タイトル: | 再公表特許(A1)_p300ヒストンアセチル化酵素インヒビター |
出願番号: | 2002008257 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C12N15/09,A61K31/7084,A61K48/00,A61P35/00,C07K14/47,C07K16/18,C12N9/99,G01N33/15,G01N33/50 |
水谷 修紀 山田 孝之 JP WO2003027279 20030403 JP2002008257 20020813 p300ヒストンアセチル化酵素インヒビター ソニー株式会社 000002185 渡邊 薫 100112874 水谷 修紀 山田 孝之 JP 2001292206 20010925 7 C12N15/09 A61K31/7084 A61K48/00 A61P35/00 C07K14/47 C07K16/18 C12N9/99 G01N33/15 G01N33/50 JP C12N15/00 A A61K31/7084 A61K48/00 A61P35/00 C07K14/47 C07K16/18 C12N9/99 G01N33/15 Z G01N33/50 Z CA,JP,US 再公表特許(A1) 20050106 2003530851 42 技術分野本発明は、ヒストンアセチル化酵素、特にp300に対するインヒビターに関する。背景技術p53は遺伝毒性となるストレス等に応答して発現誘導され、種々の遺伝子の転写を活性化し、細胞周期の停止、DNA修復あるいはアポトーシス誘導などの生理活性をもたらすことが広く知られている。また、p53に関する近年の研究により、p53による転写活性化は、転写共役因子としてヒストンアセチル化酵素が関与することが明らかにされている。ヒストンアセチル化酵素は、ヒストンN末端ドメインの特異的なLys残基のε−アミノ基をアセチル化して正電荷を中和する。ヒヒストンがアセチル化されると、ヌクレオソーム構造が緩和され、転写因子がリクルートされやすくなり、転写が活性化されると考えられている。このようなp53の転写活性化に関与するヒストンアセチル化酵素としては、p300、PCAF、PML、MOZなどが知られている。このうちp300はヒストンをアセチル化するだけでなく、p53をもアセチル化して、p53の特異的DNAへの結合能を増強させることが報告されている(Avantaggiati MLら,Cell 89:1175−1184(1997)、Lill NLら,Nature 387:823−827(1997))。上記p300には、システイン/ヒスチジンに富んだCH1ドメイン、CH3ドメイン、グルタミンに富んだQリッチドメインが存在し、これらドメインのいずれかとp53のN末端の転写活性化ドメインとが結合することも明らかにされている。また、上記PCAFはp300とともにp53のコアクティベーターとして機能することが報告されている(Scolnick,D.M.ら,Cancer Res.,57:3693−3696(1997))。さらに、JMYはp300とともにp53のコアクティベーターとして機能して、特に、アポトーシスを誘導するBax遺伝子を活性化する(Shinkama,N.ら,Mol.Cell,4:365−376(1999))。このようにp300はp53機能発現に必須の共役因子であることが示されている。また、上記p300は上記p53の転写コアクティベーターとして機能する以外にも、種々の転写因子、例えばp73(p53ファミリー)、CREB、AML1、Myb、NF−κB、STAT、C/EBP、IRF3、MyoDなどのコアクティベーターとしても機能することが明らかとなっている。一方、p53遺伝子の変異が癌患者で観察されているのと同様に、p300遺伝子の変異が癌患者において観察されている。急性骨髄性白血病では、染色体転座によりp300遺伝子の分断が観察されている(Kitabayashi,I.ら,Leukemia,15:89−94(2001),Chaffanet,M.ら,Genes Chromosomes Cancer,28:138−144(2000),Ida,K.ら,Blood,90:4699−4704,(1997),Satake,N.ら,Genes Chromosomes Cancer,20:60−63(1997),Taki,T.ら,Blood,89:3945−3950(1997),Sobulo,O.M.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:8732−8737(1997),Borrow,J.ら,Nature Genet.,14:33−41(1996),Panagopoulos,I.ら,Hum.Mol.Genet.,10:395−404(2001)。また大腸癌や乳癌などの固形癌におけるp300遺伝子の変異も報告されている(Gayther,S.A.ら,Nature Genet.,24:300−303(2000))。さらに、p300は癌ウイルスの癌遺伝子産物の標的であり、アデノウイルスE1AやSV40T抗原、パピローマウイルスE6、HTLVのTaxは、p300に結合してp300の機能を阻害する。このようにp300遺伝子の変異やp300が上記癌遺伝子産物と結合することにより、p300におけるp53のコアクティベーターとして転写活性化機能を阻害することで癌化させていることが予想されている。上述したようにヒストンアセチル化酵素p300は、p53の生理活性の発現に重要な役割を果たし、p300の機能阻害により癌化を誘導する可能性があることが示唆されている。このp300の機能・作用を解析する上で、阻害剤の開発は有益となる。また、癌患者などでp300遺伝子の変異が観察されたが、生体内にp300インヒビターが存在するか否かを知ることも、p300に関与する癌化の解明に有用となることが予想される。発明の開示そこで、本発明は、p300が関与する転写の解析またはp300が関与する疾患の解析に有用となるヒト由来p300インヒビターを同定し、該p300インヒビターおよびこれをコードした核酸、特異的な抗体等を提供することを目的とする。上記課題に鑑みて、本願発明者らは、ヒトcDNAライブラリーよりp300と結合して、p300による転写活性化を阻害しうる遺伝子産物が存在することを見出し、その遺伝子を単離・同定した。そして本願発明者らは実際にHDARTの高発現によりp53の活性が抑制されることを示した。さらに本願発明者らは、内在HDARTの発現を抑制することにより、p53の生理機能にどのような影響を及ぼすかを検討し、HDARTの発現抑制がp53の機能発現の亢進につながることを証明した。また、本願発明者らは、このインヒビターに対する抗体、さらには、インヒビターに対する阻害剤のスクリーニング方法を開発した。すなわち、本発明は、以下に示す通りである。(1) 下記(A)または(B)に記載のp300インヒビターをコードした核酸。(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるインヒビター、(B)配列番号2に記載のアミノ酸において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるインヒビター。(2) p300インヒビターをコードした下記(A)または(B)の核酸。(A)配列番号1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、(B)配列番号1に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズする核酸。(3) 配列番号1に記載の塩基配列からなる核酸又はその相補鎖に対して相補的であり、少なくとも15ヌクレオチド長を備えた核酸。(4) 上記(1)または(2)に記載の核酸をコードしたp300インヒビター。(5) 上記(4)に記載のp300インヒビターに特異的な抗体。(6) 上記(4)に記載のp300インヒビターまたは上記(1)もしくは上記(2)に記載のインヒビターをコードした核酸を含む、転写阻害用組成物。(7) 上記(4)に記載のp300インヒビターを阻害し得る阻害物質のスクリーニング方法であって、上記(4)に記載のp300インヒビターに被験試料を接触させる工程、前記p300インヒビターと被験試料との結合活性を検出する工程、および前記結合活性を有する化合物を選択する工程と、を含む、方法。(8) 上記(4)に記載のインヒビターを阻害し得る阻害物質のスクリーニング方法であって、被験試料存在下で上記(4)に記載のp300インヒビターとp300とを接触させる工程、前記p300インヒビターと前記p300との結合活性を測定する工程、および被験試料非存在下における前記インヒビターと前記p300との結合活性に比べ、前記インヒビターと前記p300との結合活性を低下させ得る化合物を選択する工程とを含む、方法。以下、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。本発明は、p300インヒビター(以下、本書においてp300インヒビターを「HDART」と称する)に関する。ここで、「p300」は、一般に、ヒトより同定された2414アミノ酸からなる核内リン酸化タンパク質を指すが、本書においては、HDARTが結合し機能を阻害し得る限り、これと相同性を有するタンパク質をも含めることができる。この相同性を有するタンパク質としては、CBPがあり、CBPは上記p300とCBPはほぼ同等の長さ(2441アミ酸)からなる核内リン酸化タンパク質である。両者とも、システイン/ヒスチジンに富んだ領域(CH領域)を3箇所(N末端側よりCH1、CH2、CH3)有し、CH1とCH2との間にはブロモドメイン(Br)が存在し、さらに、C末端側にグルタミンに富んだ領域(Qリッチ)が存在し、両者はこれら機能ドメインにおいて非常に高いホモロジー(具体的には、CH1領域において93%、中央の800アミノ酸においては95%)を有し、全体としても60%のホモロジーを有する。特に、本願発明者らは、p300とHDARTとの結合実験において、p300のCH1領域にHDARTが結合することを示しており、このようなCH1においてp300と高い相同性を有するCBPについてもHDARTが結合しその機能を阻害し得る限り、本書における「p300」にp300と相同あるいは類似タンパク質として「CBP」を含めることができる。上記p300は、転写因子、例えば、p53、p73(p53ファミリー)、CREB、AML1、Myb、NF−κB、STAT、C/EBP、IRF3、MyoDなどのコアクティベーターとして機能することから、p300インヒビターは、p300の機能阻害を通じて、これらp300が共役する転写因子のインヒビターとしても機能し得る。こうしたp300インヒビターとしては、具体的には、配列番号2に記載されたアミノ酸配列からなるHDARTが挙げられるが、これに限られず、HDARTと同様にp300と結合し、その機能を阻害しうるHDART類似タンパク質もHDARTと均等のものとして、本書における「p300インヒビター(HDART)」に含めることができる。この類似タンパク質としては、配列番号2におけるアミノ酸配列の一つまたは複数を置換、欠失、挿入または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。このHDART類似タンパク質は、ヒトより単離されたHDARTタンパク質の変異体、他の生物より単離されたHDARTカウンターパートおよび人工的に創製したHDART変異体が含まれる。なお、本明細書において「単離」とは、本来の環境(たとえば自然に発生するのであればその自然環境)から取り出された物質(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)を指し、その自然状態から「人の手によって」変えられたものである。「単離」とは、対象化合物に実質的に富む試料中に存在する化合物および/または対象化合物が部分的または実質的に精製されている試料中に存在する化合物を含むことを意味する。ここで「実質的に精製した」という用語は、その天然の環境から切り離されて、天然に関連している他の成分を少なくとも60%、好ましくは75%、および最も好ましくは90%含まない化合物(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)を指す。上記「アミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列」において、アミノ酸の変異数や変異部位はHDARTタンパク質における機能が保持される限り制限はない。変異数は、典型的には、全アミノ酸の10%以内であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内であり、さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内であると考えられる。上記HDARTはヒト由来の核タンパク質であることから、HDARTの調製は、ヒトの核タンパク質を抽出し、例えば後述する抗HDART抗体を用いて精製することができる。また、簡便には、後述する配列番号1に記載のHDARTをコードしたDNAを担持したベクターを有する形質転換体を用いて精製することもできる。上記HDARTに類似したタンパク質の調整は、第一に当業者に周知のハイブリダイゼーション技術を用いて行うことができる。例えば、HDARTをコードしたDNAの塩基配列、例えば、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部をプローブとして、ハイブリダイゼーションによりヒトを含めた哺乳類、その他種々の生物種からHDARTのcDNAと相同性の高いDNAを単離し、単離されたDNAからHDARTに類似したタンパク質を生成することができる。また、上記配列番号1に記載の塩基配列またはその一部をプライマーに用い当業者に周知なPCR(polymerase chain reaction)法により調製することもできる。上記HDARTタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードしたDNAを単離するためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、当業者であれば、適宜選択することができる。一例を示せば、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/ml変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液および温度条件は、1xSSC、0.1%SDS、37℃で、より厳しい条件としては、0.5xSSC、0.1%SDS、42℃で、さらに厳しい条件としては、0.2xSSC、0.1%SDS、65℃で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAの単離を期待しうる。但し、上記SSC、SDS等の試薬条件および温度条件の組合せは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。このようなハイブリダイゼーション技術を利用して単離されるDNAがコードするポリペプチドは、通常、本発明者らにより同定されたポリペプチドとアミノ酸配列において高い相同性を有する。高い相同性とは、少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは少なくとも95%以上、さらに好ましくは少なくとも97%以上(例えば、98から99%)の配列の相同性を指す。アミノ酸配列の同一性は、例えば、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc.Natl.Acad.Sei.USA 87:2264−2268,1990、Proc.Natl.Acad.Sei.USA 90:5873−5877,1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al.J.Mol.Biol.215:403−410,1990)。BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターはたとえばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。上記HDARTと類似したタンパク質は、自然界から分離したタンパク質に限られず、配列番号2に記載のアミノ酸からなるHDARTタンパク質を人工的に改変する方法によっても調製することができる。この人工的な改変は、HDARTタンパク質をコードしたDNA、例えば、配列番号1のDNAを当業者に公知の技術、deletion−mutant作製方法、PCR法、カセット変異法などを用いたsite−directed mutagenesisにより実行することができる。ここで得られたHDART類似タンパク質が、HDARTと同様にp300に結合し、その機能を阻害するか否かは、例えば、TWOハイブリッドシステムや免疫沈降法を利用したp300との結合活性の測定により、あるいは実施例8に示すようなp300が起因する転写に対する阻害活性の測定を指標として判定することができる。上記HDARTタンパク質およびこれに類似したタンパク質は、上述したp300における転写因子のコアクティベーターとして転写因子による転写を促進する機能を阻害する。そのため、これらタンパク質は、p300がいかなる転写因子に関与しているか解析するための実験用ツールとして有益となる。また、p300やp53などの機能が亢進することにより生じる異常なアポトーシスを抑制するための薬剤開発にも有用となる。また、本発明はp300インヒビターをコードしたDNAに関する。このp300インヒビターをコードしたDNAには、HDARTをコードしたDNA、および上記HDART類似タンパク質をコードしたDNAが含まれる。HDARTをコードしたDNAの好適な例として、配列番号1に記載のコード領域が挙げられる。また、類似タンパク質をコードしたDNAは、上記p300結合活性等を有するタンパク質が発現している生物組織由来のcDNAライブラリーから、配列番号1に記載のDNAまたはその断片を標識化したプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、選抜することができる。または、配列番号1に記載のDNAの一部を含む合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして、上記活性を有するタンパク質が発現している組織由来のトータルRNAを鋳型としたRT−PCRにより得ることもできる。また、上述したDNAは市販のDNA合成機を用いて合成することもできる。例えば、配列番号1に記載のDNAおよび相補鎖をそれぞれ合成し、これらをアニーリングさせて二本鎖にすることにより調製することができる。上述したDNAは、p300インヒビターの生産や、in vivoで該p300インヒビターを発現させ、p300の機能解析などを行うために用いることができる。このような場合には、上記DNAを適切な発現ベクターにつないで用いることができる。適当な発現ベクターは、タンパク質生産に用いる翻訳系により、適宜選択することができる。翻訳系は細胞系、無細胞系のいずでもよく目的により選択することができる。細胞系では、例えば、大腸菌で発現させるためのベクターとして、pGEX5X−1(Amersham)、pTrcHis(Invitrogen)などを用いることができる。特に、これら発現ベクターは、他のタンパク質(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ヒスチジンタグなど)との融合タンパク質として発現される。そのため、後述するタンパク質の精製を容易にすることができる。また、昆虫細胞や哺乳動物細胞を用いてタンパク質を生産させる場合には、バキュロウイルスを用いることができる(村松正実 編、ラボマニュアル遺伝子工学第3版、丸善株式会社、1996年発行、pp.242−246)。宿主細胞において発現させた組換えタンパク質は、公知の方法により精製することができる。また、本発明のタンパク質を、上述したような、例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ヒスチジンタグなどを結合した融合タンパク質の形で発現させた場合には、グルタチオンセファロースカラムやニッケルカラム等により精製することができる。上記HDART等をコードしたDNAは、HDART遺伝子の変異又は欠損に起因した疾患の治療や、さらには、p300の異常な亢進による細胞死を伴う疾患などの治療に用いてもよい。このような目的で使用するためには、所望の組織または細胞に該DNAを運搬するためのベクターに上記DNAを組み込んで使用することが好ましい。こうした遺伝子治療目的のベクターとしては、例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アルファウイルスベクター、EBウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターなどのウイルスベクターやカチオニックリポソーム、リガンドDNA複合体、ジーンガンなどの非ウイルスベクターなどが挙げられる(Y.Niitsuら,Molecular Medicine 35:1385−1395(1998)。遺伝子の導入は、in vivoやex vivoなどが考えられる。上記DNAは、全長として用いる場合に限られず、その一部フラグメントとして、ハイブリダイゼーション用プローブ、PCRプライマーまたはリボザイム誘導体として利用することができる。これらの目的で上記DNAの一部を用いる場合には、プローブ等としての特異性を保持できる長さ、例えば、少なくとも15ヌクレオチド長を有していることが好ましい。例えば、こうしたポリヌクレオチドとしては、配列番号1に記載の塩基配列からなるDNAまたはその相補鎖と特異的にハイブリダイズするものが挙げられる。ここで、「特異的にハイブリダイズする」とは、ハイブリダイゼーションにおいて、他のタンパク質をコードするDNAとクロスハイブリダイゼーションが有意に生じないことを意味する。上記プローブ、プライマーは、HDARTあるいは類似タンパク質をコードしたDNAのクローニングやHDARTの機能解析に用いることができる。また。制限断片多型解析方法などを通して、HDART遺伝子もしくはcDNAの多型や変異を検出するために利用することができる。あるいは、例えばHDARTによるp300阻害に起因した疾患の診断に使用することができる。本発明はp300インヒビタータンパク質に結合する抗体に関する。本抗体は、本発明のタンパク質を特異的に認識に結合し得るものであれは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体は、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを用い、周知の方法によりウサギ、モルモットなどの動物を免疫し、抗体価が上昇したことを確認した上で免疫動物の末梢血から血清を得ることにより調製することができる。一方、モノクローナル抗体は、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを用い、周知の方法によりマウスなどの動物を免疫し、抗体価が上昇した免疫動物の脾臓またはリンパ節を採取し、これら組織中の抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させハイブリドーマを調製する。ハイブリドーマから産生される抗体を培養上清から回収することにより得ることができる。これら抗体は、本発明のインヒビターをアフィニティー精製する際に利用することができる他、本発明のタンパク質の発現量検出等を通じて、被験者におけるHDARTの発現異常や構造異常に起因する疾患の検査や診断に用いることができる。なお、本発明のインヒビターを検出する目的で本抗体を用いる場合には、必要に応じてELISA、RIA、ウエスタンブロット法などの手法を用いることができる。本発明は、HDARTを阻害し得るHDART阻害剤のスクリーニング方法に関する。上記スクリーニング方法の第一の実施形態には、HDARTに被験試料を接触させる工程、前記HDARTと被験試料との結合活性を検出する工程、および前記結合活性を有する化合物を選択する工程とを含めることができる。上記第一の実施形態に係るスクリーニング方法は、より具体的には、次のとおり実施することができる。HDARTと結合する化合物を含むと予想される試料、例えば、細胞の培養上清や細胞抽出物を接触させ、その後、本発明の抗体を添加して、HDARTとともに化合物を免疫沈降させることができる。そして免疫沈降産物中に含まれる候補化合物を電気泳動などにより検出することができる。また、結合が検出された試料からの候補化合物の回収は、HDARTとの結合を利用し、例えば、アフィニティークロマトグラフィーなどにより実施することができる。上記スクリーニング方法を実施するための具体的な手段として、「ウエストウエスタンブロッティング法」を用いることができる。すなわち、HDARTと結合するタンパク質を発現していることが予想される組織もしくは細胞よりファージベクターを用いたcDNAライブラリーを作製し、これをアガロース上で発現させて、これをフィルターに転写後、標識したHDARTを反応させて、結合するタンパク質を発現しているプラークを検出する。または、「TWOハイブリッドシステム」を用いて上記スクリーニングを実施することもできる。すなわち、GAL4 DNA結合領域(DNA−BD)と上記HDARTとの融合タンパク質、およびGAL4転写活性化領域(AD)と被験核酸(例えば被験cDNA)を融合させたライブラリー融合体を同時に酵母内に発現させ、両者が相互作用する場合には、DNA−BDとADが近接し、レポーター遺伝子が発現される。レポーター遺伝子の発現を指標に、候補化合物が含まれる酵母を選択し、選択された酵母細胞よりライブラリー融合体を回収することにより、HDARTと相互作用する物質を得ることができる。また、固相などに固定させたHDARTに、合成化合物、天然物バンク、もしくはランダムファージペプチドディスプレイライブラリーを作用させ、結合する分子をスクリーニングする方法や、コンビナトリアルケミストリー技術によるハイスループットを用いたスクリーニングにより候補化合物を単離する方法も当業者の技術範囲内である。第二の実施形態に係るHDART阻害剤のスクリーニング方法には、被験試料存在下でHDARTとp300とを接触させる工程、前記HDARTと前記p300との結合活性を測定する工程、および被験試料非存在下における前記HDARTと前記p300との結合活性に比べ、前記HDARTと前記p300との結合活性を低下させ得る化合物を選択する工程とが含まれる。すなわち、この方法はHDARTがp300に結合することを利用して、これらの結合を阻害し得る化合物を選択する方法である。すなわち、この方法では、HDARTに結合しp300との結合を阻害する化合物のほかに、p300と結合しHDARTの結合を阻害し、HDARTによるp300阻害活性を妨げるものが選抜され得る。上記第二の実施形態のスクリーニング方法は、上述した免疫沈降法などの免疫学的な手法を用いて行うことができる。すなわち、p300、HDARTおよびHDARTと結合する化合物を含むと予想される試料、例えば、細胞の培養上清や細胞抽出物を混合した後、抗HDART抗体または抗p300抗体で免疫沈降させ、免疫沈降産物中のp300またはHDARTが、試料非添加の場合に比べ、低下することを指標にHDART阻害化合物を選抜することができる。また、p300はp53を介してBax遺伝子のプロモーターに結合して、転写を促進し、また、HDARTはこれらp53およびp300による転写を抑制する。そのため、Baxプロモーターの下流にレポーター遺伝子を連結させ、p53存在下、p300、HDART、さらに被験試料を作用させ、p300およびHDARTを作用させた場合に比してレポーター遺伝子の発現量を増加させた化合物を選抜することもできる。なお、ここでBaxプロモーターは、p300が転写因子に共役して転写を促進させるプロモーターの一例であり、これ以外にもp300が関与するプロモーターに変更して上記スクリーニングを実施することは当業者の技術範囲内である。また、上記レポーター遺伝子として、その発現を検出し得るものであれば、特に制限はなく、当業者が一般的に各種解析系に使用し得るレポーター遺伝子、例えば、ルシフェラーゼ、CAT遺伝子、βカラクトシダーゼ遺伝子などのいずれを使用することができる。なお、上記スクリーニング方法における被験試料としては、例えば、細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、タンパク質、天然または合成ペプチド、天然化合物、血清などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明のタンパク質との結合活性を指標とした上記スクリーニングにより単離された化合物を被験試料として用いることも可能である。本スクリーニング方法により選抜された化合物は、HDART阻害を介して、p300による種々の転写因子からの転写を促進させ、p53などの転写因子がかかわる生理学的な活性を発現させることが可能となる。したがって、HDARTの異常により、p300が機能阻害されている場合には、選抜された化合物によるHDARTの発現を調節することが可能となる。発明を実施するための最良の形態以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。[実施例1] HDARTcDNAの単離ヒト新規遺伝子を同定するために、未解析で残されていたATCC(American Type Culture collection)のEST clone plasmid W52930の塩基配列を決定した。配列決定により、W52930インサートに転写制御に関与すると思われる核酸が含まれていることが予想された。W52930インサート中に含まれるORFの5’上流配列を決定するために、5’RACE法を実行した。5’RACE法は、健常人の末梢血からEBウイルスを用いて樹立した細胞株を材料とし、プライマーJP3 AS1(配列番号3)、JP3 AS2(配列番号4)を用いて、5’RACE System(Gibco BRL)により、添付のプロトコールに従って行った。なお、本実施例における塩基配列決定は、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Raction Kit(PE Biosystems社)を用いてシーケンス反応を行い、「ABI PRISM(TM)310 Genetic Analyzer」(PE Biosystems社)で泳動および解析を行うことにより実施した。W52930のインサートにおける決定した塩基配列に、上記で得られた5’上流配列と合わせてHDARTの全cDNA配列を同定した。決定したcDNA配列を配列番号1に示す。また、cDNA配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号2に示す。HDARTは855アミノ酸をコードし、15個のTPRドメインと3つの酸性領域をもっている(図1A)。なお、このタンパク質をHDARTと称する。次に、HDARTの細胞内局在を解析するために、HDARTの抗体を作製した。プライマーHis−S1(配列番号5)とHis−AS1(配列番号6)を用いて、上記PlasmidW52930をtemplateとしてPCRを行い、そのPCR産物をBanHIとXhoIで消化後、HDARTの296から431アミノ酸をコードした領域をpTrc HisB vector(Invitrogen)のBamHI,XhoI siteにサブクローニングした。HDARTの組換えタンパク質(His tagged HDART protein)を大腸菌BL21株(Novagen社)へ添付のプロコトールにしたがって導入・発現させ、目的のタンパク質をNi−NTA resinを用いたNi−NTA Spin Kit(QIAGEN)により添付のプロトコールに従って精製した。上記精製したタンパク質(5mg)を抗原として、定法に従って抗ヒトHDART Rabit抗血清を作製した。この抗血清をさらに、His−tagged HDARTタンパクとProtOnTMKit(Multiple Peptide System社)を用いて精製し、抗ヒトHDARTポリクローナル抗体を得た。ここで得られた抗体を用い、チャンバースライド上に固定されたHeLa細胞を免疫染色した。陰性対照として、免疫前ラビット血清を用いて、同様に免疫染色を行った。この免疫染色と並行して細胞の核内DNAをDAPIにより染色した。免疫染色およびDAPI染色より、抗HDART抗体により核が染色されていた(図1b)。[実施例2] HDARTによるp53依存的な転写活性化の抑制このタンパク質が転写に関与するかを調べるために、以下の実験を行った。野生型p53を保持するhuman osteosarcoma由来U−2OS細胞(5X104細胞/ウェル)を24ウエルプレートに播き16時間培養後、レポータープラスミドとしてBaxプロモーターレポータープラスミド(0.3μg)およびインターナルコントロールphRL−TKプラスミド(5ng)とともに、pcDNA3−HDART発現ベクターをEffecteneTM(Qiagen社)を使って細胞に導入した。ここで用いたBaxプロモーターレポータープラスミドは、Bax遺伝子のプロモーター配列の下流にホタルルシフェラーゼ遺伝子をつないだものであり、p53依存的にBaxプロモーターからの転写が行われ、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼが発現される。すなわち、ルシフェラーゼ活性を測定することにより、p53依存的なBaxプロモーターの転写活性を測定することができる。cDNA3−HDART発現ベクターは、プライマーS3(配列番号13)とAS8(配列番号14)を用い、W52930を鋳型としてPCRを行い、そのPCR産物をBanHIで消化後、おなじBamHIで消化したpcDNA3 pcDNA3(Invitrogen社、米国カリフォルニア州)につないで構築した。なお、この発現ベクターの導入量は、0,0.2,0.5μgとし、トータルDNA導入量を0.5μgとなるようにpcDNA plasmidで補正した。導入後、10%牛胎仔血清を含んだDullbecco’s modified Eagle medium(D−MEM)培地を用い、5%炭酸ガス中、37℃にて培養した。24時間後、細胞をトリプシン処理によって回収し、Dual−Luciferase assay system(Promega社)を用い、添付のプロトコールに従って、ルシフェラーゼ活性とRenillaルシフェラーゼ活性を測定した。測定には、Lumat LB9501(Berthold社)を用いた。各ウエルごとの遺伝子の導入効率を平均化するために、Renillaルシフェラーゼ活性値で補正したルシフェラーゼ活性を転写活性とした。いずれの実験も2セットづつサンプルを用意し、それぞれ二回行った実験結果(計4サンプル)の平均と標準偏差を示した(図2)。なお、エラーバーは標準偏差を示す。図2に示すように、HDARTは導入量に依存して、Bax promoterからの転写活性を抑制した。この結果より、HDARTはp53依存的な転写活性化を抑制することが示された。[実施例3] p53が関与する種々のプロモーターのHDARTによる転写抑制上記実施例2において、HDARTがp53により転写活性化され得るBaxプロモーターからの転写を抑制したことから、上記Bax以外のp53標的遺伝子プロモーターへのHDARTの影響をさらに調べた。ともに野生型p53を保持するU−2OS細胞とHCT116細胞(human colon carcinoma由来)に、それぞれ0.3μgのp21 promoterまたはpG13 reporter plasmid、5ngのphRL plasmidとともに、0.5μgのpcDNA3(−)もしくはpcDNA3−HDART(+)の発現ベクターを上記と同様に「Effectene」を用いてトランスフェクションした。なお、p21プロモーターおよびpG13プロモーターはともにP53により転写活性化され、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼが発現すると考えられる。導入24時間後にルシフェラーゼ活性とRenillaルシフェラーゼ活性を実施例2と同様に測定し、Renillaルシフェラーゼ活性値でルシフェラーゼ活性の値を補正した。pcDNA3を導入したときの補正後ルシフェラーゼ値を100%として、2回の実験の平均値を表した(図3)。エラーバーは標準偏差を示す。図3に示すように、HDART(−)では、p21、pG13プロモーターから転写は活性化されたが、HDART(+)では、これらプロモーターの転写活性化は抑制された。従って、HDARTは、p53による転写活性化を抑制することが示唆された。[実施例4] 外来性p53による転写活性化に対するHDARTの抑制活性さらにp53による転写活性化に対するHDARTの抑制効果を確認するために、外来から細胞にp53を導入し、p53による転写活性化をHDARTが抑制するかを以下の方法で解析した。human osteosarcoma由来のSaos2細胞(p53陰性)に0.2μgのpG13 reporter plasmid、5ngのphRL plasmid、0.4μgのpcDNA3(−)もしくはpcDNA3−HA−p53(+)、0.4μgのpcDNA3(−)またはpcDNA3−HDART(+)発現ベクターをトランスフェクションした。導入24時間後にルシフェラーゼ活性とRenillaルシフェラーゼ活性を測定した。トランスフェクション効率をRenillaルシフェラーゼ活性で補正したルシフェラーゼ活性値の2回の実験平均値を示した(図4)。エラーバーは標準偏差を示す。図4に示すように、HDARTが導入されていない細胞(Mock)では、p53を導入することによりpG13レポーターにおける転写が著しく活性化されたが、HDARTが導入された細胞では、このp53による転写活性化がp53非導入の陰性細胞と同等程度まで抑制された。この結果より、HDARTはp53の転写活性化を抑制することが明確に示された。[実施例5] 放射線照射刺激後のp53によるGadd45、p21遺伝子発現誘導のHDARTによる抑制細胞に放射線を照射することによりp53が誘導され、誘導されたp53により標的遺伝子Gadd45、p21(Cip1/Waf1)の発現が誘導される。この放射線照射により誘導される内在p53による転写活性化をHDARTが抑制するかを以下の通り解析した。U−2OS細胞に1μgのpcDNA3(−)またはpcDNA3−HDART(+)発現ベクターをトランスフェクションした。導入24時間後に、放射線(12Gy)を照射した。陰性対照として、同様にトランスフェクション処理等をした非照射群を準備した。照射4時間後に、これら細胞よりmRNAを精製した。p21、GADD45、β−Actinの次に示すプライマーでRT−PCRを行った。p21 senseプライマー:GGA AGC TTC CTG CCG AAG TCA GTT CCT TGT GGA(配列番号7)、p21 antisenseプライマー:CCA AGC TTC CTG TGG GCG GAT TAG GGC TT(配列番号8)、GADD45 senseプライマー:ATG GAT AAG GTG GGG GAT GC(配列番号9)、GADD45 antisenseプライマー:TGA TCC ATG TAG CGA CTT TC(配列番号10)、β−Actin senseプライマー:GAC CTG ACA GAC TAC CTC AT(配列番号11)、β−Actin antisenseプライマー:AGA CAG CAC TGT GTT GGC AT(配列番号12)。これらの組合せのプライマーを用いたPCRにより得られた各産物をアガロースゲル電気泳動により検出した(図5)。また、各細胞におけるHDARTの発現とp53タンパク量の増加を上記抗HDART抗体または抗p53抗体を用いたWestern blottingにより確認した。なお、Western blottingの方法は当業者に周知の方法で行った。図5に示すように、放射線照射された細胞内では、非照射群に比べp53のバンド強度が上昇し発現が上昇していることが確認された。HDART非存在下では、このp53の発現誘導に対応して標的遺伝子p21、GADD45の発現が誘導された(レーン2)。一方、HDART存在下では、p53の発現誘導に対応した標的遺伝子p21、GADD45の発現が抑制された(レーン4)。この結果より、生理的条件下における内在性p53に依存した標的遺伝子の発現誘導をもHDARTは抑制することが確認された。[実施例6] 放射線照射後のp53dependentな細胞周期の停止のHDARTによる阻害HDARTによるp53依存性転写活性化の抑制が観察されたことから、この抑制によるp53の生理活性への影響を解析した。ここでは、p53の生理活性として、細胞周期の停止に対する影響を以下の通り調べた。U−2OS細胞に、2μgのpcDNA3(Mock)またはpcDNA3−HDART(HDART)の発現ベクターを導入した。導入16時間後に電離放射線を照射(12Gy)または非照射(0Gy)した。照射24時間後に細胞を70%エタノールで固定し、PI(Propidium iodide)でDNAを染色したのち、フローサイトメーターにより細胞周期を解析した。細胞周期を解析した結果、図6に示すように、HDART非導入群では、放射線照射によりG2/Mのピークが放射線非照射群に比して増加し、G2/Mで細胞周期が停止していることが示された。一方、HDART導入群では、放射線照射(12Gy)によるG2/M arrestが阻害された。HDARTはp53による転写活性化の抑制を介して、p53の生理活性を抑制することが示された。[実施例7] p53のコアクティベーターp300による転写活性化のHDARTによる抑制p53による種々の遺伝子の転写活性化は、コアクティベーターであるp300のp53への結合を介して生じると考えられている。そこでHDARTによるp53の転写活性化の阻害がp53に直接作用することにより生じるか、もしくは、コアクティベーターp300に作用して生じるかを解析した。U−2OS細胞に、20ngのp21 promoter reporter plasmid、5ngのphRL plasmid、0.5μgのpcDNA3(−)またはpcDNA3−HDARTの発現ベクターと、0.3μgのpCMV(−)またはpCMV−p300(+)の発現ベクターを導入した。導入24時間後にルシフェラーゼ活性とRenillaルシフェラーゼ活性を測定した。導入効率をRenillaルシフェラーゼ活性で補正し、ルシフェラーゼ活性値を求めた。このルシフェラーゼ活性値は2回の実験の平均値として示した。また、p300およびHDART非導入細胞(pCMV(−)とpcDNA3(−)を導入した細胞)の値を100%とし、相対的ルシフェラーゼ活性として表した(図7)。エラーバーは標準偏差を示す。図7に示すように、HDART非存在下において、p53による転写活性化はp300を発現させることにより著しく上昇した。しかし、HDART存在下では、p300による転写活性化の上昇を完全に抑制した。また更に、HDART存在下では、p53による転写の活性化をも抑制することが示唆された。[実施例8] HDARTによるp300の転写活性化能の濃度依存的な抑制さらに、HDARTのp300への作用を解析するために、HDARTの濃度を変えた際のp300による転写活性化にどのように影響を与えるかを調べた。U−2OS細胞に、0.1μgのGAL4のreporter plasmid、5ngのphRL plasmid、0.1μgのpcDNA3−GAL4p300 plasmidとともに、0、0.1,0.3,0.5μgのpcDNA3−HDARTの発現ベクターを導入した。発現ベクター全体の量はpcDNA3 plasmidで0.5μgに合わせた。導入24時間後に、ルシフェラーゼ活性とRenillaルシフェラーゼ活性を測定した。導入効率を補正したLuciferase活性値の2回の実験の平均値を、pcDNA3のみを導入したときの値を100%として表した(図8)。エラーバーは標準偏差を示す。図8に示すように、HDARTの導入量を増加させるに従って、p300によるルシフェラーゼ遺伝子の発現誘導が抑制された。この結果より、HDARTによりp300自身がもつ転写性化能を抑制することが示された。[実施例9] HDARTとp300タンパクと直接結合上記実施例7、8により、HDARTはp300による転写活性化を阻害することが示されたことから、HDARTによるp300の阻害が両者の直接結合によるものか否かを調べるために、精製したGST−p300融合タンパクとin vitroで合成したHDARTタンパクを用いた結合実験を以下の通り行った。GST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)、GST−p300 CH1(p300システイン/ヒスチジンリッチ領域1:p300のアミノ酸配列300残基から528残基)、GST−p300 Δ CH1(p300システイン/ヒスチジンに富んだ配列を欠失させたp300CH1)、GST−p300 CH3(p300システイン/ヒスチジンリッチ領域1:p300のアミノ酸配列1700残基から1966残基)のそれぞれの融合タンパク発現ベクターを大腸菌DH5α株(TOYOBO)に添付のプロコトールにしたがって導入し、導入後、0.1mMのIPTG存在下で37度4時間の培養により発現させた。集菌後、GST Lysisバッファ(50mM Tris Hcl,pH8.5,300mM LiCl,0.5% NP40,5mM EDTA,1mM PMSF)で溶菌し、30秒の超音波処理により細胞を破砕後、タンパク質を抽出し、グルタチオンセファロース4Bビーズ(Amersham Pharmacia)を用いてGSTまたはGST融合タンパク質を精製した。一方、HDARTタンパクは2μgのpcDNA3−HDART plasmidよりin vitro translation system(TNT(R)、Promega社)を用いて合成し、その際35S−メチオニン(AG1094,Amersham Pharmacia)で標識した。1mlのGST Lysisバッファに、1μgの上記精製したGSTまたはGST融合タンパク、10μlの標識HDARTタンパク、及び30μlのグルタチオンセファロース4Bビーズを添加、混合し、1時間、4℃で反応させた。反応後、セファロースを4回、GST Lysisバッファで洗浄後、サンプルバッファー(60mM Tris−HCl,pH8.4,10% SDS,50% Glycerol,25% 2−Mercaptoehanol)中で、98℃、5分加熱することによりタンパク質を溶出した。溶出した試料をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。泳動後のゲルをクマジーブルー溶液で染色し、分離されたタンパク質を確認した後(図9上図)、乾燥させた。その後、オートラジオグラフィーを行い、標識化HDARTを検出した(図9下図)。図9に示す通り、HDARTはGSTタンパク単独では結合しないが(レーン2)、p300のCH1、CH3ドメインと結合した(レーン3、5)。このp300のCH1領域からシステイン・ヒスチジンリッチなドメインを欠失させたもの(ΔCHI)では、HDARTの結合は著しく阻害された(レーン4)。p300とHDARTとの結合には、p300上のシステイン・ヒスチジンリッチな領域が必要であることが示された。[実施例10] 内在HDARTのsiRNAノックダウン効果による、p53の転写活性の上昇(アポトーシスの亢進)内在HDARTの発現を抑制することにより、p53の生理機能にどのような影響を及ぼすかを調べることにより、p53の正常な生理機能におけるHDARTの重要性を検討した。細胞レベルでの遺伝子発現抑制にはアンチセンスRNAやリボザイムRNAなどの手法が用いられてきたが、近年siRNA(small interfering RNA)を用いて効率良く特異的に遺伝子の発現を抑制できることが示された(Elbashir SM,Harborth J,Lendeckel W,Yalcin A,Weber K,Tuschl T.Elbashier SM,et al.Nature 2001 May 24;411(6836):494−8)。本願発明者らはHDARTに対する特異的siRNAを用いて内在HDARTの発現を抑制し、p53の主要な機能の一つであるDNA二重鎖切断後の細胞死誘導に対する影響を調べた。p53の阻害分子であるところのHDARTの発現抑制が、p53の活性化につながり細胞死が亢進することが期待される。DNA二重鎖切断の誘導剤としてエトポシド(Etoposide)を用いた。この薬剤は、抗癌剤の一種で、睾丸や膀胱癌、肺癌、悪性リンパ腫、急性白血病などの治療に使用される。作用機序としてはトポイソメラーゼIIアルファを阻害し細胞周期のS期及びG2/M期の細胞に対して特にDNA二重鎖切断を起こし、細胞死を誘導する(小川一誠他:癌と化学療法,10,2403(1983)、野田起一郎他:癌と化学療法,21,1633(1994))。この際の細胞死の誘導にはp53が必須であるとされている(Lowe,S.W.,Ruley,H.E.,Jacks,T.,& Housman,D.E.(1993).Cell 74,954−967、Lowe,S.W.,Bodis,S.,McClatchey,A.,Remington,L.,Ruley,H.E.,Fisher,D.,Housman,D.E.,& Jacks,T.(1994).Science 266,807810、Fan,S.J.,Eldeiry,W.S.,Bae,I.,Freeman,J.,Jondle,D.,Bhatia,K.,Fornace,A.J.,Magrath,I.,Kohn,K.W.,& OÅfConnor,P.M.(1994).Cancer Res.54,58245830、Fujiwara,T.,Grimm,E.A.,Mukhopadhyay,T.,Zhang,W.W.,Owenschaub,L.B.,& Roth,J.A.(1994).Cancer Res.54,22872291)。したがって、エトポシドにより誘導される細胞死に対する影響を解析することにより、細胞死誘導というp53の主要な生理活性とHDARTの機能との関連を調べることができる。また、この薬剤は正常な細胞の成長にも影響を与えるので、臨床においては白血球減少や脱毛などの副作用や服用後数年を経て発症する二次性白血病などが重大な問題となっている。よってHDARTの発現を抑制しエトポシドに対する感受性が上がれば、臨床への応用も期待できる。(1)siRNAの設計HDARTのmRNA中5’−AACCAATTCTCTGTCAAATGC/配列番号15(firstメチオニンのATGのAを1とした場合、93から111番目の塩基にあたる)をtargetとしたsiRNAの作製にはセンス鎖として5’−CCAAUUCUCUGUCAAAUGCTT/配列番号16を、アンチセンス鎖としてし5’−GCAUUUGACAGAGAAUUGGTT/配列番号17のRNA−DNAバイブリットオリゴを用いた。内部コントロールとして用いたルシフェレース(GL3遺伝子)に対するsiRNAの作製にはElbashirらの文献(Elbashir SM,Harborth J,Lendeckel W,Yalcin A,Weber K,Tuschl T.Elbashier SM,et al.Nature 2001 May 24;411(6836):494−8)より引用し、センス鎖として5’−CUUACGCUGAGUACUUCGATT/配列番号18を、アンチセンス鎖としてし5’−UCGAAGUACUCAGCGUAAGTT/配列番号19のRNA−DNAバイブリットオリゴを用いた。これらはすべてJbioS株式会社日本バイオサービスに合成を依頼した。(2)siRNAの作製合成されたRNA−DNAバイブリットオリゴのセンス鎖とアンチセンス鎖をアニールさせるためにそれぞれ50μMに希釈したものを30μlずつと5X annealing buffer(50mM Tris−HCl,250mM KCl,7.5mM MgCl2)15μlを混合する。溶液を90℃で1分間加熱し、スピンダウン後に37度60分間静置し、20μMのsiRNAを作製した。(3)細胞へのsiRNAの導入と細胞死解析5X105の細胞を6cmプレートに播き、16時間培養後にそれぞれの20μM siRNA10μlをOligofectAMINE(Invitrogen社)を用いてtransfectionした。方法はOligofectAMINEに付属のプロトコールに従った。siRNAを導入後、48時間培養後に10μMのエトポシドを添加または非添加し、さらに48時間培養後に細胞死の割合を解析した。細胞死の解析は、細胞を回収し、非固定細胞を25μg/mlのヨウ化プロピジウム(propidium iodide,PI)で染色後FACSCalibur(Becton Dickinson社)を用いて行った。PI強陽性の分画を死細胞とした。(4)実験結果(a)U−2 OS細胞(ヒト骨肉種由来)とH1299細胞(ヒト大腸癌由来)にHDART siRNAを導入し、内在HDARTの発現が抑制されるか否かを検討した。上記の方法で述べたような手法でそれぞれのsiRNAを導入し、48時間後に細胞を回収し、常法のWestern blottingにより、抗HDART抗体と抗α−tubulin抗体を用いてそれそれのタンパク質の発現を解析した。結果を図10に示す。レーン1と2はU−2OS、レーン3と4はH1299細胞から抽出したタンパク質を泳動している。また、レーン1とレーン3は内部コントロールのルシフェレースに対するsiRNA(Cont.siRNA)を導入したもの、レーン2と4はHDARTに対するsiRNA(HDART siRNA)を導入したものである。レーン2とレーン4でHDARTタンパクの発現量が減少していることが分った。コントロールタンパク質のα−tubulinの発現量は各群で変化は見られなかった。(b)次いで、エトポシド添加後に誘導される細胞死に対するHDART siRNAの影響を検討した。結果を図11に示す。4枚のパネルのうち、上段がCont.siRNAを導入したもの、下段がHDART siRNAを導入したもので、エトポシドについてはそれぞれ左側(−)が無添加、右側(Etoposide)が添加群を示している。各パネルのX軸がPIの蛍光強度をY軸が細胞数を表している。バーで示した部分はPI強陽性の分画であり、死細胞である。各ヒストグラム内の数字は、バーで示した部分の細胞の割合を表している。(c)(b)の実験を2回行い、その平均値を棒グラフで表した(図12)。エラーバーは標準偏差を表す。グラフ中、*1と*2の間の危険率はStudentのt検定によるとP<5%であり、有意であるとみなされた。HDART siRNAを導入した群ではエトポシドにより誘導される細胞死がコントロールに比して、約2倍上昇することがわかった。本実施例により、HDARTに対するsiRNAを用いて、特異的に高率良く、内在HDARTの発現を抑制できた。また、HDART siRNAを用いて、内在HDARTの発現を抑制させることにより、抗癌剤の一つであるエトポシドに対する感受性を亢進させることができた。In vivoでHDART siRNAを高率よく発現させる系ができれば、感受性の亢進により抗癌剤の投与量を減少させることができ、副作用の軽減につながることが予想される。また、今までの至適濃度の抗癌剤で効かなかった癌に対しても感受性をあげることができる可能性がある。産業上の利用の可能性本発明のHDARTは、p300に結合し、p300をコアクティベーターとする転写因子により転写を阻害する。このようにp300は種々の転写因子に関与し、種々の生理学的な活性の発現を担うと考えられる重要なタンパク質である。このような重要なタンパク質に対するインヒビターはp300の機能解析を進める上で有益となる。また、HDARTはp300阻害を通じて、転写因子p53に依存した細胞周期停止を阻害した。このことから、HDARTがp300阻害を介してp53機能発現を阻害し癌化を誘導することも予想される。また、p300あるいはp53機能異常に関与する疾患に対する治療薬の開発に、HDARTが有用になることが示唆される。さらに、HDARTをsiRNAによりノックダウンすることにより生理的影響を検討した結果、p300、p53の転写活性上昇によるアポトーシスの亢進が見られた。従って、HDARTの阻害剤は、抗癌剤あるいは抗癌剤の併用剤(抗癌剤感受性の上昇)として大いに有用である。【配列表】【図面の簡単な説明】図1は、HDARTタンパク質の構造を模式的に示す図、およびHDARTの細胞内局在の解析結果を示す写真である。(A)にHDARTタンパク質の構造を模式的に示し、ハッチで示したボックスはテトラトリコペプチドリピート(34アミノ酸からなる繰返し配列)を表し、黒塗りのボックスは酸性領域を表す。(B)は、HDARTの細胞内局在の解析結果であり、HDARTが核タンパクであることが示されている。図2は、p53による転写活性をHDARTが濃度依存的に阻害したことを示すグラフである。グラフの下部にHDARTの投与量を模式的に示し、グラフの縦軸はBaxプロモーターから発現されたルシフェラーゼの相対的な活性を示す。図3は、p53が発現しているU2OSおよびHCT116の2種類の細胞およびp53が結合することが報告されている2種類のプロモーターp21、pG13を用い、プロモーターの下流につながれたルシフェラーゼ活性を基にHDARTの転写抑制を測定した結果を示すグラフである。図において、「−」はHDART非投与を「+」はHDART投与を示す。図4は、細胞外から人工的にp53およびHDARTを投与した際の、pG13レポーター遺伝子におけるルシフェラーゼ活性を測定した結果を示すグラフである。図において、「Mock」はHDART非投与のコントロール細胞、HDARTはHDART投与細胞群である。また「−」はp53非投与を、「+」はp53投与を表す。図5は、電離放射線(IR)照射により内因性p53を誘導した後にHDART投与した際の、p53標的遺伝子の発現をRT−PCRにより解析した結果を示す電気泳動の写真である。図上部の「−」は放射線非照射、「+」は放射線照射を表す。Gadd45、p21は解析対象のp53標的遺伝子であり、アクチンは内部コントロールである。図6は、電離放射線(IR)照射によるp53に依存した細胞周期の停止がHDART投与により阻害されるか否かを解析した結果を示すフローサイトメトリーのヒストグラムを示す図である。放射線照射により細胞周期の停止が生じ(右上)、放射線照射後HDART投与した細胞では細胞周期の停止が解消された(右下)。図7は、p53のコアクティベーターp300の転写活性をHDARTが阻害するかを解析した結果を示すグラフである。グラフにおいて、p300は「+」はp300遺伝子を外部より投入し過剰発現させた細胞であり、「−」はp300遺伝子が外部導入されていない群を示す。「pDNA3−mock」はHDARTを保持しないコントロールのプラスミド投与群を、また、「pDNA3−HDART」はHDARTを保持したプラスミドを投与した群を表する。図8は、HDARTが直接p300に作用して転写阻害をもたらすか否かを解析するために、p53を介しないGAL4レポーター解析系を用いて、HDARTによる転写阻害を測定した結果を示すグラフである。図中グラフの下部には、HDARTの投与量が示されている。さらにその下には、本解析系を模式的に示し、GAL4−p300融合タンパク質はGAL4結合部位に結合してレポーターであるルシフェラーゼ遺伝子を発現させる。図9は、p300とHDARTとの結合活性をGST−p300融合タンパク質を用いて解析した結果を示す電気泳動の写真である。クマシーブルー染色により抗GST抗体で免疫沈降したトータルタンパク質が検出され、オートラジオグラフィーでは、標識されたHDARTが検出される。図10は、ウェスタンブロッティングにより内在HDARTの発現が抑制されるか否かを検討した結果を示す写真である。図11は、エトポシド添加後に誘導される細胞死に対するHDART siRNAの影響を検討した結果を示す図である。図12は、図11の実験を2回行い、その平均を棒グラフで表した図である。 下記(A)または(B)に記載のp300インヒビターをコードした核酸。(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるインヒビター。(B)配列番号2に記載のアミノ酸において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるインヒビター。 p300インヒビターをコードした下記(A)または(B)の核酸。(A)配列番号1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸。(B)配列番号1に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズする核酸。 配列番号1に記載の塩基配列からなる核酸又はその相補鎖に対して相補的であり、少なくとも15ヌクレオチド長を備えた核酸。 請求項1または2に記載の核酸をコードしたp300インヒビター。 請求項4に記載のp300インヒビターに特異的な抗体。 請求項4に記載のp300インヒビターまたは請求項1もしくは2に記載のインヒビターをコードした核酸を含む、転写阻害用組成物。 請求項4に記載のp300インヒビターを阻害し得る阻害物質のスクリーニング方法であって、請求項4に記載のp300インヒビターに被験試料を接触させる工程、前記p300インヒビターと被験試料との結合活性を検出する工程、および前記結合活性を有する化合物を選択する工程と、を含む、方法。 請求項4に記載のインヒビターを阻害し得る阻害物質のスクリーニング方法であって、被験試料存在下で請求項4に記載のp300インヒビターとp300とを接触させる工程、前記p300インヒビターと前記p300との結合活性を測定する工程、および被験試料非存在下における前記インヒビターと前記p300との結合活性に比べ、前記インヒビターと前記p300との結合活性を低下させ得る化合物を選択する工程とを含む、方法。 ヒトcDNAライブラリーより、ヒストンアセチル化酵素p300のインヒビターを単離・同定した。このインヒビターは、855アミノ酸残基からなる核タンパク質である。このインヒビターは、p300のシステイン/ヒスチジンに富んだ領域に結合し、p300による転写活性化を阻害する。このp300をコアクティベーターとするp53の転写活性をも阻害し、p53に依存した細胞周期停止をも阻害した。