生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_毛髪の成長期誘導効果の検出方法
出願番号:2001342307
年次:2007
IPC分類:G01N 33/15,A01K 67/00,G01N 33/50,A61K 8/00,A61Q 5/00


特許情報キャッシュ

江連 智暢 森 浩 鈴木 良治 金山 敏司 JP 3885201 特許公報(B2) 20061201 2001342307 20011107 毛髪の成長期誘導効果の検出方法 株式会社資生堂 000001959 志村 光春 100103160 江連 智暢 森 浩 鈴木 良治 金山 敏司 20070221 G01N 33/15 20060101AFI20070201BHJP A01K 67/00 20060101ALI20070201BHJP G01N 33/50 20060101ALI20070201BHJP A61K 8/00 20060101ALN20070201BHJP A61Q 5/00 20060101ALN20070201BHJP JPG01N33/15 ZA01K67/00 DG01N33/50 HG01N33/50 ZA61K7/06 G01N 33/15 G01N 33/50 A61K 8/00 A61Q 5/00 特開2001−181144(JP,A) 4 2003149230 20030521 6 20040311 山村 祥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、有用な薬剤を選別するための検出方法に関する発明である。より、具体的には、本発明は、毛髪の成長期誘導効果を有する薬剤を選別することが可能な検出方法に関する発明である。【0002】【従来の技術】育毛剤は、ヘアサイクルにおける様々な段階に作用することによって、毛髪の養生を行う薬剤である。現在、種々のタイプの育毛剤が提供されているが、特に、ヘアサイクルの休止期にある毛組織を成長期に誘導することによって、発毛を促進するタイプの育毛剤が着目されている。【0003】すなわち、このような毛髪の成長期誘導効果が認められる育毛剤は、脱毛の主要因である、表皮面積当りの毛髪密度の減少を回復させることが可能であり、既に成長を開始した毛髪の生育を促進するタイプの育毛剤と比べても、脱毛の、より根本的な要因に対して働きかけることができると考えられ、その有用性について、着目されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】上記のような育毛の機序にまで着目した育毛剤を提供する前提として、目的とする育毛機序に関与する機能を検出して、育毛剤の有効成分として選別する手段が必要となる。【0005】従来は、毛髪の成長期誘導効果が認められる被験薬剤を選別する方法として、ヘアサイクルが休止期にあるマウスの毛を刈り、そこに被験薬剤を塗布し、発毛に要する時間、発毛の程度等を、対照群と比較することで、被験薬剤の毛髪の成長期誘導効果を検出する方法が採られていた。【0006】しかしながら、この方法では、毛刈りを行うこと自体が、毛髪の成長期を誘導する刺激となってしまい、検出された効果が、成長期誘導によるのか、成長期促進によるのか、を判別することが困難である。そのため、毛刈りによる刺激を抑制する手段を種々講ずることにより、可能な限り、成長期誘導の要因となる刺激を抑制する工夫が行われている。【0007】それにもかかわらず、被験薬剤から、正確に、かつ、簡便に、毛髪の成長期を誘導する薬剤を検出するには、未だ至っていない。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者は、この課題の解決のために鋭意検討を重ねた結果、毛刈りを行わずに、被験薬剤から、正確に、かつ、簡便に、毛髪の成長期を誘導する薬剤を検出する手段を見出した。【0009】すなわち、本発明は、ヘアサイクルが休止期であるマウスの皮膚に、毛剃りを行わずに被験薬剤を塗布し、当該塗布部分の黒化の程度を指標として、毛髪の成長期誘導効果を検出する、検出方法(以下、本検出方法ともいう)を提供する発明である。【0010】なお、ヘアサイクルとは、毛髪における、成長→脱毛→新生の繰り返しのサイクルであり、一般的には、休止期、成長期(成長期の開始、初期成長期、成長期を含む)、および、退行期で構成される。以下、本明細書中で、例えば、「成長期」と記載すれば、特に断らない限り、「ヘアサイクルの成長期」を意味するものとする。また、本明細書中で、「塗布」とは、特定箇所に被験薬剤等を接触させる行為を意味するものとし、文字通り、手指等で被験薬剤を塗り付ける行為の他に、例えば、噴霧等により、特定箇所に被験薬剤等を接触させる行為等をも意味するものとする。【0011】本検出方法の、典型的な態様として、下記(1)〜(5)のステップを行う、上記の検出方法を挙げることができる。(1)マウスのヘアサイクルの休止期を確定する、第1ステップ。(2)第1ステップにおいて、ヘアサイクルの休止期が確定されたマウスに、被験薬剤を塗布する、第2ステップ。(3)第2ステップにおいて、被験薬剤が塗布されたマウスの当該塗布部分近傍の毛剃りを行う、第3ステップ。(4)第3ステップにおいて、毛剃りを行ったマウスの毛剃り部分における皮膚の黒化を測定する、第4ステップ。(5)第4ステップにおいて、測定されたマウスの皮膚の黒化を指標として、被験薬剤の毛髪の成長期の誘導効果を検出する、第5ステップ。【0012】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。本検出方法における試験対象のマウスとしては、C3Hマウスを用いることが好適である。C3Hマウスは、各毛包のサイクルが同調しており、かつ、長く安定した休止期を有するので、本検出方法の試験対象のマウスとして適している。本検出方法において用いる、ヘアサイクルが休止期であるマウス(以下、休止期マウスともいう)の選別方法は、特に限定されない。例えば、C3Hマウスは、生後8〜15週は、休止期マウスであり、かかる休止期C3Hマウスを、本検出方法において用いることができる。【0013】また、マウスは、個別飼い、すなわち、マウスを個体毎に別々のケージ内で飼育して、本検出方法を行うことが好適である。群れ飼い、すなわち、複数の個体を同一のケージで飼育して、本検出方法を行うと、個体同士で被験薬剤の塗布部分を舐めたり、個体同士が接触することにより、被験薬剤が脱落してしまう傾向が認められる。【0014】被験薬剤の塗布箇所は、特に限定されないが、被験薬剤による成長期誘導効果を検出することが容易な背部を選択することが好適である。本検出方法における、成長期誘導効果の検出指標は、皮膚の黒化であり、それ自体が成長期を誘導する刺激となってしまう毛剃りをすることなしに、被験薬剤を用いることによる成長期誘導効果を検出することが可能である。すなわち、休止期マウスに被験薬剤を塗布することにより、塗布前よりも、塗布箇所の皮膚色が黒化した場合には、当該被験薬剤に成長期誘導効果が認められることになり、成長期誘導効果を検出することができる。これに対して、被験薬剤塗布前後の、被験マウスの皮膚色に変化が認められない場合には、当該被験薬剤には、成長期誘導効果は認められないと判断されることになる。【0015】この皮膚の黒化は、目視で容易に判別することが可能である。例えば、成長期誘導効果の検出時に、マウスの被験薬剤塗布箇所近傍の毛剃りを行い、塗布箇所と非塗布箇所の皮膚色の比較を、目視で行うことにより、皮膚色の黒化または非黒化を判別することができる。【0016】また、目視による判別の他に、例えば、画像解析装置や色差計等の機器を用いることにより、皮膚色の黒化を判別することも可能である。さらに、ヘアサイクルの成長期を検出するためのマーカー、例えば、γ−グルタミルトランスペプチダーゼを指標として用いて、ヘアサイクルの成長期を検出することも可能である。【0017】このように、本検出方法により、成長期誘導効果が認められた被験薬剤には、休止期の毛包における毛芽を、毛乳頭との相互作用による活発な分裂増殖により毛母細胞に分化させ、新しい毛髪を生む段階に至らせる作用が認められることとなる。よって、当該被験薬剤を育毛剤の有効成分として用いることにより、毛髪の休止期への全体的な偏向による脱毛を回復させることが可能であることが明確な育毛剤を提供されることが可能となる。また、他の育毛作用、具体的には、成長を開始した毛髪の生育を促進する作用を有する薬剤や、脱毛予防の薬剤等と組み合わせて、育毛剤の有効成分とすることにより、異なる育毛作用による相乗的または相加的な育毛効果を発揮する育毛剤を提供することが可能となる。【0018】【実施例】以下に、本発明の実施例を記載するが、これにより、本発明が限定されるものではない。なお、%として表された含有量は、含有対象に対する質量%を意味する。【0019】被験薬剤被験薬剤としては、ヘアサイクルの成長期誘導作用が認められている薬剤であるサイクロスポリンA(CsA)を用い、これを特級エタノールに溶解し、0.01%、または、0.1%のCsAエタノール溶液を調製して、これを本実施例において、試験品として用いた。また、対照は、溶媒である特級エタノールを用いた。【0020】試験方法個別飼いにした毛刈りを行わない、61日齢のC3Hマウス〔試験品毎に20匹(発毛確認時点群毎に5匹)〕の背部全面に、上記試験品を、1mlずつ塗布した(朝1回ずつ、5日間毎日塗布を行った)。なお、全く、試験品の塗布を行わない無処置群(5匹)についても、他の試験群と同様の飼育条件において観察を行った。【0021】試験品の塗布開始より、12、15、18、または、22日後に、それぞれの発毛確認時点群毎に、マウスの背部の毛剃りを行い、皮膚の黒化を目視で確認し、皮膚の黒化が認められたマウスを「発毛有り」、認められなかったマウスを「発毛なし」と判定した。【0022】結果本試験の結果を、第1図に示す。第1図の縦軸は、「発毛有り」と判定されたマウスの個体数を示し、横軸は、塗布開始後の日数である。第1図により、溶媒群においては、発毛効果が全試験日程にわたって認められなかったが、CsA0.01%群と0.1%群においては、塗布開始15日後から発毛が認められた。【0023】なお、溶媒群の発毛は、無処置群と同様、塗布開始後36日目から観察され、溶媒自体の発毛に対する影響は認められなかった。この結果は、サイクロスポリンAにおける既知の成長期誘導作用を反映しており、本検出方法により、被験薬剤のヘアサイクルの成長期誘導作用を、正確、かつ、簡便に検出することができることが明らかとなった。【0024】よって、本検出方法を用いて、ヘアサイクルの成長期誘導作用を有する薬剤を選別することが可能となる。【0025】【発明の効果】本発明により、被験薬剤のヘアサイクルの成長期誘導作用を、正確、かつ、簡便に検出することが可能となり、これにより、同成長期誘導作用を有する薬剤を選別することが可能となった。【図面の簡単な説明】【図1】本検出方法に基づいた試験を行った結果を示す図面である。 ヘアサイクルが休止期であるマウスの皮膚に、毛剃りを行わずに被験薬剤を塗布し、当該塗布部分の黒化の程度を指標として、毛髪の成長期の誘導効果を検出する、検出方法。 下記(1)〜(5)のステップを行う、請求項1記載の検出方法。(1)マウスのヘアサイクルの休止期を確定する、第1ステップ。(2)第1ステップにおいて、ヘアサイクルの休止期が確定されたマウスに、被験薬剤を塗布する、第2ステップ。(3)第2ステップにおいて、被験薬剤が塗布されたマウスの当該塗布部分近傍の毛剃りを行う、第3ステップ。(4)第3ステップにおいて、毛剃りを行ったマウスの毛剃り部分における皮膚の黒化を測定する、第4ステップ。(5)第4ステップにおいて、測定されたマウスの皮膚の黒化を指標として、被験薬剤の毛髪の成長期の誘導効果を検出する、第5ステップ。 マウスが、C3Hマウスである、請求項1または2記載の検出方法。 マウスを個別飼いとする、請求項1〜3のいずれかの請求項記載の検出方法。


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