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タイトル:特許公報(B2)_光塩基発生剤、硬化性組成物及び硬化方法
出願番号:2002088776
年次:2012
IPC分類:C08G 18/20,C08G 59/68,G03F 7/004,G03F 7/038,C07D 233/64


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加藤木 茂樹 JP 5005149 特許公報(B2) 20120601 2002088776 20020327 光塩基発生剤、硬化性組成物及び硬化方法 日立化成工業株式会社 000004455 長谷川 芳樹 100088155 清水 義憲 100128381 城戸 博兒 100139000 池田 正人 100152191 加藤木 茂樹 JP 2001348933 20011114 20120822 C08G 18/20 20060101AFI20120802BHJP C08G 59/68 20060101ALI20120802BHJP G03F 7/004 20060101ALI20120802BHJP G03F 7/038 20060101ALI20120802BHJP C07D 233/64 20060101ALN20120802BHJP JPC08G18/20C08G59/68G03F7/004 503BG03F7/038 601C07D233/64 103 C07D233/00-64 C08G 18/00-20 C08G 59/00-68 G03F 7/00-038 CA(STN) REGISTRY(STN) 特表2001−513765(JP,A) 特開平9−241614(JP,A) 特開2001−303012(JP,A) 特開平11−060899(JP,A) 特開平11−116778(JP,A) 4 2003212856 20030730 25 20050323 2009015288 20090821 中田 とし子 齋藤 恵 小石 真弓 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、150〜750nmの光照射によって塩基を発生する光塩基発生剤およびこれを用いた硬化性組成物、硬化方法に関する。【0002】【従来の技術】光硬化技術は、従来の熱硬化技術と比較して低温硬化、プロセスの短縮化、短時間硬化、微細加工等の特徴を活かし、コーティング、レジスト等に応用が図られている。光硬化で主に用いられている硬化システムとしては、ラジカル硬化とカチオン硬化に大別される。ラジカル硬化の場合、光ラジカル発生剤と(メタ)アクリレート樹脂が主成分であり、光照射の際に光ラジカル発生剤が開裂や水素引抜き等の過程を経てラジカルを発生し、(メタ)アクリレート樹脂の硬化を行うシステムであり、速硬化が可能であることが特徴である。カチオン硬化の場合、光酸発生剤とカチオン重合性を有するエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂等からなり、光照射の際に光酸発生剤が酸を発生してカチオン重合性樹脂の硬化を行うシステムであり、硬化時の硬化収縮が低い特徴を持つ。また、これらの光硬化系は遮光することによりポットライフに優れるという特徴をもつ。しかしながら、ラジカル硬化系の場合には低接着力、カチオン硬化系の場合には強酸が系内に残存するため金属や無機材質の被着体を使用すると腐食を引き起こす問題がある。従来から接着剤等の用途に対してはイミダゾールやジシアンジアミド等の塩基性基を持つ熱潜在性触媒とエポキシ樹脂、またはエポキシ樹脂と反応性を持つカルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、フェノール性水酸基等を組み合わせた熱硬化システムが用いられている。本システムは、無機材質、金属材質、有機材質等の被着体に対して高い接着性を持ち、また耐湿性、耐候性、耐熱性にも優れるため、建築材料から電気・電子材料、半導体材料に至る広範な用途で用いられている。しかしながら、前記潜在性硬化剤を用いた場合、一般に170℃以上の硬化温度が必要となり、170℃以下の温度で硬化する場合、ポットライフを兼備えた硬化システムの構築が難しい。ポットライフと低温硬化性を考慮し、光照射によって塩基性化合物を発生する光塩基発生剤の研究が近年行われている。このような光塩基発生剤としては、例えばChemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints,Ed.by G. Bradley,John Wiley and Sons Ltd.(1998年)、p479〜p545に記載されているカルバメート誘導体やオキシムエステル誘導体が一般的に知られている。しかしながら、これらのほとんどの化合物は発生効率が低く、また光照射によって発生する塩基性化合物が1級または2級アミンであるため塩基性が低く、エポキシ樹脂を十分に硬化するための触媒活性を持たない問題がある。光照射によって強塩基を発生する化合物はいくつか報告されており、例えば特開昭55-22669号公報に記載されているカルボン酸アンモニウム塩や特開平11-71450号に記載されているα-アミノアセトフェノン誘導体が挙げられる。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カルボン酸アンモニウム塩の場合、カルボン酸と3級アミンとの結合がイオン結合であるため、エポキシ硬化性組成物中に溶解すると、解離が進行してポットライフに劣る欠点がある。また、α-アミノアセトフェノン誘導体の場合、分子内の立体障害によって触媒を不活性化しているものの、エポキシ硬化性組成物中に溶解した場合、分子内の自由回転が可能となるため、ポットライフに劣ることが分かっている。【0004】本発明は、従来の光硬化技術の特徴を維持し、触媒発生効率が高く、触媒活性を有し、ポットライフにも優れた光塩基発生剤、硬化性組成物及び硬化方法を提供する。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、イミダゾリウム塩化合物がポットライフに優れ、かつ光照射によって強塩基であるイミダゾールを発生して170℃以下の低温でエポキシ樹脂を硬化できることを見出した。本発明は150〜750nmの光照射によって塩基を発生することを特徴とする一般式(1)または(2)で示されるイミダゾリウム塩化合物に関するものである。【0006】【化5】(式中R1、R2、R3、R4は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、炭素数1〜6のフェニルアルキル基、炭素数1〜6のシアノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、メチルチオ基、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を示す。【0007】また、Ar1は一般式(I)〜(XIV)で表される芳香族基であり、【化6】式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式(X)、(XI)及び(XIII)中A〜Fは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを示す。またAr2は、次式(XV)〜(XXIII)で示される芳香族基であり、【0008】【化7】R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式(XVIII)、(XIX)及び(XXIII)中A〜Dは、独立に炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかであり、それらは炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基、酸素、硫黄と結合しても良い。また、X−は、炭素数1〜6のジアルキルジチオカルバミド酸、チオシアネート、次式(XXIV)で表されるほう酸である。【化8】R37〜R40は、独立にフェニル基、フッ素が少なくとも1つ以上置換したフルオロフェニル基である。【0009】炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso-プロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトシキ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、iso-ペンチルオキシ基、neo-ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が挙げられる。炭素数1〜8のアルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基、n−プロピリデン基、iso-プロピリデン基、n-ブチリデン基、sec-ブチリデン基、tert−ブチリデン基、ペンチリデン基、iso-ペンチリデン基、neo-ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基が挙げられる。炭素数4〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。炭素数4〜8のシクロアルケニル基としては、例えば、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチニル基、シクロオクテニル基が挙げられる。炭素数1〜6のフェノキシアルキル基としては、例えば、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシ‐n-プロピル基、フェノキシ‐iso-プロピル基、フェノキシ‐n-ブチル基、フェノキシ‐sec-ブチル基、フェノキシ‐tert-ブチル基、フェノキシペンチル基、フェノキシ‐iso-ペンチル基、フェノキシ‐neo-ペンチル基、フェノキシヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のフェニルアルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニル‐n-プロピル基、フェニル‐iso-プロピル基、フェニル‐n-ブチル基、フェニル‐sec-ブチル基、フェニル‐tert-ブチル基、フェニルペンチル基、フェニル−iso-ペンチル基、フェニル‐neo-ペンチル基、フェニルヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のシアノアルキル基としては、例えば、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノ‐n-プロピル基、シアノ‐iso-プロピル基、シアノ‐n−ブチル基、シアノ‐sec-ブチル基、シアノ‐tert−ブチル基、シアノペンチル基、シアノ‐iso-ペンチル基、シアノ‐neo-ペンチル基、シアノヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ‐n-プロピル基、ヒドロキシ‐iso-プロピル基、ヒドロキシ‐n-ブチル基、ヒドロキシ‐sec-ブチル基、ヒドロキシ‐tert-ブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシ‐iso-ペンチル基、ヒドロキシ‐neo-ペンチル基、ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、neo-ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基が挙げられる。炭素数1〜6のアルキルアミノ基としては、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノ‐n-プロピル基、アミノ‐iso-プロピル基、アミノ‐n-ブチル基、アミノ‐sec-ブチル基、アミノ‐tert-ブチル基、アミノ‐ペンチル基、アミノ‐iso-ペンチル基、アミノ‐neo-ペンチル基が挙げられる。炭素数1〜3のジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-iso-プロピルアミノ基が挙げられる。電子供与性基としては、例えば、アミノ基、水酸基、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素など)、アルキル基等が挙げられる。電子吸引性基としては、例えば、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基等が挙げられる。【0010】また、本発明はエポキシ樹脂及び上記一般式(1)または(2)で示されるイミダゾリウム塩化合物を少なくとも含む硬化性組成物である。また、本発明はエポキシ樹脂、上記一般式(1)または(2)で示されるイミダゾリウム塩化合物、エポキシ樹脂と反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を有する硬化性組成物である。また、本発明はエポキシ樹脂と反応性を有する官能基が、カルボキシル基、メルカプト基、フェノール性水酸基、1級又2級の芳香族アミノ基である上記の硬化性組成物である。また、本発明は分子内に二つ以上のイソシアナート基を持つ化合物、上記一般式(1)または(2)で示されるイミダゾリウム塩化合物、分子内に二つ以上の水酸基を持つ化合物を含む硬化性組成物である。また、本発明は前記硬化性組成物の硬化に際し、光照射のみ、または光照射と加熱を同時または光照射後に加熱を行うことよって硬化物を得る硬化方法である。【0011】【発明の実施の形態】本発明において用いるイミダゾリウム塩化合物は、上記一般式(1)または(2)で表され、式中R1、R2、R3、R4は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、炭素数1〜6のフェニルアルキル基、炭素数1〜6のシアノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、メチルチオ基、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を示す。上記一般式(1)中のAr1は一般式(I)〜(XIV)で表される芳香族基であり、【化9】式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式(X)、(XI)及び(XIII)中A〜Fは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかである。また、上記一般式(2)中のAr2は、次式(XV)〜(XXIII)で示される芳香族基であり、【化10】R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式(XVIII)、(XIX)及び(XXIII)中A〜Dは、独立に炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかであり、それらは炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基、酸素、硫黄と結合しても良い。また、上記一般式(1)、(2)中のX−は、炭素数1〜6のジアルキルジチオカルバミド酸、チオシアネート、または次式(XXIV)で表されるほう酸である。【化11】R37〜R40は、独立にフェニル基、フッ素が少なくとも1つ以上置換したフルオロフェニル基である。【0012】イミダゾリウム塩化合物の合成は、公知の方法を用いることができる。合成の簡便性、安全性を考慮すると、下式に示すように、ハロゲン化アルキルケトン誘導体とイミダゾール誘導体とで、イミダゾリウム・ハロゲン塩を合成した後、アニオン交換反応によって、イミダゾリウム塩を合成する方法が好ましい。【化12】合成温度、合成時間に関しては、使用する出発物質の分解等が無ければ特に制限を受けないが、一般的には0〜100℃の温度で30分〜7日間攪拌することによって目的のイミダゾリウム塩化合物を得ることができる。【0013】本発明において用いる分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用しうる。本発明で使用されるエポキシ基を有する化合物のうち、1分子中に2つのエポキシ基を有する化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる(Meはメチル基、折れ線は場合によりメチレン基を示す)。【0014】【化13】【0015】【化14】【0016】また、本発明で使用されるエポキシ基を有する化合物のうち、1分子中に三つのエポキシ基を有する化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる(Meは、メチル基、Etはエチル基、折れ線は場合によりメチレン基を示す)。【0017】【化15】【0018】さらに、本発明で使用されるエポキシ基を有する化合物のうち、1分子中に四つのエポキシ基を有する化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる【化16】【0019】本発明で用いられるエポキシ基を有する化合物として、一般式(3)で表される化合物も用いることができる。【化17】一般式(3)中、R8〜R11は各々独立に水素原子の他、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、または一価の基が挙げられる。一価の基として、例えば、アミノ基、カルボメトキシ基等のエステル基、カルボアミノメチル基等のアミド基、アミノカルボキシメチル基等のカルバミノ基、置換もしくは未置換のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基もしくは置換または未置換のフェニル基、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基などのアルケニル基、シリル基などが挙げられる。【0020】また、本発明におけるエポキシ基を有する化合物として、エポキシ当量43から10000程度のエポキシ基を有する化合物を用いてもよい。エポキシ当量が43以下では架橋密度が低下し、また10000より大きい場合は反応速度が低下する傾向がある。また、この際単一分子だけでなく、以下に示すような、繰り返し単位数(z)に分布を持つオリゴマーを用いると、組成物の結晶性が低下し、保存安定性に優れる。したがって、0<zが好ましく、0.5≦zがさらに好ましく、1≦zが最も好ましい。【0021】【化18】【0022】このような分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等があり、これらのエポキシ樹脂はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。これらの中で、他の各種のエポキシ化合物と比較すると分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できる点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。【0023】前記イミダゾリウム塩化合物は、一般的にはエポキシ樹脂の硬化触媒として用いることができ、その使用量は、エポキシ樹脂の100重量部に対して0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.1〜30重量部とすることがより好ましい。この量が、0.01重量部未満では、硬化促進効果が不十分となる傾向があり、50重量部を超えると、相溶性が低下する傾向がある。【0024】本発明は、前記エポキシ樹脂とイミダゾリウム塩化合物に、さらエポキシ樹脂と反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を併用することができる。ここでエポキシ樹脂と反応性を有する官能基とは、エポキシ樹脂と反応することが知られているカルボキシル基、メルカプト基、フェノール性水酸基、1級又は2級の芳香族アミノ基を用いることができる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮した場合、一分子中に2つ以上有することが必須である。また、重量平均分子量10,000以上のポリマ側鎖に官能基を導入したものを用いても良い。【0025】エポキシ樹脂と反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物の使用量は、前記エポキシ樹脂に対して、官能基の総量/エポキシ基の総量(当量比)で0.5/1.5〜1.5/0.5の比率となるようにすることが好ましく、0.8/1.2〜1.2/0.8の比率となるようにすることがより好ましい。この比率が、0.5/1.5未満の場合及び1.5/0.5を超える場合には未反応のエポキシ基や官能基が硬化物中に多量に残存することとなり、硬化物の機械特性を低下させる傾向がある。【0026】本発明は、イソシアナート基を持つ化合物、水酸基を持つ化合物及び前記イミダゾリウム塩化合物から構成される硬化性組成物としての応用も可能である。本発明において用いるイソシアナート基をもつ化合物(以後、イソソアネート樹脂とする)としては、分子内に2個以上のイソシアナート基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用しうる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、重量平均分子分子量3,000以上のポリマの側鎖あるいは末端にイソシアネート基が存在するものを用いてもよい。【0027】前記イソシアネート基を持つ化合物は、通常分子内に水酸基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなイソシアネート樹脂としては、分子内に2個以上の水酸基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用しうる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマの側鎖あるいは末端に水酸基が存在するものを用いてもよい。【0028】分子内に二つ以上の水酸基を有する化合物の使用量は、前記イソシアネート樹脂に対して、水酸基の総量/イソシアネート基の総量(当量比)で0.5/1.5〜1.5/0.5の比率となるようにすることが好ましく、0.8/1.2〜1.2/0.8の比率となるようにすることがより好ましい。この比率が、0.5/1.5未満の場合及び1.5/0.5を超える場合には未反応のエポキシ基や官能基が硬化物中に多量に残存することとなり、硬化物の機械特性を低下させる傾向がある。【0029】イソシアネート樹脂と水酸基を持つ化合物の硬化触媒として用いるイミダゾリウム塩化合物の使用量は、イソシアネート基を持つ化合物と水酸基を持つ化合物の総量100重量部に対して0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.1〜30重量部とすることがより好ましい。この量が、0.01重量部未満では、硬化促進効果が不十分となる傾向があり、50重量部を超えると、相溶性が低下する傾向がある。【0030】本発明の硬化性組成物は、照射光の高吸収化、高感度化を目的に、増感剤を併用してもよい。使用する増感剤としては、硬化性組成物に悪影響を及ぼさない限り、公知の一重項増感剤、三重項増感剤を用いることができる。例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン等の芳香族化合物誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体等が好適に用いられる。増感剤の使用量は、増感剤の吸収波長及びモル吸光係数を参考にする必要があるが、一般的にイミダゾリウム塩化合物1部に対して0.01〜5部であり、0.1〜2部が特に好ましい。増感剤が0.01部以下になると光吸収の効率が低くなり、5部以上では硬化性組成物全体に光が届かない恐れがある。【0031】本発明の硬化性組成物は、必要に応じてカップリング剤等の密着向上剤、レベリング剤、有機または無機充填材などの添加剤を適宜添加してもよい。【0032】本発明の硬化性組成物は、増粘化やフィルム化を目的として、種々のポリマを適宜添加してもよい。使用するポリマは特に制限を受けないが、硬化性に悪影響を及ぼさないことが必須である。このようなポリマとしては、ポリイミド、ポリアミド、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェノキシ樹脂類、ポリメタクリレート類、ポリアクリレート類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリビニルブチラール、SBS及びそのエポキシ変性体、SEBS及びその変性体などを用いることができる。これらは単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、これらポリマ中にはシロキサン結合やフッ素置換基が含まれていても良い。これらは、混合する樹脂同士が完全に相溶するか、もしくはミクロ相分離が生じて白濁する状態であれば好適に用いることができる。分子量は特に制限を受けるものではないが、一般的な重量平均分子量としては5,000〜150,000が好ましく、10,000〜80,000が特に好ましい。この値が、5,000未満ではフィルム形成性が劣る傾向があり、また150,000を超えると他の成分との相溶性が悪くなる傾向がある。使用量としてはエポキシ樹脂またはイソシアネート樹脂100重量部に対して20〜320重量部とすることが好ましい。【0033】本発明の硬化性組成物は、常温(25℃)で液状である場合にはペースト状で使用することができる。室温で固体の場合には、加熱して使用する他、溶剤を使用してペースト化してもよい。使用できる溶剤としては、硬化性に悪影響を及ぼさず、かつ十分な溶解性を示すものであれば、特に制限は受けないが、常圧での沸点が50〜150℃であるものが好ましい。沸点が50℃以下の場合、室温で放置すると揮発する恐れがあり、開放系での使用が制限される。また、沸点が150℃以上だと、溶剤の除去が難しくなる恐れがある。【0034】本発明の硬化性組成物はフィルム状にして用いることもできる。硬化性組成物に必要により溶剤等を加えるなどした溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、離形紙等の剥離性基材上に塗布し、あるいは不織布等の基材に前記溶液を含浸させて剥離性基材上に載置し、溶剤等を除去してフィルムとして使用することができる。フィルムの形状で使用すると取扱性等の点から一層便利である。【0035】本発明の硬化性組成物は、光照射のみ、または光照射と加熱を同時、または光照射後に加熱を行うことで硬化させることができる。光照射は、150〜750nmの波長域の照射光が好ましく、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプを使用して0.1〜100J/cm2の照射量で硬化することができる。加熱温度は、使用するエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂と反応性を持つ官能基を有する化合物の分解点以下であれば特に制限は受けないが、30〜200℃の温度が好ましく、50〜170℃がさらに好ましい。また、加熱時間は、硬化を十分に行うために1秒〜3時間、好ましくは30秒〜1時間である。【0036】本発明の硬化性組成物は、塗料、接着剤、インク、フォトレジスト、コーティング材、各種自動車部品、電気・電子材料、半導体材料、光学材料、光ファイバー、光ファイバー用接着剤、光導波路材等、多種多様な用途に応用することができる。特に接着剤に関しては、木材、建材、プラスチック、皮革等の接着の他に、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィルム等に代表される回路接続材料、フリップチップ等の半導体素子とプリント配線板との接続を行うフリップチップ用異方導電材等の半導体素子接着材料として使用することができる。【0037】【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。【0038】(実施例1) イミダゾリウム塩1の合成フェナシルブロマイド (2.00g、10.5mmol)をアセトン(20g)に溶解させ、これにアセトン(5g)に溶解させた1−ベンジル―2−メチルイミダゾール(1.73g、10.5mmol)の溶液をゆっくり添加し、この後、室温(25℃)で2時間かくはんしたところ、白色結晶が析出した。これをろ過し、アセトンで2度洗浄を行った後、真空下60℃で5時間乾燥して、イミダゾリウム・ブロマイド塩1を得た(収量3.54g)。上記イミダゾール・ブロマイド塩1(2.00g、5.4mmol)を、メタノール/水(15g/15g)溶液に溶解させ、これに水(5.0g)に溶解させたテトラフェニルほう酸ナトリウム(1.84g、5.4mmol)の溶液をゆっくり添加した。添加とともに、白色スラリー状の析出が認められ、添加後、さらに室温で5時間かくはんした。この析出物をろ過し、アセトン(20g)に溶解させて再結晶を行い、目的のイミダゾリウム・テトラフェニルほう酸塩(イミダゾリウム塩1)を得た(収量2.86g)。この化合物の1H-NMRを図1に示した。また、酸素雰囲気下での融点及び熱分解開始温度をTG-DTAで測定したところ、融点187℃、分解開始温度224℃であった。【0039】(実施例2) イミダゾリウム塩2の合成p−ニトロフェナシルブロマイド (2.00g、8.2mmol)をアセトン(20g)に溶解させ、これにアセトン(5g)に溶解させた1,2−ジメチルイミダゾール(0.79g、8.2mmol)の溶液をゆっくり添加し、この後、室温で2時間かくはんしたところ、白色結晶が析出した。これをろ過し、アセトンで2度洗浄を行った後、真空下60℃で5時間乾燥して、イミダゾリウム・ブロマイド塩2を得た(収量2.62g)。上記イミダゾール・ブロマイド塩2(2.00g、5.8mmol)を、メタノール/水(15g/15g)溶液に溶解させ、これに水(5.0g)に溶解させたテトラフェニルほう酸ナトリウム塩(2.01g、5.8mmol)の溶液をゆっくり添加した。添加とともに、白色スラリー状の析出が認められ、添加後、さらに室温で5時間かくはんした。これをろ過し、アセトン(20g)に溶解させて再結晶を行い、目的のイミダゾリウム・テトラフェニルほう酸塩(イミダゾリウム塩2)を得た(収量2.83g)。この化合物の1H-NMRを図2に示した。また、酸素雰囲気下での融点及び熱分解開始温度をTG-DTAで測定したところ、融点165℃、分解開始温度195℃であった。【0040】(実施例3)エポキシ樹脂にDER736(ダウ・ケミカル社製商品名、エポキシ当量172):1.00g、メルカプト化合物としてペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)(東京化成工業株式会社製、SH基当量108):0.614g、実施例1のイミダゾリウム塩1:0.016gを室温で混合し、均一な溶液とした。これをDSCのサンプルパンに3mgとなるようにサンプリングし、光照射を行った後、DSCを測定した。光照射は、フュージョン社製紫外線照射装置AEL 1B/M(365nm照度:21.5mW/cm2)を用いて、3J/cm2照射した。【0041】(実施例4)イミダゾリウム塩化合物を実施例2のイミダゾリウム塩2に代えた以外は実施例3と同様にDSC測定を行った。【0042】(比較例1)光照射を行わなかった以外は、実施例3と同様にDSC測定を行った。【0043】(比較例2)光照射を行わなかった以外は、実施例4と同様にDSC測定を行った。【0044】実施例3、4及び比較例1、2の結果を表1に示した。なお、表中の反応開始温度は、発熱開始温度を示すOnset温度とした。【0045】実施例3、4の硬化性組成物は、比較例1、2と比較して硬化反応が30℃以上低温で進行することを示しており、光照射によりイミダゾリウム塩化合物が塩基性化合物を発生し低温硬化が可能になったことを示している。【0046】【表1】【0047】(実施例5) イミダゾリウム塩3の合成フェナシルブロマイド (2.00g、10.5mmol)をアセトン(20g)に溶解させ、これにアセトン(5g)に溶解させた1−ベンジル―2−メチルイミダゾール(1.73g、10.5mmol)の溶液をゆっくり添加し、この後、室温で2時間かくはんしたところ、白色結晶が析出した。これをろ過し、アセトンで2度洗浄を行った後、真空下60℃で5時間乾燥して、イミダゾリウム・ブロマイド塩3を得た(収量3.54g)。上記イミダゾール・ブロマイド塩3(2.00g、5.4mmol)を、エタノール(50g)に溶解させ、これにエタノール(20g)に溶解させたジチオカルバミン酸ナトリウム塩・2水和物(1.33g、5.4mmol)の溶液をゆっくり添加した。添加後、20分間還流させて反応させ、溶媒を留去したところ、黄色粉末が析出した。これを、エタノール(20g)で3度再結晶を行い、目的のイミダゾリウム・ジチオカルバメート塩(イミダゾリウム塩3)を得た(収量1.80g)。この化合物の1H-NMRを図3に示した。また、酸素雰囲気下での融点及び熱分解開始温度をTG-DTAで測定したところ、融点181℃、分解開始温度168℃であった。【0048】(実施例6)実施例5で得られたイミダゾリウム塩3を0.14g、ポリグリシジルメタクリレート(Mn:138,000、Mw/Mn:1.49)を1.00g秤量し、重量比でシクロヘキサノン/アセトニトリル:5/2となるように調整した混合溶媒21.7gに溶解させた。上記溶液をシリコンウェハ上に膜厚1μmとなるようにスピンコートした後、高圧水銀灯を用いて全面にUV照射を行った。この後、THF中に室温で3分間浸漬し、シリコンウェハ上の残存膜厚を測定した。【0049】実施例6の結果を表2に示した。なお、表中の残膜率は、現像後膜厚×100/スピンコート後の膜厚(1μm)とした。【0050】UV照射量の増加と共に、残膜率が上昇していることから、UV照射によってイミダゾリウム塩3が塩基を発生し、ポリグリシジルメタクリレートの架橋を促進していることが示された。【0051】【表2】【0052】(実施例7) イミダゾリウム塩4の合成フェナシルブロマイド (2.00g、10.5mmol)をアセトン(20g)に溶解させ、これにアセトン(5g)に溶解させた1−メチルイミダゾール(0.82g、10.5mmol)の溶液をゆっくり添加し、この後、室温で2時間かくはんしたところ、白色結晶が析出した。これをろ過し、アセトンで2度洗浄を行った後、真空下60℃で5時間乾燥して、イミダゾリウム・ブロマイド塩4を得た(収量2.76g)。上記イミダゾール・ブロマイド塩4(2.76g、9.8mmol)を、エタノール(20g)に溶解させ、これにチオシアン酸ナトリウム(0.88g、9.9mmol)をゆっくり添加した。添加後、60分室温で反応させ、溶媒を留去したところ、白色粉末が析出した。これを、エタノール(20g)で3度再結晶を行い、目的のイミダゾリウム・チオシアナート塩(イミダゾリウム塩4)を得た(収量1.71g)。この化合物の1H-NMRを図4に示した。また、酸素雰囲気下での融点を測定したところ、融点74-76℃であった。【0053】(実施例8)実施例7で得られたイミダゾリウム塩4を0.13g、ポリグリシジルメタクリレート(Mn:138,000、Mw/Mn:1.49)を1.00g秤量し、重量比でシクロヘキサノン/アセトニトリル:5/2となるように調整した混合溶媒21.7gに溶解させた。上記溶液をシリコンウェハ上に膜厚1μmとなるようにスピンコートした後、高圧水銀灯を用いて全面にUV照射を行い、さらにホットプレート上60℃、10分間加熱した。この後、THF中に室温で3分間浸漬し、シリコンウェハ上の残存膜厚を測定した。【0054】実施例8の結果を表3に示した。なお、表中の残膜率は、現像後膜厚×100/スピンコート後の膜厚(1μm)とした。【0055】【表3】【0056】UV照射量の増加と共に、残膜率が上昇していることから、UV照射によってイミダゾリウム塩4が塩基を発生し、60℃/10分間の加熱でポリグリシジルメタクリレートの架橋を促進していることが示された。【0057】(実施例9)エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名エピコート828、エポキシ当量184)50gを、重量比でメチルエチルケトンに溶解して、固形分40重量%の溶液としこれを用いた。ポリチオールとして、ペンタエリスリチオール(SH当量50)を13.5g用いた。イミダゾリウム塩として、実施例2のイミダゾリウム塩2を2.0g用いた。また、シランカップリング剤として、エポキシシラン化合物(日本ユニカー株式会社製、商品名A187)を1.5g用いた。【0058】フェノキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフェノールF(1/1)とエピクロロヒドリンから、ビスフェノールA、F共重合型フェノキシ樹脂(平均分子量20,000)50gを一般的方法により作製し、これを重量比でメチルエチルケトンに溶解して、固形分40重量%の溶液とし、これを用いた。導電粒子としては、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金属を設け、平均粒径10μm、比重2.0の導電粒子を作製しこれを用いた。【0059】導電粒子を除いて上記成分を配合した溶液(固形分でエポキシ樹脂50g、ポリチオール13.5g、イミダゾリウム塩2を2.0g、エポキシシラン化合物1.5g、フェノキシ樹脂50g)に、導電粒子を3体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によりフッ素樹脂フィルム上に厚みが25μmの回路接続用組成物からなるフィルムを形成した。【0060】上記製法によって得たフィルム状接着剤を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)と、0.2μmの酸化インジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(厚み1.1mm、表面抵抗20Ω/□)とを、170℃、4MPaで60秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。この時、あらかじめITOガラス上に、フィルム状回路接続材料の接着面を70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続した後、フッ素樹脂フィルムを剥離し、回路接続用組成物からなるフィルム面に、高圧水銀ランプを有する紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社製)を用いて3.0J/cm2の紫外線を照射した。その後、もう一方の被着体であるFPCと接続し接続体を得た。この接続体の隣接回路間の抵抗値を測定したところ、隣接回路間の抵抗150点の平均(x+3σ;σは標準偏差)は2.7Ωであり、良好な接続特性を示した。【0061】また、この接続体の接着強度をJIS−Z0237に準じて90度剥離法で測定し、評価した。ここで、接着強度の測定装置は東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。以上のようにして行った接続体の接着強度は、600N/mであり、十分な接着強度を示した。【0062】(実施例10)イソシアネート樹脂として、ヘキサメチレンジイソシアネート(関東化学株式会社製)0.672g、水酸基を持つ樹脂としてポリテトラヒドロフラン(BASFジャパン社製、商品名ポリテトラヒドロフラン250)1.00g、実施例1のイミダゾリウム塩1を0.016gからなる均一なワニスを調整した。これをDSCのサンプルパンに3mgとなるようにサンプリングし、10分間光照射を行いながら、DSCを測定した(温度は40℃で一定とした)。光照射は、ウシオ電機株式会社製スポットキュアを用いた(365nm、53mW/cm2)。この結果、92.4J/gのイソシアネートと水酸基を有する化合物との反応による発熱が得られ、光照射によって反応が起こっていることが確認された。【0063】本発明によれば、光照射を行うことにより低温で(a)エポキシ樹脂とイミダゾリウム塩化合物、(b)エポキシ樹脂、イミダゾリウム塩化合物、エポキシ樹脂と反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物、(c)分子内に二つ以上のイソシアナート基を有する化合物、イミダゾリウム塩化合物、分子内に二つ以上の水酸基を有する化合物の低温硬化が可能な硬化性組成物を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 イミダゾリウム塩1の1H-NMRスペクトル図(溶媒:CD3CN、標準物質:TMS、図中*は不純物)【図2】 イミダゾリウム塩2の1H-NMRスペクトル図(溶媒:CD3CN、標準物質:TMS、図中*は不純物)【図3】イミダゾリウム塩3の1H-NMRスペクトル図(溶媒:CDCl3、標準物質:TMS、図中*は不純物)【図4】イミダゾリウム塩4の1H-NMRスペクトル図(溶媒:D2O) エポキシ樹脂、及び、150〜750nmの光照射によって塩基を発生することを特徴とする一般式(1)または(2)で示されるイミダゾリウム塩化合物を少なくとも含む回路接続用フィルム状接着剤。(式中R1、R2、R3、R4は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、炭素数1〜6のフェニルアルキル基、炭素数1〜6のシアノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、メチルチオ基、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を示す。また、Ar1は次式(I)〜(XIV)で表される芳香族基であり、式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式(X)、(XI)及び(XIII)中A〜Fは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを示す。またAr2は、次式(XV)〜(XXIII)で示される芳香族基であり、R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式(XVIII)、(XIX)及び(XXIII)中A〜Dは、独立に炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかであり、それらは炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基、酸素、硫黄と結合しても良い。また、X−は、チオシアネート、次式(XXIV)で表されるほう酸である。R37〜R40は、独立にフェニル基、フッ素が少なくとも1つ以上置換したフルオロフェニル基である。 エポキシ樹脂と反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を含み、前記官能基が、カルボキシル基、メルカプト基、フェノール性水酸基、1級又は2級の芳香族アミノ基である請求項1に記載の回路接続用フィルム状接着剤。 請求項1又は2に記載の回路接続用フィルム状接着剤の硬化に際し、光照射のみ、または光照射と加熱を同時または光照射後に加熱を行うことより硬化物を得る硬化方法。 請求項1又は2に記載の回路接続用フィルム状接着剤に、光照射のみ、または光照射と加熱を同時または光照射後に加熱を行うことより得られる硬化物。


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