生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_シンバスタチンの製造方法
出願番号:2001570646
年次:2007
IPC分類:C07D 309/30


特許情報キャッシュ

リー,クワン ヒュク キム,ジン ワン チョイ,クワン ド バエ,フン JP 3946521 特許公報(B2) 20070420 2001570646 20000330 シンバスタチンの製造方法 チェイル ジェダン コーポレイション 502214745 遠山 勉 100089244 松倉 秀実 100090516 川口 嘉之 100100549 永田 豊 100098268 リー,クワン ヒュク キム,ジン ワン チョイ,クワン ド バエ,フン 20070718 C07D 309/30 20060101AFI20070628BHJP JPC07D309/30 R 米国特許第04845237(US,A) 特表平07−501072(JP,A) 山川浩司,有機薬品合成化学 第2版,廣川書店,1985年,190−191頁 5 KR2000000283 20000330 WO2001072734 20011004 2003528869 20030930 7 20030314 渕野 留香 【0001】[発明の分野]本発明はシンバスタチン(simvastatin)化合物の製造方法に関する。この化合物は下記化学式(I)を有し、コレステロール生合成の抑制に有用である。【0002】【化5】シンバスタチン化合物はHMG CoA還元酵素(reductase)の抑制剤であり、高コレステロール血症(hypercholesterolemia)の治療に有用な薬剤であることが知られている。同化合物の製造方法のいくつかが開示されている。一つは、アメリカ合衆国特許第4,444,784号(大韓民国特許公告第85-669号に相当)に開示されており、その反応図式は以下の通りである。【0003】【化6】 [従来の技術]前記アメリカ合衆国特許第4,444,784号記載の方法は、一般的に、高温および長時間の反応条件で、過剰量のアシルクロライド(II)存在下で行われる。のみならず、前記方法は以下の欠点、i)アシル化物質の収率が低い、ii)t-ブチルジメチルシリルオキシラジカル(t-butyldimethylsilyloxy radical)の除去による副産物の生成、およびiii)得られた物質であるエステル(IV)の、残余アルコール(III)およびアシルクロライド(II)からの分離の困難さ、を有する。該残余物は最終物質の結晶化を妨げることもある。【0004】上記の方法を改善する方法がアメリカ合衆国特許第4,845,237号に記載されている。その反応メカニズムは下記の通りである。【0005】【化7】前記方法は、アルカリ金属と4-ジアルキルアミノピリジン(4-dialkylaminopyridine)を添加することにより、アシルクロライド(II)を活性化して、副産物の生成を減らし、最終産物の収率を高める。しかしながら、前記方法はまた、アシルクロライド(II)をカルボン酸(carboxylic acid)(V)から合成しなければならないため煩わしく、アシルクロライドの活性化に必要なLiBrは取扱いが非常に難しい物質である。LiBrを使用するためには、真空下において135℃で3日間乾燥しなければならない。非常に吸湿性があるため、乾燥LiBrをアシルクロライドに添加する時、プラスチック容器を使って扱わなければならない。水分が吸収されたLiBrが添加されると、反応収率が低くなり、副産物が生成される。従って、工程が複雑化し困難になる。【0006】従って、本発明者らは、研究を行い、アシルクロライド(II)を介さないカルボン酸(V)の直接利用による、そしてLiBrを利用しない、改善された収率を示す新しい方法を開発した。【0007】[発明の詳細な説明]本発明は、6(R)-[2-(8'(S)-ヒドロキシ-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンの、カルボン酸化合物(VI)によるアシル化の段階および、アシル化化合物のヒドロキシル化の段階を含む、シンバスタチンの製造方法を提供する。前記カルボン酸化合物は、以下の化学式(VI)を有する。【0008】【化8】ここで、Rはメチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、又はフェニル(phenyl)である。【0009】本発明においては、アシル化に用いられるカルボン酸(VI)は、トリアルキルホスフィン(trialkylphosphine)及びハロゲン化合物によって活性化され、分離することなく直接利用することにより工程を簡便に行うことができる。この反応メカニズムは以下の通りである。【0010】【化9】ここで、Rはメチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、又はフェニルであり、R1はハロゲン化合物として、例えば、ヘキサクロロエタン、四塩化炭素、四臭化炭素、又はヘキサクロロアセトンである。活性化されたカルボン酸(VI)を別に精製又は分離することなくアルコール(III)と反応させると、アシル化物質(IV)を高収率で得ることができる。【0011】【化10】本発明の化学式(III)の化合物は、当業者により、容易に製造することができる。出発化合物(VI)のPR3は、トリフェニルホスフィン(triphenylphosphine)が望ましい。ハロゲン化合物はヘキサクロロエタンが望ましい。これは1.0乃至4.0当量、望ましくは3.0乃至3.6当量の量で使用され得る。温度は0℃乃至110℃であり、望ましくは83℃である。【0012】溶媒は、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、シクロヘキサン、およびトルエン等の不活性溶媒が、単独で或いは混合して使用され、最も望ましく使用されるものはジクロロエタンである。【0013】以下の実施例は本発明を例示することを意図したもので、本発明の範囲を限定するものではない。【0014】[実施例]実施例16(R)-[2-(8'(S)-(4-ブチル-2,2-ジメチルオキシ)-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンジクロロエタン溶液100mlにトリフェニルホスフィン18.1gを溶解した後、ヘキサクロロエタン19.6gを混合した。この溶液を20℃で1時間攪拌した。2,2-ジメチルブチル酸8.0gを溶液に添加して、得られた溶液を45分間攪拌した。攪拌後、該溶液に、6(R)-[2-(8'(S)-ヒドロキシ-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン10gを添加して、この溶液をおだやかに20時間攪拌した。HPLCでモニタした結果、出発物質の転換率は99%またはそれ以上であり、所望する物質(IV)および不飽和ラクトンのような副産物の含有割合は、それぞれ96-97%および1乃至2%であった。転換が完了した後、溶液を10℃に冷却し、2%塩酸100mlを混合した。得られた溶液を攪拌し、有機層を分離した。反応液を濃縮し、シクロヘキサン100mlを混合すると、トリフェニルオキシド(triphenyloxide)が結晶として生成された。結晶を含む溶液を10℃に冷却して、2時間攪拌し、濾過し、ついで標題化合物を得るため冷却されたシクロヘキサンで洗浄した。【0015】実施例26(R)-[2-(8'(S)-(4-ブチル-2,2-ジメチルオキシ)-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンジクロロエタン溶液50mlにトリフェニルホスフィン18.1gを溶解した後、ヘキサクロロエタン19.6gを混合した。該溶液を、ジクロロエタン50mlに2,2-ジメチルブチル酸8.0gを加えた溶液に滴加した。得られた溶液は1時間攪拌した。攪拌後、該混合溶液に、6(R)-[2-(8'(S)-ヒドロキシ-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン10gを添加し、この溶液を20時間おだやかに攪拌した。溶液を10℃に冷却し、2%塩酸100mlを混合した。得られた溶液を攪拌し、有機層を分離した。溶液を10℃に冷却し、2時間攪拌し、濾過し、ついで標題化合物を得るため冷却されたシクロヘキサンで洗浄した。【0016】実施例3シンバスタチンの製造実施例1又は2により得られた濃縮溶液6(R)-[2-(8'(S)-(4-ブチル-2,2-ジメチルオキシ)-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンにアセトニトリル120mlを加えた。該溶液に蒸留水7mlとメタンスルホン酸(methanesulfonic acid)0.5mlを加えた。この溶液を50℃で3時間攪拌した。攪拌後、2Nの水酸化ナトリウム42mlを溶液に加えて、得られた溶液を攪拌した。酢酸エチル(ethylacetate)150mlと蒸留水150mlを溶液に加え、攪拌し、水溶液層を分離した。塩酸を用いて、125mlの酢酸エチルと混合した水層を酸性化させることにより、有機層を分離して濃縮した。濃縮液にトルエン150mlを混合しておだやかに3時間攪拌した。トルエンを濃縮してカラム(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)で分離した。結果として7.7gの99.0%又はそれ以上のシンバスタチンを得た。【0017】実施例4シンバスタチンの製造濃縮溶液6(R)-[2-(8'(S)-(4-ブチル-2,2-ジメチルオキシ)-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンにアセトニトリル120mlを加えた。該溶液に蒸留水7mlとメタンスルホン酸0.5mlを加えた。この溶液を50℃で3時間攪拌した。攪拌後、2Nの水酸化ナトリウム42mlを溶液に加えた。該溶液に酢酸エチル150mlと蒸留水150mlを加えて、攪拌し、水溶液層を分離した。塩酸を用いて、125mlの酢酸エチルと混合した水層を酸性化させることにより、有機層を分離した。有機層にメタノール42mlと28%アンモニア水3.5mlを加え、これは結晶化を引き起こす。結晶を濾過して、酢酸エチル/メタノール(3.5/1)20mlと、トルエン20mlで続けて洗浄した。洗浄後、結晶にトルエン150mlを加えた。トルエンは濃縮して分離した。得られた溶液とシクロヘキサン150mlを混合して攪拌した。結果として、未精製シンバスタチン6.6gを得た。未精製シンバスタチンをエタノール/蒸留水で再結晶化し、90.0%又はそれ以上のシンバスタチン6.2gを得た。【0018】本発明は、LiBrの使用とアシルクロライド(II)の分離工程を伴わずに、高収率でアシル化物質(IV)が得られるため、産業上有用であるということは明らかである。 6(R)-[2-(8'(S)-ヒドロキシ-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンと、化学式(VI)の化合物とを反応させる段階、および得られた化学式(IV)の化合物をヒドロキシル化させる段階を含む、化学式(I)の化合物の製造方法。ここで、Rがメチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、又はフェニルである。 前記化学式(VI)の化合物が、トリアルキルホスフィン又はトリフェニルホスフィンとハロゲン化合物の反応で得られたハロゲン化物と、化学式(V)のカルボン酸化合物との反応により生産される、請求項1に記載の製造方法。 ハロゲン化合物がヘキサクロロエタンである、請求項2に記載の製造方法。 ハロゲン化合物の使用量が1.0乃至4.0当量である、請求項2に記載の製造方法。 6(R)-[2-(8'(S)-ヒドロキシ-2'(S),6'(R)-ジメチル-1',2',6',7',8',8'a(R)-ヘキサヒドロナフチル-1'(S))エチル]-4(R)-t-ブチルジメチルシリルオキシ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンと、化学式(VI)の化合物とを反応させる段階、および得られた化学式(IV)の化合物をヒドロキシル化させる段階が、ジクロロエタン中で行われる、請求項1に記載の製造方法。


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