タイトル: | 特許公報(B2)_マグネシウム・オメプラゾール(omeprazole) |
出願番号: | 2001538898 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 401/12,A61K 9/30,A61K 31/4439,A61P 1/04,A61P 29/00 |
シャーマン,バーナード チャールズ JP 3971187 特許公報(B2) 20070615 2001538898 20000804 マグネシウム・オメプラゾール(omeprazole) バーナード チャールズ シャーマン 598127963 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 川幡 兼介 100141807 シャーマン,バーナード チャールズ CA 2,290,893 19991116 20070905 C07D 401/12 20060101AFI20070816BHJP A61K 9/30 20060101ALI20070816BHJP A61K 31/4439 20060101ALI20070816BHJP A61P 1/04 20060101ALI20070816BHJP A61P 29/00 20060101ALI20070816BHJP JPC07D401/12A61K9/30A61K31/4439A61P1/04A61P29/00 C07D 401/12 A61K 9/30 A61K 31/4439 A61P 1/04 A61P 29/00 B01D 1/18 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特表平09−512315(JP,A) 特開昭59−167587(JP,A) 3 CA2000000901 20000804 WO2001036409 20010525 2003514813 20030422 7 20050315 瀬下 浩一 【0001】本発明の分野本発明は、マグネシウム・オメプラゾールの改良された形態、その製法、及びその医薬組成物に関する。【0002】本発明の背景オメプラゾールの一般名で知られる化合物は欧州特許第0005129号に記載されている。【0003】オメプラゾールは胃酸分泌抑制に有効であるため、哺乳動物及びヒトにおいて胃粘膜保護活性を有する。オメプラゾールは、例えば胃炎、胃潰瘍、及び十二指腸潰瘍を含む、哺乳動物及びヒトにおける胃酸関連疾患及び胃腸の炎症性疾患の予防及び治療のために使用されうる。【0004】用語「オメプラゾール」は、塩形成陽イオンを提供しない形態であるところの上記化合物の中性状態を示す語として本明細書において使用した。【0005】オメプラゾールの特有の塩は欧州特許第0124495号に記載されている。【0006】EP0124495において、実施例5は、特にマグネシウム・オメプラゾール二水和物の合成を、そして実施例6は特にマグネシウム・オメプラゾール無水和物の合成を開示している。前記の記載されたマグネシウム・オメプラゾール塩の製造は、著しい困難をもたらす。【0007】実施例5による前記二水和物の製造及び単離方法は、比較的に複雑である。それは、ナトリウム塩を作り、塩化マグネシウムの溶液を得られた沈殿物に加え、その沈殿物を遠心分離することにより水を除き、その沈殿物をCl- が検出されなくなるまで脱イオン水により洗浄し、大気中で乾かし、すりつぶし、そして減圧状態、40℃で24時間乾かすことを必要とする。その上、得られたマグネシウム・オメプラゾール二水和物は結晶性であるため、それが比較的微細な粒子サイズまで粉砕されていない限り腸液中への溶解速度は比較的遅い。【0008】実施例6による前記無水和物の製法はより単純である。マグネシウムをメタノールと反応させメタノールによるマグネシウム・メトキシドの溶液を得る。前記溶液をメタノールによるオメプラゾールの溶液に、マグネシウム1モル毎に2モルとなるオメプラゾール量で加える。次にメタノールを蒸発させてマグネシウム・オメプラゾール無水和物を得る。しかしながら、この方法により作られる無水和物にも問題がある。溶液からのマグネシウム・オメプラゾール沈殿のメタンール蒸発の時、残留メタノールを固体粒子の中に閉じ込めているため蒸発により容易に除去することができない。メタノールは毒性であり、そして高濃度では医薬品として許容できないと一般的に考えられる。【0009】カナダ特許第2166794号は、EP0124495の実施例5のものよりも高い結晶化度をもつマグネシウム・オメプラゾール二水和物の改良された形態であると言われるものを記載している。この形態は0.1%未満のメタノール含量をもつ。しかしながら、EP0124495の実施例6の産物の様に、これは結晶性の二水和物であり、そしてその生産方法は比較的複雑である。【0010】カナダ特許第2166794号によると、EP0124495の実施例6により作製されたサンプルの結晶化度が67%であったのに対して、その改良された形態の結晶化度は少なくとも70%である。【0011】カナダ特許出願第2254572号は、マグネシウム・オメプラゾール結晶性二水和物の製造のための改良された方法を開示している。前記開示は、従来技術、そして特にEP0124495の実施例6の無水和物に関する下記の:「この手順は、乾燥するまで蒸発する必要があるため大規模に実施できない。それを医薬として許容できなくさせる許容しえない、そして潜在的に危険な量のメタノールがこの固体内に閉じ込められていることを発見した。」といった状況を再検討する。カナダ特許第2254572号の方法もまた比較的複雑である。【0012】マグネシウム・オメプラゾール結晶性二水和物製造のための改良された方法はPCT公開番号第WO97/4114号にも記載される。実施例1の産物の結晶化度は80%であると言われている。さらにまた、開示された方法は比較的複雑である。【0013】要するに、許容しうる低レベルのメタノールを有する従来技術による唯一のマグネシウム・オメプラゾールは、67%より高い結晶化度をもち、そして比較的複雑な方法によってのみ製造されるマグネシウム・オメプラゾール結晶性二水和物である。【0014】前述の事項の観点において、本発明の目的は、許容しうる低レベルのメタノールをもつが、実質的には非晶質(非結晶性)であり、そして単純な方法により製造されうるマグネシウム・オメプラゾールを製造することである。【0015】本発明の簡単な概要本発明のマグネシウム・オメプラゾールはマグネシウムを低級アルコール中で反応させてマグネシウム・アルコキシドを形成し、オメプラゾールをマグネシウム1モル当たり約2モルの量で加え、そして許容できないレベルでアルコールを閉じ込める結晶又は粒子の成長を許すことなく固体沈殿を形成するために、上記アルコールをフラッシュ蒸発させる。得られる物質は実質的に非晶質(非結晶性)である。【0016】本発明の詳細な説明本発明によるマグネシウム・オメプラゾールの製法において、マグネシウムを低級アルコール、好ましくはメタノール中で反応させてアルコールによるマグネシウム・アルコキシド溶液を形成する。【0017】マグネシウムの原子量は24.3であり、そしてオメプラゾールの分子量は345.4である。マグネシウムが2価であるため、345.4gのオメプラゾールをマグネシウム・オメプラゾールに変換するために必要とされるマグネシウムの量は12.15gである。【0018】したがって、1kgのオメプラゾールをマグネシウム・オメプラゾールに変換するために35.2gのマグネシウムが必要とされる。前述のように、1kgのオメプラゾールをマグネシウム・オメプラゾールに変換する工程は低級アルコール、好ましくはメタノール中、35.2gのマグネシウムとの反応により始まる。完全な反応と35.2gのマグネシウムの溶解に必要とされる最小限のメタノール量は約1000gである。【0019】マグネシウムをアルコール中に浸すとき、前記反応は酸素気泡の産生から明らかであり、そして全てのマグネシウムを消費し、そして発泡が終わるとき、その反応は完了する。その時、全てのマグネシウムは、マグネシウム・アルコキシドとしてアルコール中に存在する(すなわち、メタノールを上記アルコールとして使用した場合、メタノールによるマグネシウム・メトキシド)。【0020】次にオメプラゾールが前記マグネシウム・アルコキシド溶液に直接加えられうる。あるいは、オメプラゾールを、アルコール又は前記マグネシウム・アルコキシドを作るために用いたアルコールと混合できる他の有機溶媒に初めに溶解し、そして次に得られた溶液を前記マグネシウム・アルコキシド溶液に加える。【0021】メタノールを単独の溶媒として使用する場合、総量約1.5kgだけが1kgのオメプラゾールをメタノールによる溶液状態のマグネシウム・オメプラゾールに変換するために必要とされる。【0022】したがって、1kgのオメプラゾールに基づく量を用いる、最も単純で、そして最良の手順は、35.2gのマグネシウムを約1.5kgのメタノール中で反応させ、マグネシウムが完全に反応するまで待ち、そして次に1kgのオメプラゾールを加え、そして撹拌して溶かす。得られる溶液はメタノールによる、1kgのオメプラゾールに相当するマグネシウム・オメプラゾールの溶液である。【0023】実質的に有機溶媒を含まない(すなわち、メタノールを用いる場合、実質的にメタノールを含まない)固体マグネシウム・オメプラゾールを得るために、次にその溶媒を除くことが必要である。【0024】これは溶媒の「フラッシュ蒸発(flash-evaporating)」により行われうる。フラッシュ蒸発は、アルコールを閉じ込める結晶又は大きな粒子の沈殿を避けるような方法での蒸発を意味すると理解される。【0025】溶媒のフラッシュ蒸発の1の方法は、その溶液を添加剤、例えば湿気の塊を形成するための微細結晶性セルロースに混ぜることである。次にその塊を慣例のオーブン、流動床ドライヤー又は減圧下で溶媒を除くことにより乾かす。溶媒の蒸発につれて、前記溶液は固体添加剤全体に分散されるため、マグネシウム・オメプラゾールは、固体添加剤粒子の表面上に薄い層として堆積し、そして結晶又は大きな顆粒として沈殿しないため、わずかにしか又は全く溶媒を閉じ込めない。【0026】溶媒のフラッシュ蒸発の好ましい方法は、溶液のスプレー・ドライによる。【0027】前述の方法により、減圧下で溶液から溶媒を単純に蒸発させることにより達成されうるよりも実質的に低い残留溶媒含量をもつマグネシウム・オメプラゾールを作製しうる。【0028】本発明により作製されるマグネシウム・オメプラゾールの重量に対する残留有機溶媒含量は7%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、そして最も好ましくは1%未満である。【0029】得られた産物の結晶化度は、以下の、WO97/4114に記載の粉末X線回折(XRD)により計測されうる:粉末にしたサンプルの薄層を、計測の間回転する切断された単結晶ケイ素のゼロ・バックグラウンドのホルダー上に塗りつける。Cu Kα放射、及び不変又は自動抗散乱(constant or automatic antiscatter)、及び発散スリットを1又は2°〜少なくとも35°の2θにより回折図を得るために用いる。【0030】結晶化度を以下の式:結晶化度=100+C/(A+C)C=回折図におけるピークの面積(「結晶体面積」)A=ピークの間及びバックグラウンドの面積(「非晶質面積」)により計算される。【0031】面積計算を4〜33°の間の2θについて実施する。この区間で見られる最も低い強度値を不変のバックグラウンドに選び、そして面積Aから引く。不変スリットを用いた場合、初期ビームの影響により低角度で上昇したバックグラウンドをも面積Aから引く。【0032】本発明によるマグネシウム・オメプラゾールの結晶化度は、従来技術によるマグネシウム・オメプラゾール結晶性二水和物に関しては67%以上であるのに比べ、67%未満である。【0033】結晶化度は好ましくは60%未満、より好ましくは50%未満、そして最も好ましくは25%未満である。【0034】本発明によるマグネシウム・オメプラゾールが大気中で、そして(スプレー・ドライ法における乾燥のために使われる空気又は他のガスを含む)全く水を含まない添加剤を用いて作られる場合、そのマグネシウム・オメプラゾールは無水物である。しかしながら、純粋な無水マグネシウム・オメプラゾールは吸湿性であり、そしてそれは約5%〜8%の平衡水分含量に達するまで空気からすぐに水分を吸収するであろう。それは安定性に不利に影響しないので、これは問題がない。【0035】本発明のマグネシウム・オメプラゾールは、医薬組成物、例えば経口投与のための錠剤にさらに加工される。前記錠剤は、胃酸の影響からマグネシウム・オメプラゾールを保護するために好ましくは溶腸性コートされる。【0036】本発明は以下の実施例によってさらに理解される。上述の実施例は本発明を説明するものであって制限するものではない。【0037】実施例11.76gの純粋なマグネシウムを1000mL容ガラス・フラスコ中の800gのメタノールに加えた。そのフラスコを緩く取り付けた栓により閉じ(水素ガスの流出を許す緩さ)、そしてそのフラスコを一晩放置した。【0038】次の朝、マグネシウムが全て消費されていること、及び発泡が終わっていることを確認し、わずかに濁った、メタノールによるマグネシウム・メトキシドの溶液を得た。次に50gのオメプラゾールを前記フラスコの内容物に加え、そしてその内容物をオメプラゾールが溶解するまで数分間撹拌し、メタノールによるマグネシウム・オメプラゾールの溶液を形成した。【0039】実施例2従来技術(すなわちEP0124495の実施例6)によるマグネシウム・オメプラゾール無水和物の基準サンプルを製造するために、ステップ2から約20%の前記溶液を1000mL容ビーカーに移した。次にそのビーカーを、減圧下、50℃で4時間乾かすために減圧オーブン内に置いた。この期間終了時、残留メタノールのはっきりとした臭いのない固形物質が残った。この固形物質を試験し、残留メタノールのレベルを決定すると、そのレベルは7.2重量%であることがわかった。【0040】実施例3本発明のマグネシウム・オメプラゾールを作製するために、実施例1の溶液の残りを、約140℃の噴射口空気温度、及び約70℃の出口空気温度を用いて、Yamato(商標)スプレー・ドライヤーによりスプレー・ドライした。【0041】得られる乾燥物は、結晶性でなく、そして残留メタノールのはっきりとした臭いもない微細粉末であった。その粉末を試験し、残留メタノールのレベルを決定すると、そのレベルは0.7重量%であることがわかった。【0042】この粉末を粉末X線回折により結晶化度について調べ、そしてその粉末が25%未満の結晶化度を有し、実質的に非晶質(非結晶性)であることがわかった。【0043】実施例4次の材料を、以下に示す割合で一緒に混合した:マグネシウム・オメプラゾール 21無水ラクトース 131クロスカルメロース・ナトリウム 6.4マグネシウム・ステアレート 1.6160前記混合物を、約20mgのオメプラゾールに相当する21mgのマグネシウム・オメプラゾールを各錠剤に含むように1錠当り160mgの重さの錠剤に圧縮した。【0044】次にヒドロキシプロピル・メチルセルロースを水に溶かした下地コーティングを側面換気型コーティング・パン(side-vented coating pan)によるスプレー塗布によりその錠剤に加えた。【0045】次に腸溶性コーティングを、可塑剤としてその中に溶解したトリエチル・サイトレートをともなうメタクリル酸コポリマー水性分散液のスプレー塗布により下地コーティングの上に加えた。 マグネシウム・オメプラゾールの製法であって、以下の:i)マグネシウムを低級アルコールと反応させて、溶媒としての低級アルコール中に溶液状態のマグネシウムアルコキシドを製造し、ii)オメプラゾールを、マグネシウム1モル当たり約2モルとなる量で上記溶液に加え、そしてiii)その溶媒をフラッシュ蒸発させる、ステップを含む上記製法。 前記低級アルコールがメタノールである、請求項1に記載の製法。 前記フラッシュ蒸発が、前記溶液のスプレー・ドライにより行われる、請求項1に記載の製法。