生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_プレボテラクラスター細菌用プローブおよびこれを用いた検出方法
出願番号:2001341559
年次:2007
IPC分類:C12Q 1/68,G01N 33/53,G01N 33/566,G01N 33/569,G01N 33/58,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

高田 敏彦 松本 一政 渡辺 幸一 JP 3902941 特許公報(B2) 20070112 2001341559 20011107 プレボテラクラスター細菌用プローブおよびこれを用いた検出方法 株式会社ヤクルト本社 000006884 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 高田 敏彦 松本 一政 渡辺 幸一 20070411 C12Q 1/68 20060101AFI20070322BHJP G01N 33/53 20060101ALI20070322BHJP G01N 33/566 20060101ALI20070322BHJP G01N 33/569 20060101ALI20070322BHJP G01N 33/58 20060101ALI20070322BHJP C12N 15/09 20060101ALN20070322BHJP JPC12Q1/68 AG01N33/53 MG01N33/566G01N33/569 FG01N33/58 AC12N15/00 A C12Q 1/00-1/68 REGISTRY/CAplus/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JMEDPlus/JST7580/JSTPlus(JDream2) PubMed 特開2001−112485(JP,A) FEMS Microbiology Letters,1999年 8月,vol. 177, no. 1,,p. 143-149 日本微生物生態学会講演要旨集,2000年11月,vol. 16,p. 153, 154 分子生物学的手法による微生物群集の解析,2001年 3月 7日,p. 10-12 日本乳酸菌学会誌,2001年 6月 1日,vol. 12, no. 1,p. 45 4 2003144199 20030520 11 20030905 ▲高▼ 美葉子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトの腸管内に生息する細菌叢の中で、高頻度に検出されるプレボテラクラスターに特異的なプローブ及び該プローブを使用したプレボテラクラスター細菌の検出方法に関するものである。【0002】【従来の技術】プレボテラクラスター細菌は、ヒトや動物の腸管内に最優勢で存在するバクテロイデスグループに含まれる菌群で、グラム陰性の無芽胞嫌気性細菌である。特に成人の口腔および大腸内においては、検出頻度の高い菌群である。【0003】近年バクテロイデスグループ細菌は、バクテロイデス(Bacteroides;以下単にB.とも記載する)クラスター、プレボテラ(Prevotella;以下単にP.とも記載する)クラスター、ポルフィロモナス(Porphyromonas)クラスター、ニュー1(New1)、ニュー2(New2)の5つに大別された(JOURNAL OF BACTERIOLOGY, Vol. 176,No. 3, p 725-732, 1994)。【0004】新分類においては、ヒト腸管内から高頻度に分離される菌種の大部分がバクテロイデスクラスターに含まれるが、ポルフィロモナスクラスターに含まれるバクテロイデス・ディスタソニスやプレボテラクラスターに含まれるプレボテラ・ブッカエ、プレボテラ・オリス、ニュー1に含まれるバクテロイデス・スプランチニカスおよびニュー2に含まれるバクテロイデス・プトレディニス等、バクテロイデスクラスター以外の菌種もヒト腸管内から分離され(Benno Y., and T. Mitsuoka, 1986, Development of intestinal microflora in humans and animals. Bifidobacteria Microflora)、生態学的研究や臨床株の同定等、種々の研究を行う場合の重要な検出対象となる。【0005】従来同定は、菌の表現形質を指標としてなされていた。BERGEY’S MANUAL OF Systematic Bacteriologyでは、無芽胞、非運動性の嫌気性グラム陰性桿菌で、20%胆汁存在下で発育せず、糖を醗酵しコハク酸、酢酸、乳酸、蟻酸、あるいはプロピオン酸を産生する菌群をプレボテラ属と同定している。しかしながら、このような表現形質を基にした同定法では結果が得られるまで数日から数週間の時間を要し、また手技も煩雑で熟練を要する。【0006】また、近年では、DNA−DNA相同性試験による判定やモノクロナール抗体による検出も行われるようになっている。しかしながら、これらの同定法でも時間や熟練が要求されるため、迅速な検出、同定を行うには不向きであった。【0007】一方、菌種あるいは菌群特異的なDNAプローブを用いた同定方法は、系統分類の指標として用いられている16S rRNAの塩基配列を基にしているため正確であり、20塩基程度の短いオリゴヌクレオチドプローブを用いれば、核酸抽出の必要がないin situ ハイブリダイゼーションを行うことができ、判定時間がかなり短縮されるなどの利点がある。プレボテラクラスターに関するDNAプローブについても報告がなされており、例えばマンツらがバクテロイデスクラスターとプレボテラクラスターに共通な特異的プローブとして5’-CCAATGTGGGGGACCTT-3’のシークエンスを提案している(Microbiology,1996,142,1097−1106)。しかし、このプローブはバクテロイデスクラスターも検出してしまうため、プレボテラクラスターのみを特異的に検出できない。また、伊藤らはプレボテラクラスターに特異的なプライマーとして5’−CACRGTAAACGATGGATGCC−3’及び5’−GGTCGGGTTGCAGACC−3’の2種類のプライマーを報告しているが(特開2001−112485号)、これらのプライマーはPCR反応等には適用しやすいものの、プローブとして、インサイチュハイブリダイゼーションなどに適用するうえでは、条件設定の困難さなど作業性が問題となっており、より使用しやすいプローブの設計が求められている。【0008】更に、FISH法に用いる特異的なプローブを設計するにあたっては、特異的な配列を有するプローブであっても16SrRNAの標的部位によっては、反応性が低いあるいは反応しない場合があるため注意が必要である(APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, 1998,64,4973−4982)。これは、rRNA分子内における高次構造あるいはrRNAとタンパクとの複合体形成がプローブの結合の妨げになっているためと考えられている。【0009】【発明が解決しようとする課題】このように、表現形質の違いやDNA−DNA相同性試験からプレボテラクラスター細菌の検出、同定を行うには、長時間を要し、操作が煩雑である等の問題があった。また、プレボテラクラスターに特異的なプライマーは以前から報告されているものの、プローブとして使用するには条件設定の困難さなど作業性に問題があった。このため、これらの菌群をハイブリダイゼーション法により迅速かつ簡便に検出することは困難であった。また、プレボテラクラスター細菌の検出は、主に糞便や歯垢等の生体試料を対象として行われるが、糞便等には様々な夾雑物が含まれており、夾雑物自身の非特異的な蛍光の影響などによって、ハイブリダイズ後の蛍光検出が阻害される場合がある。このため、これらのような対象に対しても優れた特異性、反応性を有するプローブが望まれる。【0010】従って、本発明は、ヒトの腸内細菌叢において高頻度に検出されるプレボテラクラスター細菌の検出、同定を迅速、簡便かつ高感度に行えるプレボテラクラスター細菌特異的プローブを提供することを目的としている。また、本発明は該プローブを用いた細菌叢の解析及びプレボテラクラスター細菌の検出方法を提供することも目的としている。【0011】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を行った結果、プレボテラクラスター細菌に特異的な塩基配列がrRNA上に存在しており、このうち配列番号1に記載した配列をプローブとして用いれば、細菌の培養を行うことなく、検体中の細菌内の核酸を検出することにより、迅速、正確、簡便かつ高感度にプレボテラクラスター細菌の検出、同定が可能になることを見出し本発明を完成した。【0012】 すなわち本発明は、配列番号1で表される塩基配列又は該塩基配列に相補的な配列からなるプレボテラクラスター細菌に特異的なDNAプローブを提供するものである。【0013】 また本発明は、配列番号1で表される塩基配列又は該塩基配列に相補的な配列からなるDNAプローブを用いることを特徴とするプレボテラクラスター細菌の検出、同定方法を提供するものである。【0014】【発明の実施の形態】本発明のプローブは、プレボテラクラスター細菌、具体的にはプレボテラ・ルミニコラ(P.ruminicola)、プレボテラ・ブレビス(P.brevis)、プレボテラ・ブッカエ(P. buccae)、プレボテラ・ブカリス(P.buccalis)、プレボテラ・オリス(P. oris)、プレボテラ・メラニノゲニカ(P.melaninogenica)、プレボテラ・ディシエンス(P.disiens)、プレボテラ・ロシェイ(P.loescheii)、プレボテラ・デンタリス(P.dentalis)、プレボテラ・エノエカ(P.enoeca)、プレボテラ・オウロラ(P.oulora)、プレボテラ・デンティコラ(P.denticola)、プレボテラ・コーポリス(P.corporis)、プレボテラ・インターメディア(P.intermedia)、プレボテラ・ニグレセンス(P.nigrescens)、プレボテラ・アルベンシス(P.albensis)、プレボテラ・パレンス(P.pallens)、プレボテラ・ビビウス(P. bivius)、プレボテラ・ベロラリス(P. veroralis)、プレボテラ・オラリス(P. oralis)を特異的に検出・同定できるものである。このようなプローブを作成するにあたり、そのターゲットには系統分類の指標として信用性の高い16SrRNA遺伝子を用いた。【0015】プローブは、データベース(DDBJ)に登録されているプレボテラクラスター各菌種及びその近縁種の塩基配列を比較、検討して設計した。これらの菌種間でアライメントを行ったところ(大腸菌のナンバリングで)494bから515bの領域にバリエーションが見られたので、この領域をターゲットとしてプローブの設計を行った。また、プローブの全長は、ハイブリダイズの特異性、反応の行いやすさ等の理由から20b.pとした。これは操作上最も好適な長さであるが、使用に際しては、各々の16S rRNA遺伝子中において、該オリゴヌクレオチドに隣接する数b程度を増減させても良い。より具体的には、3’側に延ばす場合には2b程度延長できる。すなわち、3’側に3b以上延ばすとプレボテラ・ベロラリス、プレボテラ・インターメディア等に対する反応性が低下するためである。一方、5’側に延ばすとプローブのGC含量が多くなり反応温度が高くなり、反応を行いにくい条件となるため好ましくない。また、全長を短かくし過ぎると、具体的には(大腸菌のナンバリングで)503番目と511番目の部分がプローブの末端側に近くなるほど特異性が弱くなる可能性があり好ましくない。【0016】上記のように設計したプローブは、その塩基配列に従い、DNA合成機により人工的に合成することができる。その特異性は、プレボテラクラスター細菌8菌株、その近縁種11菌株及びヒト腸内細菌叢の主要菌種2菌株(JCM,ATCC等から入手)を用いて、rRNAに対するプローブのバンド形成能を指標として確認した。すなわち、まず、上記の菌株を各々単独で培養した後、ホルマリン固定を行った。次いで、これに蛍光色素標識した本発明のプローブをハイブリッドさせ、蛍光顕微鏡によりハイブリッドの検出を行った。結果的に、プローブの特異性に問題は無かった。【0017】また、本発明においては、このプローブを用いて糞便や歯垢、各種の培養物等の被検体からのプレボテラクラスター細菌の検出、同定を簡便、迅速に行うことができる。このような方法に本発明のプローブを使用する場合には、単独またはその他の特異的プローブを複数組み合わせて、蛍光標識等の修飾を行うなどして使用できる。ここで、標識に用いる蛍光物質としては、Fluorescein系(FITC,FAM等)、Rhodamine系(TRITC,TAMRA等)、Texas Red、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7等が挙げられ、単独で用いる場合には何れの蛍光物質でも使用できる。しかし、複数の蛍光物質を同時に用いる場合には、お互いの蛍光波長が重複しないような組み合わせを選択しなければならない。すなわち、Fluorescein系に含まれる蛍光色素は、何れも同じような蛍光波長の特性を有するため、1種類を選択しなければならない。同じように、Rhomamine系の蛍光色素とTexas RedおよびCy3は、同じような蛍光波長の特性を有するため、1種類を選択しなければならない。その他の蛍光色素は、それぞれ専用の蛍光フィルターを用いることにより、分別して検出することが可能である。【0018】本発明のプローブは、このように菌群特異性を有するとともに、高い反応性を有する。すなわち、糞便等夾雑物の多い検体からも、目的とする菌群を高感度に検出することが可能であり、特に、インサイチュハイブリダイゼーションに適用した場合の感度、取り扱いやすさが優れている。【0019】また、本発明のプローブを用いた検出、同定方法としては、例えば、インサイチュハイブリダイゼーション(in situ hybridization)や、ドットブロットハイブリダイゼーション(dot blot hybridization)等が挙げられ、中でもインサイチュハイブリダイゼーションは菌体内の核酸を抽出する工程を必要としないため、迅速な手法として好ましい。具体的には、検査試料をホルムアルデヒドあるいはホルマリンにより固定する工程、固定した検査試料をスライドグラスまたはメンブレンフィルターに塗抹する工程、蛍光標識したプローブによりハイブリダイゼーションを行う工程、ハイブリダイゼーション後の余分なプローブおよび非特異的に結合したプローブを洗浄する工程、ハイブリダイズ後の結果について蛍光顕微鏡を用いて肉眼的に観察、あるいはCCDカメラ等により画像として取得する工程により行われる。また、本発明のプローブは、公知のユニバーサルプローブやプライマー等と併用することにより、PCR用のプライマーとして用いることも可能である。【0020】本発明のプローブでは、高頻度に検出されるバクテロイデスグループ細菌以外の細菌を検出することは不可能であるものの、これらの菌数等がわかれば検体の細菌叢に関する様々な情報が得られる。これらの菌数値は、次の下式1から求められる。【0021】【式1】菌数値(試料1gあたりの菌数)=試料の塗抹面積×試料の希釈倍数×(顕微鏡1視野又は1画像中におけるハイブリシグナル陽性の菌体数)/{(顕微鏡1視野又は1画像の面積)×塗抹量(g)}【0022】更に、他の多岐にわたる細菌のプローブやプライマー、例えば特開平11−221082号に記載されているバクテロイデス属細菌に特異的なプローブや特開平11−123903号に記載されているビフィドバクテリウム属細菌に特異的なプローブ等を併用することにより、腸内細菌叢の主要な構成菌群の解析を簡便、迅速に行うことも可能である。【0023】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。【0024】【実施例1】プローブの作成プローブの塩基配列の決定には、DNA Data Bank of Japan(DDBJ)等に登録されている16S rRNA塩基配列を用いた。すなわち、表1に示すプレボテラクラスター細菌15菌種、バクテロイデスクラスター細菌6菌種、ポルフィロモナスクラスター細菌9菌種、NEW1細菌1菌種、NEW2細菌3菌種の塩基配列を用いた。【0025】【表1】【0026】また、塩基配列のアライメントには系統樹作成用ソフトClustal W(version1.5)を用いて、プレボテラクラスターに共通な塩基配列の検索を行った。アライメントの結果は図1に示す。こうして設計されたDNAの合成は、DNA合成機を用いて行った。【0027】【実施例2】ホールセルハイブリダイゼーションによるプローブの特異性の確認(1)プローブの標識ハイブリダイゼーションによる検出には、本発明のプローブ(Prev496)とポジティブコントロールとしてユニバーサルプローブであるEUB338(表2)を用いることとした。オリゴヌクレオチドの5’末端側には、Tetramethyl rhodamine isothiocyanate(TRITC)で蛍光標識した。【0028】【表2】【0029】(2)供試菌株菌株は、表3に示すプレボテラ属8菌種、バクテロイデス属10菌種、リケネラ属1菌種とヒト腸内細菌叢の主要構成菌である2菌属2菌種の計21菌株を用いた。これらの菌株はJCM、ATCC等から入手した基準株及び標準株である。【0030】【表3】【0031】(3)供試菌液の調製各菌株を10mlのGAMブロス液体培地で37℃、10時間嫌気培養した。培養後の菌体1mlを遠心により集菌後、PBS緩衝液で2回洗浄した。更に、1mlの1%ホルマリン溶液で再懸濁し、氷中にて30分間静置して固定した。固定後の菌体をPBS緩衝液で2回洗浄し、1mlの50%エタノールPBS溶液に再懸濁して、−20℃に30分間静置したものを供試菌液とした。【0032】(4)ホールセルハイブリダイゼーション法ゼラチンコートしたスライドグラス上に、42の区画(1区画は3mm四方)を作製し、その1区画ごとに供試菌液1μlずつ塗抹し、風乾させた。このスライドグラスを96%エタノール中に10分間浸した。100μlのハイブリダイゼーション溶液(750 mM NaCl, 100mM Tris-HCl(pH 7.8), 5mM EDTA, 0.01% BSA, 0.2% Poly-A, 10% dextran sulfate)中に、500ngのDNAプローブを加え、スライドグラス上の菌液塗抹面上に塗布し、カバーグラスをかけた。このスライドグラスをSET溶液(750mM NaCl、100mM Tris-HCl、5mM EDTA)で湿潤化した40℃の暗箱中に一晩静置した。【0033】反応後のスライドグラスを45℃のWash溶液(50mM NaCl、4mM Tris-HCl、0.02mM EDTA)中に20分間静置した後、滅菌蒸留水にて1回洗浄した。風乾後、封入剤(VECTASHIELD(登録商標)(Vector Laboratories))で封入し、蛍光顕微鏡(OLYMPUS BX-FLA)下でシグナルの有無を観察した。【0034】このようにして、本発明のプローブを用いて検出した結果、分譲機関より入手した株名に相当する反応が特異的に見られた(表4)。【0035】【表4】【0036】【実施例3】大便中におけるプレボテラクラスターの定量(1)プローブの標識ハイブリダイゼーションによる検出には、本発明のプローブ(Prev496)とポジティブコントロールとしてユニバーサルプローブであるEUB338を用いることとした。オリゴヌクレオチドの5’末端側には、Tetramethyl rhodamine isothiocyanate(TRITC)で蛍光標識した。【0037】(2)大便試料の処理方法健常成人の新鮮排泄便を冷PBS緩衝液で10倍希釈し、その一部に3倍量の4%パラホルムアルデヒド−PBS溶液を加えて、一晩4℃に静置して固定した。この固定済み大便は、使用時まで-80℃にて保存した。【0038】(3)固定済み大便試料のハイブリダイゼーション法ゼラチンコートしたスライドグラス上の1cm四方の区画に100から400倍に希釈した固定済み大便試料を10μlずつ塗抹し、風乾させた。このスライドグラスを96%エタノール中に10分間浸した。100μlのハイブリダイゼーション溶液(750mM NaCl, 100mM Tris-HCl(pH 7.8), 5mM EDTA, 0.01% BSA, 0.2% Poly-A, 10% dextran sulfate)中に、500ngの上記DNAプローブを加え、スライドグラス上の大便塗抹面上に塗布し、カバーグラスをかけた。このスライドグラスをSET溶液(750mM NaCl、100mM Tris-HCl、5mM EDTA)で湿潤化した40℃の暗箱中に一晩静置した。【0039】反応後のスライドグラスを45℃のWash溶液(50mM NaCl、4mM Tris-HCl、0.02mM EDTA)中に20分間静置した後、滅菌蒸留水にて1回洗浄した。風乾後、封入剤(VECTASHIELD(登録商標)(Vector Laboratories))で封入し、蛍光顕微鏡(OLYMPUS BX-FLA)下で肉眼的またはCCDカメラを用いて画像を取得してシグナル陽性の菌体数を測定した。【0040】(4)菌数の算出法および菌数測定結果これらの菌数値は、次式から求めた。すなわち、試料1gあたりの菌数=試料の塗抹面積/顕微鏡1視野あるいは1画像の面積×試料の希釈倍数×1/塗抹量(g)×顕微鏡1視野あるいは1画像中におけるハイブリシグナル陽性の菌体数である。なお、同一サンプルに対して最低10視野の測定を行い、その平均値を菌数の代表値とした。また、菌数測定結果を表5に示した。【0041】【表5】【0042】【発明の効果】本発明のプローブを使用すれば、ヒト腸内で高頻度に検出されるプレボテラクラスター細菌の検出、同定を迅速、簡便、正確且つ高感度に行うことができる。また、他の細菌類等に特異的なプローブ、プライマーなどと組み合わせれば、腸内細菌叢の解析も迅速、簡便に行え、細菌叢の状態から個体の消化管の状態を把握することも可能である。【0043】【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】プレボテラクラスター細菌とその近縁種における16S rRNA塩基配列のアライメントの結果を示す図である。 配列番号1で表される塩基配列又は該塩基配列に相補的な配列からなるプレボテラクラスター細菌に特異的なDNAプローブ。 請求項1記載のDNAプローブを用いることを特徴とするプレボテラクラスター細菌の検出方法。 プレボテラクラスター細菌が、プレボテラ・ルミニコラ(P.ruminicola)、プレボテラ・ブレビス(P.brevis)、プレボテラ・ブッカエ(P. buccae)、プレボテラ・ブカリス(P.buccalis)、プレボテラ・オリス(P. oris)、プレボテラ・メラニノゲニカ(P.melaninogenica)、プレボテラ・ディシエンス(P.disiens)、プレボテラ・ロシェイ(P.loescheii)、プレボテラ・デンタリス(P.dentalis)、プレボテラ・エノエカ(P.enoeca)、プレボテラ・オウロラ(P.oulora)、プレボテラ・デンティコラ(P.denticola)、プレボテラ・コーポリス(P.corporis)、プレボテラ・インターメディア(P.intermedia)、プレボテラ・ニグレセンス(P.nigrescens)、プレボテラ・アルベンシス(P.albensis)、プレボテラ・パレンス(P.pallens)、プレボテラ・ビビウス(P. bivius)、プレボテラ・ベロラリス(P. veroralis)、プレボテラ・オラリス(P. oralis)から選ばれる1ないし2以上のプレボテラクラスター細菌である、請求項2記載のプレボテラクラスター細菌の検出方法。 次の(a)及び(b)工程(a)被検体と蛍光色素で標識したプローブとを反応させる工程(b)反応後の被検体の蛍光を検出する工程を含むことを特徴とする請求項2記載のプレボテラクラスター細菌の検出方法。


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