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タイトル:特許公報(B2)_糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンおよびその製造方法
出願番号:2001348118
年次:2008
IPC分類:C08G 77/50,C08G 77/392,C07F 7/08,C07H 23/00,C08G 77/06,C08G 81/00


特許情報キャッシュ

吉武 誠 照沼 大陽 松岡 浩司 幡野 健 JP 4043764 特許公報(B2) 20071122 2001348118 20011113 糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンおよびその製造方法 東レ・ダウコーニング株式会社 000110077 吉武 誠 照沼 大陽 松岡 浩司 幡野 健 20080206 C08G 77/50 20060101AFI20080121BHJP C08G 77/392 20060101ALI20080121BHJP C07F 7/08 20060101ALI20080121BHJP C07H 23/00 20060101ALI20080121BHJP C08G 77/06 20060101ALI20080121BHJP C08G 81/00 20060101ALI20080121BHJP JPC08G77/50C08G77/392C07F7/08 XC07H23/00C08G77/06C08G81/00 C08G 77/00-77/62 C07H 1/00-99/00 C07F 7/00- 7/30CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平07−070204(JP,A) 特開2000−086703(JP,A) 特開2003−146991(JP,A) 特開平11−092490(JP,A) 特開平10−330489(JP,A) 特開平10−259186(JP,A) 特開平08−269204(JP,A) 特開平08−134103(JP,A) 特開平05−186596(JP,A) 特開昭62−068820(JP,A) 特開2002−173612(JP,A) 特開2000−186150(JP,A) 特開2000−086702(JP,A) 特表2002−522445(JP,A) 特開平06−316590(JP,A) 特開平08−127584(JP,A) 特開平09−095425(JP,A) 特開平10−087685(JP,A) 4 2003146991 20030521 14 20041111 芦原 ゆりか 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、糖残基を有する新規なオルガノポリカルボシロキサンとその製造方法に関し、詳しくはチオエーテル結合を介してケイ素原子と単糖もしくは多糖の特定部位が結合している糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンとその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来から、糖類が生体機能をつかさどる重要な役割を演じていることが知られていたが、最近では、その立体構造に起因する特異な物質間相互作用が明らかにされつつあり、それらの機能を有効に利用した創薬や機能材料の開発が注目されている。そのような目的で、糖類を合成高分子と結合させる方法とそれらの応用の試みが知られている。有機ケイ素ポリマーは、生物学的に不活性なので、薬剤、医療材料、化粧料等としては、好適な材料であり、これまでに多くの糖残基を有するオルガノポリシロキサンとその製造方法が提案されている。例えば、糖類がアミド結合を介してポリシロキサンに結合したもの(特開昭62−68820号公報参照)、糖類がグリコシド結合を介してポリシロキサンに結合したもの(特開平5−186596号公報参照)、糖類がウレタン結合を介してポリシロキサンに結合したもの(特開平8−134103号公報参照)、糖類がグリコシド結合またはチオグリコシド結合を介してポリシロキサンに結合したもの(特開平11−92490号公報参照)等が提案されている。しかしながら、オルガノポリカルボシロキサン類への糖類の結合については、報告されていなかった。オルガノポリカルボシロキサンでは、オルガノポリシロキサンでは合成が難しいデンドリマー構造、ダンベル型構造といった特殊な分子構造を有する化合物を作ることができるので、高度な機能を付与することができると期待される。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の目的は、デンドリマー構造やダンベル型構造などの分子構造を取り得る糖残基を有する新規なオルガノポリカルボシロキサンとその製造方法に関し、詳しくは、チオエーテル結合を介してケイ素原子と単糖もしくは多糖の特定部位が結合している糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンとその製造方法を提供することにある。【0004】【問題を解決するための手段】本発明は、一般式:{X1R1aSiO(3-a)/2}x{R1bSiO(4-b)/2}y[式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、X1はi=1とした場合の一般式:【化3】{式中、R1は前記に同じ、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、iは1〜10の整数であり、biは0〜3の整数であり、ciは0〜3の整数であり、biとciの和は3以下であり、X1で示されるシリルアルキル基の繰り返し数または階層数がiのとき、Xi+1は一般式:−R4−S−R5−Y(式中、R4 、R5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基であり、YはR5との結合部位が酸素原子である置換もしくは非置換の単糖残基または多糖残基である。)で示される基である。}で示されるシリルアルキル基であり、aは0〜2の整数であり、bは0〜3の整数であり、xは2以上の整数、yは0以上の整数であり、各シロキサン構造単位が複数ある場合は、それらは互いに同じでも異なっていても良い。]で示され、1分子中に少なくとも2個の置換または非置換の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサン、および、一般式:{Z1R1aSiO(3-a)/2}x{R1bSiO(4-b)/2}y [式中、R1 、R2 、a、b、x、yは前記に同じであり、Z1はi=1とした場合の一般式:【化4】{式中、R1、R2、R3、bi、ciは前記に同じであり、Z1で示されるシリルアルキル基の繰り返し数または階層数がiのとき、Zi+1は一般式:−R2Q(式中、R2は前記に同じであり、Qはハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキルスルホネート基、炭素原子数6〜20のアリールスルホネート基から選ばれる基である。)で示される基である。}で示されるシリルアルキル基である。]で示され、1分子中に少なくとも2個のQで示される基を有するオルガノポリカルボシロキサンと、M−S−R5−Y(式中、R5 およびYは前記に同じであり、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子である。)で示される糖残基を有する金属チオラート化合物を縮合反応させることを特徴とする糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンの製造方法に関する。【0005】【発明の実施の形態】本発明の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンは、一般式:{X1R1aSiO(3-a)/2}x {R1bSiO(4-b)/2}yで示される。式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、アルキル基としては、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,イソプロピル基,イソブチル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基が例示され、アリール基としては、フェニル基,ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。X1はi=1とした場合の一般式:【化5】で示されるシリルアルキル基であり、オルガノシロキサン中のケイ素原子に結合している。上式中、R1は前記に同じであり、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基,メチルエチレン基,1−メチルペンチレン基,1,4−ジメチルブチレン基などの分岐状アルキレン基が例示される。これらの中でも、エチレン基,メチルメチレン基,ヘキシレン基,1−メチルペンチレン基,1,4−ジメチルブチレン基が好ましい。R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,イソプロピル基が例示される。これらの中でもメチル基またはエチル基が好ましい。ここで、iは1〜10の整数であり、biは0〜3の整数であり、ciは0〜3の整数であり、biとciの和は3以下である。【0006】X1で示されるシリルアルキル基の繰り返し数または階層数がiのとき、Xi+1は一般式:−R4−S−R5−Yで示される基であって、本発明のオルガノポリカルボシロキサンは1分子中に少なくとも2個の該糖残基を有する必要がある。分子内での複数の糖残基同士の相互作用により、効果的な活性の向上や単独糖残基にはない特異な性質の発現を期待できるからである。【0007】なお、該シリルアルキル基の繰り返し数とは、直鎖状分子構造を有する該シリルアルキル基中の一般式:【化6】(R1、R2、R3、bi、ciは前記と同様である。)で示される繰り返し単位の数である。また、該シリルアルキル基の階層数とは、分岐状分子構造を有する該シリルアルキル基中の一般式:【化7】(R1、R2、R3、bi、ciは前記と同様である。)で示される分子構造単位で構成される階層の数である。【0008】ここで、一般式:−R4−S−R5−Yで示される基をR6とすると、該シリルアルキル基の繰り返し数または階層数が1である場合には、X1は一般式:【化8】で示され、該シリルアルキル基の繰り返し数または階層数が2である場合には、X1は一般式:【化9】で示され、該シリルアルキル基の繰り返し数または階層数が3である場合に、X1は一般式:【化10】で示される。【0009】上記R6中のR4 、R5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基であり、エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基,メチルエチレン基,1−メチルペンチレン基,1,4−ジメチルブチレン基などの分岐状アルキレン基;1,4−フェニレン基,1,3−フェニレン基,4,4‘−ビフェニレン基などのアリーレン基;1,4−ビス(メチレン)フェニレン基,2,2−(パラフェニレン)プロピレン基などのアラルキレン基が例示される。上記R6中のYはR5との結合部位が酸素原子である置換もしくは非置換の単糖残基または多糖残基であり、糖構造を構成する単糖単位としては、グルコピラノース(グルコース)、マンノース、アロース、アルトロース、ガラクトース、イドース、タロース、グロース、リボース、アラビノース、キシロース、フルクトース、フコース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびそれらのエステル化体などが例示される。具体的にはグルコピラノシル基(グルコシル基)、マンノシル基、アロシル基、アルトロシル基、ガラクトシル基、イドシル基、タロシル基、グリシル基、リボシル基、アラビノシル基、キシロシル基、フコシル基、フルクトシル基、N−アセチルグルコサミニル基、N−アセチルガラクトサミニル基、シアリル基などの単糖残基とそれらのエステル化体;マントシル基、セロビオシル基、ラクトシル基、マンノトリオシル基、グロボトリアオシル基などのオリゴ糖残基およびそれらのエステル化体;セルロシル基、アミロシル基などの多糖類残基およびそのエステル化体が例示される。これらの中でも、糖単位の数が5個以下の単糖残基またはオリゴ糖残基であることが好ましい。なお、R5と結合するY中の酸素原子はグリコシド酸素原子であることが好ましい。【0010】このようなR6としては、以下の構造が具体的に例示される。なお下記化学式中のAcはアセチル基を意味する。【化11】【化12】【化13】【化14】【化15】【化16】【化17】【化18】【0011】本発明の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンを表す一般式:{X1R1aSiO(3-a)/2}x {R1bSiO(4-b)/2}yにおいて、aは0〜2の整数、bは0〜3の整数、xは2以上の整数、yは0以上の整数であるが、各シロキサン構造単位が複数ある場合は、それらは互いに同じでも異なっていても良い。このような、オルガノポリカルボシロキサンとしては、具体的には次の一般式で示されるものが例示される。なお、式中、X1、R1は前記に同じであり、e、f、g、h、j、k、l、m、nは一分子中に存在するシロキサン単位の数を表す整数である。【化19】【化20】(n≧1)【化21】(m≧2)【化22】(l≧1)【化23】(k≧1,j≧2)【化24】(h≧2,g≧1)R1fSi(OSiR12X1)4-f (f =0,1)XeSi(OSiR12X1)4-e(e =0,1)(X1SiO3/2)8 (SiO4/2)8(X1R12SiO1/2)8【0012】本発明の糖残基を有するオルガノカルボポリシロキサンは、一般式:{Z1R1aSiO(3-a)/2}x{R1bSiO(4-b)/2}y で示されるオルガノポリカルボシロキサンと、M−S−R5−Yで示される糖残基を有する金属チオラート化合物を縮合反応させることにより製造される。上式中、R1 、R2 、a、b、x、yは前記に同じであり、Z1はi=1とした場合の一般式:【化25】で示されるシリルアルキル基であり、オルガノシロキサン中のケイ素原子に結合している。上式中R1、R2、R3、bi、ciは前記に同じであり、前述した該シリルアルキル基の繰り返し数または階層数がiのとき、Zi+1は一般式:−R2Qで示される基であり、R2は前記に同じであり、Qはハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキルスルホネート基、炭素原子数6〜20のアリールスルホネート基から選ばれる基である。Qのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、アルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基;アリールスルホネート基としてはベンゼンスルホネート基、トルエンスルホネート基が例示される。【0013】M−S−R5−Yで示される糖残基を有する金属チオラート化合物中のR5 およびYは前記に同じである。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが例示される。なお、M−S−R5−Yで示される糖残基を有する金属チオラート化合物は一般に単離するのが困難なので、例えば、対応する糖残基を有するチオール化合物に金属または金属水素化物などを作用させる方法や、対応する糖残基を有するチオエステル化合物やチオエーテル化合物に金属を作用させる方法などにより、反応系中で生成させ、そのまま縮合反応に用いることが好ましい。【0014】本発明の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンの製造原料である一般式:{Z1R1aSiO(3-a)/2}x{R1bSiO(4-b)/2}y で示されるオルガノポリカルボシロキサンは公知の方法で製造することができ、その製造方法は特に限定されない。例えば、特開平10−298288号公報や特開平11−343347号公報に示される方法で製造した分岐末端にケイ素原子結合水素原子を持つカルボシロキサンデンドリマーに、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基あるいはアリールスルホネート基を有するアルケニル化合物をヒドロシリル化反応させることにより直接合成することもできるし、該カルボシロキサンデンドリマー分岐末端に導入した水酸基を利用することで、置換反応によってハロゲン原子を、エステル化反応によってアルキルスルホネート基あるいはアリールスルホネート基をそれぞれ導入することもできる。【0015】また、M−S−R5−Yで示される糖残基を有する金属チオラート化合物は、例えば、公知の方法で糖分子のグリコシド水酸基をアルケニルエーテルに変換し、そのアルケニル基にチオカルボン酸またはチオール化合物をラジカル開始剤の存在下に付加反応させ、それぞれ、チオエステル誘導体またはチオエーテル化合物に変換した後、それぞれ、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩基またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を作用させることにより製造することができる。【0016】以上のような本発明の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンは、チオエーテル結合を介してケイ素原子と単糖もしくは多糖の特定部位とが結合している糖残基を有しており、直鎖状分子構造から多数の分岐構造を有するデンドリマー構造までの様々な分子構造を持つことができるという特徴がある。そのため、薬理活性や生体適合性といった糖類が本来有する特性に加えて、分子内での糖残基同士の相互作用により効果的な活性向上や単独糖残基にはない特異な性質を発現することが可能であるので、化粧品用原料、光学異性体分離用素材、毒素やウイルス等の分離用医療用素材、医療用薬剤、農業用薬剤など様々な応用分野で有用であるという利点を有する。また、本発明の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンを製造する方法は、該オルガノポリカルボシロキサンを効率よく製造できるという特徴がある。【0017】【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。実施例中、本発明の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンの同定は、核磁気共鳴分析により行った。なお、以下に示す反応式、化学式および文中、Pt cat.は白金と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンの錯体、Acはアセチル基、DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、AIBNはアゾビスイソブチロニトリル、Phはフェニル基をそれぞれ意味する。【0018】【参考例1】特開平10−298288号公報に記載された方法で調製したテトラキス{トリス(ジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを原料として、下記の反応により、テトラキス{トリス(ブロモプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを調製した。すなわち、テトラキス{トリス(ジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランに、触媒として白金と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンの錯体の存在下、アリロキシトリメチルシランを反応させ、テトラキス{トリス(トリメチルシロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを得、それに過剰のメタノールを作用させ、トリメチルシロキシ基を脱離させ、テトラキス{トリス(ヒドロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランとした。次に、得られたテトラキス{トリス(ヒドロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランにピリジン中、塩化メタンスルホニルを作用させ、テトラキス{トリス(メタンスルホニロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランとし、ついでDMF中で臭化ナトリウムを反応させ、テトラキス{トリス(ブロモプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを得た。【化26】【0019】【参考例2】特開平10−298288号公報に記載された方法で調製したメチルトリス{トリス(ジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを原料として、下記の反応により、メチルトリス{トリス(ブロモプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを調製した。すなわち、メチルトリス{トリス(ジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランに、触媒として白金と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンの錯体の存在下、アリロキシトリメチルシランを反応させ、メチルトリス{トリス(トリメチルシロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを得、それに過剰のメタノールを作用させ、トリメチルシロキシ基を脱離させ、メチルトリス{トリス(ヒドロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランとした。次に、得られたメチルトリス{トリス(ヒドロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランにピリジン中、塩化メタンスルホニルを作用させ、メチルトリス{トリス(メタンスルホニロキシプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランとし、ついで、DMF中で臭化ナトリウムを反応させ、メチルトリス{トリス(ブロモプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シランを得た。【化27】【0020】【参考例3】β−D−グルコピラノースを原料として、下記の反応により4−アセチルチオブチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドを調製した。すなわち、β−D−グルコピラノースに無水酢酸中で酢酸ナトリウムを作用させ、全ての水酸基をアセチル化してアセチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドとし、ついで、触媒としての三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート存在下に1−ブテン−4−オールを作用させ、ブテニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドとした。次に、得られたブテニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドをジオキサン中、チオ酢酸と混合し、ラジカル開始剤のAIBNを加えて反応させ、4−アセチルチオブチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドを得た。【化28】【0021】【参考例4】β−D−グルコピラノースを原料として、下記の反応により4−ベンジルチオブチルβ−D−グルコピラノシドを調製した。すなわち、β−D−グルコピラノースに無水酢酸中で酢酸ナトリウムを作用させ、全ての水酸基をアセチル化してアセチル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドとし、ついで、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートの存在下に、1−ブテン−4−オールを作用させ、ブテニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドとした。次に、得られたブテニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドをジオキサン中、ベンジルチオールと混合し、ラジカル開始剤のAIBNを加えて反応させ、4−ベンジルチオブチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドを調製した後、メタノール中でナトリウムメトキシドを作用させて脱アセチル化し、4−ベンジルチオブチルβ−D−グルコピラノシドを得た。【化29】【0022】【実施例1】参考例1で調製したテトラキス{トリス(ブロモプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シラン81mg(275mmol)と参考例3で調製した4−アセチルチオブチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド474mg(0.990mmol)を無水DMF0.5mlと無水メタノール0.5mlに溶解し、混合液を室温で2時間攪拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド62mg(1.12mmol)を加え、35℃で24時間攪拌した。酢酸0.5mlを加え、室温で10分間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。無水酢酸5mlとピリジン5mlを加えて混合した後、氷水にあけ、それをクロロホルムで3回抽出した。有機層を合せ、1N塩酸、飽和重曹水、ついで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、生成物をカラムクロマトグラフィーおよびゲルパーミエーションクロマトグラムにより精製し、下式で示される糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサン95mgを得た。【化30】1H 核磁気共鳴スペクトルデータ(溶媒:重クロロホルム)δ0.06(bs, 96H), 0.09(s, 54H), 0.48(t, J=9 Hz, 9H), 0.63(t, J=9 Hz, 32H), 1.33(m, 9H), 1.5-1.7(m, 72H), 2.00(s, 36H), 2.02(s, 36H), 2.04(s, 36H), 2.08(s, 36H), 2.50(t, J=6 Hz, 48H), 3.5 (m, 12H), 3.7(m, 12H), 4.1(m, 12H), 4.20(m, 12H), 4.27(m, 12H), 4.50(d, J=8 Hz, 12H), 4.97(t, J=10Hz, 12H), 5.07(t, J=10Hz, 12H), 5.17(t, J=10Hz, 12H)【0023】【実施例2】参考例2で調製したメチルトリス{トリス(ブロモプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シラン70mg(0.0312mmol)と参考例3で調製した4−アセチルチオブチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド404mg(0.843mmol)を無水DMF0.5mlと無水メタノール0.5mlに溶解し、混合液を室温で2時間攪拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド51mg(0.928mmol)を加え、35℃で24時間攪拌した。酢酸0.4mlを加え、室温で10分間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。無水酢酸5mlとピリジン5mlを加えて混合した後、氷水にあけ、それをクロロホルムで3回抽出した。有機層を合せ、1N塩酸、飽和重曹水、ついで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、生成物をカラムクロマトグラフィーおよびゲルパーミエーションクロマトグラムにより精製し、下式で示される糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサン125mgを得た。【化31】1H 核磁気共鳴スペクトルデータ(溶媒:重クロロホルム)δ0.06(s, 3H), 0.07(s, 18H), 0.09(s, 54H), 0.48(t, J=9 Hz, 6H), 0.63(t, J=9 Hz, 24H), 1.33(m, 6H), 1.5-1.7(m, 54H), 2.00(s, 27H), 2.02(s, 27H), 2.04(s, 27H), 2.08(s, 27H), 2.50(t, J=6 Hz, 36H), 3.5 (m, 9H), 3.7(m, 9H), 4.1(m, 9H), 4.20(m, 9H), 4.27(m, 9H), 4.50(d, J=8 Hz, 9H), 4.97(t, J=10Hz, 9H), 5.07(t, J=10Hz, 9H), 5.17(t, J=10Hz, 9H)【0024】【実施例3】参考例4で調製した4−ベンジルチオブチルβ−D−グルコピラノシド353mg(0.985mmol)を−35℃に冷却し、アンモニアガスを吹き込み、30mlのアンモニアを液化させ、金属ナトリウム226mg(9.85mmol)を加え、−35℃で30分間攪拌した。そこへ、塩化アンモニウム474mg(8.86mmol)、ジメトキシエタン3mlに溶解した参考例2で調製したメチルトリス{トリス(ブロモプロピルジメチルシロキシ)シリルプロピルジメチルシロキシ}シラン92mg(0.041mmol)を加え、攪拌し、アンモニアガスを気化させながら、室温まで徐々に戻した。濃縮後、生成物をカラムクロマトグラフィーおよびゲルパーミエーションクロマトグラムにより精製し、下式で示される糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサン16mgを得た。【化32】1H 核磁気共鳴スペクトルデータ(溶媒:重水)δ0.0(bs, 75H), 0.5 (t, J=9 Hz, 6H), 0.6 (m, 24H), 1.3-1.8(m, 60H), 2.5(m, 36H), 3.1(m, 9H), 3.2-3.4(m, 27H), 3.5-3.6(m, 18H), 3.8(m, 18H), 4.3(bd, 9H) 一般式:{X1R1aSiO(3-a)/2}x{R1bSiO(4-b)/2}y[式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基であり、X1はi=1とした場合の一般式:{式中、R1は前記に同じ、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、iは1〜10の整数であり、biは0〜3の整数であり、ciは0〜3の整数であり、biとciの和は3以下であり、X1で示されるシリルアルキル基の繰り返し数または階層数がiのとき、Xi+1は一般式:−R4−S−R5−Y(式中、R4 、R5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基であり、YはR5との結合部位が酸素原子である置換もしくは非置換の単糖残基または多糖残基である。)で示される基である。}で示されるシリルアルキル基であり、aは0〜2の整数であり、bは0〜3の整数であり、xは2以上の整数、yは0以上の整数であり、各シロキサン構造単位が複数ある場合は、それらは互いに同じでも異なっていても良い。]で示され、1分子中に少なくとも2個の置換または非置換の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサン。 R5と結合するY中の酸素原子がグリコシド酸素原子である請求項1記載の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサン。 多糖残基が2〜5個の糖単位からなるオリゴ糖残基である請求項1あるいは請求項2記載の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサン。 一般式:{Z1R1aSiO(3-a)/2}x{R1bSiO(4-b)/2}y [式中、R1 、R2 、a、b、x、yは前記に同じであり、Z1はi=1とした場合の一般式:{式中、R1、R2、R3、bi、ciは前記に同じであり、Z1で示されるシリルアルキル基の繰り返し数または階層数がiのとき、Zi+1は一般式:−R2Q(式中、R2は前記に同じであり、Qはハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキルスルホネート基、炭素原子数6〜20のアリールスルホネート基から選ばれる基である。)で示される基である。}で示されるシリルアルキル基である。]で示され、1分子中に少なくとも2個のQで示される基を有するオルガノポリカルボシロキサンと、M−S−R5−Y(式中、R5 およびYは前記に同じであり、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子である。)で示される糖残基を有する金属チオラート化合物を縮合反応させる、請求項1記載の糖残基を有するオルガノポリカルボシロキサンの製造方法。


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