生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_HBV遺伝子のリアルタイム検出PCR法用プライマーおよびプローブ
出願番号:2001391749
年次:2008
IPC分類:C12N 15/09,C12Q 1/68,G01N 21/78,G01N 33/483,G01N 33/53,G01N 33/566,G01N 33/58


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片寄 聡 日方 幹雄 JP 4061459 特許公報(B2) 20080111 2001391749 20011225 HBV遺伝子のリアルタイム検出PCR法用プライマーおよびプローブ JSR株式会社 000004178 大渕 美千栄 100090398 片寄 聡 日方 幹雄 20080319 C12N 15/09 20060101AFI20080228BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20080228BHJP G01N 21/78 20060101ALI20080228BHJP G01N 33/483 20060101ALI20080228BHJP G01N 33/53 20060101ALI20080228BHJP G01N 33/566 20060101ALI20080228BHJP G01N 33/58 20060101ALI20080228BHJP JPC12N15/00 AC12Q1/68 AG01N21/78 CG01N33/483 CG01N33/53 MG01N33/566G01N33/58 A C12N 15/00-15/90 C12Q 1/68 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) REGISTRY(STN) PubMed GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq JMEDPlus(JDream2) JST7580(JDream2) JSTPlus(JDream2) 特開平11−103897(JP,A) 国際公開第01/034790(WO,A1) 植竹久雄 編集,「ウイルス学」,理工学社,1992年 7月,第4版,第446−456頁 狩野ら,「高感度PCR法を用いたHBVキャリアの病態別血中HBV DNA量の検討」,肝臓,1999年 8月,第40巻、第8号,第476−477頁 5 2003189860 20030708 9 20040526 長井 啓子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、 B型肝炎ウイルス(本願明細書において「HBV」という)の核酸のリアルタイム検出PCR法による測定に用いられるプライマー及びプローブに関する。【0002】【従来の技術】血清等の試料中のHBVの核酸を定量的に検出する方法としては、HBVのDNAをプローブDNAで捕捉し、プローブDNAに分岐DNAプローブを反応してシグナルを増幅し、化学発光で検出する分岐プローブ法や、 HBVのDNAをRNAに変換し、RNAとして増幅した後、DNAプローブを反応して化学発光で検出するTMA法が行われているが、DNAの増幅法であるPCR法に基づいたHBV核酸の検出法と比較して、検出感度では劣っていた。【0003】【発明が解決しようとする課題】HBVの核酸の定量は、HBV感染者の治療効果の観察や、輸血用血液あるいは移植用臓器を介したレシピエントのHBV感染を防ぐため、ドナーのHBV感染の有無をチェックする手段として重要である。しかしながら、上記の分岐DNAプローブ法やTMA法では、ウイルス濃度の低い検体では、検出感度不足になる場合がある。また、HBVDNAの測定は、短時間かつ、数あるHBVの遺伝子型の違いに依らず、高感度で多数の検体を処理できる方法が必要であり、これが可能となれば非常に有利である。従って、本発明の目的は、HBVを高感度で迅速に測定する手段を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本願発明者らは、高感度なDNAの増幅法であるPCR法に基づくDNAの定量法である、リアルタイム検出PCR法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 88, pp.7276-7280, August 1991, Biochemistry; 特表平6−500021号公報)を用いることにより、従来法よりも高感度にHBV由来の核酸を定量的に検出できるのではと考えた。しかしながら、このリアルタイム検出PCR法においても、用いるプライマー及びプローブの選択の如何によっては、測定の感度及び/又は再現性について必ずしも満足できないことが判明した。そこで、鋭意研究の結果、特定のプライマー及びプローブを用いることにより、リアルタイム検出PCR法の性能を最大限に引き出し、非常に高感度に、高い再現性をもってHBVを正確に定量することが可能であることを見出し、本発明を完成した。【0005】 すなわち、本発明は、配列表の配列番号1で示される41塩基からなる配列、若しくはその相補鎖のうち、連続する15塩基以上から成る塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、リアルタイム検出PCR法によるHBV遺伝子の測定用フォワード側プライマーを提供する。また、本発明は、配列表の配列番号3で示される42塩基からなる配列、若しくはその相補鎖のうち、連続する15塩基以上から成る塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、リアルタイム検出PCR法によるHBV遺伝子の測定用リバース側プライマーを提供する。さらに、本発明は、配列表の配列番号5で示される39塩基からなる配列、若しくはその相補鎖のうち、連続する15塩基以上から成る塩基配列を有するオリゴヌクレオチドに、ドナー蛍光色素と、アクセプター蛍光色素とが結合されており、前記ドナー蛍光色素は、該ドナー蛍光色素が前記アクセプター蛍光色素と同一のプローブに結合されている場合には蛍光共鳴エネルギー転移によりその蛍光強度が抑制され、前記アクセプター蛍光色素と同一のプローブに結合されていない状態では蛍光強度が抑制されないものである、リアルタイム検出PCR法によるHBV遺伝子の測定用プローブを提供する。さらに、本発明は、上記本発明のフォワード側プライマーと、上記本発明のリバース側プライマーと、上記本発明のプローブとを用い、被検試料中の測定すべきHBV遺伝子を鋳型としてPCRを行ない、反応液からの蛍光をリアルタイムに測定することから成る、被検試料中のHBV遺伝子の測定方法を提供する。【0006】本発明のフォワード側プライマーは、HBV遺伝子のCおよびP領域の重複領域中の一部を増幅するためのフォワード側プライマーであり、配列表の配列番号1で示される塩基配列のうち連続する15塩基ないし30塩基、好ましくは17塩基ないし25塩基から成る塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。これらのうち、特に好ましいものとして、配列番号2に示される20塩基から成る塩基配列を有するものを挙げることができる。【0007】本発明の第1のリバース側プライマーは、HBV遺伝子のCおよびP領域の重複領域中の一部を増幅するためのリバース側プライマーであり、配列表の配列番号3で示される塩基配列のうち連続する15塩基ないし30塩基、好ましくは17塩基ないし25塩基から成る塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。これらのうち、特に好ましいものとして、配列番号4に示される、20塩基から成る塩基配列を有するものを挙げるこができる。【0008】本発明のプローブは、オリゴヌクレオチドに後述するドナー蛍光色素とアクセプター蛍光色素が結合したものである。本発明のプローブは、増幅されたHBVのCおよびP領域の重複領域中の一部の領域を検出するためのものであり、そのオリゴヌクレオチド部分は、配列表の配列番号5で示される塩基配列のうち連続する15塩基ないし39塩基、好ましくは20塩基ないし30塩基、から成る塩基配列を有する。該オリゴヌクレオチドの特に好ましい例として、配列番号6に示される25塩基から成るものを挙げることができる。【0009】前記ドナー蛍光色素は、該ドナー蛍光色素が前記アクセプター蛍光色素と同一のプローブに結合されている場合には蛍光共鳴エネルギー転移によりその蛍光強度が抑制され、前記アクセプター蛍光色素と同一のプローブに結合されていない状態では蛍光強度が抑制されないものである。ドナー蛍光色素、アクセプター蛍光色素の種類は、蛍光共鳴エネルギー転移を示す蛍光色素のペアであれば特に制限されないが、ドナー蛍光色素としては、FAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)のようなフルオレッセイン系蛍光色素が好ましく、アクセプター蛍光色素としては、TAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)のようなローダミン系蛍光色素が好ましい。これら蛍光色素を結合したプローブは、当該業者ならば容易に知ることが出来る、プローブ合成の受託業者に合成を依頼して入手することが出来る。【0010】発明の方法では、上記本発明のフォワード側プライマーと、上記本発明のリバース側プライマーと、上記本発明のプローブとを用い被検試料中の測定すべきHBV遺伝子を鋳型としてPCRを行ない、反応液からの蛍光をリアルタイムに測定する。このリアルタイム検出PCR法自体は公知であり、そのための装置及びキットも市販されているので、このような市販の装置及びキットを用いて行なうことができる。【0011】鋳型となる HBV遺伝子は、HBVを含有する疑いのある検体、たとえば、血清、血漿等の体液から従来のPCRの場合と同様の方法で抽出、精製したものが使用でき、例えば、スマイテストEX-R&D(商品名、ゲノムサイエンス研究所製)などを用いて抽出した遺伝子を使用することができる。【0012】反応では、まず、HBVのDNAを鋳型としてPCRによりDNAの増幅が起きる。増幅DNAは、上記プローブと相補的な領域を含んでいるので、プローブは一本鎖状態の増幅DNAにハイブリダイズする。プローブが完全にハイブリダイズした状態で、プローブがハイブリダイズしている一本鎖DNAを鋳型とする伸長が起きると、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によりプローブが5’末端側から加水分解される。この分解の結果、プローブのオリゴヌクレオチド部分に結合されているドナー蛍光色素とアクセプター蛍光色素とがバラバラになり、アクセプター蛍光色素に起因する蛍光共鳴エネルギー転移により抑制されていたドナー蛍光色素からの蛍光強度(F1)が増加する。同時に、アクセプター蛍光色素に由来する蛍光強度(F2)は、ドナー蛍光色素からのエネルギー転移を得られなくなり減少する。一方、被検試料中にHBVのDNAが存在しない場合には、DNAの増幅が起きないので、プローブはDNAにハイブリダイズせず、従ってDNAポリメラーゼによって加水分解されることもない。このため、ドナー蛍光色素からの蛍光は、アクセプター蛍光色素により抑制されたままであり、蛍光強度は変化しない。従って、蛍光強度の変化を測定することにより、被検試料中にHBVのDNAを検出することが可能である。【0013】本発明の方法では、蛍光強度をリアルタイムに測定する。すなわち、蛍光強度を測定しながらPCR反応を行なう。測定されるドナー色素に由来する蛍光強度(F1)は、あるサイクル数を過ぎると検出限界を超え、急激に増加する。そして、被検試料中のHBVDNAの量が多いほど、少ないサイクル数で蛍光強度が急に増加する。従って、DNA量が未知の試料のDNAの定量は、50回の増幅サイクルにおいて、蛍光強度(F1)が一定の基準値(Threshhold:Th)を越えたサイクル数(Thサイクル数)を求め、DNA濃度既知の試料の希釈系列を同時に測定して作製した、DNA量vsThサイクル数の検量線に外挿することによって求めることができる。【0014】このとき、PCR反応液の液量のばらつきにより蛍光強度(F1)にばらつきがある場合、蛍光強度としてF1をF2で除した値、F1/F2を採用することにより、 PCR反応液の液量のばらつきを補償して、より正確なDNA量の定量が可能である。従って、本発明の方法によれば、従来のPCRのように、PCR後に電気泳動を行なって増幅を調べなくとも、非常に簡便、迅速にDNAの定量が可能である。【0015】【実施例】以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。【0016】実施例1プライマーの合成配列番号2に示される20塩基から成る塩基配列を有する20merのオリゴDNAを化学合成し、フォワード側プライマーとした。また、配列番号4に示される20塩基から成る塩基配列を有する20merのオリゴDNAを化学合成し、リバース側プライマーとした。【0017】プローブの調製配列番号6に示される25塩基から成る塩基配列を有する25merのオリゴDNAを化学合成した。このオリゴDNAの5’末端にFAMを、3’末端にTAMRAを上記文献記載の方法により結合し、プローブとした。【0018】反応液の調製上記プライマー、プローブ及びLightCycler-FastStart DNAマスターハイブリダイゼーションプローブ (商品名、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を用いて、反応キャピラリー32本あたり、下記表1に示す反応液を調製した。【0019】【0020】検体由来HBV DNAの調製ウイルス濃度既知のB型肝炎ウイルス陽性血清(8×104コピー/ml)をB型肝炎ウイルス陰性血清を用いて希釈し、ウイルス濃度8×104、8×103、8×102、8×101コピー/mlの検体を調製した。各検体100μlに対して、スマイテストEX-R&D( 商品名、ゲノムサイエンス研究所社製DNA抽出試薬)の酵素溶液15μl、共沈剤溶液5μl、検体希釈液380μlを加え撹拌し、55℃で45分間反応した。次に蛋白溶解液250μlを加え撹拌後55℃で20分間反応した。同チューブにイソプロパノール600μlを加えて撹拌し、4℃で20分間静置後、12000 x g で10分間遠心した。次いで、500μlの70%エタノールで2回洗浄後乾燥し、上記のPCR反応溶液20μlで溶解し、測定用キャピラリーに充填した。【0021】キャピラリーをLightCycler(商品名、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)にセットし、以下の条件で反応を行なった。PCRの各サイクル毎に蛍光強度を測定した。【0022】このPCRサイクルは50回繰り返した。【0023】サイクル数を横軸に、蛍光強度比(F1/F2)を縦軸にとってプロットした結果を図1に実線で示す。図1より、それぞれの被検試料について、ある一定のサイクル数を過ぎるまでは蛍光強度に変化は見られないが、あるサイクル数を過ぎると蛍光強度が急に増加することがわかる。そして、この蛍光強度の急激な増加が始まるサイクル数は被検試料中のHBVのDNAコピー数が大きいほど小さいことがわかる。出発検体のウイルス濃度の常用対数を横軸に、上記閾値を超えたサイクル数を縦軸にとってプロットした図を図2に示す。図2に示すように、検体のウイルス濃度(コピー/ml)の常用対数と上記閾値を超えたサイクル数との間にはウイルス濃度が8×104〜8×101コピー/mlと非常に低濃度の範囲でも直線関係が得られ(相関係数1.000) 、このことは、極低濃度のウイルス濃度の検体まで、非常に精度よくウイルスDNAの定量が可能であることを示している。【0024】比較例1(HBVのS領域のプライマー、およびプローブ)配列番号7に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをフォワード側プライマーとして用い、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをリバース側プライマーとして用い、配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプローブとして用い、実施例1と同じ操作を行った。サイクル数を横軸に、蛍光強度比(F1/F2)を縦軸にとってプロットした結果を図1に点線で示す。【0025】図1に示したように、比較例1のプライマー、プローブを用いた場合、HBV核酸の増幅に由来する蛍光の上昇高が、実施例1のプライマー、プローブを用いた場合に比べて全体に小さく、蛍光強度が対数的に増加する領域が狭かった。そのため、ウイルス濃度の定量性が乏しく、8×101コピー/mlの検体に至っては、蛍光の対数的な増幅が認められず、ウイルス核酸の検出が妨げられた。【0026】以上の結果は、リアルタイムPCRにおいては、プライマー、プローブの選択の如何によって、蛍光のエネルギー転移の効率が異なり、核酸の検出感度が左右されることを示しており、 本発明により得られたプローブ、プライマーを用いることによって、リアルタイムPCR法の最高性能の感度でHBV核酸を検出することができることを示している。【0027】【発明の効果】本発明により、HBV由来の核酸を高感度で正確に、かつ、簡便に定量することが可能になった。【0028】【配列表】【0029】【0030】【0031】【0032】【0033】【0034】【0035】【0036】【図面の簡単な説明】【図1】実施例1におけるPCR結果をサイクル数を横軸に、蛍光強度比(F1/F2)を縦軸に示したグラフ【図2】実施例1における出発検体のウイルス濃度の常用対数を横軸に、上記閾値を超えたサイクル数を縦軸に示したグラフ 配列表の配列番号2で示される塩基配列、またはその相補鎖を有する20塩基から成るオリゴヌクレオチドである、リアルタイム検出PCR法によるHBV遺伝子の測定用フォワード側プライマー。 配列表の配列番号4で示される塩基配列、若しくはその相補鎖を有する20塩基から成るオリゴヌクレオチドである、リアルタイム検出PCR法によるHBV遺伝子の測定用リバース側プライマー。 配列表の配列番号6で示される塩基配列、またはその相補鎖を有する25塩基から成るオリゴヌクレオチドに、ドナー蛍光色素と、アクセプター蛍光色素とが結合されており、前記ドナー蛍光色素は、該ドナー蛍光色素が前記アクセプター蛍光色素と同一のプローブに結合されている場合には蛍光共鳴エネルギー転移によりその蛍光強度が抑制され、前記アクセプター蛍光色素と同一のプローブに結合されていない状態では蛍光強度が抑制されないものである、リアルタイム検出PCR法によるHBV遺伝子の測定用プローブ。 前記ドナー蛍光色素はフルオレッセイン系蛍光色素であり、前記アクセプター蛍光色素はローダミン系蛍光色素である請求項3に記載のプローブ。 請求項1に記載のフォワード側プライマーと、請求項2記載のリバース側プライマーと、請求項3記載のプローブとを用い、被検試料中の測定すべきHBV遺伝子を鋳型としてPCRを行ない、反応液からの蛍光をリアルタイムに測定することから成る、被検試料中のHBV遺伝子の測定方法。


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