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タイトル:特許公報(B2)_天然資源からのパクリタキセルの抽出および精製方法
出願番号:2001504907
年次:2010
IPC分類:C07D 305/14


特許情報キャッシュ

ブイカク・トゥン デュピュー・ニコラス JP 4563632 特許公報(B2) 20100806 2001504907 20000525 天然資源からのパクリタキセルの抽出および精製方法 チャイケム・ファーマシューティカル・インターナショナル 501492890 CHAICHEM PHARMACEUTICALS INTERNATIONAL 小林 正治 100076369 ブイカク・トゥン デュピュー・ニコラス CA 2,275,980 19990622 CA 2,299,149 20000222 20101013 C07D 305/14 20060101AFI20100922BHJP JPC07D305/14 C07D 305/00-305/14 A61K 31/33-31/80 A61P 1/00-43/00 特開平09−040657(JP,A) 特開平09−040567(JP,A) 特表平08−509704(JP,A) 42 CA2000000619 20000525 WO2000078741 20001228 2003502414 20030121 23 20070122 中西 聡 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、天然資源からパクリタキセルを抽出および精製するための容易で迅速なプロセス(以下、「方法」という。)に関する。当業界で既知の従来方法と比較して、本方法は、限定数のステップよりなり、精製時の損失量が減少しているため、特に経済的である。【0002】【従来の技術】 タキソール(登録商標)又はPacitaxeline(登録商標)とも呼ばれるパクリタキセルに関する最初の研究は、1960年代に米国で開始された。当時、国立がん研究所は、癌性腫瘍に対する活性、すなわち抗腫瘍活性を持つ植物抽出物を選択するプログラムを開始した。【0003】 1960〜1981年に、35,000種の植物から110,000を超える複合体の抽出、分離および試験が行われた(Blume E. J. Natl. Cancer Inst. 1991; 83: 1054−1056)。【0004】 イチイは選択および試験が行われた植物の一部であり、米国西海岸(オレゴン)産のイチイ樹皮(Taxus brevifolia Nutt)による最初の抽出物がWaniらによって得られた(Wani et al. J. Am. Chem. Soc., 1971; 93:2325−2327)。これらの樹皮の原抽出物は、白血病性細胞に対する細胞障害活性と、各種腫瘍に対する阻害作用を示した。【0005】 2年後、抽出物の活性化合物が分離された。この活性化合物はパクリタキセルという一般名を与えられ、X線結晶学および1H−NMRスペクトルによって分子構造が決定された(Wani et al. J. Am. Chem. Soc. 1971; 93:2325−2327)。【0006】 それ以来、生体外および生体内での癌性腫瘍に対するパクリタキセルの効果に関する研究が実施されており、得られた陽性の結果によって、この活性化合物は卵巣癌および乳癌治療の有望な薬剤のひとつとして分類されている(Rowinski et al. Pharmacol. Ther. 1991; 52: 35−84)。ところで各種癌治療へのパクリタキセルの仕様は、食品医薬品局によって1992年から認可されている。【0007】 パクリタキセル生成に使用した最初のイチイ品種は、タイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia)であったが、地球上の別の地域で見られる他の品種についても試験が行われている。これらは、ヨーロッパイチイ(Taxus baccata)、カナダイチイ(Taxus canadensis)、ヒマラヤイチイ(Taxus wallichiana)、ウンナンイチイ(Taxus yunnanensis)、メディアイチイ「デンシフォルミス」(Taxus densiformis)、メディアイチイ「ヒックシー」(Taxus hicksii)、メディアイチイ「ワーディー」(Taxus wardii)、イチイ(Taxus cuspidata)、イチイ「カピタータ」(Taxus capitata)又はメディアイチイ「ブラウニー」(Taxus brownii)よりなる(Miller et al. J. Org. Chem. 1981; 46: 1469; McLaughlin et al. J. Nat. Prod. 1981; 44: 321; Kingston et al. J. Nat. Prod. 1982; 45: 466; Senilh et al. J. Nat. Prod. 1984; 47: 131−137; Huang et al. J. Nat. Prod. 1986; 49: 665−669; Fett−Neto et al. Bio/Technology 1992; 10: 1572−1575)。【0008】 これらの種はすべてパクリタキセルを含むが、約0.0004〜0.0008%という、非常に限られた量である(Kingston, Pharmacol. Ther. 1991; 52: 1−34)。このようにパクリタキセルが低濃度であることにより、時間がかかり、一般に繰り返しクロマトグラフィーを行う必要があるため、抽出と精製にたいへん費用がかかる。【0009】 イチイのすべての品種のパクリタキセルの濃度が低いことによって、環境に大きな影響が及ぼされている。Taxus brevifolia樹皮から1kgのパクリタキセルを抽出するには、約3000本の成木を伐採して、10,000kgの樹皮を得る必要がある。得られた量(1kg)のパクリタキセルによって、約500人の患者を治療できるが、癌に苦しむ多数の患者は数十万人に上る。再度植樹しても、イチイの成長は遅いため、人間が早急に必要とするパクリタキセルの需要を満たすことはできない(Vidensek et al. J. Nat. Prod. 1990; 53: 1609−1610; Kelsey et al. J. Nat. Prod. 1992; 55: 912−917; Wheeler et al. J. Nat. Prod. 1992; 55: 432−440)。【0010】 パクリタキセルの抽出および精製の多数の方法が提案されている。たとえばWani et al.(Wani et al. J. Am. Chem. Soc., 1971; 93:2325−2327)は、樹皮をアルコールで処理した後に、クロマトグラフィーによる数ステップの精製を行う、米国西海岸のイチイ(Taxus brevifolia)樹皮からのパクリタキセル抽出方法を提案した。【0011】 Millerら(1981)は、Taxus wallichiana Zuccから以下の方法によってパクリタキセルを抽出した: 1) 植物からの抽出および抽出物の濃縮; 2) 水とヘキサンの分離による油脂除去; 3) クロロホルムによる抽出と濃縮; 4) 第1のシリカカラムでのクロマトグラフィーによる第1の精製; 5) 第2のシリカカラムでのクロマトグラフィーによる第2の精製; 6) 第1の向流分配; 7) 第2の向流分配; 8) 分取高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography のことで、以下、「HPLC」という。)【0012】 Senilhら(1984)は、パクリタキセル(又はタキソール(登録商標) A:0.0165%)、セファロマンニン(又はタキソール(登録商標) B:0.0064%)および他の化合物を、以下の方法によってTaxus baccataの樹皮から分離した: 1) アルコールによる抽出と濃縮; 2) 水とジクロロメタンの分離; 3) 濾過クロマトグラフィー; 4) シリカカラムでのクロマトグラフィー; 5) アルミナクロマトグラフィー; 6) 中圧シリカカラムでのクロマトグラフィー; 7) HPLCクロマトグラフィー【0013】 別の類似体では、2,3回の他のカラムクロマトグラフィーの後に、分取HPLCクロマトグラフィーが必要である。【0014】 ポリサイエンス社が用いる他の方法は、以下のステップを含む: 1) 乾燥粉砕樹皮をメタノール又はエタノールで処理し、アルコールを除去するために得られた抽出物を濃縮する、 2) 濃縮物を次にジクロロメタンで処理し、得られた溶媒抽出物を濃縮して粉末を得る、 3) 粉末をアセトンとリグロイン(1:1)で溶解し、濾過して不溶性物質を除去する、 4) パクリタキセルを含む有機相を濃縮し、30%のリグロインに溶解させ、登録商標Florisilのカラムに加える、 5) カラムからのパクリタキセル画分を2回結晶化して精製する、 6) そのように得られた結晶パクリタキセルをシリカカラムのクロマトグラフィーにかける。パクリタキセルは、このステップで他のタキサン類(関連類似体、セファロマンニンなど)から分離される、 7) 前のステップで得られた精製パクリタキセルは2回結晶化する、 8) 純粋なパクリタキセルの追加量を得るために、未分離混合物と母液はシリカカラムを通じて再利用する。【0015】 もちろん、以下の参考文献で説明するように、天然資源からのパクリタキセルを精製する他の方法もある: Kingstonらは、Taxus Brevifoliaから得られた新たなタキサンを開示し(J. Nat. Prod. 1982; 45: 466−470); Witherupらは、Taxus Brevifoliaからパクリタキセルと関連化合物を分離する方法を開示した(J. Liq. Chrom. 1989; 12: 2117−2132)。【0016】 1994年にNairに発行された米国特許第5,279,949号は、パクリタキセル精製に観賞用イチイ(Taxus x media Hicksii)の組織を使用することを開示している。本特許において: 1) 新しい針葉を70%アルコールで抽出する、 2) 抽出物を炭で脱色し、濾過する、 3) 大半の有機溶媒を除去するために、濾過抽出物を濃縮する、 4) 水性濃縮物を遠心分離し、パクリタキセルを含む固体を分離する、 5) 次に固体を第1の順相シリカクロマトグラフィーにかける、 6) 得られた粗パクリタキセル画分を第2の低圧シリカクロマトグラフィーにかける、 7) 逆相カラムで最終精製を行う。【0017】 Pandeyらに発行された米国特許第5,654,448号は、Taxus Brevifoliaの樹皮からのパクリタキセルの抽出および精製方法を開示している。本方法において: 1) 樹皮をメタノールで3回抽出し、抽出はそれぞれ5日間にわたって行い、そのように得られた抽出物を次に濃縮する; 2) メタノール濃縮物を分離して、塩化メチレンと水を得て、塩化メチレン抽出物を乾燥するまで蒸発させると、固体残留物は、約1.8〜2.2重量%のパクリタキセルを含んでいた; 3) 固体残留物をアセトンに溶解し、1体積のヘキサンと混合して、極性不純物を除去し、混合物を体積が1/3になるまで蒸発させる; 4) アセトン/ヘキサン残留物をヘキサンに滴下して加えて(10〜15Lのヘキサンに対して1.5〜3.0Lの残留物)、沈殿を得て、これを濾過し、40℃の温度にて高真空下(1mm〜2mm)で乾燥させ、約0.5〜0.6kgの固体残留物を得る; 5) 前のステップで得られた固体残留物を0.5Lのアセトン−塩化メチレン1:9v/v混合物に溶解し、シリカカラムでクロマトグラフィーにかけた;セファロマンニンがパクリタキセルとともに溶出する;パクリタキセルとセファロマンニンを含む画分を一緒にプールし、ロータリーエバポレーターで乾燥させると、固体残留物は、36〜40gのパクリタキセル(45〜55%)を含むパクリタキセルとセファロマンニンの粗混合物である; 6) 前のステップで得た粗混合物(10g)を化学修飾して、臭素化によってセファロマンニンからパクリタキセルを分離する;臭素化反応後に得られる固体残留物の重量は13.2gである; 7) 臭素化残留物をアセトン/塩化メチレン(1:9v/v)に溶解し、シリカカラムでクロマトグラフによって分離し、パクリタキセルを含む画分を一緒にプールし、乾燥するまで蒸発させる; 8) 前のステップで得られた固体残留物をアセトンに溶解し、等体積のn−ヘキサン又は他のヘキサンで結晶化する;結晶を冷アセトン/ヘキサンの1/1 v/v溶液で洗浄、濾過し、40℃の真空下で乾燥し、そのようにして得られた固体結晶は、HPLCクロマトグラフィーによって測定されるように、重量が4.84gであり、97重量%より大きな濃度のパクリタキセルを含む。【0018】 Raoに発行された米国特許第5,475,120号と第5,670,673号は、パクリタキセルの分離方法を開示している。本方法において: 1) 樹皮、針葉、木材、根又はそれらの組合せをアルコールで処理し、大半のアルコールを除去するために、得られた抽出物を圧力下(<35−40℃)で濃縮する。 2) 濃縮物をクロロホルム(又はジクロロメタン、ジクロロエタン又はトリクロロエタン)によって分配し、クロロホルム抽出物を減圧下で濃縮して濃縮シロップを作成し、シロップをガラス皿に注ぎ、樹皮又は木材を使用する場合には粉末を作成するために、針葉を使用する場合には針状結晶を作成するために、真空乾燥機(<40℃)で乾燥させる(100kgの樹皮又は木材からは、抽出物の収量は1.5−2.5kgであり、100kgの針葉からは2.2−4.8kgであった)。 3) クロロホルム固体抽出物(2−2.5kg)をアセトニトリル(5L)に溶解させ、水(5L)を加えた;次に混合物をシリカゲル(2−3Lのスラリー)で平衡にし;混合物を撹拌しながら、さらに水(15L)を徐々に加える;透明溶液を吸い取り、ここでサンプルのしみ込んだシリカゲルの濃縮スラリーをステンレス鋼カラムの上部に移す;パクリタキセルと各種の重要なパクリタキセル類似体を含む画分は、フード内に置き、溶媒をゆっくり蒸発させる;1〜2日後に結晶が生成し、方法は8−10日間続ける; 4) セファロマンニンの含有率が5%未満である、そのように得られた粗結晶は、アセトン/リグロイン混合物により、炭を使用して2回結晶化し、41gの純粋なパクリタキセルが得られる。すなわち収量は0.04%である。上の収量は100kgの樹皮より得られる;あるいは、クロロホルム溶液をシリカ又は登録商標Florisilの短いカラムに通して、粗結晶を脱色する。セファロマンニン汚染物質を除去する別の方法は、オゾンの使用よりなる。カラムを1−2%メタノールのクロロホルムとの混合液で洗浄すると、パクリタキセルのバルクが得られ、これは濃縮と再結晶で回収できる。収量は以前とほぼ同様で40gである。HPLCクロマトグラフィー分析によって、そのように得られたパクリタキセルは0.3%未満のセファロマンニンを含むことがわかった。【0019】 Liuに発行された米国特許第5,969,165号は、工業用分取低圧クロマトグラフィーによる、Taxus canadensisからのパクリタキセルおよび他の関連化合物の分離および精製の方法を開示している。【0020】 本方法において、Taxus canadensisの針葉および小枝(200kg)を1000Lのメタノールによって60℃で5時間抽出した後、濾過する。原材料を700Lのメタノールによって55−60℃にてさらに4時間抽出した後、濾過する。濾液を合わせ、10kgの活性炭(5重量%)と混合する。活性炭を濾過で除去する。濾液を次に約100Lに濃縮する。次に、300Lの水およびジクロロメタン(1:1)を加えた。有機相を回収し、水溶液を200Lのジクロロメタンでさらに2回抽出する。ジクロロメタン溶液を合わせ、蒸発させてスラリーを生成させ、次に20Lのアセトンで希釈する。【0021】 アセトン溶液を20kgの登録商標Celite 545にコーティングして乾燥させ、次に3個の工業用低圧クロマトグラフィーカラム(150×15cm)の上部に装填する。各カラムに15kgの酸化アルミニウム吸着剤を詰める。カラムはヘキサンとアセトンの混合物よりなる溶媒系で、約10〜15psiの圧力にて、約150ml/分の流速で溶出させる。【0022】 タキサン類を含む画分を回収して合わせた後、濃縮して他の溶媒をすべて除去する。得られた物質はメタノールに溶解させ、室温で一晩維持し、針状結晶を得る。結晶を濾過し、アセトンで再結晶させて、13−アセチル−9−ジヒドロバッカチンIIIと識別される白色針状結晶を得る。【0023】 濾液を乾燥するまで濃縮する。残留物を3Lのアセトンに溶解させる。アセトン溶液に1.5kgのポリスチレン−ジビニルベンゼンを混合する。溶媒を蒸発によって除去し、得られた粉末を、ポリスチレン−ジビニルベンゼンを充填した工業用低圧クロマトグラフィーカラムの上部に装填し、45%アセトン水溶液を用いて、流速150ml/分、30psi以下の動作圧で溶出する。【0024】 パクリタキセルとセファロマンニンを含む画分を合わせて蒸発させ、大半のアセトンを除去した後、脱イオン水で希釈し、2.5Lのジクロロメタンで3回抽出した。有機相は濃縮して乾燥させ、残留物を1Lのメタノールに溶解させる。【0025】 約30%(v/v)の水をメタノール溶液に加え、混合物を60℃まで数分間加熱した後、室温で一晩保持する。メタノール溶液からの粗結晶固体を濾過し、真空乾燥機内で70−75℃にて乾燥する。固体は約70%のパクリタキセルと25%のセファロマンニンよりなり、200kgのTAXUS canadensisの針葉および小枝で31グラムの収量である。【0026】 粗パクリタキセルを200mlのアセトニトリルに溶解し、250mlの脱イオン水で希釈し、クロマトグラフィーカラムに装填する。クロマトグラフィーカラムにはポリマー樹脂(登録商標Diaion、マクロ多孔性ポリメタクリレート樹脂)を充填する。カラムは35、40、45および50%アセトニトリル水溶液の段階勾配によって溶出させる。【0027】 パクリタキセル又はセファロマンニンを含む得られた画分は、それぞれ合わせて、結晶化するまで5℃で保持する。次に、パクリタキセルとセファロマンニン結晶を別個に濾過し、どちらもメタノールと水の混合液を用いて65℃で再結晶させる。【0028】 パクリタキセルは白色針状結晶として得られ、純度は99%を超え、収量は18.5g(0.009%)である。セファロマンニンは、純度は98%を超え、収量は6.5g(0.003%)である。【0029】 従って、出願者が知っている従来技術において開示された既知のパクリタキセル精製方法は、高純度パクリタキセルを得るためには、クロマトグラフィーによる分離と結晶化による精製の多くのステップを実施する必要があることを示している。このことは、イチイの他の各品種では、特にパクリタキセルが少ないため、生産コストが非常に高くなる。加えて、精製可能なバイオマスの量は、クロマトグラフィーカラムのサイズが小さいため、そして精製後に得られるパクリタキセルの収量が低いため、非常に限られている。【0030】 (発明の目的と概要) 本発明の第1の目的は: 異なる品種のイチイの樹皮、針葉および/又は枝の抽出後の、バイオマス獲得を容易にすること; そのように得られ、クロマトグラフィーによって精製する必要のあるバイオマスの量を増加させること; 精製ステップを減少させること 得られたパクリタキセルの量を増加すること;および最後に 生産コストをさらに経済的なレベルまで下げることが可能な方法を提供することである。【0031】 本発明の別の目的は、純度の高いパクリタキセル結晶の混合物を提供することである。【0032】 本発明により、上述した第1の目的は、抽出されるパクリタキセルを含むタキサンの天然資源からのパクリタキセルの抽出および精製方法によって達成され、該方法は以下のステップを(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順に行う: a) 有機溶媒によって、タキサンの前記天然資源からパクリタキセルを含む原材料を抽出するステップ; b) パクリタキセルを含むバイオマスを得るために、前記原材料に塩基性溶媒又は酸性溶媒を加えて、前記バイオマスを沈殿させた後に分離して乾燥するステップ; c) 前記バイオマスをアセトンに溶解した後、非極性溶媒を加えることで溶液中の樹脂および天然色素を除去してパクリタキセル濃縮油相を得るステップ; d) 前のステップで得られたパクリタキセル濃縮油相に、ステップ(b)における沈殿処理が塩基性溶媒で行われる場合には酸性溶媒を加え、又はステップ(b)における沈殿処理が酸性溶媒で行われる場合には塩基性溶媒を加え、前記バイオマスを沈殿させた後に、この沈殿物を分離して乾燥し、このパクリタキセルを含むバイオマスを得るステップ; e) 前のステップで得られたバイオマスを揮発性溶媒に溶解し、1回以上クロマトグラフィーによって精製し、クロマトグラフィーによって得られた精製溶液を1回以上結晶化することで、パクリタキセル結晶の混合物を得るステップ。【0033】 本発明により、上述した第2の目的は、パクリタキセル結晶の混合物によって達成され、この混合物は上の方法によって得られ、濾過および結晶の乾燥後、以下よりなる: 純度が99%を超える、約53%の結晶 純度が98%を超える、約22%の結晶 純度が92%を超える、約23%の結晶。【0034】 本発明、その利点および実施するために低減可能な方法は、以下の非制限的な説明を読めば理解されるであろう。【0035】 (発明の詳細な説明) 本発明の範囲内および以下の説明において、“脱カラー化する(percolorize)”という表現は、“溶液と混和可能又は混和不可能な非極性溶媒を加えることによって、溶液から樹脂および色素を除去すること”を意味する。【0036】 上述のように、本発明による方法は、抽出されるパクリタキセルを含むタキサン類の天然資源からパクリタキセルを抽出および精製するために使用するものである。【0037】 (ステップ1−抽出) 方法の第1のステップは、タキサン類の天然資源からパクリタキセルおよびその類似体を含む原材料を、有機溶媒混合物を用いて抽出することよりなる。【0038】 本発明による方法を実施するための開始物質として使用されるタキサン類の天然資源は、Taxus種である。さらに詳細には、パクリタキセルを含む針葉樹種のいずれか1つよりなる。パクリタキセルを含むそのような針葉樹種は、Taxus brevifolia、Taxus baccata、Taxus canadensis、Taxus wallichiana、Taxus yunnanensis、Taxus densiformis、Taxus hicksii、Taxus wardii、Taxus cuspidata、Taxus capitata又はTaxus browniiよりなる。【0039】 本発明による方法は、パクリタキセルを含むタキサン類の天然資源のどの部分にでも使用可能であるという利点がある。抽出は選択された針葉樹の樹皮により実施することが好ましい。あるいは、抽出は選択した針葉樹の枝および針葉を同時に用いて実施することもできる。【0040】 好ましくは、沈殿物を除去するためにそのように得られた抽出物を濾過し、(好ましくは65−70℃の温度の)温水が供給される二重壁タンク内にデカントする。非常に濃い液体が得られるまで、溶媒をこのタンクから蒸留する。そして抽出物は回収され、メタノールに溶解される。【0041】 抽出ステップにおいて、使用する有機溶媒は、アルコール、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールならびに炭化水素の混合物よりなる群から選択されることが好ましい。そのような溶媒の例として、メタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、およびメタノールとジクロロメタン又はトリクロロメタンの混合物が挙げられる。【0042】 ハロゲン化炭化水素とアルコールの混合物を使用する場合、アルコールとハロゲン化炭化水素は9:1〜1:9の体積比で存在することが好ましい。混合物の体積比は約1:1に等しいことがさらに好ましい。【0043】 (ステップ2−第1の沈殿) 本方法の第2ステップは、バイオマスの沈殿を得るために、原材料を塩基性溶媒又は酸性溶媒のどちらかで処理することよりなる。【0044】 塩基性溶媒中で沈殿させる場合、この溶媒は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRISとも呼ばれる)などの塩基性塩の溶液よりなることが好ましい。【0045】 好ましい実施態様によると、塩基性溶媒は水酸化ナトリウムの溶液よりなり、水酸化ナトリウムは溶液1リットル当たり10〜80ミリモルの範囲の濃度で用いられ、さらに好ましくは溶液1リットル当たり20〜50ミリモルの範囲で用いられる。【0046】 塩基性溶媒のpHは、通常8.5〜11であり、好ましくは9〜10である。【0047】 酸性溶媒中で沈殿させる場合、酸性溶媒は通常、鉱酸又は有機酸溶液よりなる。酸は、塩酸、酢酸およびクエン酸よりなる群から選択できる。【0048】 溶液中の酸の濃度は、好ましくは溶液1リットル当たり10〜50ミリモル、さらに好ましくは溶液1リットル当たり20〜30ミリモルである。【0049】 酸性溶媒のpHは、2〜4であることが好ましい。【0050】 すべての場合において、バイオマスを沈殿させるために原材料に加える塩基性又は酸性溶液の体積は、方法の第1ステップで抽出された原材料の体積の1〜20倍に等しい。【0051】 塩基性溶液を用いる場合、原材料に加える塩基性溶液の体積は、原材料の体積の1〜15倍に等しいことが好ましい。酸性溶液を用いる場合、原材料に加える酸性溶液の体積は、方法の第1ステップで得られた原材料の体積の1〜10倍に等しいことが望ましい。【0052】 これらの条件下で、生成される沈殿物は非常に微細で軽いため、その濾過はきわめて困難である。実際、沈殿物は低速の遠心分離(5,000rpm)では完全に回収できない。溶液から沈殿物を効率よく分離するには、15,000又は20,000rpmの速度までも必要である。【0053】 この問題を解決し、そのように得られたバイオマスから沈殿物を分離しやすくするために、分離および乾燥の前に、沈殿に用いる酸性又は塩基性溶液1リットル当たり25〜200グラムを含む濃度の塩化ナトリウムを加えることによって、バイオマスを塩析させてもよい。塩化ナトリウムは、沈殿に用いる酸性又は塩基性溶液1リットル当たり、好ましくは50〜100グラムを含む濃度、さらに好ましくは50〜75グラムを含む濃度で加える。【0054】 塩化ナトリウムを用いて溶液を塩析させると、凝集沈殿が得られる。ここで得られた沈殿物はさらに重く、さらに凝集されているため、濾過又は低速で遠心分離しやすい。【0055】 塩化ナトリウムは、溶液を激しく撹拌しながら迅速に加えることが好ましい。【0056】 本発明の別の好ましい実施態様によると、本ステップで沈殿させたバイオマスは、濾過又は遠心分離によって溶液から分離し、次に、好ましくは通風又は凍結乾燥によって、周囲空気又は真空下で乾燥させる。【0057】 (ステップ3−脱カラー化) 本発明による方法の第3ステップは、前のステップで分離されたバイオマスを脱カラー化することよりなる。【0058】 より具体的には、前のステップの沈殿で得られたバイオマスに、沈殿前のステップ1で抽出した原材料の体積の1〜2倍のアセトンを加えて、アセトン溶液を得る。【0059】 さらに好ましくはバイオマスに、最初にアセトンを加え、次に水を加えることによって、アセトン溶液を得る。水は加えたアセトン100体積当たり、2〜10体積、さらに好ましくは5〜7体積の割合で加えることが好ましい。【0060】 溶解後、得られた溶液に1以上の非極性溶媒を加えて、パクリタキセル濃縮油相を形成する。【0061】 この脱カラー化ステップで用いる非極性溶媒は、ヘキサン又はヘプタンなどの、アセトンと混和可能な炭化水素よりなる群から選択されることが好ましい。ヘキサンを用いる場合、使用するヘキサンの体積は通常、アセトン溶液の体積の3〜4倍である。【0062】 得られた混合物は次にデカント用フラスコに移し、フラスコの底に沈殿しているパクリタキセルおよび他のタキサン類を含む油相を回収する。油相は次に蒸発させて、メタノールで置換する。【0063】 この第3ステップによって、開始物質として使用する針葉樹の樹脂および天然色素の大半を除去することができる。【0064】 (ステップ4−第2の沈殿) 本発明による方法の第4ステップは、沈殿によって別のバイオマスを得るために、前のステップで回収したパクリタキセル濃縮油相に塩基性溶媒又は酸性溶媒を加えて沈殿させ、次のこの別のバイオマスを分離して乾燥する。【0065】 さらに詳細には、この第4ステップにおいて、前のステップで得られたパクリタキセル濃縮油相を、まずは乾燥するまで蒸発させ、メタノールを用いて溶解する。【0066】 そのように得られたメタノール溶液は次に、ステップ2と呼ばれる上述の第1の沈殿ステップが酸性溶媒中で行われた場合は塩基性溶媒中で、第1の沈殿ステップが酸性溶媒中で行われた場合は塩基性溶媒中で沈殿させる。この沈殿の目的は、沈殿物の形でパクリタキセルを含むバイオマスを得ることである。【0067】 本発明の好ましい実施態様によると、沈殿によってそのように得られたバイオマスは、分離又は乾燥の前に、沈殿に用いる酸性又は塩基性溶液1リットル当たり30〜200グラムを含む濃度の塩化ナトリウムを加えることによって、さらに塩析する。塩化ナトリウムは、沈殿に用いる酸性又は塩基性溶液1リットル当たり50〜100グラムを含む濃度で加えることが好ましい。【0068】 バイオマスに含まれる沈殿物は次に濾過し、周囲空気又は真空下で乾燥するか、凍結乾燥させる。【0069】 本ステップで生成される沈殿物は非常に微細で軽いため、濾過がきわめて困難である。実際、沈殿物は低速の遠心分離(5,000rpm)では一部しか回収できない。15,000又は20,000rpmの速度によってのみ、溶液から沈殿物を完全に分離できる。従って、沈殿物をさらに重く、さらに凝集性を高め、濾過又は低速で遠心分離しやすくする凝集沈殿を得るために、溶液に再び塩化ナトリウムを加えることが適当である。この処理に用いる塩化ナトリウム濃度は、好ましくは溶液1リットル当たり25〜100g、さらに好ましくは溶液1リットル当たり50〜75gである。塩化ナトリウムは、溶液を激しく撹拌しながら迅速に加えることが好ましい。【0070】 (ステップ5−クロマトグラフィーによる精製) 本発明による方法の第5の最終ステップは、前のステップで得られた、他の分離バイオマスの1以上の揮発性溶媒による溶液をクロマトグラフィーによって精製することと、クロマトグラフィーによって得られた精製溶液を1回以上結晶化することよりなる。【0071】 そのために、ステップ4の乾燥後に得られた沈殿物を揮発性溶媒に溶解させ、次に1ステップ以上のクロマトグラフィーによる精製とクロマトグラフィーによって得られた精製溶液の1ステップ以上による結晶化を行う。しかし好ましくは、ステップ4の乾燥後に得られた沈殿物は、複数回のクロマトグラフィー精製および複数回の結晶化が行われ、好ましくは、連続する精製および結晶化の回数は3に等しい。これらの3回の連続する精製および結晶化は、以下のサブステップA−Fとしてここで説明する。【0072】 (A−第1のクロマトグラフィー精製) 第1のクロマトグラフィー精製ステップにおいて、方法のステップ4で得られたバイオマスは揮発性溶媒に溶解させる。得られた溶液はシリカゲルと混合し、通気によって乾燥させた後、バイオマスに覆われたシリカゲルを、同じ種類のゲルを含むクロマトグラフィーカラムに装填する。このカラム中で、30〜40%のアセトンと60〜70%のヘキサンからなる混合溶出液によってバイオマスを精製する。混合溶出液は約40%のアセトンと約60%のヘキサンからなることが好ましい。【0073】 溶解に用いる揮発性溶液はアセトンであることが好ましい。アセトン溶液は次に濾過して、不溶性粒子を除去し、シリカゲルと混合する。そのように得られた混合物は次に、通気又は真空下で乾燥させる。【0074】 パクリタキセルおよびその類似体を含浸させたゲルを、好ましくは高さが142cm、内径が7.6cmであり、2.2−2.3kgのシリカゲルを含むカラムに装填する。カラムのゲルは、アセトンおよびヘキサン(40−60%、v/v)よりなる溶出混合物によって洗浄し、平衡にする。同じ溶媒混合物を用い、約100ml/分の流速で、0〜30psiの範囲の圧力下で、画分を溶出させる。【0075】 (B−第2のクロマトグラフィー精製) 第2のクロマトグラフィー精製ステップにおいて、前のステップで回収されたパクリタキセル濃縮画分を好ましくは合わせ、次に残留物が得られるまで、蒸発させて乾燥する。【0076】 次に、揮発性溶媒に溶解させて、残留物溶液を調製する。そのように得られた溶液は次に、前のステップと同じ条件でクロマトグラフィーによって再精製して、あらたなパクリタキセル濃縮画分を得る。【0077】 好ましい実施態様によると、残留物はアセトンに溶解させ、次いでシリカゲルと混合し、乾燥させる。【0078】 パクリタキセルおよびその類似体を含浸させたゲルを、2.2−2.3kgのシリカゲルを含むカラム(長さ142cm×内径7.6cm)に装填する。カラムのゲルは、アセトンおよびヘキサン(40−60%、v/v)よりなる混合溶出液によって洗浄し、平衡にする。同じ混合溶媒を用い、約100ml/分の流速で、0〜30psiの範囲の圧力下で、画分を溶出させる。【0079】 パクリタキセル(一般に40〜60%のパクリタキセル)を含む画分を再度合わせる。【0080】 (C−第1の結晶化) 本ステップにおいて、前の精製ステップでクロマトグラフィーによって得られたパクリタキセルを含む画分を、乾燥するまで蒸発させてアセトンに溶解する。アセトンの量は、HPLC分析によるパクリタキセルに対応するピークに対して溶液の吸収の値が1.0〜1.5 O.D.(optic density)となるように調整する。次に3〜4体積のヘキサンをアセトン溶液に加えて、パクリタキセルを結晶化させる。【0081】 結晶は迅速に生成する。混合物は周囲温度又は2〜8℃で一晩放置し、結晶化を完了させる。【0082】 (D−第2の結晶化) 本ステップにおいて、前のステップで再結晶によって得られた結晶を、濾過により分離し、HPLC分析によるパクリタキセルに対応するピークに対して、溶液の吸収の値が1.0〜1.5 O.D.となるように調整した量のアセトンを用いて、アセトンに溶解する。【0083】 次にアセトン溶液に、溶液の1体積につきヘキサン3〜4体積を加えることによって、本溶液に含まれるパクリタキセルが再結晶化される。【0084】 本ステップで得られる結晶は、HPLC分析によると、パクリタキセル純度は80%より高い。【0085】 (E−第3のクロマトグラフィー精製) 本ステップでは、前のステップで得られた結晶を濾過し、次に塩化メチレンに溶解する。【0086】 そのようにして得られた溶液は次に、シリカゲルと混合し、通気により乾燥させる。【0087】 パクリタキセルでコーティングされたシリカゲルは、同じ種類のゲルを含むクロマトグラフィーカラムに装填する。次に有機溶媒ベースの混合溶出液を用いて、3度目のパクリタキセル再精製を行う。混合溶出液は95〜98%の塩化メチレンと2〜5%のイソプロパノールよりなることが好ましい。【0088】 本ステップでは、結晶を塩化メチレンで溶解し、シリカゲルと混合して乾燥させることが好ましい。パクリタキセルおよびその類似体を含浸させたゲルを、1.5−1.6kgのシリカゲルを含むカラム(長さ76cm×内径7.6cm)に装填する。カラムのゲルは、塩化メチレンおよびイソプロパノール(98−2%、体積当たり)よりなる混合溶出液によって洗浄し、平衡にする。同じ混合溶媒を用い、約50ml/分の流速で、0〜30psiの範囲の圧力下で画分を溶出させる。【0089】 (F−第3の結晶化) 本ステップでは、前のステップでクロマトグラフィーによって回収したパクリタキセルを含む濃縮画分を純度に従って、好ましくは+98〜+99%および90〜98%の純度に従って合わせた。次に乾燥するまで蒸発させて、メタノールに溶解した。【0090】 添加したメタノール量は、HPLC分析によるパクリタキセルに対応するピークに対して、溶液の吸収の値が1.0〜1.5 O.D.となるように調整する。【0091】 次に、溶液1体積当たり2〜10体積の水をメタノール溶液に加えて、パクリタキセルの3度目の再結晶を行った。好ましくはメタノール溶液の1体積当たり4〜7体積の水を使用するのが良い。【0092】 上で開示した精製および再結晶化の最終ステップにおいて、使用する水は脱イオン化および/又は蒸留によって得られた精製水であることが好ましい。【0093】 好ましい実施態様において、2〜4℃の温度に冷却した7〜10体積の純水を、氷冷した1体積のメタノール溶液に加えた。次に、結晶がただちに現れる。結晶化は2〜4℃の温度で一晩継続させる。【0094】 メタノール溶液への水の添加は、周囲温度で実施できる。すると結晶の生成は遅くなるが、2〜4℃では一晩で完了する。微細な分離された粉末を得るために、結晶を濾過し、通気又は真空下で乾燥させる。結晶は次に、純水で懸濁させ、約−60℃の温度で66〜72時間凍結乾燥させる。【0095】 タキサン類の得られた画分は、オートサンプラー(Waters 717 plus)、光ダイオードアレイ検出器(Waters 996)、多溶媒送出システム(登録商標Waters 600E)およびC18 登録商標Nova−Pak カラム、60Å、4μm(3.9×150mm)を用いたHPLCクロマトグラフィーによって分析できる。【0096】 画分の分析は、5μlの体積を注入して行う。溶媒勾配:アセトニトリル−水−メタノール(開始時20:50:30;終了時35:35:30)を用いた場合、移動相の流速は1ml/分である。【0097】 化合物のピークは228nmで検出され、サンプルの分析時間は約36分である。【0098】 残留物を溶解するためのクロマトグラフィー精製ステップで用いる揮発性溶媒は、アセトン、C1−C3低級アルコール、酢酸エチル、塩化メチレンおよびこれらの溶媒の混合物よりなる群から選択するのが好ましい。【0099】 ステップFの終わりに、水中でのパクリタキセル結晶化、濾過および乾燥の後、パクリタキセル結晶の混合物が得られる。パクリタキセル結晶のこの混合物は以下よりなる: 純度が99%を超える、53%の結晶 純度が98%を超える、22%の結晶 純度が92%を超える、23%の結晶【0100】 以下の例は、例示の目的のみで与えられており、本発明の範囲を制限すると見なすべきではない。【0101】 (実施例1) (抽出) Taxus canadensisの乾燥針葉および小枝50kgを脱イオン水で洗浄し、通気して乾燥させた。原材料を粉砕し、木綿袋に移した。この袋を150Lの混合溶媒(塩化メチレン−メタノール;1:1 v/v)を含むステンレス鋼タンクに入れた。抽出は周囲温度で16時間行った。抽出物をフィルターを通してポンプで第2の二重壁タンクに移した。タンクの二重壁に70℃の温水を循環させて、非常に濃厚な液体を得るまで溶媒を蒸留した。【0102】 (第1の沈殿) 抽出濃縮物を回収し、2Lのメタノールで希釈した。バイオマスは20mMのNaOH溶液を抽出物に加えて、沈殿により分離した。抽出物をNaOH溶液に加えると、非常に微細な沈殿物が生成した。抽出物の塩基性溶液に対する体積比は約1:15であった。【0103】 この微細な沈殿物は濾過が非常に困難であった。非常に高速(15000−20000rpm)での遠心分離によってのみバイオマスを回収できた。従って、沈殿物をさらに凝集させるために、NaClを50g/Lの比で溶液に加えた。そして沈殿物を濾過したり、僅か4200rpmで、20℃で30分間遠心分離したりした(J6MC 登録商標Beckman 遠心分離機 4.2 JSローター)。連続フロー遠心分離機を用いて大量の沈殿物を処理できることが理解されるであろう。【0104】 そのように得られた沈殿物を空気乾燥又は真空乾燥するか凍結乾燥(凍結乾燥機−FTSシステムズ)した。沈殿物の重量は約500−550gであった。この沈殿物を2Lのアセトンに溶解させ、含まれている不溶性粒子を除去するために、濾過するか、0−2℃にて30分間、4200rpmで遠心分離した。【0105】 (脱カラー化) 次に、1Lのアセトン溶液を6Lのフラスコに入れ、溶液に1Lのヘキサンを加え、次いで手動で激しく振った。これを繰り返すことにより4Lのヘキサンを混合した。混合物を約10分間放置し、フラスコの底で油相を回収した。【0106】 実際に、大型のBecher又は十分なタンクを用いることによって、アセトン溶液は1回のバッチで処理できる。そこからヘキサン相を吸い出し、残りの液体は、油相を完全に回収するために分離フラスコに移した。【0107】 このステップの間、濃い色のヘキサン相は廃棄した。【0108】 (第2の沈殿) 油相は次に、乾燥するまで蒸発させた。残留物を2Lのメタノールに溶解させた。バイオマスは、メタノール溶液を20mMのHCl溶液に加えて沈殿させ、2回目の分離を行った。抽出物を加えると、非常に微細な沈殿物が生成した。抽出物の酸性溶液に対する体積比は約1:5であった。再び、この微細な沈殿物は濾過が非常に困難であった。高速(15000−20000rpm)での遠心分離によってのみ、バイオマスを回収可能であった。それゆえ、NaClを再度溶液に加え(50g/Lの溶液)、沈殿物をさらに凝集させた。次に沈殿物を濾過、又は、僅か4200rpmの速度にて、20℃で30分間遠心分離した(J6MC 登録商標Beckman 遠心分離機、4.2JSローター)。再度、連続フロー遠心分離機を用いて、大量の沈殿物を処理することができる。【0109】 (低圧にてシリカゲルを用いたクロマトグラフィーによる第1の精製) 回収した沈殿物は、空気又は真空下で乾燥させるか、凍結乾燥させた。沈殿物の重量は約240−260gであった。沈殿物を0.5Lのアセトンに溶解させ、含まれている不溶性粒子を除去するために4200rpmにて、0−2℃で30分間遠心分離した。アセトン溶液を次に200−250gのシリカゲル(230−400メッシュ、製薬品質、登録商標Silicycle、カナダ、ケベック)と混合した。抽出物に含浸させたゲルは通風により、あるいは真空下で乾燥させた。乾燥ゲルを2.2kgのシリカゲル(230−400メッシュ)を含むカラム(142×7.6cm内径)の上部に装填した。アセトンおよびヘキサン(40:60%、v/v)の混合物でゲルを洗浄し、平衡させた。溶出は、登録商標Dynamax 溶媒送出システムを用いて、同じ溶媒によって実施した。溶出の流速は、10−30psiの圧力下で約100ml/分であった。混合溶媒の体積は約30Lであり、各画分は、1Lの溶媒精製を用いてバッチで回収した。HPLC分析によると、17番目から25番目まで、パクリタキセルを含む画分が9個あることが示されている。【0110】 HPLCによって決定したこれらの画分のパクリタキセル含有量はそれぞれ、11;24;32;40;38;33;29;14および9%であった。【0111】 パクリタキセルを含む画分が、ある精製ステップから別の精製ステップの精製で、画分に関して分離されたものとなりうるということは、注意すべきことである。【0112】 (低圧にてシリカゲルを用いたクロマトグラフィーによる第2の精製) パクリタキセルを含む画分はともに合わせて、乾燥するまで蒸発させた。残留物を100mlのアセトンに再溶解させ、100gのシリカゲルに接触させた。パクリタキセルでコートされたゲルを、通気又は真空下で乾燥させた。乾燥ゲルを2.2kgのシリカゲル(230−400メッシュ)を含むカラム(142×7.6cm内径)に装填した。アセトンおよびヘキサン(40:60%、v/v)の混合物でゲルを洗浄し、平衡させた。溶出は、溶媒送出システムを用いて、同じ溶媒によって実施した。溶出の流速は、10−30psiの圧力下で約100ml/分であった。混合溶媒の体積は約30Lであり、各画分は、1Lの溶媒精製を用いてバッチで回収した。HPLC分析によると、22番目から26番目までの5つの画分がパクリタキセルを含んでいた。HPLCによって決定した、これらの画分のパクリタキセル含有量はそれぞれ、40;58;66;50および49%であった。ここでも、パクリタキセルを含む画分が、ある精製ステップから別の精製ステップの精製で、画分に関して分離されたものとなりうるということは、注意すべきことである。【0113】 (第1の結晶化) パクリタキセルを含む画分を合わせて、乾燥するまで蒸発させた。残留物を800mlのアセトンに再溶解させた。HPLC分析におけるパクリタキセルのピークに対して1.0〜1.5 O.D.の吸収の値を得るようにアセトンの体積を調整する必要があった。3体積のヘキサン(2.4L)をアセトン溶液に加えた。1時間後に結晶が生成した。混合物を約2−8℃の温度で一晩保持して、結晶化を完了させた。【0114】 (第2の結晶化) 得られた結晶を濾過し、400mlのアセトンに再溶解させた。3体積のヘキサン(1.2L)をアセトン溶液に加えた。1時間後に結晶が生成した。混合物を約2−8℃の温度で一晩保持して、結晶化を完了させた。結晶を空気又は真空下で乾燥させた。【0115】 得られた結晶の乾燥重量は約10g±0.2gであった。HPLC分析によると、パクリタキセル含有量は約80%以上であることが示された。【0116】 (低圧にてシリカゲルを用いたクロマトグラフィーによる第3の精製) 結晶を75mlの塩化メチレンに再度溶解させ、75gのシリカゲルに接触させた。パクリタキセルでコーティングされたゲルを通気又は真空下で乾燥させた。乾燥ゲルを1.5kgのシリカゲル(230−400メッシュ)を含むカラム(76×7.6cm内径)に装填した。塩化メチレンおよびイソプロパノール(98:2%、v/v)の混合液でゲルを洗浄し、平衡させた。溶出は、登録商標Dynamax溶媒送出システムを用いて、同じ溶媒によって実施した。溶出の流速は、10−30psiの圧力下で約50ml/分であった。混合溶媒の体積は約30Lであり、各画分毎に、1Lずつの溶媒で回収した。HPLC分析によると11番目から22番目まで、パクリタキセルを含む画分が12個あることが示されている。これらの画分においてHPLCによって決定されたパクリタキセル含有量は次のとおりである:80;97;99.50;99.70;99.70;99.30;98.60;97.30;94;92;89および85%。ここでも、パクリタキセルを含む画分が、ある精製ステップから別の精製ステップの精製で、画分に関して分離されたものとなりうるということは、注意すべきことである。【0117】 (第3の結晶化) パクリタキセルを含む画分をそれぞれの純度に合わせ、乾燥するまで蒸発させた。12番目から16番目の画分は100mlのメタノール(HPLC級)に溶解させ、17番目から18番目の画分は45mlのメタノール(HPLC級)に溶解させ、19番目から22番目の画分は75mlのメタノール(HPLC級)に溶解させた。 1)事前に2−8℃に冷却した700mlの水(HPLC級)を、氷冷したメタノール溶液(12番目から16番目の画分)に加えた。白色結晶がただちに出現した。 2)事前に2−8℃に冷却した300mlの水(HPLC級)を、氷冷したメタノール溶液(17番目および18番目の画分)に加えた。白色結晶がただちに出現した。 3)事前に2−8℃に冷却した500mlの水(HPLC級)を、氷冷したメタノール溶液(19番目から22番目の画分)に加えた。白色結晶がただちに出現した。【0118】 結晶は別個に濾過し、空気又は真空下で乾燥させた。乾燥重量およびHPLCで分析した結晶の純度は以下のとおりである: 12番目から16番目の画分:3.40g−純度:99.30% 17番目から18番目の画分:1.40g−純度:98.85% 19番目から22番目の画分:1.60g−純度:92.70%【0119】 純度が98%未満の結晶を取り、上述した第3の生成ステップと同じ条件下で、クロマトグラフィーによって一緒に再精製した。この再精製によって、純度が99%を超える全量の約75%の結晶が得られた。【0120】 (実施例2) 実施例2で開示する方法は、第1および第2のステップを以下のように実施したことを除き、実施例1で開示した方法と同様である。【0121】 (第1の沈殿) 抽出濃縮物を回収し、2Lのメタノールで希釈した。20mMのHCl溶液にバイオマスを加えて沈殿させて分離した。抽出物を加えると、非常に微細な沈殿物が生成した。抽出物の酸性溶液に対する体積比は約1:10であった。この微細な沈殿物は濾過が非常に困難であった。高速(15000−20000rpm)での遠心分離によってのみ、バイオマスを回収可能であった。それゆえ、沈殿物をさらに凝集させるために、50g/Lの比でNaClを溶液に加えた。次に沈殿物を濾過、又は4200rpmの速度にて、20℃で30分間遠心分離した(J6MC 登録商標Beckman 遠心分離機、4.2JSローター)。【0122】 回収した沈殿物を空気乾燥又は真空乾燥するか凍結乾燥した。沈殿物の重量は約500−520gであった。この沈殿物を2Lのアセトンに溶解させ、そこに含まれている不溶性粒子を除去するために、濾過するか、0−2℃にて30分間、4200rpmで遠心分離した。【0123】 (第2の沈殿) 油相は次に、乾燥するまで蒸発させた。残留物を2Lのメタノールに溶解させた。バイオマスは、メタノール溶液を20mMのNaOH溶液に加えて沈殿させ、2回目の分離を行った。抽出物を加えると、非常に微細な沈殿物が生成した。抽出物の酸性溶液に対する体積比は約1:5であった。この微細な沈殿物は濾過が非常に困難であった。高速(15000−20000rpm)での遠心分離によってのみ、バイオマスを回収可能であったであろう。それゆえ、沈殿物をさらに凝集させるためにNaClを溶液50g/Lの比で溶液に加えた。次に沈殿物を濾過、又は4200rpmの速度にて、20℃で30分間遠心分離した(J6MC 登録商標Beckman 遠心分離機、4.2JSローター)。【0124】 本実施例2で得られたパクリタキセルの収量と純度は、実施例1で得られたものと同じであった。【0125】 上の実施例は、本発明による方法が、当業界で既知の他の方法と比べて、パクリタキセルの生産コストを実質的に低下させることを示している。このコスト低下は、許容可能な治療純度を有するパクリタキセル収量の増加によって、そして回収不能な生成物(溶媒、ゲル...)および生産時間に関する著しい節約によってもたらされる。これらの利点に加え、本発明は、処理バイオマスに含まれる少量のパクリタキセルに制限されることなく、工業レベルで使用可能である、非常に単純で、迅速および容易な方法を提供する。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は本発明による方法の一部を説明するフローチャート。【図2】 図2は本発明による方法のうち、図1に示す方法以降を説明するフローチャート。【図3】 図3は本発明による方法のうち、図2に示す方法以降を説明するフローチャート。 抽出されるパクリタキセルを含むタキサン類の天然資源からパクリタキセルを抽出および精製する方法であって、以下のステップ: a) 有機溶媒によって、タキサン類の前記天然資源からパクリタキセルを含む原材料を抽出するステップ; b) 前記ステップ(a)で得られたパクリタキセルを含む原材料に塩基性溶媒又は酸性溶媒を加えて、パクリタキセルを含むバイオマスを沈殿させた後に、この沈殿物を分離して乾燥し、このパクリタキセルを含むバイオマスを得るステップ; c) 前記ステップ(b)で得られたパクリタキセルを含むバイオマスをアセトンに溶解した後、この溶液に1以上の非極性溶媒を加えることで溶液中の樹脂及び色素を除去してパクリタキセル濃縮油相を得るステップ; d) 前記ステップ(c)で得られたパクリタキセル濃縮油相に、ステップ(b)における沈殿処理が塩基性溶媒で行われる場合には酸性溶媒を加え、又はステップ(b)における沈殿処理が酸性溶媒で行われる場合には塩基性溶媒を加え、パクリタキセルを含むバイオマスを沈殿させた後に、この沈殿物を分離して乾燥し、このパクリタキセルを含むバイオマスを得るステップ; e) 前記ステップ(d)で得られたパクリタキセルを含むバイオマスを揮発性溶媒に溶解し、1回以上クロマトグラフィーによって精製し、クロマトグラフィーによって得られた精製溶液を1回以上結晶化することで、パクリタキセル結晶の混合物を得るステップ;をステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順に行う方法。 パクリタキセルを含むタキサン類の天然資源がタイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia)、ヨーロッパイチイ(Taxus baccata)、カナダイチイ(Taxus canadensis)、ヒマラヤイチイ(Taxus wallichiana)、ウンナンイチイ(Taxus yunnanensis)、メディアイチイ「デンシフォルミス」(Taxus densiformis)、メディアイチイ「ヒックシー」(Taxus hicksii)、メディアイチイ「ワーディー」(Taxus wardii)、イチイ(Taxus cuspidata)、イチイ「カピタータ」(Taxus capitata)又はメディアイチイ「ブラウニー」(Taxus brownii)よりなる群から選択される針葉樹よりなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 ステップ(a)において、針葉樹のすべての部分を処理することを特徴とする、請求項2に記載の方法。 ステップ(a)において、針葉樹の樹皮を処理することを特徴とする、請求項2に記載の方法。 ステップ(a)において、針葉樹の枝と針葉を同時に処理することを特徴とする、請求項2に記載の方法。 ステップ(a)において、有機溶媒がアルコール、ハロゲン化炭化水素、アルコールおよびハロゲン化炭化水素の混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の方法。 ステップ(a)において、有機溶媒がメタノールおよびジクロロメタンの混合物、あるいはメタノールおよびトリクロロメタンの混合物であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。 アルコールおよびハロゲン化炭化水素が9:1から1:9の範囲の体積比で存在することを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の方法。 アルコールとハロゲン化炭化水素の体積比が1:1であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。 ステップ(b)で用いる塩基性溶媒が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンよりなる群から選択される塩基性塩の溶液よりなる塩基性溶媒であることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の方法。 塩基性塩が水酸化ナトリウムであり; 水酸化ナトリウムが溶液1リットル当たり10mM〜80mMからなる濃度で使用され; 溶液のpHが8.5〜11である;ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。 溶液のpHが9〜10であることを特徴とする、請求項10又は請求項11に記載の方法。 ステップ(b)で用いる酸性溶媒が、鉱酸又は有機酸の溶液よりなる酸性溶媒であることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の方法。 酸が塩酸、酢酸およびクエン酸よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。 溶液の酸濃度が、溶液1リットル当たり10mM〜50mMであることを特徴とする、請求項13又は請求項14に記載の方法。 酸濃度が、溶液1リットル当たり20mM〜30mMであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。 溶液のpHが2〜4であることを特徴とする、請求項13乃至請求項16のいずれかに記載の方法。 ステップ(b)において、バイオマスの沈殿が塩基性溶媒又は酸性溶媒によって生成され、ステップ(a)で抽出された原材料に対する前記塩基性溶媒又は酸性溶媒の体積比が1〜10であることを特徴とする、請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の方法。 ステップ(b)において、バイオマスを分離して乾燥する前に、沈殿に用いる溶液1リットル当たり25〜200gの濃度で塩化ナトリウムを加えることによって塩析させることを特徴とする、請求項1乃至請求項18のいずれかに記載の方法。 ステップ(b)において、沈殿に用いる溶液1リットル当たり50〜100gの濃度で塩化ナトリウムを加えることを特徴とする、請求項19に記載の方法。 ステップ(b)において、沈殿したバイオマスを濾過又は遠心分離によって分離し、次に通気又は凍結乾燥によって乾燥させることを特徴とする、請求項1乃至請求項20のいずれかに記載の方法。 ステップ(c)で用いる1以上の非極性溶媒がヘキサン又はヘプタンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の方法。 ステップ(c)において、ステップ(b)で得られた乾燥バイオマスを、ステップ(a)で抽出した原材料の2体積に等しい体積のアセトンに溶解することを特徴とする、請求項1乃至請求項22のいずれかに記載の方法。 ステップ(b)で得られた乾燥バイオマスを、アセトン、次に水を加えて溶解することを特徴とする、請求項1乃至請求項22のいずれかに記載の方法。 ステップ(b)で得られたバイオマスに加えるアセトンと水の体積比を、100:2〜10とすることを特徴とする、請求項24に記載の方法。 ステップ(d)において: ステップ(c)で得られたパクリタキセル濃縮相を乾燥するまで蒸発させ、この乾燥したパクリタキセル濃縮相をメタノールに溶解してメタノール溶液を得て、; ステップ(b)で述べた最初の沈殿が酸性溶媒で行われた場合には、前記メタノール溶液に塩基性溶媒を加えてバイオマスを沈殿させ、 ステップ(b)で述べた最初の沈殿が塩基性溶媒で行われた場合には、前記メタノール溶液に酸性溶媒を加えてバイオマスを沈殿させ; この沈殿物を分離して乾燥することで、パクリタキセルを含むバイオマスを得ることを特徴とする、請求項1乃至請求項25のいずれかに記載の方法。 ステップ(d)で得られたバイオマスを分離して乾燥する前に、沈殿に用いる溶液1リットル当たり30〜200gの濃度で塩化ナトリウムを加えることによってさらに塩析させることを特徴とする、請求項1乃至請求項26のいずれかに記載の方法。 沈殿に用いる溶液1リットル当たり50〜100gの濃度で塩化ナトリウムを加えることを特徴とする、請求項27に記載の方法。 ステップ(e)が以下のサブステップ: e1) ステップ(d)で分離した沈殿物を揮発性溶媒に溶解することと、そのように得られた溶液とシリカゲルとの混合物を調製することと、シリカゲルを含むクロマトグラフィーカラムで前記混合物を処理することと、パクリタキセル濃縮画分を回収することを含む、第1のクロマトグラフィー精製; e2) 前のステップで回収されたパクリタキセル濃縮画分を残留物が得られるまで、蒸発させて乾燥することと、前記残留物を揮発性溶媒に溶解させることによって混合物を調製することより成り、他のパクリタキセル濃縮画分を得るために、前記混合物が前のサブステップと同じ条件下でクロマトグラフィーによって再精製される、第2のクロマトグラフィー精製; e3) 前のサブステップで得られた他のパクリタキセル濃縮画分を残留物が得られるまで、蒸発させて乾燥することと、前記残留物をアセトンで溶解した混合物を調製することと、混合物に含まれるパクリタキセルを非極性溶媒によって結晶化することを含む、第1の結晶化; e4) アセトンに前のサブステップで得られたパクリタキセル結晶を溶解することと、前のサブステップと同じ条件下でパクリタキセルを再結晶化することを含む、第2の結晶化; e5) 溶液を得るために、前のサブステップで再結晶化することによって得られた結晶を揮発性溶媒に溶解することと、前記溶液とシリカゲルの混合物を調製することと、溶出溶媒とともにさらにパクリタキセル濃縮画分を得るために、シリカゲルを含むクロマトグラフィーカラムで前記混合物を処理することを含む、第3のクロマトグラフィー精製; e6) 前のサブステップで得られたさらなるパクリタキセル濃縮画分を残留物が得られるまで、蒸発させて乾燥することと、別の混合物を得るために、残留物をアルコール、アセトン、又はアルコール−アセトン混合物に溶解させることと、別の混合物に含まれるパクリタキセルを水によって結晶化させることを含む、第3の結晶化;をステップ(e1)、(e2)、(e3)、(e4)、(e5)、(e6)の順に行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項28のいずれかに記載の方法。 ステップ(e1)において: ステップ(d)で得られたパクリタキセルを含むバイオマスを揮発性溶媒に溶解し; 得られた溶液をシリカゲルと混合し、通気下で乾燥させてパクリタキセルを含むゲルを得て; このゲルを、シリカゲルを含むクロマトグラフィーカラムに装填し; 30〜40%のアセトンおよび60〜70%のヘキサンからなる混合溶出液で精製してパクリタキセルを含む画分を得る;ことを特徴とする、請求項29に記載の方法。 混合溶出液が40%のアセトンと60%のヘキサンからなることを特徴とする、請求項30に記載の方法。 ステップ(e2)において: ステップ(e1)でクロマトグラフィーによって得られたパクリタキセルを含む濃縮画分をまとめ、乾燥するまで蒸発させて揮発性溶媒に溶解し; 得られた溶液をシリカゲルと混合し、通気下で乾燥させてパクリタキセルを含むゲルを得て; このゲルを、シリカゲルを含むクロマトグラフィーカラムに装填し; パクリタキセルを含むバイオマスを次に、30〜40%のアセトンおよび60〜70%のヘキサンからなる混合有機溶媒で再精製してパクリタキセルを含む画分を得る;ことを特徴とする、請求項29乃至請求項31のいずれかに記載の方法。 混合有機溶媒が40%のアセトンと60%のヘキサンからなることを特徴とする、請求項32に記載の方法。 ステップ(e3)において: ステップ(e2)でクロマトグラフィーによって得られたパクリタキセルを含む画分をまとめ、乾燥するまで蒸発させてアセトンに溶解してアセトン溶液を得、アセトンの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によるパクリタキセルに対応するピークに対して前記溶液の吸収の値が1.0〜1.5 O.D.となるように調製し; 前記アセトン溶液に、3〜4体積のヘキサンを加えて結晶化させる;ことを特徴とする、請求項29乃至請求項31のいずれかに記載の方法。 ステップ(e4)において: ステップ(e3)で得られた結晶は、濾過により分離されてアセトンに溶解してアセトン溶液を得、アセトンの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によるパクリタキセルに対応するピークに対し、前記溶液の吸収の値が1.0〜1.5 O.D.となるように調製し; 前記アセトン溶液に、3〜4体積のヘキサンを加えて結晶化させる;ことを特徴とする、請求項29乃至請求項34のいずれかに記載の方法。 ステップ(e5)において: ステップ(e4)で得られた結晶を濾過して塩化メチレンに溶解し; そのように得られた溶液を次にシリカゲルと混合し、通気下で乾燥させ; パクリタキセルで覆われたシリカゲルを、シリカゲルを含むクロマトグラフィーカラムに装填し; 有機溶媒ベースの混合溶出液を用いて、3度目の精製を行う;ことを特徴とする、請求項29乃至請求項35のいずれかに記載の方法。 有機溶媒ベースの混合溶出液が95〜98%の塩化メチレンと2〜5%のイソプロパノールからなることを特徴とする、請求項36に記載の方法。 ステップ(e6)において: ステップ(e5)でクロマトグラフィーによって得られたパクリタキセルを含む濃縮画分は、純度に従ってまとめられ、乾燥するまで蒸発させてメタノールに溶解してメタノール溶液を得、メタノールの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によるパクリタキセルに対応するピークに対して、前記溶液の吸収の値が1.0〜1.5 O.D.となるように調製し; 前記メタノール溶液に、2〜10体積の水を加えて3度目の再結晶を行う;ことを特徴とする、請求項29乃至請求項37のいずれかに記載の方法。 メタノール溶液に、4〜7体積の水を加えることによって、パクリタキセルの3度目の再結晶を行うことを特徴とする、請求項38に記載の方法。 ステップ(e1)、(e2)および(e5)で使用された揮発性溶媒が、アセトン、C1−C3低級アルコール、酢酸エチル、塩化メチレンおよびこれらの溶媒の混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項29乃至請求項39のいずれかに記載の方法。 ステップ(e6)において、水中でのパクリタキセルの結晶化の後、パクリタキセル結晶の混合物が濾過によって得られ、次に乾燥されることを特徴とする、請求項29乃至請求項40のいずれかに記載の方法。 請求項1記載のステップ(a)〜(e)で使用される水が、脱イオン化および/又は蒸留によって得られた精製水であることを特徴とする、請求項1乃至請求項41のいずれかに記載の方法。


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