タイトル: | 特許公報(B2)_プラズマ反応用ガス及びその製造方法 |
出願番号: | 2002081893 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | H01L 21/3065,H01L 21/31,C07C 17/26 |
菅原 充 山田 俊郎 杉本 達也 田中 公章 JP 3960095 特許公報(B2) 20070525 2002081893 20020322 プラズマ反応用ガス及びその製造方法 日本ゼオン株式会社 000229117 菅原 充 山田 俊郎 杉本 達也 田中 公章 20070815 H01L 21/3065 20060101AFI20070726BHJP H01L 21/31 20060101ALI20070726BHJP C07C 17/26 20060101ALI20070726BHJP JPH01L21/302 105AH01L21/31 CC07C17/26 H01L 21/3065 C07C 17/26 H01L 21/31 特開平9−191002(JP,A) 特開平4−264040(JP,A) 特表2002−540627(JP,A) 10 2003282538 20031003 15 20040810 今井 淳一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造分野などに於いて有用なプラズマ反応用ガス、その製造方法及びその使用方法に関する。【0002】【従来の技術】近年のVLSI(超集積回路)、ULSI(超々集積回路)等にみられるように、半導体装置の高集積化および高性能化が進展するに伴い、これら装置の製造工程に用いられるプラズマ反応用ガスについても、技術的要求がますます厳しくなって来ている。【0003】そのようなプラズマ反応用ガスとしては、これまで四フッ化炭素、パーフルオロシクロブタンなど飽和のフルオロカーボン類が主に用いられてきたが、これらのガスは大気寿命が数千年以上と極めて長く、地球温暖化への悪影響が指摘されているため、種々の新しい含フッ素化合物が代替物として開発されている.【0004】しかし、分子中に炭素−炭素二重結合を有する化合物、例えば、パーフルオロ−1,3−ブタジエンや環状のパーフルオロシクロペンテンを、酸化シリコンに代表されるシリコン化合物層のドライエッチングに適用すると、エッチング条件によってはフォトレジストおよびポリシリコンなどの保護膜に対する選択性が十分満足できるとは言い難く、微細なパターンを形成することが難しかった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、被エッチング材料への高い選択性を有する新規なプラズマ反応用ガスを提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、驚くべきことに分子中に炭素−炭素三重結合を有する炭素数5または6の鎖状パーフルオロアルキンを含むガスをドライエッチングに用いれば、被エッチング材料への高い選択性が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。【0007】すなわち、本発明に係るプラズマ反応用ガスは、炭素数5または6の鎖状パーフルオロアルキンを含むことを特徴とする。【0008】とりわけ、前記鎖状パーフルオロアルキンがパーフルオロ−2−ペンチンであることが好ましい。【0009】また、プラズマ反応用ガスの全量に対して、前記鎖状パーフルオロアルキンの含有量が99.9容量%以上であることが好ましい。【0010】そして、プラズマ反応用ガスの全量に対して残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下であることが好ましい。【0011】さらに、前記プラズマ反応用ガス中の水分含量が30重量ppm以下であることが好ましい。【0012】そして、プラズマ反応用ガスを適用するプラズマ反応が、ドライエッチング、ケミカル・ベーパー・デポジションまたはアッシングであることが好ましい。【0013】また、本発明に係わるプラズマ反応用ガスの製造方法としては、前記鎖状パーフルオロアルキンを含有する反応粗生成物を、0族の不活性ガス中で精留することが好ましい。【0014】さらに、前記プラズマ反応用ガスの製造方法が、前記鎖状パーフルオロアルキンを含有する反応粗生成物を、純度99.9容量%以上に精留する第1工程、次いで残留する微量不純物を除去する第2工程、からなることが好ましい。【0015】また、前記プラズマ反応用ガスを用いてドライエッチングを行なうことが好ましい。【0016】さらに、前記プラズマ反応用ガスを用いてケミカル・ベーパー・デポジションを行なうことが好ましい。【0017】【発明の実施の形態】プラズマ反応用ガス本発明のプラズマ反応用ガスは、炭素数5または6の鎖状パーフルオロアルキンを含むことを特徴とする。また、プラズマ反応用ガスの全量に対して、前記鎖状パーフルオロアルキンの含有量が、通常、90容量%以上、好ましくは99容量%以上、より好ましくは99.95容量%以上、特に好ましくは99.98容量%以上である。前記鎖状パーフルオロアルキンの含有量が低いと、エッチング速度、フォトレジストおよびポリシリコンなどの保護膜に対する選択性が低下する場合がある。【0018】本発明において、鎖状パーフルオロアルキンとは、分子中に炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ以上有する鎖状パーフルオロ化合物をいう。鎖状パーフルオロアルキンとしては、例えば分子鎖末端にのみ三重結合を有する鎖状パーフルオロアルキン、分子鎖内部にのみ三重結合を有する鎖状パーフルオロアルキンまたは分子鎖末端及び分子鎖内部の両方に三重結合を有する鎖状パーフルオロアルキンが挙げられる。また、鎖状パーフルオロアルキンは、分子中に複数個の三重結合を有していても良く、三重結合と2重結合の両方を有していても良い。鎖状パーフルオロアルキン分子中の三重結合の数は通常1〜3個であり、2重結合の数は通常0〜3個である。【0019】分子鎖末端にのみ三重結合を有する鎖状パーフルオロアルキンとしては例えば、パーフルオロ−1−ペンチン、パーフルオロ−3−メチル−1−ブチン、パーフルオロ−1−ペンテン−4−イン、パーフルオロ−3−ペンテン−1−イン、パーフルオロ−2−メチル−1−ブテン−3−イン、パーフルオロ−1,4−ペンタジイン、パーフルオロ−1−ヘキシン、パーフルオロ−3−ヘキセン−1−イン、パーフルオロ−4−ヘキセン−1−イン、パーフルオロ−1−ヘキセン−5−イン、パーフルオロ−2−メチル−2−ペンテン−4−イン、パーフルオロ−3−メチル−2−ペンテン−4−イン、パーフルオロ−1,5−ヘキサジイン、パーフルオロ−3−メチル−1,4−ペンタジインなどが挙げられる。【0020】分子鎖内部にのみ三重結合を有する鎖状パーフルオロアルキンとしては、パーフルオロ−2−ペンチン、パーフルオロ−1−ペンテン−3−イン、パーフルオロ−2−ヘキシン、パーフルオロ−3−ヘキシン、パーフルオロ−1−ヘキセン−4−イン、パーフルオロ−2−ヘキセン−4−イン、パーフルオロ−1−ヘキセン−3−イン、パーフルオロ−2−メチル−1−ペンテン−3−イン、パーフルオロ−2,4−ヘキサジインなどが挙げられる。【0021】分子鎖末端及び分子鎖内部の両方に三重結合を有する鎖状パーフルオロアルキンとしては、パーフルオロ−1,3−ペンタジイン、パーフルオロ−1,3−ヘキサジイン、パーフルオロ−1,4−ヘキサジインなどが挙げられる。【0022】これらの中でも、分子鎖内部にのみ三重結合を有する鎖状パーフルオロアルキンが好ましく、分子鎖内部にのみ三重結合を有する炭素数5の鎖状パーフルオロアルキンがより好ましく、パーフルオロ−2−ペンチンが特に好ましい。また、これらの鎖状パーフルオロアルキンは、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができるが、プラズマ反応用ガスの組成のばらつきを抑えるために、単独で使用するのが好ましい。【0023】本発明においては、鎖状パーフルオロアルキン以外のパーフルオロオレフィン、すなわち、直鎖状および/または環状の不飽和パーフルオロオレフィン、および/またはパーフルオロアルカンおよび/またはパーフルオロシクロアルカンを併用してもよいが、これらの併用されるパーフルオロオレフィン、パーフルオロアルカン、パーフルオロシクロアルカンを多量に使用すると本発明の目的を達成することはできないので、その量は、通常全フルオロカーボン量の30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下とする。【0024】また、本発明においては、ハイドロフルオロカーボンを上記鎖状パーフルオロアルキンと組合せて用いることができる。ハイドロフルオロカーボンガスは、揮発性を有するものであれば特に制限はないが、通常は、直鎖状もしくは分岐鎖状または環状の飽和炭化水素の水素原子の半数以上をフッ素で置換した化合物の中より選択される。【0025】かかる飽和ハイドロフルオロカーボンガスとしては、例えば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ペンタフルオロプロパン、ノナフルオロブタン、オクタフルオロブタン、ヘプタフルオロブタン、ヘキサフルオロブタン、ウンデカフルオロペンタン、トリデカフルオロヘキサン、ドデカフルオロヘキサン、ウンデカフルオロヘキサン、ヘプタフルオロシクロブタン、ヘキサフルオロシクロブタン、ノナフルオロシクロペンタン、オクタフルオロシクロペンタン、ヘプタフルオロシクロペンタンなどが挙げられる。【0026】これらの中でもトリフルオロメタン、ペンタフルオロエタンおよびテトラフルオロエタンが好ましい。ハイドロフルオロカーボンガスは単独で用いても良く、2種類以上を組合せて用いても良い。【0027】上記鎖状パーフルオロアルキンに併用するハイドロフルオロカーボンガスの量は、ガスの被エッチング材料に及ぼす影響の度合いによって異なるが、通常はパーフルオロアルキンに対して50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。【0028】本発明の「プラズマ反応用ガス」とは、後述するプラズマ反応用ガスの製造方法、又はその他の方法によって製造され、必要ならば任意の容器に充填されて半導体装置の製造工程などのプラズマ反応に供されるガスをいう。さらに前記の任意の容器中へ本発明の目的を阻害しない別種のプラズマ反応用ガスや希釈ガスを添加した混合ガス、また前記の任意の容器から本発明のガスを取り出し、本発明の目的を阻害しない別種のプラズマ反応ガスや希釈ガスと併せて別の容器に充填した混合ガスなども実質的に包含するものである。【0029】前記の「鎖状パーフルオロアルキンの含有量」は、内部標準物質法によるガスクロマトグラフィー分析(以下、GC分析という。)で測定した重量基準の百分率(%)から導かれる容量基準の純度である。「窒素ガスと酸素ガスの合計量」もGC分析で測定した窒素ガスおよび酸素ガスの容量基準の含有量(ppm)の合計である。なお、これらの容量基準はモル基準ということもできる。「水分の含量」は、通常、カールフィッシャー法で測定される重量基準の水分の含有量(ppm)である。【0030】本発明のプラズマ反応ガスを構成する「鎖状パーフルオロアルキン」のうち、例えばパーフルオロ−2−ペンチンは、常圧の沸点が5℃の既知物質であり、本発明者らの別の出願に係わる特願2001−342791に記載されている方法で製造することが出来る。【0031】すなわち、反応溶媒の不存在下に、ジヒドロフルオロアルカン化合物および/またはモノヒドロフルオロアルケン化合物と、無機塩基性化合物とを接触させた後、固液分離して得られた液部を減圧または大気圧下または加圧下に蒸留することにより高純度の鎖状パーフルオロアルキンを得ることが出来る。【0032】本発明のプラズマ反応ガスを半導体装置のドライエッチング工程に用いた場合には、前記プラズマ反応用ガスの全量に対して残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下であることが好ましく、150容量ppm以下であることがより好ましく、100容量ppm以下であることが特に好ましい。さらに上記に加えて、水分含量を30ppm以下、好ましくは20重量ppm以下とすることは本発明の目的を達成するうえで有利であるので推奨される。【0033】その第1の理由は、窒素、酸素、水分などの不純物は、プラズマ反応装置内で解離して、各種の遊離基(エッチング種)を発生させるため、鎖状パーフルオロアルキンのプラズマ反応に大きく影響することである。【0034】第2の理由は、窒素ガス含有量が一定値以上になると、鎖状パーフルオロアルキンのプラズマ反応そのものが、遊離基への分解から重合へと変化して、重合析出物が生成することである。【0035】第3の理由は、鎖状パーフルオロアルキンを容器から抜き出すとき、窒素ガス、酸素ガス、水分などの揮発量が経時的に大きく変動して、プラズマ反応を一定条件下に安定して行うことが困難になることである。【0036】プラズマ反応用ガスの利用の形態本発明のプラズマ反応用ガスは、ドライエッチング、ケミカル・ペーパー・デポジッション(以下、CVDという。)、またはアッシングのいずれかであるプラズマ反応に好適に用いられるが、それらに制限されるものではない。しかしながら、本発明のプラズマ反応用ガスは、特にドライエッチングに好適に用いられる。【0037】(1)ドライエッチング本発明のプラズマ反応用ガスを用いる「ドライエッチング」とは、半導体装置の製造工程などで用いられる被エッチング基体上に極めて高集積化された微細パターンを食刻する技術をいう。被エッチング基体とは、例えばガラス基板、シリコン単結晶ウエハー、ガリウム−ヒ素などの基板上に被エッチング材料の薄膜層を備えたものである。【0038】被エッチング材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、クロム、酸化クロム、金などが挙げられる。被エッチング基体としては、酸化シリコンまたはアルミニウム薄膜を備えたシリコンウエハーが好適に用いられる。被エッチング材料が酸化シリコンの場合、その上に設ける保護膜の好ましい例としては、フォトレジストおよびポリシリコンが挙げられる。【0039】本発明のドライエッチングにおいては、エッチングの際に照射するプラズマとして、通常1010イオン/cm3 以上の高密度領域のものを発生せしめる。特に、1010〜1013イオン/cm3程度の密度が、より高性能を発現し、微細なパターンを形成するうえで好ましい。プラズマ発生装置としては、従来より用いられている平行平板タイプやマグネトロンタイプの反応性イオンエッチング方式によるドライエッチングでは、一般的に、上記のような高密度領域のプラズマを実現するには不適である。上記のような高密度領域のプラズマを実現するための方法としては、ヘリコン波方式や高周波誘導方式が推奨される。【0040】エッチング時の圧力は、特別な範囲を選択する必要はなく、一般的には、真空に脱気したエッチング装置内に、前記のエッチングガスを10〜10−5Torr程度の圧力になるように導入する。好ましくは10−2〜10−3Torrである。【0041】エッチング時における被エッチング基体の到達温度は、通常0〜300℃、好ましくは60〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲である。基体の温度は冷却等により制御しても、制御しなくてもよい。エッチング処理の時間は10秒〜10分程度であるが、本発明のプラズマ反応用ガスは、概して、高速エッチングが可能なので、生産性向上の見地からも10秒〜3分が好ましい。【0042】(2)CVD本発明のプラズマ反応用ガスを用いる「CVD」とは、プラズマ放電により鎖状パーフルオロアルキンを活性化ならびに重合させ、各種の被処理物表面に薄いポリマー膜を形成せしめることをいう。ポリマー膜が生成する過程は必ずしも明確ではないが、放電解離条件下で鎖状パーフルオロアルキンが分解するとともに、重合するものと考えられる。プラズマCVDは、前記ドライエッチングと発生させるプラズマの密度等の条件を変更するほか、本発明のプラズマ反応用ガスに別種の第二成分を加えることによっても達成される。【0043】被処理物は特に限定されないが、半導体製造分野、電子電気分野、精密機械分野、その他の分野で絶縁性、撥水性、耐腐食性、耐酸性、潤滑性、光の反射防止性等の機能または性質が要求される物品や部材の表面である。好ましくは半導体製造分野、電子電気分野の絶縁性が要求される物品や部材の表面である。【0044】プラズマCVDは、半導体装置の製造工程における絶縁膜や絶縁材料層の形成に特に好適に用いられる。その具体例としては、アルミニウム系金属配線上における層間絶縁膜、素子を保護する最終パッシベーション膜の形成などが挙げられる。【0045】プラズマCVDの手法としては、従来から知られている、例えば特開平9−237783号公報に記載されている手法をとることができる。プラズマ発生条件としては、通常、高周波(RF)出力10W〜10kW、被処理物温度0〜500℃、圧力0.1mTorr〜100Torrが採用される。生成する膜の厚さは、通常0.01〜10μmの範囲である。プラズマCVDに用いる装置としては、平行平板CVD装置が一般的であるが、マイクロ波CVD装置、ECR−CVD装置、および高密度プラズマCVD装置(ヘリコン波方式、高周波誘導方式)を用いることができる。【0046】また、プラズマ反応用ガスの解離促進および被処理物の損傷低減を目的として低圧水銀ランプなどによる紫外線照射を行ったり、被処理物および反応空間に超音波を照射することができる。【0047】(3)アッシンング本発明のプラズマ反応用ガスを用いる「アッシング」とは、プラズマ放電により鎖状パーフルオロアルキンを活性化させて、エッチング装置やCVD装置のチャンバー内にある汚染物質を灰化除去することをいう。また、エッチングやCVDの被処理物表面にある汚染物質を活性種で除去すること、さらには被処理物の表面を活性種で研磨して平坦化することなどをもいう。【0048】特に好適には、チャンバー内に堆積した不要なポリマー成分の除去、半導体装置基板の酸化膜除去、半導体装置のレジスト剥離に用いられる。プラズマアッシングでは、プラズマ分解による活性種の発生が必要であり、そのためのプラズマ反応条件が適宜選択される。【0049】プラズマ反応用ガスの製造方法プラズマ反応用ガスの製造方法は特に限定されないが、後述の製造方法により、とりわけ好適に製造することができる。以下に、鎖状パーフルオロアルキンとして、パーフルオロ−2−ペンチンを例にとり説明する。【0050】なお、下記の説明において、「パーフルオロ−2−ペンチンを含有する反応粗生成物(以下、反応粗生成物という。)」の合成方法は、特に限定されるものではない。【0051】例えば、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタンとペレット状の水酸化カリウムを加熱・攪拌下で反応させた後、反応混合物を留出させて反応粗生成物を得る。【0052】前記反応粗生成物は、用いる原料にもよるが、例えばパーフルオロ−2−ペンチン(目的物)、1,1,1,2,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(原料)及び構造確認が困難な少量の含弗素化合物から成る。【0053】プラズマ反応用ガスの第1の製造方法においては、上記で得られた反応粗生成物を精留塔に供給し、精留を行うことにより高純度のパーフルオロ−2−ペンチンを得ることができる。【0054】精留に用いる精留塔の理論段数は、パーフルオロ−2−ペンチンと沸点が近い類縁化合物を効率よく除去するためには、通常30段以上であり、好ましくは50段以上である。精留時の圧力は、通常、ゲージ圧で−0.5気圧以上、好ましくは常圧以上〜10気圧以下である。還流比は特に限定されない。精留塔部の能力に見合った還流比を適宜選択できるが、通常2以上、好ましくは5以上の還流比である。精留は回分式、連続式のいずれでもよく、また、抽出用溶剤を加えて抽出蒸留を行ってもよい。【0055】留分の抜き出しは、前記精留塔塔頂部の温度を管理することにより行うことができる。塔頂部の温度は、プラズマ反応用ガスであるパーフルオロ−2−ペンチンの沸点(圧力により固有に決まる)付近に設定すればよい。【0056】反応粗生成物に含まれる水分は、初留分として共沸除去されるか、或いは釜残として釜に残留するので、本留分中の水分は30重量ppm以下にすることができる。また、他の有機性の不純物は、パーフルオロ−2−ペンチンとの沸点差を利用して除去される。【0057】以上のようにして、純度99.9%以上のパーフルオロ−2−ペンチンを含有するプラズマ反応ガスを得ることができる。【0058】パーフルオロ−2−ペンチンを含有するプラズマ反応ガスの性能をより向上させる為には、空気や生産設備内の窒素ガス等、さらには製造時に用いる溶媒や吸湿性が高い塩、アルカリなどに由来する水分等の不純物を除去することが好ましいため、以下に述べる第2または第3の製造方法がより好適に用いられる。【0059】前記不純物を除去してパーフルオロ−2−ペンチンを含有する高純度なプラズマ反応用ガスを得る第2の製造方法は、前記反応粗生成物を0族の不活性ガス中で精留することを特徴とする、【0060】0族の不活性ガスは特に限定されず、周期表第0族に族するヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどが挙げられる。好ましくはヘリウム、ネオン、アルゴンである。パーフルオロ−2−ペンチンへの溶解性が低い点と工業的な入手の容易性からはヘリウム、アルゴンがより好ましく、ヘリウムがもっとも好ましい。0族の不活性ガスは単独または2種以上を併用することができる。【0061】精留法は特に限定されないが、前記0族の不活性ガス中で精留することが必須である。精留塔の理論段数は、パーフルオロ−2−ペンチンと沸点が近い類縁化合物を効率よく除去するためには、通常30段以上であり、好ましくは50段以上である。精留時の圧力は、通常、ゲージ圧で−0.5気圧以上、好ましくは常圧以上〜10気圧以下である。還流比は特に限定されない。精留塔部の能力に見合った還流比を適宜選択できるが、通常2以上、好ましくは5以上の還流比である。精留は回分式、連続式のいずれでもよく、また、抽出用溶剤を加えて抽出蒸留を行ってもよい。【0062】留分の抜き出しは、前記精留塔塔頂部の温度を管理することにより行うことができる。塔頂部の温度は、プラズマ反応用ガスの沸点(圧力により固有に決まる)付近に設定すればよい。反応粗生成物に含まれる水分は、初留分として共沸除去されるので、本留分中の水分は20重量ppm以下にすることができる。有機性の不純物は、パーフルオロ−2−ペンチンとの沸点差を利用して除去される。【0063】また、精留前に精留装置全体を0族の不活性ガスで置換すること、留分の抜出し前に全還流させ冷却凝縮器の冷却を中断して仕込み液中の溶存ガスを外部へ追い出すこと、精留中に0族の不活性ガスを精留装置へ流通させること、などにより窒素ガス及び酸素ガスが除去される。精留で得られる本留分は、通常、0族の不活性ガス雰囲気下にボンベなどに充填される。【0064】このように第2の製造方法は、窒素ガス、酸素ガス、水分、有機性不純物の除去を同時に行える点で効率的である。本製造方法によると、極めて高純度なプラズマ反応用ガス、すなわち、ガスの全量に対してパーフルオロ−2−ペンチンの含有量が99.9容量%以上であり、かつ残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下のプラズマ反応用ガスを得ることができる。【0065】また、本発明の第2の製造方法によると、ガスの全量に対してパーフルオロ−2−ペンチンの含有量が99.9容量%以上であり、かつ残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下であり、かつ水分含量が30重量ppm以下のプラズマ反応用ガスも製造することもできる。【0066】本発明の第3の製造方法は、反応粗生成物を純度99.9容量%以上に精留する第1工程、次いで残留する微量不純物を除去する第2工程、からなるプロセスであることを特徴とする。【0067】本発明の第3の製造方法の第1工程は、反応粗生成物に含まれるパーフルオロ−2−ペンチンを純度99.9容量%以上に精留することが必須である。好ましくは99.95容量%以上、より好ましくは99.98容量%以上である。この精留の方法は特に限定されないが、例えば、前記第2の製造方法で説明したような方法に準じて行うことができる。なお、0族の不活性ガス中で精留することは、本第1工程では必ずしも必要ではなく、窒素ガスなどの共存下に行ってもよい。その理由は、後述する第2工程で窒素ガスなどを除去するからである。【0068】この第1工程の精留を実施することにより、反応粗生成物に含まれる水分は、蒸留の初留分として共沸除去されるので、本留分に含有される水分は30重量ppm以下にすることができる。また、有機性の不純物の大部分もパーフルオロ−2−ペンチンとの沸点差を利用して精留により除去できるので、パーフルオロ−2−ペンチンの純度を99.9容量%以上にすることが可能である。所望により前記精留に加えて、その前処理工程として乾燥剤、分子ふるい、吸着剤などを用いて水分や有機性の不純物の除去を予め行ってもよい。【0069】第2工程である「残留する微量不純物を除去する工程」とは、通常、前記第1工程で得られる生成物から窒素ガスと酸素ガスを、その合計量が200容量ppm以下に除去する工程いう。また、所望により、これに加えて前記第1工程の精留で除けなかった微量の有機性の不純物を除去する工程を実施してもよい。【0070】残余の微量不純物である窒素ガスと酸素ガスとを除去する方法は、特に限定されないが、(1)0族の不活性ガス中で加熱還流する方法、(2)0族の不活性ガス中で単蒸留する方法、(3)低温下に減圧して脱気する方法、が推奨される。(1)〜(3)は単独で行っても、いずれか2つ以上を組合せて実施してもよい。さらに前記(1)〜(3)の方法に加えて、それらの前後において、微量の有機性不純物を除去するために、(4)分子ふるい、吸着剤と接触させる方法を実施してもよい。これら(1)〜(4)の方法を以下に具体的に説明する。【0071】(1)0族の不活性ガス中で加熱還流する方法パーフルオロ−2−ペンチンを0族の不活性ガス中で加熱還流することは、窒素ガス及び酸素ガスを除去するのに極めて有効である。加熱還流に用いる0族の不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどを例示できるが、パーフルオロ−2−ペンチンへの溶解性の少ない点と入手の容易性からヘリウム、アルゴンが好ましく、ヘリウムがより好ましい。【0072】この加熱還流は、予め装置全体を脱気して0族の不活性ガスに置換しておくこと、還流中は系内に0族不活性ガスを流通せしめることが望ましいが、先ず窒素ガスや酸素ガスを含む気体中で加熱還流して、パーフルオロ−2−ペンチンの蒸気により窒素や酸素を系外へ追い出しておき、その後、装置内を0族の不活性ガス雰囲気として加熱還流することもできる。加熱して発生するパーフルオロ−2−ペンチンの蒸気は、上部のコンデンサーにより冷却され、液化して下部の加熱容器へ還流するが、蒸気の散逸を防止する観点からは、コンデンサーの冷媒温度は、通常−5℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下である。【0073】加熱還流により除去された窒素ガスや酸素ガスがコンデンサーの液化部周辺に存在すると、再溶解する可能性があるので、0族不活性雰囲気下での還流途中に一旦コンデンサーの冷却を止めて蒸気の一部を窒素ガスや酸素ガスと共に系外へ放出して、完全に窒素ガスや酸素ガスを系外に追い出す方法も効果的であり推奨される。【0074】加熱還流するときの圧力は常圧以上であればよいが、液中の溶存する気体を効率よく追い出すためには加圧方式は効率的ではなく、常圧下の還流が望ましい。加熱方式は、通常の蒸留や加熱反応の方法に準じて行えばよく、ジャケット加熱、リボイラー加熱、内部コイル加熱等の種々の方式を用いることができる。加熱還流時間は、被還流物の仕込量や還流量、コンデンサーの能力により適宜設定すればよいが、通常1時間以上、好ましくは3時間以上である。【0075】(2)0族の不活性ガス中で単蒸留する方法前記(1)の0族の不活性ガス中で所定時間の加熱還流を継続した後、コンデンサー内で冷却凝縮する液を元の加熱釜(容器)に戻すことなく、別の受器に分取することも、加熱による劣化等を防止する観点から有効である。この方式は、0族の不活性ガス中で単蒸留する方法と言うことができる。操作内容は前記の加熱還流だけを行う場合に準じればよく、特殊な装置や操作は不要である。【0076】(3)低温下に減圧して脱気する方法この方法は、前記第1工程で得られる窒素ガスや酸素ガスを含んだ精留留分を低温下に減圧し、気体成分を除去するものである。操作温度は、常温〜0℃では減圧する際に揮発して系外に消失するパーフルオロ−2−ペンチンの量が多くなるため、0℃以下が好ましい。さらに好ましくは−20℃以下である。また、減圧ラインに深冷トラップを設けての回収を行うことが望ましい。操作圧力は、通常5〜200mmHg、好ましくは20〜50mmHgである。【0077】本方法においては、減圧脱気する液全体を振とうさせたり、超音波を当てることにより、さらに効率的な脱気ができる。減圧脱気する時間は長い程良いが、パーフルオロ−2−ペンチンの蒸発ロスを考慮すると、通常10秒〜5分、好ましくは30秒〜2分である。また、減圧脱気を断続的に数回繰り返し行うことも有効である。減圧後はそのまま容器を密閉したり、0族の不活性ガスを注入して常圧に戻すことにより、窒素ガスや酸素ガスとの接触を遮断することができる。【0078】(4)分子ふるい、吸着剤と接触させる方法この方法は、前記(1)〜(3)の方法のいずれかと組合せて、有機性不純物を除去し、極めて高純度なプラズマ反応用ガスを製造するのに有用である。これらの除去には、分子ふるい(モレキュラーシーブ)やアルミナ、活性炭などの吸着剤と接触させる方法が有効である。【0079】用いられる分子ふるいは特に限定されない。多くの種類が市販されているので適宜選択できるが、モレキュラーシーブ3A、13X(和光純薬工業(株)製)などが好ましく、モレキュラーシーブ13Xがさらに好ましい。アルミナとしては、アルミナ水和物の加熱脱水により生成する結晶性の低い活性アルミナが好ましく、例えば、アルミナ触媒N611N(日揮化学(株)製)を例示することができる。【0080】活性炭としては、木材、のこくず、木炭、やし殼炭、パーム核炭、素灰などを原料とする植物質系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭などを原料とする石炭系、石油残渣、硫酸スラッジ、オイルカーボンなどを原料とする石油系あるいは合成樹脂を原料とするものなどが挙げられる。中でも粒状活性炭(破砕炭)(キシダ化学(株)製)が好ましい。【0081】以上に説明した第1工程すなわち反応粗生成物に含まれるパーフルオロ−2−ペンチンを純度99.9容量%以上に精留する工程、そして第2工程すなわち残留する微量不純物(窒素ガス、酸素ガスなど)を除去する工程、を組合せたプロセスにより、ガスの全量に対してパーフルオロ−2−ペンチンの純度が99.9容量%以上であり、かつ残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下のプラズマ反応用ガスを得ることができる。【0082】また、ガスの全量に対してパーフルオロ−2−ペンチンの純度が99.9容量%以上であり、かつ残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下であり、かつ水分含量が30重量ppm以下であるプラズマ反応用ガスも得ることができる。【0083】さらには、ガスの全量に対してパーフルオロ−2−ペンチンの純度が99.95容量%以上であり、かつ残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下のプラズマ反応用ガスを得ることができる。【0084】また、ガスの全量に対してパーフルオロ−2−ペンチンの純度が99.95容量%以上であり、かつ残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下であり、かつ水分含量が30重量ppm以下であるプラズマ反応用ガスも製造することが可能である。【0085】【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。【0086】なお、パーフルオロ−2−ペンチンの純度(%)、窒素ガス、酸素ガスの含有量(ppm)は、特にことわりのない限りGC分析で求めた容量基準の値である。また、水分の含有量(ppm)はカールフィシャー法による重量基準の値である。【0087】パーフルオロ−2−ペンチンのGC分析は、機器:ヒューレットパッカード社製HP6890、カラム:Ultra Alloy+−1(s)(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.4μm)、カラム温度:(8分間40℃に固定、その後8分間で200℃に昇温)、インジェクション温度:200℃、キャリアーガス:ヘリウム(流量1ml/分)、検出器:FID、サンプル量:1μl、内部標準物質:n−ブタンで行った。【0088】酸素ガスと窒素ガスのGC分析は、機器:島津製GC−9A、カラム:Packed Colum J GC−9A用(長さ2m、内径3mm、充填剤Unibeads C 60/80)、カラム温度:40℃、インジェクション温度:150℃、キャリアーガス:ヘリウム(流量50ml/分)、検出器:TCDで行った。【0089】また、下記実施例中の「エッチングの対フォトレジスト選択性」とは、同一エッチング条件での酸化シリコン(SiO2)およびフォトレジスト(PR)のエッチング速度の比較により、エッチングの対フォトレジスト選択性を評価した。選択性は以下の式より算出した。なお、エッチング速度の比較は、ウエハーの中心(センター部)、およびウエハーの直径に沿った中心から外側へ65mmの測定点(エッジ部)の計2点で行なった。【0090】選択性=(酸化シリコンのエッチング速度)/(フォトレジストのエッチング速度)【0091】参考例1(パーフルオロ−2−ペンチンの調製例)ハステロイ製オートクレーブに、市販のペレット状水酸化カリウム(85%品)394g(5.97モル)と、デュポン社製の1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン300g(1.19モル)を仕込んだ。内容物をよく攪拌して200℃で7.5時間反応させた。オートクレーブを冷却後、反応混合物を留出させて捕集するためのトラップと真空ポンプを接続した。減圧下に液体窒素で冷却したトラップへ反応混合物を捕集し、反応粗生成物182.5gを得た。【0092】この反応粗生成物をGC分析すると、パーフルオロ−2−ペンチン(目的物)、1,1,1,2,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテンおよび少量の1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(原料)を含んでいた。仕込んだ原料基準の目的物の収率は20.6%であった。なお、未反応の原料は大部分が分解・重合してオートクレーブ中に残るため、反応粗生成物には約1重量%しか含まれていなかった。【0093】上記操作を繰り返して得られた反応粗生成物1202g(パーフルオロ−2−ペンチン含量31.96%)を、KS型精留塔(理論段数35段)を用いて常圧にて精留を行った。蒸留塔頂部の冷媒温度は−5〜−10℃に、留分トラップは−78℃に保った。この精留により、純度99.9%のパーフルオロ−2−ペンチン留分(沸点5℃)を264g得た。【0094】実施例1(プラズマ反応用ガスの製造)氷浴により冷却した1リットルのガラス製丸底フラスコに、前記参考例1に準じて調製した純度99.9%のパーフルオロ−2−ペンチン700gおよび沸騰石を仕込み、フラスコにスルーザーパック精留塔(理論段数55段)を装備した。この時、パーフルオロ−2−ペンチンの液部の窒素ガス含有量は445ppm、酸素ガス含有量は75ppmであった。【0095】精留塔のコンデンサー上部からヘリウムを20ml/分の流速で導入して、精留塔内部をヘリウムで置換した。コンデンサーには−15℃の冷媒を循環させ、丸底フラスコをウオーターバスに浸し、25℃まで昇温して1時間全還流させた。1時間後、冷媒の循環を停止し、パーフルオロ−2−ペンチンの蒸気をコンデンサー上部まで上昇させて、約3分間、蒸気を系外に抜出した。その後、冷媒の循環を再開し、ヘリウムを常時流した状態で1時間全還流状態にした。次に還流比40:1で留分を抜き出し、予めヘリウムで置換後に0℃に冷却した受器に捕集した。純度99.98容量%のパーフルオロ−2−ペンチンを638g(収率:91.1%)得た。【0096】上記の精留留分を空気が混入しないように3℃に冷却した耐圧密閉容器に充填し、液部と気相部をそれぞれサンプリングして酸素ガスと窒素ガスの含有量をGC分析した。その結果、液部の酸素ガスは検出限界以下(10ppm以下)、窒素ガスは34ppmであった。気相部の酸素ガスは15ppm、窒素ガスは64ppmであった。また、液部に含まれる水分をカールフィシャー法で測定した結果、水分含量は7重量ppmであった。【0097】実施例2(プラズマ反応用ガスの製造)第1工程:前記参考例1に準じて調製した純度99.9%のパーフルオロ−2−ペンチン約800gを、窒素雰囲気下で理論段数55段相当の精留塔を用い、塔頂部温度5℃を保ちながら、精留塔のコンデンサーには−15℃の冷媒を循環させ、還流比40:1で精留したところ純度99.98%のパーフルオロ−2−ペンチンを約90%の蒸留収率で得た。【0098】第2工程:氷浴で冷却した500ml丸底フラスコに、三方活栓付きの冷却用コンデンサーを設置し、沸騰石と前記第1工程で得られたパーフルオロ−2−ペンチン687gを仕込んだ。丸底フラスコに取り付けた還流用コンデンサーに−15℃の冷媒を循環させ、三方活栓の一方よりヘリウムを20ml/分の流速で導入して、フラスコおよびコンデンサーの気相部分を3分間ヘリウムで置換した。その後、丸底フラスコを15℃のウォーターバスに浸し、パーフルオロ−2−ペンチンを加熱還流させた。その間、ヘリウムは常時還流装置内に供給して、系内をヘリウム雰囲気に保った。【0099】20分後にコンデンサーへの冷媒の供給を停止し、パーフルオロ−2−ペンチンの蒸気を三方活栓から約1分間抜出した後、冷媒の循環を再開させて還流状態に戻した。さらに20分後、先の操作をもう一度繰り返して20分経過した後にウォーターバスを氷冷した。丸底フラスコから回収したパーフルオロ−2−ペンチンは632g、ロス分は55gであった。還流実施前と還流実施後の液相部と気相部の窒素ガスおよび酸素ガスの含有量をGC分析した結果、還流実施前:窒素含量289ppm、酸素含量70ppmであったのが加熱還流後にはそれぞれ28ppm、10ppm以下であった。また、カールフィシャー法で水分を測定した結果、水分含量は13重量ppmであった。【0100】実施例3(プラズマ反応用ガスの製造)第1工程:前記実施例2の第1工程と同様にして純度99.98%のパーフルオロ−2−ペンチンを1.2kg得た。第2工程:前記第1工程で得られたパーフルオロ−2−ペンチン1kgを−10℃に冷却しながら、アルミナ触媒N611N(日揮化学(株)製)100ml相当を充填した150mlのポリテトラフルオロエチレン製カラム中を、送液ポンプを用いて空間速度10/時間にて循環させた。5時間後、パーフルオロ−2−ペンチンの純度を分析した結果、99.99%であった。【0101】これを前記実施例2の第2工程と同じ装置を用い、アルゴンガス雰囲気下で同様に加熱還流操作を行った。得られた生成物を耐圧密閉容器に充填し、その液部を分取してカールフィッシャー法で水分を分析した結果、水分含量は7重量ppmであった。また、気相部の酸素ガスは検出限界以下(10ppm以下)、窒素ガスは43ppmであった。【0102】実施例4(プラズマ反応用ガスの製造)第1工程:前記実施例2の第1工程と同様である。第2工程:ヘリウムガスライン、温度計、攪拌装置、クライゼン式単蒸留カラム、冷却器、受器を備えた200mlの四つ口フラスコに、純度99.98容量%、窒素含量370pm、酸素含量73ppmのパーフルオロ−2−ペンチン135gを仕込み、受器を−10℃に冷却した。ヘリウム雰囲気下、フラスコをウォーターバスで20℃に加熱して単蒸留を行った。単蒸留を途中で停止して、留出留分77gの留分とフラスコ中の残分51gを得た。留分と残分に含まれる酸素ガスと窒素ガスをGC分析した結果、留分:窒素含量12ppm、酸素含量10pp以下、残分:窒素含量30ppm、酸素含量10ppm以下であった。【0103】実施例5(プラズマ反応ガスによるドライエッチング)ヘリコン波方式によるプラズマエッチング装置中に、酸化シリコン(SiO2 )膜を表面に形成した直径150mmのシリコンウエハーをセットし、系内を真空にした後、前記実施例1で製造したプラズマ反応用ガスを流量50sccmにて導入した。系内の圧力を5mTorrに維持し、1011(/cm3)のプラズマ密度で実験を行った。次に同一の条件でフォトレジスト(PR)膜を表面に形成した直径150mmのシリコンウエハーをセットし、実験を行なった。【0104】ウエハの温度はことさら制御しなかったが、全ての実験において約130℃まで上昇した。エッチング時間は60秒であった。同一エッチング条件での酸化シリコン(SiO2 )、フォトレジスト(PR)のエッチング速度の比較により、エッチングの対フォトレジスト選択性を、比較例1における選択性と相対比較したところ次の結果が得られた。【0105】センター部での選択性 1.44エッジ部での選択性 1.31(ただし、上記値は下記比較例1の選択性の値を基準とした時の相対値である。)【0106】実施例6(プラズマ反応ガスによるドライエッチング)前記実施例1で製造したプラズマ反応用ガスに代えて、前記実施例3で製造したプラズマ反応用ガスを用いた以外は、実施例5と同様に実験を行なった。エッチングの対フォトレジスト選択性を評価した結果を表1に示す。【0107】センター部での選択性 1.50エッジ部での選択性 1.35(ただし、上記値は下記比較例1の選択性の値を基準とした時の相対値である。)【0108】比較例1(パーフルオロ−1,3−ブタジエンによるドライエッチング)前記実施例1で製造したプラズマ反応用ガスに代えて、市販(関東電化製)のパーフルオロ−1,3−ブタジエン(純度99.99容量%)を用いた以外は、実施例5と同様に実験を行ない、エッチングの対フォトレジスト選択性を求め、上記実施例5または6における相対比較の基準とした。【0109】実施例5〜6および比較例1により、本発明のプラズマ反応用ガスは、優れたエッチングの対フォトレジスト選択性を有していることがわかる。【0110】実施例7(高純度プラズマ反応用ガスによるCVD絶縁膜の形成)基板として一部アルミ蒸着したシリコン酸化膜ウエハを用い、プラズマCVD装置として平行平板型プラズマCVDを用い、そして前記実施例1で使用した高純度プラズマ反応用ガスを使用して、次の条件により絶縁膜のプラズマCVDを施した。高純度プラズマ反応用ガスの流量:40sccm、アルゴンの流量:400sccm、圧力:250mTorr、RF出力(周波数は13.56MHz):400W、基板温度:260℃。上記条件で処理して基板上に厚さ0.5μmの膜を得た。この膜はボイドの発生もなく緻密で均一であり、基板への密着性も良好であった。膜の被誘電率は2.2であった。【0111】比較例2前記実施例1で製造したプラズマ反応用ガスに代えて、前記比較例1で使用したガスを用いたほかは、前記実施例7と同様に実験を行った。厚さ約0.4μmの膜が形成されたが、表面にボイドが発生し不均一であった。【0112】【発明の効果】本発明の炭素数5または6の鎖状パーフルオロアルキンを含むプラズマ反応用ガスは、被エッチング基体への高い選択性を有するため、微細パターンの形成に有利であるとともに、CVDによる膜の形成においても優れた性能を発揮する。 炭素数5または6の鎖状パーフルオロアルキンを含むプラズマ反応用ガス。 前記鎖状パーフルオロアルキンがパーフルオロ−2−ペンチンである請求項1記載のプラズマ反応用ガス。 プラズマ反応用ガスの全量に対して、鎖状パーフルオロアルキンの含有量が99.9容量%以上である請求項1または2記載のプラズマ反応用ガス。 プラズマ反応用ガスの全量に対して残余の微量ガス成分として含まれる窒素ガスと酸素ガスの合計量が200容量ppm以下である請求項3記載のプラズマ反応用ガス。 水分含量が30重量ppm以下である請求項3または4記載のプラズマ反応用ガス。 プラズマ反応がドライエッチング、ケミカル・ベーパー・デポジションまたはアッシングである請求項1〜5記載のプラズマ反応用ガス。 前記鎖状パーフルオロアルキンを含有する反応粗生成物を、0族の不活性ガス中で精留することを特徴とする請求項3〜5記載のプラズマ反応用ガスの製造方法。 前記鎖状パーフルオロアルキンを含有する反応粗生成物を、純度99.9容量%以上に精留する第1工程、次いで残留する微量不純物を除去する第2工程、からなることを特徴とする、請求項3〜5記載のプラズマ反応用ガスの製造方法。 請求項1〜6記載のプラズマ反応用ガスを用いたドライエッチング方法。 請求項1〜6記載のプラズマ反応用ガスを用いたケミカル・ベーパー・デポジション方法。