タイトル: | 特許公報(B2)_経口投与のためのリポソーム組成物 |
出願番号: | 2001374012 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 9/127,A23L 1/00,A23L 1/30,A23L 1/305,A61K 38/00,A61K 38/46,A61K 38/21,A61K 47/24,A61K 47/28,A61K 47/36,A61P 1/00,A61P 43/00 |
石角 篤 今中 宏真 安藤 秀哉 牧野 武利 JP 3941036 特許公報(B2) 20070413 2001374012 20011207 経口投与のためのリポソーム組成物 サンスター株式会社 000106324 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 小原 健志 100086427 中川 博司 100090066 舘 泰光 100094101 斎藤 健治 100099988 藤井 淳 100105821 関 仁士 100099911 中野 睦子 100108084 石角 篤 今中 宏真 安藤 秀哉 牧野 武利 20070704 A61K 9/127 20060101AFI20070614BHJP A23L 1/00 20060101ALI20070614BHJP A23L 1/30 20060101ALI20070614BHJP A23L 1/305 20060101ALI20070614BHJP A61K 38/00 20060101ALI20070614BHJP A61K 38/46 20060101ALI20070614BHJP A61K 38/21 20060101ALI20070614BHJP A61K 47/24 20060101ALI20070614BHJP A61K 47/28 20060101ALI20070614BHJP A61K 47/36 20060101ALI20070614BHJP A61P 1/00 20060101ALI20070614BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070614BHJP JPA61K9/127A23L1/00 FA23L1/30 ZA23L1/305A61K37/02A61K37/54A61K37/66 HA61K47/24A61K47/28A61K47/36A61P1/00A61P43/00 111 A61K 9/127 A23L 1/00 A23L 1/30 A23L 1/305 A61K 38/00 A61K 38/21 A61K 38/46 A61K 47/24 A61K 47/28 A61K 47/36 A61P 1/00 A61P 43/00 特開2001−064158(JP,A) 国際公開第01/064330(WO,A1) 特開平01−197431(JP,A) 特開昭58−049311(JP,A) 9 2003171262 20030617 8 20040116 飯室 里美 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、リポソームを含む食品組成物及び経口投与用医薬組成物を提供することに関する。【0002】【従来の技術】ペプチド性化合物を経口投与した場合、胃酸や消化管内のタンパク分解酵素の作用により分解され容易に不活化されてしまう。また、ペプチド性化合物は水溶性である場合が多く、その分子量も大きいため消化管粘膜からの膜透過性が悪いために、消化管からほとんど吸収されない。現在、ペプチド性化合物の吸収を上げるためには、主にタンパク分解酵素阻害剤を併用する方法と剤型修飾を施す方法とが検討されている。タンパク質分解酵素阻害剤の具体例としてはアプロチニンやバシトラシンなどが応用されている。一方、剤型修飾を施す方法としてはペプチドが胃酸によって分解されるのを防止するために腸溶性コーティングを施した製剤などが利用されている。しかし、腸溶剤は、固形製剤に限られ、液体製剤などの種々の形態とすることができず、特に食品に配合することが困難である。近年、剤型修飾を施す方法の一つとして微粒子製剤を薬物キャリアーとして利用する研究が精力的になされており、その中の一つとして、リポソームを経口投与の薬物キャリアーとして利用する検討も過去になされてきている。例示すれば、通常経口投与では無効とされていたインスリンを修飾したリポソームに封入することによって経口投与時のインスリンのバイオアベイラビリティーが増加することが認められている[(Takeuchi H et al. Pharam. Res. 13, 896, 1996)、(Muramatsu K et al. Biol. Pharam. Bull. 19, 1055, 1996)、(Iwanaga K et al. J. Pharm. Sci. 88, 248, 1999)]。また、エリスロポエチンをリポソームに封入することによりそのバイオアベイラビリティーが上昇することも報告されている。[(Maitani Y et al. J. Pharam. Sci. 85, 440, 1996)]。しかしながら、これらのペプチド性化合物封入リポソームは注射に比べて高投与量が必要であることや吸収が変動し易いこと等の難点があり、現在においてまだ完全な実用化に至っておらず、ペプチド性化合物は臨床では注射剤として利用されているのが現状である。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、ペプチド性化合物の消化管での安定性に優れた経口投与製剤を提供することを課題とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために脂質膜微小運搬体であるリポソームにペプチド性化合物を封入し、更にリポソーム表面を硫酸基含有多糖類でコーティングすることによってペプチド性化合物の消化管内での安定性を高め、ペプチド性化合物を消化管から効率良く吸収できる経口リポソーム製剤としたものである。【0005】即ち、本発明は、下記の各項に係る発明を提供するものである。項1 レシチン及びステロールを含み,生理活性物質を封入したリポソームであって、硫酸基含有多糖類でコーティングされたリポソームを含有することを特徴とする食品組成物。項2 レシチンが、卵黄レシチン及び大豆レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の食品組成物。項3 ステロールが、コレステロール及びフィトステロールからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1又は2に記載の食品組成物。項4 レシチンとステロールのモル比が、5:5〜9:1である項1〜3のいずれかに記載の食品組成物。項5 レシチンとステロールのモル比が、6:4〜8:2である項4に記載の食品組成物。項6 硫酸基含有多糖類が、フコイダン、カラギーナン及び寒天からなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜5のいずれかに記載の食品組成物。項7 硫酸基含有多糖類が、フコイダンである項6に記載の食品組成物。項8 生理活性物質が、生理活性ペプチドである項1〜7のいずれかに記載の食品組成物。項9 生理活性ペプチドが、ラクトフェリン、トランスフェリン、インターフェロン、インターロイキン及びリゾチームからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8に記載の食品組成物。項10 生理活性ペプチドが、ラクトフェリンである項9に記載の食品組成物。項11 レシチン及びステロールを含み、生理活性物質を封入したリポソームであって、硫酸基含有多糖類でコーティングされたリポソームを含有することを特徴とする経口投与用医薬組成物。【0006】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。【0007】リポソームはリン脂質を主体とした脂質を十分量の水で水和することにより形成される二分子膜を有する脂質小胞体である。現在、リポソームは脂質二重層の数に基づいて分類され、多重膜リポソーム(MLV)と一枚膜リポソームに分類される。一枚膜リポソームは、そのサイズに応じて、更にSUV(small unilamella vesicle)、LUV(large unilamella vesicle)、GUV(giant unilamella vesicle)に分類される。本発明のリポソームは、これらのいずれであってもよい。【0008】本発明のリポソームのサイズとしては、50〜1000nm程度が好ましく、100〜500nm程度がより好ましい。【0009】リポソームは水溶性薬物をその内水層に、脂溶性薬物を脂質二重層へ取り込むことができ、薬物のターゲティング、徐放化、副作用の軽減などを目的にDDS製剤の薬物運搬体としてその応用が試みられている。また、リポソームは生体膜の成分から構成されているため安全性が高いことも知られている。【0010】本発明では、レシチンとして、卵黄レシチン、大豆レシチン、ナタネレシチン、コーンレシチン、ひまわりレシチン、ピーナッツレシチンなどが挙げられる。本発明では、これらの水素添加物を用いることもできる。本発明のレシチンとしては、これらの中でも、卵黄レシチン及び大豆レシチンが好ましい。【0011】ステロールとしては、コレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロールなどの動物由来のステロール;スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロールなどの植物由来のステロール(フィトステロール);チモステロール、エルゴステロールなどの微生物由来のステロール等が挙げられる。これらの中でも、コレステロール又はフィトステロールが好ましく用いられる。【0012】リポソームにおけるレシチンとステロールのモル比は、5:5〜9:1程度が好ましく、6:4〜8:2程度がより好ましい。【0013】本発明のリポソームに封入する生理活性物質としては、消化管内で分解されやすく、吸収を期待されるようなものであればよく、生理活性を有するペプチド性化合物、アミド結合を有する化合物、配糖体などが例示される。【0014】生理活性を有するペプチド性化合物は、分子量1,000〜200,000程度のものを好ましく用いることができる。具体的には、ラクトフェリン、トランスフェリン、インターフェロン、インターロイキン、リゾチームなどの生理活性蛋白;インスリン、グルカゴン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、カリクレイン、ガストリン、セクレチン、成長ホルモン、エリスロポエチンなどのペプチドホルモン;インフルエンザワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチンなどのワクチン類が挙げられる。これらの中でも、特にラクトフェリン、トランスフェリン、インターフェロン、インターロイキン、リゾチームなどの生理活性蛋白が好ましく、ラクトフェリンが更に好ましい。【0015】生理活性物質の配合割合は、レシチン100重量部に対して、20〜1000重量部程度、100〜500重量部程度が好ましい。【0016】生理活性物質を封入したリポソームは、従来の方法により製造することができる。例えば、所定量のレシチン及びステロールを、例えばエタノールなどの適当な有機溶媒で可溶化し、減圧下に溶媒を除去し、膜脂質を作成後、これに上記生理活性物質を含む水溶液を添加して、例えば、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌して、リポソーム懸濁液を調製することにより得ることができる。【0017】得られた懸濁液に対しては、必要に応じて、リポソーム外液中の生理活性物質を除去する操作、例えば懸濁液を濾過後,得られた濾液を透析する操作、を行ってもよい。【0018】得られたリポソームの表面は、硫酸基を含有する多糖類でコーティングされる。【0019】硫酸基含有多糖類としては、フコイダン、カラギーナン、寒天、ヘパリンなどが挙げられる。また、本発明の硫酸基含有多糖類としては、硫酸基を含まない多糖を硫酸化したものであってもよく、例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などであってもよい。【0020】本発明の硫酸基含有多糖類としては、分子量が5,000〜300,000程度のものが好ましく用いられる。【0021】本発明においては、これらの中でもフコイダン及びカラギーナンを好ましく用いることができ、特にフコイダンが好ましい。【0022】硫酸基含有多糖類の使用量は、例えば、リポソームに含有されるレシチン100重量部に対して、10〜500重量部程度が好ましく、20〜200重量部程度がより好ましい。【0023】コーティングは、例えば、生理活性物質を封入したリポソームを含む懸濁液に、硫酸基含有多糖類を加え、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌することにより行うことができる。なお、1つのコーティング膜の中に複数のリポソームが含まれていてもよい。【0024】リポソームが硫酸基含有多糖類でコーティングされたことは、例えば、リポソーム溶液のゼータ電位が、硫酸基含有多糖類を添加して撹拌することにより変化することにより確認できる。【0025】かくして得られたリポソームの懸濁液は、液状のまま、あるいは凍結乾燥した乾燥物を、飲料などの液状の食品、錠剤、顆粒、チュアブルタブレットなどの固形の食品に利用することができる。また、ヨーグルトなどの半固形の食品にも利用することができる。食品の形態とする場合には、必要に応じて、その食品の形態に応じた食品素材、食品添加物などと組み合わせて、通常の方法により調製することができる。本発明の硫酸基含有多糖類でコーティングしたリポソームを含む食品は、リポソームに封入した生理活性物質の種類に応じた健康食品、機能性食品、特定保健用食品、病者用食品等の用途に用いることができる。例えば、ラクトフェリンを封入した場合、C型肝炎の予防・治療、飲酒頻度の高い人の健康維持、免疫機能の正常化、感染予防、アレルギーの予防、鼻炎の改善、アトピー性皮膚炎の改善、癌の予防、整腸、便通・便性の改善などの作用を期待して摂取することができる。【0026】また、リポソームの懸濁液は液剤として、あるいは凍結乾燥した乾燥物を錠剤、顆粒剤などの固形剤として、必要に応じて適当な賦形剤、希釈剤、その他の添加剤を共に用いて、経口投与の医薬品に利用することができる。医薬品の用途は、封入した生理活性物質の種類に応じて種々のものがあり、例えば、ラクトフェリンを封入した場合、免疫調整剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗ガン剤、抗炎症剤、抗酸化剤などの用途に用いることができる。【0027】【実施例】以下に実施例及び試験例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。【0028】実施例1製剤の調製薄膜水和法により、ラクトフェリンを封入し、フコイダンによりコーティングしたリポソーム製剤を調製した。卵黄レシチン[日本油脂(株)製]とフィトステロール[タマ生化学(株)製]をモル比が7:3となるように量りとり(卵黄レシチン 63.0mg、フィトステロール 14.55mg)、エタノール 6mlを加えて溶解した。この溶液からロータリーエバポレーターにて溶媒留去し、薄膜を形成させた。この薄膜にラクトフェリン180mgを溶解させたクエン酸緩衝液(pH 6.69)の6mlを加え、ボルテックスミキサーにより2000rpmにて3分間程度撹拌を行い、リポソーム懸濁液を得た。この懸濁液を0.4μmの孔径のポリカーボネート膜を用いて濾過し、得られた濾液をセルロースエステル膜(MWCO 300,000)を用いて透析することによりリポソーム外液中のラクトフェリンを除去し、ラクトフェリン封入リポソームを得た。得られたラクトフェリンリポソームの懸濁液 6mlに36mgのフコイダン[宝酒造(株)製]を加え、ボルテックスミキサーにより強く撹拌し、目的のフコイダンでコーティングしたラクトフェリン封入リポソームを得た。【0029】リポソームがフコイダンでコーティングされたことは、フコイダンを加える前には0付近であったリポソーム溶液のゼータ電位が、フコイダンを加えて撹拌した後、負の方向にシフトしたことにより確認した。【0030】実施例2薄膜水和法により、インスリンを封入し、カラギーナンによりコーティングしたリポソーム製剤を調整した。卵黄レシチン[日本油脂(株)製]とフィトステロール[タマ生化学(株)製]をモル比が7:3となるように量りとり(卵黄レシチン 63.0mg、フィトステロール 14.55mg)、エタノール 6mlを加えて溶解した。この溶液からロータリーエバポレーターにて溶媒留去し、薄膜を形成させた。この薄膜にインスリン12.0mgを溶解させた酢酸緩衝液[0.01N HClと酢酸緩衝液(pH=4.0)の等量の混液]の6mlを加え、ボルテックスミキサーにより2000rpmにて3分間程度十分撹拌を行い、リポソーム懸濁液を得た。この懸濁液を0.4μmの孔径のポリカーボネート膜を用いて濾過し、得られた濾液をセルロースエステル膜(MWCO 10,000)を用いて透析することによりリポソーム外液中のインスリンを除去し、インスリン封入リポソームを得た。得られたインスリンリポソームの懸濁液 6mlに30mgのカラギーナン[新田ゼラチン(株)製]を加え、ボルテックスミキサーにより強く撹拌し、目的のカラギーナンでコーティングしたインスリン封入リポソームを得た。【0031】リポソームがカラギーナンでコーティングされたことは、カラギーナンを加える前には0付近であったリポソーム溶液のゼータ電位が、カラギーナンを加えて撹拌した後、負の方向にシフトしたことにより確認した。【0032】試験例1ラクトフェリン溶液(pH6.69のクエン酸緩衝液に30mg/mlの濃度で溶解)及びラクトフェリン封入リポソーム懸濁液及びフコイダンでコーティングしたラクトフェリン封入リポソーム懸濁液の人工胃液による消化試験。【0033】ラクトフェリン溶液(pH6.69のクエン酸緩衝液に30mg/mlの濃度で溶解)及びラクトフェリン封入リポソーム懸濁液及びフコイダンでコーティングしたラクトフェリン封入リポソーム懸濁液(実施例1で得られた懸濁液)の各0.2mlを、それぞれ0.025mgのペプシンを含むpH 2のHCl水溶液中に添加し、37℃で1時間撹拌した。1時間後、ペプスタチン 0.75μgを添加してペプシンを不活化し、NaOH溶液を用いて中和して各サンプルの人工消化液を得た。得られた消化液中のラクトフェリン濃度をELISAサンドイッチ法にて測定し、ラクトフェリンの残存率を算出した。その結果、ラクトフェリン溶液を消化した場合、その残存率は0.04±0.01%であったが、ラクトフェリン封入リポソーム懸濁液ではその残存率は1.98±0.13%、更にフコイダンで表面コーティングしたラクトフェリン封入リポソーム懸濁液においてはその残存率は39.55±1.39%であった。ラクトフェリンをリポソームに封入し、更にそのリポソームの表面をフコイダンでコーティングすることによって、ラクトフェリンの消化管内での安定性が高まることが明らかとなった。【0034】【表1】【0035】試験例2ラクトフェリン溶液(pH6.69のクエン酸緩衝液に30mg/mlの濃度で溶解)、ラクトフェリン封入リポソーム懸濁液及びフコイダンでコーティングしたラクトフェリン封入リポソーム懸濁液を用いて人工腸液による消化試験を行った。【0036】ラクトフェリン溶液(pH6.69のクエン酸緩衝液に30mg/mlの濃度で溶解)、ラクトフェリン封入リポソーム懸濁液及びフコイダンでコーティングしたラクトフェリン封入リポソーム懸濁液(実施例1で得られた溶液)の各0.6mlをそれぞれUSP(米国薬局方)24局に掲載されている人工腸液に添加し、37℃で4時間撹拌する。4時間後、トリクロロ酢酸を添加し消化酵素を不活化し各サンプルの人工消化液を得る。得られた消化液中のラクトフェリン濃度をELISAサンドイッチ法にて測定し、ラクトフェリンの残存率を算出した。その結果、ラクトフェリン溶液を消化した場合、その残存率は15.9±0.2%であったが、ラクトフェリン封入リポソーム懸濁液ではその残存率は26.1±0.2%、更にフコイダンで表面コーティングしたラクトフェリン封入リポソーム懸濁液においてはその残存率は33.7±0.8%であった。ラクトフェリンをリポソームに封入し、更にそのリポソームの表面をフコイダンでコーティングすることによって、ラクトフェリンの人工腸液に対する安定性が高まることが明らかとなった。【0037】【表2】【0038】ラクトフェリンが腸管により吸収されることは知られているので、胃や腸で分解されないラクトフェリンの割合が高くなれば、腸管で吸収されるラクトフェリンの割合が高くなることが予想される。【0039】【発明の効果】生理活性のあるペプチド性化合物を経口投与したとき、胃酸や胃内、小腸内のタンパク分解酵素によって分解され生理活性が不活化されてしまうが、ペプチド性化合物を、硫酸基を含有する多糖類でコーティングしたリポソーム製剤とすることにより、ペプチド性化合物の消化管タンパク分解酵素に対する安定性を高めることができた。また、小腸粘膜へ吸着しやすいので消化管での滞留性の向上が期待でき、さらに上皮細胞からの吸収促進が期待できる。従って、ペプチド性化合物を経口投与した際の消化管からの吸収を高めることが期待できる。【0040】本発明ではラクトフェリンをリポソーム製剤であるので、固形製剤のみに限られず、液体製剤などとすることも可能である。また、様々な形態の食品に配合することができ、例えば、飲料、ヨーグルトなど種々の形態としてラクトフェリンを摂取することも可能である。 レシチン及びステロールを含み、生理活性物質を封入したリポソームであって、フコイダンでコーティングされたリポソームを含有することを特徴とする食品組成物。 レシチンが、卵黄レシチン及び大豆レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の食品組成物。 ステロールが、コレステロール及びフィトステロールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の食品組成物。 レシチンとステロールのモル比が、5:5〜9:1である請求項1〜3のいずれかに記載の食品組成物。 レシチンとステロールのモル比が、6:4〜8:2である請求項4に記載の食品組成物。 生理活性物質が、生理活性ペプチドである請求項1〜5のいずれかに記載の食品組成物。 生理活性ペプチドが、ラクトフェリン、トランスフェリン、インターフェロン、インターロイキン及びリゾチームからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の食品組成物。 生理活性ペプチドが、ラクトフェリンである請求項7に記載の食品組成物。 レシチン及びステロールを含み、生理活性物質を封入したリポソームであって、フコイダンでコーティングされたリポソームを含有することを特徴とする経口投与用医薬組成物。