タイトル: | 特許公報(B2)_ヒトCTLA−4抗体およびその使用 |
出願番号: | 2001518753 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 5/10,C07K 16/18,C07K 16/28,C12P 21/08 |
コーマン, アラン ジェイ. ハルク, エドワード エル. ロンバーグ, ニルス デオ, ヤシュワント エム. ケラー, ティバー ピー. JP 4093757 特許公報(B2) 20080314 2001518753 20000824 ヒトCTLA−4抗体およびその使用 メダレックス, インコーポレイテッド 502066649 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 コーマン, アラン ジェイ. ハルク, エドワード エル. ロンバーグ, ニルス デオ, ヤシュワント エム. ケラー, ティバー ピー. US 60/150,452 19990824 20080604 C12N 15/09 20060101AFI20080515BHJP C12N 5/10 20060101ALI20080515BHJP C07K 16/18 20060101ALI20080515BHJP C07K 16/28 20060101ALI20080515BHJP C12P 21/08 20060101ALN20080515BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 BC07K16/18C07K16/28C12P21/08 C12N 15/00-15/90 C12N 5/00- 5/12 C07K 16/18 C07K 16/28 C12P 21/08 A01K 67/027 PubMed BIOSIS/WPIDS(STN) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/Geneseq 国際公開第98/042752(WO,A1) 国際公開第95/033770(WO,A1) 国際公開第96/034096(WO,A1) 国際公開第98/037757(WO,A1) 国際公開第98/024884(WO,A1) 国際公開第96/033735(WO,A1) 国際公開第97/007671(WO,A1) 特表2002−537226(JP,A) 7 US2000023356 20000824 WO2001014424 20010301 2004512005 20040422 77 20030219 中村 正展 【0001】(関連出願の引用)本出願は、米国仮特許出願第60/150,452号の利益を主張し、その開示を本明細書中でその全体を参考文献として援用する。【0002】(発明の分野)本発明は、概して、分子免疫学および、ヒト疾患の処置に関する。特に、ヒトCTLA−4に対する新規のヒト配列抗体、ならびにこれらの抗体を使用してヒト疾患および感染を処置する方法に関する。【0003】(発明の背景)脊椎動物の免疫系は、最適な免疫活性化を達成するため多数のシグナルを必要とする;例えば、Janeway,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.54:1−14(1989);Paul William E.,編、Raven Press,N.Y.,Fundamental Immunology,第4版(1998)、詳しくは12章および13章、411〜478ページを参照のこと。Tリンパ球(T細胞)と抗原提示細胞(APC)間の相互作用は、免疫応答に必須である。T細胞およびAPC上で見出される多くの付着分子のレベルは、免疫応答の間、増加する(Springerら、A.Rev.Immunol.5:223−252(1987);ShawおよびShimuzu,Current Opinion in Immunology,KindtおよびLong編、1:92−97(1988);およびHemler,Immunology Today 9:109−113(1988))。これらの分子のレベルの増加は、なぜ活性化されたAPCが、休止APCよりも抗原特異的T細胞増殖の刺激においてより効果的であるかを説明するのに役立ち得る(Kaiuchiら、J.Immunol.131:109−114(1983);Kreigerら、J.Immunol.135:2937−2945(1985);McKenzie,J.Immunol.141:2907−2911(1988);およびHawrylowiczおよびUnanue,J.Immunol.141:4083−4088(1988))。【0004】T細胞免疫応答は、細胞−細胞相互作用(Springerら、A.Rev.Immunol.5:223−252(1987))、特にT細胞と補助細胞(APCなど)間、および可溶性免疫伝達物質(サイトカインまたはリンフォカイン)の産生(Dinarello(1987)New Engl.Jour.Med 317:940−945;Sallusto(1997)J.Exp.Med.179:1109−1118)を含む複合プロセスである。この応答は、T細胞レセプター複合体(Weiss(1986)Ann.Rev.Immunol.4:593−619)および他の「アクセサリー」表面分子(Allison(1994)Curr.Opin.Immunol.6:414−419;上記Springer(1987))を含むいくつかのT細胞表面レセプターによって、調節される。これらのアクセサリー分子の多くは、細胞表面上のモノクローナル抗体の反応性によって定義される天然に存在する細胞表面分化(CD)抗原である(McMichael,編、Leukocyte Typing III,Oxford Univ.Press,Oxford,N.Y.(1987))。【0005】初期の研究は、Bリンパ球活性化が、2つのシグナルを必要とすることを示唆し(Bretscher(1970)Science 169:1042−1049)、そして現在は、全てのリンパ球は、その最適な活性化のため2つのシグナル、すなわち、抗原特異的シグナルまたはクローンシグナル、および第2の抗原非特異的シグナルを必要とすると思われている(上記Janeway)。Freeman(1989)J.Immunol.143:2714−2722は、MAb B7によって認識されるB細胞活性化抗原(Feeman(1987)J.Immunol.138:3260)をコードするcDNAクローンを単離し、そして配列決定した。このcDNAによってトランスフェクトされたCOS細胞は、標識されたMAbB7およびMAb BB−1の両方によって染色することで示された(Clark(1986)Human Immunol.16:100−113;Yokochi(1981)J.Immunol.128:823;Freemanら、(1989)上述;Freemanら(1987)、上述)。さらに、この抗原の発現は、単球などの他の直系の細胞において検出された(Freemaら、上述)。【0006】Tヘルパー細胞(Th)抗原性の応答は、APCによって提供されるシグナルを必要とする。第1シグナルは、T細胞レセプター複合体(Weiss,J.clin.Invest,86:1015(1990))とAPC上のクラスII主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子のからみで示される抗原(Allen,Immunol.Today 8:270(1987))との相互作用によって開始される。この抗原特異的シグナルは、全ての応答を起こすのに十分ではなく、そして第2シグナルの非存在下において、実際はクローンの不活化またはアネルギーを導き得る(Schwartz,Science 248:1349(1990))。MHCによって提供される第2「同時刺激」シグナルの要求は、多くの実験系において示された(Schwartz、上述;WeaverおよびUnanue,Immunol.Today 11:49(1990))。この第2シグナルの分子性質は、完全には理解されていないが、いくつかの場合においてインターロイキン(IL)−1(WeaverおよびUnanue、上述)などの可溶性分子および細胞間接着に関与する膜レセプター(Springer,Nature 346:425(1990))の両方は、同時刺激シグナルを提供し得ることは、明らかである。【0007】CD28抗原(免疫グロブリンのスーパーファミリーのホモダイマー糖タンパク質(AruffoおよびSeed,Proc.Natl.Acad.Sci 84:8573−8577(1987)))は、最も成熟したヒトT細胞において見出された(Damleら、J.Immunol.131:2296−2300(1983))アクセサリー分子である。現行の証拠は、この分子が、T細胞レセプター複合体によって開始されるT細胞活性化経路とは異なる代替のT細胞活性化経路において機能することを示唆する(Juneら、Mol.Cell.Biol.7:4472−4481(1987))。CD28抗原反応性モノクローナル抗体(MAb)は、種々のポリクローナル刺激によって開始されるT細胞応答を増大させ得る(Juneら、上述によって概説される)。これらの刺激の効果は、mRNA安定化を増加させる(Lindstenら、Science 244:339−343(1989))結果、MAb誘導サイトカイン産生から生じ得る(Thompsonら、Proc.Natl.Acad.Sci 86:1333−1337(1989);およびLindstenら(1989)、上述)。抗CD28 mAbはまた、阻害の影響を有し得る。すなわち、これらは、自己混合リンパ球反応(Damleら、Proc.Natl.Acad.Sci.78:5096−6001(1981))および抗原特異的T細胞クローンの活性化(Lesslauerら、Eur.J.Immunol.16:1289−1296(1986))をブロックし得る。【0008】CD28は、B細胞活性化抗原(B7/BB−1)に対するカウンターレセプターであることがいくつかの研究により示された(Linsleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:5031−5035(1990))。B7/BB−1抗原は、本明細書中以後「B7抗原」として示される。B7リガンドはまた、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであるが、CD28と対照的に、細胞外領域において2つのIgドメイン(N末端可変(V)様ドメインに次いで定常(C)様ドメイン)を有する。【0009】T細胞への非特異的同時刺激シグナルの送達は、APCにおいて見出された少なくとも2つの相同性のB7ファミリーメンバー(B7−1(B7、B7.1、またはCD80とも称される))およびB7−2(B7.2またはCD86とも称される)を必要とする。これらの両方がCD28を介してT細胞へ同時刺激シグナルを送達し得る。CD28を介する同時刺激は、T細胞活性化を促進する。【0010】B7抗原およびCD28レセプターの細胞外部分と免疫グロブリン(Ig)C.γ.1(重鎖定常領域)の遺伝的融合を使用することで、CD28とB7抗原の間の相互作用が、特徴付けられた(Linsleyら、J.Exp.Med.173:721−730(1991))。固定化されたB7Ig融合タンパク質およびB7陽性CHO細胞は、T細胞の増殖を同時刺激することが示された。【0011】B7陽性CHO細胞によるT細胞刺激はまた、特異的にIL−2の転写レベルを増加するように刺激する。さらなる研究は、抗CD28MAbが、B細胞白血病株との細胞性相互作用によって特定のT細胞白血病細胞株において誘導されるIL−2産生を阻害することを示した(Kohnoら、Cell.Immunol.131−1−10(1990)。【0012】CD28は、単一の細胞外可変領域(V)様ドメインを有する(AruffoおよびSeed、上述)。相同性分子、CTLA−4は、マウス細胞溶解性のT細胞cDNAライブラリーの示差的スクリーニングによって同定された(Brunet(1987)Nature 328:267−270)。【0013】CTLA−4は、マウス細胞溶解性のT細胞cDNAライブラリーの示差スクリーニングによって初めに同定された(Brunet(1987)Nature 328:267−270)T細胞表面分子である。CTLA−4はまた、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのメンバーであり;CTLA−4は、単一の細胞外Igドメインを含む。CTLA−4転写は、細胞溶解性活性を有するT細胞集団において見出され、CTLA−4は細胞溶解性応答において機能し得ることが示唆された(Brunetら、上述;Brunetら、Immunol.Rev.103−21−36(1988))。研究者らは、CTLA−4のヒト対応遺伝子のクローニング(Dariavachら、Eur.J.Immunol.18:1901−1905(1988))およびこの遺伝子のCD28と同じ染色体領域(2q33−34)に対するマッピング(Lafage−Pochitaloffら、Immunogenetics 31:198−201(1990))を報告した。このヒトCTLA−4 DNAとCD28タンパク質をコードするDNA間の配列比較は、膜近傍の(juxtamembrane)領域および細胞質の領域において最も高い相同性度で配列の有意な相同性を示す(Brunetら、1988、上記;Dariavachら、1988、上記)。【0014】いくつかの研究により、CTLA−4は、第2同時刺激物質として類似の機能を有することが示唆された(Linsleyら、J Exp.Med.176:1595−1604(1992);Wuら、J Exp.Med.185:1327−1335(1997)Lindsley,P.ら、米国特許第5,977,318号;同第5,968,510号;同第5,885,796号;および同第5,885,579号)。しかし、他の研究者らは、CTLA−4が、T細胞活性化の緩衝物質(dampener)として反対の役割を有すると報告した(Krummel(1995)J.Exp.Med.182:459−465);Krummelら、Int’l Immunol.8:519−523(1996);Chambersら、Immunity.7:885−895(1997))。CTLA−4欠損マウスは、広範囲に及ぶリンパ球増殖に羅患することが報告された(Chambersら、上述)。CTLA−4遮断は、インビトロにおいて(Walunasら、Immunity.1:405−413(1994))およびインビボにおいて(Kearney(1995)J.Immunol.155:1032−1036)T細胞応答を増大させ、抗腫瘍免疫を悪化させ(Leach(1996)Science.271:1734−1736)、そして誘発された自己免疫疾患を増す(Luhder(1998)J Exp.Med.187:427−432)ことが報告された。CTLA−4は、T細胞免疫応答の初期の特性に対して代替のまたは付加的な影響を有することもまた、報告された(Chambers(1997)Curr.Opin.Immunol.9:396−404;Bluestone(1997)J.Immunol.158:1989−1993;Thompson(1997)Immunity 7:445−450)。これは、CTLA−4に対して自己抗体を有する自己免疫患者がいくらかいるという知見と一致する。CTLA−4ブロック抗体は、これらの患者において病原の役割を有することがあり得る(Matsui(1999)J.Immunol.162:4328−4335)。【0015】非ヒトCTLA−4抗体は、上記で議論した種々の研究において使用された。しかし、ヒトにおいて抗体のインビボでの治療的な用途および診断的な用途の開発に面する主要な障害の1つは、非ヒト免疫グロブリンの内因性の免疫原性である。例えば、免疫応答性ヒト患者は、げっ歯類のモノクローナル抗体の治療的用量を投与される場合、その患者は、げっ歯類の免疫グロブリン配列に対する抗体を産生し;これらのヒト抗マウス抗体(HAMA)は、治療的抗体を中和し、そして急性毒性の原因となり得る。先の抗体におけるこれらおよび他の欠損は、本発明によってCTLA−4に対するヒト抗体の供給によって克服される。【0016】(発明の要旨)本発明は、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体、およびヒトタンパク質に関連する非免疫グロブリンが実質的にないヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体を提供する。【0017】関連する局面において、本発明はまた、CTLA−4に特異的に結合する治療的に有効なヒト配列抗体を提供する。いくつかの実施形態において、治療的に有効なヒト配列抗体は、通常のヒトT細胞の細胞表面上のCTLA−4に結合する。他の実施形態において、CD抗原CD4、CD8、CD25およびCD69によってマーカーされたT細胞サブ集団は、治療的に有効なヒト配列抗体の投与の間およびその後も安定のままである。他の実施形態において、治療的に有効なヒト配列抗体は、通常のヒトT細胞の細胞表面上のCTLA−4に結合する。他の実施形態において、ヒト配列抗体は、患者において十分寛容される。関連する実施形態において、提供されるものはまた、ヒトCTLA−4に特異的に結合する多数のヒト配列抗体を含むポリクローナル抗体の組成物である。ポリクローナル抗体の組成物は、ヒトCTLA−4に特異的に結合する少なくとも約2,5,10,50,100,500または1000個の異なるヒト配列抗体を含み得る。【0018】本発明はまた、ヒトCTLA−4に特異的に結合し、そしてヒトB7へのヒトCTLA−4の結合をブロックする、またはヒトB7へのヒトCTLA−4の結合をブロックしないヒト配列抗体を提供する。【0019】本発明はまた、少なくとも108M-1の平衡結合定数(Ka)でヒトCTLA−4に結合するヒト配列抗体を提供する。提供されるものはまた、少なくとも109M-1の平衡結合定数(Ka)でヒトCTLA−4に結合するヒト配列抗体である。【0020】本発明はまた、ヒトB7へのヒトCTLA−4の結合を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%または100%でブロックするヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体を提供する。【0021】本発明はまた、IgGまたはIgMのいずれかの抗体重鎖を有する、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体を提供する。IgG抗体重鎖は、IgG1,IgG2,IgG3またはIgG4であり得る。本発明はまた、抗体軽鎖がκ軽鎖であるヒト配列抗体を提供する。ヒト配列抗体は、それぞれ配列番号2から配列番号23に示されるような可変領域のヌクレオチド配列を含むヒトIgG重鎖核酸およびヒトκ軽鎖核酸によってコードされ得る。【0022】本発明はまた、ヒト配列抗体を提供し、ここでこのヒト配列抗体は、それぞれ配列番号16および配列番号6に示されるような可変領域のヌクレオチド配列を含むヒトIgG重鎖核酸およびヒトκ軽鎖核酸によってコードされる。【0023】本発明はまた、ヒト配列抗体を提供し、ここでこのヒト配列抗体は、それぞれ配列番号18および配列番号8に示されるような可変領域のヌクレオチド配列を含むヒトIgG重鎖核酸およびヒトκ軽鎖核酸によってコードされる。【0024】本発明はまた、ヒト配列抗体を提供し、ここでこのヒト配列抗体は、それぞれ配列番号22および配列番号12に示されるような可変領域のヌクレオチド配列を含むヒトIgG重鎖核酸およびヒトκ軽鎖核酸によってコードされる。【0025】本発明はまた、ヒト配列抗体を提供し、ここでこのヒト配列抗体は、それぞれ配列番号17および配列番号7に示されるような重鎖可変領域アミノ酸配列および軽鎖可変領域アミノ酸配列によってコードされる。【0026】本発明は、ヒト配列抗体を提供し、ここでこのヒト配列抗体は、それぞれ配列番号19および配列番号9に示されるような重鎖可変領域アミノ酸配列および軽鎖可変領域アミノ酸配列によってコードされる。【0027】本発明はまた、ヒト配列抗体を提供し、ここでこのヒト配列抗体は、それぞれ配列番号23および配列番号13に示されるような重鎖可変領域アミノ酸配列および軽鎖可変領域アミノ酸配列によってコードされる。【0028】本発明は、ヒト配列抗体を提供し、ここで、ヒト配列抗体は、それぞれV遺伝子セグメントVH3−30.0およびVK A−27由来の可変重鎖配列および可変軽鎖配列を含むヒトIgG重鎖核酸およびヒトκ軽鎖核酸によってコードされる。【0029】本発明はまた、ヒト配列抗体を提供し、ここで、ヒト配列抗体は、それぞれV遺伝子セグメントVH3−33およびVK L−15由来の可変重鎖配列および可変軽鎖配列を含むヒトIgG重鎖核酸およびヒトκ軽鎖核酸によってコードされる。【0030】本発明のいくつかのヒト配列抗体は、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれSYTMH(配列番号27)、FISYDGNNKYYADSVKG(配列番号32)およびTGWLGPFDY(配列番号37)、ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれRASQSVGSSYLA(配列番号24)、GAFSRAT(配列番号29)およびQQYGSSPWT(配列番号35)を含む。【0031】本発明のいくつかのヒト配列抗体は、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれSYTMH(配列番号27)、FISYDGSNKHYADSVKG(配列番号33)およびTGWLGPFDY(配列番号38)、ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれRASQSVSSSFLA(配列番号25)、GASSRAT(配列番号30)およびQQYGSSPWT(配列番号35)を含む。【0032】本発明の他のヒト配列抗体は、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれSYGMH(配列番号28)、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号34)およびAPNYIGAFDV(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれRASQGISSWLA(配列番号26)、AASSLQS(配列番号31)およびQQYNSYPPT(配列番号36)を含む。【0033】本発明はまた、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体を提供し、ここで、このヒト配列抗体は、トランスジェニック非ヒト動物によって産生される。このトランスジェニック非ヒト動物は、マウスであり得る。【0034】本発明はまた、FabフラグメントであるヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体を提供する。【0035】本発明は、各々がヒトCTLA−4に特異的に結合する少なくとも2つのヒト配列抗体を含む多価複合体を提供する。この2つの異なる抗体は、互いに共有結合的にまたは非共有結合的に連結され得る。【0036】本発明は、ヒト配列抗体の重鎖をコードする核酸を提供する。その核酸は、配列番号1に示されるようなヌクレオチド配列を含み得る。【0037】本発明は、ヒト配列重鎖導入遺伝子およびヒト配列軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物を提供し、この動物は、ヒトCTLA−4、フラグメントまたはそのアナログで免疫化され、それによって動物は、ヒトCTLA−4に対するヒト配列抗体を発現する。トランスジェニック非ヒト動物は、トランスジェニックマウスであり得る。トランスジェニックマウスは、HCo7またはHCo12を含み得る。【0038】本発明は、ヒト配列重鎖導入遺伝子およびヒト配列軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物由来のB細胞を含むハイブリドーマ細胞株を提供し、ここで、このハイブリドーマは、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体を産生する。関連する実施形態において、ハイブリドーマは、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体またはその結合フラグメントを分泌し、ここで、抗体は、以下からなる群から選択される:重鎖CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列、それぞれSYTMH(配列番号27)、FISYDGNNKYYADSVKG(配列番号32)およびTGWLGPFDY(配列番号37)、ならびに軽鎖CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列、それぞれRASQSVGSSYLA(配列番号24)、GAFSRAT(配列番号29)およびQQYGSSPWT(配列番号35)、ならびに配列番号17および配列番号7にそれぞれ示されるような重鎖可変領域アミノ酸配列および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含むヒト配列抗体;重鎖CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列、それぞれSYTMH(配列番号27)、FISYDGSNKHYADSVKG(配列番号33)およびTGWLGPFDY(配列番号38)、ならびに軽鎖CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列、それぞれRASQSVSSSFLA(配列番号25)、GASSRAT(配列番号30)およびQQYGSSPWT(配列番号35)、ならびに配列番号19および配列番号9にそれぞれ示されるような重鎖可変領域アミノ酸配列および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含むヒト配列抗体;または重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれSYGMH(配列番号28)、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号34)およびAPNYIGAFDV(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、それぞれRASQGISSWLA(配列番号26)、AASSLQS(配列番号31)およびQQYNSYPPT(配列番号36)、ならびに配列番号23および配列番号13にそれぞれ示されるような重鎖可変領域アミノ酸配列および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む請求項1に記載のヒト配列抗体。【0039】本発明は、CTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。この薬学的組成物はさらに、標的抗原に対する免疫応答を誘導するために効果的な薬剤を含み得る。提供されるものはまた、化学療法剤である。さらに、免疫抑制性分子に対する抗体もまた、提供される。【0040】本発明は、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト配列抗体(ここで、この抗体は、ヒトB7へのヒトCTLA−4の結合をブロックする)の有効用量を患者に投与する工程を含む、患者において抗体に対する免疫応答を誘導する、増大させる、または長くする方法を提供する。この抗原は、腫瘍抗原であり得、またはこの抗原は、病原体由来であり得る。この腫瘍抗原はまた、テロメラーゼであり得る。上記病原体は、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物であり得る。この病原体はまた、HIVであり得る。この方法はさらに、抗原、またはフラグメントもしくはそのアナログを患者に投与する工程を含み得、それによってヒト配列抗体と組み合わせた抗原は、免疫応答を導入する、増大させる、または長くする。抗原は、腫瘍抗原またはアルツハイマー病に羅患している患者などの患者におけるアミロイド形成の成分であり得、そして抗原は、ABペプチドであり得る。この方法はさらに、患者にサイトカインを投与する工程を含み得る。【0041】本発明は、互いに連結されるヒトCTLA−4に対する少なくとも2つのヒト配列抗体を含む多価調製物の有効用量を患者に投与する工程を含む、患者における免疫応答を抑制する方法を提供する。本発明は、互いに連結されるヒトCTLA−4に対する少なくとも2つのヒト配列抗体を含むポリクローナル調製物の有効用量を患者に投与する工程を含む、患者における免疫応答を抑制する方法を提供する。【0042】本発明はさらに、ヒトCTLA−4に特異的に結合する単離されたまたは組換えヒト配列抗体およびヒトモノクローナル抗体、ならびにこのような抗体の1つまたは組み合わせを含む組成物を提供する。本発明のヒト配列抗体のいくつかは、高い親和性でヒトCTLA−4に結合すること、および/またはヒトCTLA−4とそのリガンド(ヒトB7−1分子およびB7−2分子)との相互作用をブロックすることで、特徴付けられる。従って、本発明のヒト配列抗体およびヒトモノクローナル抗体は、インビボおよびインビトロにおいて診断的薬剤または治療的薬剤として使用され得る。【0043】本発明のヒト配列抗体は、種々の抗体アイソタイプ、またはその混合物(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、およびIgEなど)を含み得る。代表的に、それらは、IgG1(例えば、IgG1k)アイソタイプおよびIgMアイソタイプを含む。ヒト配列抗体は、全長(例えば、IgG1抗体またはIgG4抗体)であり得、または抗原結合部位(例えば、Fab、F(ab’)2、Fvまたは単鎖Fvフラグメント)のみを含み得る。いくつかのヒト配列抗体は、組換えヒト配列抗体である。いくつかのヒト配列抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)由来のB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。このハイブリドーマは、例えば、B細胞と不死化細胞とを融合することによって作製され得る。本発明のいくつかのヒト配列抗体は、4C8、4E10、4E10.5、5A8、5C4、5C4.1.3、5D7、5D7.1、5E10、5E10.12、5G1、5G1.4,6A10、6C9、6C9.6、6D9、6D9.7、6G4、7E4、7E4.4、7E6、7H8、8E8、8E8.4、8F8、8F8.19、8H1、9810、9A10.1、9B9、9C1、9G5、105B、10B5.8、10B9、10B9.2、10D1、10D1.3、10E11、10E4、10E4.5、11B4、11D10、11E4、11E4.1、11E8、11F10、11F11、11F9、11G1、11G1.5、1C7、1H8.8、2A7、2A7.6、2E2、2E2.7、2E7、2E7.2、2G1、2G1.2、3C12、3E10、3E10.5、3E6、3E6.0、3F10、4A1、4B6および4B6.12と呼ばれるハイブリドーマによって産生される。小数点後の接尾辞は、同じハイブリドーマ細胞株の異なるクローン単離体を示す。【0044】本発明のヒト配列抗CTLA−4抗体のいくつかは、以下の性質の1つ以上によって特徴付けられ得る:a)ヒトCTLA−4に対する特異性(ヒトCTLA−4に特異的に結合);b)少なくとも約107M-1、または約109M-1、または約1010M-1〜1011M-1またはそれ以上の平衡結合定数(Ka)でのヒトCTLA−4に対する結合親和性;c)少なくとも約103、約104、または約105m-1s-1の動力学的結合定数(ka);および/または、d)少なくとも約103、約104、または約105m-1s-1の平衡解離定数(kd)。【0045】別の局面において、本発明は、本発明のヒト配列抗体、または抗原結合部分をコードする核酸分子を提供する。従って、本発明の抗体コード核酸を含む組換え発現ベクター、およびそのようなベクターでトランスフェクトされた宿主細胞はまた、本発明によって含まれる、これらの宿主細胞を培養することで本発明の抗体を作製する方法も同様に本発明によって含まれる。【0046】さらに別の局面において、本発明は、トランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)から単離されたB細胞を提供し、そのB細胞は、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体の種々のアイソタイプ(例えば、IgG、IgAおよび/またはIgM)を発現し得る。単離されたB細胞は、ヒトCTLA−4抗原(またはその抗原性フラグメント)および/またはヒトCTLA−4発現細胞の精製されたまたは濃縮された調製物で免疫化されたトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)由来であり得る。トランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)は、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有し得る。単離されたB細胞は、ヒトCTLA−4に対するヒトモノクローナル抗体の供給源(例えばハイブリドーマ)を提供するため不死化され得る。【0047】従って、本発明はまた、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を産生し得るハイブリドーマを提供する。このハイブリドーマは、不死化細胞と融合されたヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)由来のB細胞を含み得る。トランスジェニック非ヒト動物は、抗体産生ハイブリドーマを生成するためヒトCTLA−4抗原および/またはヒトCTLA−4発現細胞の精製されたまたは濃縮された調製物で免疫化され得る。【0048】さらに別の局面では、本発明は、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を発現するトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)(また、本明細書中で「HuMAb−MouseTM」といわれる)を提供する。トランスジェニック非ヒト動物は、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスであり得る。このトランスジェニック非ヒト動物は、CTLA−4抗原(またはその抗原フラグメント)の精製されたかまたは濃縮された調製物および/またはヒトCTLA−4を発現する細胞で免疫化され得る。このトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)は、V−D−J組換えおよびアイソタイプ転換を起こすことによって、ヒトCTLA−4(例えば、IgG、IgAおよび/またはIgM)に対するヒトモノクローナル抗体の多数のアイソタイプを産生することが可能であり得る。アイソトープ転換は、例えば、古典的なまたは非古典的なアイソタイプ転換によって、発生し得る。【0049】別の局面では、本発明は、ヒトCTLA−4と特異的に反応するヒト配列抗体およびヒト配列モノクローナル抗体を産生する方法を提供する。本発明のいくつかの方法は、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)を、ヒトCTLA−4抗原の精製されたかまたは濃縮された調製物および/またはヒトCTLA−4を発現する細胞で、免疫化する工程を包含する。次いで、この動物のB細胞(例えば、脾臓B細胞)が獲得され得、そして、骨髄腫細胞と融合され、ヒトCTLA−4に対するヒトモノクローナル抗体を分泌する不死のハイブリドーマ細胞を形成し得る。【0050】本発明の抗ヒトCTLA−4ヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分(例えば、Fab)は、誘導化され得るかまたは別の機能的分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質(例えば、Fab’フラグメント))に連結され得る。例えば、本発明の抗体または抗原結合部分は、1つ以上の他の分子実態に機能的に連結され得る(例えば、化学的カップリング、遺伝的融合、非共有結合またはその他によって)。例えば、ヒト配列抗CTLA−4抗体、またはその抗原結合フラグメントは、治療学的部分(例えば、細胞障害性薬物、酵素学的活性な毒素、もしくはそのフラグメント)、放射性同位体、または低分子抗癌薬物に結合され得る。本発明の抗体はまた、例えば、細胞毒性因子で放射性標識した(例えば、131I(例えば、Shen(1997)Cancer 80(12 Suppl):2553−2557)、銅−67(例えば、Deshpande(1988)J.Nucl.Med.29:217−225))または、例えば、リボソーム不活化タンパク質ゲロニン(gelonin)(例えば、Boyle(1996)J.of Immunol.18:221−230)を参照のこと)に結合された、細胞障害性医薬品に結合され得る。【0051】別の局面では、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアおよび本発明の少なくとも1つのヒトモノクローナル抗体(ヒトCTLA−4に特異的に結合する)、またはその抗原結合部分組成物、を含む組成物(例えば、薬学的および診断的組成物)を提供する。いくつかの組成物は、ヒト配列抗体またはその抗原結合部分の組み合わせを含み、好ましくは、それらのそれぞれは、別個のエピトープに結合する。本発明の少なくとも1つのヒト配列抗体もしくは少なくとも1つのヒトモノクローナル抗体組成物またはその抗原結合部分、ならびに、本発明の少なくとも1つの二重特異性もしくは多重特異性分子の組み合わせを含む組成物(例えば、薬学的組成物)はまた、本発明の範囲内である。【0052】インビボ方法については、抗体またはその抗原結合部分(または本発明の二重特異性もしくは多重特異性分子)は、T細胞関連疾患、つまり免疫応答を増大させるかまたは抑制するかまたは延長することによって回復され得るかまたは予防され得る疾患に罹患するヒト被験体に投与され得る。【0053】本発明のヒト配列モノクローナル抗体およびヒト配列抗体組成物はまた、他の公知の治療法(例えば、抗癌治療)と組み合わせて投与され得る。従って、本発明は、薬学的にキャリアと共に、治療学的な有効量のヒト配列の薬学的組成物を被験体に投与する工程を包含する、被験体における癌を処置するための方法を提供する。いくつかのそのような方法はワクチンを含む。いくつかのそのようなワクチンとしては、腫瘍細胞ワクチン、GM−CSF−改変腫瘍細胞ワクチン、または抗原充填樹状細胞ワクチンが挙げられる。いくつかのそのような方法において、癌は、前立腺癌、黒色腫、または上皮癌である。【0054】ヒトCTLA−4に対するヒト配列抗体は、免疫応答または免疫抑制のどちらかの刺激を必要とする処置の方法において使用され得る。以前の徴候は、ヒトCTLA−4がヒトB7に結合するのを阻害する抗体を用いて処置される。免疫応答の延長の刺激、増強による処置に対して影響される疾患としては、癌(前立腺、腎臓または結腸の癌を含む)、病原体感染、自己抗原に関連した疾患(例えば、アミロイド形成疾患)(アルツハイマー病を含む)、および炎症性またはアレルギー性成分を有する疾患が挙げられる。免疫抑制は、お互いに連結するヒトCTLA−4に対する少なくとも2つの異なった抗体を含む多価調製物を用いて達成される。処置に対して影響される疾患としては、対宿主性移植片病、対移植片性宿主病、自己免疫疾患および炎症などが挙げられる。【0055】さらに別の局面では、本発明は、例えば、ヒトCTLA−4関連疾患を診断するためのサンプル中におけるヒトCTLA−4抗原の存在をインビトロまたはインビボで検出するための方法を提供する。いくつかの方法において、このことは、抗体とヒトCTLA−4との間の複合体の形成を可能にする条件下で、コントロールサンプルと共に、試験されるサンプルを、本発明のヒト配列抗体もしくはヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分(または二重特異性もしくは多重特異性分子)と接触することによって達成される。次いで、複合体形成は、両方のサンプルにおいて検出され(例えば、ELISAを用いて)、そして、サンプル間の複合体形成における任意の統計学的に有意な差異は、サンプルにおけるヒトCTLA−4抗原の存在を示している。【0056】本発明の性質および利点をさらに理解することは、明細書の残りの部分、図面、および請求の範囲を参照することによって、理解され得る。【0057】本明細書中で記載された全ての出版物、図面、GenBank登録参照(配列)、ATCC寄託、特許および特許出願は、それぞれが個々に示されるような程度に、全ての目的について、本明細書中に参考として明確に援用される。【0058】(詳細な説明)本発明は、発現、特に過剰発現、またはヒトCTLA−4および/または関連分子の活性化、特に過剰活性化によって特徴付けられる疾患を処置および診断するための新規の抗体ベースの治療を提供する。本発明の治療は、ヒトCTLA−4に存在するエピトープに結合する、ヒト配列抗体、ヒト配列モノクローナル抗体、またはその抗原結合部位を使用する。これらのヒト配列抗CTLA−4抗体は、機能的アンタゴニスト(例えば、CTLA−4のリガンドと結合する能力もしくは細胞を活性化する能力を阻害することによって、例えば、シグナルを細胞に伝達する能力を阻害することによって)またはアゴニスト(例えば、リガンドの効果を刺激するために)として作用し得る。【0059】本発明のヒト配列抗体は、V−D−J組換えおよびアイソタイプ転換を起こすことによって、ヒトCTLA−4(例えば、IgG、IgAおよび/またはIgE)に対するヒト(例えば、モノクローナルまたはポリクローナル)抗体の多数のアイソタイプを産生可能な非ヒトトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックマウス)において産生され得る。従って、本発明の種々の局面は、抗体および抗体フラグメントおよびその薬学的組成物、ならびに非ヒトトランスジェニック動物およびそのようなモノクローナル抗体を作製するためのB細胞およびハイブリドーマを含む。本発明の抗体を使用する、ヒトCTLA−4もしくは関連した、交差反応性増殖因子レセプターを発現する細胞を検出するためか、または、インビトロかまたはインビボのどちらかにおいてヒトCTLA−4を発現する細胞の増殖、分化および/または運動性を阻害するための方法がまた、本発明によって包含される。【0060】記述される場合を除き、用語「患者」または「被験体」は交換可能に使用され、そして、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびに、ウサギ、ラット、およびマウスなどの実験動物、ならびに他の動物をいう。【0061】用語「処置すること」は、症状、合併症、もしくは疾患の生化学的徴候の開始を予防または遅延するための本発明の化合物または薬剤の投与、症状の軽減または疾患、状態、もしくは障害(例えば、自己免疫障害)のさらなる発生の阻止または阻害を含む。処置は、疾患の出現後の徴候の、予防的(疾患の開始を予防もしくは遅延するかまたはその臨床学的もしくは亜臨床的な徴候の出現を予防する)または治療学的抑制あるいは予防的または治療学的軽減であり得る。【0062】一般的に、句「十分に耐性の」は、処置の結果として発生しそして処置決定に影響する健康状態における有害な変化の非存在をいう。【0063】本明細書中で使用される場合、用語「リンパ球」は、当該分野で通常の意味を有し、そして、血中で見出される単核の非食作用性白血球、リンパ、リンパ系組織(すなわち、BおよびTリンパ球)のいずれかをいう。【0064】句「Tリンパ球の亜集団」または「T細胞サブセット」は、特定の細胞表面マーカーの発現によって特徴付けられるTリンパ球またはT細胞をいう(Barclay,A.N.ら編、1997,The Leulocyte Antigen Facts Book、第2版、Academic Press,London,United Kingdomを参照のこと)。T細胞に関する用語「安定な」は、T細胞サブセットの頻度または割合が、薬剤の投与の経路または期間にわたって変化しないという事実をいう。【0065】用語「細胞障害性Tリンパ球関連抗原−4」「CTLA−4」「CTLA4」、「CTLA−4抗原」および「CD152」(例えば、Murata(1999)Am.J.Pathol.155:453−460を参照のこと)は、交換可能に使用され、そして、CTLA−4(例えば、Balzano(1992)Int.J.Cancer Suppl.7:28−32)と少なくとも1つの共通のエピトープを有する改変体、アイソフォーム、ヒトCTLA−4の種相同体、およびアナログを含む。【0066】ヒトCTLA−4の全長cDNA配列は、GenBank登録番号L15006を有する。アミノ酸1〜37の領域は、リーダーペプチドである;38〜161は、細胞外V様ドメインである;162〜187は、膜貫通領域である;そして188〜223は、細胞質ドメインである。ヌクレオチド配列の改変体が報告されており、位置49でのGからAへの転移、位置272でのCからTへの転移、そして位置439でのAからGへの転移を含む。マウスCTLA−4の全長DNA配列は、EMBL登録番号X05719(Brunetら(1987)Nature 328:267−270)を有する。アミノ酸1〜35の領域は、リーダーペプチドである。【0067】ヒトB7−1(CD80)の全長DNA配列は、GenBank登録番号X60958を有する;マウス配列の登録番号は、X60958である;ラット配列の登録番号は、U05593である。ヒトB7−2(CD86)の全長cDNA配列は、GenBank登録番号L25259を有する;マウス配列の登録番号は、L25606である。【0068】CD28をコードする遺伝子は、広範囲に特徴付けられている。ニワトリmRNA配列は、Genbankアクセッション番号X67915である。ラットmRNA配列は、Genbankアクセッション番号X55288である。ヒトmRNA配列は、Genbankアクセッション番号J02988である。マウスmRNA配列は、Genbankアクセッション番号M34536である。【0069】用語「エピトープ」は、抗体と特異的に結合し得るタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常は、分子(例えば、アミノ酸または糖側鎖)の化学的に活性な表面配置からなり、そして通常は、特異的な3次元の構造的特性、ならびに特異的電荷特性を有する。立体配座のエピトープおよび非立体配座のエピトープは、前者に結合するが後者には結合しないということが変性溶媒の存在下で消失する点で区別される。【0070】インタクトな「抗体」は、ジスフィルド結合によって内部連結された少なくとも2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)からなる。各々の重鎖は、重鎖可変領域(本明細書中ではHCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域からなる。この重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)からなる。各々の軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中ではLCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域からなる。この軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)を含む。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域を散在した、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化され得る。各々のVHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順番で配置された:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体の第一成分(C1q)を含む、宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介し得る。用語抗体は、CTLA−4に結合する能力を保持するインタクトな抗体の抗原結合部位を含む。結合の例は以下である:(i)Fabフラグメント、VLドメイン、VHドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスフィルド橋によって連結した2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単腕のVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Wardら、(1989)Nature 341:544−546);ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHが独立した遺伝子によって遺伝暗号を指定されるが、組換え法を使用して、単一のタンパク質鎖として作製し得る合成リンカーによってこれらは連結され得、ここで、VL領域およびVH領域が対をなして一価分子を形成する(単鎖Fv(scFv)として公知;例えば、Birdら(1988)Science 242:423−426、およびHustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883を参照のこと)。このような単鎖抗体は、参考文献によって用語「抗体」に含まれる。組換え技術またはインタクトな抗体の酵素的切断もしくは化学的切断によって、フラグメントを調製し得る。【0071】二重特異性(bispecific)抗体は、2つの異なる結合特異性を有する(例えば、米国特許第5,922,845号および同5,837,243号;Zeilder(1999)J.Immunol.163:1246−1252;Somasundaram(1999)Hum.Antibodies 9:47−54;Keler(1997)Cancer Res.57:4008−4014を参照のこと)。例えば、本発明は、細胞表面抗原(例えば、ヒトCTLA−4)に対する1つの結合部位およびエフェクター細胞の表面上のFcレセプターに対する第二の結合部位を有する二重特異性抗体を提供する。本発明はまた、少なくとも3つの結合部位を有する多重特異的抗体を提供する。用語「二重特異性抗体」はさらに、ダイアボディ(diabodies)を含む。ダイアボディは、二価の二重特異性抗体であり、ここで、VHドメインおよびVLドメインは、単一のポリペプチド鎖上に発現されるが、同一鎖上のこれら2つのドメインの間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用して、これによってこのドメインを別の鎖の相補性ドメインと強いて対をなしめ、そして2つの抗原結合部位を作製する(例えば、Holliger,Pら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448;Poljak,R.J.ら(1994)Structure 2:1121−1123を参照のこと)。【0072】用語「ヒト配列抗体」は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域(存在する場合)を有する抗体を含む。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロのランダム変異誘発または部位特異的変異誘発あるいはインビボの体性(somatic)変異誘発によって誘導された変異)。しかし、本明細書中で使用される場合、用語「ヒト配列抗体」は、別の哺乳動物種(例えば、マウス)の生殖細胞系由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列に接がれた抗体(すなわち、ヒト化抗体)を含むことを意図しない。【0073】用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、単一の分子組成物の抗体分子の調製物をいう。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。従って、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域(存在する場合)を有する、単一の結合特異性を示す抗体をいう。1つの実施形態において、ヒトモノクローナル抗体は、不死化した細胞に融合したヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)から得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。【0074】用語「ダイクローナル(diclonal)抗体」は、ヒトCTLA−4に対する少なくとも2つの抗体の調製物をいう。代表的には、異なる抗体は、異なるエピトープに結合する。【0075】用語「オリゴクローナル(oligoclonal)抗体」は、ヒトCTLA−4に対する3〜100の異なる抗体の調製物をいう。代表的には、このような調製物における抗体は、範囲の異なるエピトープに結合する。【0076】用語「ポリクローナル抗体」は、ヒトCTLA−4に対する1より多い(2以上)の異なる抗体の調製物をいう。このような調製物は、範囲の異なるエピトープに結合する抗体を含む。【0077】本発明は、ヒトCTLA−4レセプターによって形質導入されたシグナルをブロックするかまたはアンタゴナイズするヒトCTLA−4に対するヒト配列抗体を提供する。これらの抗体のいくつかは、ヒトB7の対応するレセプターにCTLA−4が相互作用することを阻害するように、ヒトCTLA−4上のエピトープに結合し得る。ヒトCTLA−4のヒトB7との相互作用は、ヒトCTLA−4レセプターを保有するT細胞の不活性化を導くシグナルを変換するので、相互作用の拮抗作用は、ヒトCTLA−4レセプターを保有するT細胞の活性化を効果的に誘導、増大または延長する。これによって、免疫応答を延長するかまたは増大する。「ブロッキング抗体」は、抗体結合部位対ヒトCTLA−4リガンド結合部位の比が1:1より大きくそして抗体の濃度が10-8Mより大きいような条件下で、細胞に発現したヒトB7リガンドへの可溶性ヒトCTLA−4の結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%または99.9%だけ減少する抗体をいう。【0078】時には多価調製物として言及する他の抗体調製物は、同一の細胞上の多様なヒトCTLA−4レセプターにクロスリンクするような様式で、ヒトCTLA−4に結合する。レセプターのクロスリンクは、ヒトCTLA−4のヒトB7への結合に対して同一または同様の効果を有する。従って、レセプターのクロスリンクは、免疫抑制を生じるヒトCTLA−4応答を効果的に作動(agonize)する。【0079】クロスリンクはまた、異なるエピトープ特異性を有する、可溶性の二価の抗体を結合することによって達成され得る。これらのポリクローナル抗体調製物は、ヒトCTLA−4上の異なるエピトープに結合する、少なくとも2対の重鎖および軽鎖を含む。その結果、免疫抑制シグナルは、ヒトCTLA−4クロスリンクの結果として変換され得る。【0080】用語「組換えヒト抗体」は、組換え手段によって調製、発現、作製または単離された本発明の全てのヒト配列抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子(以下の項Iにさらに記載される)についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体;宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組換え体から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体、または他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む他の任意の手段によって調製、発現、作製または単離された抗体)を含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域(存在する場合)を有する。しかし、このような抗体は、インビトロ変異誘発(または、ヒトIg配列に対するトランスジェニックな動物が使用される場合は、インビボ体性変異誘発)に供され得、従って、組換え体抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VH配列およびVL配列由来でかつヒト生殖細胞系VH配列およびVL配列に関する場合、インビボのヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然には存在し得ない。【0081】「異種(異種性)抗体」は、このような抗体を産生するトランスジェニック非ヒト生物に関して規定される。この用語は、トランスジェニック非ヒト動物からならない生物中に見出されるアミノ酸配列または核酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体または核酸配列をコードする抗体をいい、一般にはトランスジェニック非ヒト動物の種以外の種由来である。【0082】「ヘテロハイブリッド抗体」は、異なる生物組織の軽鎖および重鎖を有する抗体をいう。例えば、マウス軽鎖に関連するヒト重鎖を有する抗体は、ヘテロハイブリッド抗体である。ヘテロハイブリッド抗体の例は、前述のキメラ抗体およびヒト化抗体を含む。【0083】用語「実質的に純粋な」または「単離された」は、目的種(例えば、本発明の抗体)が同定されかつ目的種が存在する優勢な種(すなわち、モル基準で組成物において他の個々のいずれの種より豊富である)であるようにその天然の環境の成分から分離および/または回復されたことを意味する;「実質的に純粋な」組成物または「単離された」組成物はまた、目的種が存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モル基準で)を含む場合を意味する。実質的に純粋な組成物または単離された組成物はまた、組成物中に存在する全ての高分子種の約80〜90重量%より多く含み得る。単離された目的種(例えば、本発明の抗体)はまた、実質的に同質(慣習的な検出方法によって、夾雑種は組成物中に検出され得ない)にまで精製され得、ここで、組成物は、実質的に単一の高分子種の誘導体からなる。ヒトCLTA−4に対する単離された抗体は、ヒトCLTA−4に結合せず異なる抗原に結合する他の抗体を実質的に含み得ない。しかし、ヒトCTLA−4のエピトープ、アイソフォームまたは改変体に特異的に結合する単離された抗体は、他の関連抗原(例えば、他の種(例えば、CTLA−4種ホモログ)由来)に対する交差反応性を有する。さらに、本発明の単離された抗体は、他の細胞性物質(例えば、非免疫グロブリン関連タンパク質)および/または化学物質を実質的に含まない。【0084】「特異的結合」は、優勢な抗原に結合する抗体をいう。抗体に「特異的(または選択的)に結合する」という句は、タンパク質および他の生物工学製品の異種性集団におけるタンパク質の存在に決定的な結合反応をいう。代表的には、抗体は、少なくとも約1×106M-1もしくは107M-1、または約108M-1〜109M-1、または約1010M-1〜1011M-1、またはそれ以上の結合定数(Ka)で結合し、そして優勢な抗原または非常に関連した抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合についてのその親和性より少なくとも2倍大きい親和性で優勢な抗原に結合する。句「抗原を認識する抗体」および「抗原に対して特異的な抗体」は、本明細書中では用語「抗原に対して特異的に結合する抗体」と相互交換可能に使用される。【0085】ペプチドに関して言及される場合、句「特異的な結合」または「特異的に結合する」は、標的分子に対する中間の結合親和性または高い結合親和性を有する、排他的または優勢なペプチド分子をいう。句「特異的に結合する」は、タンパク質および他の生物工学製品の異種性集団の存在における標的タンパク質の存在に決定的な結合反応をいう。従って、指定されたアッセイ条件下で、特定された結合部分は、特定の標的タンパク質に好ましく結合し、そして試験サンプルに存在する他の成分に顕著な量では結合しない。このような条件下で標的タンパク質に対する特異的な結合は、特定の標的抗原に対するその特異性について選択される結合部分を必要とし得る。種々のアッセイフォーマットを使用して、特定のタンパク質と特異的に反応するリガンドを選択し得る。例えば、固相ELISA免疫アッセイ、免疫沈降、Biacoreおよびウエスタンブロットを使用して、CTLA−4と特異的に反応するペプチドを同定し得る。代表的には、特異的反応または選択的反応は、少なくとも2倍のバックグラウンドシグナルまたはノイズであり、そしてより代表的には、10倍のバックグラウンドである。【0086】IgG抗体についての用語「高親和性」は、少なくとも約107M-1、少なくとも約108M-1、少なくとも約109M-1、少なくとも約1010M-1、少なくとも約1011M-1、または少なくとも約1012M-1、あるいはそれ以上(たとえば、1013M-1、もしくは1014M-1、またはそれ以上)の平衡結合定数(Ka)をいう。しかし、「高親和性」結合は、他の抗体のアイソタイプについて変化し得る。【0087】本明細書で使用される場合、用語「Ka」は、特定の抗体−抗原相互作用の平衡結合定数をいうことが意図される。この定数は、1/Mの単位を有する。【0088】本明細書で使用される場合、用語「Kd」は、特定の抗体−抗原相互作用の平衡解離定数をいうことが意図される。この定数は、Mの単位を有する。【0089】本明細書で使用される場合、用語「ka」は、特定の抗体−抗原相互作用の動力学結合定数をいうことが意図される。この定数は、1/Msの単位を有する。【0090】本明細書で使用される場合、用語「kd」は、特定の抗体−抗原相互作用の動力学解離定数をいうことが意図される。この定数は、1/Msの単位を有する。【0091】「特定の抗体−抗原相互作用」は、平衡定数および動力学定数が測定される元での実験的条件をいう。【0092】「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体のクラス(例えば、IgMまたはIgG1)をいう。【0093】「アイソタイプ変換(switching)」は、抗体のクラス、またはアイソタイプが1つのIgクラスから他のIgクラスの1つへ変化することによる現象をいう。【0094】「非変換(nonswitched)アイソタイプ」は、アイソタイプ変換が生じない場合に産生される重鎖のアイソタイプクラスをいう;非変換アイソタイプをコードするCH遺伝子は、代表的には、機能的に再構成されたVDJ遺伝子の直下にある第一のCH遺伝子である。アイソタイプ変換は、古典的アイソタイプ変換または非古典的アイソタイプ変換として分類された。古典的アイソタイプ変換は、導入遺伝子内の少なくとも1つの変換配列領域を含む組換え事象によって生じる。非古典的アイソタイプ変換は、例えば、ヒトσμとヒトΣμ(δ関連欠失)との間の相同組換えによって生じ得る。他の中での代替の非古典的変換機構(例えば、相互導入遺伝子および/または相互染色体の組換え)は、アイソタイプ変換を生じかつ実現し得る。【0095】用語「変換(switch)配列」は、変換組換えの原因であるDNA配列をいう。「変換ドナー」配列、代表的に、μ変換領域は、変換組換えの間に欠失される定常領域の5’(すなわち、上流)である。「変換アクセプター」領域は、欠失される定常領域と置換定常領域(例えば、γ、εなど)との間である。組換えが常に生じる特異的部位が存在しないので、最終の遺伝子配列は、代表的にはこの構築物から予想され得ない。【0096】「グリコシル化パターン」は、タンパク質、より特異的には、免疫グロブリンタンパク質に共有結合で結合する炭化水素の単位のパターンとして規定される。異種抗体のグリコシル化パターンは、非ヒトトランスジェニック動物の種によって産生される抗体上に天然に存在するグリコシル化パターンと実質的に類似であるとして特徴付けられ得る。ここで、当業者は、導入遺伝子のCH遺伝子が由来する種に対してよりも非ヒトトランスジェニック動物の種におけるグリコシル化のパターンにより同種であるような異種抗体のグリコシル化パターンを認識する。【0097】物体に適用される場合、用語「天然に存在する」は、物体が天然に見出され得る事実をいう。例えば、天然の供給源から単離され得そして研究室員によって作為的に改変されなかった生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。【0098】用語「再構成された」は、重鎖または軽鎖免疫グロブリン座(locus)の構成をいい、ここで、Vセグメントは、実質的に完全なVHドメインまたはVLドメインをコードする構成における、それぞれD−JセグメントまたはJセグメントのすぐ隣に位置される。再構成された免疫グロブリン遺伝子座は、生殖細胞系DNAと比較することによって同定され得る;再構成された座は、少なくとも1つの再結合されたヘプタマー/ノナマー相同性エレメントを有する。【0099】Vセグメントに関して、用語「再構成された」または「生殖系構成」は、DセグメントまたはJセグメントのすぐ隣にあるようにVセグメントが再結合されない構成をいう。【0100】用語「核酸」は、DNA分子およびRNA分子を含むことが意図される。核酸は、一本鎖または二重鎖であり得る。【0101】CTLA−4に結合する抗体または抗体の部分(例えば、VH、VL、CDR3)をコードする核酸に関して、用語「単離された核酸」は、抗体または抗体の部分をコードするヌクレオチド配列が、CTLA−4以外の抗原に結合する抗体または抗体の部分をコードする他のヌクレオチド配列(この他の配列は、ヒトゲノムDNA中の核酸に天然において隣接し得る)を含まない核酸をいうことが意図される。配列番号4〜23は、本発明の10D1、4B6、および1E2ヒト抗CTLA−4モノクローナル抗体の重鎖(VH)および軽鎖(VL)可変領域を含む、ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を含む。【0102】2つの核酸またはポリペプチドの文脈で、用語「実質的に同一」は、以下の配列比較方法および/または視覚的検査を使用して測定されるように、最大一致のために比較および整列された場合に、少なくとも約80%、約90%、約95%以上のヌクレオチド同一性またはアミノ酸残基同一性を有する2以上の配列または部分配列をいう。例えば、本発明は、配列番号1、配列番号2に対して実質的に同一な配列を有する核酸を提供する。このような「実質的に同一」な配列は、代表的に、相同であるとみなされる。「実質的に同一」は、少なくとも約50残基長である配列領域にわたって、少なくとも約100残基の領域にわたって、もしくは少なくとも約150残基の領域にわたって、または比較される2つの配列の全長にわたって存在し得る。以下に記載されるように、任意の2つの抗体配列は、Kabatにおける番号付けスキームを使用することによって、1つの様式においてのみ整列され得る。従って、抗体について、同一性パーセントは、固有かつ十分に規定された意味を有する。【0103】免疫グロブリンの成熟重鎖および軽鎖の可変領域由来のアミノ酸を、それぞれHxおよびLxと称し、ここでxは、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,MD,1987および1991)のスキームに従ったアミノ酸位置を指定する番号である。Kabatは、各亜群についての抗体の多くのアミノ酸配列を列挙し、そしてコンセンサス配列を生成するために、その亜群における各残基位置について最も一般的に存在するアミノ酸を列挙する。Kabatは、列挙された配列における各アミノ酸に対して残基番号を割り当てる方法を使用し、そして残基番号を割り当てるこの方法は、当該分野で標準的となっている。Kabatのスキームは、保存されたアミノ酸を参照して、Kabatにおけるコンセンサス配列の1つと当該抗体を整列させることによって、Kabatの概論に含まれていなかった他の抗体へと拡張可能である。Kabatの番号付け体系を使用することによって、異なる抗体における等価な位置のアミノ酸が容易に同定される。例えば、ヒト抗体のL50位のアミノ酸は、マウス抗体のアミノ酸L50位と等価な位置を占める。同様に、抗体軽鎖をコードする核酸は、個々の核酸によってコードされるアミノ酸配列が、Kabatの番号付け慣例に従って整列される場合に整列される。【0104】句「〜に対して選択的(または、特異的)にハイブリダイズする」は、配列が複雑な混合物(例えば、総細胞性またはライブラリーDNAまたはRNA)中に存在する場合に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列に分子が結合すること、二重鎖形成すること、またはハイブリダイズすることをいう。ここで、特定のヌクレオチド配列は、バックグラウンドの少なくとも約10倍で検出される。1つの実施形態では、核酸は、他の方法で本発明の範囲内であると決定された核酸(例えば、本明細書中に記載された例示的な配列)に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするその能力によって、本発明の範囲内である(すなわち、配列番号1または配列番号2に対して実質的に同一である)と決定され得る。【0105】句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、代表的には複雑な核酸混合物中で、プローブがその標的部分配列に対してハイブリダイズするが、有意な量(ポジティブシグナル(例えば、本発明の核酸の同定)は、バックグラウンドハイブリダイゼーションの約10倍である)で他の配列には結合しない条件をいう。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、そして異なる環境において異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な指針は、例えば、以下において見出される:Sambrook編、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(第2版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory(1989);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、Ausubel編、John Wiley&Sons,Inc.、New York(1997);LABORATORY TECHNIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY:HYBRIDIZATION WITH NUCLEIC ACID PROBES,第I部、Theory and Nucleic Acid Preparation,Tijssen編、Elsevier,N.Y.(1993)。【0106】一般的に、ストリンジェント条件は、規定されたイオン強度pHでの特定の配列に対する熱融点(Tm)よりも約5〜10℃低いように選択される。Tmは、標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(Tmで標的配列は過剰に存在し、プローブの50%が平衡状態で占められるような)温度である(規定されたイオン強度、pH、および核酸濃度下)。ストリンジェント条件は、pH7.0〜8.3で塩濃度が約1.0M未満のナトリウムイオン、代表的には、約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、そして温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃、そして長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより長い)については少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、Sambrook(以下に引用される)に記載されるような不安定化剤(例えば、ホルムアミド)を添加することにより達成され得る。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションについて、ポジティブシグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。例示的な高ストリンジェンシーまたは高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下を包含する:42℃でインキュベートされる50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDS、または65℃でインキュベートされる5×SSCおよび1%SDSに、65℃での0.2×SSCおよび0.1%SDS中での洗浄を伴う。選択的または特異的なハイブリダイゼーションについて、ポジティブシグナル(例えば、本発明の核酸の同定)は、バックグラウンドハイブリダイゼーションの約10倍である。本発明の範囲内にある核酸を同定するために使用されるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、例えば、42℃での50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSを含む緩衝液中でのハイブリダイゼーション、または65℃での5×SSCおよび1%SDSを含む緩衝液中でのハイブリダイゼーション(両方とも、65℃での0.2×SSCおよび0.1%SDSの洗浄を伴う)が挙げられる。本発明では、本発明の核酸を含むゲノムDNAまたはcDNAを、本明細書中に開示される核酸配列を使用するストリンジェントな条件下での標準的なサザンブロットにおいて同定し得る。このようなハイブリダイゼーション(本発明の範囲内にある核酸を同定するため)についてのさらなるストリンジェント条件は、37℃での40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中でのハイブリダイゼーションを含む条件である。【0107】しかし、ハイブリダイゼーション様式の選択は、決定的ではなく−核酸が本発明の範囲内であるか否かを決定する条件を示すのは、洗浄条件のストリンジェンシーである。本発明の範囲内にある核酸を同定するために使用される洗浄条件としては、例えば、以下が挙げられる:pH7で約0.02モル濃度の塩濃度であり、かつ少なくとも約50℃もしくは約55℃〜約60℃の温度であるか;または、72℃で約0.15M NaClの塩濃度で約15分間;または、少なくとも約50℃もしくは約55℃〜約60℃の温度で約0.2×SSCの塩濃度にて約15〜約20分間;または、ハイブリダイゼーション複合体を、0.1%SDSを含む約2×SSCの塩濃度を有する溶液を用いて室温にて2回15分間洗浄し、次いで、0.1%SDSを含む0.1×SSCで68℃にて2回15分間洗浄するか;あるいは、等価な条件。SSC緩衝液および等価な条件の説明については、Sambrook、TijssenおよびAusubelを参照のこと。【0108】本発明の核酸は、全細胞中、細胞溶解産物中、または部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態において存在し得る。標準的技術(アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成(banding)、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および当該分野において周知の他の技術(例えば、Sambrook、TijssenおよびAusubelを参照のこと))によって、他の細胞成分または他の夾雑物(例えば、他の細胞性核酸またはタンパク質)から分離されて精製された場合に、核酸は、「単離」されているか、または「実質的に純粋にされている」。本発明の核酸配列および本発明を実施するために使用される他の核酸(RNAか、cDNAか、ゲノムDNAか、またはこれらのハイブリッド)を、種々の供給源から単離し得、遺伝子操作し得、増幅し得、および/または組換え的に発現させ得る。任意の組換え発現系が使用され得、これには細菌(例えば、酵母)に加えて、昆虫、または哺乳動物系が含まれる。あるいは、これらの核酸を、インビトロで化学的に合成し得る。核酸操作のための技術(例えば、発現ベクター中へのサブクローニング、プローブの標識化、配列決定、およびハイブリダイゼーションなど)が、科学技術文書および特許文書に十分に記載されている(例えば、Sambrook、TijssenおよびAusubelを参照のこと)。核酸は、当業者に周知の多くの任意の一般的手段によって、分析され得、そして定量され得る。これらとしては、例えば、以下が挙げられる:NMR、分光測光法、X線撮影法、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、および超拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィー、種々の免疫学的方法(例えば、液体またはゲル沈降反応、免疫拡散法(単一または二重)、免疫電気泳動法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ)、サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット分析、ゲル電気泳動(例えば、SDS−PAGE)、RT−PCR、定量的PCR、他の核酸または標的またはシグナル増幅方法、放射性標識化、シンチレーション計数、およびアフィニティークロマトグラフィーのような生化学的分析方法。【0109】cDNA、ゲノムまたはその混合物のいずれかに由来する本発明の核酸組成物(しばしば、ネイティブな配列にある(改変された制限部位などを除く))は、標準的な技術に従って変異されて、遺伝子配列を提供し得る。コード配列について、これらの変異は、所望されるアミノ酸配列に影響を与え得る。特に、ネイティブなV、D、J、定常領域、スイッチおよび本明細書中に記載される他のこのような配列に対して実質的に相同であるか、またはそれらから誘導体化されたDNA配列が意図される(ここで「誘導体化された」とは、配列が、別の配列と同一であるか、または別の配列から改変されていることを示す)。【0110】核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に配置された場合に、「作動可能に連結され」ている。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、それらが配列の転写に影響を及ぼす場合に、コード配列に作動可能に連結されている。転写調節配列に関して、作動可能に連結されたとは、連結されているDNA配列が隣接していること、および、2つのタンパク質コード領域を連結することが必要な場合には、隣接し、かつリーディングフレーム内にあることを意味する。スイッチ配列について、作動可能に連結されたとは、配列がスイッチ組換えに影響を及ぼし得ることを示す。【0111】用語「ベクター」は、連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子をいうことを意図される。ベクターの1つの型が「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループをいう。別の型のベクターはウイルスベクターであり、ここではさらなるDNAセグメントをウイルスゲノム中に連結し得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中において自律複製し得る(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入に際して宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、それによって、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、作動可能に連結された遺伝子の発現を指向し得る。このようなベクターは、本明細書中では、「組換え発現ベクター」(または単純に、「発現ベクター」)という。一般的に、組換えDNA技術において有用性を有する発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」を交換可能に使用し得る。なぜなら、プラスミドは、最も一般的に使用されるベクターの形態であるからである。しかし、本発明は、等価な機能を供するこのような他の形態の発現ベクター(例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス))を含むことを意図される。【0112】用語「組換え宿主細胞」(または単純に、「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入された細胞をいう。このような用語は、特定の被験細胞のみならず、このような細胞の子孫をもいうことを意図することが理解されるべきである。特定の改変は、変異または環境のいずれかの影響に起因して、後の世代において生じ得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないかもしれないが、なお本明細書中で使用されるような用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。【0113】用語「ミニ遺伝子座導入遺伝子(minilocus transgene)」は、天然に存在する生殖細胞系Ig遺伝子座と比較した場合に、非必須DNA部分(例えば、介在配列;イントロンまたはそれらの部分)の少なくとも1つの内部(すなわち、その部分の末端ではない)欠失を有する、免疫グロブリンのゲノム遺伝子座の部分を含む導入遺伝子をいう。【0114】「標識」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識としては、以下が挙げられる:32P、蛍光色素、電子密度試薬(electron−dense reagent)、酵素(例えば、ELISAにおいて通常使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテン、およびタンパク質であって、これらに対する抗血清またはモノクローナル抗体が入手可能なタンパク質(例えば、本発明のポリペプチドは、例えば、ペプチドに放射性標識を組み込むことによって検出可能になされ得、そしてこのペプチドと特異的反応性の抗体を検出するために使用され得る)。【0115】本明細書中で使用される場合、細胞の文脈における用語「選別」とは、例えば、蛍光活性化細胞選別機を用いて成し遂げられ得るような細胞の物理的選別、および細胞表面マーカーの発現に基づく細胞の分析(例えば、選別をしないFACS分析)の両方をいう。【0116】句「免疫細胞応答」とは、免疫細胞移動、標的細胞の殺傷、貪食作用、抗体産生、および免疫応答の他の可溶性エフェクターなどを生じる、免疫細胞における生化学的変化をもたらす、外部刺激または内部刺激(例えば、抗原、サイトカイン、ケモカイン、および他の細胞)に対する免疫系細胞の応答をいう。【0117】用語「Tリンパ球応答」および「Tリンパ球活性」とは、本明細書中で交換可能に使用され、Tリンパ球に依存する免疫応答(すなわち、Tリンパ球の増殖および/またはTリンパ球のヘルパー細胞傷害性キラーTリンパ球、もしくはサプレッサーTリンパ球への分化、抗体産生を引き起こすかまたは妨げる、Bリンパ球へのヘルパーTリンパ球によるシグナルの供給、細胞傷害性Tリンパ球による特定の標的細胞の殺傷、および他の免疫細胞の機能を調節するサイトカインのような溶解性因子の放出)の成分をいう。【0118】用語「免疫応答」とは、リンパ球、抗原提示細胞、病原体、顆粒球、および上記の細胞または肝臓によって産生された可溶性高分子(抗体、サイトカイン、および補体を含む)の協調作用をいい、それは、侵入する病原体、病原体に感染した細胞または組織、癌性細胞、あるいは、自己免疫または異常炎症の場合は、正常なヒト細胞または組織に対する選択的損傷、そららの破壊、またはそれらの人体から排除を引き起こす。【0119】免疫応答の成分は、当業者に周知の種々の方法によって、インビトロで検出され得る。例えば、(1)細胞傷害性Tリンパ球が、放射性に標識された標的細胞と共にインキュベートされ得、そしてこれらの標的細胞の溶解が、放射能の放出によって検出され得、(2)ヘルパーTリンパ球が、抗原および抗原提示細胞と共にインキュベートされ、そしてサイトカインの合成および分泌が標準的方法によって測定され得(Windhagen Aら、1995、Immunity 2(4):373−80)、(3)抗原提示細胞が、タンパク質抗原全体と共にインキュベートされ得、そしてMHC上のこの抗原の提示がTリンパ球活性化アッセイか生物物理学的方法のいずれかによって検出され得(Hardingら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.、86、4230−4)、(4)肥満細胞がそれらのFc−εレセプターに架橋する試薬と共にインキュベートされ得、そしてヒスタミン放出が酵素免疫アッセイによって測定され得る(Siraganianら、1983、TIPS 4:432−437)。【0120】同様に、モデル生物(例えば、マウス)またはヒト患者のいずれかにおける免疫応答産物はまた、当業者に周知の種々の方法によって検出され得る。例えば、(1)ワクチン接種に応じた抗体の産生は、臨床実験室で現在使用される標準的方法(例えば、ELISA)によって容易に検出され得る;(2)炎症部位への免疫細胞の移動は、皮膚表面を引っ掻いて、そして無菌容器を配置し、引っ掻き傷の部位にわたって移動する細胞を捕捉することによって検出され得る(Petersら、1988、Blood 72:1310−5);(3)マイトジェンに応じた末梢血液単核細胞の増殖または混合リンパ球反応は、3H−チミジンを用いて測定され得る;(4)顆粒球、マクロファージ、およびPBMCにおける他の病原体の食作用能力は、標識された粒子と共にPMBCをウェルに配置することによって測定され得る(Petersら、1988);および(5)免疫系細胞の分化は、CD4およびCD8のようなCD分子に対する抗体でPBMCを標識し、そしてこれらのマーカーを発現するPBMCの画分を測定することによって測定され得る。【0121】本明細書中で使用される場合、句「シグナル変換経路」または「シグナル変換事象」とは、少なくとも1つの生化学的反応をいうが、より一般的には、刺激性化合物または因子との細胞の相互作用から起こる一連の生化学的反応をいう。従って、細胞との刺激性化合物の相互作用は、シグナル変換経路を介して伝達される「シグナル」を発生させ、最終的には、細胞応答(例えば、上に記載される免疫応答)を引き起こす。【0122】シグナル変換経路とは、細胞の一部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達において役目を果たす種々のシグナル変換分子間の生化学的関係をいう。本発明のシグナル変換分子としては、例えば、本発明のMAb147.1が挙げられる。本明細書中で使用される場合、句「細胞表面レセプター」とは、、シグナルを受け取り、そして細胞の形質膜にわたってこのようなシグナルを伝達可能な分子および分子の複合体を含む。本発明の「細胞表面レセプター」の例は、T細胞レセプター(TCR)またはCTLA−4のB7リガンドである。【0123】細胞におけるシグナル変換経路は、細胞の内側または細胞側にある刺激物質との細胞の相互作用によって開始され得る。外部(すなわち、細胞の外側)刺激物質(例えば、抗原提示細胞上のMHC抗原複合体)が細胞表面レセプター(例えば、T細胞レセプター)と相互作用すると、シグナル変換経路は、細胞膜を横切って、細胞の原形質を通って、そしていくつかの場合は核内に、シグナルを伝達し得る。内部(すなわち、細胞内部)刺激物質が細胞内シグナル変換分子と相互作用すると、シグナル変換経路は、細胞の原形質を通って、そしていくつかの場合は細胞の核内に、シグナルの伝達を起こし得る。【0124】シグナル変換は、例えば、分子のリン酸化;非共有結合アロステリック相互作用;分子の複合体化;分子のコンホメーションの変化;カルシウム放出;イノシトールリン酸産生;タンパク質分解性切断;環状ヌクレオチド産生およびジアシルグリセリド産生を通じて起こり得る。代表的には、シグナル変換は、シグナル変換分子をリン酸化することにより起こる。【0125】用語「非特異的T細胞活性化」とは、T細胞の抗原特異性に非依存性のT細胞の刺激をいう。【0126】(CTLA−4に対するヒト抗体の産生)本発明のモノクローナル抗体(mAb)およびヒトの配列抗体は、従来のモノクローナル抗体方法論(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495(1975)の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術)を含む、種々の技術によって産生され得る。モノクローナル抗体を産生するための任意の技術(例えば、Bリンパ球のウイルス性またはオンコジーン性形質転換)が利用され得る。ハイブリドーマを調製するための1つの動物系は、マウス系である。マウスにおけるハイブリドーマ産生は、大変よく確立された手順である。免疫プロトコルおよび融合のために免疫された脾細胞の単離のための技術は、当該業界で公知である。融合パートナー(例えば、マウスミエローマ細胞)および融合手順もまた公知である(HarlowおよびLane(1988)、Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor New Yorkを参照のこと)。【0127】ヒトモノクローナル抗体およびヒトのCTLA−4に対して指向されるヒト配列抗体は、マウス免疫系ではなくヒト免疫系を保有するトランスジェニックマウスを用いて生成され得る。これらのトランスジェニックマウス(本明細書中で、「HuMAb−MouseTM」としても言及される)は、ヒト免疫グロブリン遺伝子小座(miniloci)を含み、これは、内因性μ鎖座およびκ鎖座を不活性化する標的化された変異と共に、再構成されないヒト重鎖(μおよびγ)ならびにκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードする(Lonberg.N.ら、(1994)Nature 368(6474):856−859および米国特許第5,770,429号)。従って、マウスは、マウスIgMまたはκの減少した発現を示し、そして免疫に応じて、導入されたヒト重鎖および軽鎖トランスジーンは、クラススイッチ変異および体細胞変異を受け、高アフィニティヒトIgGκモノクローナルを生成する(Lonberg,N.ら、(1994)、前出;Lonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101に概説される;Lonberg,N.およびHuszar,D.(1995)Intern.Rev.Immunol.Vol.13:65−93、ならびにHarding、F.およびLonberg,N.(1995)Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536−546)。トランスジェニックマウスの調製は、以下のSection IIおよびTaylor,L.ら(1992)Nucleic Acids Research 20:6287−6295;Chen,J.ら(1993)International Immunology 5:647−656;Tuaillonら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:3720−3724;Choiら(1993)Nature Genetics 4:117−123;Chen,J.ら(1993)EMBO J.12:821−830;Tuaillonら(1994)J.Immunol.152:2912−2920;Lonbergら(1994)Nature 368(6474):856−859;Lonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101;Talor,L.ら(1994)International Immunology 6:579−591;Lonberg,N.およびHuszar,D.(1995)Intern.Rev.Immunol.Vol.13:65−93;Harding,F.およびLonberg,N.(1995)Ann.N.Y.Acad.Sci 764:536−546;Fishwild,D.ら(1996)Nature Biotechnology 14:845−851に詳細に記載される。さらに、米国特許第5,625,126号および同第5,770,429号(両方ともLonberg and Kay,and GenPharm Internationalに属す);米国特許第5,545,807号(Suraniらに属す);国際出願公開番号WO 98/24884(1998年6月11日公開);WO94/25585(1994年11月10日公開);WO93/1227(1993年6月24日公開);WO92/22645(1992年12月23日公開);WO92/03918(1992年3月19日公開)を参照のこと。あるいは、以下の実施例1および実施例2に記載されるCMDおよびHCo12トランスジーンが、ヒト抗CTLA−4抗体を生成するために使用され得る。【0128】CTLA−4に対するヒトモノクローナル抗体を完全に生成するための詳細な手順は、以下の実施例に記載される。種々の抗原による度重なる経験は、トランスジェニックマウスが、最初に完全フロイントアジュバント中の抗原で腹腔内(IP)免疫され、引き続いて、一週間おきに不完全フロイントアジュバント中の抗原でIP免疫する(総計6まで)場合、応答するということが示された。しかし、フロイント以外のアジュバントもまた、効果的であることが見い出されている。さらに、アジュバントの非存在下での全細胞が、高い免疫原性であることがわかっている。免疫応答は、眼窩後方(retroorbital)出血によって得られている血漿サンプルを用いる、免疫プロトコルの過程にわたってモニターされ得る。血漿は、(以下に記載されるように)ELISAによってスクリーニングされ得、そして抗CTLA−4ヒト免疫グロブリンの十分な力価を有するマウスは、融合のために使用され得る。マウスは、屠殺および脾臓の除去の3日前に抗原で静脈内で追加免疫され得る。各免疫化に対する2〜3回の融合が行われる必要があり得ることが予期される。典型的に、6〜24匹の間のマウスが各抗原に対して免疫される。通常は、HCo7株とHCo12株の両方が使用される。さらに、HCo7とHCo12の両方のトランスジーンは、2つの異なるヒト重鎖トランスジーンを有する1匹のマウス内に一緒に導入され得る。【0129】ヒト抗CTLA−4抗体を精製するために、選択されたハイブリドーマが、モノクローナル抗体精製のために2リットルのスピナーフラスコ内で増殖される。上清が濾過され得、そしてプロテインA−セファロース(Pharmacia,Piscataway,NJ)を用いるアフィニティクロマトフラフィーの前に濃縮され得る。溶出されたIgGは、ゲル電気泳動法および高速液体クロマトグラフィーでチェックされ、精製を確かめられる。緩衝溶液が、PBSに交換され得、そして濃度が、1.43の吸光係数を用いるOD280によって決定され得る。モノクローナル抗体は、アリコートされ得、そして−80℃で貯蔵され得る。【0130】選択されたヒト抗−CTLA−4モノクローナル抗体を特定のエピトープに結合するか否かを決定するために、各抗体は、市販の試薬(Peirce、Rockford、IL)を使用してビオチン化され得る。標識されないモノクローナル抗体およびビオチン化モノクローナル抗体を用いる競合研究が、上記のようなCTLA−4でコートされたELISAプレートを使用して行われ得る。ビオチン化されたMAb結合は、ストレップ−アビジン(strep−avidin)−アルカリホスファターゼプローブで検出され得る。【0131】精製された抗体のアイソタイプを決定するために、アイソタイプELISAが行われ得る。マイクロタイタープレートのウェルを、1μg/mlの抗ヒトIgGで4℃で一晩コートする。1%のBSAでブロックした後、プレートを、1μg/ml以下のモノクローナル抗体または精製されたアイソタイプコントロールと、室温で1〜2時間反応させる。次いで、ウェルをヒトIgGI特異的アルカリホスファターゼ結合プローブかヒトIgM特異的アルカリホスファターゼ結合プローブのいずれかと反応させ得る。プレートを展開し、そして上記のように分析する。【0132】CTLA−4を発現する生存細胞へのモノクローナル抗体の結合を実証するために、フローサイトメトリーが使用され得る。簡潔に言うと、(標準的な増殖条件下で増殖された)CTLA−4を発現する細胞株を、0.1%のBSAおよび10%の牛胎仔血清を含むPBS中で、種々の濃度のモノクローナル抗体と混合し、そして37℃で1時間インキュベートする。洗浄後、一次抗体染色と同じ条件下で、細胞をフルオレセインで標識された抗ヒトIgG抗体と反応させる。サンプルは、単一の細胞に対してゲートする(gate)光散乱および側方散乱(side scatter)の性質を用いるFACScan装置によって分析され得る。蛍光顕微鏡検査法を用いる代替のアッセイが、(フローサイトメトリーアッセイに加えて、またはその代わりに)使用され得る。細胞は、正確に上に記載されるように染色され得、そして蛍光顕微鏡検査法によって試験され得る。この方法は、個々の細胞の視覚化を可能とするが、抗原の密度に依存して減少した感度を有し得る。【0133】抗−CTLA−4ヒトIgGを、ウエスタンブロットによってCTLA−4抗原との反応性についてさらに試験し得る。簡潔には、CTLA−4を発現する細胞由来の細胞抽出物を、調製し、そしてドデシルスルフェートポリアシルアミドナトリウムゲル電気泳動に供した。電気泳動後に、分離した抗原をニトロセルロース膜に移し、10%の胎児子ウシ血清で遮断し、そして試験されるべきモノクローナル抗体を用いて精査した。ヒトIgG結合を、抗ヒトIgGアルカリンホスファターゼを使用して検出し、そしてBCIP/NBT基質タブレット(Sigma Chem.Co.,St.Louis,MO)を用いて展開し得る。【0134】(ヒトモノクローナル抗−CTLA−4抗体を産生するトランスジェニック非ヒト抗体の産生)本発明はまた、トランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)を提供し、このマウスは、CTLA−4に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を発現し得る。高い親和性のヒト配列抗体がまた、提供される。数匹のトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)は、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する。数匹のトランスジェニック非ヒト動物を、CTLA−4抗原および/またはCTLA−4を発現する細胞の精製または富化された調製物で免疫化する。数匹のトランスジェニック非ヒト動物は、V−D−J組換えおよびアイソタイプスイッチングを受けることによってCTLA−4に対するヒトモノクローナル抗体の複数のアイソタイプ(例えば、IgG、IgAおよび/またはIgE)を産生し得る。アイソタイプスイッチングは、例えば、古典的または非古典的なアイソタイプスイッチングによって起こり得る。【0135】異種の抗体レパートリーを用いる、外来の抗原刺激に対して応答するトランスジェニック非ヒト動物の設計は、トランスジェニック動物内に含まれる異種の免疫グロブリン導入遺伝子が、B細胞の展開の経路全体にわたって正確に機能することを必要とする。数匹のマウスにおいて、異種の重鎖導入遺伝子の正確な機能は、アイソタイプスイッチングを含む。従って、本発明の導入遺伝子は、アイソタイプスイッチングおよび以下の1以上を産生するように構築される:(1)高レベルおよび細胞型特異的発現、(2)機能的遺伝子の再配列、(3)対立遺伝子排除の活性化およびそれに対する応答、(4)十分な主なレパートリーの発現、(5)シグナル導入、(6)体細胞の過剰変異、および(7)免疫応答の間の導入遺伝子抗体遺伝子座の支配。【0136】前述の判断基準の全てが、満たされる必要はない。例えば、トランスジェニック動物の内因性免疫グロブリン遺伝子座が機能的に崩壊されるトランスジェニック動物において、導入遺伝子が、対立遺伝子排除を活性化する必要はない。さらに、導入遺伝子が機能的に再配列された重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン遺伝子を含む、導入遺伝子動物において、機能的な遺伝子再配列の第2の判断基準は、少なくとも既に再配列されている導入遺伝子について必要ではない。分子免疫学の背景について、例えば、Fundamental Immunology,第4版(1998),Paul,William E.,編、Lippencott−Raven Press,N.Y.を参照のこと。【0137】数匹のトランスジェニック非ヒト動物を使用して、トランスジェニック動物の生殖系列において、再配列された異質免疫グロブリン、再配列されていない異質免疫グロブリン、または再配列された異質免疫グロブリンと再配列されていない異質免疫グロブリンとの組み合わせの重鎖および軽鎖導入遺伝子を含む本発明のヒトモノクローナル抗体を産生した。重鎖導入遺伝子の各々は、少なくとも1つのCH遺伝子を含む。さらに、重鎖導入遺伝子は、機能的なアイソタイプスイッチ配列を含み得、これは、トランスジェニック動物のB細胞中の複数のCH遺伝子をコードする異質導入遺伝子のアイソタイプスイッチングを支持し得る。このようなスイッチ配列は、導入遺伝子CH遺伝子の供給源として役割を果たす種由来の生殖系列免疫グロブリン遺伝子座中に天然に存在する配列であり得るか、またはこのようなスイッチ配列は、導入遺伝子構築物を受容する種(トランスジェニック動物)に存在する配列由来であり得る。例えば、トランスジェニックマウスを産生するために使用されるヒト導入遺伝子構築物は、マウス重鎖遺伝子座に天然に存在する配列と同じスイッチ配列を取り込む場合でさえ、より高い頻度でアイソタイプスイッチング事象を産生し得、おそらく、マウスのスイッチ配列は、マウススイッチリコンビナーゼ酵素系で機能するように最適化されるが、ヒトスイッチ配列はそうではない。スイッチ配列は、従来のクローニング方法によって単離およびクローニングされ得るか、免疫グロブリンスイッチ領域配列に関連する、公開された配列情報に基づいて設定された、オーバーラップ合成オリゴヌクレオチドから新たに合成され得る(Millsら、Nucl.Acids Res,15:7305−7316(1991);Siderasら、Intl.Immunol.1:631−642(1989))。【0138】前述のトランスジェニック動物の各々について、機能的に再配列された異質重鎖および軽鎖免疫グロブリン導入遺伝子は、トランスジェニック動物のB細胞の有意なフラクションにおいて見出される(少なくとも10%)。【0139】本発明のトランスジェニック動物を産生するために使用される導入遺伝子は、少なくとも1つの可変遺伝子セグメント、少なくとも1つの多様性遺伝子セグメント、少なくとも1つの結合している遺伝子セグメントおよび少なくとも1つの定常領域遺伝子セグメントをコードするDNAを含む重鎖導入遺伝子を含む。免疫グロブリンの軽鎖導入遺伝子は、少なくとも1つの可変遺伝子セグメント、少なくとも1つの結合している遺伝子セグメントおよび少なくとも1つの定常領域遺伝子セグメントをコードするDNAを含む。この軽鎖および重鎖遺伝子セグメントをコードする遺伝子セグメントは、トランスジェニック非ヒト動物と異質であり、このセグメントは、トランスジェニック非ヒト動物を含まない種由来の免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子セグメントをコードするDNAから誘導されるか、またはそれに対応している。本発明の1つの局面において、導入遺伝子は、個々の遺伝子セグメントが再配列されように構築される(すなわち、機能的免疫グロブリン軽鎖または重鎖をコードするように再配列されない)。このような再配列されていない導入遺伝子は、V,D,およびJ遺伝子セグメントの組換え(機能的組換え)を支持し、そして、好ましくは、CTLA−4抗原に曝された場合に、トランスジェニック非ヒト動物内で、得られた再配列された免疫グロブリン重鎖中のD領域遺伝子セグメントの全てまたは一部の取り込みを支持する。【0140】このような導入遺伝子は、代表的に、C、D、およびJセグメントの実質的な部分およびV遺伝子セグメントのサブセットを含む。このような導入遺伝子構築物中で、種々の調節配列(RNA処理のための、例えば、プロモーター、エンハンサー、クラススイッチ領域、スプライスドナーおよびスプライスアクセプター配列)、組換えシグナルなどは、異種DNA由来の対応する配列を含む。このような調節配列は、本発明において使用される非ヒト動物または非ヒト動物に関連する種から導入遺伝子に取り込まれ得る。例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、トランスジェニックマウスでの使用のために、げっ歯類の免疫グロブリンエンハンサー配列を用いて導入遺伝子に組み込まれ得る。あるいは、合成的調節配列は、導入遺伝子に取り込まれ得、ここで、このような合成調節配列は、哺乳動物のゲノム中に天然に存在することで公知の機能的DNA配列と同質ではない。合成調節配列は、例えば、スプライスアクセプター部位またはプロモーター/エンハンサーモチーフの許容配列を特定するような、コンセンサスルールに従って設計される。この導入遺伝子は、最小の遺伝子座を含み得る。【0141】CTLA−4に対してヒト抗体を産生するために使用される数匹のトランスジェニック動物は、米国特許第5,770,429号の実施例37に記載される少なくとも1、代表的には2〜10、そして時々25〜50以上の導入遺伝子のコピー、または以下の実施例2に記載される導入遺伝子(例えば、HCo12)、米国特許第5,770,429号の実施例38に記載される軽鎖導入遺伝子の少なくとも1つのコピー、以下の実施例1に記載されるCmu欠失の2つのコピー、および米国特許第5,770,429号の実施例9に記載されるJkappa欠失の2つのコピーを含む。得られた動物に抗原を注射し、そしてこれらの抗原に対するヒトモノクローナル抗体の産生のために使用される。【0142】数匹のトランスジェニック動物は、ネイティブマウスと理想的に実質的に同一である有意なレパートリーを有する、免疫グロブリン産生を示す。従って、例えば、内因性Ig遺伝子が不活性である動物の全免疫グロブリンレベルは、約0.1〜約10mg/mlの血清の範囲である。【0143】トランスジェニックマウスによって発現される免疫グロブリンは、代表的に、約半分以上の高い抗原タンパク質(例えば、ブドウ球菌タンパク質A)を認識する。代表的に、この免疫グロブリンは、抗原に対して、少なくとも約107M-1、108M-1、109M-1、1010M-1、1011M-1、1012M-1、1013M-1以上の予め選択された結合定数を示す。【0144】本発明のトランスジェニックマウスは、上記のように、ヒトCTLA−4抗原の精製または富化調製物(またはその抗原フラグメント)および/またはヒトCTLA−4を発現する細胞を用いて免疫化され得る。このマウスは、導入遺伝子内のスイッチ組換え(シス−スイッチング)を介してクラススイッチングを受けるB細胞を産生し、そしてCTLA−4と反応性である免疫グロブリンを発現する。免疫グロブリンは、ヒト配列抗体であり得、ここで、重鎖および軽鎖ポリペプチドは、ヒト導入遺伝子配列によってコードされ、この配列は、体細胞変異およびV領域組換え結合部ならびに生殖系列コード配列によって誘導される配列を含み得;これらのヒト配列免疫グロブリンは、他の生殖系列非配列が、体細胞変異ならびに異なるV−JおよびV−D−J組換え結合の結果として存在し得る場合でさえ、ヒトVLまたはVH遺伝子セグメントおよびヒトJLまたはJHセグメントによってコードされるポリペプチド配列と実質的に同一であると言われ得る。このようなヒト配列抗体に関して、ヒト生殖系列V,Jおよび重鎖の場合、D遺伝子セグメントによってコードされた、各鎖の可変領域は、代表的に少なくとも80%であり;頻繁に、少なくとも85%の可変領域は、導入遺伝子上に存在するヒト生殖系列配列によってコードされ;しばしば、90または95%以上の可変領域配列が、導入遺伝子上に存在するヒト生殖系列配列によってコードされる。しかし、非生殖系列配列は、体細胞変異ならびにVJおよびVDJ結合によって導入されるので、ヒト配列抗体は、頻繁に、数種の可変領域配列(および、頻繁ではないが、定常領域配列)を有し、これは、マウスの生殖系列のヒト導入遺伝子において見出される場合、ヒトV,D,またはJ遺伝子セグメントによってコードされる。代表的に、このような非生殖系列配列(または個々のヌクレオチド部分)は、CDR中にもしくはその近く、または体細胞変異が群がることで公知の領域において群がる。【0145】所定の抗原と結合するヒト配列抗体は、アイソタイプスイッチングから得られ得、ヒト配列γ鎖(例えば、γ1、γ2、γ3、またはγ4)およびヒト配列軽鎖(例えば、κまたはλ)を含むヒト抗体は、産生される。このようなアイソタイプスイッチされたヒト配列抗体は、特に続く第2(すなわち配列)抗原チャレンジに対する特定の配列に対して、抗原による親和性成熟およびB細胞の選択の結果として、しばしば、代表的に可変領域中およびCDRの約10残基にまたはその残基内に、1以上の体細胞変異を含む。いくつかの高親和性ヒト配列抗体は、少なくとも約1×107M-1、または少なくとも約1×108M-1、または少なくとも約1×109M-1、または約1×109M-1より多く、あるいは5×109M-1から1×1011M-1以上の平衡結合定数を有する。【0146】本発明の別の局面は、高親和性(例えば、107M-1より高い結合定数を有する)でCTLA−4に結合するヒトモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを産生するために使用され得るマウス由来のB細胞に関連する。これらのハイブリドーマを使用して、CTLA−4との結合に関する少なくとも107M-1の結合定数(Ka)を有する免疫グロブリンを含む組成物を産生するために使用される。このような免疫グロブリンは、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域から構成されるヒト配列軽鎖を含み、この軽鎖可変領域は、ヒトVkまたはVλ遺伝子セグメントおよびJkまたはJλセグメントによってコードされたポリペプチド配列と実質的に同一であるポリペプチド配列を有し、そしてこの軽鎖定常領域は、ヒトCkまたはCλセグメントによってコードされるポリペプチド配列と実質的に同一であるポリペプチド配列を有する。これはまた、重鎖可変領域および定常領域からなるヒト配列重鎖を含み、この重鎖可変領域は、ヒトVH遺伝子セグメント、必要に応じてD領域、およびヒトJHセグメントによってコードされるポリペプチド配列と実質的に同一であるポリペプチド配列を有し、そしてこの重鎖定常領域は、ヒトCH遺伝子セグメントによってコードされるポリペプチド配列と実質的に同一であるポリペプチド配列を有する。【0147】本発明はまた、別の機能性分子(例えば、別のペプチドもしくはタンパク質(上記のような例えば、サイトカイン、細胞毒性薬剤、免疫刺激性薬剤もしくは阻害薬剤、Fabフラグメントなど))に対して誘導体化または連結するヒトCTLA−4に対する、ヒトモノクローナル抗体およびヒト配列抗体を提供し、複数の結合部位または標的エピトープに結合する二重特異性または多重特異性分子を産生する。例えば、本発明の抗体または抗原結合部分は、(例えば、化学的結合、遺伝子的融合、非共有結合などによって)1以上の他の結合分子(例えば、別の抗体、抗体フラグメント、ペプチドまたは結合模倣物)に機能的に連結され得る。【0148】従って、本発明は、ヒトCTLA−4に対する第1結合特性および第2標的エピトープに対する第2結合特性を有する少なくとも1つのヒト配列抗体または抗原結合フラグメントを含む、二重特異性または多重特異性組成物を含む。この第2標的エピトープは、Fcレセプター(例えば、ヒトFcγRIまたはヒトFcγレセプター)であり得る。従って、本発明は、エフェクター細胞(例えば、モノサイト、マクロファージまたは多形核細胞(PMN))を発現するFcγR1、FcγRまたはFcεRと、ヒトCTLA−4を発現する標的細胞との両方に結合し得る二重特異性および多重特異性分子を含む。これらの複数の特異的(例えば、二重特異性または多重特異性)分子は、ヒトCTLA−4発現細胞をエフェクター細胞に対して標的し、Fcレセプター媒体エフェクター細胞の活性(例えば、ヒトCTLA−4発現細胞の貪食作用、抗体依存性細胞媒体細胞傷害(ADCC)、サイトカインの放出、またはスーパーオキシドアニオンの産生)を捕捉する。【0149】本発明の二重特異性分子および多重特異性分子は、少なくとも1つの抗体またはその抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(Ab’)2、Fvまたは一本鎖Fvを含む)への結合特異性を有する。この抗体は、軽鎖または重鎖のダイマー、あるいはそれらの任意の最小のフラグメント(例えば、Ladnerらの米国特許第4,946,778号に記載されるようなFvまたは一本鎖構築物)であり得る。本発明の二重特異性分子および多重特異性分子は、FcγRまたはエフェクター細胞の表面上に存在するFcγRに対する結合特異性、および標的細胞抗原(例えば、ヒトCTLA−4)に対する第二の結合特異性を含み得る。【0150】Fcレセプターに対する結合特異性は、モノクローナル抗体によって提供され、その結合は、ヒト免疫グロブリンG(IgG)によってブロックされない。本明細書中で使用される場合、用語「IgGレセプター」は、第1染色体上に位置する8つのγ鎖遺伝子のいずれかをいう。これらの遺伝子は、合計で、12個の膜貫通または可溶性レセプターアイソフォームをコードし、これらは、3つのFcγレセプターのクラスに分類される:FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)。例えば、Fcγレセプターは、ヒト高親和性FcγRIであり得る。ヒトFcγRIは、72kDaの分子であり、これは、モノマーIgGに対する高い親和性(108〜109M-1)を示す。【0151】これらの好ましいモノクローナル抗体の産生および特徴付けは、PCT出願公開WO 88/00052および米国特許第4,954,617号において、Fangerらによって記述される。これらの抗体は、レセプターのFcγ結合部位とは異なる部位において、FcγRI、FcγRIIまたはFcγRIIIのエピトープに結合し、従って、それらの結合は、生理学的レベルのIgGによって、実質的にブロックされない。本発明において有用な特定の抗FcγRI抗体は、MAb 22、MAb 32、MAb 44、MAb 62およびMAb 197である。MAb 32を産生するハイブリドーマは、American Type Culture Collection(ATCC登録番号HB9649)から入手可能である。抗FcγRI MAb 22、MAb 22のF(ab’)フラグメント、は、Medarex,Inc(Annandale,N.J.)から得られ得る。他の実施形態において、抗Fcγレセプター抗体は、モノクローナル抗体22(H22)のヒト化形態である。H22抗体の産生および特徴付けは、Graziano(1995)J.Immunol 155:4996−5002およびPCT/US93/10384に記載される。細胞株を産生するH22抗体は、表記HA022CL1でAmerican Type Culture Collectionに、1992年11月4日に寄託され、登録番号CRL 11177を有する。【0152】Fcレセプターに対する結合特異性はまた、ヒトIgAレセプター(例えば、Fc−αレセプター(FcαR(CD89)))に結合する抗体によって提供され得る。好ましくは、この抗体は、内因性IgAによってブロックされない部位でヒトIgAレセプターに結合する。用語「IgAレセプター」は、第19染色体上に配置される1つのα−遺伝子(FcαRI)の遺伝子産物を含むことが意図される。この遺伝子は、55〜110kDaのいくつかの代替的にスプライスされた膜貫通アイソフォームをコードすることが示されている。FcαRI(CD89)は、単球/マクロファージ、好酸性顆粒球および好中球性顆粒球上で恒常的に発現されるが、非エフェクター細胞集団上では発現されない。FcαRIは、IgA1およびIgA2の両方に対して、中程度の親和性(約5×107M-1)を有し、これは、サイトカイン(例えば、G−CSFまたはGM−CSF)への曝露の際に増加する(Morton(1996)Critical Reviews in Immunology 16:423−440)。4つのFcαRI特異的モノクローナル抗体(A3、A59、A62およびA77として同定され、これらは、IgAリガンド結合ドメインの外側のFcαRIに結合する)は、Monteiro(1992)J.Immunol.148:1764によって記載されている。【0153】本発明の二重特異性分子または多重特異性分子は、さらに、標的細胞抗原(例えば、ヒトCTLA−4)を認識する(例えば、結合する)、結合特性を含み得る。この結合特異性は、本発明のヒト配列抗体またはヒトモノクローナル抗体によって提供される。【0154】本明細書中で使用されるような「エフェクター細胞特異的抗体」は、エフェクター細胞のFcレセプターに結合する抗体または機能的抗体フラグメントをいう。本発明における使用のための好ましい抗体は、内因性免疫グロブリンによって結合されない部位で、エフェクター細胞のFcレセプターを結合する。【0155】本明細書中で使用される場合、用語「エフェクター細胞」は、免疫応答の認識段階および活性化段階とは対照的に、免疫応答のエフェクター段階に関係する免疫細胞をいう。例示的な免疫細胞としては、骨髄起源またはリンパ起源の細胞(例えば、リンパ球(例えば、細胞溶解生T細胞(CTL)を含むB細胞およびT細胞))、キラー細胞、天然のキラー細胞、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、多形核細胞、顆粒球、肥胖細胞、および好塩基性細胞が挙げられる。エフェクター細胞は、特定のFcレセプターを発現し、そして特定の免疫機能を実施する。エフェクター細胞は、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)を誘導し得る(例えば、ADCCを誘導し得る好中球)。例えば、FcαRを発現する、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、およびリンパ球は、標的細胞の特異的殺傷および免疫系の他の成分に対する抗原の提示、または抗原を提示する細胞への結合に関連する。エフェクター細胞はまた、標的抗原、標的細胞、または微生物を貪食し得る。【0156】エフェクター細胞上での特定のFcRの発現は、サイトカインのような体液性因子によって制御され得る。例えば、FcγRIの発現は、インターフェロンγ(IFN−γ)によって上方制御され得る。この増強された発現は、標的細胞に対するFcγRI保有細胞によって、細胞傷害生活性(例えば、貪食作用を含む)を増加させる。【0157】「標的細胞」は、組成物(例えば、本発明のヒト配列抗体またはヒトモノクローナル抗体、本発明の二重特異性または多重特異性分子)によって、標的化され得る、被験体(例えば、ヒトまたは動物)中の任意の所望されない細胞を意味する。標的細胞は、ヒトCTLA−4を発現または過剰発現する細胞であり得る。ヒトCLTA−4を発現する細胞は、腫瘍細胞(例えば、リンパ腫)を含み得る。【0158】本発明のヒト配列抗体およびヒトモノクローナル抗体に加えて、他の抗体が、本発明の二重特異性または多重特異性分子において使用され得、例えば、ネズミの、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体を含む。【0159】キメラマウス−ヒトモノクローナル抗体(すなわち、キメラ抗体)は、当該分野で公知の組換えDNA技術によって生成され得る。例えば、ネズミ(または他の種)モノクローナル抗体分子のFc定常領域は、制限酵素を用いて消化されて、ネズミFcをコードする領域を除去し、そしてヒトFc定常領域をコードする遺伝子の等価な部分が置換される。(例えば、Robinsonら,International Patent Publication PCT/US86/02269;Akiraら、European Patent Publication 184,187;Taniguchi,M.,European Patent Application 171,496;Morrisonら,European Patent Application 173,494;Neubergerら,International Application WO 86/01533;Cabillyら,米国特許第4,816,567号;Cabillyら,European Patent Application 125,023;Better(1988)Science 240:1041−1043;Liu(1987)PNAS 84:3439−3443;Liu(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sun(1987)PNAS 84:214−218;Nishimura(1987)Canc.Res.47:999−1005;Wood(1985)Nature 314:446−449;Shaw(1998)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559を参照のこと)。【0160】キメラ抗体は、ヒトFv可変領域由来の等価配列と結合する抗原に直接は関連しないFv可変領域の配列を置き換えることによって、さらにヒト化され得る。ヒト化キメラ抗体の一般的な概説は、Morrison(1985)Science299:1202−1207およびOi(1986)BioTechniques 4:214によって提供される。これらの方法は、重鎖または軽鎖のうちの少なくとも1つからの免疫グロブリンFv可変領域の全てまたは一部をコードする核酸配列を、単離、操作、および発現する工程を包含する。このような核酸の供給源は、当業者に周知であり、そして例えば、7E3、抗GPIIbIIIa抗体産生ハイブリドーマから得られる。次いで、キメラ抗体またはそのフラグメントをコードする組換えDNAは、適切な発現ベクターにクローニングされ得る。適切なヒト化抗体は、代替的に、CDR置換によって産生され得る。米国特許第5,225,539号;Jones(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyanら、1998 Science 239:1534;およびBeidler(1998)J.Immunol.141:4053−4060。【0161】特定のヒト抗体のCDRの全ては、非ヒトCDRの少なくとも一部分で置換され得るか、またはCDRのいくつかのみが、非ヒトCDRで置換され得る。Fcレセプターへのヒト化抗体の結合のために必要とされるCDRの数を置き換えることが必要となるのみである。抗体は、任意の方法によってヒト化され、これは、非ヒト抗体由来のCDRを有するヒト抗体のCDRの少なくとも一部分を置換し得る。Winterは、本発明のヒト化抗体を調製するために使用され得る方法を記述する。英国特許出願GB 2188638A(1987年3月26日出願)を参照のこと。ヒトCDRは、例えば、WO 94/10332、表題「Humanized Antibodies to Fc Receptors for Immunoglobulin G on Human Mononuclear Phagocytes」に記載される、オリゴヌクレオチド部位指向性変異誘発を使用して非ヒトCRで置換され得る。【0162】特定のアミノ酸が置換、欠失または付加されているキメラ抗体およびヒト化抗体はまた、本発明の範囲内である。例えば、ヒト化抗体は、例えば、抗原への結合を改善するためにフレームワーク領域内でアミノ酸置換を有し得る。マウスCDRを有するヒト化抗体において、ヒトフレームワーク領域内に配置されたアミノ酸は、マウス抗体の対応する位置に配置されたアミノ酸で置換され得る。このような置換は、公知であり、いくつかの例においてヒト化抗体の抗原への結合を改善する。アミノ酸が付加、欠失または置換された抗体は、本明細書中に改変抗体または変更抗体といわれる。【0163】本発明の二重特異性分子および多重特異性分子はさらに、抗Fc結合特異性および抗ヒトCTLA−4結合特異性に加えて第3の結合特異性を含み得る。第3の結合特異性は、抗増強因子(EF)部分(例えば、細胞傷害活性に関与する表面タンパク質へ結合し、それによって標的細胞に対する免疫応答を増加する分子)であり得る。「抗増強因子部分」は、抗体、機能抗体フラグメント、または所定の分子(例えば、抗原またはレセプター)へ結合し、それによってFcレセプターまたは標的細胞抗原に対する結合決定基の効果の増強を引き起こすリガンドであり得る。「抗増強因子部分」は、Fcレセプターまたは標的細胞抗原に結合し得る。あるいは、抗増強因子部分は、第1および第2の結合特異性が結合する実体とは異なる実体に結合し得る。例えば、抗増強因子部分は、例えば、CD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD40、ICAM−1または標的細胞に対する増加した免疫応答に関与する他の免疫細胞分子を介して細胞傷害性T細胞を結合し得る。【0164】本発明の二重特異性分子および多重特異性分子は、化学技術(例えば、Kranz(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:5807を参照のこと)、「ポリドーマ(polydoma)」技術(例えば、米国特許第4,474,893号を参照のこと)、または組換えDNA技術を用いて作製され得る。本発明の二重特異性分子および多重特異性分子はまた、当該分野で公知の方法および本明細書中に記載されるような方法を用いて、成分結合特異性(例えば、抗FcRおよび抗ヒトCTLA−4結合特異性)を結合することによって調製され得る。例えば、二重特異性分子および多重特異性分子の各結合特異性は、別々に作製され得、次いで、互いに結合され得る。結合特異性がタンパク質またはペプチドである場合、種々のカップリング剤または架橋剤が、共有結合のために使用され得る。架橋剤の例としては、プロテインA、カルボジイミド、N−スクシンイミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、およびスルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)(例えば、Karpovsky(1984)J.Exp.Med.160:1686;Liu(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8648を参照のこと)が挙げられる。他の方法としては、Paulus(Behring Ins.Mitt.(1985)No.78、118−132;Brennan(1985)Science 229:81−83)、Glennie(1987)J.Immunol.139:2367−2375)によって記載されるものが挙げられる。他の結合剤は、SATAおよびスルホ−SMCCであり、これらの両方は、Pierce Chemical Co.(Rockford,IL)から入手可能である。【0165】結合特異性が抗体(例えば、2つのヒト化抗体)である場合、これらは、この2つの重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合を介して結合され得る。このヒンジ領域は、結合体化の前に、奇数(例えば、1)のスルフヒドリル残基を含むために改変され得る。【0166】あるいは、両方の結合特異性は、同じベクターでコードされ、そして同じ宿主細胞で発現され、集合され得る。この方法は、二重特異性分子および多重特異性分子がMAb×MAb、MAb×Fab、Fab×F(ab’)2またはリガンド×Fab融合タンパク質である場合、特に有用である。本発明の二重特異性分子および多重特異性分子(例えば、二重特異性分子)は、一本鎖二重特異性抗体のような一本鎖分子、1つの一本鎖抗体および1つの結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子、または2つの結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子であり得る。二重特異性分子および多重特異性分子はまた、一本鎖分子であってもよいし、または少なくとも2つの一本鎖分子を含んでもよい。二重特異性分子および多重特異性分子を調製するための方法は、例えば、以下に記載される:米国特許第5,260,203号;米国特許第5,455,030号;米国特許第4,881,175号;米国特許第5,132,405号;米国特許第5,091,513号;米国特許第5,476,786号;米国特許第5,013,653号;米国特許第5,258,498号;および米国特許第5,482,858号。【0167】二重特異性分子および多重特異性分子のその特定の標的への結合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、またはウエスタンブロットアッセイによって確認され得る。これらのアッセイの各々は、一般的に、特に目的のタンパク質−抗体複合体の存在を、目的の複合体に特異的な標識試薬(例えば、抗体)を用いることによって検出する。例えば、FcR抗体複合体は、例えば、酵素結合抗体または抗体−FcR複合体を認識して特異的に結合する抗体フラグメントを用いて検出され得る。あるいは、この複合体は、任意の種々の他の免疫アッセイを用いて検出され得る。例えば、抗体は、放射性に標識され得、そしてラジオイムノアッセイ(RIA)に使用され得る(例えば、Weintraub,B.、Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques、The Endocrine Society、1986年3月(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。放射性同位体は、γカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用のような手段によって、またはオートラジオグラフィーによって検出され得る。【0168】改変抗体がまた、本発明に含まれる。用語「改変抗体」としては、例えば、抗体の一部を欠失、付加または置換することによって改変された、モノクローナル抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体のような抗体が挙げられる。例えば、抗体は、定常領域を欠失し、そしてこれを半減期(例えば、血清半減期)、抗体の安定性または親和性を増加する定常領域を用いて置換することによって、改変され得る。【0169】本発明の抗体結合体を使用して、所定の生物学的応答を改変、または生物学的応答(例えば、エフェクター細胞をリクルートする)を作製し得る。薬物部分は、古典的化学治療剤に限定されるように構築されない。例えば、この薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、以下が挙げられ得る:酵素学的に活性な毒素、またはその活性なフラグメント(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素);腫瘍壊死因子またはインターフェロンαのようなタンパク質;あるいは、例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)または他の増殖因子のような生物学的応答改変因子。【0170】このような治療部分を抗体へ結合体化するための技術は、周知であり、例えば、Arnonら「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeldら(編)243−56頁(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstromら「Antibodies For Drug Delivery」Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)623−53頁(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)475−506頁(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)303−16頁(Academic Press 1985)、およびThorpeら「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」Immunol.Rev.,62:119−58(1982)を参照のこと。【0171】(薬学的組成物)本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に処方されたヒトモノクローナル抗体および/またはヒト配列抗体(インタクトまたは結合フラグメント)を1つまたはこれらの組み合わせを含む薬学的組成物を提供する。いくつかの組成物としては、本発明の複数(例えば、2つ以上)の単離されたヒト抗体および/もしくはヒト配列抗体またはこれらの抗原結合部分の組み合わせが挙げられる。いくつかの組成物において、この組成物の各抗体またはその抗原結合部分は、異なる予め選択されたヒトCTLA−4のエピトープに結合するモノクローナル抗体またはヒト配列抗体である。【0172】(A.有効投薬量)投薬レジメンが調整されて、最適な所望の応答(例えば、治療応答)が提供される。例えば、単一ボーラスが投与され得るか、数回分けられた用量が長い時間で投与され得るか、またはこの用量は、治療状況の緊急性によって示されるように、比例して減少または増加され得る。非経口組成物を投与の容易さのためおよび投薬量の均一性のための投薬量単位で処方することが、特に有利である。本明細書中に使用されるような投薬単位形態は、処置される被験体に対してまとまった投薬量として適した物理的に分離された単位をいい:各単位は、必要とされる薬学的キャリアと関連する所望の治療効果を生成するために計算された予め決定された量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態に関する詳細は、(a)活性な化合物および活性化される特定の治療効果の特有の特徴、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにこのような活性化合物を調合する際の当該分野において固有の限定によって規定されるかまたはこれらに直接依存する。【0173】薬学的に受容可能な抗酸化剤の例としては:(1)水溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、システインハイドロクロライド、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど);(2)油溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レクチン、プロピル没食子酸塩、α−トコフェノールなど);ならびに(3)金属キレート剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)が挙げられる。【0174】選択された投与経路に関わらず、本発明の化合物(これは、適切な水和形態で使用され得る)および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の慣用的な方法によって薬学的に受容可能な投薬形態に処方される。【0175】本発明の薬学的組成物中の実際の活性成分投薬量レベルは、患者に対して毒性であることなく、活性成分量(これは、特定の患者、組成物および投与形態に対する所望の治療応答を達成するのに有効である)を得るために変更され得る。この選択された投薬量レベルは、種々の薬物動態学的因子に依存し、この薬物動態学的因子としては、以下が挙げられる:使用される本発明の特定の組成物またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排出速度、処置期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用された他の薬物、化合物および/もしくは物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康および以前の病歴などの因子。【0176】医師または獣医師は、薬学的組成物中に使用される本発明の化合物の用量を、所望される治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルで開始し得、そして徐々に所望の効果が達成されるまでこの投薬量を増化し得る。一般的に、本発明の組成物の適切な日用量は、治療効果を生成するのに効果的な最も低い用量の化合物量である。このような有効用量は、一般的に、上記の因子に依存する。投与が静脈内投与、筋内投与、腹腔内投与、または皮下投与であるか、あるいは標的部位の近位に投与されることが好ましい。所望する場合、治療化合物の有効日用量は、日中を通じて適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6回以上の副用量として、必要に応じて、単位投薬形態で投与され得る。本発明の化合物が単独で投与されることが可能なので、薬学的処方物(組成物)としてこの化合物を投与することが好ましい。【0177】本明細書中に記載される免疫関連状態および疾患の処置に関する本発明の組成物の有効用量は、多くの異なる因子(投与手段、標的部位、患者の生理学的状態;この患者がヒトまたは動物であるかどうか、投与される他の医薬、ならびに処置が予防的であるかまたは治療的であるかを含む)に依存して変化する。処置投薬量は、安全性および効果を最適化するために滴定されることが必要である。【0178】抗体の投与について、投与量は、宿主体重の約0.0001〜100mg/kg、そしてより通常には、0.01〜5mg/kgの範囲である。例えば、投与量は、1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重、または1〜10mg/kgの範囲内であり得る。例示的な処置レジームは、毎2週当たり一回、または1ヶ月に一回または毎3〜6ヶ月に一回の投与を必要とする。いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2以上のモノクローナル抗体が同時に投与され、この場合、投与された各抗体の投与量は、示された範囲内に入る。抗体は、通常、複数時に投与される。単回投与間の間隔は、毎週、毎月または毎年であり得る。間隔はまた、患者におけるCTLA−4に対する抗体の血中レベルを測定することにより示されるように、不規則である。いくつかの方法では、投与量は、1〜1000μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整され、そしていくつかの方法では、25〜300μg/mlである。あるいは、抗体は、持続性放出処方物として投与され得る。この場合、わずかな頻度の投与しか必要とされない。投与量および頻度は、患者における抗体の半減期に依存して変化する。一般に、ヒト抗体が最長の半減期を示し、次いでヒト化抗体、キメラ抗体そして非ヒト化抗体である。投与の投与量および頻度は、処置が予防的であるかまたは治療的であるかに依存して変化し得る。予防的適用においては、比較的低い投与量が、長期の時間にわたり比較的頻度の低い間隔で投与される。いくらかの患者は、彼らの余生にわたって処置を受け続ける。治療的適応においては、比較的短い間隔での比較的高い投与量が時折、疾患の進行が減少するかまたは停止するまで、そして好ましくは、患者が疾患の症状の部分的または完全な寛解を示すまで必要とされる。その後、患者は、予防的レジームを投与され得る。【0179】免疫原をコードする核酸の投与量は、患者当たり、約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、または30〜300μgのDNAの範囲である。感染性ウイルスベクターについての投与量は、1投与あたり10から100以上のビリオンに変化する。【0180】本発明のいくつかのヒト配列抗体およびヒトモノクローナル抗体は、インビボでの適切な分布を確実にするために処方され得る。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの非常に親水性の化合物を含む。本発明の治療的化合物が(所望の場合に)BBBを通過することを確実にするために、これらは、例えば、リポソーム中に処方され得る。リポソームを製造するための方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;同第5,374,548号;および同第5,399,331号を参照のこと。リポソームは、特定の細胞または器官へ選択的に輸送され、従って標的化薬物送達を促進する1以上の部分を含み得る(例えば、V.V.Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685を参照のこと)。例示的な標的化部分としては、フォレート(folate)またはビオチン(例えば、Lowへの米国特許第5,416,016号を参照のこと);マンノシド(Umezawaら(1988)Biochem.Biophys,Res.Commun.153:1038);抗体(P.G.Bloemanら(1995)FEBS Lett.357:140;M.Owaisら(1995)Antimicrob.Agents Chemther.39:180);界面活性剤(surfactant)プロテインAレセプター(Briscoeら(1995)Am.J.Physiol.1233:134)(これらの異なる種が本発明の処方物、および発明の分子の成分を含み得る);p120(Schreierら(1994)J.Biol.Chem.269:9090;K.Keinanen;M.L.Laukkanen(1994)FEBS Lett.346:123;J.J.Killion;I.J.Fidler(1994)Immunomethods 4:273をも参照のこと)が挙げられる。いくつかの方法では、本発明の治療的化合物は、リポソーム中に処方され得る;より好ましい実施形態では、リポソームは、標的部分を含む。いくつかの方法では、リポソーム中の治療化合物は、腫瘍または感染に近位の部位にボーラス注入により送達される。組成物は、容易に注射可能に存在する程度に流体であるべきである。組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の混入作用に対して保護されるべきである。【0181】治療的適用について、薬学的組成物は、確立された疾患に罹患している患者にさらなる発症を阻止するかもしくは阻害するか、または疾患、その症状もしくは生物学的マーカーを後退させるかもしくは除去するに十分な量で投与される。予防的な適用について、薬学的組成物は、疾患に対して感受性であるかまたは疾患の危険にある患者に、疾患、その症状または生物学的マーカーの発症を遅延するか、阻害するかまたは予防するに十分な量で投与される。このことを達成するに適切な量は、「薬学的に有効な用量(治療有効量)」または「予防的に有効な用量(予防有効量)」として規定される。投与量は、処置される疾患、被検体のサイズ、被検体の症状の重症度、および選択された投与の具体的な組成物または経路に依存する。具体的には、腫瘍の処置において、「治療的に有効な量」は、未処置被検体と比較して、少なくとも約20%、または少なくとも約40%、または少なくとも約60%、または少なくとも約80%、腫瘍増殖を阻害し得る。癌を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における推定の効力を、動物モデル系で評価され得る。あるいは、この組成物の特性は、従来のインビトロでのアッセイにより阻害する化合物の能力を試験することにより評価され得る。治療的に有効な量の治療的化合物は、腫瘍サイズを減少させ得、またはそうでなければ、被検体における症状を寛解する。【0182】組成物は、この組成物がシリンジにより送達可能である程度に滅菌および流体であるべきである。水に加えて、キャリアは、等張緩衝化生理食塩水溶液、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレン(polyetheylene)グリコールなど)、およびそれらの適切な混合物であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散の場合には必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持され得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)、および塩化ナトリウム)を組成物中に含むことは好ましい。注射可能な組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延する薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチン)を含むことにより実行され得る。【0183】上記のように活性な化合物が安定に保護される場合、その化合物は、例えば、不活性な希釈剤または吸収可能な食用キャリアと共に経口投与され得る。【0184】(B.投与の経路)本発明の薬学的組成物はまた、併用療法において(すなわち、他の薬剤と組み合わせて)、投与され得る。例えば、癌の処置では、併用療法は、少なくとも1つの抗腫瘍剤または他の従来の治療(例えば、放射線治療)と、本発明の組成物を含み得る。【0185】薬学的に受容可能なキャリアとしては、生体適合性の、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張性遅延剤および吸収遅延剤などが挙げられる。キャリアは、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、非経口投与、脊髄投与、または上皮投与(例えば、注射または注入による)に適切であり得る。投与の経路に依存して、活性化合物(すなわち、抗体、二重特異性(bispecific)分子および多重特異性(multispecific)分子)は、化合物を不活性化し得る酸の作用および他の天然条件から化合物を保護するために材料中にコーティングされ得る。【0186】「薬学的に受容可能な塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を維持する塩をいい、そしてこれは、任意の所望でない毒物学的効果を与えない(例えば、Berge,S.M.ら(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと)。このような塩の例としては、酸添加塩および塩基添加塩が挙げられる。酸添加塩としては、非毒性無機酸(例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素、ヨウ化水素、亜リン酸など)から誘導される酸添加塩、ならびに非毒性有機酸(例えば、脂肪族モノカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸(alkanoic acid)、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族系酸スルホン酸および芳香族スルホン酸など)から誘導される酸添加塩が挙げられる。塩基添加酸としては、アルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)から誘導される塩基添加酸、ならびに非毒性有機アミン(例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなど)から誘導される塩基添加酸が挙げられる。【0187】本発明の組成物は、当該分野で公知の種々の方法により投与され得る。投与の経路および/または様式は、所望の結果に依存して変化する。活性化合物は、迅速な放出(例えば、制御放出処方物(移植片、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムが挙げられる))に対して化合物を保護するキャリアと共に調製され得る。生分解性生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物(polyanhidride)、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)が使用され得る。このような処方物の調製のための多くの方法は、例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson編,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978により記載される。薬学的組成物は、好ましくは、GMP条件下で製造される。【0188】投与の特定の経路により本発明の化合物を投与するためには、化合物の不活性化を防止するために、材料でその化合物をコーティングするか、またはその材料と同時投与する必要があり得る。例えば、化合物は、適切なキャリア(例えば、リポソーム)または希釈剤中で被検体に投与され得る。薬学的に受容可能な希釈剤としては、生理食塩水、および水性緩衝溶液が挙げられる。リポソームとしては、水−イン−油−イン−水(water−in−oil−in−water)CGFエマルジョンならびに従来のリポソームが挙げられる(Strejanら(1984)J.Neuroimmunol.7:27)。【0189】薬学的に受容可能なキャリアとしては、滅菌の注射可能な溶液または分散液の即時的な調製のための滅菌水溶液または分散液および滅菌散剤が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体よび薬剤の使用は、当該分野で公知である。活性な化合物と不適合である任意の従来の媒体または薬剤の範囲を除いて、本発明の薬学的化合物におけるそれらの使用は、意図される。補助的な活性化合物もまた、組成物に組み込まれ得る。【0190】治療組成物は、典型的には、滅菌、実質的に等張性、そして製造および貯蔵の条件下で安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソームまたは他の高薬物濃度に対して安定なあつらえられた構造体として処方され得る。キャリアは、例えば、水、エタノール、ピロール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの安定な混合物を含む溶液または分散媒体であり得る。適切な流動度が、例えば、レクチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持により、そして界面活性剤の使用により維持され得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウム))を組成物中に含むことは好ましい。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチン)を組成物中に含ませることにより行われ得る。【0191】滅菌注射可能な溶液は、上に列挙される成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中で必要とされる量の活性化合物を組み込み、必要に応じて次いで滅菌濾過することにより調製され得る。一般に、分散液は、活性化合物を塩基性分散媒体および上に列挙される成分から必要とされる他の成分を含む、滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注射可能な溶液の調製のための滅菌散剤の場合、調製の好ましい方法は、減圧乾燥および凍結乾燥(freeze−drying)(凍結乾燥(lyophilization))であり、これは、活性成分の散剤および事前に滅菌濾過したそれらの溶液から、任意のさらなる所望の成分を得る。治療組成物はまた、当該分野で公知の医療デバイスで投与され得る。例えば、好ましい実施形態では、本発明の治療組成物は、無針皮下注射デバイス(例えば、米国特許第5,399,163号、同第5,383,851号、同第5,312,851号、同第5,312,335号、同第5,064,413号、同第4,941,880号、同第4,790,824号、または同第4,596,556号に開示されるデバイス)で投与され得る。本発明において有用な移植片およびモジュールの例としては以下が挙げられる:米国特許第4,487,603号(これは、制御された速度で医薬品を予製するための移植可能なマイクロインヒュージョン(micro−infusion)ポンプを開示する);米国特許第4,486,194号(これは、皮膚を介して医薬品を投与するための治療デバイスを開示する);米国特許第4,447,233号(これは、正確な注入速度で医薬品を送達するための医薬品注入ポンプを開示する);米国特許第4,447,224号(これは、持続性薬物送達のための可変フロー移植可能注入装置を開示する);米国特許第4,439,196号(これは、マルチチャンバ区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示する);および米国特許第4,475,196号(これは、浸透圧薬物送達システムを開示する)。多くの他のこのような移植片、送達システムおよびモジュールが公知である。【0192】(C.処方物)治療用組成物のために、本発明の処方物は、経口投与、経鼻投与、局所投与(頬側投与および舌下投与を含む)、直腸投与、膣投与および/または非経口投与のために適切な処方物を含む。この処方物は、単位投与形態中に都合よく存在し得、そして薬学の当該分野において公知の任意の方法によって調製され得る。キャリア物質と組み合わせられて単回投薬形態を生成し得る活性成分の量は、処置される被検体および投与の特定の形態に応じて変化し得る。キャリア材料と組み合わせられて、単回投薬形態を生成し得る活性成分の量は、一般に、治療的効果を生じる組成物の量である。一般に、100%中に、この量は、約0.01%〜約99%の活性成分、約0.1%〜約70%の活性成分、または約1%〜約30%の活性成分の範囲である。【0193】膣投与に適切な本発明の処方物としてはまた、適切であることが当該分野において公知のキャリアを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡沫、またはスプレーの処方物が挙げられる。本発明の組成物の局所投与または経皮投与のために投薬形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリアと、ならびに必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤と混合され得る。【0194】成句「非経口投与」および「非経口的に投与された」とは、経腸的投与および局所的投与以外の、通常、注入による投与の形態を意味し、、そして限定することなく、静脈内の、筋肉内の、動脈内の、鞘内の、包内の、眼窩内の、心臓内の、皮内の、腹腔内の、経気管の(transtracheal)、皮下の、表皮下の、関節内の、被膜下の、クモ膜下の、脊椎内の、硬膜外の、および胸骨下の注射および注入が挙げられる。【0195】本発明の薬学的組成物中に使用され得る適切な水性キャリアおよび非水性キャリアとしては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、ならびに注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング剤(例えば、レシチン)の使用によって、分散の場合に必要とされる粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。【0196】これらの組成物はまた、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤のようなアジュバントを含み得る。微生物の存在を防止することは、滅菌手順によって(前出)、および種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など)を含ませることによって確実となり得る。等張剤(例えば、糖、塩化ナトリウムなど)を組成物中に含ませることもまた、所望され得る。さらに、注射可能な薬学的形態の長期の吸収が、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤を含ませることによって、もたらされ得る。【0197】本発明の組成物を、ヒトおよび動物に対して薬剤として投与する場合、その組成物は、単独で、あるいは、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた、例えば0.01〜99.5%(または0.1〜90%)の活性成分を含む薬学的組成物として与えられ得る。【0198】薬学的組成物は、一般に、滅菌で、実質的に等張で、そして米国の食品医薬品庁の全ての優良医薬品製造基準(GMP)に完全に適合する。【0199】(本発明の方法および使用)(A.方法)本発明の組成物(例えば、ヒトCTLA−4に対するヒト配列抗体およびヒトモノクローナル抗体ならびにその誘導体/結合体)は、インビトロおよびインビボでの診断および治療における用途を有する。例えば、これらの分子は、例えば、インビトロまたはエキソビボにおいて、培養中の細胞に対して投与され得るか、あるいは、例えば、インビボにおいて被検体に投与され得、種々の障害を処置、予防、または診断し得る。用語「被検体」は、ヒトおよび非ヒト動物を含む。非ヒト動物として、全ての脊椎動物(例えば、哺乳動物および非哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、および爬虫類))が挙げられる。この方法は、T細胞媒介性応答を増強するか、または減少することによって処置され得る障害を有するヒト患者の処置のために特に適切である。【0200】CTLA−4に対する抗体を、他の薬剤とともに投与する場合、2つの薬剤が、順番に、または同時のいずれかで投与され得る。この方法を使用して、黒色腫、結腸ガン、前立腺ガン、および腎臓ガンを含む任意の種類のガンを処置し得る。【0201】例えば、(抗体価を増加するために)CTLA−4でコートされたラテックスミクロスフェアが、T細胞増殖および活性化を阻害し得る。同一の抗体結合部位を有する薬剤は、Fabとして、または可溶性IgGとして存在する場合には、CTLA−4アンタゴニストとして作用し得、そして高度に架橋された場合は、CTLA−4アゴニストとして作用し得る。従って、抗CTLA−4抗体の多価形態は、免疫応答のダウンレギュレーションのための有用な治療剤である。【0202】ラテックスミクロスフェアまたは他の不溶性粒子に結合することに加えて、抗体を、お互いに架橋し得るか、またはマルチマーを形成するように遺伝子操作し得る。架橋は、直接的な化学結合によるものであっても、例えば、抗体−ビオチン−アビジン複合体のような間接的な結合によるものであってもよい。架橋は、化学的結合基を使用する場合の共有結合であっても、タンパク質間相互作用またはタンパク質−リガンド相互作用を使用する場合の非共有結合であってもよい。結合のための遺伝子操作のアプローチとしては、例えば、高親和性IgG抗体の可変領域の、IgM発現ベクター中または任意のタンパク質部分(例えば、ポリリジンなど)中での再発現が挙げられる。高親和性IgG抗体のIgM抗体への変換は、非常に高度のアビディティを有する10価の複合体を生成し得る。IgA2発現ベクターを使用してもまた、多価抗体複合体を生成し得る。IgA2は、J鎖および分泌成分とともに、ポリマーを形成し得る。IgA2は、好中球、マクロファージ、および単球において発現するIgAレセプターCD89とさらに架橋され得るというさらなる利点を有し得る。【0203】作用(agonism)は、少なくとも2つの重複しないCTLA−4上のエピトープに対する抗体を含む、CTLA−4に対するポリクローナル抗体のいくつかの調製物を使用してもまた、得られ得る。2つの結合部位を含むそのような調製物中の1つの抗体は、2分子のCTLA−4と結合して、小さなクラスターを形成し得る。次に、異なる結合部位を有する第2の抗体を、これらの小さなクラスターと結合(凝集)させて、大きなクラスターを形成し得、それによって、シグナルをT細胞に伝達してCTLA−4を保有(発現)するT細胞の活性化を阻害、減少または防止し得る(細胞表面上の)CTLA−4の複合体を形成し得る。従って、ポリクローナル抗体のいくつかの調製物は、上記の多価調製物と類似の作用を示す。【0204】従って、抗CTLA−4抗体の多価調製物またはポリクローナル調製物は、CTLA−4レセプターに作用し、それによって、作用しない場合には、CTLA−4レセプターを保有するT細胞によって媒介される免疫応答を抑制するために有用である。そのような抗体の多価調製物または抗体のポリクローナル調製物を使用して処置し得る疾患のいくつかの例としては、自己免疫疾患、移植片拒絶、および炎症が挙げられる。【0205】(B.使用)(1.免疫応答の活性化)(a.ガン)いくつかの治療方法によって、ガン患者は処置される。抗体によるCTLA−4の遮断は、患者内のガン細胞に対する免疫応答を増強し得る。必要に応じて、CTLA−4に対する抗体を、免疫原性薬剤(例えば、ガン細胞、精製された腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチドおよび糖質分子を含む)、細胞、ならびに免疫刺激性のサイトカインおよびB7のような細胞表面抗原をコードする遺伝子によってトランスフェクトされた細胞(例えば、Hurwitz,A.ら、(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95、10067〜10071を参照のこと))と組合せ得る。。【0206】マウス実験系において、抗CTLA−4抗体の投与後の、いくらかの腫瘍の移植は、腫瘍の拒絶をもたらし得る。いくつかの場合において、確立された腫瘍の腫瘍拒絶が生じる;他の場合において、腫瘍の増殖が、抗CTLA−4抗体の使用によって減速する。一般に、CTLA−4遮断薬は、免疫原性の腫瘍に対して効果的である。操作上は、免疫原性の腫瘍とは、腫瘍のためにその腫瘍自体を使用するワクチン化が、腫瘍チャレンジに対する免疫をもたらし得る腫瘍として定義される。ヒトにおいて、いくつかの腫瘍(例えば、黒色腫)が、免疫原性であることが示されている。CTLA−4遮断薬によるT細胞活性化の閾値を上げることによって、本発明者らが宿主において腫瘍応答を活性化することを予測し得ることが、予想される。【0207】CTLA−4遮断薬は、ワクチン化プロトコールと組み合わせた場合、最も効果的である。腫瘍に対するワクチン化のための多くの実験上の戦略が、開発されている(Rosenberg,S.、2000,Development of Cancer Vaccines,ASCO Educational Book Spring:60−62;Logethetis、C.、2000、ASCO Educational Book Spring:300−302;Khayat,D.2000,ASCO Educational Book Spring:414−428;Foon,K.2000,ASCO Educational Book Spring:730−738を参照のこと;Restifo,N.およびSznol,M.,Cancer Vaccines,Ch.61,pp.3023−3043 DeVita,Vら、(編)1997,Cancer:Principles and Practice of Oncology, Fifth Edition中もまた参照のこと)。これらの戦略の1つにおいて、ワクチンが、自己の腫瘍細胞または同種異系の腫瘍細胞を使用して調製される。これらの細胞ワクチンは、腫瘍細胞がGM−CSFを発現するように形質導入された場合、最も効果的であることが示されている。GM−CSFは、腫瘍ワクチン化のための抗原呈示の強力な活性化因子であることが示されている(Dranoffら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(80:3539〜43))。【0208】GMCSF改変腫瘍細胞ワクチンの使用とともに用いられる抗CTLA−4遮断薬は、多数の実験的腫瘍モデル(例えば、乳房癌腫)(Hurwitzら(1998)前出)、原発性前立腺ガン(Hurwitz A.ら(2000)Cancer Research 60(9):2444〜8)および黒色腫(van Elas,Aら(1999)J.Exp.Med.190:355−66)において有効でることが示されている。これらの例において、非免疫原性腫瘍(例えば、B16黒色腫)が、免疫系による破壊に対して感受性となった。腫瘍細胞ワクチンもまた、他の免疫活性化因子(例えば、IL2)および、とりわけ、同時刺激分子を発現するように改変され得る。【0209】種々の腫瘍内での遺伝子発現の研究および大規模な遺伝子発現パターンの研究が、いわゆる腫瘍特異的抗原の定義をもたらした(Rosenberg,SA(1999)Immunity 10:281〜7)。多くの場合において、これらの腫瘍特異的抗原は、腫瘍内および腫瘍が発生した細胞内において発現する分化抗原である(例えば、メラノサイト抗原gp100、MAGE抗原、Trp−2)。より重要なことに、多くのこれらの抗原は、宿主において見出される腫瘍特異的T細胞の標的であることが示され得る。腫瘍において発現するタンパク質および/またはペプチドに対する免疫応答を生じるために、腫瘍において発現する組換えタンパク質および/またはペプチドの集団と、CTLA−4遮断薬とを、組み合わせて使用し得る。これらのタンパク質は、通常、免疫系によって自己抗原として見られ、従って、免疫系に対して耐性である。腫瘍抗原としてはまた、タンパク質テロメラーゼ(染色体のテロメアの合成のために必要であり、そして85%を越えるヒトのガンにおいて発現し、そして限られた数の体細胞組織においてのみ発現する(Kim,Nら(1994)Science 266、2011〜2013))が挙げられ得る(これらの体細胞組織は、種々の手段によって、免疫の攻撃から防御され得る)。腫瘍抗原はまた、タンパク質配列を変化させるか、または2つの関連しない配列間での融合タンパク質(すなわち、フィラデルフィア染色体中のber−abl)を生じる体細胞変異のために、ガン細胞において発現する「腫瘍抗原(neo−antigen)」であり得るか、またはB細胞腫瘍由来のイディオタイプであり得る。他の腫瘍ワクチンは、ヒトパピローマウイルスウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBVおよびHCV)、およびカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)のようなヒトのガンと関連するウイルス由来のタンパク質を含み得る。CTLA−4遮断薬と組み合わせて使用され得る腫瘍特異的抗原の他の形態は、腫瘍組織自体から単離された、精製された熱ショックタンパク質(HSP)である。これらの熱ショックタンパク質は、腫瘍細胞由来のタンパク質のフラグメントを含み、そしてこれらHSPは、腫瘍の免疫性を惹起するための抗原呈示細胞への送達において非常に効率的である(Suot,RおよびSrivastava,P(1995)Science 269:1585−1588;Tamura,Yら(1997)Science 278:117−120)。【0210】樹状細胞(DC)は、強力な抗原呈示細胞であり、抗原特異的応答をプライムするために使用され得る。DCは、エキソビボにおいて生成され、そして種々のタンパク質、ペプチド抗原および腫瘍細胞抽出物を有し得る(Nestle,Fら(1998)Nature Medicine 4:328−332)。DCはまた、これらの腫瘍抗原を発現する遺伝的手段によっても、形質導入され得る。DCは、免疫の目的ために腫瘍細胞と直接的に融合されている(Kugler,Aら(2000)Nature Medicine 6:332−336)。ワクチン接種方法として、DC免疫は、効果的にCTLA−4遮断薬と組合せられ、より強力な抗腫瘍応答を、活性化し得る。【0211】CTLA−4遮断薬はまた、標準的な癌処置と組み合わされ得る。CTLA−4遮断薬は、化学療法レジメンと効率的に組み合わされ得る。これらの場合において、投与される化学療法試薬の用量を減少させることが可能であり得る(Mokyr,M.ら(1998)Cancer Research 58:5301−5304)。CTLA−4遮断薬と化学療法との組み合わせ使用の背後にある科学的根拠は、細胞死(これは、ほとんどの化学療法化合物の細胞障害性作用の結果である)が、抗原提示経路における腫瘍抗原の増加したレベルを生じるべきであるということである。細胞死を介してCTLA−4遮断薬との相乗作用を生じ得る他の組み合わせ治療は、照射、手術およびホルモン剥奪である(Kwon,E.ら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.96(26):15074−9)。これらのプロトコルの各々は、宿主において腫瘍抗原の供給源を作製する。新脈管形成インヒビターはまた、CTLA−4遮断薬と組み合わされ得る。新脈管形成の阻害は、腫瘍抗原を宿主抗原提示経路に供給し得る腫瘍細胞死を引き起こす。【0212】CTLA−4遮断抗体はまた、腫瘍細胞に対してFcαまたはFcγレセプター発現エフェクター細胞を標的とする、二特異的抗体と組み合わせて使用され得る(例えば、米国特許第5,922,845号および同第5,837,243号を参照のこと)。二特異的抗体は、2つの別々の抗原を標的とするために使用され得る。例えば、抗Fcレセプター/抗腫瘍抗原(すなわち、Her−2/neu)二特異的抗体は、腫瘍の部位に対してマクロファージを標的とするために使用されてきた。この標的化は、腫瘍特異的応答をより効率的に活性化し得る。これらの応答のT細胞アームは、CTLA−4遮断薬の使用により増強される。あるいは、抗原は、腫瘍抗原および樹状細胞特異的細胞表面マーカーに結合する二特異的抗体の使用によって、直接DCに送達され得る。【0213】腫瘍は、広範な種々の機構によって宿主免疫監視を回避する。これらの機構の多くは、腫瘍によって発現され、かつ免疫抑制性であるタンパク質の不活化によって克服され得る。これらには、例えば、Tgfβ(Kehrl,J,ら(1986)J.Exp.Med.163:1037−1050)、IL−10(Howard,M.およびO’Garra,A.(1992)Immunology Today 13:198−200)、およびFasリガンド(Hahne,M.ら(1996)Science 274:1363−1365)。これらの実体の各々に対する抗体は、抗CTLA−4と組み合わされて、免疫抑制剤の効果を妨げ、そして宿主による腫瘍免疫応答を支持する。【0214】宿主免疫応答性を活性化するために使用され得る他の抗体は、抗CTLA−4と組み合わせて使用され得る。これらは、DC機能および抗原提示を活性化する樹状細胞の表面上の分子を含む。抗CD−40抗体は、効率的にT細胞ヘルパー活性に置き換わり得(Ridge,J.ら(1998)Nature 393:474−478)、そしてCTLA−4抗体とともに使用され得る(Ito,N.ら(2000)Immunobiology 201(5)527−40)。T細胞同時刺激分子(例えば、OX−40(Weinberg,A.ら(2000)J Immunol 164:2160−2169)、4−1BB(Melero,I.ら(1997)Nature Medicine 3:682−685(1997)、およびICOS(Hutloff,A.ら(1999)Nature 397:262−266))に対する活性化抗体はまた、T細胞活性化の増加したレベルを提供する。【0215】骨髄移植は、造血起源の種々の腫瘍を処置するために現在使用されている。対宿主性移植片病は、この処置の結果として起こるが、治療的利益が対腫瘍性移植片応答から得られ得る。CTLA−4遮断薬を使用して、ドナーの移植された腫瘍特異的T細胞の効果を増加させ得る(Blazar,B.ら(1999)J Immunol 162:6368−6377)。【0216】抗原特異的T細胞のエキソビボ活性化および増大、ならびに腫瘍に対する抗原特異的T細胞のためのこれらの細胞のレシピエントへの養子移入に関与する、いくつかの実験的処置プロトコルもまた存在する(Greenberg,R.およびRiddell,S.(1999)285:546−51)。これらの方法をまた使用して、病原菌(例えば、CMV)に対するT細胞応答を活性化し得る(以下を参照のこと)。抗CTLA−4抗体の存在下でのエキソビボ活性化は、養子移入されたT細胞の頻度および活性を増加させることが予想され得る。【0217】(b.感染性疾患)本発明の他の方法は、特定の毒素または病原体に曝された患者を処置するために使用される。上記で考察された腫瘍に対するその適用と同様に、抗体媒介CTLA−4遮断薬は、単独、またはアジュバントとしてワクチンと組み合わされて使用され、病原体、毒素および自己抗原に対する免疫応答を刺激し得る。CTLA−4遮断薬は、Nippostrongylus brasiliensis(McCoy,K.ら(1997)186(2);183−187)およびLeishmania donovani(Murphy,M.ら(1998)J.Immunol.161:4153−4160)の感染の急性期において有効であることが示された。この治療アプローチが特に有用であり得る病原体の例としては、現在有効なワクチンが存在しない病原体、または従来のワクチンが完全に有効ではない病原体が挙げられる。これらには、HIV、Hepatitis(A、BおよびC)、Influenza、Herpes、Giardia、Malaria、Leishmania、Staphylococcus Aureus、Pseudomonas aeruginosaが挙げられるが、これらに限定されない。CTLA−4遮断薬は、感染の過程にわたって変化した抗原を提示するHIVのような因子によって確立された感染に対して特に有用である。これらの新規のエピトープは、抗ヒトCTLA−4投与の時間において外来性であるとして認識され、従って、CTLA−4を介した陰性のシグナルによって鈍らされない強力なT細胞応答を引き起こす。【0218】本発明の方法によって処置され得る感染を引き起こす病原性ウイルスのいくつかの例としては、以下が挙げられる:hepatitis(A、BまたはC)、herpesウイルス(例えば、VZV、HSV−1、HAV−6、HSV−IIおよびCMV、Epstein Barrウイルス)、adenovirus、influenzaウイルス、flaviviruses、echovirus、rhinovirus、coxsackieウイルス、cornovirus、RSウイルス、mumpsウイルス、rotavirus、measlesウイルス、rubellaウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、dengueウイルス、papillomavirus、molluscumウイルス、poliovirus、robiesウイルス、JCウイルスおよびarboviral encephalitisウイルス。【0219】本発明の方法によって処置され得る感染を引き起こす病原性細菌のいくつかの例としては、以下が挙げられる:chlamydia、rickettsial細菌、mycobacteria、staphylococci、streptococci、pseumonococci、meningococciおよびconococci、klebsiella、proteus、serratia、pseudomonas、legionella、diphtheria、salmonella、bacilli、cholera、tetanus、botulism、anthrax、plague、leptospirosis、ならびにLymes病細菌。【0220】本発明の方法によって処置され得る感染を引き起こす病原性真菌のいくつかの例としては、以下が挙げられる:Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalisなど)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、nigerなど)、Genus Mucorales(ケカビ属、アブシディア属、クモノスカビ属)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitisおよびHistoplasma capsulatum。【0221】本発明の方法によって処置され得る感染を引き起こす病原性寄生生物のいくつかの例としては、以下が挙げられる:Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleria fowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania sonovani、Toxoplasma gondi、Nippostrongylus brasiliensis。【0222】上記の方法のすべてにおいて、CTLA−4遮断薬は、他の形態の免疫治療(例えば、サイトカイン処置(例えば、インターフェロン、GM−CSF、GCSF、IL−2)、または二特異的抗体治療(これは、腫瘍抗原の増大した提示を提供する(例えば、Holliger(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448;Poljak(1994)Structure 2:1121−1123を参照のこと)。【0223】(c.疾患の処置および治療的処置に対する有益な「自己免疫」反応の促進) 抗CTLA−4抗体が自己免疫応答を引き起こし、増幅させる能力は、多くの実験系(EAE−実験的自己免疫脳脊髄炎、MSについてのマウスモデル(Perrin、P.ら(1996)J Immunol 157(4):1333−1336);糖尿病(Luhder,F.ら(1998)前出))において実証されてきた。実際、腫瘍細胞およびペプチドワクチンを用いる抗腫瘍応答の誘導は、多くの抗腫瘍応答が抗自己反応性に関与することを明らかにする(抗CTLA−4+GM−CSF改変B16黒色腫において観察される色素脱失(van Elsasら、前出);Trp−2ワクチン接種したマウスにおける色素脱失(Overwijk,W.ra(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96:2982−2987);TRAMP腫瘍細胞ワクチンによって引き起こされる自己免疫前立腺炎(Hurwitz,A.(2000)前出)、ヒト臨床試験において観察される黒色腫ペプチド抗原ワクチン接種および白斑(Rosenberg,SAおよびWhite,DE(1996)J Immunother Emphasis Tumor Immunol 19(1):81−4))。【0224】従って、疾患の処置のためにこれらの自己タンパク質に対する免疫応答を効率的に生じるワクチン接種プロトコルを考案するために、抗CTLA−4遮断薬を種々の自己タンパク質とともに使用することを考慮し得る。例えば、アルツハイマー病は、脳のアミロイド沈着におけるAβペプチドの不適切な蓄積に関与し;アミロイドに対する抗体応答は、これらのアミロイド沈着を清澄し得る(Schenkら(1999)Nature 400:173−177)。【0225】他の自己タンパク質はまた、アレルギーおよび喘息の処置のためのIgE、ならびに慢性関節リウマチの処置のためのTNFのような標的として使用され得る。最後に、種々のホルモンに対する抗体応答は、抗CTLA−4抗体の使用によって誘導され得る。生殖ホルモンに対する中和抗体応答は、避妊のために使用され得る。特定の腫瘍の増殖に必要なホルモンおよび他の適切な因子に対する中和抗体応答はまた、可能性のあるワクチン接種標的と考えられ得る。【0226】抗CTLA−4抗体の使用のための上記と類似の方法は、治療的自己免疫応答の誘導のために使用され、他の自己抗原(例えば、アミロイド沈着(アルツハイマー病におけるAβを含む)、TNFαおよびIgEのようなサイトカイン)の不適切な蓄積を有する患者を処置し得る。【0227】(2.免疫応答の不活化)免疫応答によって引き起こされる疾患は、過敏性疾患と称される。自己耐性および引き続く自己(self)(または自己(autologous))抗原に対する免疫応答の不全によって引き起こされる疾患は、自己免疫疾患と称される。過敏性疾患はまた、外来抗原(例えば、微生物)に対する制御されてないかまたは過剰な応答により生じ得る。【0228】ヒトCTLA−4に対する可溶性抗体は、T細胞の増大および活性化を促進し(すなわち、ここでCTLA−4機能(例えば、リガンドへの結合)が阻害され;このシナリオにおいて、この抗体はCTLA−4機能に対するアンタゴニストである)、反対の効果を生じるこれらの同じ抗体の結合価を増加させる(ここで、対照的に、これらの抗体は免疫応答を抑制するためのCTLA−4のアゴニストとして作用している)(例えば、KrummelおよびAllison,1996、J.Exp.Med.183,2533−2540を参照のこと)。抗原特異的T細胞応答(例えば、病原性自己反応性T細胞の標的であるT細胞応答)を不活化する目的のために、これらのT細胞に特異的な標的抗原(すなわち、抗原および/またはMHC/抗原複合体)は、抗CTLA−4抗体の多結合価形態で投与されなければならない。【0229】(a.炎症)炎症は、流体の蓄積および食作用性白血球(例えば、顆粒球および単球)の移動を伴う毛細管拡張の結果を示す。炎症は、種々の感染に対して宿主を防御する際に重要であるが、炎症性障害における望ましくない結果(例えば、アナフィラキシーショック、関節炎、痛風および虚血再灌流)もまた有し得る。活性化T細胞は、炎症において重要な調節の役割を有し、インターフェロンγおよびコロニー刺激因子(これは次いで、食作用性白血球を活性化する)を放出する。活性化食作用性白血球は、多くの特定の細胞表面分子(ホーミングレセプターという)を発現するために誘導され、これは食細胞を標的内皮細胞に付着させるために役立つ。炎症性応答は、本発明の治療薬剤を用いる処置によって減少または排除され得る。例えば、CTLA−4に対する抗体の多結合価調製物は、活性化T細胞の活性化をブロックし、それによってこれらの細胞が、食作用性細胞型の活性化のために必要な分子を放出することを妨げる。【0230】(b.自己免疫疾患)免疫抑制が所望されるさらなる状況は、自己免疫疾患(例えば、インスリン依存性真性糖尿病、多発性硬化症、スティッフマン症候群、慢性関節リウマチ、重症筋無力症およびエリテマトーデス)の処置における状況である。これらの疾患においては、身体は、それ自身の抗原のうちの1つに対する細胞免疫応答および/または体液免疫応答を発生し、その抗原の破壊、および強力な不具および/または致命的な結果を導く。活性化T細胞は、真性糖尿病のような多くの自己免疫疾患において主要な役割を果たすと考えられている。自己免疫疾患は、T細胞の活性化を阻害する本発明の治療剤のうちの1つを投与することによって処置される。必要に応じて、それに対して自己免疫疾患が標的化される自己抗原またはそのフラグメントは、免疫抑制剤の直前、免疫抑制剤と同時に、または免疫抑制剤の直後に投与され得る。このように、抑制処置に乗じて耐性が自己抗原に導入され得、それによって連続的な免疫抑制の必要性を除去する。例えば、Cobboldら、WO90/15152(1990)を参照のこと。【0231】(c.対宿主性移植片病)本発明の治療薬剤についての関連した使用は、「対宿主性移植片」病(GVHD)に関する免疫反応を調節する際におけるものである。GVHDは、免疫学的にコンピテントな細胞が同種異系のレシピエントに移される場合生じる潜在的に致死性の疾患である。この状況において、ドナーの免疫コンピテントな細胞は、レシピエントの組織を攻撃し得る。皮膚、腸の上皮および肝臓の組織が頻繁な標的であり、GVHDの過程の間に破壊され得る。疾患は、免疫組織が移植される(例えば、骨髄移植)場合、特に重篤な問題を提示するが、あまり重篤でないGVHDもまた同様に他の場合(心臓移植および肝臓移植を含む)において報告されている。本発明の治療薬剤は、ドナー白血球の活性化を阻害し、それによって宿主において標的細胞を溶解するそれらの能力を阻害する。【0232】(d.移植拒絶)最近数年にわたって、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓および骨髄のような組織および器官を移植するための外科的技術の効率においてかなりの改善があった。おそらく、主な目立った問題点は、移植された同種移植片または器官に対してレシピエントに免疫寛容性を誘導するための満足のいく薬剤を欠くことである。同種異系細胞または器官が宿主に移植される(すなわちドナーおよびドニーが同じ種由来の異なる個体である)場合、宿主免疫系は、移植された組織の破壊を導く移植における外来抗原に対する免疫応答を開始するようである(対移植片宿主病)。CD8+細胞、CD4+細胞および単球はすべて、移植組織の拒絶に含まれる。本発明の治療薬剤は、ドニーにおけるT細胞媒介同種抗原誘導免疫応答を阻害するのに有用であり、これによってこのような細胞が移植された組織または器官の破壊に関係することを妨げる。【0233】(B.サンプル中のCTLA−4の存在を検出/測定するための方法)本発明は、さらに、サンプル中のヒトCTLA−4抗原の存在を検出するための方法、またはヒトCTLA−4抗原の量を測定するための方法を提供し、この方法は、サンプルおよびコントロールサンプルを、ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分(ヒトCTLA−4に特異的に結合する)と、抗体またはその部分とヒトCTLA−4との間の複合体の形成を可能にする条件下で接触する工程を包含する。次いで、複合体の形成が検出され、ここで、コントロールサンプルと比較したサンプルの複合体形成の差がサンプル中のヒトCTLA−4抗原の存在を示す。【0234】(C.キット)本発明の組成物(例えば、ヒト配列抗体、ヒト抗体、複数特異的および二特異的分子)ならびに使用の説明書を含むキットもまた本発明の範囲内である。キットは、さらに、少なくとも一つのさらなる試薬、または本発明の一つ以上のさらなるヒト抗体(例えば、第一のヒト抗体とは異なるCTLA−4抗原におけるエピトープに結合する相補的活性を有するヒト抗体)を含み得る。キットは、代表的に、キットの内容物の意図された使用を示す標識を含む。用語標識は、キット上に供給されるか、キットともにか、またはそうでなければキットに添えられた任意の書かれたまたは記録された物質を含む。【0235】(実施例)(実施例1.Cmu標的マウスの作製)(CMD標的化ベクターの構築)プラスミドpICEmuは、マウスIg重鎖座のEcoRI/XhoIフラグメント(mu遺伝子にわたる)を含み、これは、Balb/Cゲノムラムダファージライブラリーから得られた(Marcuら、Cell 22:187,1980)。このゲノムフラグメントは、プラスミドpICEMI9HのXhoI/EcoRI部位にサブクローン化される(Marshら、;Gene 32、481−485,1984)。pICEmuに含まれる重鎖配列は、muイントロンエンハンサーのちょうど3’に位置するEcoRI部位の下流に、mu遺伝子の最後の膜貫通エキソンの約1kb下流に位置するXhoI部位に伸長するが、多くのmuスイッチ反復領域は、E.coliにおける継代によって欠失した。【0236】標的化ベクターは、以下のように構築された(図1を参照のこと)。1.3kb HindIII/SmaIフラグメントが、pICEmuから切り出され、HindIII/SmaI消化pBluescript(Stratagene,La Jolla,CA)にサブクローン化した。このpICEmuフラグメントが、Cmu1の約1kbの5’の位置のHindIII部位からCmu1内に位置するSmaI部位に伸長する。得られたプラスミドをSmaI/SpeIで消化し、そしてpICEmuからの約4kbのSmaI/XbaIフラグメント(Cmu1 3’のSmaI部位から最後のCmuエキソンのすぐ下流に位置するXbaI部位に伸長する)を挿入した。得られたプラスミド(pTAR1)をSmaI部位で線状にし、そしてneo発現カセットを挿入した。このカセットは、ホスホグリセレートキナーゼ(pgk)プロモーター(XbaI/TaqIフラグメント;Adraら(1987)Gene60:65−74)の転写制御化にてneo遺伝子から構成され、そしてpgkポリアデニル化部位を含む(PvuII/HindIIIフラグメント;Boerら(1990)Biochemical Genetics 28:299−308)。このカセットは、プラスミドpKJ1(Tybulewiczら、(1991)Cell65:1153−1163によって記載される)から得られ、ここからneoカセットがEcoRI/HindIIIフラグメントとして切り出され、そしてEcoRI/HindIII消化pGEM−7Zf(+)にサブクローン化してpGEM−7(KJ1)を作製した。neoカセットをEcoRI/SalI消化によってpGEM−7(KJ1)から切り出し、平滑末端化しそしてゲノムCmu配列の反対方向にプラスミドpTAR1のSmaI部位にサブクローン化した。得られたプラスミドをNot Iで線状にし、そして単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)カセットを、Mansourら(1988)Nature 336:348−352に記載されるように、相同組換え体を保有するESクローンの濃縮を可能にするように挿入した。このカセットは、Tybulewiczら(1991)Cell 65:1153−1163によって記載されるように、マウスpgkプロモーターおよびポリアデニル化部位によってブラケット化(bracketed)されるtk遺伝子のコード配列からなる。得られたCMD標的化ベクターは、合計で約5.3kbの重鎖座位に対する相同性を含み、そして消化して変異mu遺伝子(ここに第1のCmuエキソンの独特のSmaI部位におけるneo発現カセットを挿入した)を作製した。標的化ベクターをPvuIを用いて線状化し、これは、ES細胞にエレクトロポレーションの前にに153−1163ゅうしたとうををょうくをspがいするilly,C.プラスミド配列内で切り出す。【0237】(標的化ES細胞の生成および分析)AB−1 ES細胞(McMahon,A.P.およびBradley、A.,(1990)Cell 62:1073−1085)を有糸分裂的に不活化されたSNL76/7細胞フィーダー層で増殖させた(同書)。基本的にRobertson,E.J.(1987)in Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:a Practical Approach(E.J.Robertson編)Oxford:IRL Press,p.71−112)に記載される。線状化CMD標的化ベクターが、Hastyら、(Hasty,P.R.ら(1991)Nature 350:243−246)に記載される方法によってAB−1細胞にエレクトロポレーションされた。エレクトロポレートされた細胞を1〜2×106細胞/ディッシュの密度で100mmのディッシュにプレートした。24時間後、G418(活性成分の200マイクログラム/ml)およびFIAU(5×10−7M)を培地に加え、そして薬剤耐性クローンを8〜9日にわたって増殖させた。クローンをピックアップし、トリプシン処理し、2つの部分に分け、そしてさらに増殖させた。次いで、それぞれのクローンから誘導される細胞の半分を凍らせ、そして他の半分を、ベクターと標的配列との間の相同組換えについて分析した。【0238】DNA分析をサザンブロットハイブリダイゼーションによって実行した。DNAをLairdら(Laird,P.W.ら(1991)Nucleic Acids Res.19:4293)に記載されるようにクローンから単離した。単離されたゲノムDNAをSpeIで消化し、そして915bp SacIフラグメント、プローブA(図1)を用いてプローブし、これは、muイントロンエンハンサーとmuスイッチ領域との間の配列にハイブリダイズする。プローブAは、野生型遺伝子座からの9.9kbのSpeIフラグメント、およびCMD標的化ベクターと相同的に組換えられたmu座からの診断上の7.6kbのバンドを検出する(neo発現カセットがSpeI部位を含む)。サザンブロット分析によってスクリーニングされる1132 G418およびFIAU耐性クローンのうち、3つがmu座において相同な組換えを示す7.6kbのSpe Iバンドを示した。これらの3つのクローンは、さらに酵素BglI、BstXI、およびEcoRIで消化されてベクターがmu遺伝子に相同的に一体化されることを確かにする。プローブAを用いてハイブリダイズされる場合、BglI、BstXIまたはEcoRIを用いて消化される野生型DNAのサザンブロットは、それぞれ15.7kb、7.3kbおよび12.5kbのフラグメントを生成するが、標的化mu対立遺伝子の存在が、それぞれ7.7kb、6.6kbおよび14.3kbのフラグメントによって示される。SpeI消化によって検出される3つ全ての陽性クローンは、neoカセットのCmu1エキソンへの挿入について診断的な期待されるBglI、BstXI、およびEcoRI制限フラグメントを示した。【0239】(変異mu遺伝子を保有するマウスの作製)3つの標的ESクローン(数264、272および408と指定される)を解かし、Bradley(Bradley,A(1987)in Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:a Practical Approach(E.J.Robertson編)Oxford:IRL Press、p.113−151)に記載されるようにC57BL/6J胚盤胞に注射した。注射された胚盤胞を偽妊娠の雌の子宮に移してインプットES細胞および宿主胚盤胞から誘導される細胞の混合物を提示するキメラマウスを作製した。キメラに対するES細胞寄与の程度は、ブラックC57BL/6JバックグラウンドのES細胞株から誘導されるアゴーチ(agouti)コート着色の量によって視覚的に推定され得る。クローン272および408は、低いパーセンテージのキメラのみ(すなわち、低いパーセンテージのアゴーチ色素沈着)を作り出したが、クローン264は、高いパーセンテージの雄性キメラを作り出した。これらのキメラは、C57BL/6J雌で繁殖され、アゴーチの子孫が作製され、ES細胞ゲノムの生殖細胞系列を示す。標的化mu遺伝子についてのスクリーニングは、(ES細胞DNAの分析について上記されるように)尾部生検からのBglI消化DNAのサザンブロット分析によって実行された。およそ50%のアゴーチ子孫は、15.7kbの野生型のバンドに加えて7.7kbのハイブリダイズしたBglIバンドを示し、これは、標的mu遺伝子の生殖細胞系列移行を示す。【0240】(mu遺伝子の機能的不活化についてのトランスジェニックマウスの分析)neoカセットのCmu1への挿入がIg重鎖遺伝子を不活化したか否かを決定するために、クローン264キメラをJHD変異についてホモ接合のマウスで繁殖させた。このJHD変異は、JH遺伝子セグメントの欠失の結果として重鎖発現を不活化する(Chenら、(1993)Immunol.5:647−656)。4つのアゴーチ子孫を作製した。血清をこれらの動物から一か月の年齢で得、そしてマウスIgMの存在についてELISAによってアッセイした。4つの子孫のうちの2つは、IgMを完全に欠く(表1)。BglI消化およびプローブA(図1)を用いるハイブリダイゼーションによる尾部生検からのDNAのサザンブロット分析、ならびにStuI消化および475bpのEcoRI/StuIフラグメント(同書)による4つの動物の遺伝子型決定は、血清IgMを発現しない動物が、重鎖座位の一方の対立遺伝子がJHD変異を保有する動物であり、他方の対立遺伝子がCmu1変異を保有することを示した。JHD変異に対してヘテロ接合型のマウスは、血清Igの野生型レベルを示す。これらのデータは、Cmu1変異がmu遺伝子の発現を不活化することを示す。【0241】【表1】(表1)CMDとJHDの変異の両方を保有するマウス(CMD/JHD)について、JHD変異についてヘテロ接合性型のマウス(+/JHD)について、野生型(129Sv×C57BL/6J)F1マウス(+/+)について、およびJHD変異についてホモ接合型B細胞不足マウス(JHD/JHD)についての血清IgMのレベル(ELISAによって検出される)。【0242】(実施例2.HCo12トランスジェニックマウスの作製)(HCo12ヒト重鎖導入遺伝子)Hco12導入遺伝子を、pHC2(Taylorら、1994、Int.Immunol.,6:579−591)の80kb挿入物およびpVx6の25kb挿入物の同時注射によって作製した。プラスミドpVx6は、以下に記載のように構築された。【0243】8.5kb HindIII/SalI DNAフラグメント(約2.5kbの5’隣接ゲノム配列および5kbの3’隣接ゲノム配列とともに生殖細胞系列ヒトVH1−18(DP−14)遺伝子を含む)を、プラスミドベクターpSP72(Promega,Madison,WI)にサブクローン化してプラスミドp343.7.16を作製した。7kbのBamHI/HindIII DNAフラグメント(約5kbの5’隣接ゲノム配列および1kbの3’隣接ゲノム配列とともに生殖細胞系列ヒトVH5−51(DP−73)遺伝子を含む)を、pBR322ベースのプラスミドクローニングベクターpGP1fにクローン化(Taylorら、1992、Nucleic Acids Res.20:6287−6295)して、プラスミドp251fを作製した。pGP1f、pGP1k(配列番号1)から誘導される新規なクローニングベクターを、EcoRV/BamHIで消化し、そして10kb EcoRV/BamHI DNAフラグメント(これは、約4kbの5’隣接ゲノム配列および5kbの3’隣接ゲノム配列とともに生殖細胞系列ヒトVH3−23(DP−47)遺伝子を含む)にライゲートした。得られたプラスミドp112.2RR.7を、BamHI/SalIで消化し、そしてp251fの7kb精製BamHI/SalI挿入物とライゲートした。得られたプラスミドpVx4を、XhoIで消化し、そしてp343.7.16の8.5kb XhoI/SalI挿入物とライゲートした。クローンをVH1−18遺伝子ともに、他の2つのV遺伝子と同じ方向で得た。次いで、このクローン(pVx6と指定される)を、NotIで消化し、そして精製された26kb挿入物を、pHC2の精製された80kb NotI挿入物を1:1のモル比で一緒に、半日(C57BL/6J×DBA/2J)F2胚の前核に、Hoganら(B.Hoganら、Manipulating the Mouse Embryo,A Laboratory Manual,第二版、1994、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview NY)によって記載されるように同時注入した。Vx6とHC2の両方からの配列を含むトランスジェニックマウスの3つの独立した系統を、注入された胚から発生したマウスから確立した。これらの系統は、(HCo12)14881、(HCo12)15083および(HCo12)15087と名付けた。次いで、3つの系統のそれぞれを実施例1に記載されるCMD変異、JKD変異(Chenら、1993、EMBO J.12:811−820)、および(KCo5)9271導入遺伝子(Fishwildら、1996、Nature Biotechnology 14:845−851)を含むマウスで繁殖させた。得られたマウスは、内因性マウス重鎖座およびカッパ軽鎖座の破壊についてホモ接合型のバックグラウンドでヒト重鎖およびカッパ軽鎖導入遺伝子を発現する。【0244】(実施例3.ヒトIgGκ抗ヒトCTLA−4モノクローナル抗体の生成)(細胞ベースの抗原)ヒトCTLA−4およびマウスCD3ζ遺伝子由来の配列を含む融合タンパク質をコードするDNAセグメントを、架橋合成オリゴヌクレオチドを共に用いて、cDNAクローンのPCR増幅によって構築した。コードされる融合タンパク質は、以下の配列を含む:i.アミノ酸1〜190をコードするヒトCTLA−4(シグナルペプチド、ヒトCTLA−4の細胞外ドメインおよびヒトCTLA−4の推定膜貫通配列全体を含む)およびii.マウスCD3ζアミノ酸52〜カルボキシル末端(Weissmanら、(1988)Science 239:1018−1021)。増幅PCR産物をプラスミドベクターにクローニングし、DNA配列を決定した。次いで、クローニングしたインサートを、ベクターpBABE(これは、ピューロマイシン耐性をコードする遺伝子を含む(Morganstern,JPおよびLand,H.Nucl.Acids Res.18:3587−96(1990))にサブクローニングし、pBABE−huCTLA−4/CD3zを作製した。pBABE−huCTLA−4/CD3zを、レトロウイルスパッケージング株ψ−2にトランスフェクトし、そしてピューロマイシン耐性細胞のプールを選択した。これらの細胞を、マウスT細胞ハイブリドーマBW5147(ATCC#TIB−47)と共に共培養した。共培養の2日後、非接着性のBW5147細胞を、取り出しそしてピューロマイシンに対する耐性について選択した。このピューロマイシン耐性細胞のプールを、段階希釈によってサブクローン化し、そしてFACSによってヒトCTLA−4の表面発現について試験した。細胞表面で高レベルのヒトCTLA−4を発現するクローンを選択した。【0245】(可溶性抗原)ヒトCTLA−4の細胞外ドメインを含む組換えCTLA−4融合タンパク質を、R&D Systemsから購入した(カタログ番号325−CT−200)。細胞外CTLA−4フラグメントを、このCTLA−4細胞外ドメインのC末端の後ろに位置する第Xa因子プロテアーゼ切断部位での、このCTLA−4融合タンパク質のタンパク質分解性切断によって調製した。融合タンパク質を、50:1の融合タンパク質:第Xa因子の比で第Xa因子を用いて処理し、CTLA−4フラグメントを、プロテインG−SepharoseおよびMono Q HPLCを通して分離した。フラクションを、SDS−PAGEおよびマウスB7分子を発現する細胞(LtkmB7.1:マウスB7.1 cDNAクローン発現ベクターでトランスフェクトしたマウスLtk(−)細胞)に対する結合によって、ヒトCTLA−4ダイマーの存在について試験した。陽性のフラクションをプールし、PBS緩衝液で透析した。【0246】(トランスジェニックマウス)2つの異なるマウス系統を使用して、CTLA−4反応性モノクローナル抗体を生成した。系統((CMD)++;(JKD)++;(HCo7)11952+/++;(KCo5)9272+/++)および系統((CMD)++;(JKD)++;(HCo12)15087+/++;(KCo5)9272+/++)。これらの系統の各々は、内因性重鎖(CMD)およびκ軽鎖(JKD)の遺伝子座の破壊についてホモ接合性である。両系統はまた、ヒトκ軽鎖トランスジーン(KCo5)を含み、個々の動物は、インサート#11952についてヘミ接合またはホモ接合性のいずれかである。この2つの系統は、使用したヒト重鎖トランスジーンにおいて異なる。マウスは、HCo7またはHCo12トランスジーンのいずれかについて、ヘミ接合性またはホモ接合性である。CMD変異は、実施例1において記載する。(HCo12)15087マウスの作製については、実施例2において記載する。JKD変異(Chenら、1993、EMBO J.12:811−820)ならびに(KCo5)9272(Fishwildら、1996、Nature Biotechnology 14:845−851)および(HCo7)11952マウスは、米国特許第5,770,429(LonbergおよびKay、1998年6月23日)に記載される。【0247】(免疫)トランスジェニックマウスを、最初に、PBS中の1〜3×107細胞またはアジュバント(完全FreundまたはRibiのいずれか)中の10〜50μgの可溶性融合タンパク質で、i.p.(腹腔内)免疫した。その後、免疫したマウスを、PBS中の1〜3×107細胞で2〜4週毎にi.p.でブーストした。動物を、2〜5ヶ月の間、プロトコル上で維持した。融合前に、動物を、約106細胞または10〜20μg可溶性抗原(融合タンパク質または融合タンパク質および細胞外フラグメント)で、−3日目および−2日目にi.v.(皮下)でブーストした。いくつかの動物にはまた、−4日目に融合タンパク質をi.v.で与えた。CTLA−4反応性IgGκモノクローナル抗体を生じる首尾よい融合が、種々の異なるプロトコル(細胞のみ、可溶性抗原のみ、ならびに、細胞免疫およびその後の融合前の可溶性抗原のi.v.供与を含む)によって免疫したマウスから得られた。【0248】(融合)脾臓細胞を、標準的な手順(HarlowおよびLane、1988、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor New York;Kennenttら、1980、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analysis、Plenum、New York;OiおよびHertzenberg、1980、Immunoglobulin Producing Hybrid Cell Lines、Selected Methods In Cellular Immunology、MishellおよびShiigi編、357−372頁、Freeman、San Francisco;Halk、1984、Methods in Enzymology:Plant Molecular Biology、WeissbachおよびWeissbach編、766−780、Academic Press,Orland、FL)によって、マウス黒色腫細胞(系統P3×63 Ag8.6.53、ATCC CRL1580またはSP2/0−Ag14、ATCC CRL1581)に融合させた。細胞を、DMEM(10% FBS、OPI(Sigma O−5003)、BME(Gibco 21985−023)、3% Origen Hybridoma Cloning Factor(Igen Ig50−0615)、および5%P388d1(ATCC TIB 63))馴化培地中で培養した。HATまたはHT補助剤を、最初の増殖および選択の間で培地に添加した。【0249】(ハイブリドーマスクリーニング)ヒトIgGκ抗体を分泌するハイブリドーマを同定するために、ELISAプレート(Nunc MaxiSorp)を、100μl/ウェルの、PBS中1μg/mlのヤギ抗ヒトFcγ特異的抗体(Jackson Immuno Research#109−006−098)で、4℃で一晩コートした。プレートを洗浄し、1% BSAを含有する100μl/ウェルのPBS−Tweenでブロックした。50μlの細胞培養上清を添加し、1〜2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、次いで、アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ(Sigma #A−3813または#A−7164)に結合体化したヤギ抗κ軽鎖100μl/ウェルと共に、1時間インキュベートした。プレートを、各工程の間で、PBS−Tween中で3回洗浄した。類似のアッセイを、ヒトCTLA−4と反応性のヒト抗体を分泌するハイブリドーマを同定するために使用した。このアッセイは、ELISAプレートを、ヤギ抗ヒトFcγ抗体の代わりに組換えCTLA−4融合タンパク質でコートしたことを除いて同じであった。【0250】(モノクローナル抗体の特徴付け)ヒトCTLA−4に結合するヒトIgGκを分泌することがELISAによって示された72個のハイブリドーマを、サブクローン化した。これらのサブクローンのうちの47個を、その分泌ヒト抗体がCTLA−4発現細胞に結合するか否か、およびその抗体がB7を発現する細胞への可溶性CTLA−4の結合を阻害するか否かを決定するために試験した。結合を、フローサイトメトリーによって決定した。阻害を測定するために、50μlの各上清を、105LtkmB7.1細胞および25ngの組換えCTLA−4融合タンパク質と共にインキュベートした。次いで、平均チャネル蛍光を、フローサイトメトリーによって決定した。図2は、B7.1を発現する細胞への可溶性CTLA−4の結合の阻害を示す。組換えヒトCTLA−4融合タンパク質で染色されたLtkmB7.1細胞の平均チャネル蛍光(MCF)を、ハイブリドーマ上清の存在下で決定した。ブロッキング抗体を分泌するハイブリドーマは、低いMCF値を生じる。BNI3.1(Cat#34580D、Pharmingen、San Diego,CA)を、CTLA−4/B7結合をブロックする、ポジティブコントロールマウスモノクローナル抗体として使用した。【0251】約40%のハイブリドーマが、B7リガンドへのCTLA−4結合を強力に阻害するようである。【0252】次いで、クローン10D1.3、4B6.12および11E8由来の抗体を、BIAコア(Biacore AB、Uppsala、Sweden)によってアッセイし、結合速度論を決定した。精製組換えCTLA−4細胞外フラグメントを、CM5センサーチップ@1200RUに結合させた。結合を、0.25、0.5、1、2.5および5μg/mlの濃度で、5μl/分の流速で抗体を添加することによって測定した。結合曲線を、BIA評価ソフトウェア(Biacore AB、Uppsala、Sweden)を使用するLangmuir結合モデルに当てはめた。抗体を、プロテイン−A Sepharoseクロマトグラフィーによって精製した。決定した結合速度(on rate)および解離速度(off rate)を、表2に示す:【0253】【表2】表2.表面上に固定した組換えCTLA−4に対するヒトIgGκ抗体の結合速度論。【0254】10個の異なるヒトIgGκ抗ヒトCTLA−4モノクローナル抗体(3A4、9A5、2E2、2E7、4B6、4E10、5C4、5G1、11E8および11G1)の段階希釈を、組換えCTLA−4融合タンパク質をコートしたマイクロタイターウェルに添加した。2時間のインキュベーション後、ビオチン化抗体11E8を、0.1μg/mlの濃度で各ウェルに添加した。サンプルを、30分間インキュベートし、洗浄し、そして結合抗体を、アルカリホスファターゼ/ストレプトアビジン結合体で検出した。力価を表3に示す。抗体11E8の結合は、それ自体およびこれらの他のヒト抗体のうちの7個によってブロックされた。しかし、結合は、抗体3A4によっても9A5によってもブロックされなかった。相互結合実験は、11E8結合が、CTLA−4への3A4および9A5の結合のいずれの結合もブロックしないことを示した。【0255】(DNA配列)RNAを、約2×106細胞の各サブクローン化したハイブリドーマ細胞系統から抽出し、そしてInbitrogen製の試薬およびプロトコル(Micro−FastTrackおよびcDNA Cycle:Cat.#L1310−01および#K1520−02、Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて、cDNAを合成するために使用した。ヒト免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖V領域のフラグメントを、pfuポリメラーゼ(Stratage,La Jolla,CA)、縮重FR1プライマーおよび固有の定常領域プライマーを使用して増幅した。得られたPCRフラグメントを、pCR−Bluntベクター(Invitrogen,Carlsbad、CA)にクローニングし、そしてそのインサートの配列を決定した。ハイブリドーマ10D1.3の重鎖および軽鎖フラグメントの先行の配列を、図4に示す。ハイブリドーマ10D1.3の重鎖および軽鎖フラグメントについて決定した配列を、図5〜図8に示す。【0256】表3.MAb 10D1、4B6および1E2についての軽鎖および重鎖のCDR配列【0257】【表3】(実施例4.インタクトな抗体を発現するための部分抗体配列の使用)抗体は、6つの重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を介して、標的抗原と優先的に相互作用する。この理由のため、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも、個々の抗体間でより多様である。CDR配列は、ほとんどの抗体−抗原相互作用を担っているので、特定の天然に存在する抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現することが可能である。これは、異なる特性を有する異なる抗体のフレームワーク配列にグラフティングされた(Grafted)、その特定の天然に存在する抗体由来のCDR配列を含む、発現ベクターを構築することによる(Jonesら、1986、Nature 321;522−525)。このようなフレームワーク配列は、生殖系列の抗体遺伝子配列を含む、公のDNAデータベースから得られ得る。これらの生殖系列配列は、成熟抗体遺伝子配列とは異なる。なぜなら、これらは、完全にアセンブルされた可変遺伝子を含まず、これらの完全にアセンブルされた遺伝子は、B細胞成熟の間のV(D)J連結によって形成されるからである。生殖系列遺伝子配列はまた、体細胞性の変異に起因して、高い親和性の二次レパートリー抗体の配列とは、個々のヌクレオチドで異なる。しかし、体細胞性変異は、可変領域にわたって均等に分布されない。例えば、体細胞性変異は、フレームワーク領域1のアミノ末端部分およびフレームワーク領域4のカルボキシ末端部分においては、比較的低頻度である。さらに、多くの体細胞性変異は、抗体の結合特性を有意に変更しない。この理由から、元々の抗体の結合特性に類似する結合特性を有するインタクトな組換え抗体を再現(recreate)するために、特定の抗体の全体のDNA配列を得ることは必要ではない(PCT/US99/05535(1999年3月12日出願)(これは、全ての目的のために本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。代表的には、CDR領域にわたる部分的な重鎖および軽鎖配列が、この目的に十分である。この部分配列を使用して、どの生殖系列の可変遺伝子セグメントおよび接合遺伝子セグメントが、組換え抗体可変遺伝子に寄与したかを決定する。次いで、生殖系列配列を使用して、可変領域の欠失部分を充填する。重鎖および軽鎖リーダー配列は、タンパク質成熟の間に切断され、最終的な抗体の特性に寄与しない。この理由のため、発現構築物のための対応する生殖系列リーダー配列を使用する必要はない。欠失している配列を加えるために、クローニングしたcDNA配列を、連結またはPCR増幅によって合成オリゴヌクレオチドを結合し得る。あるいは、可変領域全体を、短い重複オリゴヌクレオチドのセットとして合成し得、そしてPCR増幅によって結合し、合成可変領域クローン全体を作製し得る。このプロセスは、特定の制限部位の排除または組み込み、あるいは特定のコドンの最適化のような、特定の利点を有する。【0258】ハイブリドーマ由来の重鎖転写産物および軽鎖転写産物のヌクレオチド配列が、天然の配列と同一のアミノ酸コード能力を有する合成V配列を作製するために、合成オリゴヌクレオチドの重複セットを消化するために使用される。合成重鎖配列およびκ軽鎖配列は、3つの様式で、天然の配列とは異なり得:反復されたヌクレオチド塩基のストリングが、オリゴヌクレオチド合成およびPCR増幅を容易にするために中断され;最適な翻訳開始部位が、コザックの法則に従って取り込まれ(Kozak、1991、J.Biol.Chem.266、19867−19870);そしてHindIII部位は、翻訳開始部位の操作された上流である。【0259】重鎖可変領域および軽鎖可変領域の両方について、最適化されたコーディング鎖配列、および対応する非コーディング鎖配列が、30〜50個のヌクレオチドセグメントに破壊され、その結果、コーディング鎖配列に関するヌクレオチド間の破壊は、対応する非コードオリゴヌクレオチドのおよその中心点で生じる。従って、各鎖について、オリゴヌクレオチドは、所望の配列に完全にかかる重複した2本鎖のセットに集められ得る。これらのオリゴヌクレオチドは、150〜400個のヌクレオチドセグメントにおよぶプールに組み合わされる。次いで、このプールは、150〜400個のヌクレオチドのPCR増幅産物を産生するための鋳型として使用される。代表的に、単一の可変領域オリゴヌクレオチドセットが、2個の重複したPCR産物を生成するために、別個に増幅される2つのプールに分けられる。次いで、これらの重複産物が、PCR増幅により組み合わされ、完全な可変領域を形成する。発現ベクター構築物に容易にクローン化され得るフラグメントを生成するために、PCR増幅において、重鎖定常領域または軽鎖定常領域(κ軽鎖のBbsI部位、またはγ重鎖の場合、AgeI部位を含む)の重複フラグメントを含むこともまた、所望され得る。【0260】次いで、再構築された重鎖可変領域および軽鎖可変領域が、クローン化されたプロモーター配列、翻訳開始配列、定常領域3’未翻訳配列、ポリアデニル化配列、および転写終結配列と組み合わされ、発現ベクター構築物を形成する。重鎖発現構築物および軽鎖発現構築物が、単一のベクターに組み合わされ得るか、両方の鎖を発現している宿主細胞を形成するために次いで融合される宿主細胞に同時感染され得るか、連続感染され得るか、または別個にトランスフェクトされ得る。【0261】ヒトIgGkに関する発現ベクターの構築における使用のためのプラスミドが、以下に記載される。このプラスミドが構築され、その結果、PCR増幅されたV重鎖cDNA配列およびVκ軽鎖cDNA配列が、完全な重鎖ミニ遺伝子および軽鎖ミニ遺伝子を再構築するために使用され得る。これらのプラスミドが、完全なヒト、またはキメラの、IgG1k抗体またはIgG4k抗体を発現するために使用され得る。同様のプラスミドが、他の重鎖アイソタイプの発現のため、またはλ軽鎖を含む抗体の発現のために構築され得る。【0262】κ軽鎖プラスミド、pCK7−96(配列番号40)が、κ定常領域およびポリアデニル化部位を含み、その結果、開始メチオニンのHindIII部位上流を含む5’プライマーを用いて増幅されたκ配列が、HindIIIおよびBbsIを用いて消化され、そしてHindIIIおよびBbsIを用いて消化されるpCK7−96中にクローン化され、ポリアデニル化部位と共に完全な軽鎖コード配列を再構築し得る。このカセットは、HindIII/NotIフラグメントとして単離され得、そして細胞へのトランスフェクションの機能的ミニ遺伝子を作製さるために転写プロモーター配列に連結され得る。【0263】γ1重鎖プラスミド(pCG7−96)(配列番号41)が、ヒトγ定常領域およびポリアデニル化部位を含み、その結果、開始メチオニンのHindIII部位上流を含む5’プライマーを用いて増幅されるγ配列が、HindIIIおよびAgeIを用いて消化され、そしてHindIIIおよびAgeIを用いて消化されたpCG7−96にクローン化され、ポリアデニル化部位と共に、完全なγ1重鎖コード配列を再構築する。このカセットは、HindIII/SalIフラグメントとして単離され、そして転写プロモーター配列に連結され、細胞へのトランスフェクションに関する機能的ミニ遺伝子を作製し得る。【0264】γ4重鎖プラスミド、pG4HE(配列番号42)は、ヒトγ4定常領域およびポリアデニル化部位を含み、その結果、開始メチオニンのHindIII部位上流を含む5’プライマーを用いて増幅されるγ配列が、HindIIIおよびAgeIを用いて消化され得、そしてHindIIIおよびAgeIを用いて消化されたpG4HEにクローン化され、ポリアデニル化部位と共に、完全なγ4重鎖コード配列を再構築し得る。このカセットは、HindIII/EcoRIフラグメントとして単離され、そして転写プロモーター配列に連結され、細胞へのトランスフェクションのために、機能的なミニ遺伝子を作製し得る。【0265】多数の異なるプロモーター(CMV、ユビキチン、SRα、およびβアクチンを含む)が、再構築された重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子を発現するために使用され得る。例えば、ベクターpCDNA3.1+(Invitrogen,Carsbad,CA)が、上記のκ、γ1、またはγ4カセットのいずれかを用いた連結のために、HindIIIおよびNotI、XhoI、またはEcoRIのいずれかを用いて切断され、哺乳動物細胞に直接トランスフェクトされ得る発現ベクターを形成し得る。【0266】(実施例5.CTLA−4への10D.1結合)(A.精製された組み換えヒトCTLA−4への結合)精製された組み換えヒトCTLA−4への10D1の結合が、標準的な方法および手順を使用してELISAにより示された(図9および図10)。精製されたCTLA−4でコーティングされたマイクロタイタープレートが、10D1の濃度を変化させてインキュベートされ、次いで、アルカリホスファターゼに結合体化されヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2を用いて開発された。このデータは、4−パラメーター曲線に十分に一致する用量依存性結合を示す(相関係数は、−1.0である)。15ng/mlでの最大の半分の結合が、CTLA−4への10D1の高い結合能力に反映する。結合の飽和が、約0.1μg/mlで観察された。【0267】(B.T細胞の血漿膜上で発現されたCTLA−4への10D.1結合)T細胞の血漿膜上で発現されるCTLA−4への10D1の結合を示すために、フローサイトメトリーアッセイから図10において結果が示された。フローサイトメトリーアッセイが、抗レベルのヒトCTLA−4を発現するためにトランスフェクトされたT細胞株を用いて使用された。フルオレセインで標識された10D1(10D1−FITC)の濃度の変更が、58αβCTLA−4細胞と共にインキュベートされた。蛍光を結合された細胞が、フローサイトメトリーにより決定された。精製されたCTLA4と共に見られるように、10D1は、4−パラメーター平衡に十分に一致した用量依存性の様式でCTLA4発現細胞に結合した(相関係数は、−999である)。最大の半分の結合は、190ng/mlであり、そして飽和は、2μg/mlで達成された。10D1は、試験された任意のCTLA−4陰性細胞株(SKBR−3、BT474およびMCF10A乳癌上皮腫瘍およびL540ホジキン腫瘍細胞を含む)に結合しなかったか、またはマウスCTLA−4を発現している細胞に結合しなかった。これらのデータは、ヒトCTLAに対する10D1の特異性を示す。しかし、10D1は、アカゲザルCTLA−4と交差反応することが示された(以下を参照のこと)。【0268】(C.正常なヒト組織との10D1の交差反応性)この研究において、試験材料(article)(10D1−FITC)のフルオレセイン標識された形態が、結合を評価するために使用された。この研究の目的は、正常なヒト組織の凍結切片(cryosection)を用いて、10D1−FITCの潜在的な交差反応性を評価することであった。予期しない交差反応性は、観察されなかった。【0269】研究が、食品医薬品局優良実験室規範(GLP)規則(21 CFRパート58)に従って行われた。ヒト組織パネルが、EC CPMPガイドラインIII/5271/94のAnnex II「Production and quality control of monoclonal antibodies」における「交差反応性の免疫組織化学的調査のために使用されるヒト組織の提案されるリスト」上の全ての組織、および1997 US FDA/CBER「Points to Consider in the Manufacture and Testing of Monoclonal Antibody Products for Human Use」において推薦される全ての組織を含んだ。【0270】間接的な免疫ペルオキシダーゼ方法を使用して、10D1−FITCは、陽性コントロール、ヒトCTLA4発現細胞、58αβCTLA4CD3ζ細胞ならびにヒト扁桃腺において陽性コントロールリンパ球を特異的に染色した。10D1−FITC反応性が、強度に対して緩和され、そして抗体の2つの濃度が、調べられた(10μg/mlおよび2.5μg/ml)。陽性コントロール58αβCTLA4CDζおよび陽性コントロールヒト扁桃腺リンパ球の両方において、10D1−FITCは、膜および膜の直下の細胞質において別々の丸い顆粒を染色した。反応性は、臨時の小胞リンパ球、小胞内リンパ球、および上皮下のリンパ球を用いて観察された。全ての扁桃腺リンパ球の1〜2%未満が、10D1−FITCと反応性であった。【0271】10D1−FITCは、陰性コントロールヒト脳(小脳)と反応しなかった。アイソタイプ一致の陰性コントロール抗体(HulgG1−k−FITC)は、陽性コントロールヒトCTLA4−発現58αβCTLA4CD3ζまたはヒト扁桃性のいずれかに特異的に結合しなかったか;または陰性コントロールヒト脳(小脳)に特異的に結合しなかった。【0272】交差反応性を決定するために、10D1−FITCが、2つの濃度(10μg/mlおよび2.5μg/ml)で正常なヒト組織のパネルに適用された。特異的な10D1−FITC反応性は、扁桃腺(3/3ドナー)、結腸における粘膜下リンパ節(胃腸管−結腸[3/3ドナー])、および血液スミア(2/3ドナー)におけるリンパ球について観察された。【0273】免疫反応性細胞は、代表的な形態学(大核を有する丸い分子細胞:細胞質比および乏しい細胞質、樹状プロセスの欠如、直径が10〜15μm)および組織内の位置(例えば、リンパ球組織内の代表的な位置)に基づいて、リンパ球として同定された。全ての3人のドナー由来の扁桃腺(試験組織)において、リンパ球、10D1−FITCは、膜においておよび膜の直下の細胞質において別々の丸い顆粒を特異的に染色した。反応性は、臨時の小胞リンパ球、小胞内リンパ球、および上皮下のリンパ球を用いて観察される。全ての扁桃腺リンパ球の1〜2%未満が、10D1−FITCと反応性であった。【0274】調べられた1/3のドナーにおいて、10D1−FITCもまた、結腸における粘膜下のリンパ節(胃腸管−結腸[大腸])に位置する臨時の小胞リンパ球および小胞内リンパ球において、別々の顆粒を特異的に染色した。再び、別々の膜顆粒が、染色された。【0275】調べられた3個体のドナーのうち2個体由来の末梢血スメアにおいて、10D1−FITCが、希なリンパ球の膜と結合する直径約1μmの別々の顆粒を特異的に染色した。この顆粒は、環または曲がったパターンで配置された。全ての末梢血白血球の1〜2%未満が、10D1−FITCと反応性であった。【0276】(表4 正常ヒト組織とのMAb 10D1の交差反応性)【0277】【表4】(D.マカクCTLA−4との10D.1の特異的反応性)高レベルでマカクCTLA−4を発現するように形質転換したT細胞を用いて、マカクCTLA−4との特異的反応性を実証した(表5)。これらのデータは、10D1についてのCTLA−4エピトープが、マカクとヒトとの間で保存されており、従ってマカクは、抗CTLA4 HuMAb 10D1のインビボ安全性を評価するのに良好なモデルであることを示唆する。【0278】【表5】MAb 10DI(10μg/ml)を、種々の種由来の組換えCTLA−4を発現する細胞株とともにインキュベートし、そしてFITC抗ヒトIgGによって検出した。細胞に関した蛍光をFACScanによって決定し、そして平均蛍光強度(MFI)として報告した。これらのデータは、MAb 10D1がマカクおよびヒトCTLA−4と十分に反応するが、マウスCTLA−4とは反応しないことを示す。【0279】(実施例6.CTLA−4がB7リガンドに結合することの10D1によるブロック)CTLA−4に対する10D1の結合がCTLA−4とCTLA−4リガンド(B7.1およびB7.2)の相互作用をブロックすることを示すため、フローサイトメトリーによって競合アッセイを実施した(図11および図12)。図11に示すように、FITC標識ヒトB7.2−Ig融合タンパク質を58αβCTLA4 T細胞および種々の濃度の10D1 MAbとともにインキュベートした。図12において、FITC標識CTLA4−Ig融合タンパク質をマウス B7.1形質転換細胞および種々の濃度の10D1 MAbとともにインキュベートした。【0280】この競合アッセイは、10D1が、低濃度(1〜10μg/ml)でCTLA4−B7相互作用を効率的に阻害する能力を実証する。効果的な濃度は、かなり低い濃度のCTLA−4およびB7分子を有する生理学的な条件下では、生じる可能性がかなり低い。ELISAアッセイにおいてビオチン化試薬を用いて、同様のデータを得た。【0281】これらのインビトロ研究によりMAb 10D1が高い親和性および特異性でヒトCTLA−4に結合すること、ならびに10D1の結合が、B7同時刺激分子とCTLA−4との間の相互作用を排除することが実証される。10D1についてのこれらのデータは、マウス腫瘍モデルにおいて有効性を示した抗マウスCTLA−4抗体についてのインビトロ活性プロフィールと一致する。【0282】(実施例6.10D.1のエピトープマッピング)ビオチン標識抗体および非標識抗体を用いて競合的ELISAを実施し、CTLA−4エピトープ特異性を決定した。4つの抗CTLA−4エピトープ結合基をヒト抗体の間で同定し、そして市販のマウスモノクローナル抗体BN13(Pharmingen,San Diego,Ca)および8H5(Ancell Corp.Bayport,Mn)によってさらなる2つのエピトープを規定した。図3および13A〜13Gは、CTLA−4に対する結合について抗体の間の示差的競合を実証する競合的結合アッセイの結果を示す。これらの結果を表6にまとめる。【0283】抗CTLA−4エピトープ結合基4aおよび4bにおける抗体は、類似の結合特性を有し、そしてさらに細胞表面で発現されたB7.1に対するCTLA−4−Ig結合の強力なブロッカーである(表6)。例えば、図3は、ビオチン標識11E8抗体および10の非標識抗体(3A4、9A5,2E2,2E7、4B6、4E10、5C4、5G1、11E8および11G1)での結果を示す。抗体11E8結合は、それ自体、ならびにエピトープ基4aおよび4bにおける他のヒト抗体のうち7つでブロックされる。しかし、11E8の結合は、抗体3A4または9A5(エピトープ基1および2)によってはブロックされない。相互の結合実験は、11E8結合がCTLA−4に対する9A5または3A4結合のいずれかをブロックしないことを示した(図13Aおよび13B)。エピトープ基4a抗体10D1およびマウス抗体147について同様の結果が示される(図13Dおよび13F)。エピトープ基4bにおける抗体(図13E)は、エピトープ4b抗体が、相互の結合実験においてエピトープ基2抗体と競合する(図13B)こと以外は、基4a抗体と同様である。エピトープ基3、4aおよび4bに属するヒト抗体は、CTLA−4/B7.1結合の効果的なブロッカーである(図3および表6)。【0284】【表6】(実施例7.10D1は、ヒト活性化T細胞に結合する)10D1抗体が正常ヒトT細胞により発現されるCTLA−4に結合する能力を、得られたそして活性化されたT細胞のフローサイトメトリー分析により試験した(図14)。2×106/mlの新鮮単離したヒト末梢血単球細胞を、2μg/mlのT細胞窒素、フィトヘムアグルチニン(PHA)の存在下または非存在下でインキュベートした。4日間のインキュベーション後、細胞を洗浄して、以下の抗体で染色した:1)抗体なし;2)HuIgG1−FITC、ヒトIgG1および抗EGFレセプター抗体;3)10D1−FITC、ヒトIgG1抗CTLA−4抗体;ならびに4)147−FITC−マウス抗ヒトCTLA−4抗体。1時間のインキュベーション後、細胞を洗浄し、そしてウサギ抗FITC IgG、続いて、ヤギ抗ウサギ−PEを用いて染色した。前方散乱対側方散乱によってゲートしたリンパ球上で分析を実施した。図14に示されるように、休止しているリンパ球は、10D1抗体に結合せず、一方、PHA−活性化T細胞は、細胞表面で低レベルのCTLA−4を発現する。【0285】(実施例8.10D1は、活性化T細胞の補体依存性または抗体依存性の溶解を媒介しない)MAb 10D1が、CTLA−4発現細胞の補体依存性細胞傷害性(CDCC)または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介する能力を検討した。【0286】CDCC実験のために、補体の供給源としてウサギ血清を用いて、CDCCについての至適条件を提供する。ウサギ補体は、ヒト補体よりもヒトIgG1でのCDCC媒介においてより有効であることが示された(Jurianz,Maslakら、1999)。PHA刺激T細胞を、51Crで標識し、そして補体の供給源として、ウサギ血清とともに、またはウサギ血清なしで、種々の濃度の抗CTLA4 MAb 10D1または抗CD3 MAbとともにインキュベートした。1時間のインキュベーション後、死亡する細胞によって放出された51Crを、γカウンターを用いて決定した。2%SDSでインキュベートした標的細胞を100%の溶解コントロールとして使用した。抗CTLA−4 MAb 10D1は、活性化T細胞のCDCCを媒介しなかった(図15)。同じ条件下で、マウスIgG2、抗CD3 MAbは、有意なCDCCを導いた。マウスIgG2aおよびヒトIgG1の両方とも、ウサギ補体を効率的に固定する;従ってこれらの差異は、おそらく、活性化されたT細胞上でCD3に比較して大きく低下したCTLA−4の発現を反映する。【0287】同様に、エフェクター細胞として自系の単核細胞を用いて、MAb 10D1についてADCC活性は観察されなかった(図16)。PHA刺激T細胞を51Crを用いて標識し、そして種々の濃度の抗CTLA4 MAb 10D1または抗CD3 MAb、および新鮮な自系の単核細胞とともにインキュベートした。エフェクター細胞対標的細胞の比は100:1であった。4時間のインキュベーション後、死亡する細胞によって放出された51Crを、γカウンターを用いて決定した。2%SDSでインキュベートした標的細胞を100%の溶解コントロールとして使用した。抗CD3 MAbはマウスIgG2a(ヒトエフェクター細胞でADCCを効率的に媒介し得る)であるが、低レベルのADCCしか観察されなかった。これらのデータは、効率的なADCCについて標的細胞の表面上で必要な高レベルの抗原発現と一致する。MAb 10D1は、一般に、ヒトIgG1であり、アイソタイプは、CDCCおよびADCCを媒介し得るので、これらの活性化の欠失は、活性化T細胞上の非常に低レベルのCTLA−4発現に起因する可能性が高い。さらに、霊長類での毒性研究において活性化されたT細胞の数の増加が観察され(以下参照)、これは、インビボでのMAb 10D1による活性化T細胞のADCC活性およびCDCC活性の欠失と一致する。【0288】(実施例9.カニクイザルにおける10D1の前臨床毒性試験)10D1抗体およびマカクの2つの独立した毒性学的研究を実施した。全8匹のサルを分析した。重大な臨床的、免疫毒性学的、または組織病理学的知見なしに、4匹のサル(雄性2匹および雌性2匹)は、3回ボーラスのi.v.用量の3mg/Kgのヒト抗CTLA4に耐え、そして4匹のサル(雄性2匹および雌性2匹)は、3回ボーラスi.v.用量の10mg/Kgのヒト抗CTLA4に耐えた。【0289】(A.10D1の霊長類毒性学研究(3.0mg/Kg))インビボで10D1の効果を検討するため、霊長類の毒性研究を2匹のマカクを用いて実施した。MAb 10D1の複数用量の毒性研究において、この抗体をマカクの静脈注射によって投与した。この研究の目的は、ある用量を与えた2匹のサルにおけるMAb 10DIの耐性、およびマウス腫瘍後退モデルにおける有効な処置と適合可能なスケジュール、およびヒト臨床試験における推奨用量を決定することであった。2匹の雌性カニクイザル(Macaca fascicilaris)を、1、4および7日目の、3回の静脈ボーラス用量の3.0mg/Kg 10D1で処置して、これらの動物における安全性およびT細胞活性化を評価した。初回の用量の投与後、14日までの有害反応、体重低下/上昇、ならびに疾病率および死亡率のいずれかについて、これらの動物を観察した。最終用量の7日後に、この動物を屠殺して、剖検し、その器官を個々に検討した。血液サンプルを、フローサイトメトリーによるT細胞集団および活性マーカーの発現の試験のために、各用量の前および剖検の前に収集した。血漿をまた血液サンプルから収集し、ELISAによって10D1抗体レベルおよび抗10D1抗体応答を決定した。【0290】この動物は、処置経過の間、なんの臨床的症状もなしに抗体10D1の3回用量を耐えた。これらの動物の体重は、有意に変化しなかった。いずれの動物での剖検についても試験された47の器官/組織でひどい知見は証明されなかった。【0291】組織病理学研究を、Redfield研究所(Redfield,AR)で行った。これらの研究の結果は、MAb 10D1の複数の投薬は、試験されたいずれの器官および組織においても、急性毒性を生成しなかったことを示した。【0292】薬物動態学的分析は、両方のサルの血漿中の有意なレベル(97.3μg/mlまで)の10D1 MAbの存在を示した(表7を参照のこと)。10D1の血漿レベルは、フローサイトメトリーおよび58αβCTLA−4 T細胞を使用して、FITC−10D1との競合アッセイによって決定した。【0293】【表7】抗10D1抗体応答の評価は、ELISAによって行った。有意な抗10D1応答は、この研究の経過中、いずれの動物においても観察されなかった(図17)。マイクロタイタープレートを、10D1 MAb(IgMアッセイ用)または10D1 F(ab’)2(IgGアッセイ用)でコーティングした。様々な時点の結晶サンプルの希釈物を、このプレートを用いてインキュベートし、そして抗10D1抗体を、抗IgMまたはIgG Fc特異的アルカリ性ホスファターゼ試薬を使用して検出した。IgM抗10D1抗体は、14日目までに発生したようであるが、力価は非常に低い。これらのデータは、これらのサルが抗体の3回の投薬の後の抗10D1抗体応答を発生しなかったことを示した。【0294】これらのデータは、これらの動物が、この研究の経過の間、MAb 10D1に対する有意な抗体応答を発生しなかったことを示す。【0295】免疫毒物学を、この研究の経過の間、リンパ球集団のフローサイトメトリー分析によって研究した。試験されたリンパ球サブセットは、全T細胞に対するマーカーとしてCD3を含み、全B細胞に対するマーカーとしてCD20を含んだ。T細胞は、CD4(ヘルパーT細胞マーカー)およびCD8(細胞傷害性T細胞マーカー)の発現のため、ならびに活性化マーカーCD25、CD29、CD69、およびHLA−DRのためにさらに細分化された。T細胞集団または活性化マーカーの発現の著しい変化は見られなかった。その結果を以下の表8にまとめる。【0296】【表8】ヘパリン化した血液サンプルを、FITCまたはPE標識した抗リンパ球試薬を使用してフローサイトメトリーによって分析した。%CD3および%CD20は、リンパ球ゲートに基づく。さらなるT細胞マーカーおよび活性化マーカーは全てCD3陽性細胞に基づく。これらのデータは、MAb 10D1がB細胞およびT細胞集団、またはT細胞活性化マーカーに対して有意な効果を有さないことを示す。【0297】(B.10D1 霊長類毒物学研究(3.0mg/Kgおよび10.0mg/Kg)6匹のカニクイザル(4匹の雄および2匹の雌)(実験的に処理され、この研究の開始時の体重は2.4〜3.8kgであった)を、以下の表9に示されるような処置群に割りあてた。【0298】【表9】各動物に、1週間の間3日ごとの静脈内注射(すなわち「スロープッシュ」ボーラス注射)によってヒト抗CTLA4(5mg/mlの濃度)の用量を投与した。詳細な臨床観察は、一日に少なくとも2回行い(「ケージサイド観察」)、そして徹底的な物理試験を、この研究の前および12日目に各動物に行った。体重を週毎(研究前、7日目および14日目)に測定し、そして検眼鏡検査試験を、研究前および12日目に全ての動物について行った。血漿化学、血液学および凝固パラメーターの評価のための血液サンプルを、研究前および14日目に全ての動物から収集した。選択した血液学的パラメーターのためのさらなるサンプル(全血細胞および白血球分画細胞のみ)を、各投薬日(1、4および7日目)に、投薬する前に収集した。標準尿検査のための尿サンプルを、投薬前および13日目に、特別に設計されたケージパンからのドレナージによって得た。血液サンプルをまた、各投薬(1、4および7日目)、および終了前(14日目)に、Medarexによって行われる様々な分析のために回収した。これらは、試験物濃度の分析物(薬物動態学)、試験物に対する抗体の存在の決定、およびフローサイトメトリー分析を含んだ。全ての動物を14日目に安楽死させ、この時点において、完全肉眼的検死を行い、主な器官を計量し、そして組織の標準完全セットを各動物から回収し、そして光顕微鏡によって試験のために処理した。【0299】3日ごとに、合計3回の用量で3mg/kgおよび10mg/kgの用量レベルのヒト抗CTLA4を静脈内投与することは、カニクイザルによる非常に良好な耐性を示した。ケージサイド観察および物理試験の毒性の臨床的徴候はなく、そして体重、肉眼試験検査、臨床病理学パラメーター、肉眼検死検査、器官重量または組織形態学に対する影響はなかった。【0300】血漿サンプル中の試験物濃度の分析の結果(すなわち、4および7日目の投薬前、ならびに14日目の検死の前に得たサンプルにおいて測定されたトラフレベル)は、試験物に対する用量依存性暴露を示した。7日目に、投薬前の平均濃度は、3mg/kg用量の群、および10mg/kg用量の群についてそれぞれ、約84μg/mlおよび240μg/mlであった。【0301】サルにおける3日ごとの投薬スケジュールの血漿中への試験物の蓄積の可能性を、4日目と7日目との間のトラフレベルの差(すなわち、7日目の平均濃度はは、4日目のものの約2倍高かった)、ならびに14日目(最後の投与の1週間後)の高い残留レベル(これは7日目のトラフレベルと同じであった)から証明した。試験物に対する抗体形成の証拠は、6匹の研究動物のうちの2匹(1群から1匹、他方は2群から)で検出された。前者の場合、抗体応答は、循環からの試験物のクリアランスに影響を与え得るようであった。リンパ球サブセットのフローサイトメトリー分析は、1日目と14日目との間の全CD3陽性細胞の適度な増加を示し、これはCD3/CD4陽性細胞の増加、およびCD3/CD8陽性細胞(2群のみ)のそれぞれの減少に相関した。CD29およびHLA−DRを中程度に発現するCD3細胞の割合は、この研究の経過中に増加し、このことは、CTLA4抗体が抗原特異性T細胞を増強し得るという以前の知見と一致した。【0302】結果として、循環するリンパ球亜集団の小さな変化を除いて、この研究において試験された最も高い用量レベル(すなわち、10mg/kgの3回の投薬を3日間隔で与える)は、カニクイザルにおいて全く効果のない用量レベルであった。【0303】(実施例10. 前立腺癌(MDXCTLA4−01)および黒色腫(MDXCTLA4−02)におけるMAb 10D1のI期ヒト臨床試験)MDXCTLA4−01は、進行性、転移性、ホルモン性の難治性の前立腺癌を有する患者における、抗細胞傷害性Tリンパ球関連抗原−4(抗CTLA−4)モノクローナル抗体10D1(MAb 10D1)のオープンラベル(open−label)研究である。処置は注射液として3.0mg/Kgの投薬量で静脈内投与される、単回用量のMAb 10D1である。【0304】この試行の目的は、(i)MAb 10D1の投与が非特異性T細胞活性を生じるか否かを決定すること、(ii)これらの患者におけるMAb 10D1についての安全性/耐性特性を証明すること、および(iii)MAb 10D1の薬力学的特性を決定し、MAb 10D1に対する宿主免疫応答の発生を評価することである。さらに、この研究は、効力の予備的な証拠を同定することを試みる。この研究は、14人の被験体における単回用量のMAb 10D1の多中心性オープンラベル研究である。この研究は、4つの段階からなる:スクリーニング、注入、注入後、および追跡(以下の表10を参照のこと)。【0305】【表10】前立腺の一次腺癌、およびアンドロゲン欠失後の前立腺の進行性の転移性癌であると組織学的診断された患者、ならびに少なくとも1つの全身性非ホルモン性操作された患者を、この研究における関連についてスクリーニングした。被験体は、進行性の転移性疾患、進行性PSA、PSA>5ng/ml、テストステロン <50ng/dl、一次性腺アンドロゲン抑制、余命 >12週、およびKarhofsky Performance Status 60%以上を有さなければならない。【0306】被験体は、血液学的機能診断、生物学的機能診断および免疫機能診断のために、身体検査、ECG、胸部放射線学、画像診断、および血液サンプリングを受け、そしてバイタルサインをモニタリングされる。毎月の電話インタビューを使用して、処置後6ヶ月まで、有害事象(疾患の進行後の自己免疫の有害事象を含む)のサブセットに関する情報を収集および記録する。PSA(減少、減少の持続時間、進行、進行の時間)、および疾患応答(完全、部分的、安定な進行)をモニタリングする。MAb 10D1の血漿濃度を、注射の直前、注射の間、およびその2ヶ月後までで評価する。【0307】処置された4人の前立腺癌被験体のデータを表11に示す。有害事象は記録されなかった。処置された全ての被験体について、MAb 10D1は非常に耐性であるようである。【0308】この試験における患者の免疫状態をモニタリングする重要性、および抗CTLA−4抗体によるT細胞活性化に対する一般化された効果をモニタリングする特定の目的のために、この研究におけるエントリー基準は、それぞれ500/ml以上および500/m以上の最小レベルのCD4細胞およびCD8T細胞を含んだ。しかし、この研究における最初の発生の間、前立腺癌患者は、T細胞数を有意に減少したが、CD4およびCD8T細胞は明らかに存在することが観察された。多くの患者は、初めに上記のエントリー基準に基づいて拒絶された(表11を参照のこと)。明らかに減少した観察されたT細胞数は、これらの患者における癌ワクチン接種を包含する処置において関連性を有し得る前立腺癌患者において以前に示されていない知見である。これらの観察に続いて、エントリー基準を、それぞれ300/mml以上および200/ml以上のCD4数およびCD8数を有する患者を含むように補正した。【0309】MAb 10D1の投与が所望しない非特異的T細胞活性化を引き起こし得るか否かを評価するために、前立腺癌の被験体由来の末梢血リンパ球を、以下のマーカーの各々についてフローサイトメトリーによって分析した:CD4、CD8、CD25、CD44、CD69、およびHLA−DR。血液サンプルを、表10に示される時点で採取した。ここまでは、処置された前立腺癌被験体の各々についての処置の経過の間、これらのマーカーのいずれの頻度の有意な変化も観察されなかった。この分析の例を表12に示す。これは被験体のうち2人におけるMAb 10D1投与の前、間および後における、CD4、CD25、CD69陽性細胞、およびCD8、CD25、CD69陽性細胞の頻度を示す。これらのデータは、MAb 10D1が非特異的T細胞活性化を生じないことを示す。【0310】表12.3.0mg/Kg MAb 10D1で処置された前立腺癌被験体におけるT細胞活性化マーカーのフローサイトメトリー分析【0311】【表11】IV段階悪性黒色腫を有する被験体において、MAb 10D1を使用する第二の臨床試験(MDXCTLA4−02)もまた、開始されている。MAb 10D1の単一用量が、3.0mg/Kgの投薬量で、輸液として、静脈内投与される。この研究はまた、上の、表9に記載されるように4つの段階(スクリーニング、注入、注入後および経過観察)からなる。【0312】この研究の目的は、前立腺癌における上記研究に関するもの、ならびにIV段階悪性黒色腫を有する患者におけるMAb 10D1についての安全性/耐容性プロフィールを具体的に確立することである。1人の患者が、この研究において処置されている(表13を参照のこと)。前立腺癌の研究においてと同様に、MAb 10D1は、十分に許容的であるようである。この被験体におけるT細胞活性化マーカーのフローサイトメトリー分析(前立腺腫瘍試験に対して実施された分析に類似する)はまた、非特異的T細胞活性化の証拠を示さなかった。【0313】【化1】【図面の簡単な説明】【図1】 図1は、μ1エクソンのSmaI部位へのneoカセットの標的化された挿入を概略的に示す。図1A)μ座のゲノム構造の概略図である。黒塗りボックスは、μエクソンを示す;図1B)CmD標的ベクターの概略図。点線は、構築物に含まれるこれらのゲノムμ配列を示す。プラスミド配列は示されていない;図1C)neoカセットがμ1に挿入された標的化されたμ座の概略図。右下のボックスは、標的構築物とμ座との間の相同組換えのこれらのRFLP診断を示す。RFLPはプローブAを用いてサザンブロットハイブリダイゼーションによって検出し、915bpのSacIフラグメントを図1Cに示す。【図2】 図2は、以下に詳細に記載されるように、ヒトCTLA−4に対する可溶性ヒト配列抗体が、マウスB7.1を発現する細胞への組換え可溶性ヒトCTLA−4の結合を阻害することを実証する実験の結果を示す。【図3】 図3は、以下に詳細に記載されるように、ヒトCTLA−4の非重複エピトープを認識する本発明のヒト配列抗体を同定するための競合結合アッセイの結果を示す。【図4】 図4は、抗CTLA−4抗体10D1.3の重鎖および軽鎖フラグメントについての予備的なヌクレオチド配列データを示す。【図5】 図5は、抗ヒトCTLA−4抗体の軽鎖可変領域(VK)のヌクレオチド配列を示す。VKA−27生殖系列配列(配列番号4)に由来する抗CTLA−4抗体10D1(配列番号6)および4B6(配列番号8)を図の上部に記載する。VKL−15生殖系列配列(配列番号10)に由来する抗CTLA−4抗体1E2(配列番号12)を図の下部に示す。3つの抗CTLA−4抗体のVK配列をそれらの生殖系列がコードされたVK遺伝子配列とアライメントした。相補的な決定残基(CDR)を標識した。ダッシュは配列同一性を示す。【図6】 図6は、抗ヒトCTLA−4抗体の重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列を示す。VH3−30.3生殖系列配列(配列番号14)に由来する抗CTLA−4抗体10D1(配列番号16)および4B6(配列番号18)を図の上部に示す。VH3−33生殖系列配列(配列番号20)に由来する抗CTLA−4抗体1E2(配列番号22)を図の下部に示す。3つの抗CTLA−4抗体のVH配列をそれらの生殖系列コード配列とアライメントする。相補的な決定残基(CDR)を標識する。ダッシュは配列同一性を示す。【図7】 図7は、抗ヒトCTLA−4抗体の軽鎖可変領域の推定アミノ酸配列を示す。図5に記載される抗CTLA−4抗体の推定アミノ酸VK配列を示す。VKA−27生殖系列配列(配列番号5)に由来する抗CTLA−4抗体10D1(配列番号7)および4B6(配列番号9)を図の上部に示す。VKL−15生殖系列配列(配列番号11)に由来する抗CTLA−4抗体1E2(配列番号13)を図の下部に示す。【図8】 図8は、抗ヒトCTLA−4抗体の重鎖可変領域の推定アミノ酸配列を示す。図6に記載される抗CTLA−4抗体の推定アミノ酸VH配列を示す。VH3−30.3生殖系列配列(配列番号15)に由来する抗CTLA−4抗体10D1(配列番号17)および4B6(配列番号19)を図の上部に示す。VH3−33生殖系列配列(配列番号21)に由来する抗CTLA−4抗体1E2(配列番号23)を図の下部に示す。【図9】 図9は、ELISAによるMAb10D1の組換えヒトCTLA−4への結合実験の結果を示す。MAb10D1は、用量依存性および飽和速度で、精製された組換えCTLA−4に結合する。【図10】 図10は、10D1のCTLA−4発現T細胞株への結合を示す。これらのデータは、MAb10D1が、用量依存性および飽和速度で、CTLA−4発現細胞に結合することを示す。【図11】 図11は、ヒトB7.2IgのCTLA4発現T細胞への結合の阻害を示す。これらのデータは、コントロールヒトMAbと比較して、MAb10D1は、B7.2のCTLA−4への結合を効率的に阻害し得ることを示す。【図12】 図12は、CTLA−4−FITCがマウスB7.1発現細胞に結合するのを阻害する結果を示す。これらのデータは、コントロールヒトMAbと比較して、MAb10D1は、CTLA−4のB7.1への結合を効率的に阻害し得ることを示す。【図13】 図13は、エピトープ群分類を示す抗CTLA−4ヒトMAbの競合ELISAを示す。【図14】 図14は、PHAで刺激したT細胞におけるCTLA−4発現を示す。活性化された、休止していないT細胞は、細胞表面で、低いが検出可能であるレベルのCTLA−4を発現する。【図15】 図15は、活性化T細胞の相補体依存性溶解におけるMAb10D1の結果を示す。PHAで活性化されたT細胞の溶解は観察されなかった。【図16】 図16は、活性化T細胞の抗体依存性溶解におけるMAb10D1の結果を示す。PHAで活性化されたT細胞の溶解は、10D1および単核細胞では、観察されなかった。【図17】 図17は、10D1抗体で注射されたカニクイザルにおける抗10D1IgMおよびIgG応答を示す。10D1に対する有意な抗体応答は観察されなかった。【図18】 図18は、処置された4人の前立腺癌被験体のデータである表11を示す。【図19】 図19は、IV段階悪性黒色腫を有する患者におけるMAb 10D1についてのデータである表13を示す。 以下: (a)配列番号17に記載のアミノ酸を有する重鎖可変アミノ酸配列;および (b)配列番号7に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変アミノ酸配列、を含むヒトモノクローナル抗体であって、ここで、該抗体は、ヒトCTLA4に結合し得る、ヒトモノクローナル抗体。 請求項1に記載の抗体をコードする、単離された核酸であって、ここで、該核酸は、配列番号6および16に記載の核酸配列を含む、核酸。 請求項2に記載の核酸を含む、ベクター。 前記ベクターがプラスミドベクターまたはウイルスベクターである、請求項3に記載のベクター。 請求項3または4に記載のベクターによって形質転換された、単離された組換え宿主細胞。 請求項1に記載の抗体を産生し得るように改変された、単離された細胞または細胞株。 請求項3または4に記載のベクターによって形質転換された、請求項6に記載の単離された細胞または細胞株。