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タイトル:特許公報(B2)_粉末吸入用製剤及びその製造方法
出願番号:2001529420
年次:2011
IPC分類:A61K 9/72,A61K 9/16,A61K 47/26,A61J 3/02


特許情報キャッシュ

大熊 盛之 松元 恵子 奥田 乙茂 加藤 保富 川島 嘉明 JP 4691298 特許公報(B2) 20110225 2001529420 20001012 粉末吸入用製剤及びその製造方法 科研製薬株式会社 000124269 生田 哲郎 100088214 名越 秀夫 100100402 大熊 盛之 松元 恵子 奥田 乙茂 加藤 保富 川島 嘉明 JP 1999289031 19991012 JP 2000183469 20000619 20110601 A61K 9/72 20060101AFI20110512BHJP A61K 9/16 20060101ALI20110512BHJP A61K 47/26 20060101ALI20110512BHJP A61J 3/02 20060101ALI20110512BHJP JPA61K9/72A61K9/16A61K47/26A61J3/02 B A61K 9/00-9//72 A61K 47/00-47/48 A61J 3/02 特表平09−507049(JP,A) 国際公開第98/057935(WO,A1) 特表平07−507039(JP,A) 特開2001−151673(JP,A) 14 JP2000007089 20001012 WO2001026630 20010419 20 20070928 伊藤 清子 技術分野本発明は粉末吸入用カプセル製剤に関する。さらに詳しくは、担体粒子表面に、少なくとも微細化した薬効成分が付着された粉末吸入用製剤、及びその製造方法、並びに前記粉末吸入用製剤がカプセル中に充填された吸入デバイスで使用するためのカプセル製剤に関する。背景技術吸入剤は、気管、気管支、細気管支、肺胞などの主に下気道へ薬効成分を投与することを目的として、口腔あるいは鼻腔から薬物を吸入させる製剤である。吸入剤は、喘息、気管支炎、肺気腫等の胸部疾患に対する局所投与製剤として実用化されており、また生理活性ペプチド類、蛋白質等を肺胞から全身血流に移行させる投与手段としても近年注目を集めている。一般的に吸入剤は薬効成分を直接肺に投与するため即効的であり、また、経口投与剤より薬効成分の投与量が少なくて済む。その結果、副作用の軽減などのメリットが大きい。吸入剤には、吸入液を吸入する吸入液剤、噴霧式エアゾールによるエアゾール吸入製剤、粉末状の薬剤を吸入する粉末吸入剤があるが、フロン噴射剤による環境問題がある等のため、近年では粉末吸入剤が優先的に開発される傾向がある。粉末吸入剤に用いられる粉末製剤(以下、粉末吸入用製剤という。)の最も好ましい形態は、担体粒子に微細化した薬効成分が付着された製剤である。粉末吸入用製剤で重要なことは吸入性であり、特に、担体と薬物粒子がよく分離し、しかも、吸入時に使用する粉末分散装置に微細化した粒子が付着残留せず、薬物粒子が気相中で均一に分散することが必要である。薬効成分の調製、粉砕には現在、凍結乾燥法(特開平6−100464号公報)、噴霧乾燥法を使用した溶媒法(特開平11−79985号公報)及び晶析法(特開平8−291073号公報)が知られているが、溶媒の使用は環境への問題があり、また、薬効成分が溶媒に不安定な場合溶媒の使用は不可能となるので、溶媒を使用しない製造方法が望まれている。また、粉末吸入用製剤が適当な吸入デバイスから、気道内に投与されると、担体粒子は口腔、咽頭あるいは喉頭に沈着するが、薬効成分微粒子のみは気管、気管支等の下気道にまで到達し、沈着する。しかし、苦みを伴う薬効成分の場合は、口腔内や喉で感じる苦みが大きな苦痛となる。特に、小児や高齢者の使用も多く、これら小児や高齢者にとって粉末吸入用製剤は必ずしも好まれる剤型とはいい難く、味の改善が望まれている。苦みを軽減するため薬効成分の苦みマスキングを施すことも考えられるが、微細化された薬効成分の場合、そのマスキングが極めて困難である。また、粉末吸入用製剤は、薬効成分及び担体粒子が微細であるため、粒子同士が付着凝集することを防止するために、一般的に帯電防止剤が必要不可欠となっている。特表平8−500109号公報には、脂肪酸エステル類が帯電防止剤として有効であることが記載されているが、液状であるため、薬効成分を混合する前に一度担体粒子を乾燥させる工程が必要であり、これを乾式製造法に使用することは困難である。一方、特表平10−502647号公報では、帯電防止剤を使用せず、担体粒子の粒径を調整して付着性のない粉末吸入製剤を製造する方法を報告しているが、その粒子径は200μm以上と大きい。また、粉末吸入製剤の製造を乾式で製造する方法が、特表平9−507049号公報にあるが、ふるい分けにより、担体粒子表面から微粉末を一旦除去する工程が必要であり、また、担体粒子の粉砕をボールミルで行っている。従って、本発明の目的は、保管時の付着凝集性が小さく、薬効成分の細気管支等の下気道への到達率を高め、粉末分散装置への吸入時の付着量を減じ、かつ気相中で分散性が良好で、吸入性が良好な、担体に薬効成分が付着されたタイプの、粉末吸入用製剤を提供することにある。本発明の他の目的は、吸入時の味覚や口腔内や喉の不快感が改善された、前記粉末吸入用製剤を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、繁雑な工程を経ることなく、簡易に前記粉末吸入用製剤を調製する製造法を提供することにある。発明の開示本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分が付着されてなる粉末吸入用製剤の、担体及びそれに付着される薬効成分等の物質のそれぞれを工夫し、特に苦みの強い薬効成分を用いた場合でもなお味の改善が図られる粉末吸入用製剤の開発を図るべく、医薬品等で使用実績のある各種の甘味成分を担体粒子とすることに着目することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。また、前記粉末吸入用製剤を、溶媒を使うことのない乾式法で製造することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分が付着されてなる粉末吸入用製剤であって、担体粒子がエリスリトール及び/又はトレハロースであることを特徴とする粉末吸入用製剤である。また、本発明は、担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とが付着されてなることを特徴とする粉末吸入用製剤であり、この粉末吸入用製剤において、担体粒子は、エリスリトール、トレハロース及びラクトースからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることができる。これらにより、保管時の付着凝集性が小さく、優れた分散状態を有する粉末吸入用製剤が得られる。また、吸入時の粉末分散装置への薬物粒子付着量を減じ、かつ気相中で分散性が良好で、薬効成分の細気管支等の下気道への到達率が高い、担体に薬効成分が付着されたタイプの粉末吸入用製剤が得られる。しかも、本発明のエリスリトール、トレハロースを用いた粉末吸入用製剤は、苦みの強い薬効成分でも味覚や、口腔内や喉での不快感を改善し、吸入服用が容易であることから、患者、特に小児や高齢者にとって服用容易であり、病気の治療、予防に好適に用いることができる。また、本発明は、担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とが付着されてなる粉末吸入用製剤において、担体粒子はエリスリトールであり、微細化した表面改質剤はラクトース及び/又はトレハロースであることができる。さらに、前記担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とが付着されてなる粉末吸入用製剤において、担体粒子はトレハロースであり、微細化した表面改質剤はラクトース及び/又はトレハロースであることができる。さらに、前記担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とが付着されてなる粉末吸入用製剤において、担体粒子はラクトースであり、微細化した表面改質剤はラクトース及び/又はトレハロースであることができる。これらにより、前記本発明の効果を特に効果的に発揮することができる。また、本発明の粉末吸入用製剤は、薬効成分としてS−36496及び/又はプラルモレリン二塩酸塩を用いることが特に有効であり、担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分が付着されてなる粉末吸入用製剤の、微細化した薬効成分として用いることができる。さらに、前記したいずれの粉末吸入用製剤中の微細化した薬効成分として用いることも可能である。これらの薬効成分を用いることにより、特に粉末吸入用製剤としての機能を有効に発揮し、前記本発明の効果を充分に発揮することができる。なお、本発明の粉末吸入用製剤において、担体粒子の粒子径は平均粒子径で30〜150μm、微細化した薬効成分の粒子径は平均粒子径で1〜6μmであることが好ましい。また、本発明の粉末吸入用製剤において、微細化した表面改質剤の粒子径は平均粒子径で3μm以下であることが好ましい。これらの粒子径をもった物質を用いることにより、前記本発明の効果をさらに効果的に発揮することができる。また、本発明の粉末吸入用製剤において、担体粒子の含有量は粉末吸入用製剤全量中79.9〜99質量%で、微細化した薬効成分の含有量は粉末吸入用製剤全量中0.01〜20質量%であることが本発明の効果を充分に発揮する上で好ましい。また、本発明の粉末吸入用製剤において、微細化した表面改質剤の含有量は粉末吸入用製剤全量中0.1〜2質量%であることが本発明の効果を充分に発揮する上で好ましい。また、本発明の粉末吸入用製剤において、カプセル充填可能な流動性を有するものであることが本発明の効果を充分に発揮する上で好ましい。また、本発明は、微細化した薬効成分と担体粒子と、場合によっては微細化した表面改質剤とを添加し、混合し、次いで乾式コーティングすることを特徴とする粉末吸入用製剤の製造法である。なお、前記微細化した薬効成分と、微細化した表面改質剤を、乾式粉砕機を用いて製造することが好ましい。この乾式粉砕機は、ジェットミルであることが好ましい。また、本発明の粉末吸入用製剤の製造法において、粉砕、混合及びコーティングの全ての工程を、溶媒を一切使用することなく乾式で行うことが好ましい。これらの製造法によれば、従来の製造方法では必須であった湿式粉砕、噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法や液状帯電防止剤等を用いることなく、粉砕した薬効成分を、場合によっては微細化した表面改質剤とともに担体粒子に乾式コーティングで被覆するという一般的な製造装置で製造できるシンプルな方法で、粉末充填可能な流動性を有する粉末とし、直接カプセル充填可能な粉末吸入用製剤が得られる。また、本発明によれば、乾式製造法で製造することができるので、溶媒に不安定な薬効成分には極めて好適である。また、本発明の粉末吸入用製剤は、カプセル中に充填され、カプセル製剤として吸入デバイスを使用して活用される。このカプセル製剤を吸入デバイスに装着して吸入デバイスから吸い込むと、担体粒子のまわりに付着した薬物が速やかに再分散して、細気管支などの下気道へ効率よく薬剤成分を到達させることができる。本発明における平均粒子径は、粒子径分布の50%に相当するところの粒子径を表すものとする。また、本発明における表面改質剤とは、担体粒子の表面に、微細化した薬効成分と共に付着させるものであり、少なくとも微細化した薬効成分が担体粒子に付着された粉末吸入用製剤の凝集や帯電を防止する働きをするものである。発明を実施するための最良の形態以下、本発明の実施形態について詳述する。1.担体粒子について本発明における担体粒子は、少なくとも微細化した薬効成分を付着させる核粒子となるものであり、好ましくは、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とを付着させる。本発明に用いられる担体粒子としては、例えばエリスリトール、トレハロース、ラクトース等が挙げられる。本発明では、担体粒子が1種又は2種以上から選択されて用いられる。これらの担体粒子のうち、エリスリトール、トレハロースは、吸湿性が少ないことから、製造時や保管時の付着凝集、固結や潮解のおそれが小さい上に甘味性があり、これらの担体粒子を用いた粉末吸入用製剤を吸入した時に口腔内や喉に付着した担体粒子の甘みが薬効成分の苦みを和らげ、小児や高齢者にとって服用しやすくするので、特に、少なくとも微細化した薬効成分を付着させる核粒子として、また、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とを付着させる核粒子として好ましく用いられる。また、担体粒子のうち、ラクトースに、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とを付着させる場合は、ラクトースがもつ吸湿性が少なく保管時の付着凝集性が小さい性質を利用できるので、好ましく用いることができる。担体粒子を用いるに当たっては、該当する担体粒子の中から1種または2種以上が任意に選択され用いられる。2.薬効成分について本発明における薬効成分は、微細化され、担体粒子に、好ましくは微細化した表面改質剤とともに付着される。本発明に用いられる薬効成分としては、抗ロイコトリエン薬、抗トロンボキサン薬、抗炎症薬、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗ぜん息薬、鎮咳薬、去痰薬、気管支拡張薬、抗アレルギー薬、抗結核薬、抗狭心症薬、鎮痛消炎薬、末梢及び脳血管拡張薬、制吐薬、抗真菌剤、低身長症治療薬などから選ばれた1種または2種以上の成分が用いられる。薬効成分の例としては、例えばWO98/57935の実施例11に記載の化合物番号1で示される2−{N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニルアミノ)ブチル]−N−{3−[(4−イソプロピル−2−チアゾリル)メトキシ]ベンジル}}スルファモイル安息香酸(以下「S−36496」と称する)などの抗ロイコトリエン/抗トロンボキサン薬、ベクロメタゾン、プレドニゾロンなどの抗炎症薬、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、トリプロリジンなどの抗ヒスタミン薬、リン酸コデイン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリンなどの鎮咳薬、アンブロキソール、塩酸ブロムヘキシン、アセチルシステインなどの去痰薬、塩酸マブテロール、塩酸イソプロテレノール、オルシプレナリン、サルブタモール、ツロブテロール、トリメトキノール、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムなどの気管支拡張薬、クロモグリク酸ナトリウム、アンレキサノクス、トラニストなどの抗アレルギー薬、塩酸エタンブトール、リファンピシンなどの抗結核薬、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸ブプラノロール、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ピンドロール、塩酸プロプラノロールなどの抗狭心症薬、ベラプロストナトリウムなどの末梢及び脳血管拡張薬、塩酸ブテナフィンなどの抗真菌剤、WO93/04081にGHRP−2として記載のプラルモレリン,プラルモレリン二塩酸塩などの低身長症治療薬などが挙げられる。本発明は、これらの薬効成分のうち、特に、S−36496及び/又はプラルモレリン二塩酸塩を粉末吸入用製剤の形で用いることが特に有効である。薬効成分を担体粒子に付着させるに当たっての好ましい態様は、エリスリトール、トレハロース及びラクトースからなる群より選ばれた1種又は2種以上からなる担体粒子の表面に、少なくとも微細化したS−36496及び/又はプラルモレリン二塩酸塩と微細化した表面改質剤とが付着されてなる粉末吸入用製剤である。また、薬効成分は、医薬、食品分野などで一般的に用いられる希釈剤などによって希釈されたものであってもよい。また、薬効成分の味覚及び風味の更なる改善として、例えば、酸味成分、甘味成分、香料などを添加できる。酸味成分としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸などが挙げられる。甘味成分としては、例えば、サッカリンナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。香料としては、例えば、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、グレープ、メントール、スペアミント、ペパーミント、バニラ、シナモンなどが挙げられる。これらの味覚及び風味改善剤を1種または2種以上、例えば、薬効成分と表面改質剤との混合時あるいは乾式コーティングの工程で、適時適量添加することができる。3.表面改質剤について本発明においては、表面改質剤を使用することが好ましい。表面改質剤は薬効成分とともに担体粒子に付着され、薬効成分及び担体粒子の凝集防止及び帯電防止剤として機能する。表面改質剤としては、薬効成分に対して分解などの悪影響を及ぼさないもの、または、粉末吸入用製剤として使用実績がある水溶性の添加物であることが好ましい。このような表面改質剤の例としては、ラクトース、トレハロース等が挙げられる。本発明では、これらの表面改質剤の中から1種又は2種以上を任意に選択して用いられる。なお、ラクトースに関して、担体粒子としてのラクトースと表面改質剤としてのラクトースとを区別する必要があるときは、それぞれ担体ラクトース、付着ラクトースという。また、トレハロースに関しても同様に担体トレハロース、付着トレハロースという。4.粉末吸入用製剤について本発明の粉末吸入用製剤の特に好ましい実施形態は、担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とが付着されてなる粉末吸入用製剤である。特に、エリスリトール、トレハロース及びラクトースからなる群より選ばれた1種又は2種以上の担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化した表面改質剤とが付着されてなる粉末吸入用製剤が好ましい。これらの好ましい実施形態の例を挙げるならば、(1)エリスリトールからなる担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化したラクトース及び/又はトレハロースが付着されてなる粉末吸入用製剤。(2)トレハロースからなる担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化したラクトース及び/又はトレハロースが付着されてなる粉末吸入用製剤。(3)ラクトースからなる担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分と微細化したラクトース及び/又はトレハロースが付着されてなる粉末吸入用製剤。である。さらに、好ましい実施形態の具体的な例を挙げるならば、(1)エリスリトールからなる担体粒子の表面に、少なくとも微細化したS−36496及び/又はプラルモレリン二塩酸塩と微細化したラクトース及び/又はトレハロースとが付着されてなる粉末吸入用製剤。(2)トレハロースからなる担体粒子の表面に、少なくとも微細化したS−36496及び/又はプラルモレリン二塩酸塩と微細化したラクトース及び/又はトレハロースとが付着されてなる粉末吸入用製剤。(3)ラクトースからなる担体粒子の表面に、少なくとも微細化したS−36496及び/又はプラルモレリン二塩酸塩と微細化したラクトース及び/又はトレハロースとが付着されてなる粉末吸入用製剤。である。粉末吸入用製剤は流動性がよいものが好ましい。流動性をよくすることにより、質量変動、質量偏差の小さいカプセル充填が可能となり、しかも、カプセル充填の量産化もスムーズに構築することができる。また、該製剤の再凝集を防止することができる。流動性は、該製剤を徐々に落下させて堆積させ、水平面と堆積体の作る傾斜角である、安息角の値で判断することができる。例えば、担体粒子がエリスリトールの場合、安息角が45°以下、好ましくは42°以下であれば、その流動性が充分であり、カプセルに直接充填可能であり、また、該混合物の再凝集を防止することができる。また、担体粒子がトレハロースの場合は、安息角は41°以下で、好ましくは40°以下のものが好ましい。安息角の下限は、35°が好ましい。5.担体粒子、薬効成分及び表面改質剤の粒子径について本発明における担体粒子の平均粒子径は、通常30〜150μm、好ましくは50〜90μm、特に好ましくは約80μm程度である。また、薬効成分の粒子径は、吸入性の見地から好ましくは平均粒子径で1〜6μmの範囲、特に好ましくは1〜3μmに微細化される。また、表面改質剤の平均粒子径は3μm以下であることが好ましく、特に、0.1〜3μmが好ましい。さらに、1〜2μm、特に1.5μmが好ましい。6.担体粒子、薬効成分及び表面改質剤の含有量について担体粒子の含有量は、粉末吸入用製剤全量中79.9〜99質量%が好ましい。また、微細化した薬効成分の含有量は、薬効成分の種類によって異なるが、粉末吸入用製剤全量中0.01〜20質量%が好ましい。また、微細化した表面改質剤の含有量は、担体粒子への他の付着成分である薬効成分の種類・添加量によって異なるが、粉末吸入用製剤全量中0.1〜2.0質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0質量%である。表面改質剤を複数種用いる場合は、併せた量として粉末吸入用製剤全量中0.1〜2.0質量%に抑えるべきである。7.粉末吸入用製剤の製造について以下に、本発明の粉末吸入用製剤の製造について述べる。担体に付着される薬効成分、表面改質剤の微細化には、一般に用いられる装置、例えば、ジェットミル、ローラミル、高速回転ミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミルなどの乾式粉砕機を用いて粉砕して得ることができる。具体的には、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、ターボミル、スーパーミクロンミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル、遠心流動化ミルなどを用いることができる。これらのうちで、ジェットミルが好ましい。微細化した薬効成分と、場合によっては微細化した表面改質剤を担体粒子へ付着させる場合は、好ましくは乾式コーティングすることにより調製する。即ち、微細化した薬効成分と、担体粒子と、場合によっては微細化した表面改質剤とを混合し、次いで乾式コーティングして得る。薬効成分を添加する前に微細化した表面改質剤と担体粒子とを予備混合することが好ましい。乾式コーティングは、製剤の製造において一般に用いられる装置、例えば、表面改質装置、高速混合機、高速撹拌型混合造粒機、万能練合機などにより行われる。具体的には、メカノミル(岡田精工(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、ハイスビードミキサー(深江工業(株)製)、ハイブリダイザー、ラボラトリーマトリックス((株)奈良機械製作所製)、シータコンポーザー((株)徳寿工作所製)などを用いて乾式コーティングすることにより、粉末吸入用製剤を調製する。乾式コーティングでの混合時間を変化させることで、担体粒子への薬効成分の付着力を調節することが可能であり、これによって、薬効成分の下気道への吸入効率を調節することが可能である。また、場合によっては、第一段階で担体粒子と微細化した表面改質剤を混合しておき、第二段階で薬効成分と混合する2工程法も良い。粉砕、混合及びコーティングの全ての工程を溶媒を一切使用することなく乾式で行うことが好ましい。8.粉末吸入用製剤の使用形態について本発明の粉末吸入用製剤は、カプセルに充填してカプセル製剤とし、吸入デバイスから吸入すれば良い。カプセルに充填する方法は、一般の散・細粒剤や顆粒剤のカプセル充填に用いられる装置を用いれば良い。例えば、充填機構としてはオーガー式、ディスク式、コンプレス式、ダイ・コンプレス式、プレス式、ドリブル式、ダブル・スライド式、スライド・ピストン式、コンティニュアス式、バキューム式などが挙げられる。上記機構の中で適した機構を用い、カプセル中の粉末吸入用製剤の充填容量はカプセル容量の1/5〜1/2量を充填することが好ましい。上記カプセルの基剤としては、日本薬局方製剤総則、カプセル剤に記載の硬カプセル基剤が用いられるが、微細化した粉末吸入用製剤を充填することから、静電気付着が生じにくいものが良く、更には、吸湿性の少ないカプセル基剤が良い。好ましいカプセル基剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。上記粉末吸入用製剤をカプセルに充填した粉末吸入用製剤の吸入デバイスは市販のものを用いれば良く、例えばJethaler、Spinhaler、Rotahaler、Cyclohaler、Inhalater M(何れも登録商標)などを用いれば良い。即ち、カプセル容器内の未充填部分とデバイスを用いることにより、薬物を均一に気相中で分散させ、カプセル内の薬効成分を速やかに吸引できれば良い。また、場合によっては、カプセルの替わりにブリスターやリザーバーに充填してデバイスから薬効成分を吸入することも可能である(ファルマシア Vol.33、No.4、p.376(1997))(KONA No.16 p7 Dispersion and characterization ofPharmaceutical Dry PouderAerosols(1998))。しかし、実用性の観点からは、吸入デバイスの分解・洗浄が簡単に行え、しかも組立てが容易なものが特に好ましい。以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明する。%とあるのは、特に断らない限り質量%である。実施例1粉末吸入用製剤の担体として適した性質を有する物質を選択する目的から吸湿性の試験をエリスリトール、キシリトール、ラクトース、D−マンニトール、アマルティ、ブドウ糖、ステビア、ベネコート及びアスパルテームを用いて行った。これらの試験から、エリスリトールが最も吸湿性が少なく、粉末吸入用製剤の担体としてエリスリトールが最適な性質を有していた。(表1、表2、表3)エリスリトール: 日研化学工業株式会社D−マンニトール: 協和発酵株式会社キシリトール: エーザイ株式会社アマルティ: 東亜化成工業株式会社ブドウ糖: 大塚製薬株式会社ステビア: 大日本インキ化学工業株式会社ベネコート: 花王株式会社アスパルテーム: AJINOMOTOラクトース325M: DMV社実施例2トレハロースが粉末吸入用製剤の担体として適した性質を有する物質であることを確認する目的から、粉末吸入用製剤の担体として広く知られているラクトースと比較した。試験は吸湿性の比較試験を行った。なお、トレハロースは旭化成工業株式会社製を、ラクトース325MはDMV社製を使用した。その結果、トレハロースは吸湿性が少なく、ラクトースと同等の性質を有しており、粉末吸入用製剤の担体としてトレハロースを採用できることを確認できた(表4、5)。実施例3粉末吸入用製剤の凝集性の防止及び流動性の改善を目的とした表面改質剤の検討を行った。実験は担体粒子にエリスリトール(平均粒子径:59μm)を用い、担体粒子100質量%に対し表面改質剤を1質量%添加し、安息角の測定及び目視による粉体の凝集の程度を判定した(表6)。その結果平均粒子径1.5μmのラクトースが凝集性の防止及び流動性の改善に最も有用であることが示された。実施例4粉末吸入用製剤の担体トレハロース粒子の凝集性の防止及び流動性の改善を目的とした表面改質剤の検討を行った。実験は、平均粒子径81μmの担体トレハロース(45μm(330メッシュ篩)及び106μm(140メッシュ篩)の二種類の篩により篩別したもの)を用い、担体トレハロース100質量%に対し表面改質剤を1質量%添加し、安息角の測定及び目視による製剤の凝集の程度を判定した(表7)。その結果、平均粒子径1.4μmに粉砕したトレハロースの微粉末がラクトースの微粉末(平均粒子径1.5μm)と同様に凝集性の防止及び流動性の改善に有用であることが示され、担体粒子にトレハロースを用いる場合は、微粉砕したトレハロースとラクトースの双方を使用できることが判った。実施例5ジェットミルで微細化したラクトース(平均粒子径:1.5μm)と担体粒子(平均粒子径:54μm)を予め混合し、混合末の中にS−36496を下記表8の割合にしたがって添加し、メカノミル(岡田精工(株)製)(10g仕込み)を用いて乾式コーティング時間10分で乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、担体粒子のまわりに微細化した薬効成分とラクトースが均一に付着していることを確認した。実施例6ジェットミルで微細化したラクトース(平均粒子径1.5μm)1質量%と実施例4と同様の担体トレハロース粒子(平均粒子径81μm)98質量%を予め混合し、該混合末の中に1質量%の薬効成分S−36496を添加し、メカノミル(岡田精工(株)製)(10g仕込み)を用いて乾式コーティング時間10分で乾式コーティングを行い、粉末吸入用製剤を調製した。粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、担体トレハロース粒子のまわりに微細化した薬効成分とラクトースが均一に付着していることを確認した。実施例7粉末吸入用製剤に適したエリスリトールの最適な粒子径の検討を行うために、微細化したラクトース(平均粒子径:1.5μm)と3種類の異なる粒子径の担体粒子を下記表9の割合に従って添加し、予め予備混合を行った後にS−36496を添加し、メカノミル(岡田精工(株)製)(10g仕込み)を用いて乾式コーティングを行った。得られた各粉末吸入用製剤をカプセルに充填して、in vitroでの肺到達率の比較を行い、最適な担体粒子径の選定を行った。実験は米国薬局方(THE UNITED STATES PHARMACOPEIA(USP23)、1763頁(1995年))に記載のマルチステージカスケードインパクターでの測定方法に準拠して行った。3種類の粉末吸入用製剤それぞれを約40mg充填したカプセル剤(日本薬局方2号HPMCカプセル;シオノギクオリカプス(株)社製)を製造し、吸入器(Jethaler;(株)ユニシアジェックス社製)に装着した。Jethalerをカスケードインパクター(アンダーセンノンバーブルサンプラー、モデルAN−200)のマウスピース部に取り付け、28.3L/minの流速で吸引することによりカプセル内の微粉末製剤を分散させた後、カプセル、吸入デバイスへの薬効成分残存量及び各ステージへの薬効成分分布量を液体クロマトグラフ法で測定した。その結果を表10に示す。カスケードインパクターによるin vitro試験において、肺吸入割合に相当するステージ2〜7への到達割合が担体粒子の違いにより大きく異なることが確認された。表10の結果から粉末吸入用製剤に用いるエリスリトールの担体粒子径は平均粒子径で約80μmが最適であることが示唆された。実施例8粉末吸入用製剤に適した担体トレハロースの最適な粒子径の検討を行うために、微細化したラクトース(平均粒子径1.5μm)1質量%と3種類(平均粒子径81.0μm、97.9μm、48.6μm)の異なる粒子径の担体トレハロース粒子89質量%を添加し、予め予備混合を行った後に10質量%のS−36496を添加し、メカノミル(岡田精工(株)製)(10g仕込み)を用いて乾式コーティングを行った。得られた3種類の各粉末吸入用製剤をカプセルに充填して、in vitroでの肺到達率を測定した。実験は米国薬局方(THE UNITED STATES PHARMACOPIA(USP23)、1763頁(1995年))に記載のマルチステージカスケードインパクターでの測定方法に準拠して行った。3種類の粉末吸入用製剤それぞれを約40mg充填したカプセル剤(日本薬局方2号HPMCカプセル;シオノギクオリカプス(株)製)を製造し、吸入器(Jethaler;(株)ユニシアジェックス社製)に装着した。Jethalerをカスケードインパクター(アンダーセンノンバーブルサンプラー,モデルAN−200)のマウスピース部に取り付け、28.3L/minの流速で吸引することによりカプセル内の粉末吸入用製剤を分散させた後、カプセル,吸入器への薬効成分残存量及び各ステージへの薬効成分分布量を液体クロマトグラフ法で測定した。その結果を表11に示す。カスケードインパクターによるin vitro試験において、肺吸入割合に相当するステージ2〜7への到達割合が担体粒子の違いにより大きく異なることが確認された。表11の結果から、粉末吸入用製剤に用いる担体トレハロースの粒子径は、平均粒子径で約80μmが最適であることが示唆された。実施例9下記表12の割合にしたがって、ジェットミルで微細化したラクトース(平均粒子径1.5μm)と実施例4と同様の担体トレハロース粒子(平均粒子径81μm)を予め混合し、混合末の中にS−36496を添加し、メカノミル(岡田精工(株)製)(10g仕込み)を用いて乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤について、S−36496の付着含量を液体クロマトグラフ法で測定したところ、薬効成分が均一に付着・分散していることを確認した(表13)。表13中の数字は、乾式コーティング時に添加したS−36496の量を100%とした時の割合を示す。また、走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)でも同様に観察したところ、担体粒子のまわりに微細化した薬効成分とラクトースが均一に付着していることを確認した。次に、この3種類の調製した粉末吸入用製剤それぞれを約40mg充填したカプセル剤(日本薬局方2号HPMCカプセル;シオノギクオリカプス(株)製)を調製し、吸入器(Jethaler;(株)ユニシアジェックス社製)に装着した。Jethalerをカスケードインパクター(アンダーセンノンバーブルサンプラー,モデルAN−200)のマウスピース部に取り付け、28.3L/minの流速で吸引することによりカプセル内の粉末吸入用製剤を分散させた後、カプセル,吸入器への薬効成分残存量及び各ステージへの薬効成分分布量を液体クロマトグラフ法で測定した。その結果を表14に示す。カスケードインパクターによるin vitro試験において、3種類の調製した粉末吸入用製剤は、薬物添加量に関係なく、どの製剤においても、ステージ2〜7への到達割合が同一レベルにあり、担体トレハロースと本製造方法の組合せは良好な粉末吸入用製剤が薬物濃度に関係なく製造できることが示唆された。実施例10下記表15の割合にしたがって、ジェットミルで微細化した付着ラクトース(平均粒子径1.5μm)と担体ラクトース(ラクトース325M、DMV社製、平均粒子径65.5μm)を予め混合し、混合末の中にS−36496(平均粒子径1.6μm)を添加し、メカノミル(岡田精工製)(15g仕込み)を用いて乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55、トプコン製)で観察したところ、担体粒子のまわりに微細化した薬効成分と付着ラクトースが均一に付着していることを確認した。調製した粉末吸入用製剤を40mg充填したカプセル剤(日本薬局方2号HPMCカプセル、シオノギクオリカプス製)を調製し、吸入器(Jethaler、ユニシアジェックス製)に装着した。Jethalerをカスケードインパクター(アンダーセンノンバーブルサンプラー,モデルAN−200)のマウスピース部に取り付け、28.3L/minの流速で吸引することによりカプセル内の粉末吸入用製剤を分散させた後、カプセル,吸入器への薬効成分残存量及び各ステージへの薬効成分分布量を液体クロマトグラフ法で測定した。その結果を表16に示す。実施例11下記表17の割合にしたがって、ジェットミルで微細化したラクトース(平均粒子径1.5μm)と担体エリスリトール(平均粒子径80.8μm)を予め混合し、混合末の中に特表平7−507039記載のプラルモレリン二塩酸塩を微粉砕したもの(平均粒子径1.9μm)を添加し、メカノミル(岡田精工製)を用いて乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55、トブコン製)で観察したところ、担体粒子のまわりに微細化した薬効成分とラクトースが均一に付着していることを確認した。調製した粉末吸入用製剤を40mg充填したカプセル剤(日本薬局方2号HPMCカプセル、シオノギクオリカプス製)を調製し、吸入器(Jethaler、ユニシアジェックス製)に装着した。Jethalerをカスケードインパクター(アンダーセンノンバーブルサンプラー、モデルAN−200)のマウスピース部に取り付け、28.3L/minの流速で吸引することによりカプセル内の粉末吸入用製剤を分散させた後、カプセル,吸入器への薬効成分残存量及び各ステージへの薬効成分分布量を液体クロマトグラフ法で測定した。その結果を表18に示す。この製剤は40℃及び25℃において、シリカゲル入りガラス瓶にて2ヶ月保存した後も、薬物分布割合はほとんど変化しなかった。実施例12実施例5と同一基材・同一処方を用いて、高速撹拌型混合造粒機ラボラトリーマトリックスLMA−10型(500g仕込み)を用いて、乾式コーティング時間を3分、5分、10分、30分と変化させて乾式コーティングを行った。得られた粉末吸入用製剤の粉体特性値を測定したところ、安息角が42°と良好な流動性を示し、カプセルへの粉末直接充填が可能であることが判明した。ゆるみ見かけ比重(g/ml)は0.62であった。更に、本製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、コーティング時間が5分、10分の場合は担体粒子のまわりに微細化した薬効成分が均一に付着していることが観察されたが、コーティング時間が3分の場合は若干不均一な付着であり、30分の場合は不均一な付着であった。また、コーティング時間が5分のものを液体クロマトグラフ法で含量均一性を測定したところ、均一であることが確認された。実施例13実施例6と同一基材・同一処方を用いて、高速撹拌型混合造粒機バーチカルグラニュレーターVG−01型((株)パウレック製)(100g仕込み)を用いて、乾式コーティング時間を5分、10分と変化させて乾式コーティングを行った。得られた粉末吸入用製剤の粉体特性値を測定したところ、安息角が40.5°と良好な流動性を示し、カプセルへの粉末直接充填が可能であることが判明した。ゆるみ見かけ比重(g/ml)は0.68であった。更に、本製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、コーティング時間が5分、10分の場合とも担体粒子の表面に微細化した薬効成分が均一に付着していることが観察された。実施例14実施例12の乾式コーティング時間5分のものを用いて調製した粉末吸入用製剤の薬効成分(10%含量)の担体粒子からの分散性を確認する目的でスプレー圧を変化させて分散させ、分散状態をレーザー光散乱方式粒度分布測定装置(LDSA−1400A型;東日コンピュータアプリケーションズ社製)で測定し、10μm以下の薬効成分の分散割合を求めたところ、非常に少ない分散圧でも担体粒子と薬効成分が再分散していることが裏付けられた。(表19)実施例15実施例12で得られた乾式コーティング時間5分のものを用いて、HPMCカプセル(日本薬局方2号カプセル;シオノギクオリカプス(株)社製)に充填した結果、良好な充填性を示し、内容量40.9mgを充填した粉末吸入用製剤を調製できた。なお、充填機はLIQFIL super40型(シオノギクオリカプス(株)製)を使用し、ダイ・コンプレス式の粉末充填方式を採用した。(表20)実施例16実施例15で調製したカプセル剤を用いてin vitroでの評価を行った。微粉末試料約40mgを充填したHPMCカプセル(日本薬局方2号カプセル;シオノギクオリカプス(株)社製)を吸入器(Jethaler;(株)ユニシアジェックス社製)に装着した。Jethalerをカスケードインパクター(アンダーセンノンバーブルサンプラー、モデルAN−200)のマウスピース部に取り付け、28.3L/minの流速で吸引することによりカプセル内の微粉末を分散させた後、カプセル、吸入デバイスへの薬効成分残存量及び各ステージへの薬効成分分布量を測定した。その結果を表21に示す。カスケードインパクターによるin vitro試験において肺吸入割合に相当するステージ2〜7への到達割合が約40%あることが示された。また、充填品の内容物を取り出し、担体粒子の表面にコーティングした薬効成分(10%含量)の分散性をレーザー光散乱方式粒度分布測定装置(LDSA−1400A型;東日コンピュータアプリケーションズ社製)でスプレー圧を変化させて分散状態を測定し、充填後の乾式コーティング品の表面から分離する10μm以下の薬効成分の再分散割合を求めたところ、低スプレー圧(表22)の場合においても表19と同様に良好な分散率を示し、充填に伴う物性の変化は認められなかった。実施例17実施例13の乾式コーティング時間5分の条件を用いて、ジェットミルで微細化したラクトース(平均粒子径1.5μm)1質量%と実施例4と同様の担体トレハロース粒子(平均粒子径81μm)89質量%を予め混合し、混合末の中に10質量%のS−36496を添加し、高速撹拌型混合造粒機バーチカルグラニュレーターVG−01型((株)パウレック製)(100g仕込み)を用いて、5分間乾式コーティグを行った。調製した粉末吸入用製剤を用いて、薬効成分(10質量%含量)の担体トレハロース粒子からの分散性を、スプレー圧を変化させて、分散させ、分散状態をレーザー光散乱方式粒度分布測定装置(LDSA−1400A型;東日コンピュータアプリケーションズ社製)で測定し、10μm以下の薬効成分の分散割合を求めたところ、表23に示すように、非常に少ない分散圧でも担体トレハロース粒子と薬効成分とが再分散できることが裏付けられた。また、この調製した粉末吸入用製剤を約40mg充填したカプセル剤(日本薬局方2号HPMCカプセル;シオノギクオリカプス(株)製)を製造し、吸入器(Jethaler;(株)ユニシアジェックス社製)に装着した。Jethalerをカスケードインパクター(アンダーセンノンバーブルサンプラー,モデルAN−200)のマウスピース部に取り付け、28.3L/minの流速で吸引することによりカプセル内の粉末吸入用製剤を分散させた後、カプセル,吸入器への薬効成分残存量及び各ステージへの薬効成分分布量を液体クロマトグラフ法で測定した。その結果を表24に示す。カスケードインパクターによるin vitro試験において、バーチカルグラニュレーターで調製した粉末吸入製剤は、実施例9で記載したメカノミルで調製した粉末吸入用製剤と同等のステージ2〜7到達率を示した。この結果から、トレハロースを用いた本製造方法はスケールアップ可能な手法であることが示唆された。実施例18本発明の粉末吸入用製剤の味の改善度を試験した。苦みのある物質に、担体としてエリスリトール(平均粒子径:54μm)とラクトース325M(平均粒子径:66μm)とを各々用い、表面改質剤としてラクトース(平均粒子径:1.5μm)を加えて、実施例3の方法に従って粉末吸入用製剤を調製した。スパーテルに製剤約10mg採取し、直接舌にのせて味の比較を行った。ラクトース325Mを担体とする製剤は苦みを感じたが、エリスリトールを担体とする製剤は甘みを感じた。従って、エリスリトールを担体とする粉末吸入用製剤は、薬効成分の苦みを和らげ、小児や高齢者にとって服用しやすいように、味覚を改善することが明らかとなった。実施例19本発明の粉末吸入用製剤の味の改善度を試験した。苦みのある物質に、担体として実施例4と同様のトレハロース(平均粒子径81μm)とラクトース325M(平均粒子径66μm)とを各々用い、表面改質剤としてトレハロース(平均粒子径1.4μm)を加えて、実施例6の方法に従って粉末吸入用製剤を調製した。スパーテルに製剤約10mg採取し、直接、舌にのせて味の比較を行った。ラクトース325Mを担体とする製剤は苦みを感じたが、トレハロースを担体とする製剤は甘味を感じた。従って、トレハロースを担体とする粉末吸入用製剤は、薬効成分の苦みを和らげ、小児や高齢者にとって服用しやすいように、味覚を改善することが明らかとなった。実施例20微細化した付着ラクトースと担体粒子を予め混合し、混合末の中に塩酸エタンブトールを下記表25の割合にしたがって添加し、高速撹拌型混合造粒機バーチカルグラニュレーターVG−01型((株)パウレック製)(50g仕込み)を用いて、コーティング時間を5分と10分にして乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、何れのコーティング時間でも担体粒子のまわりに微細化した薬効成分が均一に乾式コーティングされていることが確認された。実施例21微細化した付着トレハロース1質量%と担体トレハロース粒子96質量%を予め混合し、混合末の中に塩酸ブテナフィン3質量%を添加し、高速撹拌型混合造粒機バーチカルグラニュレーターVG−01型((株)パウレック製)(100g仕込み)を用いて、コーティング時間を5分にして乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、担体トレハロース粒子の表面に微細化した薬効成分が均一に乾式コーティングされていることが確認できた。実施例22微細化した付着ラクトースと担体粒子(エリスリトール)を予め混合し、混合末の中に塩酸マブテロールを下記表26の割合にしたがって添加し、シータ・コンポーザー((株)徳寿工作所製)(6g仕込み)を用いて、コーティング時間5分で乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、担体粒子のまわりに微細化した薬効成分が乾式コーティングされていることが確認された。実施例23微細化した付着トレハロース1質量%と担体トレハロース粒子98.5質量%を予め混合し、混合末の中に塩酸マブテロール0.5質量%を添加し、高速撹拌型混合造粒機バーチカルグラニュレーターVG−01型((株)パウレック製)(50g仕込み)を用いて、コーティング時間を5分にして乾式コーティングを行った。調製した粉末吸入用製剤を走査型電子顕微鏡(ABT−55(株)トプコン製)で観察したところ、担体トレハロース粒子の表面に微細化した薬効成分が均一に乾式コーティングされていることが確認され、担体トレハロースを用いた粉末吸入用製剤は多くの薬効成分にも使用できることが確認できた。産業上の利用可能性以上のように、本発明の粉末吸入用製剤は、薬効成分の吸入性が良好であり、さらに吸入時の味覚や口腔内や喉の不快感が改善され、しかも、繁雑な工程を経ることなく、また、製造時や保管時の付着凝集、固結や潮解のおそれも小さく、簡易に調製できるので、前記粉末吸入用製剤をカプセル中に充填し、吸入デバイスで使用するためのカプセル製剤への応用が可能である。 担体粒子の表面に、少なくとも微細化した薬効成分が付着されてなる粉末吸入用製剤であって、担体粒子がエリスリトール及び/又はトレハロースであることを特徴とする粉末吸入用製剤。 担体粒子の表面に、さらに微細化した表面改質剤が付着されてなることを特徴とする請求項1に記載の粉末吸入用製剤。 担体粒子がエリスリトールであり、微細化した表面改質剤がラクトース及び/又はトレハロースであることを特徴とする請求項2に記載の粉末吸入用製剤。 担体粒子がトレハロースであり、微細化した表面改質剤がラクトース及び/又はトレハロースであることを特徴とする請求項2に記載の粉末吸入用製剤。 微細化した表面改質剤の粒子径が平均粒子径で3μm以下である請求項2〜4のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤。 微細化した表面改質剤の含有量が粉末吸入用製剤全量中0.1〜2質量%である請求項2〜5のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤。 担体粒子の粒子径が平均粒子径で30〜150μmである請求項1〜6のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤。 微細化した薬効成分の粒子径が平均粒子径で1〜6μmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤。 担体粒子の含有量が粉末吸入用製剤全量中79.9〜99質量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤。 微細化した薬効成分の含有量が粉末吸入用製剤全量中0.01〜20質量%である請求項1〜9のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤。 微細化した薬効成分と担体粒子とを添加し、混合し、次いで乾式コーティングすることを特徴とする請求項1、7〜10のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤の製造法。 微細化した薬効成分と担体粒子と微細化した表面改質剤とを添加し、混合し、次いで乾式コーティングすることを特徴とする請求項2〜10のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤の製造法。 粉砕、混合及びコーティングの全ての工程を、溶媒を一切使用することなく乾式で行うことを特徴とする請求項11又は12に記載の粉末吸入用製剤の製造方法。 請求項1〜10のいずれか一項に記載の粉末吸入用製剤がカプセル中に充填された、吸入デバイスで使用するためのカプセル製剤。


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