タイトル: | 特許公報(B2)_モキシフロキサシン/塩化ナトリウム製剤 |
出願番号: | 2001514981 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/4709,A61K 9/08,A61K 47/02,A61P 31/04 |
キユーン,ベルント マーラー,ハンス−フリードリヒ アイゼレ,ミヒヤエル JP 5522877 特許公報(B2) 20140418 2001514981 20000725 モキシフロキサシン/塩化ナトリウム製剤 バイエル・インテレクチユアル・プロパテイー・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング 512301743 特許業務法人小田島特許事務所 110000741 キユーン,ベルント マーラー,ハンス−フリードリヒ アイゼレ,ミヒヤエル DE 199 37 116.4 19990806 20140618 A61K 31/4709 20060101AFI20140529BHJP A61K 9/08 20060101ALI20140529BHJP A61K 47/02 20060101ALI20140529BHJP A61P 31/04 20060101ALI20140529BHJP JPA61K31/4709A61K9/08A61K47/02A61P31/04A61P31/04 171 A61K 31/4709 , A61K 9/08 , A61K 47/02 , A61P 31/04 , 特表平7−501546(JP,A) 特表平11−92375(JP,A) 国際公開第90/13542(WO,A1) 特開平1−258620(JP,A) H.M.Siefert et al.,Pharmacokinetics of the 8−methoxyquinolone,moxiflocacin;tissue distribution in male rats,J.Antimicrob.Chemother.,1999年 5月,vol.43,Suppl,2,pp,61−67 Ostergaard,Christian et al.,Evaluation of Moxiflocacin,a New 8−Methoxyquinolone,for Treatment of Meningitis Caused by a penicillin Resistant Pneumococcus in abbits, Anticrobial Agents and Chemotherapy,1998年 7月,vol.42,No.7,pp.1706−1712 5 EP2000007098 20000725 WO2001010465 20010215 2003506416 20030218 11 20070718 2012009705 20120525 田口 昌浩 加賀 直人 穴吹 智子 本発明は、塩酸モキシフロキサシンと塩化ナトリウムから成る水性製剤、医薬品として使用するための水性製剤、並びに、人または動物の細菌感染症の予防または治療用医薬品を調製するための該水性製剤の使用に関する。 モキシフロキサシン(INN−国際非所有名(International Nonproprietary Name))は、以下の一般式のキノロンカルボン部類の抗生物質である: 1−シクロプロピル−7−([S,S]−2,8−ジアザビシクロ[4. 3.0]ノン−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−8−メト キシ−4−オキソ−3−キノロンカルボン酸 本物質は、非常に有効な抗感染薬であり、EP−A−0350733に初めて記述された。しかし、EP−0350733は、非経口投与に適した医薬製剤については記述していなかった。だが、経口的に投与できない集中治療室で患者を治療するには、非経口的に投与できる上記の注入(infusion)用溶液が必要とされる。 受け入れられる注入用溶液を配合するには、浸透圧を生体の生理的条件に合わせることが必要である(Sucker/Fuchs/Speiser;Pharmazeutische Technologie)。比較的著しい低または高浸透圧の変動は、赤血球損傷および/または組織刺激をきたす可能性がある。比較的強い低浸透圧溶液の静脈内投与は、溶血を招き、大量の高浸透圧溶液の投与は、原形質分離を招く。低浸透圧溶液は、血液または組織液中に存在するよりも少ない溶解分子またはイオンを含有する。この場合、等張化剤(Bauer/FrOemming/Fuhrer;Pharmazeutische Technologie)を添加して等張化しなければならない。270−350mOsmol/kgの範囲が等張として適していると見なされている。 市販の等張液は、例えば、5%濃度(strength)のグルコース溶液または0.9%濃度の塩化ナトリウム溶液である。 EP−A−0534860は、例えば、アスコルビン酸のようなモノカルボキシル−ポリヒドロキシ酸またはそれらのラクトンとの、並びに、等張化剤としてのグルコースまたはグリセロールとのキノロンカルボン酸抗生物質スパルフロキサシンの製剤について記述している。発明は、モノカルボキシル−ポリヒドロキシ酸によるスパルフロキサシンの溶解度を改善し、受け入れられる、適切な濃度の等張または高張製剤を入手することに基づいている。 US−A−5,563,149は、すぐに使用できる注射または点滴用溶液あるいは注射または点滴用濃縮液として、抗生物質であるピリドンカルボン酸およびそのエステルおよび塩の水溶液の製剤について記述している。等張化剤について、または、製剤の張性についての詳細は、示されていない。前記の発明の目的は、前述のピリドンカルボン酸の溶解度を改善することである。 EP−A−0507851は、キノロンカルボン酸/金属イオン酸錯体から成る製剤について記述している。マグネシウムイオン、カルシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン、アルミニウムイオン、セリウムイオンまたは鉄イオンの形で多価金属イオンを添加すると、中性pHで錯体を形成した結果、有効物質の溶解度が増加することが認められている。前記の製剤は、等張化用のグルコースが存在する場合でさえ、化学的、物理的に安定であると記述されており、中性pHによって認容性が改善される。 US5,811,130は、ダノフロキサシンとの金属イオン錯体について記述しており、その場合、錯体形成に特にマグネシウムイオンおよび亜鉛イオンを使用し、それによってダノフロキサシンの溶解度がかなり増加している。水中での金属イオン/有効物質錯体の溶解度を改善することで初めて成功する皮下注射用の高有効物質濃度との製剤を記述している。 さらに、US5,084,276は、有効物質のテマフロキサン、トキシフロキサンまたはペフロキサシンと錯体を形成する、例えば、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛、カドミウム、2価鉄および3価鉄または6価セリウムの各イオンとのキノロンカルボン酸/金属イオン錯体の使用を説明しており、その場合、静脈刺激を軽減するため、有効物質錯体を、賦形剤と合わせて使用している。前述の非経口点滴用製剤は、グルコースで等張化されている。発明が解決しようとする課題 モキシフロキサシンの開発研究中、驚くべきことに、モキシフロキサンの場合、5%市販グルコースまたは他の糖または2.5%グリセロールのような糖アルコールの添加による等張化が、不安定な溶液を生じることが認められた。この不安定性は、その数が薬局方(USP XXIII、BP93)の許容範囲を越える、溶液中のサブビジュアル(subvisual)粒子の発生によって明らかとなる。貯蔵中、茶色の無晶質の粒子が形成されるが、これは、40℃で4−8週間後にようやく起こることが多く、その数は、貯蔵中、さらに増加する。室温で、または、冷蔵庫貯蔵時、これらの粒子の形成は、遅くなる。粒子形成は、モキシフロキサンおよび/またはその塩と糖またはグリセロールのような糖アルコールとの間の3倍の相互作用によって引き起こされると判明した。キノロンカルボン酸非経口製剤の同様の現象は、これまで知られていなかったので、これは驚きであり、特に、EP0507851、US5,811,130およびUS5,084,276は、安定化並びに溶解度増加のために、多価金属イオンのキノロンカルボン酸との相互作用を利用している。抗生物質のシプロフロキサシンは、例えば、かなり高めの鉄濃度に耐える。 元素鉄は、どこにでも存在し、特に、供給原料のグルコース中に存在し、その場合、錯体の形で結合しているので、上記の製剤は、分析上も、品質保証にも、非常に高価にしか製造できない。さらに、製造プラントでのスチールの使用は、問題があり、選別したスチールと管理された(controlled)原料のみを溶液に接触させる。さらに、前記の製剤は、原則として、非常に高価にしか製造できない、極端に鉄の少ない有効物質の品質が必要である。モキシフロキサシンの場合、20ppb以上の鉄含量を有する溶液は、粒子含量が経時的にかなり増加するので、調製後は、要求される製剤の製剤上の品質を必要な安定期間の間維持できない。さらに、グルコース等張化製剤は、患者のエネルギーバランスの追加ストレス(stress)になる場合があり、特に糖尿病患者の治療の際は特別な注意を要するので、様々な臨床応用分野で非常に不利と考えられる。 キノロンカルボン酸ハイドロクロライドの非経口水性製剤の場合、NaClが存在すると溶解性に乏しいため、代用可能な点滴量の組成品を投与するのは、一般に問題がある。上述の金属錯体形成による溶解度を高める可能性の他に、塩形成の様々な可能性も追及されている。 従って、EP−A−0219784は、生理的に受け入れられる酸とのシプロフロキサシンの点滴液について記述している。また、シプロフロキサン75mg/500ml(0.015%w/v)、1M塩酸0.203ml/500ml(シプロフロキサシン/塩酸のモル比1.0対0.9に相当)および等張化剤として塩化ナトリウム4.5g/500ml(0.9%)の製剤も記述している。この有効物質濃度は、室温での上記の製剤中の飽和溶解度にほぼ相当する。シプロフロキサシンおよびその塩酸塩の溶解度が低いため、塩酸と等張量のNaClの存在下でシプロフロキサシンのこれ以上の濃度は、実現できない。1回100−400mgを1日2−3回投与するシプロフロキサシンの常用量では、これは、1日約1.3L−8Lの受け入れられない点滴量になる。上記の用量の場合の点滴量が、非常に大量であるため、そのため、さらによく溶けるシプロフロキサシンラクテートの水性製剤を使用するのが好ましい。課題を解決するための手段 初めて、驚くべきことに、塩化ナトリウムで等張化した塩酸モキシフロキサシンの製剤が、鉄イオンに感受性を示さないことを我々は認めた。しかし、塩化ナトリウムの存在下での塩酸塩としての有効物質モキシフロキサシンの溶解性は、極端に低いので、前記の製剤を開発する初期の計画は、沈殿が発生してしまった後、当面中止した。しかし、驚くべきことに、有効物質と等張化剤の一定の狭い濃度範囲を遵守すると、塩化ナトリウムによる等張化を使って塩酸モキシフロキサシンの受け入れられる製剤を調製することが可能であると判明した。 従って、本発明は、0.04%−0.4%の塩酸モキシフロキサシン(モキシフロキサシン換算)と0.4%−0.9%(w/v)の塩化ナトリウムを含んで成る水性製剤を提供する。 水性製剤とは、製剤中の成分が水中に存在することを意味する。 %(w/v)の表現は、100mlの体積当たりの重量g、即ちg/100mlを意味する。 本発明の水性製剤は、好ましくは0.08%から0.32%(w/v)までのモキシフロキサシンHCl(モキシフロキサシンに換算)から、特に好ましくは0.1%(w/v)から0.2%(w/v)までのモキシフロキサシンHCl(モキシフロキサシンに換算)から成る。極めて好ましくは製剤が400mg/250mlに相当する約0.16%の塩酸モキシフロキサシンを含んで成る。 本発明に記載の水性製剤は、好ましくは04%から0.9%(w/v)までの塩化ナトリウム、特に好ましくは0.7%から0.9%(w/v)までの塩化ナトリウムから成り、極めて好ましくは約0.8%(w/v)の塩化ナトリウム量を示す。 従って、0.04%から0.4%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシンの有効物質濃度で100mgから1000mgまでの用量範囲に対して、0.4%から0.9%までの塩化ナトリウムを添加することによって、浸透圧を生理的条件に調整することが可能である。この目的のために、5℃の温度における様々な塩化ナトリウム濃度の存在下で有効物質の飽和溶解度を考慮し、有効物質濃度と塩化ナトリウム濃度の本発明に従った至適比率を確定することが必要である。5℃で測定して、等張化に要求される塩化ナトリウム量が存在する場合の有効物質の飽和溶解度を越えてはならない。これは、短期低温貯蔵時でさえ、飽和溶解度を超えると起こる有効物質の沈殿を生じないことを保証する。 有効物質濃度が塩酸モキシフロキサシン約0.2%(w/v)以上の溶液に関しては、本物質の溶解度が低くなり過ぎるので、塩化ナトリウムを使って至適に等張化した溶液を調製することは不可能である。しかし、静注溶液の場合、点滴液は、血液によって急速に、無痛のまま希釈されるので、可能な限り、張性を生理的条件に合わせることで十分である。点滴速度を適当に調整することによって、これらの溶液が確実に至適認容性を示すようにすることが可能である(Lit.Sucker/Fuchs/Speiser,“Pharmazeutische Technologie”,Thieme Verlag 1991,p.460ff(Sucker/Fuchs/Speiser著「製剤テクノロジー」Thieme出版 1991 p.460以下))。 等張液は、約270−330mOsmolの浸透圧を有する溶液である。これは、約0.8%−0.9%(w/v)の濃度の塩化ナトリウム溶液に相当する。対照的に、塩酸モキシフロキサシンは、等張化にほとんど寄与しない。驚くべきことに、このNaCl濃度が存在すると、塩酸モキシフロキサシンは、十分量で、安定して溶解することが認められたので、前記の製剤は、非経口投与用製剤として使用するのに適している。 特に好ましいのは、モキシフロキサシン200mgから800mgまでの用量で、モキシフロキサシン0.08%から0.32%(w/v)のモキシフロキサシンの濃度に相当する。浸透圧は、0.9%−0.4%の塩化ナトリウムを使って調整する。極めて好ましいのは、モキシフロキサシン約0.16%(w/v)溶液としてのモキシフロキサシン400mgの用量である。これは、約0.8%の塩化ナトリウムを使って等張化する。 さらに、有効物質塩酸モキシフロキサシンを導入し、水に溶解した初回仕込み量の塩化ナトリウムに常法通りに溶解しようとすれば、前記の塩化ナトリウムを含むモキシフロキサシン溶液の調製は、かなりの時間を要する。これには、製剤の透明溶液を得て、その後、濾過段階で有効物質を分離することによる有効物質の損失を回避するために、数時間の攪拌時間が必要である。有効物質を最初に水に溶解した後に初めて塩化ナトリウムを添加する方法を使用すると、数分以内に溶液を調製することができ、工業的規模で、より効率的な製造を可能にする。 従って、本発明は、初めに塩酸モキシフロキサシンの水溶液を調製し、次に塩化ナトリウムを添加、溶解する、本発明に記載の水性製剤の調製法も提供する。 塩酸モキシフロキサシンの水性製剤は、0.4%(w/v)以上で2.4%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシン濃度(モキシフロキサシン量に換算)を塩酸モキシフロキサシン水溶液、即ち水中塩酸モキシフロキサシン濃縮液を塩化ナトリウムから成る水溶液で希釈し、本発明に記載の塩酸モキシフロキサシン濃度にすることによって調製するのが有利である。 従って、本発明は、非経口投与用医薬品を製造するための0.4%(w/v)以上で2.4%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシン濃度(モキシフロキサシン量に換算)を含む塩酸モキシフロキサシン水溶液(以下、有効物質濃縮液と称する場合がある)の使用、並びに、塩酸モキシフロキサシンの濃縮水溶液を、治療担当の医師または看護婦が同封の、塩化ナトリウムを含む水溶液と混合するのが有利な、0.4%(w/v)以上で2.4%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシン濃度(モキシフロキサシン量に換算)を含む塩酸モキシフロキサシン水溶液と塩化ナトリウムを含む水溶液を相互に別々にすることを含んで成るコンビネーション(combination)調製物も提供する。 塩酸モキシフロキサシンの濃縮水溶液は、0.4%(w/v)から2.4%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシン(モキシフロキサシン量に換算)を含有する。本水溶液の最高濃度は、飽和溶解度約2.4%(w/v)によって制限される。有効物質濃縮液は、好ましくは1.0%から2.0%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシン(モキシフロキサシン量に換算)を、特に好ましくは2.0%(w/v)の塩酸モキシフロキサシン(モキシフロキサシン量に換算)を含有する。有効物質濃縮液は、適当な容器に充填し、適宜滅菌する。容器は、ガラス、プラスチックのどちらでもよい。容器の材料は、例えば、遮光または酸素からの保護など、特殊な方法で内容物を保護する物質を含んで成るのがよい。 塩化ナトリウム含有溶液と混合することによって、有効物質濃縮液を本発明に記載の水性製剤と一致するモキシフロキサシン使用濃度まで希釈する。適宜、有効物質希釈液は、塩化ナトリウムの他に、均質な点滴液の形成が保証される限り、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどと、クロライド、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩のような他の塩、並びに、非経口投与形態の分野で常用されるような他の助剤なども含有する。有効物質濃縮液の希釈には、常用される、市販注入用キャリア(carrier)溶液も使用できる。 本発明に記載の水性製剤は、非経口投与用医薬品として、特に細菌感染症の予防または治療用医薬品として使用するのが有利である。非経口投与には、例えば、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、腹腔内投与があり、静脈内投与が最も重要である。適切と考えられる用量は、1日1回の静脈内点滴の場合、ベタイン型に換算して有効物質400mgである。投与する1日点滴量は、200−250mlを超えるべきでない。有効物質量400mgでは、これは、400mg/250mlに相当する約0.16%(w/v)の有効物質濃度を生じる。 本発明に記載の水性医薬品製剤は、本発明に従って使用する成分の他に、例えば、pH調整用の酸および塩基、常用防腐剤および抗酸化剤のような、非経口投与形態の分野で常用される他の助剤を含む。 モキシフロキサシンの本発明に記載の製剤が、数週間低温で貯蔵し、有効物質の沈殿を生じた後でさえ、室温まで加温するだけで、透明な、粒子を含まない溶液に戻ることは、非常に驚くべきことである。沈殿の熟成、即ち、安定な粗結晶構造の形成は認められなかったので、本発明に記載の製剤は、販売上、安定で安全であると見なすことができる。 さらに、製造プラントには、一般製剤用品質のスチール(steel quality of general pharmaceutical quality)を使用するので十分である。これは、驚くべきことに、本発明に記載の製剤が、糖または糖アルコールを含むモキシフロキサシンの製剤とは対照的に、鉄が存在しても安定だからである。鉄イオンの溶液への意図的添加に関する下述の実験が、1ppm、即ち、グルコース製剤の許容限界量の50倍の鉄量でさえ、溶液に粒子形成を伴わないことを示している。従って、本発明に記載の製剤は、その安定性と、それらを簡単に調製できるという事実から、非経口投与用製剤としての使用に非常に適している。 下記の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。 比較例1:5%グルコースで等張化した等張モキシフロキサシン製剤、0.2%(w/v)(400mg/200ml) モキシフロキサシンHCl 0.2%(w/v)* グルコースモノハイドレート 5.0%(w/v) 注射用水 94.8%(w/v) *ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量 初めに製剤品位(pharmaceutical quality)のステンレススチール製反応容器に水を仕込み、そこに、塩酸モキシフロキサシンを攪拌しながら溶解する。その有効物質溶液にグルコース(市販品、Fe約380ppm)を添加し、そこで溶解する。その混合液を0.2μm滅菌フィルターで濾過し、200mlづつを点滴ビンに充填し、これを密閉し、オートクレーブ中、121℃で20分間滅菌する。完成溶液は約25ppbの鉄を含有する。 40℃で貯蔵した後、調製済み製剤は、以下の粒子含量を有する: 製剤は安定ではなく、40℃でわずか4週間の貯蔵後に、許容不能な粒子数の増加を示し、これは、薬局方の必要条件を満たしていない。比較例2: モキシフロキサシン製剤0.4%(w/v)(400mg/100ml)、張性を3%塩化ナトリウムを使って調整 モキシフロキサシンHCl 0.4%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.3%(w/v) 注射用水 99.3%(w/v) *ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量 初めにステンレススチール製反応容器に水を仕込み、そこに、塩酸モキシフロキサシンを攪拌しながら溶解する。その有効物質溶液に塩化ナトリウムを添加し、そこで溶解する。その混合液を0.2μm滅菌フィルターで濾過し、100mlづつを点滴ビンに充填し、これを密閉し、オートクレーブ中、121℃で20分間滅菌する。 溶液は、約100mOsmol/kgの浸透圧を有するので、低張であり、非経口溶液を投与する通常の速度では、溶血と痛みを伴う投与を招く。実施例1:モキシフロキサシン製剤0.16%(w/v)(400mg/250ml) モキシフロキサシンHCl 0.16%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.8%(w/v) 注射用水 99.04%(w/v) *ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量 初めにガラス製反応容器に水を仕込み、そこに、塩酸モキシフロキサシンを攪拌しながら溶解する。その有効物質溶液に塩化ナトリウムを添加し、そこで溶解する。塩化第二鉄溶液を混合液に添加する。その混合液を0.2μm滅菌フィルターで濾過し、250mlづつを点滴ビンに充填し、これを密閉し、オートクレーブ中、121℃で20分間滅菌する。 調製済み製剤の粒子状態は、室温および40℃での貯蔵後、以下の数値を有する: 溶液は、貯蔵安定で、鉄イオンに感受性を示さないことが認められた。 溶液は、貯蔵安定で、鉄イオンに感受性を示さないことが認められた。実施例2:モキシフロキサシン製剤0.1%(w/v)(100mg/100ml) モキシフロキサシンHCl 0.1%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.9%(w/v) 注射用水 99.0%(w/v) 浸透圧:313mOsmol/kg *ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量 初めに製剤用ステンレススチール製反応容器に水を仕込み、そこに、塩酸モキシフロキサシンを攪拌しながら溶解する。その有効物質溶液に塩化ナトリウムを添加し、そこで溶解する。その混合液を0.2μm滅菌フィルターで濾過し、100mlづつを点滴ビンに充填し、これを密閉し、オートクレーブ中、121℃で20分間滅菌する。 調製済み製剤の粒子含量は、室温および40℃での貯蔵後、以下の数値を有する: 溶液は、貯蔵安定で、通常の製造ユニットの製剤用ステンレススチール製容器での調製に感受性を示さなかった。実施例3:モキシフロキサシン製剤0.04%(w/v)(40mg/100ml) モキシフロキサシンHCl 0.04%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.9%(w/v) 注射用水 全量を100mlとする 浸透圧:310mOsmol/kg*ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量実施例4:モキシフロキサシン製剤0.08%(w/v)(80mg/100ml) モキシフロキサシンHCl 0.08%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.9%(w/v) 注射用水 全量を100mlとする 浸透圧:312mOsmol/kg*ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量実施例5:モキシフロキサシン製剤0.2%(w/v)(200mg/100ml) モキシフロキサシンHCl 0.2%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.8%(w/v) 注射用水 全量を100mlとする 浸透圧:283mOsmol/kg*べタイン型のモキシフロキサシンに換算した量実施例6:モキシフロキサシン製剤0.3%(w/v)(300mg/100ml) モキシフロキサシンHCl 0.3%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.5%(w/v) 注射用水 全量を100mlとする 浸透圧:186mOsmol/kg*ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量実施例7:モキシフロキサシン製剤0.4%(w/v)(400mg/100ml) モキシフロキサシンHCl 0.4%(w/v)* 塩化ナトリウム 0.4%(w/v) 注射用水 全量を100mlとする 浸透圧:155mOsmol/kg*ベタイン型のモキシフロキサシンに換算した量実施例8:点滴用濃縮液2%(w/v)(400mg/20ml) 塩酸モキシフロキサシン 400mg(ベタインとして計算) 注射用水 全量を20mlとする 初めに水を製剤用ステンレススチール製容器に仕込み、塩酸モキシフロキサシンを攪拌しながらそこで溶解する。溶液を0.2μmフィルターで濾過し、20mlづつをガラス製注射ビンに充填し、密閉し、滅菌する。 使用時、無菌条件下で注射ビンの内容物(20ml中モキシフロキサシン400mg)を注射筒を使って取り出し、市販の0.9%塩化ナトリウム溶液230mlに添加、混合する。これが、0.16%(w/v)に相当する400mg/250mlの濃度の点滴用等張液になる。浸透圧は315mOsmol/kgである。 塩酸モキシフロキサシン0.08%〜0.32%(w/v)(モキシフロキサシン量に換算)と塩化ナトリウム0.4%〜0.9%(w/v)を含んでなる水性製剤。 初めに塩酸モキシフロキサシン水溶液を調製し、次いで塩化ナトリウムを添加し、そして溶解することを特徴とする請求項1に記載の水性製剤の調製方法。 0.4%(w/v)より多く2.4%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシン濃度(モキシフロキサシン量に換算)を有する塩酸モキシフロキサシンの水溶液を塩化ナトリウムを含む水溶液と混合することを特徴とする請求項1に記載の塩酸モキシフロキサシンの水性製剤の調製方法。 0.4%(w/v)より多く2.4%(w/v)までの塩酸モキシフロキサシン濃度(モキシフロキサシン量に換算)を有する塩酸モキシフロキサシンの水溶液と塩化ナトリウムを含む水溶液を相互に別々に含んでなる請求項3に記載の方法に使用するための組み合わせ(combination)調製物。 請求項1に記載の水性製剤を含んでなる、人または動物における細菌感染症の予防または処置のための薬剤。