タイトル: | 特許公報(B2)_o−クロロメチルベンゾイルクロリドの製造方法 |
出願番号: | 2001543487 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07C 51/58,C07C 57/76,C07B 61/00 |
ゲッツ,ロランド ゲッツ,ノルベルト カイル,ミヒャエル ウルフ,ベルンド シュタインメッツ,アドリアン スタム,アルミン ヘンケルマン,ヨーヒム JP 4658432 特許公報(B2) 20110107 2001543487 20001127 o−クロロメチルベンゾイルクロリドの製造方法 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 508020155 BASF SE 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 石井 貞次 100096183 ゲッツ,ロランド ゲッツ,ノルベルト カイル,ミヒャエル ウルフ,ベルンド シュタインメッツ,アドリアン スタム,アルミン ヘンケルマン,ヨーヒム DE 199 58 757.4 19991207 DE 100 07 694.7 20000219 20110323 C07C 51/58 20060101AFI20110303BHJP C07C 57/76 20060101ALI20110303BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110303BHJP JPC07C51/58C07C57/76C07B61/00 300 C07C 51/58 C07C 57/76 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開平08−040976(JP,A) 特開平06−128188(JP,A) 国際公開第97/012854(WO,A1) 国際公開第99/016743(WO,A1) 欧州特許出願公開第00583589(EP,A1) 10 EP2000011817 20001127 WO2001042185 20010614 2003516375 20030513 8 20071126 上村 直子 【0001】本発明は、式I:【化4】〔式中、R1〜R4は、同じであっても異なっていてもよく、水素、C1〜C4-アルキル、ハロゲンまたはトリフルオロメチルである。〕で表されるo-クロロメチルベンゾイルクロリドを、式II:【化5】〔式中、R1〜R4は、先に定義したとおりである。〕で表されるベンゾ縮合ラクトンとチオニルクロリドとの反応により調製する方法に関する。【0002】o-クロロメチル置換ベンゾイルクロリドは、たとえば、EP-A 460 575、EP-A 463 488、WO-A 95/18789、WO-A 95/21154およびWO-A 97/15552の特許に記載されているような殺虫剤活性化合物を調製するための重要な中間体である。【0003】o-クロロメチル置換ベンゾイルクロリドは、たとえば、ベンゾ縮合ラクトンをチオニルクロリドもしくはホスゲンと反応させることにより調製することができる。チオニルクロリドを使用すれば、装置は単純化され、安全対策は軽減される。【0004】EP-A 676 389には、窒素化合物の存在下でチオニルクロリドを用いてベンゾ縮合ラクトンからo-クロロメチルベンゾイルクロリドを調製することが記載されている。満足な転化率を達成するためには、160〜170℃の反応温度が必要である。この温度ではチオニルクロリドがすでに一部分解されているので、やっかいな副生物を生じる結果となる。さらに、ガス状の塩酸を添加する必要がある。最後に、場合により収率が90%よりもかなり低くなる。【0005】WO 97/12854には、170℃においてトリアリールホスフィンオキシド触媒の存在下でベンゾ縮合ラクトンをホスゲン化することによりo-クロロメチルベンゾイルクロリドを調製する方法が記載されている。チオニルクロリドとは対照的に、ホスゲンはこれらの条件下で熱に安定である。しかしながら、所要の高温においてホスゲンを取り扱い、それを冷却器中に滞留させることは、安全対策の必要性が増大することからより困難になる。さらに、これらの条件下では、反応生成物は大きな熱応力のもとに置かれるので、部分的に分解されるおそれがある。【0006】WO-A 99/16743では、90〜100℃において第四級アンモニウム塩およびルイス酸の存在下でチオニルクロリドとの反応が行っている。しかしながら、第四級アンモニウム塩は、環境上の観点からみて問題があり、次のような技術上の欠点を有する。すなわち、昇華によりプラントの一部分が閉塞をおこすおそれがある。さらに、この塩は吸湿性であるため、水を吸収してより多くの塩素化剤を消費してしまうおそれがある。最後に、アンモニウム塩は、o-クロロメチルベンゾイルクロリドの蒸留精製を妨害する。【0007】本発明の目的は、o-クロロメチルベンゾイルクロリドの調製を工業的に行うのに好適で、上述の欠点がなく、しかも高収率を与える経済的方法を提供することである。【0008】我々は、触媒量のルイス酸および式III:【化6】〔式中、R'〜R'''は、同じであっても異なっていてもよく、C1〜C10-アルキルまたは無置換もしくはC1〜C4-アルキル置換フェニルであり、添字nは、0もしくは1である。Xは、酸素もしくは単結合した2個の塩素原子である。〕で表される触媒量のホスフィン誘導体の存在下で反応を行うことを含んでなる冒頭で述べた方法によって、この目的が達成されることを見いだした。【0009】使用する出発物質は、式II:【化7】〔式中、R1〜R4は、同じであっても異なっていてもよく、水素(H)、C1〜C4-アルキル、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素)またはトリフルオロメチルである。〕で表されるベンゾ縮合ラクトン(フタリド)である。好ましくは、無置換フタリドを使用する。【0010】使用する触媒のうちの1種は、ホスフィンもしくは式III:【化8】〔式中、R'〜R'''は、同じであっても異なっていてもよく、C1〜C10-アルキルまたは無置換もしくはC1〜C4-アルキル置換フェニルである。添字nは、0もしくは1であり、Xは、酸素もしくは単結合した2個の塩素原子である。〕で表されるホスフィンオキシドである。好ましくは、無置換トリフェニルホスフィンオキシドである。【0011】室温で液体のトリアルキルホスフィンオキシドを使用することも、特に、技術上の利点があるため(固体の取り扱いが不要となり、精製時の蒸留残渣の排出がより容易である)、同様に好ましい。この場合、たとえば、商品名Cyanex(登録商標)(たとえば、Cyanamid社製のCyanex(登録商標)923)として入手可能なトリ(C6〜C8-アルキル)ホスフィンオキシドが好適である。ホウ酸、トリ(C1〜C4-アルキル)ボレートおよび三フッ化ホウ素付加物のようなルイス酸と組み合わされた液体トリアルキルホスフィンオキシドは、特に有用であることが判明した。【0012】ホスフィン誘導体は、一般的には、使用するベンゾ縮合ラクトンの量を基準にして0.1〜20モル%の量で添加され、好ましくは0.5〜10モル%の量で添加される。【0013】好適なルイス酸は、特に、次のようなホウ素化合物、すなわち、BF3、BCl3(またはそれらと酸素化合物、硫黄化合物もしくは窒素化合物との錯体)、ボロン酸類−たとえば、アリールボロン酸(なかでも特に、フェニルボロン酸)およびそれらのC1〜C4-アルキルエステルさらにまたC1〜C6-アルキルボロン酸およびそれらのC1〜C4-アルキルエステル−、環状ホウ酸エステル(なかでも特に、トリス(C1〜C4-アルコキシ)ボロキシン)、ホウ酸トリ(C1〜C4-アルキル)エステル、無水ホウ酸、ホウ酸塩(なかでも特に、ホウ酸ナトリウム/ホウ砂)、ならびにホウ酸(H3B03)そのものである。このほかに好適なのは、ゼオライトタイプの不均一ルイス酸アルミノケイ酸塩である。【0014】好ましくは、BF3ならびにそのエーテル錯体(特に、ジエチルエーテル錯体)、水錯体(二水和物)、アルコール錯体(特に、メタノール錯体)、スルフィド錯体(特に、ジメチルスルフィド錯体)およびアミン錯体(特に、エチルアミン錯体)である。特に好適なのは、BF3エーテラートおよびBF3二水和物である。【0015】使用するルイス酸は、特に好ましくは、ホウ酸、ホウ酸トリ(C1〜C4-アルキル)エステルもしくは環状ホウ酸エステルである。好適な環状ホウ酸エステルとしては、たとえば、トリメトキシボロキシンおよびトリエタノールアミンボレートが挙げられる。このような方法は、優れた収率を与え、反応混合物にフッ化物イオンが含まれないという利点を有する。したがって、ルイス酸としてBF3誘導体を使用する類似の反応と比較して、装置全体が単純化される。【0016】ルイス酸は、使用するベンゾ縮合ラクトンの量を基準にして0.1〜20モル%の量で添加され、好ましくは0.5〜5モル%の量で添加される。【0017】さらに、交換可能なカチオンの一部分もしくは全部がプロトンで置換されたフォージャサイトタイプのゼオライトなどのような不均一ルイス酸触媒を使用すると有利なこともある。不均一触媒反応は、固定床中で行うことができるという利点を有する。不均一触媒は、使用するベンゾ縮合ラクトンの量を基準にして0.01〜10重量%の量、好ましくは0.1〜1重量%の量で利用される。【0018】一般的には、フタリドIIを基準にして1〜1.5当量のチオニルクロリドが使用される。【0019】チオニルクロリドは、最初に他の反応物と一緒に仕込んだり(バッチ操作)、もしくは反応中に好ましくは1〜8時間かけて計量送入したり(セミバッチ操作)することができる。さらに、連続的に反応を行うことも可能である。【0020】所望により、開環を促進するために気体塩化水素を導入することができる。しかしながら、合成中の塩化水素の導入は、回避することが好ましい。【0021】ハロゲン化ホウ素の場合、反応温度は、一般的には80〜140℃、好ましくは90〜110℃である。ホウ酸もしくはトリ(C1〜C4-アルキル)ボレートを使用する場合、反応温度は、一般的には100〜180℃、好ましくは110〜140℃である。【0022】このプロセスは、好ましくは溶媒の不在下で行われる。しかしながら、チオニルクロリドに不活性な溶媒を添加することが可能である。不活性溶媒は、たとえば、トルエン、o-、m-もしくはp-キシレンまたはそれらの混合物のような芳香族炭化水素、クロロベンゼンもしくはジクロロベンゼンのような塩素化芳香族炭化水素、あるいはエチレンカーボネートもしくはプロピレンカーボネートのような環状カーボネートである。さらに、反応の終了時に留去してプロセスに再循環させることのできる溶媒としてチオニルクロリドそのものを使用することが可能である。【0023】反応は、一般的には、大気圧もしくは1〜10バールの圧力で行われる。以下の実施例は、製造方法をより詳細に説明するためのものである。【0024】製造方法の実施例o-クロロメチルベンゾイルクロリドを調製する一般的な工程高効率冷却器用の付属バッテリーを備えた1.6リットル二重ジャケット付き反応器からなる攪拌装置中に、いずれの場合においても、最初に対象の触媒系と一緒にxモルのフタリドを仕込んだ。フタリドを基準にして1.3当量のチオニルクロリドを、他の成分と一緒に最初に仕込むか、もしくは1〜8時間かけて滴下した。次に、その混合物を反応温度でさらに1〜15時間攪拌した。粗製混合物中の有効生成物の含有率をGCにより求めた。選択された実施例において、0.5ミリバールおよび75〜85℃で分別蒸留により生成物を単離した。【0025】実施例1134g(1モル)のフタリド、1.9g(0.03モル、3モル%)のホウ酸および8.5g(0.03モル、3モル%)のトリフェニルホスフィンオキシドを最初に攪拌容器に仕込んで130℃まで加熱した。この溶融体に155g(1.3モル)のチオニルクロリドを3時間かけて滴下した。続いて、この混合物を130℃でさらに5時間攪拌した。反応排出物(183g)には、97 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドが含まれていた。【0026】実施例2670g(5モル)のフタリド、26g(0.25モル、5モル%)のトリメチルボレートおよび70.5g(0.25モル、5モル%)のトリフェニルホスフィンオキシドを最初に攪拌容器に仕込んで130℃まで加熱した。この溶融体に774g(6.5モル)のチオニルクロリドを5時間かけて滴下した。続いて、この混合物を130℃でさらに5時間攪拌した。反応排出物を蒸留したところ、98%(GC)の純度を有する940g(収率99.4%)のo-クロロメチルベンゾイルクロリドが得られた。【0027】実施例3268g(2モル)のフタリド、10.4g(0.1モル、5モル%)のトリメチルボレートおよび33.4g(0.096モル、4.8モル%)のCyanex(登録商標)923ならびに310g(2.6モル)のチオニルクロリドを最初に攪拌容器に仕込んで120℃まで加熱した。続いて、この混合物を120℃でさらに4時間攪拌した。反応排出物には、84 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドおよび9%の未反応フタリドが含まれていた。【0028】実施例4268g(2モル)のフタリド、14.8g(0.1モル、5モル%)の三フッ化ホウ素エーテラートおよび33.4g(0.096モル、4.8モル%)のCyanex(登録商標)923ならびに310g(2.6モル)のチオニルクロリドを最初に攪拌容器に仕込んで100℃まで加熱した。続いて、この混合物を100℃でさらに15時間攪拌した。反応排出物には、93 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドおよび2.8%の未反応フタリドが含まれていた。蒸留後、有効生成物が89%の収率で単離された。【0029】実施例5268g(2モル)のフタリド、17.8g(0.12モル、6モル%)の三フッ化ホウ素エーテラートおよび40g(0.12モル、6モル%)のトリフェニルホスフィンジクロリドならびに310g(2.6モル)のチオニルクロリドを最初に攪拌容器に仕込んで100℃まで加熱した。続いて、この混合物を100℃でさらに15時間攪拌した。反応排出物には、92 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドおよび5%の未反応フタリドが含まれていた。【0030】実施例6134g(1モル)のフタリド、7.9g(0.05モル、5モル%)の三フッ化ホウ素二水和物および16.7g(0.048モル、4.8モル%)のCyanex(登録商標)923ならびに155g(1.3モル)のチオニルクロリドを最初に攪拌容器に仕込んで100℃まで加熱した。続いて、この混合物を100℃でさらに7時間攪拌した。反応排出物には、83 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドおよび7%の未反応フタリドが含まれていた。【0031】実施例7268g(2モル)のフタリド、10.4g(0.1モル、5モル%)のトリメチルボレートおよび26.3g(0.1モル、5モル%)のトリフェニルホスフィンを最初に130℃で仕込んだ。この混合物に310g(2.6モル)のチオニルクロリドを5時間かけて滴下した。続いて、この混合物を130℃でさらに5時間攪拌した。反応排出物には、98 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドが含まれていた。【0032】実施例813.4g(0.1モル)のフタリド、1.08g(5モル%)のジ(イソプロピル)フェニルボロネートおよび1.4g(5モル%)のトリフェニルホスフィンオキシドからなる初期仕込物に15.5g(0.13モル)のチオニルクロリドを滴下して混合した。続いて、この混合物を130℃で10時間攪拌した。反応排出物には、86 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドが含まれていた。【0033】実施例913.4g(0.1モル)のフタリド、15.5g(0.13モル)のチオニルクロリド、0.82g(5モル%)のトリメトキシボロキシンおよび1.4g(5モル%)のトリフェニルホスフィンオキシドからなる混合物を130℃で10時間攪拌した。反応排出物には、95.4 GC面積%のo-クロロメチルベンゾイルクロリドが含まれていた。 式I:〔式中、R1〜R4は、同じであっても異なっていてもよく、水素、C1〜C4-アルキル、ハロゲンまたはトリフルオロメチルである。〕で表されるo-クロロメチルベンゾイルクロリドを、式II:〔式中、R1〜R4は、先に定義したとおりである。〕で表されるベンゾ縮合ラクトンとチオニルクロリドとの反応により調製する方法であって、触媒量のルイス酸および式III:〔式中、R'〜R'''は、同じであっても異なっていてもよく、C1〜C10-アルキルまたは無置換もしくはC1〜C4-アルキル置換フェニルであり、添字nは、0もしくは1であり、そしてXは、酸素もしくは単結合した2個の塩素原子である。〕で表される触媒量のホスフィン誘導体の存在下で該反応を行うことを含んでなる、上記方法。 使用する前記ルイス酸が、ホウ素化合物である、請求項1に記載の方法。 使用する前記ルイス酸が、ホウ酸である、請求項1に記載の方法。 使用する前記ルイス酸が、配位形の三フッ化ホウ素または三塩化ホウ素である、請求項1に記載の方法。 使用する前記ルイス酸が、環状ボレートまたはトリ-C1〜C4-アルキルボレートである、請求項1に記載の方法。 使用する前記ルイス酸が、ボロン酸、無水ホウ酸またはボレートである、請求項1に記載の方法。 前記ルイス酸を、前記ラクトンIIを基準にして0.1〜20モル%の濃度で使用する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 使用する前記ホスフィン誘導体が、トリフェニルホスフィンオキシドである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 使用する前記ホスフィン誘導体が、室温で液体のトリアルキルホスフィンオキシドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 前記ラクトンIIを基準にして0.1〜20モル%の前記ホスフィン誘導体を使用する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。