タイトル: | 特許公報(B2)_クロマトグラフ/質量分析装置における汎用多成分一斉同定・定量方法 |
出願番号: | 2001339031 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N30/86,G01N27/62,G01N30/72 |
門上 希和夫 棚田 京子 陣矢 大助 鈴木 學 JP 3707010 特許公報(B2) 20050812 2001339031 20011105 クロマトグラフ/質量分析装置における汎用多成分一斉同定・定量方法 財団法人北九州産業学術推進機構 501223995 門上 希和夫 棚田 京子 陣矢 大助 鈴木 學 20051019 7 G01N30/86 G01N27/62 G01N30/72 JP G01N30/86 Q G01N30/86 F G01N30/86 J G01N30/86 M G01N27/62 C G01N27/62 D G01N27/62 X G01N30/72 A G01N30/72 C 7 G01N 30/86 G01N 27/62 G01N 30/72 特開平05−093719(JP,A) 特開昭63−204146(JP,A) 特開2000−266737(JP,A) CONTRACT LABORATORY PROGRAM STATEMENT OF WORK FOR ANALYSIS OF LOW CONCENTRATION ORGANIC,USEPA,2000年12月 1 2003139755 20030514 6 20040615 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、ガスクロマトグラフまたは液体クロマトグラフのカラム出口に質量分析計を連結したGC/MS(ガスクロマトグラフ/質量分析計)またはLC/MS(液体クロマトグラフ/質量分析計)において、クロマトグラムのピークの化合物を同定および定量する方法に関する。【0002】【従来の技術】 従来、GC/MS或いはLC/MSにおいては、カラムからの溶出成分の質量スペクトルを1秒間程度の時間間隔で繰り返し測定する。各測定時点での質量スペクトルから全イオン量を計算し、全イオン量の時間上での変化を求めるとそれがクロマトグラムとなる。そのクロマトグラムのピークの化合物を同定するには、そのピーク位置での質量スペクトルを、データベースに保存されている多数の化合物の質量スペクトルと比較してその類似性や類似指数をパラメータとして演算算出し、最も類似指数の大きな化合物をそのピークの化合物であると同定している。【0003】 上記データベースは、何れも数万〜数十万といった膨大な質量スペクトルを保有している。このような膨大な数のデータについて、質量スペクトルの類似性を検索するには長時間を要する問題がある。この問題を解決すべく、特徴的なフラグメントイオンを用いて検索するPBMサーチ法(probability based matching system)が行われている。【0004】【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、PBMサーチ法等によるときは、検索速度は速くなるものの正しい化合物を見つけるヒット率が低くなる問題がある。また、質量スペクトルの類似性だけでは、同族体など類似の質量スペクトルをもつ化合物を対象とするときは、同定ミスを犯す可能性が高い。さらに、環境試料などのように複数のピークが重なって出現したり、ピーク強度が小さい場合には、スペクトルの純度も低くなり、質量スペクトルに加え相対保持指標を検索に用いる手法を用いても、PBMサーチ法などの類似指数を指標とする検索手法では正しく化合物を同定するヒット率を高くすることができない。一方、従来の定量方法は、決められた測定条件下で予め標準物質を測定し、質量スペクトル、保持時間、および検量線を作成しておく必要があり、測定に用いる機器毎に測定を行う必要がある。さらに、同一機種を用いても、検量線は測定の都度作成する必要がある。【0005】 本発明は、使用機種に依存することなくまた、保持時間の相違に関係なく、物質を同定し定量することができるクロマトグラフ/質量分析装置における汎用多成分一斉同定・定量方法を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】 ガスクロマトグラフ又は液体クロマトグラフのカラム出口に質量分析計を連結したGC/MS又はLC/MSにおいて、クロマトグラフのカラムからの溶出成分の質量スペクトルを一定時間間隔で測定した後、質量スペクトル、保持時間から求めた保持指標、および内標準法による検量線を登録したデータベースを作成する工程と、該工程によって格納された化学物質が測定試料中に存在するか否かを判定しスクリーニングする以下のステップ、 スクリーニング用試料に加えて保持指標計算用基準物質を同一分析条件で測定した後、(1)データベースに登録された化学物質の保持指標とスクリーニング時に測定された保持指標計算用基準物質の保持時間から、測定時の化学物質の予想保持時間を求める。(2)試料のクロマトグラムの予想保持時間又は予想保持時間を含む一定範囲時間に、前記データベースに登録された化学物質のマススペクトルが一定以上の信頼度をもって存在するか否かを判定する。(3)存在すると判定された場合は、検量線データに登録された定量イオンなどの質量条件でマスクロマトグラムのピークを描き、そのピーク強度とデータベースに登録された検量線データから化学物質の検出量を演算算出する。(4)存在しないと判定された場合は、検出量の演算算出をスキップして次の化学物質に進む。 前記ステップ(1)予想保持時間算出(2)測定試料中に、データベースに登録されている化学物質のマススペクトルが存在するか否かの判定(3)化学物質検出量の算出を、データベースに登録された化学物質がなくなるまで繰り返し、化学物質の一斉スクリーニングを行う工程と、前記データベースに登録されていないクロマトグラム上のピークについて、自動的に質量スペクトルデータベースを用いて同定する工程とからなるクロマトグラフ/質量分析計における汎用多成分一斉同定・定量方法である。【0007】【発明の実施の態様】 以下、本発明をその好ましい実施形態に則して説明する。【0008】 本発明においては、質量スペクトル、相対保持指標、および内標準とのピーク強度比を基に作成した検量線を登録した独自のデータベースを作成しこれを用いて、使用する測定機器の機種にかかわらず物質の同定・定量を行う。【0009】 本発明によるときは、測定対象物質がなくとも内標準のみがあれば物質の同定・定量ができる。即ち、内標準を添加した試料を測定し、そのクロマトグラムの相対保持時間指標を求め、データベースに登録されている成分の質量スペクトルが、試料クロマトグラムのその相対保持時間指標を含む一定範囲内の質量スペクトルに含まれているか否かをリバースサーチによって検索し、データベースに登録されている質量スペクトルが含まれている場合は、内標準とのピーク面積比を求め、データベースに登録されている検量線からその存在量を定量する。【0010】 この本発明になる方法によって、重複ピークや微細なピークなど不純な質量スペクトルしか得られなくとも信頼度高く物質を同定でき、加えてその物質を定量できる。また、同定することができなかったクロマトグラムのピークについては、質量スペクトルデータベースを用いて効率よく検索を実施することが可能である。【0011】 本発明において用いる相対保持指標としては、たとえばn−アルカンの保持時間や内標準の保持時間との相対値として計算するものを用いる。【0012】 また、本発明においては、内標準を添加した試料を測定してクロマトグラムの相対保持指標を演算算出し、データベースに登録されている成分の質量スペクトルが、前記試料測定によって得られたその相対保持指標を含む一定相対保持指標範囲内の質量スペクトルに含まれているか否かを検索するためにリバースサーチ法が用いられる。このリバースサーチ法は、標準物質を測定して得られた質量スペクトルが、試料の質量スペクトル中に含まれているか否かを調べる検索法である。即ち、標準質量スペクトル中の主要フラグメントイオンのピークが試料の質量スペクトル中に存在しさらに、その相対強度がどの程度類似しているかを計算して内標準が試料に存在している確率を計算する検索法である。【0013】【実施例】 図1は、本発明による化学物質の一斉スクリーニングのプロセスを示すブロックダイアグラムである。本発明においては、予めスクリーニング対象の化学物質の質量スペクトル、相対保持指標、および検量線データを登録したデータベースを作成しておく。 相対保持指標は、n−アルカンなどの保持指標計算用基準物質で相対化した保持時間情報である。測定試料中の化学物質をスクリーニングする場合は、スクリーニング用試料に加えて保持指標計算用基準物質を同一分析条件で測定しておく。 なお、保持指標計算用物質を試料に混合し、試料測定と同時に測定することも可能である。【0014】 化学物質の一斉スクリーニングは、以下の手順で遂行される。(1)データベースに登録されている化学物質の相対保持指標と、スクリーニング時に測定された相対保持指標計算用基準物質の保持時間から、測定時の化学物質の予想保持時間を求める。【0015】(2)試料のクロマトグラムの予想保持時間または予想保持時間を含む一定範囲時間内に、データベースに登録されている化学物質の質量スペクトルが一定以上の確度で存在する否かをリバースサーチによって判定する。【0016】(3)存在すると判定された場合は、データベースに登録されている検量線データにおける定量イオンなどの質量数条件で質量クロマトグラムのピークを描き、そのピーク強度とデータベースに登録されている検量線データから化学物質の検出量を算出する。【0017】(4)試料のクロマトグラムの予想保持時間または予想保持時間を含む一定範囲の時間内に、データベースに登録されている化学物質の質量スペクトルが一定以上の確度で存在しないと判定された場合は、検出量の計算をスキップして次の化学物質に進む。【0018】 上記(1)予想保持時間算出(2)データベースに登録されている化学物質の質量スペクトルが試料のクロマトグラムに存在するか否かの判定(3)検出量の算出をデータベースに登録されている化学物質が無くなるまで繰り返し、化学物質のスクリーニングを実施する。【0019】 本発明は、次の実施形態を含んでいる。即ち、クロマトグラムのピークの中で、データベースに登録されている化学物質の質量スペクトルと一致しないピークについては、市販の質量スペクトルデータベースを用いて物質を同定できるようにする機能を有する。【0020】【発明の効果】 本発明によれば、使用機種に依存することなくまた、保持時間の違いに関係なく短時間内に化学物質を同定し定量することができる。また、試料のクロマトグラムのピークの中に、データベースに登録されている化学物質の質量スペクトルと一致しないピークが存在するときも、市販の質量スペクトルデータベースを用いて同定することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の一実施例に係わる化学物質の同定・定量プロセスを示すブロックダイアグラム ガスクロマトグラフ又は液体クロマトグラフのカラム出口に質量分析計を連結したGC/MS又はLC/MSにおいて、クロマトグラフのカラムからの溶出成分の質量スペクトルを一定時間間隔で測定した後、質量スペクトル、保持時間から求めた保持指標、および内標準法による検量線を登録したデータベースを作成する工程と、該工程によって格納された化学物質が測定試料中に存在するか否かを判定しスクリーニングする以下のステップ、 スクリーニング用試料に加えて保持指標計算用基準物質を同一分析条件で測定した後、(1)データベースに登録された化学物質の保持指標とスクリーニング時に測定された保持指標計算用基準物質の保持時間から、測定時の化学物質の予想保持時間を求める。(2)試料のクロマトグラムの予想保持時間又は予想保持時間を含む一定範囲時間に、前記データベースに登録された化学物質のマススペクトルが一定以上の信頼度をもって存在するか否かを判定する。(3)存在すると判定された場合は、検量線データに登録された定量イオンなどの質量条件でマスクロマトグラムのピークを描き、そのピーク強度とデータベースに登録された検量線データから化学物質の検出量を演算算出する。(4)存在しないと判定された場合は、検出量の演算算出をスキップして次の化学物質に進む。 前記ステップ(1)予想保持時間算出(2)測定試料中に、データベースに登録されている化学物質のマススペクトルが存在するか否かの判定(3)化学物質検出量の算出を、データベースに登録された化学物質がなくなるまで繰り返し、化学物質の一斉スクリーニングを行う工程と、前記データベースに登録されていないトータルイオンクロマトグラム上のピークについて、自動的に質量スペクトルデータベースを用いて同定する工程とからなること特徴とするクロマトグラフ/質量分析計における汎用多成分一斉同定・定量方法。