タイトル: | 特許公報(B2)_新規のアルギニン粉剤 |
出願番号: | 2001350212 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A23L1/305,A23L1/302,A61K31/375,A61P3/02,A61P25/00 |
木本 英治 森重 福美 JP 3574925 特許公報(B2) 20040716 2001350212 20011115 新規のアルギニン粉剤 森重 福美 500529861 木本 幸子 500529872 萼 経夫 100068618 中村 壽夫 100093193 宮崎 嘉夫 100104145 加藤 勉 100104385 木本 英治 森重 福美 JP 2000349281 20001116 JP 2001221436 20010723 20041006 7 A23L1/305 A23L1/302 A61K31/375 A61P3/02 A61P25/00 JP A23L1/305 A23L1/302 A61K31/375 A61P3/02 A61P25/00 101 7 A23L 1/29〜305 A61K 9/14〜20 A61K 31/198〜375 国際公開第99/58000(WO,A1) 6 2003104882 20030409 9 20020731 鈴木 恵理子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,L−アルギニン(以下,アルギニンという)のえぐい味を無くし、アルギニン摂食後の胃のえぐい感を軽くするための、アルギニンの1/5〜20倍重量、特に1/5〜1/4倍重量のL−アスコルビン酸(以下,アスコルビン酸という)の粉末を混合する方法、この方法により得られる混合物及び該混合物を含有する栄養補助食品に関する。【0002】【従来の技術と発明が解決しようとする課題】1970年代後半から1980年代にかけて,イリノイ大学の研究グループにより,半必須アミノ酸の範疇に入れられていたアルギニンの栄養効果について再評価がされ,成熟動物においてもアルギニン欠乏により代謝障害が発生することが確認された(文献2,94頁を参照)。【0003】1987年,血圧調節や感染防止など広範な生体機能に関与するNOラジカルがアルギニンを発生源とすることが報告され,アミノ酸栄養学の領域においてアルギニンの注目度が著しく高まった(文献2,57頁を参照)。【0004】アルギニンは,アンモニアの尿素サイクルによる解毒の促進;クレアチンリン酸(生物エネルギーの貯蔵体)、ポリアミン(生理活性物質)とプロリン(コラーゲンのアミノ酸構成)の合成素材,内分泌ホルモンの分泌促進,体内情報伝達物質としてのNOラジカルの発生源としてなど多彩な生理機能に関与する。肉類タンパク質を構成する塩基性アミノ酸として,リシンの過剰,アルギニンの不足,すなわちリシン/アルギニンのインバランスが健康を害するおそれがあることが指摘されるようになった(文献2,76頁を参照)。アルギニンが作用する反応部位において,リシンが阻害作用を示す実験例の報告は多い(文献2,113頁を参照)。【0005】また,アルギニンは平均的人間についての集団の栄養素としてだけではなく,いずれかの愁訴または病態をかかえている個人のよりよい健康状態を維持するため”conditionally indispensable” な栄養素としての評価が高まりつつある。特に,術後侵襲の治療にアルギニンは必須な栄養素である(文献2,93頁を参照)。【0006】上述したように,アルギニンを栄養補給することは,健康維持の為に極めて有用な方法である。然るに,アルギニンは極めてえぐい味(あくが強くて辛い味で、喉をいらいらと刺激する。)がするので摂取が極めて困難であった。更にアルギニン摂取後も、胃のえぐい感(胸焼け、悪心、嘔気または嘔吐)がするので、アルギニンの摂取を不快にしていた。また,アルギニンの無機酸,例えば塩酸,硝酸,硫酸等との無機酸塩を経口摂取時にはえぐい味が強いので経口摂取するのには不適であり、摂取後はえぐい感がするので経口摂取を不快にしていた。【0007】また,アルギニンを長期にわたり摂取すると,体内でのNO発生量が増大する。このNOが胃中で亜硝酸に変化した後,胃中の食べ物に含まれる第2級アミンと反応して,変異原性(発ガン性)があるニトロソアミン化合物を生成する。更に、スーパーオキシドラジカルアニオン(O2・−)のような活性酸素種は障害細胞中で頻繁に生成する。NOラジカルは、O2・−と反応し、毒性の高い過酸化亜硝酸イオン(O=NOO−)を生成し、これが細胞障害を起こす可能性がある(文献2、64頁中央部を参照)。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者は,上記のアルギニンの摂取困難や摂取不快の問題を解決するためにいろいろの方法を模索した。その結果,アルギニンの粉末に、アルギニンの1/5倍重量以上の、特に1/5〜1/4倍重量のアスコルビン酸の粉末を混合するとアルギニンのえぐい味を無くし、アルギニン摂取後の胃のえぐい感(胸焼け、悪心、嘔気または嘔吐、以下この括弧内の説明を省略する)を軽くすることができることを、見出し本発明を完成した。【0009】混合に使用されるアスコルビン酸のアルギニンに対する重量比は,アルギニンのえぐい味を無くすのに足りる量の場合は,アスコルビン酸/アルギニン=1/5ないし1/4の重量比である。上記の重量比が1/5より少ないほどえぐい味が増加する。重量比が1/4より多いと粉末混合物の酸味が重量比の増加と共に増加する。例えば重量比1/2の場合は粉末混合物の酸味がかなり強くなる。【0010】また,上記の重量比、1/5以上、例えば1/5〜1/4の混合物は,アルギニン摂取後のえぐい感を軽くする効果がある。また、大量のアルギニン摂取により起こる細胞障害を予防させる効果もある。【0011】また、本発明の混合物中のアスコルビン酸は胃中で,アルギニンの長期摂取により増加する亜硝酸イオンからのニトロソアミンの生成を抑制し,ガン発生率を低下せしめる効果があり得ると期待される。【0012】若い健康人の胃液の中には高濃度のアスコルビン酸が分泌されているが,慢性胃炎または高齢者の低酸状態ではアスコルビン酸濃度が低下しており(文献1を参照),バクテリアの硝酸還元による亜硝酸も発生し易い。この場合もアスコルビン酸添加による、ガン発生予防の効果は大きいと期待され得る。【0013】術後侵襲の治療にアルギニンとアスコルビン酸は必須の栄養素である。その理由は,創傷治療に必須のコラーゲンの形成にはアルギニンから供給されるプロリンとプロリンの酸素添加により誘導されるヒドロキシプロリンの供給が必須である。そして,プロリンの酸素添加によるヒドロキシプロリンの生成にはアスコルビン酸が共役因子として作用しているからである(文献2, 37〜38頁を参照)。かくして,アルギニンとアスコルビン酸の両成分を含有する本発明の混合物は,術後侵襲の治療の促進にも有用であると予測できる。【0014】アルギニンとアスコルビン酸を混合時と混合後の各成分の形態は、固体例えば粉末であることが必須である。本発明者は、両成分の水溶液の混合を検討した。得られた混合液は、両成分の間でメイラード反応を起こして褐変するので好ましくないことが判明した。これに対し、アルギニンとアスコルビン酸両成分の粉末を混合して得られた混合粉末を1年室温に放置しておいても殆ど乃至は全く褐変しないという新事実を発見し、この発見に基づき本発明の混合物と栄養補助食品を完成した。【0015】アルギニンは、最も毒性の少ないアミノ酸の一つである。また、アスコルビン酸の毒性は極めて低い。大部分の人にとっては、アスコルビン酸の最適摂取量は、一般に薦められている摂取上限値をはるかに上回っている。個々の摂取者は、快適な健康維持のためにアスコルビン酸の経口摂取量を任意に選択しても良い。かくして、上述の重量比(アスコルビン酸/アルギニン)1/5〜1/4の混合物または栄養補助食品に加えるアスコルビン酸の重量を任意に選択して摂取できる。【0016】このアスコルビン酸/アルギニンの重量比の上限値は、〔(アスコルビン酸の1日あたりの経口摂取量の上限値)/(アルギニンの1日あたりの摂取量の下限値)〕の比率により決めることができる。通常は、〔(アスコルビン酸の1日あたりの摂取量の上限値=10g(体重約70kgの成人の場合))/(アルギニンの1日あたりの経口摂取量の下限値=0.5g(体重約70kgの成人の場合))〕=20であり得るので、アスコルビン酸/アルギニンの重量比の上限値は20であり得る。また、栄養補助食品としてのアスコルビン酸の1日当たり常用量は、2〜3gと言われている(アスコルビン酸(2〜3g)/アルギニン(0.5g)の重量比=4〜6に相当する。)。従って、アルギニンのえぐい味を無くし、えぐい感を軽くし、かつ、快適な健康を維持するために添加されるアスコルビン酸の重量比:アスコルビン酸/アルギニンは、1/5〜20、好ましくは1/5〜6または1/5〜1/4である。【0017】本発明のアルギニンとアスコルビン酸の粉末混合物の酸味は、アスコルビン酸/アルギニンの重量混合比が1/3の場合は弱く、1/2の場合は強かった。この酸味は、アスコルビン酸に由来するものであって、アスコルビン酸の粉末が常用の栄養補助食品として販売されていることが示すように、一般の摂食者にとっては耐えがたいものではない。また、錠剤にすることによりこの酸味はかなり減退されるものである。またアルギニンを栄養補助食品として摂取するものが、追加のアスコルビン酸を別の栄養補助食品として摂取することは煩雑さを増すものである。2種の栄養補助食品を1種の栄養補助食品で済ますことができれば便利である。従って、アルギニンのえぐい味とえぐい感を無くすためのアスコルビン酸に快適な健康維持のためのアスコルビン酸の任意量を追加したアスコルビン酸/アルギニンの重量比:1/5〜20、特に1/5〜6、例えば1/5〜1/4、1/5〜1/3、1/5〜1/2、1/5〜1、1/5〜4または1/5〜6の範囲にある本発明の混合物と栄養補助食品は極めて有用である。【0018】【発明の実施の形態】本発明に使用されるアルギニンとアスコルビン酸の純度は,栄養補助食品の原料として使用される純度であればよい。通常使用されるアルギニン、アスコルビン酸の純度は,97%以上である。【0019】使用される際のアルギニンとアスコルビン酸の形態は,混合するのに適している固形物例えば粉末ないし微粉末または結晶ないし微結晶または微粉末または微結晶に容易に粉砕できる塊である。また、アスコルビン酸の形状としては、接着剤例えばコーンスターチを少量例えば3%添加して流動層造粒法により製造した細粒状粉末(例:BASF武田ビタミン株式会社製の「ビタミン顆粒−97」)も挙げうる。【0020】上記混合物に、固形ポリオール例えば、キシリトールまたはソルビトールの粉末を添加すると、褐変進行を更に抑制すると期待される。【0021】混合は通常はアルギニンとアスコルビン酸各々の粉末ないし微粉末または結晶ないし微結晶を,均一な混合物が得られるように十分に攪拌または粉砕することにより行われる。混合は通常粉砕を伴う。【0022】混合は,アスコルビン酸の湿気中での酸化を可能な限り回避するために、40%以下の低湿度下で行われる。混合容器の内面の材質が混合成分と不活性でありかつ硬質の材質例えばセラミック例えば陶質であることが好ましい。混合容器の例としてセラミック製例えば陶製の,内面が滑面または粗面の,耐久性の高い乳鉢,臼または筒(円筒または多角筒)が挙げられる。アスコルビン酸は,鉄と反応し易いので,鉄製のカッター刃で切り砕くミル方式の混合機を使用しない方がよい。【0023】混合は通常は常温,好ましくは10〜15℃で,アルギニンとアスコルビン酸が均一に混合されるように十分に混合または粉砕される。混合時間は,アルギニンとアスコルビン酸の両成分が均一に混合されるのに足りる時間であればよい。アルギニンとアスコルビン酸の固形物の混合終了後の粉末混合物の粒度は、通常は50メッシュ、好ましくは100メッシュ、更に好ましくは200メッシュのふるいを通過するものである。【0024】混合後に得られる混合物は,アルギニン特有のえぐい味が無くなり、えぐい感が軽くなった混合物である。そしてこの混合物は,所望により追加の成分を加えて,そのままの形態(粉末)でまたは錠剤,粒剤、顆粒またはカプセル錠に加工して,栄養補助食品、栄養剤または健康食品として使用される。本発明の混合物または栄養補助食品の1日当たりの摂取量は、補充に必要とされるアルギニンの量により変動する。通常、体重70kg程度の成人で0.5g以上であるが、これより少ないこともある。【0025】本願発明は、下記の実施態様に記載の発明を提供する。(実施態様1)アルギニンの粉末に、アルギニンの粉末の1/5〜20倍重量のアスコルビン酸の粉末を混合することによりアルギニンのえぐい味を無くす方法。(実施態様2)1/5〜20倍重量が、1/5〜6倍重量である実施態様1記載の方法。(実施態様3)1/5〜20倍重量が、1/5〜1/4倍重量である実施態様1記載の方法。(実施態様4)アルギニンの粉末と、アルギニンの粉末の1/5〜20倍重量のアスコルビン酸の粉末から成る混合物。(実施態様5)1/5〜20倍重量が、1/5〜1/4倍重量である実施態様4記載の混合物。(実施態様6)アルギニンの粉末と、アルギニンの粉末の1/5〜20倍重量のアスコルビン酸の粉末からなる混合物を含有する栄養補助食品。(実施態様7)1/5〜20倍重量が、1/5〜6倍重量である実施態様6記載の栄養補助食品。(実施態様8)1/5〜20倍重量が、1/5〜1/4倍重量である実施態様6記載の栄養補助食品。(実施態様18)アルギニンの粉末と、アルギニンの粉末の1/5〜20倍重量のアスコルビン酸の粉末を含む混合物を錠剤に成形した栄養補助食品。(実施態様19)1/5〜20倍重量が、1/5〜6倍重量である実施態様18記載の栄養補助食品。(実施態様20)1/5〜20倍重量が、1/5〜1/4倍重量である実施態様18記載の栄養補助食品。(実施態様21)アルギニンの粉末と、アルギニンの粉末の1/5〜20倍重量のアスコルビン酸の粉末を含む混合物を顆粒に成形した栄養補助食品。(実施態様22)1/5〜20倍重量が、1/5〜6倍重量である実施態様21記載の栄養補助食品。(実施態様23)1/5〜20倍重量が、1/5〜1/4倍重量である実施態様21記載の栄養補助食品【0026】アルギニンに添加されるアスコルビン酸の量がアルギニンの1/5倍重量より少ない場合は、アルギニンのえぐい味は減少し、その減少の程度は添加されたアスコルビン酸の量に比例すると予測される。従って、アスコルビン酸の量がアルギニンの1/5倍重量より少ない場合は、アスコルビン酸に加えてアルギニンのえぐい味を減少ないし無くす作用があるかまたはあると期待されるタウリン、有機酸、または酸性アミノ酸例えばアスパラギン酸とグルタミン酸の粉末を添加しても良い。これら化合物のいずれかを添加する場合は、アルギニンのえぐい味を消す効果については、添加されているアスコルビン酸の効果との相加または相乗効果を配慮して添加する。【0027】従って、本願発明は下記の実施態様も包含する。(実施態様9)アルギニンの粉末に、アスコルビン酸の粉末とアルギニンのえぐい味を減少ないし無くす作用を持つ化合物の粉末を混合することによるアルギニンのえぐい味を無くす方法。(実施態様10)アルギニンの粉末、アスコルビン酸の粉末とアルギニンのえぐい味を減少ないし無くす作用を持つ化合物の粉末を含有する、アルギニンのえぐい味を無くすための混合物。(実施態様11)アルギニンの粉末、アスコルビン酸の粉末とアルギニンのえぐい味を減少ないし無くす作用を持つ化合物の粉末を含有する栄養補助食品。【0028】上述のように、アルギニンを経口摂取すると胃にえぐい感がする。アルギニンの粉末に、アルギニンの粉末の1/5〜1/4倍重量またはそれより多い重量のアスコルビン酸の粉末を混合すると、このえぐい感は軽くなる。これによりアルギニンの粉末にアスコルビン酸の粉末を混合すると、アスコルビン酸の重量がたとえアルギニンの粉末の1/5倍重量以下であっても、胃のえぐい感の強さは減少すると言える。従って、本発明は下記の実施態様も包含する。(実施態様12)アルギニンの粉末に、アスコルビン酸の粉末を混合することによるアルギニンのえぐい味を減少ないし無くしかつアルギニン摂食後の胃のえぐい感を減少ないし軽くする方法。(実施態様13)アルギニンの粉末に、アルギニンの粉末の1/5〜20倍重量のアスコルビン酸の粉末を混合することによるアルギニン摂取後の胃のえぐい感を軽くする方法。(実施態様14)1/5〜20倍重量が、1/5〜6倍重量である実施態様13記載の方法。(実施態様15)1/5〜20倍重量が、1/5〜1/4倍重量である実施態様13記載の方法。【0029】また、スーパーオキシドラジカルアニオン(O2・−)が大量に発生するような過酸化状態の患者に大量(通常1.5g/day以上、体重約70kg)のアルギニンを投与すると、ニトロソラジカル(NO・)とO2・−が反応して極めて強い毒性を示す過酸化亜硝酸イオン(O=NOO−)を発生して細胞障害を起こすおそれがある(文献2、64頁を参照)。本発明者は、アスコルビン酸がNO・とO2・−との反応によるO=NOO−の生成を抑制することをin vitro と in vivo で見出している。これにより、大量のアルギニンとそのアルギニンの1/5倍重量以上、例えば1/5〜6倍重量特に1/5〜2倍重量のアスコルビン酸の併用により、O=NOO−に起因する細胞障害を抑制できると予測できる。従って、本発明は下記の実施態様も包含できる。(実施態様16)アルギニンの粉末と、アルギニンの粉末の1/5〜6倍重量のアスコルビン酸の粉末を含む、大量のアルギニン摂取により起こる細胞障害を予防させるための混合物。(実施態様17)1/5〜6倍重量が1/5〜2倍重量である実施態様16記載の混合物。【0030】【実施例】(製造例)アルギニンの粉末5gとアスコルビン酸の粉末1gを,陶磁製の乳鉢にいれ,均一に混合されるように十分に挽き混合し,粉末が42号篩(350μ)を通るようにして、本発明の混合物6gを得る。(アルギニンのえぐい味とアスコルビン酸の酸味の強度の味験試験)下表に記載の重量比のアルギニンとアスコルビン酸の混合物を,上述の製造例に準じて製造した。次いで,この混合物0. 1gを味験者が摂取して,この粉末混合物のえぐい味と酸味の強度を味験した。その結果を表1に示した。【0031】【表1】(注)表中,++:えぐい味または酸味がかなり強い。+ :えぐい味または酸味が僅かにする。±:えぐい味または酸味が殆どない。− :えぐい味または酸味が感じられない。【0032】上表に記載の味験結果から明らかな通り,アスコルビン酸:アルギニンの重量比を1:5〜1:4にすると,アルギニンのえぐい味が消失していた。また,アスコルビン酸の酸味は,重量比:アスコルビン酸/アルギニンが1/3以上になると感じられるようになり,1/2では強かった。【0033】(アルギニンのえぐい味とアスコルビン酸の酸味の強度の味験試験とアルギニン摂食後のえぐい感の検討)表2に示したアスコルビン酸/アルギニンの重量比が異なる6種の粉末混合物を、陶器製乳鉢中で十分に粉砕して製造した。どの試料も1年経過後も褐変をしなかった。粉末混合物のえぐい味と酸味、そして胃のえぐい感を、総数30人の成人ボランティアが検査した。各々のボランティアは、各日、異なる6種の粉末混合物のうち1種に就いて味とえぐい感を検査する作業を、1週間続けた。その検査の結果を表2に示す。【0034】【表2】注:総数30人の審判員中21人以上の審判員が感じた強さを表す下記の記号を表2に示した。++ : 強いえぐい味または酸味+ : 弱いえぐい味または酸味− : えぐい味または酸味を感じない粉末混合物1gを経口摂取後の胃のえぐい感については、重量比0.8/5の場合は5〜6名のボランティアが感じ、重量比0.9/5の場合は1〜2名だけのボランティアが感じたが、他の重量比の場合は誰も感じなかった。【0035】表2に記載の検査結果から明らかな通り,アスコルビン酸/アルギニンの重量比を1/5〜1/4にすると,アルギニンのえぐい味が消失していた。また,アスコルビン酸の酸味は,アスコルビン酸/アルギニンの重量比が1/3以上になると感じられるようになり,1/2では強かった。えぐい感は、アスコルビン酸/アルギニンの重量比が1/5以上になると感じられなくなった。【0036】【発明の効果】アルギニンの粉末に重量比(アスコルビン酸/アルギニン)1/5以上、例えば1/5〜20、好ましくは1/5〜6と1/5〜1、更に好ましくは1/5〜1/4でアスコルビン酸の粉末を混合して得られる混合物にはアルギニン特有のえぐい味がなくなり,また、経口摂取後のえぐい感が軽くなったので、経口摂取が極めて容易になった。更に、大量のアルギニン摂取により起こる細胞障害を予防させる効果もある。また、混合するアルギニンとアスコルビン酸両方の形態を水溶液ではなく、粉末にすることにより、経時褐変を殆どないし完全に無くすことができた。【0037】本発明の混合物中のアスコルビン酸は胃中で,アルギニンの長期摂取により発生量が増加するNOガス由来の胃中の亜硝酸による発ガン性ニトロソアミンの生成を抑制し,ガン発生率を低下せしめる効果があり得ると期待される。【0038】慢性胃炎または高齢者の低酸状態ではアスコルビン酸濃度が低下しており,バクテリアの硝酸還元による亜硝酸も発生し易い。この場合もアスコルビン酸添加により発ガン性ニトロソアミンの生成を抑制し,ガン発生率を低下せしめる効果があり得ると期待される。【0039】術後侵襲の治療にアルギニンとアスコルビン酸は必須の栄養素である。アルギニンとアスコルビン酸の両成分を含有する本発明の混合物は,術後侵襲の治療の促進にも有用であると予測できる。【0040】参照文献:1.村田晃,木本英治,森重福美共訳,がんとビタミンC,共立出版,東京、昭和56年出版(原著,Ewan Cameron and Linus Pauling著, Cancer and Vitamin C)2.木本英治著,L−アルギニンの栄養化学,開成出版,東京、平成11年出版 L−アルギニンの粉末に、L−アルギニンの粉末の1/5〜1/4倍重量のL−アスコルビン酸の粉末を混合することによりL−アルギニンのえぐい味を無くす方法。 L−アルギニンの粉末と、L−アルギニンの粉末の1/5〜1/4倍重量のL−アスコルビン酸の粉末から成る混合物。 L−アルギニンの粉末と、L−アルギニンの粉末の1/5〜1/4倍重量のL−アスコルビン酸の粉末から成る混合物を含有する栄養補助食品。 L−アルギニンの粉末と、L−アルギニンの粉末の1/5〜1/4倍重量のL−アスコルビン酸の粉末から成り、L−アルギニン摂取後の胃のえぐい感(胸焼け、悪心、嘔気または嘔吐)を減少させた混合物。 L−アルギニンの粉末と、L−アルギニンの粉末の1/5〜1/4倍重量のL−アスコルビン酸の粉末を含む混合物をカプセル錠に成形した栄養補助食品。 L−アルギニンの粉末と、L−アルギニンの粉末の1/5〜1/4倍重量のL−アスコルビン酸の粉末を含む混合物を顆粒に成形した栄養補助食品。