タイトル: | 特許公報(B2)_睡眠障害の治療のためのミルタザピンの使用 |
出願番号: | 2001557563 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/55,A61P 25/20,C07D 471/14 |
ライフト,ヘラルドウス・ステフアヌス・フランシスクス フアン・デン・ベルフ,フランス JP 5039994 特許公報(B2) 20120720 2001557563 20010206 睡眠障害の治療のためのミルタザピンの使用 エム・エス・ディー・オス・ベー・フェー 512059936 岩瀬 吉和 100146318 小野 誠 100114188 金山 賢教 100119253 坪倉 道明 100124855 重森 一輝 100129713 安藤 健司 100137213 城山 康文 230105223 ライフト,ヘラルドウス・ステフアヌス・フランシスクス フアン・デン・ベルフ,フランス EP 00200499.2 20000211 20121003 A61K 31/55 20060101AFI20120913BHJP A61P 25/20 20060101ALI20120913BHJP C07D 471/14 20060101ALN20120913BHJP JPA61K31/55A61P25/20C07D471/14 102 A61K 31/55 C07D 471/14 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 国際公開第99/025356(WO,A1) Vester,E.,et al,European Neuropsychopharmacology,1997年,Vol.7,pp S175 Winokur,A.,et al,Biological Psychiatry,1998年,Vol.43,pp 106S-107S Thase,M.E,Journal of Clinical Psychiatry,1999年,Vol.60,pp 28-31 Sitsen,J.M.A.,et al,Drug Investigation,1994年,Vol.8,pp 339-344 Holm,K.J.,et al,Drugs,1999年,Vol.57,pp 607-631 5 EP2001001221 20010206 WO2001058453 20010816 2003522147 20030722 7 20080128 田村 聖子 【0001】本発明は、対象における睡眠障害の新規治療方法のための医薬の製造のためのミルタザピン(mirtazapine)の使用に関する。【0002】睡眠障害は、薬物の使用の主な動機付けとなる。最も多く選択される薬物は、脳内のGABA神経伝達物質受容体系と相互作用する薬物、すなわち、いわゆるマイナートランキライザーであり、そのうち、ベンゾジアゼピン系薬のグループが古典的な例である。現在入手可能な催眠薬の欠点として、潜在的な有害作用、より劣った睡眠の質の存続、二日酔い作用、依存の可能性、離脱作用および認識機能に対する望ましくない作用が挙げられる。睡眠の質は、例えば、睡眠が元気を回復させており昼間の眠気/注意力に正の効果をもたらすか否かの睡眠の効果から推論されるばかりでなく、睡眠の段階および構造を示す客観的なEEGにより測定された特徴からも推論されうる。【0003】種々のタイプのベンゾジアゼピン受容体の発見は、不眠症の薬物療法への新規方法の開発に役立てられている(総説としては、C.K.Kirkwood;Management of insomnia;J Am Pharmaceut.Ass.Vol 39 pp 688−696;1999を参照されたい)。睡眠を誘発する他のメカニズムも調べられている。アヘン様薬物、バルビツール酸誘導体および抗ヒスタミン薬は、睡眠誘発剤として数十年前に使用されていた薬物クラスであるが、望ましくない副作用および/または乏しい有効性のため、それらの使用は行われなくなった。そのような薬物は尚も、他の障害に対しては使用されており、その場合、睡眠障害の治療に使用した場合の副作用が主作用となる。特に、ヒスタミン受容体を拮抗する薬物は鎮静性であり睡眠誘発性であるが、ベンゾジアゼピンおよびそれらの現代の後続品より低い選択性、より低い効力およびより低い安全性を考慮して、睡眠障害の治療にはもはや通常は使用されていない。【0004】ミルタザピンは抗うつ薬として公知である。それは、その目的には1人当たり15〜45mgの1日量で有効である。該用量は、有効な治療、特にうつ病の治療に極めて重要であることが良く知られている。ミルタザピンは何らかの初期鎮静効果を有すると報告されており、このため、睡眠に対するその効果が調べられている。1人当たり1日当たり5〜30mgの用量範囲で、一過性または状況因性不眠症の改善が見出されることが報告されており、その場合、15mgの用量は5mgより好ましいことが報告された(Sorensenら Acta Psychiatr.Scand.71:339−346;1985)。また、Winokur(Biological Psychiatry 1998;45(8S):p106S)は、顕著な睡眠関連病訴を有するうつ病患者において15mgおよび30mgのミルタザピンについて研究しており、睡眠障害の治療のためのこれらの用量の更なる研究を推奨している。【0005】ミルタザピンは、対象における睡眠障害の治療[該治療は、0.1mgを超え5mg未満のミルタザピンを含む単位治療量(これは、すなわち、0.1〜5mg(の範囲内)の単位治療量のミルタザピンである)でミルタザピンを投与することを含む]のための医薬の製造に使用されうることが、本発明において見出された。【0006】一般に、これは、平均的なヒトの場合、0.005〜0.07mg/kgの範囲の治療量に相当する。【0007】予想に反して、睡眠障害の治療に選択される公知薬物の有効な代替物として該化合物を利用可能にする好ましい結果が、Sorensenら及びWinokur(前記で引用されている)により研究され推奨されている用量範囲未満の治療量で得られた。少なくとも特定の患者には、治療後のより良好な睡眠の質を考慮すると、前記で示した用量範囲のミルタザピンは、公知睡眠改善薬の1つを選択するより優れた選択肢でありうる。【0008】本明細書中に定義されているミルタザピンの量は、ミルタザピンの遊離塩基の量を意味する。ミルタザピンはキラル中心を含有し、立体異性体として存在しうる。本発明は、その範囲内の前記立体異性体、ならびに実質的に遊離した(すなわち、5%未満、好ましくは、2%未満、特に、1%未満のその他のエナンチオマーを伴う)個々の(R)および(S)エナンチオマーのそれぞれ及びそれらの塩、および任意の比率のそのようなエナンチオマーの混合物(実質的に等しい量のそれらの2つのエナンチオマーを含有するラセミ混合物を含む)を含む。【0009】本発明により利用可能となる治療に適した対象は、動物またはヒトでありうる。本発明は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに適用されるべきである。男性および女性は、しばしば、薬物治療に対して異なった応答を示し、性質、頻度および重症度において異なった様態で睡眠障害に罹患する。また、異なる年齢群の睡眠障害の患者に対する治療方法にも違いがある。老人、青年または閉経後年齢群では、治療の必要性が異なる。睡眠の質の改善の或る態様は、異なる年齢群もしくは性別または異なる睡眠障害の場合に、より重要である。本発明の治療を選択する際には、および該治療のためのミルタザピンの厳密な用量を選択する際には、そのような異なる要因を考慮すべきである。ミルタザピンの投与の非常に厳密な用量および治療方式は、必然的に、それが医薬の形態で投与される個々の対象の要求、ならびに睡眠障害の性質および要求、ならびに医師の判断に左右されるであろう。一般には、非経口投与は、より吸収に依存した他の投与方法より低い投与量しか要しない。しかし、1日量は、受容者の体重1kg当たり0.005〜0.07mgである。該受容者は、睡眠障害の治療のためにミルタザピンの投与を受ける対象である。【0010】ヒトにおける睡眠障害には幾つかのタイプがあり、そのうち、一次性(primary)不眠症が最も一般的なものであり、本発明の低用量のミルタザピンでの治療に、好ましく選択される。他の睡眠障害としては、例えば、一過性および二次性睡眠障害が挙げられる。該睡眠障害は、American Psychiatric Association,Washington,D.C.(1994)により出版されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 第4版(DSM IV)に概説されている基準および方法に従い診断されうる。【0011】ミルタザピンまたはその医薬上許容される酸付加塩もしくは溶媒和物を単独で投与することは可能であるが、それを、医薬上許容される補助剤と混合した該ミルタザピンまたはその医薬上許容される酸付加塩もしくは溶媒和物を含む睡眠障害の治療に適合させた医薬組成物として投与することが好ましい。ミルタザピンを含む医薬は、経腸的(例えば、経口的、直腸内、鼻腔内または局所的)または非経口的に(例えば、筋肉内、皮下、静脈内または腹腔内注射により)投与することができる。【0012】単位治療量(=投与単位)は、特定の時点で対象に投与するための医薬投与形態中のミルタザピンの量である。1日治療量を、例えば、皮膚を介して(例えば、経皮パッチまたはクリームの形態)、または経口的、直腸内、舌下もしくは鼻腔内経路に適した1以上の投与単位として投与することが可能である。【0013】本発明は更に、投与単位と該投与単位に適したパッケージ材との組合せを含んでなる睡眠障害の治療のための患者パック(patient pack)を含み、該投与単位は、医薬補助剤と0.1〜5mgの量のミルタザピンとを含み、所望により、該パッケージ材は、睡眠障害の治療に最も適切に該投与単位を受容者が使用するのを助ける手段を含む。前記の治療に最も適切に該投与単位を受容者が使用するのを助けるそのような手段としては、例えば、該組成物の使用説明書が挙げられる。そのような患者パックにおいては、睡眠障害の治療のためのミルタザピンを含む製剤の意図される使用は、説明書、施設、設備、適応形態および/または該治療に最も適切に該製剤を使用するのを助ける他の手段から推測される。そのような手段は、患者パックを、睡眠障害の治療のための使用に特に適した及び適合したものにする。【0014】丸剤、錠剤、坐剤、(マイクロ)カプセル剤、散剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、インプラント、パッチ、ゲル剤および徐放用の他の任意の製剤、噴霧剤、溶液または懸濁液の形態の注射剤のような投与手段の製造には、例えば、標準的な参考書であるGennaroら,Remington’s Pharmaceutical Sciences,(第18版,Mack Publishing Company,1990,特にPart 8:Pharmaceutical Preparations and Their Manufactureを参照されたい)に記載されているとおりに、担体、充填剤、結合剤、滑沢剤、分散剤、乳化剤、安定剤、界面活性剤、抗酸化剤、着色剤、保存剤などのような適当な補助剤を使用することができる。一般には、該活性化合物の機能を妨げない任意の医薬上許容される補助剤が適しており、使用されうる。【0015】該組成物と共に投与されうる適当な充填剤または担体には、適当な量で使用される寒天、アルコール、脂肪、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、多糖類、ポリビニルピロリドン、シリカ、無菌食塩水など又はそれらの混合物が含まれる。【0016】結合剤は、医薬組成物に粘着特性を付与して製造および取り扱い中の医薬組成物からの喪失を最小限にするために使用する物質である。結合剤としては、例えば、セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。【0017】本発明の活性剤と共に投与されうる適当な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。【0018】界面活性剤は、親水性および疎水性環境のような異なる物理的環境中の化合物の接触および移動を促進する物質である。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(第18版,A.R.Gennaro編;Mack Publishing Comp;Easton,Pennsylvania)の第19章に記載されているとおり、多数の界面活性剤が医薬組成物の製造の分野で公知である。医薬製剤の製造プロセス中に使用されうる界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。【0019】ミルタザピンは、参照により本明細書に組み入れる米国特許第4,062,848号に記載されている方法を用いて製造することができる。【0020】以下の実施例は、本発明のミルタザピンの使用を例示するものである。【0021】(実施例)0.5mg、1.5mgおよび4.5mgのミルタザピンを含有する投与単位中にミルタザピンを製剤化する。0.5mgを含有する投与単位(錠剤)は、表1に示す組成を有する。【0022】【表1】【0023】錠剤の製造のために、22回転/分(rpm)のTurbulaミキサー上、1リットルのガラス容器内でミルタザピン(ベース)の全量を100グラムのラクトース200Mと10分間にわたり予混することにより、表1に示す組成を有する1000gの顆粒バッチを調製した。該混合物を150μMの篩いで篩いにかけ、その前および後に、更に20gのラクトース200Mを加える。高せん断ミキサーグラニュレーター中、残りの該ラクトース、コーンスターチおよびヒドロキシプロピルセルロースで顆粒化を行った。該顆粒をトレー真空キャビネット中で乾燥し、円錐スクリーンミルで分級し、エアロジル(aerosil)およびステアリン酸マグネシウムと混合した。その65mgの錠剤を、直径5mmおよび凸面半径7.5mmで圧縮した。1.5および4.5mgのミルタザピンを有する錠剤を同様に製造した。この場合、ミルタザピンの量の増加を補正するために、ラクトースの量を調節した。ラクトース200 Meshの量を補正的(compensatory)に減少させて、1.5mgおよび4.5mgのミルタザピンを含有する投与単位を製造した。【0024】一次性不眠症患者における睡眠に対する低用量のミルタザピンの効果:プラセボおよびテマゼパムでのパラレル二重盲検比較。該研究は、ヨーロッパの幾つかの異なる国の研究センターが参加するマルチセンター(multi−centre)研究である。【0025】一次性不眠症の患者を、DSM IVによる診断基準で選択する。さらに、患者は、以下の3つの客観的特徴の2つを有するべきである:30分以上の睡眠潜伏期、一晩に3回以上の覚醒回数、8時間のうちの6、5時間以下の総睡眠時間を有する患者。主要除外基準は以下のとおりである:二次性不眠症、睡眠−無呼吸症候群、無関係な重篤な病気または薬物乱用。該研究デザインは、パラレル二重盲検のプラセボおよび活性体でコントロールされたものである。患者は、0.5mgのミルタザピン、1.5mgのミルタザピン、4.5mgのミルタザピン、20mgのテマゼパムまたはプラセボのいずれかの毎日1回の投与で14日間の治療を受ける。該治療の開始前の1プラセボ処理週(ウォッシュアウト)から、半跳/離脱を評価するための該治療の後の1プラセボ処理週まで、観察、評価および測定を記録する。評価方法は、第−2、−1、1、13、14、15日の夜の睡眠ポリグラフ計(PSG)記録であり、この場合、夜−1は、該治療の最初の日の直前の夜と定義される。睡眠および日中の機能に関する評価尺度(Leeds睡眠評価アンケート、MOS睡眠評価尺度、臨床包括的印象尺度、Bastani気分評価尺度、Lader Bond気分評価尺度、気分状態のプロフィール)での主観的評価を、該研究期間にわたり、夜および朝のアンケートで行う。精神測定評価を第1、2および15日の朝に行う。ここで、第1日は、薬物またはプラセボを夜に投与する最初の日と定義される。第1日および第15日の朝ならびに第15日の夜に血液を採取し、生命徴候および身体検査の記録ならびに試験測定結果に関する評価を行う。睡眠の効能を含む質の改善、ならびに薬物での治療の安全性、副作用および反跳/離脱作用の頻度を、示されている方法で測定される種々のパラメーターの処理の前および後の変化において観察する。特に、PSG評価、ならびに睡眠および翌朝の行動の主観的および客観的評価は、例えば以下の睡眠パラメーターに関する情報を示す:機能的EEG特性、入眠時刻、総睡眠時間、夜間覚醒の頻度および持続時間、早朝覚醒の時刻、睡眠の分断、破壊的刺激に対する感受性、覚醒後の元気回復、眠れない又は疲労の感覚、立ち上がる際の平衡および共調の感覚、日中の睡眠衛生(sleep hygiene)(例えば、日中の居眠り)、疲労感において反映される日中の行動の状態、日中に覚醒し続けることの困難性、認識試験、例えば単純な反応時間、指覚醒作業(digit vigilance task)、選択反応時間、高速視覚情報処理、追跡、数的作業記憶、単語認識、ならびに日中に感じる抑うつ的な気分、不安、混乱、怒り、興奮および二日酔い作用。Lader Bond気分評価尺度は、それぞれ独立して、機敏/鈍い、穏やか/興奮した、強い/弱い、頭がすっきりしない/頭脳明晰、十分な共調/ぎこちない、不活発/活発、満足/不満足、平穏/狼狽、精神的に鈍い/頭が鋭い、緊張した/くつろいでいる、注意深い/夢幻的、無能/有能、幸せ/悲しい、友好的/敵対的、興味深げ/退屈げ、内向的/社交的、心配性/楽天的、抑うつ/意気盛ん、および自己中心的/外交的の特徴に沿った日中評価を提供する。Bastani視覚的アナログ尺度は、それぞれ独立して、眠気、むかつき、めまい、平穏、活発、不安、興奮、抑うつ、全体的に良好、落ち着かない、異様、覚醒した及びほぐれた気分の日中評価を提供する。 一次性不眠症の治療用の医薬の製造のためのミルタザピンの使用であって、該治療が、0.1mg以上5mg未満のミルタザピンを含む単位投与量で一日あたり体重1kgにつき0.005〜0.07mgのミルタザピンを投与することからなる前記使用。 一過性睡眠障害の治療用の医薬の製造のためのミルタザピンの使用であって、該治療が、0.1mg〜4.5mgのミルタザピンを含む単位投与量で一日あたり体重1kgにつき0.005〜0.07mgのミルタザピンを投与することからなる前記使用。 単位投与量が1.5〜4.5mgのミルタザピンを含む請求項1又は2に記載の使用。 単位投与量が4.5mgのミルタザピンを含む請求項3に記載の使用。 ミルタザピンがS−ミルタザピンである請求項1〜4のいずれかに記載の使用。