生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヒドロキシルアミン溶液用の安定化剤
出願番号:2001561720
年次:2011
IPC分類:C07C 217/20,C01B 21/14,C07C 235/60


特許情報キャッシュ

ヴェーバー,マルクス シュテルツェル,ハンス−ヨーゼフ シュトレファー,エックハルト ヴァツェンベルガー,オットー JP 4731783 特許公報(B2) 20110428 2001561720 20010214 ヒドロキシルアミン溶液用の安定化剤 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 508020155 BASF SE 江藤 聡明 100100354 ヴェーバー,マルクス シュテルツェル,ハンス−ヨーゼフ シュトレファー,エックハルト ヴァツェンベルガー,オットー DE 100 08 080.4 20000222 20110727 C07C 217/20 20060101AFI20110707BHJP C01B 21/14 20060101ALI20110707BHJP C07C 235/60 20060101ALI20110707BHJP JPC07C217/20C01B21/14 ZC07C235/60 C07C 217/20 C01B 21/14 C07C 235/60 特表2000−502035(JP,A) 5 EP2001001605 20010214 WO2001062710 20010830 2003525228 20030826 7 20080130 太田 千香子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、安定化剤として式(I)または式(II)で表される少なくとも1種の化合物を含む安定化ヒドロキシルアミン溶液、ヒドロキシルアミン溶液における安定化剤として式(I)または式(II)で表わされる化合物を使用する方法、およびヒドロキシルアミン溶液の安定化方法に関する。【0002】本発明はまた、式(II)で表されるトリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミンに関する。【0003】【化1】【0004】【従来技術】遊離塩基の形態のヒドロキシルアミンを含む塩基性または中性溶液は、例えばファインケミカル物質の製造分野および電子工業分野における用途等、多くの用途を有している。これらの溶液は不安定でありアンモニア、窒素、窒素酸化物および水に分解するため、これらの溶液の輸送および貯蔵は困難であることが知られている。【0005】上述の分解を阻止するために、これらの溶液には安定化剤が添加される。既に提案されている安定化剤として、以下のようなものがある。【0006】チオグリコール酸(JP−A−58069843)、グリセロールモノエステル類およびそのエチレンオキシド付加物(DE−A−2919554)、ヒドロキシアントラキノン類(DE−A−3343600)、ヒドロキシキノリン類(DE−A−3345734)、ポリヒドロキシヘキサノ−1,4−ラクトン(DE−A−3345733)、アントシアニン類(DE−A−3347260)、ヒドロキシキナルジン類、フラボン類、ベンゾニトリル、N−フェニル−N−ヒドロキシチオウレア(DE−A−3601803)、フラバン類(DE−A−3343599)、チオスルファート類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトアルカノール類、メルカプトチアゾリン類、チウラムジスルフィド類、チオウレア類(EP−A−516933)、エチレンジアミン四酢酸の四ナトリウム塩、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミノ三酢酸の三ナトリウム塩、ポリビニルピロリドンまたはポリ−N−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリジノン(US−A−3145082)、アミドオキシム類(US−A−3480391)、ヒドロキサム酸類(US−3480391)、ヒドロキシウレア類(US−3544270)、ジピリジル化合物(JP−A−58069842)、アミノキノリン類(JP−A−58069844)、フェナントロリン類(JP−A−58069841)、およびポリヒドロキシフェノール類(JP−A−4878099)。【0007】【発明が解決しようとする課題】これらの安定化剤の問題点は、長期保存に十分耐えるほどにはヒドロキシルアミン溶液を安定化しない点である。【0008】ヒドロキシルアミン溶液をより長期間貯蔵することを可能にする安定化剤として、DE−A−19547759号公報では、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N´,N´−四酢酸が提案されている。【0009】この安定化剤は上述の安定化剤よりは長期間の貯蔵を可能にするけれども、ヒドロキシルアミン溶液の貯蔵可能期間をさらに長期化する必要がある。【0010】したがって本発明の目的は、ヒドロキシルアミン溶液をより良好に安定化することができるヒドロキシルアミン溶液用の安定化剤、特に長期間の安定化を可能にする安定化剤を提供することである。【0011】【課題を解決するための手段】発明者等は、上述の目的は、安定化剤として式(I)または式(II)で表される少なくとも1種の化合物を含む冒頭に示した安定化ヒドロキシルアミン溶液、ヒドロキシルアミン溶液における安定化剤として式(I)または式(II)で表わされる化合物を使用する方法、およびヒドロキシルアミン溶液の安定化方法、および式(II)で表される化合物によって達成されることを発見した。【0012】式(I)または(II)で表される化合物は、蟻酸、酢酸、安息香酸のような有機酸、または、より好ましくは硫酸、硝酸、燐酸、亜燐酸のような無機酸、特にハロゲン化水素酸、中でも塩酸または臭酸、との塩の形態で使用してもよい。【0013】【発明の実施の形態】本発明における好適な化合物は、式(I)【0014】【化2】で表わされる、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−オキサブチル)アミン、および、式(II)【0015】【化3】で表わされる、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミン、およびこれらの塩、好ましくはハロゲン化水素との塩、特にトリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−オキサブチル)アミン塩酸塩、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−オキサブチル)アミン臭酸塩、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミン塩酸塩、または、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミン臭酸塩、のような塩酸または臭酸との塩である。【0016】本発明の安定化ヒドロキシルアミン溶液は、少なくとも1種の、例えば1種、2種、3種または4種の、好ましくは1種または2種の、特に好ましくは1種の、式(I)または(II)で表される化合物を、遊離形態または1種以上の少なくとも部分的に中和された塩の形態、即ち、安定化剤として、式(I)または(II)で表わされる遊離化合物が混合物中に式(I)または(II)で表される1種以上の化合物の1種以上の塩と共に存在している形態、で含む。同時に、本発明の安定化ヒドロキシルアミン溶液は、少なくとも1種の、例えば1種、2種、3種または4種の、好ましくは1種または2種の、特に好ましくは1種の、式(I)または(II)で表される化合物を、1種以上の完全に中和された塩の形態で含んでいてもよい。【0017】本発明の安定化ヒドロキシルアミン溶液は、ヒドロキシルアミンを、遊離塩基の形態または少なくとも部分的に中和されたヒドロキシルアミン塩の形態、即ち、遊離ヒドロキシルアミンが混合液中にヒドロキシルアミン塩と共に存在している形態、で含む。【0018】本発明において使用される安定化剤は、全種類のヒドロキシルアミン溶液を安定化するために使用することができる。ヒドロキシルアミン溶液は、水溶液であっても、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒、または水と有機溶媒との混合物、にヒドロキシルアミンを溶解させた溶液であってもよい。本発明において使用される安定化剤は、ヒドロキシルアミンが溶解可能である溶媒に同様に溶解可能である。【0019】ヒドロキシルアミン溶液は、一般的にはヒドロキシルアンモニウム塩、特にヒドロキシルアンモニウムスルファート、ヒドロキシルアンモニウムクロリドおよびヒドロキシルアンモニウムホスファートを、適当な塩基、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムと反応させることにより得ることができる。ヒドロキシルアンモニウム塩を完全中和する場合には、遊離ヒドロキシルアミンと、ヒドロキシルアンモニウム塩中に存在する酸のアニオンと塩基のカチオンとから生じる塩と、を含む溶液が得られる。この塩の一部または全部が分離していてもよい。ヒドロキシルアンモニウム塩は、一部だけが塩基で中和されていてもよい。この場合には、遊離ヒドロキシルアミンと上述の塩ばかりでなく未反応のヒドロキシルアンモニウム塩をも含有する溶液が得られる。これらの溶液の全てを本発明によって安定化することができ、ヒドロキシルアンモニウム塩のアニオンの性質には影響されない。【0020】本発明の安定化ヒドロキシルアミン溶液は、安定化のために十分な量の式(I)または(II)で表される化合物を含む。本発明の安定化ヒドロキシルアミン溶液は、ヒドロキシルアミン含有量に対して、0.001〜20質量%(10〜200000ppm)、好ましくは0.001〜10質量%、特に好ましくは0.01〜5質量%、極めて好ましくは0.02〜2質量%、の式(I)または(II)で表される化合物を含む。ヒドロキシルアミンの濃度は、溶液全体の質量に対して、一般的には1〜100質量%、特に1〜70質量%である。【0021】本発明の安定化剤は、ヒドロキシルアミン塩の中和の前に添加しても後に添加してもよいが、中和の前に添加するのが好ましい。【0022】式(I)または(II)で表される化合物は、広い温度範囲において有効である。即ち、これらの化合物は、−20〜130℃、好ましくは−10〜100℃の範囲でヒドロキシルアミン溶液を安定化する。しかしながら、これらの化合物は、溶液を液化するために必要な圧力下では上述の温度より顕著に高温であっても安定化剤として好適である。【0023】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例において記載されているヒドロキシルアミンの濃度は、酸化還元滴定によって決定した値である。【0024】【実施例】容量50mlのガラス製の丸底フラスコに20mlの濃度50%のヒドロキシルアミン溶液を導入し、ヒドロキシルアミンの質量に対して300質量ppmの表1に記載された安定化剤を添加した。このフラスコを室温に放置するか、または油浴により100℃に加熱しこの温度に放置した。100℃での安定化溶液のヒドロキシルアミン含有量は15時間後にサンプルを酸化還元滴定することによって測定した。酸化還元滴定のために、所定量のサンプルを溶液から採取し、過剰量の硫酸にアンモニウム鉄(III)塩を溶解させた溶液と共に5分間加熱し、形成された鉄(II)塩をセリウム(IV)塩溶液で逆滴定した。滴定の終点をポテンシオメトリーにより決定した。【0025】フラスコはヒドロキシルアミンが急速に分解するようになるまで100℃に維持した。急速分解が生じる時間に到達すると、安定化剤はある程度分解し、ヒドロキシルアミンの分解を十分に阻止することができなくなる。【0026】以下の表1より、式(I)または(II)で表される化合物が、最も長期に渡りヒドロキシルアミンを安定化することができることがわかる。【0027】【表1】 トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−オキサブチル)アミン、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミン、およびその塩からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を安定化剤として含む、安定化ヒドロキシルアミン溶液。 ヒドロキシルアミンに対して0.001〜20質量%の、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−オキサブチル)アミン、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミン、およびその塩からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む、安定化ヒドロキシルアミン溶液。 ヒドロキシルアミン溶液を安定化するために、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−オキサブチル)アミン、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミン、およびその塩からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を使用する方法。 ヒドロキシルアミン溶液中に、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−オキサブチル)アミン、トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミン、およびその塩からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を導入することを含む、ヒドロキシルアミン溶液の安定化方法。 トリ(4−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−4−ケト−3−アザブチル)アミンまたはその塩。


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