タイトル: | 特許公報(B2)_安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン |
出願番号: | 2001504880 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07C 243/06,C07F 5/06 |
ハリス,ダレル・ヴイ ローマン,ポール・ジェイ,ジュニア ウー,ツィホン アダムズ,アール・ジー ウィリアムズ,エリック・エル JP 4870298 特許公報(B2) 20111125 2001504880 20000612 安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン アルベマール・コーポレーシヨン 594066006 奥山 尚一 100099623 有原 幸一 100096769 松島 鉄男 100107319 河村 英文 100114591 吉田 尚美 100118407 中村 綾子 100125380 岡本 正之 100130960 深川 英里 100125036 森本 聡二 100142996 ハリス,ダレル・ヴイ ローマン,ポール・ジェイ,ジュニア ウー,ツィホン アダムズ,アール・ジー ウィリアムズ,エリック・エル US 09/338,786 19990623 20120208 C07C 243/06 20060101AFI20120119BHJP C07F 5/06 20060101ALN20120119BHJP JPC07C243/06C07F5/06 D C07C243/04 C07F 5/06 特開平09−258386(JP,A) 特開平05−194346(JP,A) 特開昭50−149604(JP,A) 40 US2000016058 20000612 WO2000078711 20001228 2003502402 20030121 13 20011221 2008024277 20080922 井上 雅博 齋藤 恵 村守 宏文 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、重合禁止剤として有用なN−ニトロソヒドロキシルアミン化合物、特に安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン化合物に関連する。【0002】【従来の技術】N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム錯体(また、一般にNPALとも呼ぶ)等のN−ニトロソ−N−ヒドロキシルアミン塩は、種々の重合システムで重合禁止剤または安定剤として使用される。例えば、NPALは、フリーラジカル重合システム(例えば、オレフィン、不飽和ポリエステル、スチレン、アクリレートなどが重合するのに使用される)における安定剤として使用され得る。NPALは、早期重合と粘度増加/ゲル化、モノマー/オリゴマーなどの反応性の喪失などの付随する問題を防止する作用をする。また、輻射線への曝露(例えばUV硬化型システム等)により開始される重合システム、熱で開始される重合システム等の他のタイプの重合システムでもNPALと類似の化合物を使用することができる。【0003】【発明が解決しようとする課題】重合禁止剤としての有用性にも拘わらず、NPALの使用に関連する問題が存在する。具体的には、NPALと他のNニトロソヒドロキシルアミン化合物は不安定であり、ある場合には変色と沈澱の生成から明らかなように、分解を受ける。形成される沈澱は、すべての重合系で不溶であり、濁った混合物を生じる。加えて、この分解は重合禁止剤としてのNPALの有効性を喪失させる。更には、一度暗色化すると顧客はこの製品の使用を嫌がり、色敏感性の用途でこの製品を容易に使用することができない。【0004】NPALを安定化する試み、例えば分解の程度と速度を最少とする先行の試みは、この製品を不活性雰囲気(窒素ブランケット)下で暗色(琥珀色)容器中で貯蔵することを含む。加えて、通常、NPALは、冷条件下で出荷、貯蔵され、一般に使用する迄冷蔵される。しかしながら、これはコスト高である。【0005】Varwigへの米国特許第4,898,976号は、空気の存在下でのこの溶液の不安定性の結果としてこのような化合物、特にクプフェロン(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩)の分解を述べている。クプフェロンの分解を解決するために、該'976特許はN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのエタノールアミン塩の使用を報告している。【0006】【課題を解決するための手段】本発明は、貯蔵後に色及び/またはトルエン不溶分含量の変化が最少あるいは皆無である等の、望ましい性質を呈する、安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン化合物を提供する。本発明により安定化することができる例示のNニトロソヒドロキシルアミン化合物は、N−ニトロソヒドロキシルアミンの金属錯体あるいは金属塩を含む。この明細書で使用されるように、「金属塩」と「金属錯体」という用語は同義であり、すべての塩と錯体を含む。特に好ましい安定化された化合物は、N−ニトロソ−Nフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム錯体等のN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属塩を含む。【0007】このN−ニトロソヒドロキシルアミン化合物を安定化するために、このNニトロソヒドロキシルアミン化合物は、湿気及び/または他の蒸気を吸着及び/または吸収することが可能な物質を含んでなる少なくとも一つの安定剤の存在下に置かれる。本発明のいかなる説明も本発明を限定するものではないが、N−ニトロソヒドロキシルアミン錯体の不安定性は、少なくとも一部は水により引き起こされると現時点では考えられる。具体的には、水に曝された場合、N−ニトロソヒドロキシルアミン金属錯体は、この雰囲気中で水分子と反応して、望ましくない副生成物を形成することを本発明者らは見出した。例えば、NPALは、水との反応時、アルミノハイドライド錯体とも呼ばれる、不溶であるダイマー(4個のN−ニトロソヒドロキシルアミン配位子、2個のアルミニウム原子及び2個のヒドロキシ配位子から構成される)を形成し、NPALを長時間わたる意図した使用に不適なものとする。このダイマーの形成は、遊離のN−ニトロソヒドロキシルアミン分子を放出し、次には、これが急速に分解して、製品の暗色化を生じる。本発明のいかなる理論または説明も本発明を限定するものではないが、現時点では、この安定剤は、存在する可能性のある窒素酸化物等の他の蒸気を吸収及び/または吸着することにより機能するとも考えられる。【0008】例示の安定剤は、モレキュラーシーブ、活性炭、吸湿性の硫酸塩、シリカ及びこれらの混合物を含む。現時点で好ましい安定剤はモレキュラーシーブ、活性炭及びこれらの混合物を含む。【0009】本発明は、また、この安定剤を入れた安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン化合物の包装品または容器も提供する。N−ニトロソヒドロキシルアミンの容器の中でこの容器環境中で湿気の通過に対して多孔性である、もっと小さい、分離した容器にこの安定剤を入れるのが有利である。長時間にわたっての冷凍を必要とせずにこの乾燥された容器を出荷、貯蔵することができる。【0010】【発明の実施の形態】次の詳細な説明で本発明を更に充分に説明し、ここで本発明の好ましい態様を記述する。しかしながら、本発明は多くの異なる形で実施されてもよく、ここで示した態様の制約と考えられるべきでない。むしろ、この開示を充分で完璧とするように、そして、当業界者に本発明の範囲を充分に示すように、これらの態様は提供される。【0011】本発明により安定化することができるN−ニトロソヒドロキシルアミン化合物は、当業界で知られているようないかなるタイプのこれらのN−ニトロソヒドロキシルアミン金属錯体も含む。N−ニトロソヒドロキシルアミンは、一般に式【化5】により表されることができ、これは互変異性のアミンオキサイド形【化6】と平衡に存在する。ここで、各Rはアルキル、置換アルキル、アリール及び置換アリールからなる群から独立に選ばれる。【0012】禁止剤として使用してもよいN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属錯体もまたよく知られた化合物であり、次の式【化7】を有する。ここで、各Rはアルキル、置換アルキル、アリール及び置換アリールからなる群から独立に選ばれ、Mは金属であり、そしてaは1から4であり、Mの原子価に等しい数である。【0013】この明細書で使用されるように、「アルキル」という用語は、通常1から20個の炭素を持つ、直鎖あるいは分岐鎖の炭化水素、あるいは通常、3から20個の炭素原子を持つ環状炭化水素を意味する。環状炭化水素は、一つあるいはそれ以上の環状炭化水素環を含む。「置換アルキル」は、一つあるいはそれ以上の置換基を持つアルキルである。「アリール」は、各5あるいは6個の炭素原子の一つあるいはそれ以上の芳香族環を意味する。多アリール環は、ナフチルにおけるように融合していてもよく、あるいはビフェニルにおけるように非融合でもよい。「置換アリール」は、一つあるいはそれ以上の置換基を持つアリールである。好適な置換基あるいは基は、限定するのではないが、ハロ、−OH、−CN、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C1−C10アルコキシ、C7−C12アラルキル、C7−Cl2アルカリール、C3−Cl0シクロアルキル、C3−Cl0シクロアルケニルなどを含む。好ましくはRは、アリール、更に好ましくはフェニルまたはナフチルである。【0014】特定のN−ニトロソヒドロキシルアミン化合物の例は、限定するのではないが、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−1−ナフチルヒドロキシルアミンなど及びこれらの混合物を含む。他の特定の化合物は、N−ニトロソ−p−クロロ−フェニルヒドロキシルアミンまたはこのブロモ化合物を含む。【0015】使用してもよい上記のN−ニトロソヒドロキシルアミンの塩の例は金属塩を含む。例示の金属塩は、限定するのではないがカリウムあるいはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム及びカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩等のlIlA族塩、スズ塩等のIVA族塩、銅塩等のIB族塩、鉄、コバルト、及びニッケル塩等のVIII族塩、チタン塩等のIVB族塩、バナジウム塩等のVB族塩、モリブデン塩等のVIB族塩、マンガン塩等のVIIB族塩、及びこれらの混合物を含む。【0016】例示の塩は、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム錯体である。【0017】N−ニトロソヒドロキシルアミンとこれらの塩は、当業界で知られた方法を用いて製造されることができ、そして/または市販されている。Nニトロソヒドロキシルアミンの金属塩は、Nニトロソヒドロキシルアミンまたはこれらの塩の意図された金属とのイオン交換により容易に製造されることができる。この金属のハロゲン化物、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、及び有機酸塩等の他の塩を使用することもできるが、例えば、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩とNニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩とを反応させることによりNPALを製造することができる。【0018】本発明で有用なN−ニトロソヒドロキシルアミンを製造し、使用する方法は、全体の開示を参照によりこの明細書に組入れている、例えば、米国特許第3,426,063号、第4,144,260号、第4,980,079号、第4,638,079号、第4,898,976号;及び第5,292,920号で記述されている。【0019】この明細書で使用されるように、「安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン」という用語は、60℃の温度で90日間貯蔵した場合、色変化を実質的に呈さない、あるいは最少の色変化を呈する、N−ニトロソヒドロキシルアミンを指す。試料のトルエン中の5%溶液のガードナーカラーの増加を測定することにより、色変化を定量することができる。安定化NPALに対する色は、通常、約1.0から約4.0の範囲であり、そして好ましくはガードナーインデックススケールを用いて測定したこの色は約2.5よりも大きくない。密封容器中に60℃で90日間保持した非安定化NPALは、通常、13から15スケール単位のガードナーカラーの増加を示す。【0020】また、60℃の温度で90日間貯蔵した後トルエン不溶分を測定することにより、N−ニトロソヒドロキシルアミンの安定性を求めることもできる。非安定化NPALは、通常、最初の重量の40%から60%のトルエン不溶分を生じ、それに対して、通常、安定化NPALはトルエン不溶分を生じない。本発明の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミンは、60℃の温度で90日間貯蔵した後本質的あるいは実質的にトルエン不溶分を持たないのが有利である。【0021】このN−ニトロソヒドロキシルアミンは、このN−ニトロソヒドロキシルアミン塩の安定化が可能な作用剤、すなわち上述のように色変化及び/または不溶分の形成の防止あるいは最少化に好適な作用剤を用いる本発明により安定化されている。また、この安定剤は、雰囲気中の水を吸着、吸収あるいはそうでなければ結合することが可能な作用剤としても定義されることができる。加えて、上記したように、この安定剤は、他の蒸気を吸収し、吸着し、あるいは他の方法で結合することが可能である。これにより、N−ニトロソヒドロキシルアミン化合物が次に例えば、水と反応して、ダイマーを形成しないようにすることができる。このように、一般にこの安定剤は、空気から湿気または水蒸気を吸着することが可能である、吸湿性物質(あるいは乾燥剤)であってもよい。【0022】本発明による例示の安定剤は、限定するのではないが、モレキュラーシーブ、活性炭、硫酸塩、シリカなど並びにこれらの混合物を含む。しかしながら、このN−ニトロソヒドロキシルアミン塩を安定化するのに充分な量で湿気及び/または他の蒸気を雰囲気から吸着及び/または吸収することが可能である、当業界で知られている物質のタイプのいずれも本発明で使用することができる。【0023】活性炭はよく知られていて、多数の気体、蒸気、及びコロイド状固体に対する高吸着性により特徴付けられる、非晶質の形の炭素として一般に表され得る。木材、ナッツ殻、動物の骨または他の炭素質材料の分解蒸留により、この炭素を得ることができる。次に、この炭素は、蒸気または二酸化炭素と共に加熱(例えば800から900℃の温度に)することにより、活性化されて、多孔性の内部構造を生じる。【0024】モレキュラーシーブもまたよく知られていて、粘土及び長石に化学的に類似し、ゼオライトとして知られているクラスの材料に属する結晶性アルミノシリケート、または例えば有機アミンまたは4級アンモニウム塩を含む混合物から誘導される結晶性アルミノホスフェートを含んでなる、微細多孔性構造体として一般に表され得る。細孔サイズは変わることができ、この範囲外のサイズも有用であるが、通常、約5から約10Åの範囲である。これらの材料は、結晶性構造の変化を殆どあるいは全く伴わずに脱水を起こすことができ、そしてこの脱水結晶は、この結晶の全体積の殆ど50%を含んでなる、分子寸法の規則的に間隔を持つチャンネルにより織り交ぜられた構造となる。当業界で知られているように、活性化モレキュラーシーブ結晶中の空隙は、水分子を再捕捉する強力な傾向を有する。この結晶の細孔を通るのに充分小さい分子のみが空隙に入り、内部表面で吸着され得るために、このような結晶は「モレキュラーシーブ」として知られている。【0025】代表的な硫酸塩は、限定するのではないが硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムなど、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、硫酸塩を含む。【0026】使用時には、このN−ニトロソヒドロキシルアミン化合物は、使用に先立つNニトロソヒドロキシルアミン化合物の実質的な分解を最少にしそして/または防止する、すなわちこのN−ニトロソヒドロキシルアミン環境(容器)中の乾燥雰囲気を維持するための安定剤の存在下で包装される。好ましくは、この安定剤は、N−ニトロソヒドロキシルアミンから容易に取り除くことができるように、N−ニトロソヒドロキシルアミンと共に包装される。例えば、それ自身、環境からの水を通すが、安定剤それ自身は通さない充分な細孔性を持つ材料中にこの安定剤を包装することができ、そして、この包装品をN−ニトロソヒドロキシルアミン化合物の環境の中に置いて、この安定剤がこの環境中の水を結合するようにすることができる。その後、この安定剤を容易に取り去き、そしてこのN−ニトロソヒドロキシルアミン化合物を所望のように使用することができる。【0027】N−ニトロソヒドロキシルアミン化合物と安定剤の得られた包装品または容器を製造し、出荷し、そして長時間(室温で少なくとも3ケ月迄の)保存することができる。このように、このN−ニトロソヒドロキシルアミンは出荷と貯蔵時に冷蔵の必要がないために、本発明は、この製品の製造と使用の経済性を提供する。加えて、この製品の保存寿命を延ばすことができ、そして分解により生じる製品の損失が最少化し、あるいは無くなるために廃棄物が低減できる。【0028】本発明により使用される安定剤の量は、N−ニトロソヒドロキシルアミン化合物の性状、安定剤、N−ニトロソヒドロキシルアミン化合物の環境の水または湿気含量、温度、貯蔵の長さ等種々の要素に依り変わり得る。通常、この安定剤は、N−ニトロソヒドロキシルアミンの重量基準で約0.1から約25重量%、好ましくは約0.5から約5重量%の範囲の量で存在することができる。【0029】この安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン塩は、限定するのではないが、フリーラジカル、輻射線及び熱開始の重合システムを含む種々の重合システムにおいて重合禁止剤として有用である。この安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン金属塩は、当業界で知られている慣用の重合禁止量でこの重合性組成物中に存在することができる。当業界で知られているように、通常、重合系は、モノマー、オリゴマー、及び樹脂を含む一つあるいはそれ以上のエチレン型不飽和化合物を含む。例示の重合性化合物は、限定するのではないが、アクリル及びメタアクリル酸、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、不飽和エポキシ樹脂などから誘導されるモノマーとオリゴマーを含む。この重合性化合物は、当業界で知られている量で使用され、場合によってはそれと共重合性である好適な溶媒中に分散あるいは溶解される。【0030】この重合系は、また通常一つあるいはそれ以上の重合開始剤も含む。このような系は当業界でよく知れれていて、例えば過酸化水素、ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーエステル、パーケタール、及びジアルキルパーオキサイド等のフリーラジカル重合開始剤;ベンゾフェノン、チオキサントン及びこれらの誘導体等の光重合開始剤;及びAIBN等の熱重合開始剤を含む。この開始剤もまた当業界で知られている量で使用される。【0031】不飽和ポリエステル樹脂は当業界で知られていて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、及び他のジオールまたはポリオール等のほぼ等量の多価アルコールとマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、またはシトラコン酸等の不飽和二塩基性カルボン酸あるいはカルボン酸無水物との反応により得られてもよい。これらの不飽和二塩基性カルボン酸または無水物は、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テトラクロロフタル酸、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、酒石酸等の芳香族及び/または飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらから誘導される無水物と組み合わせてしばしば使用される。【0032】アクリルあるいはメタアクリル酸等のアルファ、ベータ−不飽和モノカルボン酸のモノ−、ジ−あるいは多価アルコールとの重縮合によりビニル基またはビニリデン基を含む不飽和ポリエステルを得てもよい。例示のアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、フェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ベータ−ヒドロキシエチルオキシ−フェニル)プロパン、ペンタエリスリトール及びこれらのダイマー、トリメチロールプロパン及びグリセロール、及び複雑なジオールまたはポリオールを含む。また、アルファ、ベータ−不飽和モノカルボン酸とビスフェノールAビス(グリシジルエーテル)等のエポキシ基を含む化合物とを反応させることにより、ビニル基またはビニリデン基を含む不飽和ポリエステルを得てもよい。【0033】更には、また慣用であるように、スチレン、ビニルトルエン、メチルメタアクリレート、エチレングリコールメタアクリレート等の一つあるいはそれ以上のC=C基を含むこのポリエステルと共重合性のモノマー中にこの不飽和ポリエステルを溶解することができる。【0034】慣用のポリウレタン樹脂も当業界で知られていて、これをトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートのポリオールまたはポリアミン等の少なくとも2個の活性水素原子を含む適切な化合物との反応により得てもよい。例示のポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、及び他のジオールまはたポリオールを含む。ホモポリマーの形で、更に好ましくは、これと共重合することができる種々の他のモノマーと共にウレタンポリマーを使用してもよい。例えば、アクリル及びメタアクリル酸とこれらのアミド、エステル、塩及び対応するニトリル等の種々のアクリル酸コモノマーのいずれかとポリウレタン樹脂とを反応させることにより、ウレタンポリマーを製造することができる。このようなポリマー用の特に好適なコモノマーは、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート及びアクリロニトリルである。【0035】当業者に知られている不飽和エポキシ樹脂として、エピクロロヒドリン、酸化ポリオレフィン、例えばエチレンオキサイド等のエポキシド基(酸素原子と2個の他の原子、通常炭素との結合から生じる)とビスフェノールA、グリセロール等の脂肪族あるいは芳香族アルコールとの反応により得られるものを含む。上述の不飽和ポリマーのように、ホモポリマーまたはコポリマーの形で、アクリル及びメタアクリル酸等の種々のアクリル酸モノマーとこれらのアミド、エステル、塩及び対応するニトリルを含む、それと反応することができる種々の他のコモノマーと共にこのエポキシ樹脂を使用してもよい。【0036】アクリル及びメタアクリル酸から誘導される例示のモノマーとオリゴマーは、アクリル及びメタアクリル酸とこれらのアミド、エステル、塩及び対応するニトリルを含む。例は、「限定」するのではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−あるいはt−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタアクリレート、対応するヒドロキシアクリレート、すなわちヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルメタアクリレート、グリコールアクリレート、すなわちエチレングリコールジメタアクリレート、ヘキサメチレングリコールジメタアクリレート、アリルアクリレート、すなわちアリルメタアクリレート、ジアリルメタアクリレート、エポキシアクリレート、すなわちグリシジルメタアクリレート、及びアミノプラストアクリレート、すなわちメラミンアクリレートを含む。酢酸ビニル、ビニル及びビニリデンハライド等の他のエチレン型不飽和あるいはビニルモノマーとアミド、すなわちメタアクリルアミド、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニル及びビニリデンエステル、ビニル及びビニリデンエーテル、ビニル及びビニリデンケトン、オレフィン、及び特にブタジエン、イソプレン、ピペリレン及び2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン、ビニル芳香族、すなわちスチレン、アルキルスチレン、ハロスチレン、アルコキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンなども含まれる。プレポリマーは、上述のように、アクリレート化エポキシド、ポリエステル及びポリウレタンを含み、通常、粘度コントロールのために好適なモノマーと組み合わされる。【0037】また、この重合性組成物は、重合禁止剤、充填剤、紫外線吸収剤、有機過酸化物、染料、顔料等の他の慣用の作用剤を含んでもよい。【0038】慣用の方法と装置を用いて、基材の表面上にこの重合性組成物を塗布あるいは堆積することができる。被覆される基材は、例えば、金属、木材、鉱物、ガラス、紙、プラスチック、布、セラミックなどとすることができる。この組成物を実質的に連続したフィルムとして塗布することができる。あるいは、この組成物を不連続なパターンで塗布することができる。この堆積した組成物の厚さは、得られる硬化製品の所望の厚さに依り変わることができる。当業界で知られているように例えば輻射線(紫外線、電子線)、熱などへの曝露により重合を開始することができる。【0039】次の非限定的な実施例により、本発明を更に例示する。【0040】【実施例】安定化NPAL試料についての安定性の測定例下記の表に記したように安定剤の存在下での貯蔵により安定化された1.50グラムのNPALの秤量試料を125mLエルレンマイヤーフラスコ中に入れ、28.5グラムのトルエンを添加する。栓をし、固体のNPALが溶解して、5%の溶液を生じる迄このフラスコを旋回させた。この溶液は、僅かに黄色で透明に見え、不溶分が存在しないことを示す。この溶液の一部を較正したHunter Lab Color Quest II装置の10mm試料セルに入れ、測定を行い、2.2のガードナーカラーを得る。あるいは、標準セットのガードナーカラー10mm管に対する10mm管中の試料の目視による比較によりガードナーカラーの低精度の測定を行うことができる。この方法を用いて、2のガードナーカラーを得る。【0041】非安定化NPAL試料についての安定性の測定例安定剤を加えずに60℃で貯蔵したロットから採った1.50グラム試料のNPALを125mLエルレンマイヤーに入れ、28.5グラムのトルエンを添加した。このフラスコを栓をし、旋回して、暗褐色の曇った混合物を作製した。この混合物を濾過し、得られた濾紙を乾燥し、秤量した。不溶分の重量は、0.9グラムであり、これはNPALの元の重量の60%であった。この濾液を較正したHunter Lab Color Quest II装置の10mm試料セルに入れ、測定を行い、15.4のガードナーカラーを得た。【0042】次の表は、使用した種々の安定剤と量とトルエン不溶分の得られるNPAL試料の性質及びガードナーカラーを概略で示す。【0043】非安定化NPALに対する安定化NPALの90日間の貯蔵結果【表1】【0044】本発明の関係の当業者には、本発明の多くの改変と他の態様が想起されるであろうが、これは前出の説明と関連する図面において提供された教示をメリットとする。それゆえ、本発明は開示された特定の態様に限定されるものでなく、改変と他の態様は添付のクレームの範囲内に含まれていることを意図していることを理解すべきである。この明細書中では特定の用語を使用するが、これらは包括的で記述的な意味のみで使用され、本発明を限定する目的で使用されるものでない。 水蒸気を結合することが可能な少なくとも一つの安定剤と、少なくとも一つのN−ニトロソヒドロキシルアミンとを含んでなる安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定剤が湿気を吸着することが可能な吸湿性物質である請求項1に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品が60℃の温度で90日間貯蔵した後、4より大きくないガードナーインデックスカラーを呈する請求項1に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品が60℃の温度で90日間貯蔵した後、2.5より大きくないガードナーインデックスカラーを呈する請求項1に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品が、固体として60℃の温度で90日間貯蔵した後、本質的にトルエン不溶分を持たない請求項1に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記N−ニトロソヒドロキシルアミンがN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属錯体を含んでなる請求項1に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記N−ニトロソヒドロキシルアミンが式(ここで、各Rはアルキル、置換アルキル、アリール及び置換アリールからなる群からそれぞれ独立に選ばれ、Mは金属であり、aは1〜4である)の少なくとも一つのN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属塩を含んでなる請求項6に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 Mがアルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIA族金属、IVA族金属、IB族金属、VIII族金属、IVB族金属、VB族金属、VIB族金属、及びVIIB族金属からなる群から選ばれる金属である請求項7に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 Mがアルミニウムである請求項8に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定剤がモレキュラーシーブ、活性炭、硫酸塩、シリカ及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの作用剤を含んでなる請求項1に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定剤がモレキュラーシーブ、活性炭、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの作用剤を含んでなる請求項10に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定剤が上記N−ニトロソヒドロキシルアミンの重量基準で0.1から25重量%の範囲の量で存在する請求項1に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 上記安定剤が上記N−ニトロソヒドロキシルアミンの重量基準で0.5から5重量%の範囲の量で存在する請求項12に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 式(ここで、各Rはアリールまたは置換アリールであり、Mは金属であり、そしてaは1〜4である)の少なくとも一つのN−ニトロソヒドロキシルアミン金属塩と、モレキュラーシーブ、活性炭、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの作用剤とを含んでなる安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 Mがアルミニウムであり、Rがフェニルであり、そして上記安定剤がモレキュラーシーブを含んでなる請求項14に記載の安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン製品。 容器と、その容器内の少なくとも一つのN−ニトロソヒドロキシルアミンと、上記容器内の水蒸気を結合するのが可能な少なくとも一つの安定剤とを含んでなる安定化N−ニトロソヒドロキシルアミン容器製品。 上記安定剤が湿気を吸着することが可能な吸湿性物質を含んでなる請求項16に記載の容器製品。 上記安定化N−ニトロソヒドロキシルアミンが60℃の温度で90日間貯蔵した後、4より大きくないガードナーインデックスカラーを呈する請求項16に記載の容器製品。 上記安定化N−ニトロソヒドロキシルアミンが60℃の温度で90日間貯蔵した後、2.5より大きくないガードナーインデックスカラーを呈する請求項18に記載の容器製品。 上記安定化N−ニトロソヒドロキシルアミンが、固体として60℃の温度で90日間貯蔵した後本質的にトルエン不溶分を持たない請求項16に記載の容器製品。 上記N−ニトロソヒドロキシルアミンがN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属錯体を含んでなる請求項16に記載の容器製品。 上記N−ニトロソヒドロキシルアミンが式(ここで、各Rはアルキル、置換アルキル、アリール及び置換アリールからなる群からそれぞれ独立に選ばれ、Mは金属であり、そしてaは1〜4である)の少なくとも一つのN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属塩を含んでなる請求項21に記載の容器製品。 Mがアルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIA族金属、IVA族金属、IB族金属、VIII族金属、IVB族金属、VB族金属、VIB族金属、及びVIIB族金属からなる群から選ばれる金属である請求項22に記載の容器製品。 Mがアルミニウムである請求項23に記載の容器製品。 上記安定剤がモレキュラーシーブ、活性炭、硫酸塩、シリカ及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの作用剤を含んでなる請求項16に記載の容器製品。 上記安定剤がモレキュラーシーブ、活性炭、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの作用剤を含んでなる請求項25に記載の容器製品。 上記安定剤が上記N−ニトロソヒドロキシルアミンの重量基準で0.1から25重量%の範囲の量で存在する請求項16に記載の容器製品。 上記少なくとも一つの安定剤を入れた分離した多孔性容器を更に含んでなる請求項16に記載の容器製品。 水蒸気を結合するのが可能な少なくとも一つの安定剤の存在下にN−ニトロソヒドロキシルアミンを入れることを含んでなるN−ニトロソヒドロキシルアミンを安定化する方法。 上記安定剤が湿気を吸着することが可能な吸湿性物質である請求項29に記載の方法。 上記安定化したN−ニトロソヒドロキシルアミンが60℃の温度で90日間貯蔵した後、4より大きくないガードナーインデックスカラーを呈する請求項29に記載の方法。 上記安定化したN−ニトロソヒドロキシルアミンが60℃の温度で90日間貯蔵した後、2.5より大きくないガードナーインデックスカラーを呈する請求項29に記載の方法。 上記安定化したN−ニトロソヒドロキシルアミンが、固体として60℃の温度で90日間貯蔵した後本質的にトルエン不溶分を持たない請求項29に記載の方法。 上記N−ニトロソヒドロキシルアミンがN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属錯体を含んでなる請求項29に記載の方法。 上記N−ニトロソヒドロキシルアミンが式(ここで、各Rはアルキル、置換アルキル、アリール及び置換アリールからなる群からそれぞれ独立に選ばれ、Mは金属であり、そしてaは1〜4である)の少なくとも一つのN−ニトロソヒドロキシルアミンの金属塩を含んでなる請求項34に記載の方法。 Mがアルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIA族金属、IVA族金属、IB族金属、VIII族金属、IVB族金属、VB族金属、VIB族金属、及びVIIB族金属からなる群から選ばれる金属である請求項35に記載の方法。 Mがアルミニウムである請求項36に記載の方法。 上記安定剤がモレキュラーシーブ、活性炭、硫酸塩、シリカ及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの作用剤を含んでなる請求項29に記載の方法。 上記安定剤がモレキュラーシーブ、活性炭、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの作用剤を含んでなる請求項38に記載の方法。 上記安定剤が上記N−ニトロソヒドロキシルアミンの重量基準で0.1から25重量%の範囲の量で存在する請求項29に記載の方法。