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タイトル:特許公報(B2)_水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物、その製造法および該化合物を含有してなるフォトレジスト組成物
出願番号:2002090692
年次:2008
IPC分類:C07C 43/188,C07C 41/08,C07C 41/40,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

岩島 智明 今井 玄児 曽根 孝明 水家 次朗 JP 4088759 特許公報(B2) 20080307 2002090692 20020328 水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物、その製造法および該化合物を含有してなるフォトレジスト組成物 関西ペイント株式会社 000001409 荒川化学工業株式会社 000168414 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 小原 健志 100086427 中川 博司 100090066 舘 泰光 100094101 斎藤 健治 100099988 藤井 淳 100105821 関 仁士 100099911 中野 睦子 100108084 岩島 智明 今井 玄児 曽根 孝明 水家 次朗 20080521 C07C 43/188 20060101AFI20080424BHJP C07C 41/08 20060101ALI20080424BHJP C07C 41/40 20060101ALI20080424BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080424BHJP JPC07C43/188C07C41/08C07C41/40C07B61/00 300 C07C 43/00 C07C 41/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平10−279513(JP,A) 特許第3890052(JP,B2) 特開2000−267285(JP,A) 特開平07−146552(JP,A) 特開平06−308733(JP,A) 特開平06−230574(JP,A) 4 2003286216 20031010 17 20041209 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なジビニルエ−テル化合物、その製造法および当該化合物を含有してなるフォトレジスト組成物に関する。【0002】【従来の技術】従来、ビニルエーテル化合物は、カチオン重合性モノマーやラジカル重合性モノマーとして、フォトレジスト、接着剤、塗料等の用途に用いられてきたが、該化合物が有する臭気や、その化学構造がフェノール誘導体である場合には、当該化学構造に起因する環境ホルモン作用の疑念などの問題点があった。【0003】一方、これらの問題点を克服するために、比較的分子量を大きくして揮発性を抑え、かつ、芳香環を核還元してフェノール骨格をシクロヘキサノール骨格に変更する試み、例えば水素化ビスフェノールAをビニルエーテル化する方法が特開平10−279513号公報に開示されている。【0004】しかしながら、当該方法により得られる化合物は、二個のシクロヘキサノール骨格の立体構造上、トランス,トランス−体、シス,トランス−体及びシス,シス−体の3種の立体異性体の混合物であり、又還元触媒の種類や還元条件によってその異性体組成が大きく異なってくることが知られている(特開昭53−119855号公報、特開昭64−34935号公報、特開2000−44503号公報など)。従って、これら方法で得られたジビニルエーテル化合物はその組成が一定していないため、物性が安定しないものであった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、低臭気、低揮発性、低刺激性、低毒性で、カチオン重合性が高い、単一構造を有する(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、単一の立体異性体である(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAをジビニルエーテル化することにより、単一の立体異性体である(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物が得られ、前記目的が達成できること、予め再結晶して精製したトランス,トランス−体である上記水素化ビスフェノールAをジビニルエーテル化することにより、好適に目的化合物が得られること等を見出し本発明を完成するに至った。【0007】本発明は、以下に示す、単一の立体異性体である新規化合物のジビニルエーテル化合物、当該化合物の製造法および当該化合物を含有してなるフォトレジスト組成物に係るものである。【0008】1.式(1):【0009】【化3】で表される(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物。【0010】2.式(2)【0011】【化4】で表される(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAを、アルカリ触媒の存在下、アセチレンと反応させてビニルエーテル化させることを特徴とする式(1)で表される(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物の製造法。【0012】3.式(2)で表される(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAが、再結晶による精製物である上記項2記載のジビニルエーテル化合物の製造法。【0013】4.ビニルエーテル化させた後、晶析工程を経る上記項2又は3に記載のジビニルエ−テル化合物の製造法。【0014】5.式(1)で表わされる(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物を含有してなるフォトレジスト組成物。【0015】6.(A)式(1)で表わされる(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物、(B)重合体1kgあたり0.5〜10当量のカルボキシル基を有し、且つ3,000〜100,000の範囲内の数平均分子量及び0℃以上のガラス転移温度を有する重合体(a)、重合体1kgあたり1〜10当量のヒドロキシフェニル基を有し、且つ500〜100,000の範囲内の数平均分子量及び0℃以上のガラス転移温度を有する重合体(b)及び重合体1kgあたり0.2〜20当量のヒドロキシフェニル基及び0.5〜10当量のカルボキシル基を有し、且つ500〜100,000の範囲内の数平均分子量及び0℃以上のガラス転移温度を有する重合体(c)から選ばれる少なくとも1種の重合体、並びに(C)活性エネルギー線照射により酸を発生する化合物を含有してなることを特徴とする上記項5に記載のフォトレジスト組成物。【0016】【発明の実施の形態】本発明化合物本発明化合物である(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物の原料である(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAとしては、工業原料として市販されている4,4’−水素化ビスフェノールAを使用することができる。【0017】市販の4,4’−水素化ビスフェノールAは、通常、トランス,トランス−体、シス,トランス−体及びシス,シス−体の三種の立体異性体からなる混合物であり、当該混合物を精製してトランス,トランス−体を分離してから使用することにより、ジビニルエーテル化後、特に精製しなくても、目的化合物である式(1)の(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物を、好適に収得することができる。ここで、上記立体異性体混合物から、トランス,トランス−体を精製する方法としては、シス,トランス−体及びシス,シス−体の除去が可能である限り、格別限定はされないが、精製物の純度を効率良く向上させることができる点で再結晶が好ましい。なお、再結晶に用いる溶媒としては、アルコール類、エステル類、ケトン類等が好ましく、特にメタノール、酢酸エチル、アセトン等を用いることが好ましい。再結晶に用いる溶媒の量は、精製前の粗結晶1重量部に対し0.5重量部から10重量部であり、純度向上及び回収率の兼ね合いより1重量部から5重量部とすることがより好ましい。【0018】本発明化合物は、式(2)の(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAを、アルカリ触媒の存在下に、溶媒中、アセチレンガスを導入して加熱反応させることにより得られる。【0019】本反応に用いられるアルカリ触媒としては特に限定されず、各種公知のものを使用することができる。具体的には、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド類等があげられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがあげられる。アルカリ金属アルコキシド類としては、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシドなどがあげられる。これらの中では、安価で作業性のよい粒状のアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。なお、アルカリ触媒の使用量は原料の4,4’−水素化ビスフェノールA1.0モルに対し0.1から1.0モルとすることが反応速度の点から好ましい。【0020】溶媒としては、(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAを溶解するものであれば特に限定無く使用することができる。具体的にはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジメチルイミダゾリジノン等の高沸点極性溶媒があげられる。溶媒の使用量は、原料の4,4’−水素化ビスフェノールAの重量に対し同重量から3倍重量程度とすることが作業性の点から好ましい。【0021】ビニルエーテル化反応は、0.10〜0.25MPaの圧力でアセチレンガス又はアセチレンと不活性ガスの混合ガスを反応系内に吹き込み加熱、攪拌下に行なうことができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等があげられる。反応温度は100〜160℃程度、好ましくは120℃前後であり、反応時間は、通常、2〜24時間程度である。【0022】ビニルエーテル化反応させて得られる反応混合物は、濃縮、蒸留工程の後、水洗または抽出等によるアルカリ分及び高沸点溶媒の除去工程を経て、粗製物とされる。粗製物は減圧蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の分離精製法を適宜組み合わせて精製することにより、ほぼ純粋な本発明化合物を得ることができる。【0023】また、粗製物の分離精製法として晶析法を用いることにより、立体異性体の純度を更に向上させることができる。晶析に用いる溶媒としては粗製物を溶解するものであれば特に制限されないが、飽和炭化水素化合物が好ましい。飽和炭化水素化合物としては、公知のものが使用できるが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソヘキサン等の鎖状炭化水素類や、シクロヘキサン、シクロペンタン等の環状炭化水素類などがあげられる。これらの中でも、純度を向上させることができる点から鎖状炭化水素類を用いることが好ましい。なお、晶析に用いる溶媒の量は、粗製物1重量部に対し0.5重量部から10重量部であり、純度向上及び回収率の兼ね合いより1重量部から5重量部とすることがより好ましい。【0024】本発明の化合物の製造法としては上記アセチレン法に限定されず、例えば、パラジウム等の錯体触媒を用いたアルキルビニルエ−テルとの交換反応(特開平9−87224号公報)、または酢酸ビニルとの交換反応(特開2001−220364号公報)等によっても製造することができる。【0025】本発明化合物である式(1)の(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物は、単一の立体異性体であり、常温では液体で融点17℃である。また、図1に本発明化合物の赤外スペクトルを、図2に1H−NMRスペクトルを、図3に13C−NMRスペクトルを、それぞれ示す。従って、本発明化合物は、これらの物理化学的特性等の手段により同定することができる。【0026】本発明フォトレジスト組成物本発明のフォトレジスト組成物は、(A)上記式(1)で表わされる(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物を、含有することを特徴とする組成物である。【0027】本発明組成物は、好ましくは、(A)式(1)で表わされる(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物、(B)重合体1kgあたり0.5〜10当量のカルボキシル基を有し、且つ3,000〜100,000の範囲内の数平均分子量及び0℃以上のガラス転移温度を有する重合体(a)、重合体1kgあたり1〜10当量のヒドロキシフェニル基を有し、且つ500〜100,000の範囲内の数平均分子量及び0℃以上のガラス転移温度を有する重合体(b)及び重合体1kgあたり0.2〜20当量のヒドロキシフェニル基及び0.5〜10当量のカルボキシル基を有し、且つ500〜100,000の範囲内の数平均分子量及び0℃以上のガラス転移温度を有する重合体(c)から選ばれる少なくとも1種の重合体、並びに(C)活性エネルギー線照射により酸を発生する化合物(以下、このものを単に「光酸発生剤化合物(C)」と略すことがある。)を含有してなる。【0028】重合体(B)重合体(B)成分は、重合体(a)、重合体(b)及び重合体(c)から選ばれる少なくとも一種の重合体である。【0029】カルボキシル基含有重合体(a)一分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する被膜形成性の重合体であり、例えば、カルボキシル基を含有する重合性不飽和単量体の単独重合体;該カルボキシル基含有単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体;分子鎖中又は分子末端にカルボキシル基を有するポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系などの樹脂等が挙げられる。【0030】上記カルボキシル基を含有する重合性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられる。また、これらカルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸のC1〜C12アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸のC2〜C6ヒドロキシアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のビニル芳香族化合物;酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等が挙げられる。殊に、該他の単量体としてスチレン、α−メチルスチレン、C1〜C6アルキルで置換されたスチレン(例えばp−tert−ブチルスチレン)などのビニル芳香族化合物を使用することが、形成される画像パターンの精度、耐エッチング性等の点で好適である。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上組合わせて使用することができる。【0031】重合体(a)は、約3,000〜約100,000、特に約5,000〜約30,000の範囲内の数平均分子量を有していることが好ましく、また、カルボキシル基の含有量は、重合体1kgあたり一般に0.5〜10当量、特に0.5〜5.0当量の範囲内にあることが望ましい。カルボキシル基の含有量が0.5当量/kgより少ないと、活性エネルギー線照射前の加熱により形成される膜の架橋度が十分でなく、また、アルカリ性現像液に対する露光部の溶解性が低く現像性が低下する傾向があり、他方、10当量/kgを越えると、組成物の貯蔵安定性が低下する傾向がある。【0032】また、重合体(a)は、そのガラス転移温度(Tg)が0℃以上、特に5〜70℃の範囲内にあることが好適である。Tgが0℃未満であると、塗膜が粘着性を示し、ゴミやホコリなどがつきやすくなり、取り扱い難くなる傾向がある。【0033】ヒドロキシフェニル基含有重合体(b)重合体(b)は一分子中に少なくとも1つのヒドロキシフェニル基を有する重合体であり、例えば、1官能性又は多官能性フェノール化合物、アルキルフェノール化合物又はそれらの混合物と、フォルムアルデヒド、アセトンなどのカルボニル化合物との縮合物;p−ヒドロキシスチレンのようなヒドロキシ基含有ビニル芳香族化合物の単独重合体;該ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物と他の共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。【0034】上記1官能性又は多官能性フェノール化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,4−キシレノール、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノールAなどのベンゼン環上に1〜3個のヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。【0035】また、アルキルフェノール化合物としては、例えば、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−tert−オクチルフェノールなどのアルキル部分の炭素数が1〜10、好ましくは1〜4のアルキルフェノール化合物が挙げられる。【0036】これらの化合物とフォルムアルデヒド、アセトンなどのカルボニル化合物との縮合反応はそれ自体既知の方法で行なうことができ、一般にアルカリ触媒で縮合させると、縮合が進むにつれて不溶不融となるレゾール型が得られ、酸触媒で縮合させると可溶可融のノボラック型が得られる。【0037】ノボラック型フェノール樹脂は、通常縮合が進むにつれて分子量が増大するが、反応時間1〜3時間で縮合させることにより得られる分子量が500〜2,000の範囲内のものが好適である。【0038】また、ヒドロキシ基含有ビニル芳香族化合物と共重合可能な他の単量体としては、前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体と同様の共重合可能な他の単量体を用いることができる。【0039】かかるヒドロキシフェニル基含有重合体(b)は一般に約500〜約100,000、特に約600〜約30,000の範囲内の数平均分子量を有していることが好ましい。【0040】また、重合体(b)のヒドロキシフェニル基の含有量は、重合体1kgあたり一般に0.5〜10当量、特に2.0〜10.0当量の範囲内にあるのが好都合である。ヒドロキシフェニル基の含有量が0.5当量/kgより少ないと、活性エネルギー線照射前の加熱により形成される膜の架橋度が十分でなくなる傾向があり、10当量/kgを越えると、レジスト膜が脆くなりやすい。【0041】重合体(b)も、重合体(a)と同様に、そのガラス転移温度(Tg)が0℃以上、特に5〜70℃の範囲内にあることが好適である。Tgが0℃未満であると、塗膜が粘着性を示し、ゴミやホコリなどがつきやすくなり、取り扱い難くなる傾向がある。【0042】カルボキシル基及びヒドロキシフェニル基含有重合体(c)重合体(c)は、一分子中に少なくとも1つのカルボキシル基及びヒドロキシフェニル基を含む被膜形成性の重合体であり、例えば、p−ヒドロキシスチレンのようなヒドロキシスチレンと、カルボキシル基を含有する重合性不飽和単量体との共重合体;ヒドロキシスチレン及び該カルボキシル基含有単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。【0043】上記カルボキシル基を含有する重合性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられる。また、上記他の共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸のC1〜C12アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸のC2〜C6ヒドロキシアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のビニル芳香族化合物;酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上組合わせて使用することができる。【0044】また、重合体(c)として、ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、レゾルシン酸などのフェノールカルボン酸類、又はこれらとフェノール、炭素数1〜18のモノ−もしくはジ−アルキルフェノールもしくはナフトール類、レゾルシン、カテコール等から選ばれるフェノール類の1種もしくは2種以上との混合物をホルムアルデヒドと縮合させることにより得られる重合体を使用することもできる。【0045】重合体(c)は、一般に、約500〜約100,000、特に約650〜約30,000の範囲内の数平均分子量を有していることが好ましい。【0046】重合体(c)において、該重合体のカルボキシル基の含有量は、重合体1kgあたり一般に0.5〜10当量、特に0.5〜5.0当量の範囲内にあり、また該重合体のヒドロキシフェニル基は重合体1kgあたり少なくとも1.0当量、特に2.0〜8.0当量の範囲内にあることが望ましい。【0047】重合体(c)のカルボキシル基の含有量が、0.5当量/kgより少ないと、活性光線照射前の加熱により形成される膜の架橋度が十分でなく、また、アルカリ性現像液に対する露光部の溶解性が低く現像性が低下する傾向があり、他方、10当量/kgを越えると、組成物の貯蔵安定性が低下する傾向があるので好ましくない。【0048】重合体(c)のヒドロキシフェニル基の含有量が、0.2当量/kgより少ないと架橋時の架橋度が不十分となり、一方20当量/kgを越えると未反応物が増えてパターン解像度が悪くなるので好ましくない。【0049】また、重合体(c)は、そのガラス転移温度(Tg)が0℃以上、特に5〜70℃の範囲内にあることが好適である。Tgが0℃未満であると、塗膜が粘着性を示し、ゴミやホコリなどがつきやすくなり、取り扱い難くなる傾向がある。【0050】光酸発生剤化合物(C)光酸発生剤化合物(C)は、下記の活性エネルギー線の照射により分解して、前記重合体(B)とジビニルエーテル化合物(A)との間で形成される架橋構造を切断するのに十分な強度の酸を発生する化合物であり、従来から公知のものを使用することができる。【0051】光酸発生剤化合物(C)として用いられる化合物及び混合物の例には、ジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム及びヨードニウム塩:ハロゲン化合物:有機金属/有機ハロゲンの組み合わせ:強酸、例えばトルエンスルホン酸のベンゾイン及びo−ニトロベンジルエステル:並びに米国特許番号4371605に記載されるN−ヒドロキシアミド及びN−ヒドロキシイミドスルホネート類が含まれる。アリールナフトキノンジアジド−4−スルホネート類も含まれる。好適な光可溶化剤は、ジアリールヨードニウムまたはトリアリールスルホニウム塩である。【0052】これらは一般に、複合金属ハロゲン化物イオンの塩、例えばテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートおよびへキサフルオロホスフェートなどの形態で存在している。感光性を示す酸発生剤の他の有効な群には、正対イオンとして芳香族オニウム酸発生剤を有するアニオン基が付加しているオリゴマー類およびポリマー類が含まれる。上記ポリマー類の例には、米国特許番号4,661,429の第9欄、1〜68行および第10欄、1〜14行に記述されているポリマー類が含まれる。化学放射線の利用可能波長に対するスペクトル感度を調整する目的で、このシステムに増感剤を添加するのが望ましい。この必要性はこの系の要求および使用する特定感光性化合物に依存している。例えば、300nm未満の波長にのみ応答するヨードニウムおよびスルホニウム塩の場合、ベンゾフェノンおよびその誘導体、多環状芳香族炭化水素類、例えはペリレン、ピレンおよびアントラセン、並びにそれらの誘導体などを用いることで、より長い波長に感光させることができる。ジアリールヨードニウムおよびトリアリールスルホニウム塩の分解もまた、ビス−(p−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−アセトンで感光性が与えられ得る。3〜4個の原子から成る鎖長を有するアントラセンに結合したスルホニウム塩は、有効な光可溶化剤である。MG.Tilleyの博士論文、North Dakota State University、Fargo、ND(1988)[Diss.Abstr.lnt.B、49、8791(1989):Chem.Abstr.、111、39942u]に記述されている化合物は、好適な種類の光可溶化剤である。他の好適な酸発生剤は、ATASS、即ちへキサフルオロアンチモン酸3−(9−アントラセニル)プロビルジフエニルスルホニウムである。この化合物では、アントラセンとスルホニウム塩とが、3個の炭素から成る鎖で結合している。【0053】ここで使用可能な光酸発生剤化合物(C)の追加的例は、ジフェニルヨードニウムトシレート、ベンゾイントシレート、およびへキサフルオロアンチモン酸トリアリールスルホニウムである。また、上記した以外にも、例えば鉄−アレン錯体類、ルテニウムアレン錯体類、シラノール−金属キレート錯体類、トリアジン化合物類、ジアジドナフトキノン化合物類、スルホン酸エステル類、スルホン酸イミドエステル類、ハロゲン系化合物類等を使用することができる。更に特開平7−146552号公報、特願平9−289218号に記載の酸発生剤も使用することができる。【0054】本発明のフォトレジスト組成物は、上記した各成分を有機溶剤に分散もしくは溶解(着色剤として顔料を用いた場合は更に顔料を微分散)させた有機溶剤系もしくは水系のタイプとして使用することができる。【0055】該フォトレジスト組成物の配合割合は、該組成物の用途等に応じて広い範囲にわたつて変えることができるが、ジビニルエーテル化合物(A)は、重合体(B)100重量部に対して約5〜150重量部、特に10〜100重量部の範囲内で使用することが好しい。光酸発生剤化合物(C)は、重合体(B)とジビニルエーテル化合物(A)の合計量100重量部に対して、約0.1〜40重量部、特に0.2〜20重量部の範囲内で用いるのが適当である。【0056】本発明のフォトレジスト組成物には、必要に応じて増感色素を配合してもよい。使用しうる増感色素としては、例えば、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、ピレン系、メロシアニン系、ケトクマリン系等の色素が挙げられる。【0057】これら増感色素の配合量は、重合体(B)100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の範囲内が適当である。【0058】本発明のフォトレジスト組成物には、必要に応じて着色剤を配合してもよく、使用しうる着色剤としては、例えばロイコ染料とハロゲン化合物の組み合わせがよく知られている。ロイコ染料としては例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン塩酸塩「ロイコクリスタルバイオレット」、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン塩酸塩「ロイコマラカイトグリーン」等が挙げられる。一方、ハロゲン化合物としては臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンゾイル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン等が挙げられる。ここに示すもの以外の着色剤を含有しても良い。【0059】本発明のフォトレジスト組成物には、必要に応じてレジスト膜に適当な可撓性、非粘着性等を付与するために、フタル酸エステル等の可塑剤、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等を添加してもよい。それらの添加量は通常、ジビニルエーテル化合物(A)及び重合体(B)の合計量100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましい。【0060】本発明のフォトレジスト組成物には、更に必要に応じて、流動性調節剤を添加してもよい。【0061】本発明のフォトレジスト組成物は、以上に述べた各成分をそのまま又は必要に応じて溶剤中で混合することにより調製することができる。その際に使用しうる溶剤は組成物の各成分を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソフォロン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜10の脂肪族アルコール類;ベンジルアルコール等の芳香族基含有アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;これらグリコール類とメタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール等とのモノもしくはジエーテル又は当該モノエーテルのエステル類等のグリコールエーテル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類;脂肪族及び芳香族炭化水素類等を挙げることができる。これらの溶剤は必要に応じて単独又は2種類以上を混合して用いることができる。【0062】本発明のフォトレジスト組成物は、レジストパターンなどの画像が形成される基材(例えば、プリント基板)に直接もしくはポリエチレンテレフタレートフィルム表面に該組成物を塗装し、次いで乾燥、焼付けを行って得られた感光性ドライフィルムを上記と同様の基材に貼付けを行うことにより基材にフォトレジスト被膜を形成することができる。【0063】上記した塗装方法としては、例えば、ローラー、ロールコーター、スピンコーター、カーテンロールコーター、スプレー、静電塗装、浸漬塗装、シルク印刷、スピン塗装等の手段により塗布することができる。また、形成されたレジスト用被膜は、必要に応じてセッティングした後、必要に応じて焼付け(約50〜130℃)を行うことによりレジスト被膜を得ることができる。【0064】また、該フォトレジスト被膜は、所望のレジスト被膜(画像)が得られるように光線で直接感光させ露光部分の被膜を従来から公知の現像液で現像処理(アルカリ現像、酸現像、水現像、有機溶剤現像など)して除去することができる。【0065】露光に使用される光源としては、特に制限なしに、例えば、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、タングステン灯等やアルゴンレーザー(488nm)、YAG−SHGレーザー(532nm)、UVレーザー(351〜364nm)に発振線を持つレーザーも使用できる。 その照射量は、通常0.5〜2000mJ/cm2、好ましくは1〜1000mJ/cm2の範囲内が好ましい。【0066】【実施例】以下、合成例、実施例、比較例及び試験例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。各例において、「%」及び「部」は、原則として、重量基準である。【0067】合成例1(1)市販工業薬品(新日本理化(株)製)の4,4’−水素化ビスフェノールA(ガスクロマトグラフィー(以下「GC」と略記する)による面積%はシス,シス−体:7.1%;シス,トランス−体:38.4%;トランス,トランス−体:50.3%)を、メタノールから再結晶して融点194℃の(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAを得た(GC面積%でトランス,トランス−体が99.9%以上;シス,シス−体及びシス,トランス−体は共に0.0%であった)。【0068】(2)攪拌機、温度計、アセチレンガス導入管及び均圧管付還流冷却管を備えた100ml四口フラスコに、上記(1)で精製した(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールA12.0g(50ミリモル)、水酸化カリウム1.65g(25ミリモル)及びジメチルスルホキシド25gを仕込み、アセチレンガス導入管より窒素ガスを常圧で導入し系内を窒素置換した。100℃まで攪拌加熱してジオール体を溶解した後、アセチレンガスを常圧で導入して窒素ガスをアセチレンガスで置換して120℃まで昇温し同温度で16時間常圧のアセチレンガス雰囲気下に保持することにより、ビニルエーテル化反応を行った。GCで反応がほぼ完結しているのを確かめた(GC面積%は原料ジオール体:0.0%;モノビニルエーテル体:7.1%;ジビニルエーテル体:91.2%であった)後、n−ヘプタン50mlで2回反応液を抽出した。抽出液は集めて減圧濃縮して油状の粗製物12.46g(GC面積%は原料ジオール体:0.0%;モノビニルエーテル体:3.5%;ジビニルエーテル体:93.0%であった)を得た。【0069】この油状の粗製物をn−ヘプタンに溶解し、−30℃まで冷却晶析してGC面積%で99.6%以上の融点17℃の無色結晶4.38gを得た。この結晶が(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテルであることは、1H−及び13C−NMR分析法(溶媒は重クロロホルム)と赤外分光分析法(IR)(Neat,NaCl板)で同定した。IRスペクトルを図1に、その特性吸収値を表1に、1H−スペクトルを図2に、その帰属を表2に、13Cスペクトルを図3に、その帰属を表3にそれぞれ示した。【0070】【表1】【0071】【表2】【0072】【表3】合成例2攪拌機、温度計、アセチレンガス導入管及び均圧管付還流冷却管を備えた100ml四口フラスコに、市販工業薬品(新日本理化(株)製)の4,4’−水素化ビスフェノールA(GCによる面積%でシス,シス−体:7.1%;シス,トランス−体:38.4%;トランス,トランス−体:50.3%)を12.0g(50ミリモル)、水酸化カリウム1.65g(25ミリモル)及びジメチルスルホキシド25gを仕込み、アセチレンガス導入管より窒素ガスを常圧で導入し系内を窒素置換した。100℃まで攪拌加熱してジオール体を溶解した後、アセチレンガスを常圧で導入して窒素ガスをアセチレンガスで置換して120℃まで昇温し同温度で16時間常圧のアセチレンガス雰囲気下に保持することにより、ビニルエーテル化反応を行った。【0073】GCで原料ジオール体の消失を確認して冷却後、n−ヘプタン50mlで3回反応液を抽出した。抽出液は集めて減圧濃縮して油状の粗製物13.20gを得た。この油状物をシリカゲルカラムにて精製して、精製油状物4.96g(GC面積%は、原料ジオール体:0.0%;モノビニルエーテル体:0.0%;ジビニルエーテル体:98.4%であり、ジビニルエーテル体の内シス,シス−体:1.5%;シス,トランス−体:39.4%;トランス,トランス−体:57.5%)を得た。この油状物が水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル(混合物)であることは、1H−及び13C−NMR分析法(溶媒は重クロロホルム)と赤外分光分析法(IR)(Neat,NaCl板)より同定した。【0074】合成例3カルボキシル基含有重合体(a)の合成アクリル酸7.8部、メチルメタクリレート50部、エチルアクリレート12.2部、フェノキシエチレングリコールアクリレート30部、重合開始剤としてターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1部よりなる混合物を重合して得た。得られたカルボキシル基含有重合体は、数平均分子量が4,500で、カルボキシル基含有量が1当量/kg重合体であった。【0075】合成例4ヒドロキシフェニル基含有重合体(b)の合成o−クレゾール1,490部、30%フォルマリン1,145部、脱イオン水130部及び蓚酸6.5部をフラスコに入れ60分還流させた。次いで15%塩酸を13.5部加え40分還流させた後、400部の約15℃脱イオン水を加え内容物を約75℃に保ち樹脂を沈降させた。ついで35%水酸化ナトリウム溶液を加え中和後水層を除去し、更に同様な洗浄操作を2度繰り返した後、減圧下に約120℃で乾燥してノボラックフェノール樹脂を得た。得られたノボラックフェノール樹脂(ヒドロキシフェニル基含有重合体)は、数平均分子量が600で、ヒドロキシフェニル基含有量が10当量/kg重合体であった。【0076】合成例5カルボキシル基及びヒドロキシフェニル基含有重合体(c)の合成o−ヒドロキシ安息香酸600部、o−クレゾール900部、30%フォルマリン1,145部、脱イオン水130部及び蓚酸6.5部をフラスコに入れ60分還流させた。次いで15%塩酸を13.5部加え40分還流させた後、400部の約15℃脱イオン水を加え内容物を約50℃に保ち樹脂を沈降させた。更に400部の脱イオン水を加え50℃で樹脂を洗浄した後、水層を除去し、更に同様な洗浄操作を3度繰り返した後、減圧下に約120℃乾燥してノボラックフェノール樹脂を得た。得られたノボラックフェノール樹脂(カルボキシル基及びヒドロキシフェニル基含有重合体)は、数平均分子量が約650、カルボキシル基含有量が2.8モル/kg重合体、ヒドロキシルフェニル基含有量が5.4モル/kg重合体であった。【0077】実施例1合成例3で得たカルボキシル基含有重合体100部、合成例1で得た(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル53mmol/重合体100g、「UVAC1591」(ダイセルユーシービー(株)製、商品名、光酸発生剤化合物、以下同様の意味を示す。)2部の混合物をシクロヘキサノンに溶解し、30重量%の溶液とした。かくして、本発明のフォトレジスト組成物を得た。【0078】実施例2合成例4で得たヒドロキシフェニル基含有重合体100部、合成例1で得た(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル53mmol/重合体100g、「UVAC1591」2部の混合物をシクロヘキサノンに溶解し、30重量%の溶液とした。かくして、本発明のフォトレジスト組成物を得た。【0079】実施例3合成例5で得たカルボキシル基及びヒドロキシフェニル基含有重合体100部、合成例1で得た(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル53mmol/重合体100g、「UVAC1591」2部の混合物をシクロヘキサノンに溶解し、30重量%の溶液とした。かくして、本発明のフォトレジスト組成物を得た。【0080】比較例1合成例3で得たカルボキシル基含有重合体100部、合成例2で得た水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル(混合物)53mmol/重合体100g、「UVAC1591」2部の混合物をシクロヘキサノンに溶解し、30重量%の溶液とした。かくして、比較用のフォトレジスト組成物を得た。【0081】比較例2合成例4で得たヒドロキシフェニル基含有重合体100部、合成例2で得た水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル(混合物)53mmol/重合体100g、「UVAC1591」2部の混合物をシクロヘキサノンに溶解し、30重量%の溶液とした。かくして、比較用のフォトレジスト組成物を得た。【0082】比較例3合成例5で得たカルボキシル基及びヒドロキシフェニル基含有重合体100部、合成例2で得た水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル(混合物)53mmol/重合体100g、「UVAC1591」2部の混合物をシクロヘキサノンに溶解し、30重量%の溶液とした。かくして、比較用のフォトレジスト組成物を得た。【0083】試験例1以下の如く、各実施例及び比較例のフォトレジスト組成物を用いてレジスト被膜を形成し、その性能を評価した。【0084】実施例1〜3及び比較例1〜3で得た各組成物を、銅箔上に乾燥膜厚10μmになるようにバーコーターにて塗布し100℃10分間乾燥し、カルボキシル基又はヒドロキシフェニル基とビニルエーテル基との付加反応を行い、レジスト用被膜を形成した。【0085】次いで、基板に365nmの紫外光をステップタブレット(日立化成(株)製21段)越しに照射し、室温10分放置後、25℃0.75%炭酸ナトリウム水溶液を用い現像し、光感度の測定を行った。【0086】また、実施例及び比較例の各フォトレジスト組成物の最適露光量を露光し、室温10分放置後25℃0.75%炭酸ナトリウム水溶液を用い現像し、レジストパターンを形成した。各レジストについて、光感度、解像度及びパターン形状を評価した結果を表4に示す。【0087】【表4】上記パターン形状の評価において、良はパターンのエッジ部が鮮明であることを示し、不良はパターンのエッジ部が不鮮明であることを示す。【0088】【発明の効果】本発明の新規化合物である(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエーテル化合物は、低臭気、低揮発性、低刺激性で毒性の低い化合物であり、カチオン重合性が高く、立体異性体の混合物である従来公知のジビニルエーテル化合物に比べて対称性の高い単一の立体構造に起因する優れた反応性等の特性を有し、フォトレジスト、接着剤、塗料等のモノマー基剤、架橋剤等の添加剤としても有用に用いられる。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、本発明化合物の赤外スペクトルを示すものである。【図2】図2は、本発明化合物の1H−NMRスペクトルを示す図である。【図3】図3は、本発明化合物の13C−NMRスペクトルを示す図である。 式(1):で表される(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物。 式(2)で表される(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAを、アルカリ触媒の存在下、アセチレンと反応させてビニルエーテル化させることを特徴とする式(1)で表される(トランス,トランス)−水素化ビスフェノールA−4,4’−ジビニルエ−テル化合物の製造法。 式(2)で表される(トランス,トランス)−4,4’−水素化ビスフェノールAが、再結晶による精製物である請求項2記載のジビニルエーテル化合物の製造法。 ビニルエーテル化させた後、晶析工程を経る請求項2又は3に記載のジビニルエ−テル化合物の製造法。


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