生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_冷却水系の濃縮管理方法
出願番号:2002068780
年次:2006
IPC分類:F28G 13/00,G01N 33/18,F28F 19/01,F28C 1/00


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飯村 晶 木幡 賢二 酒村 哲郎 JP 3780965 特許公報(B2) 20060317 2002068780 20020313 冷却水系の濃縮管理方法 栗田工業株式会社 000001063 重野 剛 100086911 飯村 晶 木幡 賢二 酒村 哲郎 20060531 F28G 13/00 20060101AFI20060511BHJP G01N 33/18 20060101ALI20060511BHJP F28F 19/01 20060101ALI20060511BHJP F28C 1/00 20060101ALI20060511BHJP JPF28G13/00 AG01N33/18 ZF28F19/00 501ZF28C1/00 F28G 13/00 G01N 33/18 F28C 1/00 F28F 19/01 3 2003269888 20030925 7 20030926 清水 富夫 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、循環冷却水系において冷却水の濃縮倍率を管理する方法に係り、特に濃縮倍率を電気伝導率に基づいて管理する方法に関する。【0002】【従来の技術】開放循環冷却水系では、水の循環利用に伴い、補給水の塩類が濃縮されることにより、その濃度が増加する。なお、循環している冷却水が元の補給水の何倍に濃縮された状態となっているか示す倍数を濃縮倍率と称している。実際の冷却水系にあっては、濃縮倍率が所定の範囲となるように補給水の供給及び冷却水のブローが行われている。【0003】冷却水系の濃縮倍率が過度に高くなると、炭酸カルシウムやシリカなどのスケール成分が熱交換器のチューブ等に付着して伝熱阻害を引き起こす。逆に、濃縮倍率が過度に低い場合においては、防食成分であるカルシウム、シリカが少なくなり、配管の腐蝕が増加する。また、濃縮倍率を低くして冷却水系の運転を行うと、補給水の消費量が増え、補給水コストが嵩むので、濃縮倍率はある程度以上の値に設定する必要がある。そして、目標値として設定された濃縮倍率となるように補給水の供給やブローの管理が行われることが重要である。【0004】循環冷却水系の濃縮倍率を管理するために、冷却水環境でスケール化しにくい成分、例えば塩化物イオンやナトリウムイオン、カリウムイオンを指標とし、[濃縮倍率]=[循環水中イオン濃度]/[補給水中イオン濃度]より算出される濃縮倍率が目標値となるように補給水の供給及びブローを行うことがある。しかしながら、この方法は、イオン濃度の分析に手間がかかり、制御遅れが生じる。【0005】そこで、イオン濃度の代りに補給水及び冷却水の電気伝導率濃度を測定し、[濃縮倍率]=[冷却水の電気伝導率]/[補給水の電気伝導率]より演算される濃縮倍率が所定範囲となるように補給水の供給及びブローの管理を行うことも行われている。【0006】例えば、補給水中の電気伝導率及びシリカ濃度を測定し、シリカの飽和濃度(又は飽和濃度に析出防止のための安全係数を乗じた濃度)を該測定値で除して目標とする濃縮倍率を設定する。また、この目標濃縮倍率を補給水中の電気伝導率に乗じて目標電気伝導率を設定する。そして、実際の冷却水系の電気伝導率がこの目標電気伝導率となるように冷却水系への補給水の供給及びブローの管理を行う。【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来の電気伝導率に基づく濃縮管理方法にあっては、スケール成分の析出に伴う電気伝導率の低下が考慮されていないので、実際に検出される電気伝導率を目標電気伝導率に合致させるよう補給水の供給及びブローの管理を行うと、水系の実際の濃縮倍率は目標濃縮倍率を大幅に超えた値となってしまい、過度に高い濃縮倍率で冷却水系が運転されることになり、スケール障害が生じ易くなる。【0008】本発明は、冷却水系の実際の濃縮倍率を迅速にしかも高精度にて検知し、冷却水系を安定して運転可能とすることを目標とする。【0009】【課題を解決するための手段】本発明の冷却水系の濃縮管理方法は、冷却塔と熱交換器との間を冷却水が循環する冷却水系に対し補給水の供給及び/又は冷却水のブローを行う冷却水系の濃縮管理方法において、冷却水の電気伝導率に濃縮倍率を乗じ、さらにこの乗じた電気伝導率をスケール成分の析出に応じて補正し、この補正した電気伝導率を目標値として補給水の供給及び/又は冷却水のブローを行うことを特徴とするものである。【0010】かかる本発明方法によると、冷却水系の実際の濃縮倍率を高精度に検知できる。この濃縮倍率の検知は、電気伝導率に基づくものであり、冷却水系の濃縮倍率を迅速に実質的にリアルタイムで検知可能である。【0011】本発明では、冷却水中のシリカ濃度の許容上限値を補給水中のシリカ濃度で徐した値を濃縮倍率とし、この濃縮倍率を補給水の電気伝導率に乗じ、さらに、この濃縮倍率を乗じた電気伝導率からスケール析出による電気伝導率減少分を減算した値を目標電気伝導率とすることが好ましい。このスケールは炭酸カルシウムよりなるものを扱うことにより、簡便に且つ精度を損うことなく実際の濃縮倍率を求めることができる。【0012】【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の冷却水系の濃縮管理方法の実施の形態を詳細に説明する。【0013】図1は本発明の方法が適用された冷却水系の系統図である。図2は濃縮倍率と電気伝導率との関係を示すグラフである。【0014】1は冷却塔であり、散水板1Aを備える。この冷却塔1のピット内の冷却水は、ポンプPにより、配管2を経て熱交換器3に送給され、戻り水は配管4を経て冷却塔1に戻され、散水板1Aから散水される。【0015】補給水はバルブ11を有した補給水配管10から冷却塔1内に供給され、ブローはバルブ13を有したブロー配管12によって行われる。【0016】冷却塔1内の水の電気伝導率が電気伝導率計15により測定され、濃縮管理装置16に入力される。この濃縮管理装置16には補給水(例えば水道水)の電気伝導率が予め入力されているが、冷却塔1に補給されつつある補給水の電気伝導率を測定して入力してもよい。ただし、水道水の電気伝導率はほぼ一定であるので、予め入力した電気伝導率に基づいても十分に高精度の濃縮管理が可能である。【0017】この濃縮管理装置16は前記バルブ11,13の開閉を制御する。【0018】この実施の形態では、予め補給水(水道水)中のシリカ濃度、炭酸カルシウム濃度及び電気伝導率を測定してある。また、循環冷却水からシリカを析出させることなく運転を長期にわたって継続することができるシリカ濃度の上限値(シリカ許容上限値)を予め実験的に求めておく。なお、このシリカ許容上限値は、水道水を用いた冷却水プラントの稼動実績から経験的に認識可能である。このシリカ許容上限値を次式の如く上記の水道水シリカ濃度で除算することにより、目標濃縮倍率kが演算される。k=[シリカ許容上限値]/[補給水中のシリカ濃度]【0019】この目標濃縮倍率kを水道水の上記電気伝導率測定値に乗算し、仮目標電気伝導率とする。【0020】一方、目標濃縮倍率kを水道水の上記炭酸カルシウム濃度に乗算し、仮濃縮炭酸カルシウム濃度を演算する。通常は、この仮濃縮炭酸カルシウム濃度は炭酸カルシウムの飽和濃度よりも相当に高い値となり、仮濃縮炭酸カルシウム濃度のうちの相当量が析出する。この炭酸カルシウム析出量は、仮濃縮炭酸カルシウム濃度と飽和濃度との差(平衡論的析出量)に若干の係数を乗じた値である。【0021】即ち、平衡論的には仮濃縮炭酸カルシウム濃度と飽和炭酸カルシウム濃度との差だけ炭酸カルシウムが析出するが、実際には過飽和が生じ、平衡論的析出量よりも少ない析出量となる。実際の炭酸カルシウム析出量を実験的に求めてもよく、経験的に求まる係数を乗じて実析出量を演算してもよい。【0022】そして、このようにして算定した析出量の炭酸カルシウムの電気伝導率寄与量を演算する。これは、ファラデー定数、炭酸カルシウムの解離率等から演算してもよいが、実験的に予め求めて換算表や換算式を作成しておくのが好ましい。【0023】図2の通り、スケール析出が生じないとした場合、濃縮倍率と電気伝導率とは直線比例関係にあるが、濃縮倍率の上昇につれてスケールが析出するときには、この析出したスケールが寄与していた分だけ電気伝導率が低下する。そこで、上記の析出炭酸カルシウムの電気伝導率寄与量を次式の通り前記仮目標電気伝導率から減算することにより真の目標とすべき電気伝導率が設定される。【0024】この目標電気伝導率となるように補給水の供給及び/又はブロー管理を行うことにより、スケール障害を起すことなく高濃縮運転することが可能となる。【0025】【実施例】実施例1実験1図1の冷却水系を用い、水道水を補給水とし、24倍濃縮運転を行った。循環水のピット内の温度を20℃とし、熱交換器出口部での循環水温度が30℃となるようにした。本試験の濃縮倍率は補給水及び循環冷却水中の塩化物イオン濃度に基づいて算出した。【0026】水道水のカルシウム硬度は50mg/L、電気伝導率は200μS/cmであった。循環水中のカルシウム硬度は150mg/L、電気伝導率は2300μS/cmである。これらの値は、補給水×濃縮倍率より、次式の如く算出される。カルシウム硬度1200mg/L、電気伝導率4800μS/cmよりも低い値を示した。カルシウム硬度の計算50mg/L×24(倍)=1200mg/L電気伝導率の計算200μS/cm×24(倍)=4800μS/cm【0027】本試験から、水道水を用いた場合、炭酸カルシウムの析出量が1050(=1200−150)mg/Lの場合、電気伝導率は2500(=4800−2300)μS/cm低下することがわかった。また、水道水24倍濃縮時のカルシウム硬度検出濃度は150mg/Lであり、水道水3倍濃縮と同等であり、3倍濃縮以上の水質条件では、炭酸カルシウムは150mg/Lしか検出されず、残りは析出することが明らかとなった。【0028】この実験1から次の事項が予想される。▲1▼9倍濃縮での炭酸カルシウム析出濃度と電気伝導率は以下の式で算出された値となる。▲2▼12倍濃縮での炭酸カルシウム析出濃度と電気伝導率は以下の式で算出された値となる。【0029】実験2実験1から予想された結果を参考とし、水系1を電気伝導率の上限:1086μS/cmとし、水系2を1326μS/cmとして、実験1と同様な運転を実施した。その結果、水系1は塩化物イオンを指標とした濃縮倍率が9倍、水系2は同12倍で維持管理できた。【0030】実験1,2から、スケール成分の析出度合と、電気伝導率の低下度合をあらかじめ予測し、電気伝導率を設定することで、スケール成分の析出が起こる環境においても、電気伝導率に基づいて濃縮管理ができることが明らかとなった。【0031】実施例2炭酸カルシウム濃度30mg/L、電気伝導率150μS/cmの水を補給水とする実冷却水系を対象に目標電気伝導率を設定する方法を以下の通り行った。なお、本水系の熱交換出口部の水温は30℃であった。【0032】この水系では炭酸カルシウム濃度が180mg/L以上になると炭酸カルシウムが析出することが実験の結果認められた。【0033】本水系を12倍濃縮で運転する場合、析出する炭酸カルシウム量は30×12−180=180mg/Lである。【0034】炭酸カルシウムが180mg/L析出する場合の電気伝導率の低下は実施例1から180×2500/1050=429μS/cmと計算され、水系の電気伝導率は、150×12−429=1371μS/cmになるであろうと計算される。【0035】そこで、実際に本冷却水系を電気伝導率1371μS/cmで維持し、塩化物イオンを指標とした濃縮倍率を測定した結果、12倍濃縮で維持されていることがわかった。【0036】【発明の効果】本発明の電気伝導率による濃縮管理方法は、スケール成分の析出を考慮しているために、循環水中でスケールが析出しても、濃縮倍率を適正に制御することができる。【図面の簡単な説明】【図1】実施の形態に係る冷却水系の濃縮管理方法が適用される冷却水系の系統図である。【図2】濃縮倍率と電気伝導率との関係図である。【符号の説明】1 冷却塔3 熱交換器11,13 バルブ15 電気伝導率計 冷却塔と熱交換器との間を冷却水が循環する冷却水系に対し補給水の供給及び/又は冷却水のブローを行う冷却水系の濃縮管理方法において、冷却水の電気伝導率に濃縮倍率を乗じ、さらにこの乗じた電気伝導率をスケール成分の析出に応じて補正し、この補正した電気伝導率を目標値として補給水の供給及び/又は冷却水のブローを行うことを特徴とする冷却水系の濃縮管理方法。 請求項1において、冷却水中のシリカ濃度の許容上限値を補給水中のシリカ濃度で徐した値を濃縮倍率とし、この濃縮倍率を補給水の電気伝導率に乗じ、さらに、この濃縮倍率を乗じた電気伝導率からスケール析出による電気伝導率減少分を減算した値を目標電気伝導率とすることを特徴とする冷却水系の濃縮管理方法。 請求項1又は2において、前記スケールは炭酸カルシウムであることを特徴とする冷却水系の濃縮管理方法。


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