タイトル: | 特許公報(B2)_黄変及び変色度の低いセルロースエーテルの製造方法 |
出願番号: | 2001506689 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C08B 11/02,A61K 9/48,C08B 11/08 |
ローゼンバーグ,スティーブン スペンサー,マイケル ブイ. シュルツ,ゲイリー ジェイ. JP 5236849 特許公報(B2) 20130405 2001506689 20000526 黄変及び変色度の低いセルロースエーテルの製造方法 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 502141050 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 出野 知 100128495 胡田 尚則 100173107 齋藤 都子 100142387 ローゼンバーグ,スティーブン スペンサー,マイケル ブイ. シュルツ,ゲイリー ジェイ. US 60/141,046 19990624 US 09/416,783 19991013 20130717 C08B 11/02 20060101AFI20130627BHJP A61K 9/48 20060101ALI20130627BHJP C08B 11/08 20060101ALI20130627BHJP JPC08B11/02A61K9/48C08B11/08 C08B 11/00 − 11/22 特公昭48−041037(JP,B1) 特開昭62−025101(JP,A) 国際公開第92/003167(WO,A1) 特開昭52−152985(JP,A) 特開平08−301901(JP,A) 特表平06−508051(JP,A) 特公昭47−004310(JP,B1) 特公昭48−030469(JP,B1) 特開平06−136001(JP,A) 特開平10−279601(JP,A) 特開平10−017701(JP,A) 化学大辞典5,共立出版株式会社,1962年 7月15日,p.403 総合多糖類科学(上),株式会社講談社,1974年 6月10日,p.58 5 US2000014622 20000526 WO2001000680 20010104 2003503557 20030128 6 20070405 三木 寛 本発明は、低分子量セルロースエーテルの改良製造方法に関する。この方法は酸触媒化解重合工程の後の酸の部分中和を用いる。 低分子量セルロースエーテルは、医薬及び食品において産業上一般に用いられている。そのような用途に好ましいセルロースエーテルはメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。 低分子量セルロースエーテルにしばしばみられる問題は、黄変及び変色である。そのような黄変もしくは変色はこの組成物が配合される製品にもみられる。黄変もしくは変色は透明な医薬カプセル及び明るい色の食品組成物に容易に観察される。 黄変もしくは変色度の低いもしくは排除された低分子量セルロースエーテルを製造する方法が望まれている。また、医薬カプセル及び食品において黄変もしくは変色を低減するもしくは排除することが望まれている。 本発明によれば、低分子量セルロースエーテルの製造方法が提供される。この方法は、a)20℃において2パーセント水溶液の粘度が約200センチポアズ以上である高分子量セルロースエーテルを提供すること、b)この高分子量セルロースエーテルを、20℃において2パーセント水溶液の粘度が約100センチポアズ以下である低分子量セルロースエーテルに部分解重合するに十分な量の酸と接触させること、c)この低分子量セルロースエーテルを塩基性化合物と接触させることにより前記酸を一部もしくは実質的に中和すること、d)工程a)〜c)を繰り返して低分子量セルロースエーテルの2以上のバッチを形成すること、及びe)この2以上のバッチを混合し、pHが4〜6.8である低分子量セルロースエーテルの混合バッチを形成すること、を含む。 さらに本発明によれば、医薬カプセルの製造方法が提供される。上記の低分子量セルロースエーテルの混合バッチを水に溶解させて浸漬被覆溶液を形成する。金属ピンをこの被覆溶液に浸漬させる。この溶液をピン上で加熱ゲル化又は実質的に乾燥させて、ピンの周囲に乾燥したセルロースエーテル組成物の薄いフィルムを形成する。この薄いフィルムは2ピースハードシェルカプセルのキャップ及び/又は本体を形成し、これをピンから剥離する。このキャップ及び/又は本体はその後一体カプセルを形成するように結合させる。熱いピン/冷溶液及び冷ピン/熱い溶液のいずれも可能である。 本発明において、低分子量セルロースエーテルの酸含有量をあるpHレベルに制御することにより最終生成物の黄変及び変色を大きく低下させることが見出された。低分子量セルロースエーテルの製造における酸触媒化解重合工程後に、触媒化酸の一部を保持することにより酸性pHが維持される。最終生成物の低分子量セルロースエーテルにおいてpHを有効に制御することにおける観察された問題は、2以上のバッチを混合して混合バッチを形成することにより解決される。 低分子量セルロースエーテルの従来の製造方法では、通常塩化水素又は塩酸のような強酸にさらすことによる酸触媒化加水分解により、高分子量セルロースエーテルを低分子量セルロースエーテルに解重合している。所望の解重合度に達した後、炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ性もしくは塩基性化合物による酸の中和によって加水分解が停止される。セルロースエーテルは通常約7のpHまで中和される。 本発明においては、触媒化酸の一部のみを中和することによって、最終生成物のセルロースエーテルにある程度の酸性を維持している。酸を含むことに伴う最終生成物における物理的および化学的問題、たとえば解重合の継続、は酸の部分中和及び最終pHを4〜6.8に制御することにより解消される。 有用な低分子量セルロースエーテルは、20℃においてその2パーセント水溶液の粘度が約100cP以下、好ましくは3〜100cP、最も好ましくは3〜15cPであるような分子量を有する。 有用なセルロースエーテルは、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)及びヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMC)を含む。医薬カプセルの製造において特に有用なセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。食品の製造において特に有用なセルロースエーテルはメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。 低分子量セルロースエーテルは、高分子量セルロースエーテルの酸触媒化解重合により形成される。高分子量セルロースエーテルは通常20℃においてその2パーセント水溶液で約200センチポアズの粘度を有する。 解重合は通常、高分子量セルロースエーテルを強酸、好ましくは無水塩化水素と接触させることにより行われる。この酸は反応器の上部空間に又はセルロースエーテル粉末に直接加えてよい。粉末の燃焼もしくは発火を防ぐために、反応器の上部空間を不活性ガスでパージしてもよい。 解重合後、残留酸を一部中和するためにセルロースエーテルを塩基性化合物、好ましくは実質的に無水の化合物、例えば炭酸水素ナトリウムと接触させ、ある程度の酸性を維持する。中和工程の目的は残留酸を完全に中和するのではなく一部中和することであるが、特に産業スケールにおける中和工程の制御は困難である。最終生成物のあるバッチは解重合されず、又は中和されずぎることがある。この制御の問題は以下のようにして解決される。好ましい中和方法は、解重合された粒状セルロースエーテルが存在する解重合反応器又は他の容器の上部空間もしくは内部に塩基性化合物を吹き込むことである。解重合反応器又は他の容器は好ましくは、中和の間に反応器の内面と均一に接触するようにするために攪拌もしくはタンブリングされる。 最終生成物のpHを比較的狭い範囲、すなわち4〜6.8にすることは実際上困難である。pHは酸の中和に用いられる塩基性化合物の量の比較的小さな変化によって大きく影響される。さらに狭いpH範囲にすることはさらに困難である。実際に行われる中和の程度に応じて、最終生成物バッチのあるものは4未満のpHを有することがある。他は4〜6.8のpHを有するであろう。さらに他のものは6.8よりも高いpHを有するであろう。 本発明においては、低分子量セルロースエーテルの2以上のバッチを形成し、ついでこれらを混合して、従来の0〜14のpH対数スケールにおいて4〜6.8のpHを有する混合バッチを形成することにより、pHを所望の4〜6.8二維持する。このバッチの少なくとも1つは6.8以下のpHに部分中和されている。2以上のバッチを混合することによりpHをより正確に設定することができ、優れた生成物の品質制御が可能になる。所望の4〜6.8のpH範囲外のバッチは混合されて、又はすでに所望の4〜6.8の範囲にあるバッチと混合されて、所望のpH範囲内の混合バッチを形成する。比較的多数のバッチを混合した場合に、生成物の品質の制御は最適なものとなる。このバッチの好ましい数は約6以上、最も好ましくは約10以上である。このバッチは目的とするpHに応じて全部を又は一部を混合することができる。 高分子量セルロースエーテル及び低分子量セルロースエーテルの製造に関する有用な方法は、米国特許第3,391,135号、4,419,510号、4,456,751号、4,477,657号、4,661,589号、5,476,668号、及び1998年12月1日出願の米国特許出願第09/203,324号に示されている。 セルロースエーテルカプセルは通常、熱い金属ピンもしくは棒を冷たい水性セルロースエーテル浸漬被覆溶液に浸漬することにより製造される。この溶液はピン上において加熱によりゲル化し、乾燥工程の間に水が蒸発し、熱いピンの周囲に乾燥したセルロースエーテルの薄いフィルム層を形成する。この薄いフィルムはキャップもしく本体の形状となり、次いでピンから剥離される。キャップは本体と結合し、カプセルを形成する。冷たいピンを熱い水性セルロースエーテル溶液に浸漬する同様の方法がある。両者の方法は本発明の範囲内である。カプセルの製造方法は、米国特許第3,617,588号、4,001,211号、4,917,885号、及び5,756,036号に示されている。 この低分子量セルロースエーテルは錠剤被覆のようなカプセル以外の医薬用途、及び医薬製剤用の賦形剤並びにカプセル及び錠剤における薬剤として有用である。他の有用な用途は、食品及び配合建築製品を含む。実施例例1〜3 高分子量セルロースエーテルの解重合により低分子量セルロースエーテルのバッチを形成し、これを混合して所望のpH及び粘度レベルのロットを形成した。このロットのpH及び粘度を各バッチの添加後に測定した。 解重合は体積28.3リットルのバッチ反応器中で行った。反応器全体をオーブンに入れ、反応器の全表面を均一な温度にした。セルロースエーテル粉末を反応器に入れ、この反応器の蒸気空間又は上部空間に無水塩化水素(HCl)を加えた。次いでこの反応器を19〜28分間上下反転させタンブリングし、部分解重合させた。解重合を一部停止させかつHClを一部中和するため、加圧窒素により反応木の上記空間もしくは上部空間に所定量の炭酸水素ナトリウムを加えた。次いでこの反応器から取り出し、バッチを形成した。この工程を7回繰り返した。各バッチは約16ポンド(7.3kg)であった。次いでこのバッチを1つづつリボンブレンダーに移し、混合してロットを形成した。各バッチをブレンダーに加えた後、混合したバッチについて粘度(20℃における2パーセント水溶液)及びpHを測定した。ロットの粘度は、ロットに加える次のバッチの滞留時間を長くする又は短くすることによって調節した。同様に、ロットのpHは、ロットに加える次のバッチに加える炭酸水素ナトリウムの量を多くする又は少なくすることによって調節した。 以下の表のデータは、pHおよび粘度の調節における本発明の効果を示している。各バッチの粘度及びpHは大きく異なっている(示していない)が、ロットの粘度及びpHはロットにバッチを加えることによって有効に調節された。例1〜3に対応する3つのロットの各々において、粘度は4〜6センチポアズに、pHは5.5〜6.5に制御された。 本発明のカプセル及びその製造方法の態様を示したが、本発明は改良可能であることは明らかであろう。 低分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法であって、 a)20℃において2パーセント水溶液の粘度が200センチポアズ以上である高分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを提供すること、 b)この高分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを、酸と接触させることによって、20℃において2パーセント水溶液の粘度が100センチポアズ以下である低分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースに部分解重合すること、 c)この低分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを塩基性化合物と接触させることにより前記酸を中和すること、 d)工程a)〜c)を繰り返して低分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの2以上のバッチを形成すること、ここで少なくとも1つのバッチは6.8以下のpHまで部分中和されている、及び e)この2以上のバッチを混合し、pHが4〜6.8である低分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合バッチを形成することを含む方法。 前記低分子量のメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合バッチが水に溶解されて浸漬被覆溶液が形成され、金属ピンがこの被覆溶液に浸漬され、この金属ピンがこの被覆溶液から取り出され、この溶液がピンの表面において加熱ゲル化された後乾燥されてキャップ及び/又は本体を形成し、このキャップ及び/又は本体がピンから剥離される、請求項1記載の方法。 塩基性化合物が炭酸水素ナトリウムである、請求項1記載の方法。 前記バッチの数が6以上である、請求項1記載の方法。 前記バッチの数が10以上である、請求項1記載の方法。