で表される両末端型シリコーン、下記一般式(VIII)で表される片末端型シリコーン、特開平5−112424号公報に記載のアルキルグリセリルエーテル変性シリコーン等を挙げることができる。【0066】【化4】【0067】〔式中、R11は同一又は異なって炭素数1〜3のアルキル基を示し、メチル基が好ましい。R12は同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキレン基を示し、トリメチレン基が好ましい。AOは同一又は異なって、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を示し、f及びgは、それぞれ1以上の整数を示し、hは0又は1以上の整数を示す。〕工程(ii):工程(i)の重合中又は重合後に、疎水性ビニルモノマー及び油溶性重合開始剤を添加し、重合させる工程本工程では、工程(i)の吸水性ポリマー粒子の重合中又は、好ましくは重合後、逆相懸濁重合溶液、すなわち溶剤中に吸水性ポリマー粒子が懸濁したスラリーに、さらに疎水性ビニルモノマー及び油溶性重合開始剤を加えて、重合させる。【0068】油溶性重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシド系開始剤; アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(ジメチルイソブチレート)、アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ系開始剤を用いることができる。【0069】油溶性重合開始剤の使用量は、疎水性ビニルモノマーの重合体を構成する全モノマーに対して0.03〜3モル%が好ましく、 0.1〜1モル%が更に好ましい。重合開始剤はあらかじめ他の成分と混合溶解して使用されるが、残存モノマーを低減する目的から重合途中で溶剤等に希釈して、一括あるいは連続的に添加することが可能である。重合温度は20〜120℃であることが好ましく、重合時間は20〜180分であることが好ましい。【0070】本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子は、以下に示すように化粧料中に好適に配合されてその特性を化粧料に付与することができる。【0071】[化粧料]本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子の化粧料中の含有量は、その化粧料の目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、1〜50質量%、特に1〜30質量%が好ましい。配合量が1質量%以上であれば十分な感触改善効果が得られる。【0072】本発明の化粧料は、表面疎水化吸水性ポリマー粒子が直接水と接触しない形態であれば、特に限定されず、油中水型又は水中油型の乳化化粧料、油性化粧料、スプレー化粧料、スティック状化粧料のいずれでもよい。また本発明の化粧料の種類も特に限定されず、例えばパック、ファンデーション、口紅、ローション、コールドクリーム、ハンドクリーム、皮膚洗浄剤、柔軟化化粧料、栄養化粧料、収斂化粧料、美白化粧料、シワ改善化粧料、老化防止化粧料、洗浄用化粧料、制汗剤、デオドラント剤等の皮膚化粧料;リンス、トリートメント、整髪剤、養毛剤、スタイリング剤、毛髪感触向上剤等の毛髪化粧料が挙げられる。【0073】これらの中では、制汗剤、デオドラント剤として、好ましく用いられ、他の発汗抑制剤と共に用いられることも好ましい。発汗抑制剤としては、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、水酸化アルミニウム等のアルミニウム塩、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドロキシグリシン、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート等のアルミニウムジルコニウム錯体、酸化亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛等の亜鉛塩、サリチル酸、タンニン酸等が挙げられる。中でも、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、水酸化アルミニウムが特に好ましい。発汗抑制剤の配合量は、制汗剤中に0.01〜15質量%とするのが好ましく、0.1〜5質量%とするのが特に好ましい。【0074】また、本発明の化粧料は、さらにシリコーン油を含有することにより、よりべとつき感を低減し、さっぱりした使用感を与える化粧料が得られる。かかるシリコーン油としては、特に限定されないが、粘度(25℃)50mm2/s以下のものが好適に使用できる。これは高粘度になるにつれ、それを多量に用いた結果として、感触的に油っぽさが生じ、使用感上好ましくないからである。具体例としては、低重合度のジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状のシリコーン化合物、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シリコーン化合物が挙げられ、必要に応じてこれらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。シリコーン油は、本発明の化粧料中に0.01〜5質量%、特に0.1〜1質量%配合するのが好ましい。【0075】更に本発明の化粧料は、アルコールを含有することが、さっぱりした感触を与えるので好ましい。このようなアルコールとしては、エタノール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトールの炭素数1〜6の一価又は多価アルコール等が挙げられる。中でも、一価アルコール、特にエタノールが好ましい。アルコール類の配合量は、本発明の化粧料中に5〜30質量%とするのが好ましく、表面疎水化吸水性ポリマー粒子の2〜50質量倍とすることが特に好ましい。【0076】本発明の化粧料には、更に化粧料成分として一般に使用されているその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で、上記化粧料の形態、種類等に応じて適宜配合することができる。【0077】かかる化粧料成分としては、例えばマイカ、タルク、セリサイト、カオリン、ナイロンパウダー、ポリメチルシルセスキオキサン、硫酸バリウム等の体質顔料;酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等の無機顔料;これら粉体をシリコーン処理、金属石けん処理、N−アシルグルタミン酸処理等の表面疎水化処理した粉体;固体状又は液状のパラフィン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、セレシン、オゾケライト、モンタンろう等の炭化水素類;オリーブ、地ろう、カルナウバろう、ラノリン、鯨ろう等の植物性油脂、動物性油脂又はロウ;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、イソプロピルミリスチン酸エステル、イソプロピルステアリン酸エステル、ブチルステアリン酸エステル等の脂肪酸又はそのエステル類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ヘキシルドデシルアルコール等の高級アルコール類;カチオン化セルロース、カルボキシベタイン型ポリマー、カチオン化シリコーン等の吸着又は増粘剤;グリコール、ソルビトール等の保湿作用を有する多価アルコール類;美白剤、鎮痛消炎剤、鎮痒剤、殺菌消毒剤、収斂剤、皮膚軟化剤、ホルモン剤等の薬効成分;水;界面活性剤;W/O又はO/W型乳化剤;ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル変性シリコーン、グリセリルエーテル変性シリコーン等のシリコーン油用の乳化剤;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、トラガント、寒天、ゼラチン等の増粘剤;その他、乳化安定剤、キレート剤、紫外線防御剤、pH調整剤、防腐剤、色素類、香料等が挙げられる。本発明の化粧料は、それぞれ常法に従って製造することができる。【0078】【実施例】以下の実施例、比較例、処方例、比較処方例において、「%」は、特に断らない限り「質量%」を表す。また、粒径・粒度分布の測定、吸水量の測定、及び使用感の評価は以下の方法で行った。【0079】<粒径・粒度分布の測定法>ベックマン・コールター(株)製 LS230型粒径測定器(光散乱法)により測定した(重量平均粒径)。【0080】<吸水量測定法>各試料5gに水1000mlを加え、30分間懸濁攪拌(100rpm、25℃)後、2,000G、30分間の遠心分離を行い、上清を静かに捨てた後重量を測定し初期試料重量との差から吸水量を求めた。【0081】<使用感評価法(乾燥時)>各試料0.2gを前腕部に均一に塗布し、粉末ののび、サラサラ感を官能評価し、下記の基準に従いスコア化した。5…全くべとつかず、非常によくのび、非常にサラサラする4…よくのび、サラサラする3…ややべとつきがあり、ややのびが悪い2…のびが悪く、ザラつくもしくはベタつく1…非常にのびが悪く、かなりザラつくもしくはベタつく。【0082】<使用感評価法(発汗時)>各試料0.2gを前腕部に均一に塗布し、40℃75%RHの部屋に入り、30分後のべとつきの度合、サラサラ感を官能評価し、下記の基準に従いスコア化した。5…全くべとつかず、非常によくのび、非常にサラサラする4…よくのび、サラサラする3…ややべとつきがあり、ややのびが悪い2…のびが悪く、ヌルつくもしくはベタつく1…非常にのびが悪く、かなりヌルつくもしくはベタつく。【0083】実施例1メタクリル酸(三菱レイヨン(株)製)300g(3.5mol)とイオン交換水135gを2Lのビーカーに取り、冷却しつつ攪拌下、30%の苛性ソーダ水溶液348gを滴下して75%の中和を行った後、過硫酸カリウム1.2g(0.004mol)( 0.4%対メタクリル酸)を24.3gのイオン交換水に溶解した溶液と架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名、デナコールEX810、長瀬化成(株)製)15.0g( 0.086mol)(5.0%対メタクリル酸)を加え、均一に溶解した。得られた溶液を、5Lのビーカー中、シクロヘキサン1500mlにアミノ変性シリコーン(ジーイー東芝シリコーン(株)製XF42−703、粘度(25℃)1000mm2/s、アミン当量1600g/mol)15gを溶解して得られた溶液に添加し、ホモミキサーを用い、回転数10000rpmで5分間強攪拌を行い微細な油中水型分散滴を作った。次に還流冷却器を付した、5Lのステンレス製反応釜にシクロヘキサン900mlを入れ350rpmで攪拌し、予め系内を75℃に加熱し、窒素置換した溶液の中に、メタクリル酸部分中和油中水型分散滴を滴下し、同時に重合を開始させた。全量を1.5時間で滴下した後、還流温度で更に2時間熟成を行い吸水性ポリマー(以下吸水性ポリマー(1)という)を得た。【0084】得られた吸水性ポリマー(1)/シクロヘキサン分散液に、メタクリル酸メチル120g(1.2mol)、スチレン30g(0.29mol)、ラウロイルパーオキシド3.2g(0.008mol)を仕込み、環流下で10時間重合/熟成させた。その後脱水管を取り付け、昇温し340mlの脱水を行い、冷却後、ろ過により、ポリマー粒子を分離した。減圧下で蒸発乾固を行うことによって510gの微粉末状の白色乾燥ポリマー粒子(以下表面疎水化吸水性ポリマー粒子(1)という)を得た。得られた表面疎水化吸水性ポリマー粒子(1)の平均粒径は3.2μmであった。また得られた乾燥状態の表面疎水化吸水性ポリマー粒子(1)のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を図1に示す。【0085】表面疎水化吸水性ポリマー粒子(1)の断面を切り出して、四酸化オスミウムで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM2000FX)で観察したところ、ポリマー粒子は球形で、シェル部が疎水性ビニルモノマーの重合体の層で、コア部がメタクリル酸の重合体で構成されたコアシェル型の構造であることを確認した。【0086】また、上記の、吸水性ポリマー(1)の表面を、ESCA(X線光電子分光法)で表面解析することにより、ケイ素原子が存在することがわかり、シリコーン化合物が存在することを確認した。【0087】実施例2〜6表1及び表2に示す親水性モノマー、疎水性モノマー、分散剤、架橋剤を用い、実施例1の方法に準じて各表面疎水化吸水性ポリマー粒子を得た。【0088】比較例1メタクリル酸(三菱レイヨン(株)製)300g(3.5mol)とイオン交換水135gを2Lのビーカーに取り、冷却しつつ攪拌下、30%の苛性ソーダ水溶液348gを滴下して75%の中和を行った後、過硫酸カリウム1.2g(0.004mol)(0.4%対メタクリル酸)を24.3gのイオン交換水に溶解した溶液と架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名、デナコールEX810、長瀬化成(株)製)15.0g(0.086mol)(5.0%対メタクリル酸)を加え、均一に溶解した。得られた溶液を5Lのビーカー中、シクロヘキサン1500mlにシュガーエステル(三菱化学フーズ製リョートーシュガーエステルS−770、HLB=7)15g(5.0%対メタクリル酸)を溶解して得られた溶液に添加し、ホモミキサーを用い、回転数10000rpmで5分間強攪拌を行い微細な油中水型分散滴を作った。次に還流冷却器を付した、5Lのステンレス製反応釜にシクロヘキサン900mlを入れ350rpmで攪拌し、予め系内を75℃に加熱し、窒素置換した溶液の中に、メタクリル酸部分中和油中水型分散滴を滴下し、同時に重合を開始させた。全量を1.5時間で滴下した後、還流温度で更に4時間熟成を行った。その後脱水管を取り付け、昇温し340mlの脱水を行い、更に1300mlのシクロヘキサンを蒸発留去後、放冷し合成を完結した。減圧下で蒸発乾固を行うことによって376gの微粉末状の白色乾燥ポリマー粒子を得た。得られた乾燥ポリマー粒子の平均粒径は2.2μmであった。【0089】比較例2表2に示す親水性モノマー、分散剤、架橋剤を用い、比較例1の方法に準じて吸水性ポリマー粒子を得た。【0090】実施例1〜6及び比較例1〜2で得られたポリマー粒子の粒径、粒度分布及び吸水量の測定結果、並びに乾燥時及び発汗時の使用感の評価結果をまとめて表1及び表2に示す。【0091】なお、表1及び表2中のアミノ変性シリコーンは、ジーイー東芝シリコーン(株)製XF42−703、シュガーエステルは三菱化学フーズ製リョートーシュガーエステルS−770、EGDGE EX810は、エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名、デナコールEX810、長瀬化成(株)製)である。【0092】【表1】【0093】【表2】【0094】処方例1、比較処方例1、2(制汗スティック)表3に示す成分a)〜f)を加熱下において均一に混合し、次いでそれを容器に充填し、自然冷却することにより、制汗スティックを得た。その使用感の評価結果を併せて表3に示す。【0095】【表3】【0096】処方例2、比較処方例3(制汗ボディーパウダー)表4に示す成分a)〜e)をヘンシェルミキサーで均一に混合し、次いでそれを容器に充填し、制汗ボディーパウダーを得た。その使用感の評価結果を併せて表4に示す。【0097】【表4】【0098】処方例3(パウダースプレー)下記成分a)〜c)をニーダーにて混合、d)及びe)をブレンダーで混合し各々をスプレー缶中に充填し、更にf)及びg)を充填し、パウダースプレーを得た。得られたパウダースプレーは乾燥時の使用感はランク4、発汗時の使用感はランク4であった。a)実施例1の表面疎水化吸水性ポリマー粒子 2.0%b)アクリルポリマー粒子 1.0%(松本油脂(株)製、マイクロスフェアーM305、7μm)c)タルク 3.0%d)パルミチン酸イソプロピル 3.0%e)香料 0.5%f)イソペンタン 8.0%g)液化石油ガス 残量(合計100.0%)。【0099】処方例4(ロールオン型制汗剤)下記成分a)〜e)を混合し、ロールオン容器にいれ、ロールオン型制汗剤を調製した。得られたロールオン型制汗剤は、乾燥時の使用感はランク5、発汗時の使用感はランク5であった。a)オクタメチルシクロテトラシロキサン 60.0%b)ジメチコーン6cs 10.0%(信越シリコーン(株)製 KF96−6cs)c)エタノール 20.0%d)グリセリン 5.0%e)実施例6の表面疎水化吸水性ポリマー粒子 5.0%処方例5(油性ファンデーション)下記a)〜f)を加熱融解して、ブレンダーで均一に混合し、これに予めヘンシェルミキサーで混合したg)〜j)を加え、混合物をロールミルで練り、容器に流し込み、放冷して油性ファンデーションを得た。得られた油性ファンデーションは乾燥時の使用感はランク4、発汗時の使用感はランク4であり、しかも、化粧の汗うきがなく、化粧持ち、使用性に優れたパウダーファンデーションであった。a)オクタメチルシクロテトラシロキサン 28.0%b)ジメチコーン6cs 16.0%(信越シリコーン(株)製 KF96−6cs)c)スクワラン 10.0%d)アルキル変性シリコーンワックス 8.0%(信越シリコーン(株)製,KF7002)e)キャンデリラワックス 4.0%f)イソプロピルパルミテート 4.0%g)酸化チタン(テイカ(株)製,MT−500B) 20.0%h)実施例4の表面疎水化吸水性ポリマー粒子 5.0%i)着色顔料 4.0%j)香料 適量(合計100.0%)【0100】【発明の効果】本発明の表面疎水化吸水性ポリマー粒子は、疎水性ビニルモノマーの重合体で表面を被覆されているため、吸水性ポリマー粒子と疎水性ポリマー粒子を単に混合したものとは異なり、吸水時、ポリマー粒子表面の融着性に起因するゲルブロッキング(ままこ現象)やベトツキ感が著しく低減される。また化粧料に用いられた時、好ましい使用感を有する。【図面の簡単な説明】【図1】 実施例1で得られた表面疎水化吸水性ポリマー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 親水性モノマーの重合体又は共重合体の架橋体からなる吸水性ポリマー粒子の表面が、疎水性ビニルモノマーの重合体により被覆されてなる、化粧料用表面疎水化吸水性ポリマー粒子(但し中空ポリマー粒子を除く)。 疎水性ビニルモノマーが、α,β−不飽和カルボン酸エステル、及びスチレンから選ばれる1種類以上である、請求項1記載の表面疎水化吸水性ポリマー粒子。 吸水性ポリマー粒子をコア部、疎水性ビニルモノマーの重合体をシェル部とし、シェル部とコア部の間に、1種以上の官能基を有するシリコーン化合物が存在する、請求項1又は2記載の表面疎水化吸水性ポリマー粒子。 吸水性ポリマー粒子、油溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、疎水性ビニルモノマーを重合させる、請求項1〜3いずれかの項記載の表面疎水化吸水性ポリマー粒子の製法。 親水性ビニルモノマーを、水溶性重合開始剤及び分散剤の存在下、逆相懸濁重合させ、重合中又は重合後に、疎水性ビニルモノマー及び油溶性重合開始剤を添加し、重合させる、請求項1〜3いずれかの項記載の表面疎水化吸水性ポリマー粒子の製法。 分散剤が、1種以上の官能基を有するシリコーン化合物である請求項4又は5記載の表面疎水化吸水性ポリマー粒子の製法。 1種以上の官能基を有するシリコーン化合物の官能基が、アミノ基、アンモニウム基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる1種以上である、請求項6記載の表面疎水化吸水性ポリマー粒子の製法。 請求項1〜3いずれかの項記載の表面疎水化吸水性ポリマー粒子を含有する化粧料。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る