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タイトル:特許公報(B2)_住肉胞子虫、ネオスポラ、トキソプラズマおよびイソスポラによる疾患処置のためのプラジカンテル化合物
出願番号:2001585742
年次:2012
IPC分類:A61K 31/4745,A61P 15/06,A61P 25/00,A61P 33/02,C07D 471/04


特許情報キャッシュ

ケネデイ,トーマス・ジエイ JP 4991076 特許公報(B2) 20120511 2001585742 20010518 住肉胞子虫、ネオスポラ、トキソプラズマおよびイソスポラによる疾患処置のためのプラジカンテル化合物 バイエル・コーポレーシヨン 392010599 BAYER CORPORATION 特許業務法人小田島特許事務所 110000741 ケネデイ,トーマス・ジエイ US 09/576,791 20000523 20120801 A61K 31/4745 20060101AFI20120712BHJP A61P 15/06 20060101ALI20120712BHJP A61P 25/00 20060101ALI20120712BHJP A61P 33/02 20060101ALI20120712BHJP C07D 471/04 20060101ALN20120712BHJP JPA61K31/4745A61P15/06A61P25/00 171A61P33/02A61P33/02 173C07D471/04 116 A61K,C07D CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特表平11−506438(JP,A) 特開平09−087196(JP,A) 7 US2001016440 20010518 WO2001089497 20011129 2003534275 20031118 9 20080508 田村 聖子 【0001】[発明の分野]本発明は流産惹起性もしくは神経学的疾患を誘起する寄生虫に感染した動物を処置するためのプラジカンテル組成物に関する。より具体的には、本発明は哺乳動物の流産惹起性もしくは神経学的疾患を誘起するコクシジウムのような寄生的原生動物を処置するために有効なプラジカンテル組成物に関する。【0002】[先行技術の簡単な説明]神経学的および/もしくは流産惹起性疾患を誘起することが疑われる原生動物により惹起された疾患から、様々な哺乳動物、昆虫および魚類を防護し、処置する際に、当該技術分野は、なかでも最近のものはトリアジンオン(toriazineone)化合物である、数々の化合物を使用してきた。概括的に、これらの化合物に感受性の原生動物は、下痢、るいそう疾患、嘔気および嘔吐を惹起する、鳥、哺乳動物および昆虫の腸に感染する寄生虫を含む。最近、胎盤関門を通過する寄生虫のみならず、血液脳関門を通過する幾つかの寄生虫をトリアジンオンで処置することができることが発見された。血液脳関門もしくは胎盤関門を通過することが今日知られている寄生虫の例はToxoplasma gondii、Sarcocystis neurona、Neospora caninum、Neospora hugesiおよびIsospora suisのようなコクシジウム疾患を惹起するものである。トリアジンオン化合物の例はジクラズリル化合物のようなトリアジンジオンおよびトルトラズリル化合物のようなトリアジントリオンである。米国特許第4,933,341号、第4,935,423号、第5,114,938号、第5,141,938号、第5,188,832号、第5,196,562号、第5,256,631号および第5,464,837号明細書を参照されたい。【0003】なかでもプラジカンテル(2−アシル−4−オキソ−ヘキサヒドロ−4H−ピラジノ[2,1−a]イソキノリン誘導体)に関する他の当該技術分野に関連の化合物が寄生虫の処置における使用に対して開示されているが、その明細書は血液関門もしくは胎盤関門を通過する寄生虫処置に有効な化合物に関する教示もしくは示唆を示していない。概括的に、プラジカンテルは条虫および線虫等の感染処置のための駆虫組成物を調製するために、それ自体もしくは他の化合物と組み合わせて使用されてきた。米国特許第4,001,411号、第4,447,414号および第5,824,653号を参照されたい。【0004】米国特許第5,663,155号明細書はマラリヤ、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、住血吸虫症および象皮症のような疾患を惹起する寄生虫感染症の予防および処置における使用のためのプラジカンテルを開示している。その特許はまた、プラジカンテルを、血液、リンパおよび組織に限定された寄生虫感染症を処置するために使用することができるかも知れないことを示唆している。筋肉組織もしくは腸のそれらの感染に関連して、特にトキソプラズマ症および住肉胞子虫症が言及されている。トキソプラズマ、住肉胞子虫、ネオスポラもしくはイソスポラが成長哺乳動物の脳内に埋封されるかもしくは胎盤関門を通過して胎児の中枢神経組織を感染させて、流産もしくは脆弱新生児をもたらす疾患の処置もしくは予防についての言及はない。【0005】概括的に、トリアジンオンの作用機序は内臓および腸壁細胞中に認められた中間寄生段階を攻撃して、寄生虫の小胞体、核周囲空間およびミトコンドリアを膨潤させることである。これは意図的に核分裂能を混乱させ、分裂体および小生殖母細胞を小さく維持し、ごく僅かな分裂小体および小配偶子それぞれを形成させる。最終的結果は寄生虫のこれらの後期段階の新規哺乳動物の細胞中への浸透能の喪失、それによる宿主中での寄生虫の複製の有効な停止であると報告されている。【0006】米国特許第5,663,155号(同上)明細書により開示されたパラジカンテルの作用機序はプリン誘導体およびプリン−様化学構造物の代謝に関連する寄生虫の酵素過程の破壊に関与する。寄生虫はこれらの過程の妨害に非常に感受性であるので、寄生虫感染を選択的に排除するためにこれらの過程を特異的に標的とする組成物を使用することができる。プラジカンテルは、筋肉組織、腸もしくは血液感染に関連する寄生虫を攻撃するように投与される。中枢神経系(脳および脊髄)の寄生虫もしくは胎盤関門を通過することができる寄生虫の処置についての言及はない。【0007】当該技術分野は1970年代以来、哺乳動物の神経学的および/もしくは流産惹起性疾患を誘起することが疑われた原生動物に関心を払って来たが、幾つかのこれらの原生動物の成功した単離およびインビトロの培養は困難であることが判明した。例えば、脳もしくは脳脊髄液からの寄生虫の成功した単離は、1980年代末まで達成されなかった。しかし、神経学的疾患は脳に感染している原生動物により発生させることができ、流産惹起疾患は胎児に感染している原生動物により発生させることができることが決定された後には、有害な副作用を惹起せずに血液−脳関門および胎盤関門を通過することができる有効な抗原生動物薬の需要が存在した。哺乳動物の血液−脳関門もしくは胎盤関門を通過することができる薬剤は非常に少ない。不幸なことには、脳の寄生虫感染症を有効に処置するための血液−脳関門および/もしくは胎盤関門を横断する当該技術分野で知られた多数の薬剤は、膨大な危険性を伴なわずにはそれらを使用することができないような有害な副作用を有する。従って、このような神経学的もしくは流産惹起性疾患に有効な処置を提供する有効な薬剤は今日いまだに承認されていない。【0008】プリン代謝に影響を与える酵素に対するその広域の攻撃に関する、米国特許第5,663,155号明細書中に開示されたプラジカンテルの作用機序に基づいて、本化合物もまた、脳の寄生虫感染症を伴なう哺乳動物を処置するために使用される場合に有害な効果を惹起するかも知れないことが期待されたであろうことは注目に値する。【0009】以下は、プラジカンテルにより処置可能な本発明の寄生虫疾患の簡単な説明である。ウマの原生動物による骨髄脳炎(Equine Protozoal Myeloencephalitis)(EPM)はストレスを受けている若いウマ(例えば、サラブレッド競走馬および純血種の芸当用ウマ)に傾向をもつ、ウマの神経学的疾患であり、従ってウマ産業に対して重要な金銭的影響をもつ疾患である。1970年代に疾患として最初に認識されたEPMは、1991年に初めて、EPMをもつウマから培養され、Sarcocystis neurona(神経住肉胞子虫症)の名称を与えられた。1997年に、今日Neospora hugesiの名称を与えられたネオスポラ亜種をEPMをもつウマの脳から単離した。従って、今日、EPMはこの新規に確認された生物単独により、Sarcocystis neurona単独もしくは2種の組み合わせ物により惹起されることができることが提唱されている。【0010】もう1種のコクシジウム寄生虫、のToxoplasma gondiiはしばらく以前から知られており、最初はネコの腸および筋肉組織から単離された。ウシ、ヒツジ、ブタおよびヒトを含む他の動物に卵母細胞を散布する、長期間の間、生物に宿ることができるこの寄生虫の固有宿主はネコである。ヒツジ、ウシおよびヒトの感染は流産および、主として中枢神経系に影響を与える、先天的に獲得された障害と関連付けられてきた。それはまた、最近、妊娠期間中の感染の前にはセロネガティブであった感染母親に生まれたコネコの流産および奇形と関連付けられた。ウシ、ヒツジ、ブタおよびヒトのようなネコ以外のの宿主は、卵母細胞を産生しいないで発育させ、疾患の臨床的症候−神経学的症状および、胎児の欠陥を伴なう流産を惹起するタキゾイトおよびブラディゾイトによる筋肉および脳の侵襲を罹患する可能性がある。60%のネコがT.gondiiに血清学的に陽性であると報告されている。再度、トキソプラズマ症に対する認められた処置もしくは予防法は存在しない。【0011】更にもう1種のコクシジウム寄生虫の、最初に1988年にイヌから単離されたNeospora caninumは、動物に神経学的および流産惹起性疾患の双方を発生する。以前はToxoplasma gondiiと混同された。この寄生虫により惹起される疾患は胎盤経由で感染した子イヌにもっとも重症に発現し、子犬において、特に後肢の進行性上昇麻痺を特徴とし、多発性筋炎および肝炎も起こる可能性がある。この疾患は比較的最近、新生のコウシの流産および神経学的に関連した四肢の欠損の主因として認められた。流産胎児の非化膿性脳炎および脊髄炎の顕微鏡病巣を脳、脊髄および心臓に認めることができる。Neospora caninumの固有宿主は最近イヌであることが同定された。現在、イヌもしくはウシのNeospora caninumまたはウマのNeospora hugesiのどちらにも承認された処置もしくは予防法は存在しない。【0012】以上から理解されるであろうように、前記に引用の参考文献を含む先行技術は、許容されない副作用を惹起せずに、コクシジウムもしくは、より具体的には流産惹起性もしくは神経学的疾患を惹起する住肉胞子虫属のもので感染した動物の処置におけるプラジカンテルの使用を暗示もしくは教示していない。本発明により、神経学的もしくは流産惹起疾患を発現する寄生虫疾患を罹患する動物のための改善された安全な処置を提供する。【0013】[発明の要約]以上に従い、本発明は製薬学的有効量のプラジカンテルで処置されることに感受性である、寄生虫による神経学的もしくは流産惹起性疾患、を罹患する疾病動物を治療的に処置する組成物および方法を包含する。本方法は製薬学的有効量のプラジカンテルを動物に投与することを含んで成る。【0014】本明細書で使用される「製薬学的−有効量」の用語は投与されるプラジカンテルもしくはその誘導体の量が、処置される哺乳動物に悪い反応を惹起せずに、寄生虫の原生動物のインビボもしくはインビトロの成長を妨げるのに十分であることを意味する。具体的には寄生虫原生動物は神経学的疾患および/もしくは流産をもたらすコクシジウムである。製薬学的有効量は感染された組織中の寄生虫を抑制し、その結果、動物の健康が改善する。更に、製薬学的有効量は、処置される哺乳動物に悪い反応を惹起することなく、中枢神経系もしくは胎盤関門に感染している寄生虫を処置するためにプラジカンテルもしくはその誘導体が血液脳関門を通過することができる量にある点で神経学的に有効もしくは胎盤に対して有効である。【0015】更に、本発明はプラジカンテルによる処置に感受性である、神経学的もしくは流産惹起性疾患を引き起こすことができる寄生虫に感染した動物を感染後防御的に処置する方法を包含する。感染後防御的処置は感染後防御的処置として有効な投与計画を使用してプラジカンテルを動物に投与することを含んで成る。「感染後防御的に−有効な投与計画」の用語により、例えば、防御免疫反応を発達させ、もしくは寄生虫を除去することにより、前記動物が侵入寄生虫を克服するまで、長期間にわたり、プラジカンテル化合物もしくはその誘導体の計画された間欠的投与量を投与することを意味する。具体的には、当該投与計画は寄生虫を有効に抑制し、疾病の臨床症状を抑制するようなものである。感染後防御的有効投与量はまた、5年までの長期間もしくは、特に寄生虫の抑制が困難な場合には動物の一生の間、投与することもできる。【0016】更に、本発明は動物の1回の大量投与処置を包含する。この方法は、プラジカンテル化合物もしくはその誘導体での処置に感受性の、寄生虫による神経学的もしくは流産惹起性疾患を罹患している疾病動物に製薬学的有効量のプラジカンテルの1回の大量投与量を動物に投与することを含んで成る。「1回の大量投与量」の用語により、疾患惹起性寄生虫を抑制するために唯一回投与される量を意味する。この量は治療的もしくは感染後防御的処置に使用される投与量より著しく高く、疾患惹起性寄生虫を抑制するのに有効で、それ自体で毒性のような有害な効果をもたらさないであろう。従って、1回大量のプラジカンテル投与量は10mg/Kgより多い。本発明の様々なアスペクトをより詳細に以下に説明する。【0017】[発明の詳細な説明]前記のように、本発明はプラジカンテル化合物もしくはその誘導体による処置に感受性である、神経学的もしくは流産惹起性疾患として表われる寄生虫疾患を罹患する、感染もしくは疾病哺乳動物を処置するための組成物もしくは方法に関する。当該方法は、製薬学的有効量のプラジカンテルを含有する組成物を哺乳動物に投与することを含んで成る。例示的であるが制約されない動物の例は、ウマ、ウシ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、鳥、昆虫およびヒトであることができる。寄生虫が感染しているもしくはそれらが惹起している疾患は、神経学的もしくは流産惹起疾患として表れることができる住肉胞子虫属(Famirly Sarcocystidae)のコクシジウムである。それらの例示的であるが非限定的例はサルコシスティス亜種、ネオスポラ亜種およびトキソプラズマ亜種より成る群から選択することができる。住肉胞子虫は具体的には、S.neurrona、N.hugesi、N.caninumおよびT.gundiiから成る群から選択される。原生動物感染症もしくは疾患はそれらに限定はされないが、EPM、ネオスポラ症およびトキソプラズマ症を含む。【0018】本発明の実施において、本明細書に記載の原生動物により惹起された寄生虫感染症もしくは疾患の処置は神経学的および流産惹起性疾患の症状の軽減をもたらす。概括的に、その症状はびっこ、運動失調、麻痺、流産、脆弱新生児および他の関連障害を含む。治療的処置のために、疾患の上記の症候をすでに罹患している動物を、プラジカンテル化合物で処置する。具体的には、処置期間は、約28日〜90日であり、好ましくは、約28日〜60日である。治療的処置のためには処置投与計画は疾患の重症度および疾患惹起寄生虫の種類のような要因に応じて1日1回、1日2回以上、1日おきに1回もしくは毎週1回すら、投与することができる。しかし、幾つかの場合には、処置計画は時々は動物の残りの寿命の期間、無限に継続することができる。寄生虫のより耐性株による動物の感染の場合には、後者の処置計画が要請されるであろう。しかし、疾患の症候が除去されるまで、必要に応じてより長い期間に処置を延長することができる。好ましい処置は約28日間1日1回である。処置のための好ましい投与量は1mg/Kg〜100mg/Kg、好ましくは、2.5mg/Kg〜25mg/Kgの範囲である。【0019】感染後防御的処置のためには、感染されている動物を疾患の臨床的発現に対してそれらを防護するために処置する。この処置は最終的には、プラジカンテルの更なる投与の必要なしに、寄生虫を抑制、例えば有効な免疫反応を確立することにより、将来の感染に対する防護を与える能力の動物による獲得をもたらす。本発明に従う感染後防御的活性は、以前の処置以来、動物に感染したかも知れない原生動物を抑制するための計画された間欠的処置計画(感染後防御的−有効計画)に従うプラジカンテル化合物の使用を意味する。従って、感染後防御的−有効計画は例えば、それらを殺しもしくはそれらの数を減少させることにより、疾患を惹起するそれらの能力を減少するために投与される。要約すると、感染後防御的有効計画は動物の一生にわたり、もしくは動物を将来の感染から防御するための固有の消失機構、例えば有効な免疫反応が動物内に発達するまで、1カ月に約1回投与することができる。後者は5年以内に起こることができる。理解されるように、動物が本明細書に記載の原生動物で感染されている時に、感染後防御的処置は、有意な期間が経過(例えば、感染後2〜6カ月)するまで、神経学的症候もしくは流産のような臨床的症候を示さない、という認識に基づいている。それに対して、腸内の原生動物感染症は感染のすぐ後にそれらを発現する。本発明に従うと、感染後防御的処置は寄生虫がそれ自体を固有にし、臨床的疾患を惹起することを防止する。処置計画は、約1.0〜100mg/Kg、好ましくは、約1.0〜25mg/Kgそしてより好ましくは、約2.5〜10mg/Kgに等しい投与量で、1カ月に約1回、2カ月に1回もしくは2週間に1回の間欠的計画上にある。特に耐性の症例では(例えば、動物が耐性株に感染した時)高い範囲を要求するであろう。必要投与レベルおよび処置期間は当業者の一人の技術範囲内にある。EPMを患うウマもしくはネオスポラ症を患うウシおよびイヌに対する好ましい処置計画は28日毎に約1.0〜25mg/Kgであり、そしてより好ましい範囲は約2.5〜10mg/Kgのプラジカンテルもしくはその誘導体である。【0020】1回大量投与処置に対しては10mg/Kgを超える製薬学的有効量〜約100mg/Kgまでのプラジカンテルを投与する。本発明の化合物が無毒であり、従って大量投与レベルで投与することができることが本発明の著明な特徴である。大量投与量投与の利点は繰り返しの投与を要しない点にある。【0021】本発明のどんな具体的な説にも制約されずに、本明細書に記載の処置の思いがけない成功は血液−脳関門もしくは胎盤関門を横切るプラジカンテルの能力からもたらされると考えられる。本発明の化合物は血液−脳関門を容易に横切り、更に胎盤を透過することができ、そして脳および脳脊髄液/脊髄中の原生動物をインサイチューで殺すことができると考えられる。更に、この群の化合物は本明細書に記載の1回大量投与処置計画に必要な大量投与量においてすら無毒で、突然変異を誘導しないことが見いだされた。【0022】今日まで、哺乳動物に毒性もしくは突然変異誘導性のような許容できない副作用をもたらさずに、これらの疾患を有効に処理し、それに対して防護するための安価な、容易に投与される薬剤は入手できなかった。【0023】本発明の実施において、プラジカンテルは動物への投与のためのあらゆる便利な方法で調製することができる。本発明で好ましい経口投与に適した調製物は、県濁液、錠剤、カプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、大きい丸剤または、末剤、顆粒もしくはペレット形態の調製物であることができる。より好ましい経口投与調製物はペーストもしくは飼料添加物の形態にある。使用することができる他の投与法は非経口、局所、筋肉内および粘膜内もしくは当業者に知られた他の経路によるものを含む。ポア−オン剤の形態の局所投与も好ましい。【0024】具体的には、製薬学的に許容できるキャリアーおよび補助剤を調製物中に使用する。それらの例はカーボポールから成る群から選択された増粘剤;シリケート、ベントナイトもしくはコロイド状シリカのような無機増粘剤;脂肪アルコールもしくは脂肪酸エステルのような有機増粘剤並びにポリエチレングリコールおよびカーボポールとの硫酸ラウリルナトリウムから成る群から選択された湿潤剤であることができる。ペースト調製物に対する増粘剤として本発明で好ましいものはカーボポール974Pおよびカーボポール934Pである。更に、本発明で使用されるものは、パラベン、アルコールおよびアルデヒドから成る群から選択される保存剤であることができる。これらは他の場合には不活性であるかもしくは医学的に許容でき、有効成分と相容性である液体、固体もしくは気体物質であることができる。【0025】驚くべきことには、本発明に従うペースト剤は寄生虫処置に使用すると有効である。より具体的には、本発明のペースト剤が神経学的−有効投与量で配達可能であることは驚くべきことである。それらはプラジカンテルを配達して血液−脳関門もしくは胎盤関門を透過して、脳中に既に侵入したもしくは妊娠動物の胎児に感染した寄生虫を攻撃するのに有効である。便利の問題のために、本発明で好ましいペースト剤の具体的な態様およびそれが調製される方法の説明がここに提供される。本発明に従う好ましいペースト剤は、プラジカンテルの微粉砕県濁物、プロピレングリコール、カーボポールのような増粘剤、メチルパラベンおよびプロピルパラベンのような保存剤、並びに水を含有する。ペースト剤は水、具体的には精製水およびプロピレングリコールを合わせ、その組み合わせ物を約70℃に加熱し、その温度で保存剤を添加することにより製造することができる。生成された混合物は室温に冷却し、次に好ましくは、カーボポール974Pもしくは934Pの形態のカーボポールを添加する。最後にプラジカンテルを添加する。完全な混合後に、水酸化ナトリウムによりpHを約6.0に調整する。もっとも好ましいペースト剤はプラジカンテル15%w/w、プロピレングリコール20%w/w、カーボポール974P0.5%w/w、メチルパラベン0.14%w/w、プロピルパラベン0.02%w/w、水酸化ナトリウム0.1%w/w、残りは精製水を含む。味を改善するためにデキストロース、蔗糖、乳糖、果糖、ソルビトール、キシリトールを含む甘味剤、人工甘味剤およびモラッスを添加することができる。更に、同様な目的のために酵母菌もしくは肝臓の香りを添加することができる。【0026】以下の説明的なしかし非制約的な例により本発明を更に説明する。【0027】【実施例】実施例1プラジカンテルによりもたらされる防護の範囲を決定するためにインビトロ試験を実施した。Sarcocystis neuronaを本化合物に対するその感受性につき評価した。Sarcocystis neuronaの株SN3を使用した。プラジカンテルを10μg/mLおよび20μg/mLの2濃度で試験した。【0028】ウシ鼻甲介(BT)細胞をすべてのインビトロ試験に使用した。細胞は10%v/vウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン100単位(g/mL)、ストレプトマイシン100mg/mLおよび2−メルカプトエタノール5×10-2mMを補充されたRMPI1640培地中で、25cm2フラスコ中の集密度に成長した。細胞集密を得た後に、減少したFBS(2%v/v)を含む同様な培地中に細胞を維持した。細胞培養物を5%二酸化炭素および95%空気を含有する湿った雰囲気中で37℃でインキュベートした。【0029】寄生虫の成長のためにBT細胞の単層を寄生虫で感染させ、病巣の発育(細胞変性効果、「CPE」)もしくは多数の細胞外メロゾイトの存在につき倒立顕微鏡で検査した。一旦病巣を観察するかもしくは多数の細胞外寄生虫が存在すると、5mLピペットの先端で単層を剥離し、新鮮なBT細胞の2個のフラスコに1〜3滴のメロゾイト−含有流体を移した。S. neuronaのメロゾイトを5〜10日毎にこのように処理した。【0030】プラジカンテルの効果を決定するために使用したアッセイは微量滴定単層分裂アッセイ(Microtiter Monolayer Disruption Assay(MMDA))であった。このアッセイは寄生虫もしくは化合物がBT細胞に毒性であるかどうかを決定するために使用した。平底96−ウェル微量滴定皿にBT細胞を接種し、生成された単層を使用して、CPE(細胞変性効果−プラーク形成)により測定されるメロゾイト生産に対するプラジカンテルの効果を決定した。単層は寄生虫(50,000個/ウェルのS. neurona)を接種された。すべてのウェルに単層の感染の2時間後に正確な濃度のプラジカンテルを接種した。未処置および未感染単層ウェルを寄生虫対照として使用し、未感染物質処置BT細胞を毒性対照として使用した。各処置を6個の複製物において検査した。各ウェルは毎日視覚的にモニターし、アッセイは未処置メロゾイトの感染細胞の90〜100%が溶解した(90〜100%CPE)時に停止した。皿のすべてのウェルをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中ですすぎ、5分間100%メタノール中で固定し、その後にクリスタルバイオレット溶液中で染色した。毒性によるメロゾイト−誘導の破壊もしくはBT細胞死の領域はクリスタルバイオレットを取り込まない。ELISA皿読み取り機を使用してクリスタルバイオレット取り込みを定量化し、これらのデータを使用して、50%まで破壊を妨げるプラジカンテルの濃度(阻害濃度50もしくはIC50)を決定した。阻害を示すデータを表1に示す。10μg/mLのような少量のプラジカンテルが51%の細胞破壊阻害を与えたことが認められる。20μg/mLの濃度のプラジカンテルは69%の細胞破壊阻害をもたらした。これは、プラジカンテルがS.neurona、N.caninum、N.hugesi、T.gondiiおよびI.Suis.により惹起される疾患を含む神経学的および流産惹起性症候と関連することが知られたコクシジウムにより惹起された疾患の処置に有効であろうことを示す。更に、プラジカンテルはBT細胞に毒性ではなかった。【0031】【表1】【0032】これらのデータは2.5〜10mg/Kgの投与量がSarcocystis neuronaにより惹起された疾患を罹患している哺乳動物の処置に神経学的に有効であろうことを示す。 コクシジウムにより惹起される、寄生虫による神経学的もしくは流産惹起性疾患、を罹患している疾病哺乳動物を処置するための組成物の製造における、プラジカンテルの使用。 コクシジウムが住肉胞子虫亜種、ネオスポラ亜種、トキソプラズマ亜種およびイソスポラ亜種から成る群の1員である、請求項1の使用。 住肉胞子虫亜種がSarcocystis neuronaであり、ネオスポラ亜種がNeospora caninumもしくはNeospora hugesiであり、トキソプラズマ亜種がToxoplasma gondiiであり、そしてイソスポラ亜種がIsospora suisである、請求項1および2のいずれかに記載の使用。 Sarcocystis neuronaがウマの原生動物による骨髄脳炎の原因物質である、請求項3の使用。 Neospora caninumがウシもしくはイヌのネオスポラ症の原因物質である、請求項3の使用。 Neospora hugesiがウマの原生動物による骨髄脳炎の原因物質である、請求項3の使用。 Toxoplasma gondiiが哺乳動物におけるトキソプラズマ関連の流産の原因物質である、請求項3の使用。


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