生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_線膨張係数の測定方法およびこれに用いる試料取付けチャック
出願番号:2001370182
年次:2007
IPC分類:G01N 25/16


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下邊 安雄 竹内 健 JP 3879978 特許公報(B2) 20061117 2001370182 20011204 線膨張係数の測定方法およびこれに用いる試料取付けチャック 住友ベークライト株式会社 000002141 下邊 安雄 竹内 健 20070214 G01N 25/16 20060101AFI20070125BHJP JPG01N25/16 B G01N 25/00-25/72 特開平10−123074(JP,A) 特開平05−149899(JP,A) 実開昭61−094745(JP,U) 特開昭60−224038(JP,A) 特開昭64−043748(JP,A) 登録実用新案第3037136(JP,U) 特開平07−043326(JP,A) 1 2003166959 20030613 7 20040913 野田 洋平 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は材料物性の測定法に関するものであり、詳しくは材料の線膨張係数を測定する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】熱機械分析装置(TMA)は、主に測定試料片に圧縮荷重をかけて測定する方法と引っ張り荷重をかけて測定する方法に大別される。圧縮荷重をかけて測定する装置には、主に縦置きタイプと横置きタイプがある。縦置きタイプの場合、測定試料片が単独で直立するような棒状の試料片、塊状の試料片である必要がある。もし、薄いプラスチックシートやガラスを測定する場合、圧縮荷重をかけたときに測定試料片が斜めになったり、倒れたりするなどの問題があり、実質、測定不能であった。特に、プラスチックシートの場合、結晶や配向、延伸などの影響でシートの作製条件が、大きくシート特性に影響することから、これを、後加工して塊状に加工して線膨張係数を測定しても、大きく物性が変化してしまっていることが考えられ、プラスチックシートそのものの線膨張係数を測定したことにならない場合が多い。特開平6−34584には短冊状の厚みの薄い試料の熱膨張係数を測定する方法が述べられている。しかし、この方法だと、圧縮荷重をかけたりした場合に、試料片が撓む問題は解決されず、実際の熱膨張係数より小さく出るなどの問題がある。また、各試料厚みに対応する溝が必要になり、試験片の厚みが変化する場合にはそれぞれの厚みに対応する試料固定治具が必要になる。また、複数の試料を溝に差し込んで測定する方法も提案されているが、各々の測定試験片の線膨張係数にばらつきを有する場合などは、この方法は、使えない。一方、横置きタイプの場合、測定試験片を横に寝かせて測定するので、薄い測定試験片でも、工夫次第で精度良く測定できる。しかし、やわらかいプラスチックシートのような場合には、試料片が撓む問題は解決されず、実際の熱膨張係数より小さく出るなどの問題がある。つまり、圧縮荷重をかけて測定する方法の場合、撓み、傾きなどの影響で、ばらつきが生じる可能性が否定できず、信頼性に劣るものであった。引っ張り荷重をかけて測定する装置は図1に示すように、材料を試料取付けチャック(1)に固定し、試料管(3)−プローブ(2)間にセットして図2に示す測定装置で測定試料片(4)に加えられた引っ張り荷重を検出すると同時に、試料管(3)とプローブ(2)の変位を検出する差動トランス(15)及びそのコアによって温度変化に応じた材料の長さ変化を測定するものである。【0003】上記方法に用いられる試料取付けチャック(1)は、図1に示すように、2個のブロック形状のチャック本体間に材料を挟み、ねじ留め等の方法によって材料を固定する方式が一般的であり、その材質は一般にインコネル等の金属が使用されていた。しかしながら、このような試料取付けチャック(1)を用いて、特に線膨張係数や弾性率の低い材料を測定した場合、測定値にバラツキが生じたり、値が文献値と一致しない等の不都合が生じることがあった。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の引っ張り荷重をかけて測定する線膨張係数測定方法における値のバラツキを低下させ、信頼性の高い値を検出できる線膨張係数の測定方法およびこれに用いる試料取付けチャックならびに測定装置を提供するものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の方法における線膨張係数の値がばらつき、信頼性に欠けることの原因は、以下の試料取付けチャックに起因するものであることをつきとめた。すなわち、▲1▼ 温度上昇に伴い、試料取付けチャックも膨張することによって、測定する材料があたかも縮んだような振舞いをする。▲2▼ 試料取付けチャックのねじの締め具合によって、材料がずれたり、伸びたりする。すなわち締め付けが弱すぎると、測定中に材料がずれることがあり、また、逆に強く締めると、特に弾性率の低い材料では締め付けによって材料厚みが薄くなる分、測定長さ方向に伸びが生じる。▲3▼ チャック締め付け部が面で固定しているため、試料取付けチャックのねじの締め具合によって、材料の固定点がずれ、材料の基準長さが異なる。そこで、試料取付けチャックを線膨張係数が1ppm/℃以下である材料を有するものとし、測定試料片に貫通口または凹部を設け、この貫通口または凹部を用いて試料取付けチャックで固定する方法を採ることにより、値の信頼性を得られるに至った。すなわち本発明は、(1)測定試料片に貫通口または凹部を設け、少なくとも一部分が線膨張係数1ppm/℃以下の材料を用いて成る試料取付けチャックで前記貫通口または凹部を固定して線膨張係数測定装置に設置し、引っ張り荷重をかけて測定する線膨張係数の測定方法。(2)前記線膨張係数1ppm/℃以下の材料が珪素を含むものである(1)の線膨張係数の測定方法。(3)前記線膨張係数1ppm/℃以下の材料が石英である(1)の線膨張係数の測定方法。(4)測定試料片の厚みが100〜1000μmである(1)〜(3)の線膨張係数の測定方法。(5)測定試料片がプラスチックを含むものである(1)〜(4)の線膨張係数の測定方法。(6)測定試料片を差し込む空間を有する筐体部と測定試料片に設けた貫通口または凹部に接して固定する留め具を有する線膨張係数測定用試料取付けチャック。(7)前記筐体部および留め具の少なくとも一部分が線膨張係数1ppm/℃以下の材料から成る(6)の線膨張係数測定用試料取付けチャック。(8)前記線膨張係数1ppm/℃以下の材料が珪素を含むものである(7)の線膨張係数測定用試料取付けチャック。(9)(6)〜(8)の試料取付けチャックで測定試料片を取り付けることを特徴とする引っ張り荷重をかけて測定する線膨張係数の測定装置。である。【0006】【発明の実施の形態】本発明は、例えば図2に示すような引っ張り荷重をかけて測定する線膨張係数の測定方法であれば特に限定はせず、例えば基準試料との比較を利用するような方法においても応用可能である。また、変位量の検出方式に関しても図2に示すような差動トランス(15)を用いる方法に限定されることはない。【0007】本発明では、測定材料の基準長さを正確にするため、測定試料片に貫通口または凹部を設ける。貫通口または凹部の形状は特に限定はせず、例えば円形、四角形、スリット状、溝状等が考えられ、試料片にクラックが入らない程度の大きさであればよい。ガラスなどの脆い測定試験片に貫通口または凹部を設ける場合、通常のドリルや桐などを用いると試料片が割れる場合が多い。したがって、測定試料片に貫通口または凹部を設ける場合は、リュータ等を用いて徐々に加工を行うことが好ましい。また、 本発明は特に限定はしないが、測定試料片が薄いシート状であるため単独では直立させることが困難であったり、弾性率が低く圧縮荷重をかけると撓んでしまうような例えばプラスチックを含むシート材料の測定等に好適に用いられる。本発明では測定試料片の厚みは、特に限定はしないが、100〜1000μm程度の材料に適している。【0008】本発明の試料取付けチャックは、測定試料片を差し込む空間を有する筐体部と測定試料片に設けた貫通口または凹部に接して固定する留め具を有する形状であることが望ましい。筐体部の形状は測定試料片を挟み込むまたは差し込めるようなっていれば特に限定はせず、例えば、コの字型、ロの字型、2個のブロック形状を有する部材から成る等の形状を例示することができる。【0009】また、留め具は、測定試料片の貫通口または凹部に接して固定するものであり、その形状は例えば、ネジ状、棒状等特に限定はしない。測定試料片の凹部に接して筐体部と締め付けるようにしても良いし、筐体部及び測定試料片の貫通口に棒状の止め具を貫通させる方法でも良く、特に限定はしない。【0010】本発明の試料取付けチャックは、少なくともその一部分は線膨張係数が1ppm/℃以下の材料を用いる。特に、材料を固定している試料片の貫通口または凹部に接する部位からプローブおよび試料管底部に至るまでの部分は、線膨張係数が1ppm/℃以下の材料で作られていることが望ましい。線膨張係数が1ppm/℃以下の材料としては、特に限定はしないが、例えば、石英等の珪素を含む材料を挙げることができる。石英のような透明の材料であれば、試料片の貫通口または凹部の位置を外から確認できて望ましい。また、線膨張係数が1ppm/℃以下であれば、これらの材料と他の材料との複合材料、積層材料等でも良い。【0011】【実施例】以下、実施例に基づき説明する。<実施例1>ポリエーテルスルホンシートを幅約5mm、長さ約25mm、厚さ約0.5mmに成形し、両端から約5mmの位置で幅方向の中央部に直径約2.5mmの貫通口(35)を開けた。次に、図3に示すように、コの字型の筐体部(32)と棒状の留め具(33)から成る本発明の試料取付けチャック(31)を石英で作成し、両端をそれぞれコの字型の筐体部(32)に挟み込んで、留め具(33)を貫通させて固定した。【0012】これをセイコー電子製熱機械分析装置(TMA/SS6000)のプローブ−試料管間にセットした。N2雰囲気中で室温から220℃まで5℃/分の速度で昇温させ、同様の速度で20℃まで温度を下げた後、再び同様の速度で昇温させ、30〜190℃までの平均線膨張係数を測定した。この測定を5回行い、値のバラツキを評価し、またその値を文献値と比較した。【0013】<実施例2>測定試料片(34)を厚さ約0.7mmのホウ珪酸ガラスに替えた他は、実施例1と同様に線膨張係数を測定し、評価した。【0014】<比較例1>実施例1と同寸法のポリエーテルスルホンシートを成形した。ただし、実施例1で開けた貫通口(35)は設けなかった。これを従来方式のインコネル製で2つのブロックから成るチャック(セイコー電子製)で固定し、実施例1と同様に線膨張係数を測定し、評価した。【0015】<比較例2>比較例1と同様のチャックを用い、試料に貫通口を開けなかった他は、実施例2と同様にホウ珪酸ガラスの線膨張係数を測定し、評価した。【0016】実施例1,2および比較例1,2の測定結果を表1に示す。なお、測定データは測定精度の関係上、ppm単位で小数点以下を四捨五入し、平均値は小数点以下1桁まで表示した。【0017】【表1】【0018】測定値間のバラツキは比較例に示す従来の方法では、かなりのバラツキがあるのに対し、本発明の実施例では、安定した値が得られた。また、測定値自体に関しても、特にガラスでは、本来負の値を取り得る筈がないにもかかわらず、比較例2では全ての測定値で負の値を示した。これに対して実施例では、その値は文献値と良く一致していた。【0019】【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来は測定値にバラツキが生じたり、値が文献値と一致しない等の不都合が生じることのあった引っ張り荷重をかけて測定する線膨張係数の測定において、非常に安定且つ正確な測定が可能になる。特に線膨張係数が低い材料で、試料片の厚みが薄く自立不可能な場合の測定に有力である。【図面の簡単な説明】【図1】熱機械分析装置(TMA)の一般的な試料片の取り付け方を示す図【図2】熱機械分析装置(TMA)の一般的な測定原理を示す図【図3】本発明の一実施例を示す図【符号の説明】1 試料取付けチャック2 プローブ3 試料管4 測定試料片11 試料取付けチャック12 プローブ13 試料管14 測定試料片15 差動トランス16 力発生部17 プローブ指示部18 ステッピングモータ19 温度センサ20 CPU21 応力歪コントローラ22 パソコン23 加熱炉31 試料取付けチャック32 筐体部33 留め具34 測定試料片35 貫通口 測定試料片に貫通口を設け、石英を用いて成る試料取付けチャックで前記貫通口を固定して線膨張係数測定装置に設置し、引っ張り荷重をかけて測定する線膨張係数の測定方法であって、測定試料片の厚みが100〜1000μmであり、測定試料片がプラスチックを含むものであり、前記試料取付けチャックが測定試料片を差し込む空間及び貫通口を有する筐体部と測定試料片に設けた貫通口部に接して固定する留め具とを有するものであり、前記筐体部がコの字型を有する部材からなる線膨張係数の測定方法。


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