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タイトル:特許公報(B2)_第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物溶液の製造方法
出願番号:2001341935
年次:2007
IPC分類:C07C 209/68,C07C 211/63,G03F 7/42,H01L 21/027


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原 靖 青木 雅裕 林 博明 JP 3965971 特許公報(B2) 20070608 2001341935 20011107 第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物溶液の製造方法 東ソー株式会社 000003300 原 靖 青木 雅裕 林 博明 20070829 C07C 209/68 20060101AFI20070809BHJP C07C 211/63 20060101ALI20070809BHJP G03F 7/42 20060101ALI20070809BHJP H01L 21/027 20060101ALI20070809BHJP JPC07C209/68C07C211/63G03F7/42H01L21/30 572B C07C 209/68 C07C 211/63 G03F 7/42 H01L 21/027 特開2002−202618(JP,A) 特開2002−356313(JP,A) 特開2003−137846(JP,A) 特開2003−137848(JP,A) 6 2003146946 20030521 6 20041001 山田 泰之 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、第四級アンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液の製造方法に関する。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液は、チタン酸化物の還元剤に使用される。【0002】【従来の技術】第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物は、第四級アンモニウム塩に過酸化水素が配位したものである。過酸化水素が第四級アンモニウム塩に配位することで、過酸化水素の性質が大きく変化し、白金と接触しても分解しなくなるなど取扱いやすくなる。【0003】この第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物溶液は、チタン酸化物の還元剤、特にアルカリ条件下におけるチタン酸化物の還元剤に使用される。【0004】この様なチタン酸化物の還元は、例えば、チタンを使用する半導体製造において、副生成物として存在するチタン酸化物の剥離などにおいて有用である(特開平4−289866号公報)。なお、半導体製造においては、チタン以外も使用し、強アルカリ性下ではダメージを受ける材料も少なくない。そのため、ある一定のpH(弱アルカリ性)に調整する必要がある。また、半導体製造に限らず、強アルカリ性の物質は人体などへの影響が強く、取扱いに問題がある。【0005】ところで、第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物溶液は、強アルカリ性下のチタン酸化物の還元に有効であるが、pHを下げていくと(すなわち弱アルカリ性にしていくと)、除々にチタン酸化物の還元力が低下する問題があったし、チタン酸化物の還元力を維持したまま、第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物溶液のpHを調整する方法は知られていなかった。【0006】そこで、pHを調整可能な第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物溶液の製造方法が望まれていた。【0007】【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、pHを調整可能なテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液の製造方法を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】 本発明者らは、pHを調整可能なテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液の製造方法について鋭意検討した結果、酸化還元性のある酸及び/又はその塩を使用することにより、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液の性能を劣化させることなくpHを調整できることを見出し、本発明を完成させるに至った。【0009】 すなわち本発明は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液に、酸化還元性のある酸及び/又はその塩を添加することを特徴とするテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液の製造方法に関する。【0010】以下に本発明をさらに詳細に説明する。【0011】 本発明の方法において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物とは、結晶水における水の様に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに過酸化水素が配位したものを意味する。過酸化水素は様々な化合物に配位して過酸化水素化物を形成する。他に過酸化水素化物を形成するものとして知られているのは、フッ化カリウム、炭酸ルビジウム、尿素などがある。本発明におけるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物もこれらと同様の構造になっていると推定される。【0012】 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液は、チタン酸化物の還元剤に使用される。特にアルカリ条件下におけるチタン酸化物の還元剤に使用される。この様なチタン酸化物の還元は、例えば、チタンを使用する半導体製造において、副生成物として存在するチタン酸化物の剥離などにおいて有用である。なお、半導体製造においては、チタン以外も使用し、強アルカリ性下ではダメージを受ける材料も少なくない。そのため、ある一定のpH(弱アルカリ性)に調整する必要がある。また、半導体製造に限らず、強アルカリ性の物質は人体などへの影響が強く、取扱いに問題がある。このため、pHを調整可能なテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液を製造する必要がある。【0013】 本発明の製造方法では、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液に酸化還元性のある酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする。酸化還元性のある酸としては、無機酸、有機過酸及び有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。無機酸としては、例えば、亜硝酸、亜硫酸、硫酸、過硫酸、亜リン酸、次亜リン酸、過ホウ酸などを例示することができ、これらの1種以上を使用すればよい。【0014】有機過酸としては、例えば、過安息香酸、過酢酸などを例示することができ、これらの1種以上を使用すればよい。【0015】有機酸としては、例えば、アスコルビン酸、シュウ酸、クエン酸などを例示することができ、これらの1種以上を使用すればよい。この中でも特にレジスト剥離性能、チタン酸化物の剥離性能に優れる亜硝酸、亜リン酸、硫酸、過硫酸が好ましい。【0016】更に、これらの酸の塩も使用することができる。【0017】 本発明の製造方法において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液に、酸化還元性のある酸及び/又はその塩を添加するが、その他の酸化還元性の無い酸、塩、塩基を同時に添加しても一向に差し支えない。また、酸化還元性のある酸及び/又は塩を添加した後、酸化還元性の無い酸、塩、塩基を添加しても、逆に酸化還元性の無い酸、塩、塩基を添加した後、酸化還元性のある酸及び/又は塩を添加しても良い。【0018】 本発明の製造方法において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドと過酸化水素水とを加熱混合、あるいはフタル酸のような触媒存在下、混合することで得られる。【0020】このほかに本発明で添加する酸化還元性のある酸から生じるアニオン、すなわち亜硝酸イオン、亜硫酸イオン、硫酸イオン、過硫酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、過ホウ酸イオンなどの無機酸イオン、過安息香酸イオン、過酢酸イオンなどの有機過酸イオン、アスコルビン酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオンなども使用できる。【0022】 本発明の製造方法において、使用する溶媒は水が最も好ましい。最も安価である上、過酸化水素、第四級アンモニウム塩のいずれも水溶液で流通していることが多く、工業的に有利である。しかし、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、過酸化水素、芳香族カルボン酸を溶解できるアルコールなどの溶媒を添加することは一向に差し支えない。【0023】本発明の製造方法において、過酸化水素化物の安定剤を加えても良い。安定剤は過酸化水素化物を製造する前の原料に添加しても良いし、過酸化水素化物を製造した後に添加しても良い。過酸化水素化物の安定剤を例示すると、サリチル酸、アニリン、アセトアニリド、ヒンダードアミンなどが挙げられる。これらは単一で使用しても、二種類以上を併用しても一向に差し支えない。【0024】 本発明の製造方法において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液は特願2001−336140号に従って、液体クロマトグラフィー(LC)で分析することができる。LCで分析すれば、過酸化水素化物になっていないテトラメチルアンモニウムヒドロキシドと本発明の製造法で過酸化水素化物になったテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを分離することができる。分離剤は通常、カラムに充填されたものを使用する。【0025】カラムとしては、ゲルろ過用(GPC)のカラムを使用すれば高分離能で分析できる。その中でもビニルポリマーを基材とした充填剤を充填したカラムを使用するのが好ましく、極性有機溶媒系カラムがさらに好ましい。LCの溶離液としてはアセトニトリルを含む水溶液を使用するのが好ましい。水とアセトニトリルの比率は分離する化合物によって異なるため、一概に決めることはできない。溶離液の極性を上げる場合には水を増やし、溶離液の極性を下げる場合はアセトニトリルを増やす。ピーク形状、分離性を鑑み、自由に比率を変えることができる。【0026】 本発明の製造方法に従って得られたテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液は、チタン酸化物を還元することができるが、半導体の製造においては、レジスト又はレジスト残渣剥離剤の原料とすることができる。更に、水、水溶性有機溶媒、アミン類、腐食抑制剤を加えて、ポリマー、ポリマー残渣の剥離性を向上させることもできる。【0027】【実施例】本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0028】なお、過酸化水素化物は液体クロマトグラフィーで分析したが、カラムとしては、ゲルろ過用のカラムを使用し、溶離液としてはアセトニトリルを含む水溶液を使用した。【0029】 製造例(テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物の製造)室温でテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液100g(0.275モル)にフタル酸18.2g(0.110モル)を添加した。さらに撹拌しながら30%過酸化水素水溶液45.4g(0.401モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続けた。水溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、第四級アンモニウム塩の97%が過酸化水素化物になっていた。この水溶液のpHを25℃で測定したところ、13.8であった。この水溶液を水溶液Aとする。【0030】実施例1水溶液Aに亜硝酸水を少しずつ加え、pHを10.2に調整した。この10%水溶液を50℃で陽分極曲線解析により、チタン酸化物の還元性を調べた。陽分極曲線解析とは、水溶液をグラスフィルターで二室に分けたセルに入れ、一方に表面に酸化皮膜のあるチタン片を、もう一方に白金片を入れ、金属に陽極電位を印加し、その時の溶解電流を測定するものである。陽分極曲線解析により、この水溶液ではチタン酸化物が還元溶解することが認められた。【0031】比較例1水溶液Aにフタル酸を少しずつ加え、pHを10.2に調整した。実施例1と同じように陽分極曲線解析を行ったが、チタン酸化物の還元性は全く認められなかった。【0032】比較例2水溶液Aに硝酸をすこしずつ加え、pHを10.2に調整した。実施例1と同じように陽分極曲線解析を行ったが、チタン酸化物の還元性は全く認められなかった。【0033】実施例2水溶液Aに硝酸をすこしずつ加え、pHを12.4にした後、さらに亜硝酸を加え、pHを10.2に調整した。実施例1と同じように陽分極曲線解析を行った結果、チタン酸化物の還元性が認められた。【0034】実施例3〜7、比較例3〜5水溶液Aに表1に記載の酸又は塩を加えて、表1に示すpHに調整した。この液を使用し、実施例1と同様にチタン酸化物の還元性を調べた。【0035】さらに、表面を研磨したアルミ片を水溶液に50℃で2時間浸漬し、その重量減少、表面観察からアルミの腐食性を調べた。【0036】なお、結果を簡潔に表記するため、以下の記号を使用し、表1に示した。【0037】チタン酸化物還元性○:還元性良好△:若干の還元性がみられる×:還元性無しアルミ腐食性○:腐食性小△:一部腐食有り×:激しい腐食有り【0038】【表1】【発明の効果】本発明の製造方法によれば、pHを調整可能な第四級アンモニウム塩の過酸化水素化物溶液を提供するものである。 酸化還元性のある酸及び/又はその塩を含んでなるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの過酸化水素化物溶液。 酸化還元性のある酸が、無機酸、有機過酸及び、有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の溶液。 無機酸が、亜硝酸、亜硫酸、硫酸、過硫酸、亜リン酸、次亜リン酸及び過ホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の溶液。 有機過酸が、過安息香酸及び/又は過酢酸である請求項2に記載の溶液。 有機酸が、アスコルビン酸、シュウ酸及びクエン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の溶液。 低アルカリ性にして酸化チタンの還元性を有する請求項1〜5に記載の溶液。


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