タイトル: | 特許公報(B2)_抗炎症剤含有貼付剤 |
出願番号: | 2001575991 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 9/70,A61K 31/192,A61K 31/196,A61K 31/403,A61K 31/405,A61K 45/00,A61K 47/06,A61K 47/12,A61K 47/32,A61K 47/44,A61P 29/00,C08K 5/00,C08L 23/22,C08L 53/02 |
池浦 康弘 新村 幸 JP 4854163 特許公報(B2) 20111104 2001575991 20010417 抗炎症剤含有貼付剤 久光製薬株式会社 000160522 長谷川 芳樹 100088155 長濱 範明 100107191 池浦 康弘 新村 幸 JP 2000116744 20000418 20120118 A61K 9/70 20060101AFI20111221BHJP A61K 31/192 20060101ALI20111221BHJP A61K 31/196 20060101ALI20111221BHJP A61K 31/403 20060101ALI20111221BHJP A61K 31/405 20060101ALI20111221BHJP A61K 45/00 20060101ALI20111221BHJP A61K 47/06 20060101ALI20111221BHJP A61K 47/12 20060101ALI20111221BHJP A61K 47/32 20060101ALI20111221BHJP A61K 47/44 20060101ALI20111221BHJP A61P 29/00 20060101ALI20111221BHJP C08K 5/00 20060101ALI20111221BHJP C08L 23/22 20060101ALI20111221BHJP C08L 53/02 20060101ALI20111221BHJP JPA61K9/70 401A61K31/192A61K31/196A61K31/403A61K31/405A61K45/00A61K47/06A61K47/12A61K47/32A61K47/44A61P29/00C08K5/00C08L23/22C08L53/02 A61K 9/70 A61K 31/192 A61K 31/196 A61K 31/403 A61K 31/405 A61K 45/00 A61K 47/06 A61K 47/12 A61K 47/32 A61K 47/44 A61P 29/00 C08K 5/00 C08L 23/22 C08L 53/02 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) WPI 国際公開第98/024423(WO,A1) 特表平05−501261(JP,A) 10 JP2001003283 20010417 WO2001078690 20011025 17 20080128 瀬下 浩一 技術分野本発明は、経皮投与用の消炎鎮痛効果を目的とした抗炎症剤含有貼付剤に関するものであり、より詳しくは腰痛、筋肉痛、関節周囲炎等の治療を目的とし、薬効成分としてカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤を含有する貼付剤に関するものである。背景技術非ステロイド系の抗炎症剤については、皮膚から吸収させる目的で多くの経皮投与用製剤が知られており、天然ゴム、アクリル酸系ポリマー、或いはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などの熱可塑性弾性体からなる基剤を用いた貼付剤が知られている。例えば、特許第2816765号公報においては、ベースポリマーとしてのスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびポリイソブチレンと、溶解剤としてのロジンエステル誘導体およびL−メントールと、可塑剤としての流動パラフィンとからなる基剤にカルボン酸類に属する抗炎症剤を配合した貼付剤の提案がなされている。また、国際公開番号WO96/08245号公報においては、ベースポリマーとしてのスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびポリイソブチレンと、溶解剤としてのL−メントールと、粘着付与剤としてのロジンエステル誘導体と、可塑剤としての流動パラフィンとからなる基剤に分子中にカルボン酸基を有する抗炎症剤を配合し、さらに上記カルボン酸基を有する抗炎症剤とL−メントールとのエステル化を防止するエステル化抑制剤として脂肪酸金属塩を配合した貼付剤の提案がなされている。発明の開示しかしながら、特許第2816765号公報や国際公開番号WO96/08245号公報に記載の従来の消炎鎮痛貼付剤であっても、以下に説明するように未だ十分なものではないことを本発明者らは見出した。すなわち、上記従来の消炎鎮痛貼付剤のようにカルボキシル基を有する抗炎症剤とL−メントールとを併用すると、かかる抗炎症剤とL−メントールとが製剤処方段階或いは製剤中長期間放置することにより一部エステル化反応してしまい、エステル化抑制剤として脂肪酸金属塩を配合してもその反応は必ずしも十分に防止されるものではなかった。また、L−メントールは昇華性のため、貼付剤にL−メントールが含有されているとその臭いが周囲に揮散するため貼付するのを敬遠する人も少なくない。一方、L−メントールはカルボキシル基を有する抗炎症剤に対して溶解剤としても作用するため、カルボキシル基を有する抗炎症剤を含有する従来の貼付剤においてL−メントールの配合をなくしてしまうと、高い薬物放出性を恒常的に安定して維持することが困難となり、薬理効果(消炎鎮痛効果)の持続性等の点で十分なものではなかった。本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、L−メントールを配合していないにも拘わらず、カルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤による十分な消炎鎮痛効果が皮膚刺激等の弊害を招くことなく長時間にわたって安定して得られ、しかも付着性に優れ、剥離時の痛みが低減され、粘着基剤の安定性にも優れた抗炎症剤含有貼付剤を提供することを目的とするものである。本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、カルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤に対してL−メントールを併用することなく、特定の成分を特定の割合で含有することによって、薬効成分であるかかる抗炎症剤の1時間後および3時間後の放出率が所定範囲内であり、皮膚刺激等の弊害を招くことなく十分な消炎鎮痛効果が長時間にわたって安定して得られ、しかも粘着基剤の安定性にも優れた抗炎症剤含有貼付剤が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の抗炎症剤含有貼付剤は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を5〜40質量%、高分子ポリイソブチレンを1〜25質量%、低分子ポリイソブチレンを0.5〜24質量%、粘着付与剤を3〜50質量%、可塑剤を20〜70質量%、分散剤を0.01〜7質量%、および薬物としてカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤を0.1〜8質量%含有し、かつL−メントールを含有しないものである。上記本発明の抗炎症剤含有貼付剤においては、米国薬局方放出試験法記載の回転シリンダーによる水放出試験を下記条件:試験液 蒸留水液温 32±0.5℃シリンダー下端と容器底内面との間の距離 12±2mm回転数 50rpmで実施した場合における試験開始から1時間後の薬物放出率が20〜64質量%であり、かつ、3時間後の薬物放出率が40〜93質量%であることが好ましい。また、このような粘着付与剤としてはロジン系樹脂、可塑剤としては流動パラフィン、分散剤としてはステアリン酸金属塩が好ましい。更に、本発明の抗炎症剤含有貼付剤において使用されるカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤は、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ケトロラク、およびそれらの塩類からなる群から選ばれる少なくとも一種の抗炎症剤であることが好ましい。発明を実施するための最良の形態本発明の抗炎症剤含有貼付剤は、薬効成分としてカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤を含有するものである。かかる抗炎症剤としては、カルボキシル基(カルボン酸基)を有する抗炎症剤(例えば、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ケトロラク)、並びにそのカルボキシル基の水素原子が医学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩、またはトロメタミン塩等の有機塩)で置換された抗炎症剤が包含されるものであり、中でもインドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクアンモニウム、ロキソプロフェンナトリウム、ケトロラクトロメタミンが好ましい。本発明の貼付剤におけるカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤の配合量は0.1〜8質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。この配合割合にすることによって、薬物の経皮吸収性、薬効の持続性、薬物の分散性等が良好で、経済的にも優れることとなる。なお、抗炎症剤の配合量が0.1質量%未満では十分な薬効が得られず、他方、配合量が8質量%を超えると過剰投与による皮膚刺激等の弊害の発現や経済性の面から適当でない。また、本発明の抗炎症剤含有貼付剤は、上記のカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤に対して溶解剤等として作用するL−メントールを含有するものではない。したがって、本発明の抗炎症剤含有貼付剤においては抗炎症剤のエステル化反応は十分に防止され、しかも溶解剤として作用するL−メントールを含有していないにも拘わらず後述する特定の成分を特定の割合で含有することによって抗炎症剤による十分な消炎鎮痛効果が皮膚刺激等の弊害を招くことなく長時間にわたって安定して得られるものである。さらに、本発明の抗炎症剤含有貼付剤は、米国薬局方放出試験法(USP)記載の回転シリンダーによる水放出試験を下記条件:試験液 蒸留水液温 32±0.5℃シリンダー下端と容器底内面との間の距離 12±2mm回転数 50rpmで実施した場合における試験開始から1時間後の薬物放出率が20〜70質量%(好ましくは30〜65質量%)、3時間後の薬物放出率が40〜93質量%(好ましくは60〜90質量%)であることが好ましい。薬物放出率が上記範囲の下限未満では十分な薬効が得られず、他方、上限を超えると薬物の過剰投与によって皮膚刺激等の弊害が引き起こされるおそれが生じる。従って、このように恒常的に高い薬物放出性が安定して維持される本発明の抗炎症剤含有貼付剤によって始めて、投与した際に皮膚刺激等の弊害を招くことなく優れた治療効果が長時間にわたって安定して得られる医薬品を提供することが可能となる。このような本発明の抗炎症剤含有貼付剤は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、高分子ポリイソブチレン、低分子ポリイソブチレン、粘着付与剤、可塑剤および分散剤をそれぞれ特定の配合割合で含みかつL−メントールを含有しない基剤中に、薬効成分としてのカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤を特定の配合割合で含有することによって得られる。以下に、本発明の貼付剤を構成するために用いる各種基剤成分について詳述する。本発明にかかるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とは、スチレン及びイソプレンのブロック共重合体であって両端部にポリスチレンを有するものであり、このようなスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては、カリフレックスTR−1101、TR−1107又はカリフレックスTR−1111、(商品名、シェル化学(株)製)、JSR5000又はJSR5002(商品名、日本合成ゴム(株)製)、クインタック3530、3421又は3570C(商品名、日本ゼオン(株)製)、クレイトンD−KX401CS又はD−1107CU(商品名、シェル化学(株)製)、ソルプレン428(商品名、フィリップペトロリアム(株)製)等が挙げられ、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の配合量は、貼付剤(粘着製剤)全体の5〜40質量%であり、好ましくは8〜35質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。上記の配合量が5質量%未満では基剤の凝集力や保型性等が低下し、他方、上記の配合量が40質量%を超えると基剤の凝集力が増加して粘着力の低下や作業性の低下等を招くおそれがある。本発明にかかる高分子ポリイソブチレンとは、イソブチレンの重合体であり、平均分子量が好ましくは50000〜200000のものである。このような高分子ポリイソブチレンとしては、オパノール80、100、120、150、200(商品名、BASF(株)製)、ビスタネックスMM L−80、MM L−100、MM L−120、MM L−140(商品名、エクソン化学(株)製)等が挙げられ、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。上記高分子ポリイソブチレンの配合量は、貼付剤(粘着製剤)全体の1〜25質量%であり、好ましくは2〜18質量%であり、より好ましくは3.6〜12質量%である。上記の配合量が1質量%未満では長期保存時の基剤の保型性等が低下してはみ出しが発生し易く、また抗炎症剤の放出性の低下を招くおそれがある。他方、上記の配合量が25質量%を超えた場合も抗炎症剤の放出性の低下等を招くおそれがある。本発明にかかる低分子ポリイソブチレンとは、イソブチレンの重合体であり、平均分子量が好ましくは5000〜15000のものである。このような低分子ポリイソブチレンとしては、オパノール10、12、12SF、15、15SF、30SF、50、50SF(商品名、BASF(株)製)、ビスタネックスLM−MS、LM−MH、LM−H(商品名、エクソン化学(株)製)等が挙げられ、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。上記低分子ポリイソブチレンの配合量は、貼付剤(粘着製剤)全体の0.5〜24質量%であり、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜15質量%である。上記の配合量が0.5質量%未満では粘着物性の低下が発生して貼付時の剥がれが発生し易く、また抗炎症剤の放出性の低下を招くおそれがある。他方、上記の配合量が24質量%を超えると粘着物性が増加し過ぎてカブレや、剥離時の痛みの発生を招くおそれがある。本発明にかかる粘着付与剤としては、ロジン又はロジン誘導体をベースとするロジン系樹脂が好ましく、ロジンエステル、水添ロジンエステル、マレイン酸変性ロジンエステル等が好適に用いられ得る。このような粘着付与剤(ロジン系樹脂)としては、ハリエスターL、S又はP(商品名、播磨化学(株)製)、スーパーエステルA−75又はS−100、パインクリスタルKE−100又はKE−311、エステルガムA、AA−G、H又はHP(商品名、荒川化学(株)製)、ハリコーンD、フォーラル85、100又は105(商品名、ハーキュリーズ(株)製)等が挙げられ、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。上記粘着付与剤の配合量は、貼付剤(粘着製剤)全体の3〜50質量%であり、好ましくは4〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。なお、上記の配合量が3質量%未満では粘着物性の低下および抗炎症剤の結晶化が発生して貼付時の剥がれが発生し易く、また抗炎症剤の放出性の低下を招くおそれがある。他方、上記の配合量が50質量%を超えると粘着物性、及び基剤への抗炎症剤の溶解性が増加する傾向にあり、カブレや剥離時の痛み及び薬物放出性の低下の発生を招くおそれがある。本発明にかかる可塑剤とは、他の基剤成分と相溶性がよく、基剤に柔軟性を与えるものであり、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ラッカセイ油、流動パラフィン等が好適に用いられ得る。このような可塑剤としては、1種又は2種以上の組合せを使用することができるが、中でも特に流動パラフィンが好ましい。上記可塑剤の配合量は、貼付剤(粘着製剤)全体の20〜70質量%であり、好ましくは25〜65質量%であり、より好ましくは30〜60質量%である。なお、上記の配合量が20質量%未満では可塑性が乏しく粘着物性の低下や生産性の低下が発生し易く、他方、上記の配合量が70質量%を超えると粘着製剤が柔らかすぎ、基剤の凝集破壊発生を招くおそれがある。本発明の抗炎症剤含有貼付剤においては、上述のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、高分子ポリイソブチレン、低分子ポリイソブチレン、粘着付与剤および可塑剤を含む基剤中に更に分散剤が特定の配合割合で含有されている。本発明にかかる分散剤とは、製剤中の諸成分、特にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、高分子ポリイソブチレンおよび低分子ポリイソブチレンの分散性を高めるものであり、合成ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ステアリン酸金属塩等の脂肪酸金属塩が好適に用いられ得る。このような分散剤としては、1種又は2種の組合せを使用することができるが、中でもステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム)が好ましく、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。上記分散剤の配合量は、貼付剤(粘着製剤)全体の0.01〜7質量%であり、好ましくは0.05〜6質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。なお、上記の配合量が0.01質量%未満では高分子ポリイソブチレンの分散性や抗炎症剤の基剤中における拡散性が乏しくなるため抗炎症剤の放出性の低下が生じる。他方、上記の配合量が7質量%を超えると、分散剤自体がシミだし、粘着物性が低下し、貼付時の剥がれが発生し易くなる。本発明の貼付剤においては、上記基剤中に薬効成分としてのカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤が前述の通り0.1〜8質量%含有されている。そして、上記組成を有する本発明の貼付剤においては、上記の各成分、特に高分子ポリイソブチレン、低分子ポリイソブチレンおよび分散剤が含有されているため、製剤中の諸成分(特にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびポリイソブチレン)が凝集することなく均一に分散されており、抗炎症剤の均一分散性も十分に保たれている。これにより、本発明の貼付剤においては、抗炎症剤の溶解剤として作用するL−メントールが含有されていないにも拘わらず、恒常的に高い薬物放出性が安定して維持されることとなり、抗炎症剤による十分な消炎鎮痛効果が皮膚刺激等の弊害を招くことなく長時間にわたって安定して得られ、しかも製剤の優れた付着性、剥離時の痛みの低減、および粘着基剤の優れた安定性も実現される。本発明の貼付剤は、上記のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、高分子ポリイソブチレン、低分子ポリイソブチレン、粘着付与剤、可塑剤、分散剤及び抗炎症剤に加えて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤、吸収促進剤等の他の添加成分を必要に応じて含有していてもよい。このような他の添加成分の配合量は特に制限されないが、貼付剤(粘着製剤)全体の好ましくは0.01〜7質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。このような抗酸化剤としては、トコフェロール及びそのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が好ましい。また、充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が好ましい。さらに、架橋剤としては、熱硬化性樹脂(アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等)、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物のような有機系架橋剤や、金属または金属化合物のような無機系架橋剤が好ましい。また、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が好ましい。さらに、紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリジン誘導体、ジオキサン誘導体等が好ましい。また、吸収促進剤としては、d−リモネン等のテルペン油、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレート、セバシン酸ジエチル等の脂肪酸エステル、エイゾン、1−〔2−(デシルチオ)エチル〕アザシクロペンタン−2−オン等のアザシクロアルカン類、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸等が挙げられる。上記の諸成分を用いて調製される本発明の貼付剤(貼付剤層)の厚み(後述する支持体及び剥離被覆物の厚みは含まない)は50〜300μmであることが好ましく、より好ましくは80〜200μmである。なお、上記の厚みが50μm未満では粘着性や付着性の持続が低下する傾向にあり、他方、上記の厚みが300μmを超えると凝集力や保型性が低下する傾向にある。このような本発明の貼付剤は、後述する伸縮性に富んだ支持体を使用することにより縦横自由自在に伸縮し、高水準の貼付感が達成される。すなわち、上記本発明の抗炎症剤含有貼付剤によれば伸縮性を持つ支持体を採用することが可能となり、肘や膝などの屈曲部位にも十分追随しかつ長時間剥がれることなく貼付できる付着性が実現される。上記本発明の貼付剤の支持体としては、本発明の貼付剤からの薬物の放出に影響しないものが望ましく、伸縮性又は非伸縮性のものが用いられ得る。本発明に使用可能な支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂のフィルム、シート、シート状多孔質体、シート状発泡体、織布又は不織布;紙;織布;不織布;これらの積層体等が挙げられる。これらの貼付剤支持体の中でも、伸縮性を有する支持体が好ましく、試料幅50mm、試料長200mm及び伸長速度200mm/minの測定条件での30%伸張時荷重(JIS L 1096に規定)が好ましくは縦方向(長辺方向)100〜800gおよび横方向(短辺方向)500〜2500gであり、より好ましくは縦方向100〜500gおよび横方向500〜2000gである。また、試料幅50mm、試料長200mm及び伸長速度200mm/minの測定条件での50%伸張時回復率(JIS L 1096に規定)が好ましくは縦方向75〜95%および横方向65〜85%であり、より好ましくは縦方向80〜95%および横方向70〜85%である。なお、これらの支持体の30%伸張時荷重が上記下限未満の場合には貼付時に支持体の「こし」がなくなってハンドリングが難しくなる傾向にある。他方、30%伸張時荷重が上記上限を超える場合には長時間にわたる屈曲部位への付着が困難となる傾向にある。また、これらの支持体の50%伸張時回復率が上記下限未満の場合には屈曲部位への貼付の際に屈曲部位への追従性に乏しく良好な付着性が得られない傾向にある。他方、50%伸張時回復率が上記上限を超える場合には貼付時におけるハンドリングが難しくなる傾向にある。前述のように本発明の貼付剤は、伸縮性に富んだ支持体を使用することにより肘や膝等の動きが激しい屈曲部位等に長時間にわたってしっかりと貼着される。なお、本発明にかかる前記支持体の目付(単位面積当たりの質量)は100±30g/m2であることが好ましい。次に、本発明の抗炎症剤含有貼付剤の製造方法の好適な一例について説明する。先ず、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、高分子ポリイソブチレン、低分子ポリイソブチレン、粘着付与剤、可塑剤および分散剤(他の添加成分等を含有させる場合はさらにそれらの成分(但し、酸化防止剤、吸収促進剤は除く))をそれぞれ所定の割合で混合して混合物とし、窒素等の不活性雰囲気下で加熱攪拌して溶解物とする。撹拌時の温度は110〜200℃が好ましく、撹拌時間は30〜120分間が好ましい。続いて、薬効成分である抗炎症剤(酸化防止剤、吸収促進剤を含有させる場合はこれらの成分)を前記溶解物中に添加し、好ましくは110〜200℃で好ましくは5〜30分間撹拌して均一な溶解物を得る。また、上記諸成分をそれぞれ所定の割合となるようにヘキサン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤に添加し、攪拌して均一な溶解物を得てもよい。 次に、この溶解物を通常の方法で直接支持体上に展延した後に剥離被覆物で覆った後に所望の形状に切断するか、あるいは一旦この溶解物を剥離被覆物上に展延した後に支持体上に被せて溶解物を支持体上に圧着転写させた後に所望の形状に切断しても良い。また、有機溶剤を用いて均一な溶解物を得ている場合は、支持体上に展延後乾燥機により乾燥して有機溶剤を揮発除去させた後に剥離被覆物で覆うか、あるいは剥離被覆物に展延後乾燥機により乾燥して有機溶剤を揮発除去させた後に支持体を圧着転写させることが好ましい。このような剥離被覆物としては、剥離処理(剥離しやすくするための処理)を施した剥離紙、セロファン、又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂フィルム等が挙げられる。なお、前記製造方法における各基剤成分、薬効成分、その他の添加成分を配合する順序は、その一例を述べたに過ぎず、本発明の貼付剤の製造方法はこの配合順序の方法に限定されるものではない。(実施例)以下、本発明の抗炎症剤含有貼付剤について実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明の抗炎症剤含有貼付剤は下記の実施例に記載のものに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」とは特に明記しない限り「質量部」を意味する。実施例1スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−120)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−H)ロジン系樹脂 16.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 51.90部ステアリン酸亜鉛 0.10部ケトプロフェン 2.00部上記の処方で前記製造方法に従って貼付剤を作製した。すなわち、上記処方中の抗炎症剤以外の諸成分を混合して混合物とし、窒素雰囲気下で加熱攪拌して溶解物とした。続いて、薬効成分である抗炎症剤を前記溶解物中に添加し、加熱攪拌して均一な溶解物を得た。次に、この溶解物を支持体(ポリプロピレンからなる不織布)上に、得られる貼付剤層の厚みが150μmとなるように展延した後に剥離被覆物(ポリエステルフィルム)で覆い、冷却後に所望の大きさに裁断して抗炎症剤含有貼付剤を得た。使用した支持体は、前述の30%伸張時荷重が縦方向250gおよび横方向1200gであり、50%伸張時回復率が縦方向90%および横方向75%のものであった。実施例2スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−120)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−H)ロジン系樹脂 16.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 50.00部ステアリン酸亜鉛 2.00部ケトプロフェン 2.00部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例3スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−120)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−H)ロジン系樹脂 16.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 51.95部ステアリン酸亜鉛 0.05部ケトプロフェン 2.00部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例4スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−120)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−H)ロジン系樹脂 16.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 46.00部ステアリン酸亜鉛 6.00部ケトプロフェン 2.00部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例5スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 3.00部ビスタネックスMM L−120)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−H)ロジン系樹脂 16.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 53.90部ステアリン酸亜鉛 0.10部ケトプロフェン 2.00部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例6スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 25.00部(ビスタネックスMM L−120)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−H)ロジン系樹脂 16.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 30.00部ステアリン酸亜鉛 2.00部ジクロフェナクナトリウム 2.00部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例7スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 10.00部(カリフレックスTR−1101)高分子ポリイソブチレン 3.60部(オパノール80)低分子ポリイソブチレン 20.00部(ビスタネックスLM−MS)ロジン系樹脂 15.80部(パインクリスタルKE−100)流動パラフィン 50.00部ステアリン酸亜鉛 0.10部インドメタシン 0.50部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例8スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 20.00部(オパノール120)低分子ポリイソブチレン 17.00部(オパノール15)ロジン系樹脂 5.00部(エステルガムA)流動パラフィン 30.00部ステアリン酸亜鉛 5.00部ケトプロフェン 3.00部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例9スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.00部(JSR5000)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−80)低分子ポリイソブチレン 1.00部(ビスタネックスLM−MH)ロジン系樹脂 30.00部(フォーラル85)流動パラフィン 33.40部ケイ酸アルミニウム 0.10部インドメタシン 0.50部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。実施例10スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 10.00部(JSR5002)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−100)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−MS)ロジン系樹脂 9.90部(フォーラル100)流動パラフィン 65.00部水酸化アルミニウム 0.10部フルルビプロフェン 5.00部上記の処方とした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。比較例1スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−120)低分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスLM−H)ロジン系樹脂 16.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 48.00部ステアリン酸亜鉛 2.00部ケトプロフェン 2.00部L−メントール 2.00部上記の処方とし、L−メントールを抗炎症剤と共に前記溶解物中に添加するようにした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。比較例2スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.00部(カリフレックスTR−1111)ロジン系樹脂 5.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 68.00部ケトプロフェン 0.50部L−メントール 1.50部上記の処方とし、L−メントールを抗炎症剤と共に前記溶解物中に添加するようにした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。比較例3スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−120)ロジン系樹脂 40.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 23.00部ケトプロフェン 5.00部L−メントール 10.00部ブチルヒドロキシトルエン 2.00部上記の処方とし、L−メントールおよびブチルヒドロキシトルエンを抗炎症剤と共に前記溶解物中に添加するようにした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。比較例4スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 24.00部(カリフレックスTR−1111)ロジン系樹脂 5.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 68.00部ステアリン酸亜鉛 1.00部ケトプロフェン 0.50部L−メントール 1.50部上記の処方とし、L−メントールを抗炎症剤と共に前記溶解物中に添加するようにした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。比較例5スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15.00部(カリフレックスTR−1111)高分子ポリイソブチレン 5.00部(ビスタネックスMM L−120)ロジン系樹脂 37.00部(パインクリスタルKE−311)流動パラフィン 23.00部ステアリン酸亜鉛 5.00部ケトプロフェン 5.00部L−メントール 10.00部上記の処方とし、L−メントールを抗炎症剤と共に前記溶解物中に添加するようにした以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製した。試験例1(薬物放出性試験)実施例1〜4で得られた貼付剤の薬物放出性を、米国薬局方放出試験法(USP)記載の回転シリンダー法により下記条件:試験液 蒸留水液温 32±0.5℃シリンダー下端と容器底内面との間の距離 12±2mm回転数 50rpmで実施した。得られた結果を表1および図1に示す。図1において、横軸は試験開始からの時間、縦軸は抗炎症剤の放出率を示している。表1および図1に示した結果から明らかなように、実施例1〜4で得られた本発明の貼付剤においては1時間後の薬物放出率が20〜64質量%、3時間後の薬物放出率が40〜93質量%であり、恒常的に高い薬物放出性が安定して維持されていることが確認された。その中でも特に、実施例1および2で得られた本発明の貼付剤においては、1時間後の薬物放出率が約30〜50質量%、3時間後の薬物放出率が約60〜80質量%であり、皮膚刺激性、経皮吸収性並びに持続性等を考慮した場合に特に優れた貼付剤であることが確認された。試験例2(ヒト皮膚貼付試験)実施例1、2、3及び4で得られた貼付剤を5cm四方に打ち抜き、健康成人10名の前腕内側に貼付して12時間後の付着性及び剥離を行う際の痛みについての評価を得た。表2に被験者10名の評価結果を示す。表2に示した結果から明らかなように、本発明の貼付剤は付着性および剥離する際の痛みにおいて優れているが、ステアリン酸亜鉛が0.1質量%から5質量%の範囲で配合された場合に特に優れた付着性を保ちつつ剥離時の痛みが低減されることが確認された。試験例3(ヒト皮膚粘着力測定試験)実施例1、2、3、4で得られた貼付剤を2cm×2cmの小片に切断し、健康成人10名の前腕皮膚に貼付した。貼付してから12時間後、貼付剤の辺縁部をデジタルバネばかり(デジタルフォースゲージ)に接続したクリップで挟んで固定し、デジタルバネばかりを一定速度で上昇させ、貼付剤をヒト皮膚に対して90度を保ちながら一定時間剥がされないように維持させた後、剥離してその時の力を測定した。表3に10名の評価結果の平均値を示す。なお、数値の判断基準としては、100〜200gが好ましい粘着力を示し、それ未満では粘着力が充分ではなく貼付時の剥がれを生じ、それを超えると粘着力が強すぎて剥離時の痛みを生じてしまう。表3に示した結果から明らかなように、本発明の貼付剤は粘着性において優れているが、ステアリン酸亜鉛が0.1質量%から5質量%の範囲で配合された場合に特に適度な粘着力が得られることが確認された。試験例4(熱安定性試験)実施例1、2、6および比較例2、3、4、5で得られた貼付剤を直径3cmの円形に打ち抜いた物をアルミポリエチレン複合フィルムでシールされた包装材に入れ、40℃で4週間保存した後、各貼付剤の粘着力をプローブタック試験法(使用装置:PROVE TACK TESTER)により測定した。なお、測定は3回繰り返し行い、得られた結果の平均値を表4に示す。また、プローブタック試験を行う際に粘着部分にシミ出しがないか観察し、得られた結果を表4に示す。表4に示した結果から明らかなように、本発明の貼付剤は粘着基剤の熱に対する安定性が優れているが、高分子ポリイソブチレンが3.6質量%から12質量%の範囲で配合された場合に特に加熱の影響による粘着基剤の可塑化およびシミ出しが十分に防止されることが確認された。試験例5(薬物安定性試験)実施例1〜10および比較例1〜5で得られた貼付剤を40℃で6ヶ月間保存した後の薬物安定性試験を行った。すなわち、保存後の貼付剤(粘着製剤)中の残存薬物量及びエステル化した薬物量を液体クロマトグラフィーにより測定した。なお、測定は3回繰り返し行ない、得られた結果の平均値を表5に示す。表5に示した結果から明らかなように、L−メントールを配合していない本発明の貼付剤においては保存後もほぼ100%抗炎症剤が残存していたのに対して、L−メントールを含む比較例1〜5で得られた貼付剤においては保存後に約5〜約15%の抗炎症剤がエステル化していたことが確認された。試験例6(モルモット皮膚刺激性試験)予め刈毛したモルモットの頸部背側皮膚に実施例1、2および比較例1、3で得られた貼付剤を2cm×2cmの小片に裁断したものを24時間貼付し、剥がしてから1時間後の皮膚の状態を肉眼により観察した。その結果を以下の基準に則して評価し、得られた結果を表6に示す。なお、モルモットの例数は1群10匹とした。また、陽性率は以下の式にしたがって算出した。陽性率=(スコア×匹数)/(最大スコア×合計匹数)[評価基準]紅斑及び痂皮形成 スコア変化なし 0極軽度の紅斑 1軽度の紅斑 2中程度から強度の紅斑 3深紅色の強度の紅斑と軽度の痂皮形成 4表6に示した結果から明らかなように、本発明の貼付剤においては皮膚刺激による弊害の発生が十分に防止されたのに対して、比較例1、3で得られた貼付剤においては皮膚刺激による弊害の発生が十分に防止されないことが確認された。産業上の利用可能性以上説明したように、本発明によれば、L−メントールを配合していないにも拘わらず、カルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤による十分な消炎鎮痛効果が皮膚刺激等の弊害を招くことなく長時間にわたって安定して得られ、しかも付着性に優れ、剥離時の痛みが低減され、粘着基剤の安定性にも優れた抗炎症剤含有貼付剤を得ることが可能となる。従って、本発明によって、消炎鎮痛を目的とする医薬品(外用貼付剤)として有用な抗炎症剤含有貼付剤を提供できるものである。【図面の簡単な説明】図1は、薬物放出性試験の結果を示すグラフである。 スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を5〜40質量%、平均分子量50000〜200000の高分子ポリイソブチレンを1〜25質量%、平均分子量5000〜15000の低分子ポリイソブチレンを0.5〜24質量%、粘着付与剤を3〜50質量%、可塑剤を20〜70質量%、分散剤を0.01〜7質量%、および薬物としてカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤を0.1〜8質量%含有し、かつL−メントールを含有しない、抗炎症剤含有皮膚用貼付剤。 前記カルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤が、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ケトロラク、およびそれらの塩類からなる群から選ばれる少なくとも一種の抗炎症剤であり、該抗炎症剤の配合量が0.5〜5質量%である、請求項1に記載の貼付剤。 米国薬局方放出試験法記載の回転シリンダーによる水放出試験を下記条件: 試験液 蒸留水 液温 32±0.5℃ シリンダー下端と容器底内面との間の距離 12±2mm 回転数 50rpm で実施した場合における試験開始から1時間後の薬物放出率が20〜64質量%であり、かつ、3時間後の薬物放出率が40〜93質量%である、請求項1に記載の貼付剤であって、 スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を10〜30質量%、高分子ポリイソブチレンを5〜12質量%、低分子ポリイソブチレンを5〜15質量%、粘着付与剤を5〜16質量%、可塑剤を46〜51.95質量%、分散剤を0.05〜6質量%、および薬物としてカルボキシル基またはその塩を有する抗炎症剤を2質量%含有し、かつL−メントールを含有しない、貼付剤。 前記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の配合量が10〜30質量%である、請求項1に記載の貼付剤。 前記高分子ポリイソブチレンの配合量が3.6〜12質量%である、請求項1に記載の貼付剤。 前記低分子ポリイソブチレンの配合量が2〜15質量%である、請求項1に記載の貼付剤。 前記粘着付与剤がロジン系樹脂であり、該粘着付与剤の配合量が5〜30質量%である、請求項1に記載の貼付剤。 前記可塑剤が流動パラフィンであり、該可塑剤の配合量が30〜60質量%である、請求項1に記載の貼付剤。 前記分散剤がステアリン酸金属塩であり、該分散剤の配合量が0.1〜5質量%である、請求項1に記載の貼付剤。 前記貼付剤が支持体を更に備えており、該支持体が、 試料幅50mm、試料長200mm及び伸長速度200mm/minの測定条件でのJIS L 1096に規定される30%伸張時荷重が縦方向100〜800g及び横方向500〜2500g、 試料幅50mm、試料長200mm及び伸長速度200mm/minの測定条件でのJIS L 1096に規定される50%伸張時回復率が縦方向75〜95%及び横方向65〜85%、 のものである、請求項1に記載の貼付剤。