タイトル: | 特許公報(B2)_肥大を伴う心筋疾患の治療における徐脈剤の使用及び新規医薬組成物 |
出願番号: | 2001576000 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/55,A61P 9/00,A61P 9/06,A61P 43/00 |
デームゲン ユルゲン グート ブリアン ザイドラー ランドルフ JP 3905386 特許公報(B2) 20070119 2001576000 20010407 肥大を伴う心筋疾患の治療における徐脈剤の使用及び新規医薬組成物 ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト 503137975 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 竹内 英人 100096194 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 デームゲン ユルゲン グート ブリアン ザイドラー ランドルフ DE 100 18 401.4 20000413 20070418 A61K 31/55 20060101AFI20070329BHJP A61P 9/00 20060101ALI20070329BHJP A61P 9/06 20060101ALI20070329BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070329BHJP JPA61K31/55A61P9/00A61P9/06A61P43/00 121 A61K 31/55 A61K 45/00 BIOSIS(STN) CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) 特表2000−507954(JP,A) 米国特許第05175157(US,A) Cardiovascular Research,2000年 3月,Vol.45, No.4,p.900-912 2 EP2001004034 20010407 WO2001078699 20011025 2003535050 20031125 6 20021004 榎本 佳予子 【0001】高心拍数は徐脈性物質、特にジルチアゼム及びベラパミル等のCa++チャネルブロッカー又はアテノロール、ビソプロロール、カルベジロール(carvedolol)、メトプロロール又はプロプラノロール(propanolol)等のベータ受容体ブロッカー及びザテブラジン[1-(7,8-ジメトキシ-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-3-ベンズアゼピン-2-オン-3-イル)-3-[N-メチル-N-(2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル)-プロパン](EP-B-0 065 229参照)、3-[(N-(2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル)-ピペリジン-3-イル)-メチル]-(7,8-ジメトキシ-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-3-ベンズアゼピン-2-オン(EP-B-0 224 794参照)及びその鏡像異性体、シロブラジン(cilobradine)[(+)-3-[(N-(2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル)-ピペリジン-3-(S)-イル)-メチル]-(7,8-ジメトキシ-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-3-ベンズアゼピン-2-オン)又はアリニジン[2-(N-アリル-2,6-ジクロロアニリノ)-2-イミダゾリジン]、米国特許第3,708,485号も参照]等のifチャネルブロッカーで治療してもよいが、ザテブラジンは心不全の治療における有利な活性を有することも知られている(EP-B-0 471 388参照)。【0002】さらに、徐脈性物質、特に上記化合物(ザテブラジン、シロブラジン又はアリニジン等のifチャネルブロッカー、特にシロブラジンが好ましい)は、肥大を伴う心筋疾患の症状において、特に心筋閉塞後の心筋の残りの肥大、虚血性心筋症、弁欠陥における心筋の肥大及び毒性又は医原性の影響下での心筋炎等の突発性肥大性心筋症(HCM)の治療のために薬効を有し得ることが知られている。驚いたことに、徐脈性物質(ザテブラジン、シロブラジン又はアリニジン等のifチャネルブロッカー、特にシロブラジンが好ましい)は、肥大性心筋症の臨床症状で薬効を有するだけでなく、これらの重度の心臓疾患の退行さえも誘導することがわかった。【0003】従って、本発明は、肥大を伴う心筋疾患の退行を誘導する徐脈性物質、特に上記化合物(ザテブラジン、シロブラジン又はアリニジン等のifチャネルブロッカー、特にシロブラジンが好ましい)の新しい使用、特に人及び家庭で飼われているペットの突発性肥大性心筋症(HCM)の治療のための使用に関する。本発明の効果を得るために、個々の徐脈性物質について高心拍数の治療のための文献で知られる服用量を使用することが好適である。例えば、一回の服用量は、シロブラジンについては、経口で0.1〜0.5mg/kgであり、好ましくは0.2〜0.4mg/kgであり、一日1〜3回服用し、ザテブラジンについては、0.2〜1mg/kgであり、一日2回服用し、アリニジンについては、0.2〜5mg/kgであり、一日2回服用する。【0004】本発明の徐脈性物質の新しい使用は、ifチャネルブロッカー、一例としてシロブラジンによって、以下の方法を用いて研究された。重篤な肥大性心筋症(心拍数が約200回/分)や、心筋虚血の徴候としてST亢進を有する心電図、血漿及び超音波映像において増加するクレアチニンキナーゼ活性、心室の容積及び駆出率の減少による心室壁の過度の圧縮を有するネコは、ifチャネルブロッカー、シロブラジン(経口で0.3mg/kg、1日2回)による治療後の臨床症状において明らかな改善を示した(痛みの除去、正常な心電図、正常な生理学的活性パターンへの復帰)。【0005】驚いたことに、治療の1年後及び約2年後の追跡調査は、心筋肥大の退行を示すと同時に症状の改善が維持された。ネコにおける肥大性心筋症は、人の相当する疾患のモデルとして役に立つ(Kittlesonら、Circulation 91, 3172-3180 (1999))。このように、ifチャネルブロッカー、シロブラジンによる治療は、症状の改善だけでなく、疾患の退行をももたらす。また、本発明は、少なくとも1つの徐脈性物質、特に上記化合物の1つ、好ましくはifチャネルブロッカーと、少なくとも1つの心臓作用性物質、例えばメチルジゴキシン又はジギトキシン等のカルジオグリコシド(cardioglycoside)、ニトログリセリン等の血管拡張薬、カプトプリル又はエナラプリル等のアンギオテンシン変換酵素阻害薬、ロサルタン又はテルミサルタン(telmisartan)等のアンギオテンシン-II拮抗薬(また、それらを徐脈性物質と組み合わせて心拍数の上昇が抑えられる場合には、肥大を伴う心筋疾患を治療するのに、特に突発性肥大性心筋症(HCM)の治療に好適である)を含む薬剤の組み合わせに関する。【0006】本発明の効果を達成するために、高心拍数の治療のために個々の徐脈性物質について文献から分かる服用量及び使用される心臓作用性化合物について文献から分かる服用量を使用することは都合がよい。この目的の為に、徐脈性物質は、それら自身で、又はその他の心臓作用性化合物と組み合わせて、1つ以上の通常の不活性担体及び/又は希釈剤、例えばトウモロコシのデンプン、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は固い脂肪のような脂肪質の物質又はそれらの好適な混合物と共に製剤化して、単純錠剤又は被覆錠剤、カプセル、散剤、懸濁液、溶液、スプレー剤又は坐剤のような通常のガレヌス(Galenic)製剤を生成する。【0007】例えば、このようなシロブラジン及び心臓作用性化合物からなる組み合わせは、通常、経口で0.1〜0.5mg/kg、好ましくは0.2〜0.4mg/kgのシロブラジンを含み、さらに、0.01〜1mgのメチルジゴキシンを一日1〜2回、0.01〜1mgのジゴキシンを一日1回、0.1〜2mgのニトログリセリンを一日2〜3回、10〜100mgのカプトプリルを一日1〜2回、2〜20mgのエナラプリルを一日1回、10〜200mgのロサルタンを一日2回、又は20〜80mgのテルミサルタンを一日1回服用する。さらに、混合薬中のifチャネルブロッカーのパートナーは、独立した生物学的システムで作用し、ifチャネルブロッカーは、上記混合薬のパートナーと関係して生じるかもしれない心拍数の反動的な増加を阻害するので、これらは相乗作用活性を有する。【0008】以下の実施例は本発明を説明することを目的とし、本発明を制限するものではない。実施例11.25mgのシロブラジンを含むカプセル組成:1カプセルは以下を含む。ラクトース一水和物 82.75mgトウモロコシのデンプン 55.3mg調製方法活性物質、ラクトース一水和物とトウモロコシのデンプンを混合し、サイズ4のカプセルに詰めた。【0009】実施例210mgのシロブラジンを含むカプセル組成:1カプセルは以下を含む。ラクトース一水和物 77.6mgトウモロコシのデンプン 51.7mg調製方法活性物質、ラクトース一水和物とトウモロコシのデンプンを混合し、サイズ4のカプセルに詰めた。【0010】実施例37.5mgのシロブラジンを含む錠剤組成:1錠剤は以下を含む。調製方法活性物質、トウモロコシのデンプン、ラクトース及びポリビニルピロリドンを混合し、水で湿らせた。湿った混合物を1.5mmメッシュのふるいに通して45℃で乾燥させた。乾燥させた顆粒を1.0mmメッシュのふるいに通してステアリン酸マグネシウムと混合した。でき上がった混合物を、分割用刻み目を与える直径7mmのパンチを有する錠剤プレスで圧縮して錠剤を形成した。錠剤の質量:120mg【0011】実施例45mgのシロブラジンを含む被覆錠剤1錠剤コアは以下を含む。調製方法活性物質、トウモロコシのデンプン、ラクトース及びポリビニルピロリドンを十分に混合して、水で湿らせた。湿った塊を1.0mmメッシュのふるいに通して、45℃で乾燥させ、次いでその顆粒を同じふるいに通した。ステアリン酸マグネシウムと混合した後、6mmの直径の凸状錠剤コアを錠剤成形装置で圧縮した。こうして作成された錠剤コアを、公知の方法で、砂糖及びタルクから本質的になる被覆物で被覆した。でき上がった被覆錠剤をワックスで磨いた。被覆錠剤の質量:130mg【0012】実施例55mgのシロブラジンを含むアンプル1アンプルは以下を含む。活性物質 5.0mgソルビトール 50.0mg注射用蒸留水 ad 2.0mg調製方法好適な混合容器で、活性物質を注射用蒸留水に溶解し、得られた溶液をソルビトールで等張性にした。ダイヤフラムフィルターを通して濾過した後、その溶液をN2下で、浄化及び殺菌したアンプルに移し、水蒸気流で20分間加圧滅菌した。【0013】実施例610mgのシロブラジンを含む坐剤1坐剤は以下を含む。調製方法固い脂肪を融解した。38℃で、粉砕した活性物質をその融解生成物に均一に分散した。これを35℃に冷却して、わずかに冷やした坐剤の型に注いだ。【0014】実施例710mgのシロブラジンを含む点滴剤100mlの溶液は以下を含む。活性物質 0.2gヒドロキシエチルセルロース 0.15g酒石酸 0.1gソルビトール溶液、70%の乾燥物質 30.0gグリセロール 10.0g安息香酸 0.15g蒸留水 ad 100ml調製方法蒸留水を70℃に加熱した。ヒドロキシエチルセルロース、安息香酸及び酒石酸を攪拌しながらその中に溶解した。得られた溶液を周囲温度に冷却し、グリセロール及びソルビトール溶液を攪拌しながら加えた。周囲温度で、活性物質を加えて、得られた混合物を攪拌し、活性物質を完全に溶解した。次いで、攪拌しながら脱気して、シロップ剤から空気を取り除いた。 シロブラジンを含む、肥大を伴う心筋疾患の治療のための医薬組成物。 肥大を伴う心筋疾患の治療のための医薬組成物を調製するためのシロブラジンの使用。