タイトル: | 特許公報(B2)_2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の製造方法 |
出願番号: | 2002003549 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07D 339/08 |
田中 守 金村 芳信 船江 昭広 山本 英生 小林 誠一 JP 4217018 特許公報(B2) 20081114 2002003549 20020110 2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の製造方法 三井化学株式会社 000005887 宮崎 昭夫 100123788 石橋 政幸 100106138 緒方 雅昭 100127454 田中 守 金村 芳信 船江 昭広 山本 英生 小林 誠一 20090128 C07D 339/08 20060101AFI20090108BHJP JPC07D339/08 C07D 339/08 REGISTRY(STN) CAplus(STN) 特開平06−025223(JP,A) 特開平03−236386(JP,A) 特開平05−001057(JP,A) 特開平05−194486(JP,A) 3 2003206287 20030722 9 20041015 早乙女 智美 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は光学プラスチックレンズ用ウレタン樹脂のモノマーである2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】特開平3−236386号公報において、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンがチオウレタン系光学樹脂用のモノマーであることが知られている。製造方法としてはジアリルジスルフィドと臭素を反応させ、2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンとした後、チオ尿素を作用させ、イソチウロニウム塩を生成させ、これを塩基性水溶液で加水分解、塩酸で中和し目的物を得る方法が記載されている。【0003】更に、特開平6−25223号公報では、ジアリルジスルフィドを塩素化して得られる2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンを蒸留等の精製をした後にチオール化することにより、特開平3−236386号公報記載の方法に比べ、収率良く且つ高純度で目的物を製造できる旨が記載されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】これらの方法によれば、光学レンズモノマーとして使用可能な2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを製造することができる。しかしながら、前者の方法では、最終の蒸留工程までに行われるのは、2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンの結晶化等による精製もしくはイソチウロニウム塩の洗浄等による精製で、収率の低下を招くうえに精製が不十分なため、蒸留工程での負荷が大きく、不純物の熱分解物等の混入もあり純度、収率ともに上がらないという問題がある。【0005】一方、後者の方法では前者の課題を克服すべく、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンを蒸留等で精製した後にチオール化を行っている。確かにこの方法であれば、前者の課題は解決する。しかしながら、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンは毒性が高い物質である。特に皮膚刺激性は極めて強く、微量の接触でケロイド状の火傷痕を残すほどの危険な物質である。そのような危険な物質を精製単離することは工業的製法上、好ましいとは言えない。更に、蒸留残さも同様な危険物質である可能性が高く、これらを処理する危険性を考えても2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンを精製するのは好ましい方法ではない。しかしながら、どこかで精製工程を入れないことには高収率、高純度で目的物を得ることは困難である。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類を単離精製することなく、また、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類の純度にかかわらず、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を高純度、高収率、且つ安全、安定的に製造する方法を見出し、本発明を完成した。【0007】 即ち、本発明は以下<1>〜<4>の工程からなる一般式(1)【0008】【化4】【0009】(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表される2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の製造方法に関する。<1> 一般式(2)【0010】【化5】【0011】(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表されるジアルケニルジスルフィドを塩素化し、一般式(3)【0012】【化6】【0013】(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表される2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類を製造する工程;<2> 2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類を単離・精製することなくチオ尿素によりイソチウロニウム塩化する工程;<3> 下記A又はBの工程;A:得られたイソチウロニウム塩を、芳香族炭化水素溶媒と脂肪族炭化水素溶媒の混合溶媒の存在下に塩基で加水分解し、有機溶媒層を水層及びタール層と分離した後、有機溶媒層を酸洗浄し、有機溶媒を除去して粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得る工程、B:得られたイソチウロニウム塩を、芳香族炭化水素溶媒の存在下に塩基で加水分解し、水層を除去後、有機溶媒層を酸洗浄し、有機溶媒を除去して第1の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得、次に、第1の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を芳香族炭化水素溶媒と脂肪族炭化水素溶媒の混合溶媒又はアセトニトリルから選択される抽出溶媒と混合し、抽出溶媒層とタール層を分離し、得られた抽出溶媒層から抽出溶媒を除去して第2の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得る工程、<4> 粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類(上記Bの場合は第2の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類)を蒸留して精2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得る工程。【0014】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の中間体である2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類はジアルケニルジスルフィドをジクロロメタン等の有機溶剤に溶解させた後、塩化スルフリル等の塩素化剤を作用させることにより生成される。タール発生原因は本反応にあり、この反応を低温で行えば行うほどタール生成量は減少する。タールは蒸留精製時の負荷となるため、できるだけ低温で行い、タールの生成量を低減させるのが好ましいところだが、後述するように、本発明によれば、タール発生量が増加してもチオール化と同時の脱タールもしくはチオール化後の脱タールによって得られる2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の粗体の純度を高められるため、多大な設備投資をしてまで極端な低温で反応を行う必要はないという点も本発明の有用な点である。【0015】次いで、溶媒、塩化スルフリル使用の場合は脱二酸化硫黄を同時に行い、そのマスにエタノール等のアルコール溶媒、チオ尿素を加え、イソチウロニウム塩とした後、濾過によりアルコール溶媒を除去してイソチウロニウム塩を得る。本発明のタールカットを行わない場合は、イソチウロニウム塩の再結晶が必要であったり、何度も洗浄する必要があり、収率低下の一因となる。また、精製をしないと蒸留工程での熱分解による着色が大きく、プラスチックレンズに使用可能な目的物を収率良く得ることができない。これに対して、本発明ではイソチウロニウム塩での精製の必要がなく、収率の低下を防ぐと同時に操作上の煩雑さも低減できる。取出したイソチウロニウム塩に、チオール化と脱タールを同時に行う場合は、本発明の抽出溶媒、水、アンモニア水を加え、チオール化を行う。攪拌を停止し、静置させることにより2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の溶解した有機溶媒層、水層、タール層に分離する。タール層、水層を除去後、有機層に酸洗浄、水洗浄を施した後、溶媒を留去すれば純度の高い2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の粗体を得ることができる。これを蒸留精製することにより高純度、高収率で色相の優れた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得ることができる。【0016】脱タールを後から行う場合は、濾過後のイソチウロニウム塩にトルエン、水、アンモニア水を加えチオール化を行う。水層を除去後、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の溶解した有機溶媒層に酸洗浄、水洗浄をかけた後、溶媒を留去し、比較的純度の低い2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の粗体を得る。ここに、本発明の抽出溶媒を加えると2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類が選択的に抽出できる。この溶液の溶媒を留去することにより純度の高い2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の粗体を得ることができる。これを蒸留精製することにより高純度、高収率で色相の優れた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類が得られる。本発明によれば、蒸留工程は脱タール蒸留、脱低沸の後の単蒸留のみで精製可能であるが、脱タール工程をとらない場合は脱タール蒸留の後、分留(脱低沸)を数回繰り返さねば光学用レンズに使用可能な色相の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類は得られない。【0017】チオール化と同時の脱タール、チオール化後の脱タール、いずれの系においても一度排出したタールから本発明の抽出溶媒を使用して更に2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を抽出し、純度を落とすことなく収率を向上させることが可能である。【0018】本発明に使用される一般式(2)で表されるジアルケニルジスルフィドとしては、ジアリルジスルフィド、ジメタリルジスルフィド、アリルメタリルジスルフィドである。【0019】本発明で使用される2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の抽出溶媒は良溶媒と貧溶媒の組み合せの混合溶媒が主である。【0020】良溶媒としては例示の限りではないが、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル化合物があげられる。但し、エステル化合物は、チオール化と同時に脱タールする場合の溶媒としては適さない。これらの良溶媒のうち、トルエンが最も好ましく用いられる。【0021】一方、貧溶媒としては、例示の限りではないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンの脂肪族炭化水素化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類が挙げられ、これらの中から良溶媒と任意に溶解するものを選択して用いる。先の良溶媒で最も好ましいとしたトルエンに対しては限定するものではないがn−ヘキサン、シクロヘキサン等を用いるのが好ましい。【0022】また、チオール化後の抽出溶媒に限定してアセトニトリルが単独で使用することができる。使用する溶媒量、混合溶媒の溶媒比は2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチア類の粗体の組成、目的とする純度、回収率により異なり、又使用する溶媒によっても異なるため限定されない。【0023】【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明する。【0024】実施例1温度計、窒素導入管、コンデンサーを設置した1L4つ口フラスコに純度96.0%のジアリルジスルフィド100.6g(0.66mol)、塩化メチレン700gを装入し−25℃付近まで冷却した。そこに、塩化スルフリル90.0(0.66mol)gを1時間かけて滴下ロートから滴下した。この時の反応マスの温度は−20℃付近で保持した。反応マスを室温にもどした後、蒸留塔、コンデンサー、受器を設置し、20℃〜40℃、94.7kPa〜2.7kPaで脱二酸化硫黄、脱溶媒を行い、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンの粗体を得た。ここに、チオ尿素95.4g(1.25mol)とエタノール350gを加え、60℃〜75℃で2時間かけてイソチウロニウム塩化を行った。【0025】冷却後、反応マスを減圧ろ過し、濾塊をエタノール65gでリンスした後、イソチウロニウム塩を得た。【0026】このようにして得られたイソチウロニウム塩221.7gを攪拌翼、温度計、窒素導入管、コンデンサーを設置した底抜きコック付き2L五つ口フラスコに移し、そこに水100g、トルエン:ヘキサン=1:1(vol)混合溶媒600mlを加えた後、25%アンモニア水90gを加え60℃にて2時間チオール化を行った。反応終了後、攪拌を停止し、内温を保ったまま30分間静置した。内容物は上から有機溶媒層、水層、タール層の順に分液した。この時の分液性は良好であった。タール層、水層を除去した後、残った有機層に36%塩酸を100g加え、60℃で1時間攪拌した。30分間静置した後、塩酸層を除去した。残った有機層に蒸留水を100g加え、60℃で1時間攪拌した。30分間静置した後、水層を除去した。更にこの操作を二回繰り返した後、溶媒を留去し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体96.2gを得た。純度は91.1%、純度換算収率は60.8%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン71.9gの純度は99.8%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。ジアリルジスルフィドからの収率は51.2%であった。【0027】実施例2抽出溶媒としてトルエン:ヘキサン=3:2(vol)混合溶媒400mlを用いた以外は実施例1に準じて行った。2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体96.2gの純度は89.5%、純度換算収率は61.4%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン73.5gの純度は99.7%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。ジアリルジスルフィドからの収率は52.3%であった。【0028】実施例3抽出溶媒としてトルエン:ヘキサン=4:5(vol)混合溶媒800mlを用いた以外は実施例1に準じて行った。2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体92.5gの純度は90.5%、純度換算収率は59.8%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン72.0gの純度は99.9%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。【0029】実施例4抽出溶媒としてトルエン:ヘキサン=1:1(vol)混合溶媒600mlを用い、更に、除去したタール分からトルエン:ヘキサン=1:1(vol)混合溶媒200mlを用いて60℃にて再抽出した溶液を酸洗浄前に加えた以外は実施例1に準じて行った。2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体92.5gの純度は90.2%、純度換算収率は62.6%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン75.9gの純度は99.8%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。ジアリルジスルフィドからの収率は54.1%であった。【0030】比較例1イソチウロニウム塩までは実施例1に準じて合成し、得られたイソチウロニウム塩221.7gを攪拌翼、温度計、窒素導入管、コンデンサーを配した底抜きコック付き2L五つ口フラスコに移し、そこに水100g、トルエン400mlを加えた後、25%アンモニア水90gを加え60℃にて2時間チオール化を行った。反応終了後、攪拌を停止し、内温を保ったまま30分間静置した。内容物は上から有機溶媒層、水層の順に分液した。この時の分液性は良好であった。水層を除去した後、残った有機層に36%塩酸を100g加え、60℃で1時間攪拌した。30分間静置した後、塩酸層を除去した。残った有機層に蒸留水を100g加え、60℃で1時間攪拌した。30分間静置した後、水層を除去した。更にこの操作を二回繰り返した後、溶媒を留去し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体113.5gを得た。純度は83.6%、収率は67.7%であった。この粗体を蒸留精製したところ、含まれるタール分の分解により留分が着色した。蒸留を5回繰り返し、プラスチックレンズに使用可能な色相を有する2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを24.6g得た。純度は99.6%、収率は17.5%であった。【0031】実施例5比較例1に準じて合成した、純度85.7%の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体300gにアセトニトリル2000mlを加え、20℃で1時間攪拌した。攪拌を止め30分間静置したところ、上層に2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンのアセトニトリル溶液層、下層にタール層の2層に分離した。タール層を排出し、アセトニトリルを留去し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体250.0gを得た。純度は93.0%、回収率は90.4%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン201.9gの純度は99.7%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。【0032】実施例6アセトニトリルの使用量を1500mlにした以外は実施例6に準拠した。得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体236.1gの純度は94.1%、回収率は86.4%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン193.0gの純度は99.9%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。【0033】実施例7アセトニトリル1000mlで1度抽出し、排出したタールから500mlのアセトニトリルで再抽出を行った以外は実施例6に準拠した。得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体256.1gの純度は94.5%、回収率は94.1%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン210.9gの純度は99.9%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。【0034】実施例8比較例1に準じて合成した、純度85.7%の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体100gにトルエン:ヘキサン=2:1(vol)混合溶媒を300ml加え、20℃で1時間攪拌した。攪拌を止め30分間静置したところ、上層に2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンのトルエン-ヘキサン溶液層、下層にタール層の2層に分離した。排出したタールにトルエン:ヘキサン=2:1(vol)混合溶媒を200ml加え、再抽出を行った。両溶液を混合後、溶媒を留去し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体91.0gを得た。純度は90.5%、回収率は96.0%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン70.2gの純度は99.7%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。【0035】実施例9トルエン:ヘキサンの比率を3:2(vol)にした以外は実施例8に準拠した。得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの粗体88.8gの純度は92.7%、回収率は96.0%であった。この粗体を蒸留し、得られた2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン70.4gの純度は99.8%で、プラスチックレンズ用モノマーとして十分使用できる色相であった。【0036】【発明の効果】本発明によれば、プラスチックレンズ用モノマーに十分に使用可能な色相の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を高純度、高収率、且つ安全、安定的に製造することが可能である。 以下<1>〜<4>の工程からなる一般式(1)(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表される2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の製造方法<1> 一般式(2)(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表されるジアルケニルジスルフィドを塩素化し、一般式(3)(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表される2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類を製造する工程;<2> 2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類を単離・精製することなくチオ尿素によりイソチウロニウム塩化する工程;<3> 得られたイソチウロニウム塩を、芳香族炭化水素溶媒と脂肪族炭化水素溶媒の混合溶媒の存在下に塩基で加水分解し、有機溶媒層を水層及びタール層と分離した後、有機溶媒層を酸洗浄し、有機溶媒を除去して粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得る工程;<4> 粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を蒸留して精2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得る工程。 以下<1>〜<4>の工程からなる一般式(1)(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表される2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類の製造方法<1> 一般式(2)(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表されるジアルケニルジスルフィドを塩素化し、一般式(3)(式中R1、R2は水素、メチル基を表し、同一でも異なっても良い)で表される2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類を製造する工程;<2> 2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン類を単離・精製することなくチオ尿素によりイソチウロニウム塩化する工程;<3> 得られたイソチウロニウム塩を、芳香族炭化水素溶媒の存在下に塩基で加水分解し、水層を除去後、有機溶媒層を酸洗浄し、有機溶媒を除去して第1の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得、次に、第1の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を芳香族炭化水素溶媒と脂肪族炭化水素溶媒の混合溶媒又はアセトニトリルから選択される抽出溶媒と混合し、抽出溶媒層とタール層を分離し、得られた抽出溶媒層から抽出溶媒を除去して第2の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得る工程;<4> 前記第2の粗2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を蒸留して精2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン類を得る工程。 芳香族炭化水素溶媒がトルエン、脂肪族炭化水素溶媒がn−ヘキサンである請求項1又は2記載の製造方法。