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タイトル:特許公報(B2)_半導体薬液用微量金属連続測定装置および測定方法
出願番号:2001328852
年次:2007
IPC分類:G01N 27/48,G01N 27/26,G01N 27/416,G01N 27/49


特許情報キャッシュ

樋川 英昭 荒木 正吾 中島 大介 塚本 崇紘 JP 3910404 特許公報(B2) 20070202 2001328852 20011026 半導体薬液用微量金属連続測定装置および測定方法 倉敷紡績株式会社 000001096 青山 葆 100062144 北原 康廣 100103115 樋川 英昭 荒木 正吾 中島 大介 塚本 崇紘 20070425 G01N 27/48 20060101AFI20070405BHJP G01N 27/26 20060101ALI20070405BHJP G01N 27/416 20060101ALI20070405BHJP G01N 27/49 20060101ALI20070405BHJP JPG01N27/48 301G01N27/26 361FG01N27/46 353ZG01N27/46 306 G01N 27/48 G01N 27/26 G01N 27/416 G01N 27/49 実開昭58−193242(JP,U) 9 2003130846 20030508 12 20040914 郡山 順 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、被検液に単独または複数種で微量存在する金属を測定するための分析装置および測定方法に関する。特に稼動中のラインの半導体薬液中の微量金属の迅速高精度の測定方法に関する。【0002】【従来の技術】従来微量金属を測定するための種々の方法が提案されている。しかし微量金属を精度よく測定するためには、コンタミネーションを防止したり、測定条件を整備するなどのため、複雑な装置を必要とすることに加えて、サンプリングを含めた前処理等、オープン系で人手による処理を必要とする。しかし、半導体薬液中に含まれる微量金属の測定等では、稼動中のラインにおいて液を人手によりサンプリングすることは汚染防止、測定時間間隔が長くなるという点から困難であり、通常のラボ用分析機器では十分期待に応えられるものではなかった。【0003】連続金属分析法としては、いくつかの方法が提案されている。特開昭56−61642号公報には、金属精練工程中の電解精製用薬液中の金属イオンの連続測定装置が記載されている。この方法では銅、カドミニウムおよび亜鉛について迅速な測定が可能であることが記載されている。しかしその測定濃度範囲は0.1〜100ppmまでしか実績が示されていない。特開昭57−200845号公報には、複数の試料セルを周回移動させる機構とボルタンメトリーを組み合わせた微量金属の自動分析装置が記載されている。この方法においては、試料溶液の入った複数のセルラインと溶出溶液の入った複数にセルラインの間で試料中の微量金属が還元付着した測定電極を試料溶液のセルから溶出溶液のセルへ移動させる操作が含まれ、操作はオープン系で行われる。そのためその間に不純物の付着や混入の恐れが存在する。なお、この公報には微量金属の量を1ppbの精度まで測定できるかどうかについては全く記載されていない。またポーラログラフにコンピューターによる解析システムを組み込んだ各種ポーラログラフシステムが市場に出現しているが、サンプルの導入や薬液注入はオープン系で人手により行われる。例えばヤナコ機器開発研究所社製の微量重金属連続測定装置やコンピューターポーラログラフシステムが例示できる。このような装置では測定限界濃度は水銀電極式で1ppb、回転電極式で0.1ppbオーダーも可能であるが、測定後に毎回人手による電極洗浄が必須である。【0004】半導体製造装置のように極めて微量の不純物の存在で製品にばらつきや不良品を生じ得る分野、例えば半導体洗浄薬液では更に検出感度の高い装置および分析方法が必要とされる。この大前提に加えて、稼動中の変動を追跡し、異常時には直ちにフィードバックできるように連続且つ短時間に測定ができるものが必要とされる。加えて不純物は通常複数種含有されるため多成分の金属イオンを同時に測定できることが求められる。しかし、上記の従来の装置や方法ではこれらの要求を同時に満たすことはできなかった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、被検液中に1ppb濃度以下、特に100pptオーダーで存在する多種類の微量金属を、同時に、迅速高感度で且つ連続的に測定する方法、およびそれを可能にする水銀電極式電気化学的分析装置を提供するものである。【0006】【課題を解決するための手段】 本発明は、水銀槽から途中に水銀電磁弁を組み込んだ水銀供給細管を通して水銀を上部開放型水銀キャピラリーに定量的に供給する水銀供給ラインにおいて、1)水銀供給ラインと分析装置部との接合部分が水銀槽液面より下方に設けられており、2)水銀電磁弁が大オリフィス径且つ小ポンピング量を有し、および3)水銀槽液面と上部開放型水銀キャピラリーの上面とのヘッド差一定化機構を備えていることを特徴とする、水銀滴を一方の電極とする電気化学的分析装置であって、測定セル内に他方の電極に対して下方に配置した上部開放型水銀キャピラリーから水銀滴を上向きに押し出してこれを水銀電極とする水銀電極式電気化学的分析装置に関する。 更に詳しくは、本発明は、水銀槽液面と上部開放型水銀キャピラリーの上面とのヘッド差一定化機構が、水銀槽の水銀面が水銀槽に残存する水銀量に関係なく一定の水準を維持するように水銀槽を支持するバネのバネ定数が設定されている上記水銀電極式電気化学的分析装置に関する。 本発明は、特に、上記分析装置がストリッピング・ボルタンメトリーである水銀電極式電気化学的分析装置に関する。【0007】また、本発明は、カソーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーを用いる微量金属濃度の測定において、測定すべき複数の金属種に応じた1種または2種以上の錯形成剤を用い、緩衝剤、pH値および電極条件を統合して選ぶことにより1回の電位掃引で存在する複数の金属の濃度を同時に測定する複数種の金属の微量金属測定方法に関する。特に、本発明は、カソーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーを上記ストリッピング・ボルタンメトリー分析装置を用いて行う上記の半導体薬液中の微量金属測定方法に関する。【0008】更に、本発明は、被検液を触媒と接触させつつこの系に超音波を印加するか、被検液を白金粒を充填したカラムに通すか、または被検液に150〜250nmの波長の紫外線を含む光を照射する照射するか、の被検液中に存在する過酸化水素を分解除去する少なくともひつとの工程を前処理として含む上記いずれかに記載の微量金属測定方法に関する。更にまた、本発明は、被検液中に錯形成剤またはその金属錯体を添加して、被検液に挿し込んだ電極間に電圧を印加掃引したときに生じる電流が最大をとる時の電圧であるピーク電位を測定することにより被検液のpHを測定し、その結果を基に被検液のpHを所定値に調整する工程を前処理として含む上記いずれかに記載の微量金属測定方法に関する。【0009】【発明の実施の形態】本発明の水銀電極式電気化学的分析装置の特徴は、金属イオンの分析等に使用される従来の水銀電極式電気化学的分析装置において、1)下方に配置した上部開放型水銀供給キャピラリーから水銀滴を上向きに押し出してこれを水銀電極とすること、それによって水銀滴表面積を大きくすることが可能になり感度電流を大幅に向上することができるようになったこと、2)水銀供給系の接合部分を水銀槽液面より下方に設けたことにより水銀連続供給においても気泡の混入が防止できること、3)大オリフィス径を有し且つポンピング量の少ない電磁弁の採用していることと、水銀槽液面と上部開放型水銀キャピラリーの上面とのヘッド差を一定にする機構を備えていること、によって安定した大粒径の水銀液滴を形成できたこと、をもって測定の感度を大幅に向上できたところにある。【0010】加えて、本発明の上記測定装置の使用に当たっては、1)密閉空間内で測定することによりコンタミネーションを防止し、2)耐薬品性に優れたPTFE(テフロン)製セルを使用すること、3)被検液注入を自動化すること、を取り入れることによって連続化、自動化するとともに更に測定感度と精度を向上できる。また自動測定化によって、測定時間サイクルがコンピューターによって正確に管理されるため、これまで分極等により電位の時間依存性があって使用できなかった白金参照電極が使用できるようになり、メンテナンス性が向上される。【0011】上記、本発明の水銀電極式電気化学的分析装置を用いる本発明の微量金属測定法は次の特徴を有する:1)水銀電極式電気化学的分析装置としてストリッピング・ボルタンメトリー分析装置を使用してカソーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーを行うに当たって、測定すべき複数の金属種に応じた1種または2種以上の特定の錯形成剤を用い、緩衝剤、pH値および電極条件を統合して選ぶことにより1回の電位掃引で存在する複数の金属の濃度を同時に測定することができること、2)被検液を触媒と接触させつつこの系に超音波を印加するか、被検液を白金粒を充填したカラムに通すか、または被検液に150〜250nmの波長の紫外線を含む光を照射するか、の被検液中に存在する過酸化水素を分解除去する少なくともひつとの工程を前処理として組み込むことにより測定の妨害因子である過酸化水素を分解除去できること、および3)被検液中に錯形成剤またはその金属錯体を添加して、被検液に挿し込んだ電極間に電圧を印加掃引したときに生じる電流が最大をとる時の電圧であるピーク電位を測定することにより被検液のpHを測定し、その結果を基に被検液のpHを所定値に調整する工程を前処理として組み込むことによりpHによる感度のばらつきの発生を防止し再現性の向上が図れる。【0012】本発明の水銀電極式電気化学的分析装置は、図1に示すように、測定部31、水銀供給部32および水銀供給ライン3からなる。水銀供給部32の主要部は水銀槽7および水銀槽を支えるスプリング8を含み、スプリング8のバネ定数を選ぶことにより水銀槽中の残留水銀量が変動した場合にも水銀の液面が一定の高さを保持できるようになっている。また水銀槽7の液面は測定セル4内の水銀キャピラリー5の液面より上になるように配置されている。このため水銀槽と、高さが固定されている測定部1の水銀キャピラリー5の上部先端6との間のヘッド差が常に一定に保たれるようになっていて、水銀キャピラリー先端6からの水銀滴の吐出を促す圧力が一定に保たれる。【0013】この機構を次に詳しく説明する。水銀槽7にはガイド12が取り付けられており、スライドブッシュ11が取り付けられた固定ベース13に対して上下方向に可動となっている。ガイド12はスライドブッシュ11内部に嵌合されており、摩擦が小さいため水銀槽および内部に貯留されている水銀の重量はスプリング8によって支持されている。水銀槽7の内部は一定断面積S(cm2)で、水銀の密度をρ(g/cm3)、重力加速度をg(cm/sec2)とすれば、スプリング8のバネ定数k(dyn/cm)をk=Sρgに選ぶことにより、水銀槽7内部の水銀が消費された時、水銀槽全体がスプリング8によって丁度重量減少量分だけ押し上げられ、結果として水銀槽内の水銀液面は一定に保持される。【0014】水銀槽中の水銀は水銀供給ライン3を通して水銀キャピラリー5へ配送される。水銀供給ライン3の途中には水銀を断続的に一定量づつ送液するための水銀電磁弁10が取り付けられている。この水銀電磁弁は大オリフィス径を有しており且つポンピング量の小さいポンピング機構を有している。オリフィス径が大きいこととポンピング量が小さいため、水銀が表面張力によって途切れることなく、再現性よく供給できるという効果が得られる。このような電磁弁としては、例えばロッカーバルブが例示できる。【0015】水銀電磁弁の作用とヘッド差によって、一定の脈動速度で一定量の水銀が測定セル4内に取り付けられた水銀キャピラリー5に送られる。キャピラリーは上端が開放されており、水銀はこのキャピラリー先端部6から上方へ押し出され、一定の大きさの水銀滴となって水銀電極式電気化学的分析装置の一方の電極を形成する。【0016】水銀供給ライン3に設けられた水銀流路接合部は、水銀槽下部継手14、水銀電磁弁入口継手15、水銀電磁弁出口継手16、セル下部継手17である。通常時は水銀電磁弁10は閉じているから水銀槽下部継手14、水銀電磁弁入口継手15には水銀槽内部の水銀液面レベルから、水銀電磁弁出口継手16、セル下部継手17には水銀キャピラリー5内部の水銀液面レベルから、それぞれの継手位置までの落差に相当する水銀圧によって正の内圧がかかる。また水銀供給時は水銀電磁弁10が開いており、水銀槽内部の水銀液面レベルからそれぞれの継手位置までの落差に相当する水銀圧から、それぞれの継手位置までの圧損を減じた分に相当する水銀圧によってやはり正の内圧がかかる。この内圧の作用によって接合部からの空気の侵入を効果的に防止することができる。【0017】上記分析装置において、測定セル内の水銀キャピラリー5の先端部6に形成される水銀滴の大きさは直径0.5〜3mmの範囲であることが好ましく、1〜2mmがより好ましい。水銀キャピラリー5の内径はその先端に形成される水銀滴の大きさが上記の範囲になるように選ばれればよく、例えば内径は0.3〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1mmである。キャピラリー5の先端部の形状は、水銀滴が機械的振動によって不安定になることがなく、かつ電解液との接触面積が大きいように平坦であることが好ましい。また水銀槽7内の水銀面とキャピラリーの先端部6とのヘッド差は30〜70mmHgが好ましく、40〜60mmHgがより好ましい。測定セルの容量は、通常の水銀電極式電気化学的分析装置と同等のものでよく、特別の容量を要求するものではない。【0018】水銀槽と水銀キャピラリーを連結する水銀供給ライン3は、水銀柱が途切れることなく、ヘッド差による一定の圧が十分伝達されるように、内部は十分滑らかで、その内径は0.5〜2mmが好ましく、0.8〜1.5mmがより好ましい。水銀供給ライン3の途中に組み込まれる水銀電磁弁10は、ポンピングストロークを小さくして脈動を小さくするためにオリフィス径の大きいものを使用するとともにポンピング量の少ないものが好ましい。オリフィス径は1〜3mmが好ましく、1.5〜2mmがより好ましい。ポンピング量は0〜0.001mlが好ましく、0〜0.0005mlがより好ましい。また水銀電磁弁は水銀供給ラインが水平位置にあるところに取り付けられる。【0019】本発明では、好ましくは、人・サンプリング器具・空気中の塵埃によるコンタミネーションを避け、逆にクリーンルーム内環境への薬液・薬ガスの漏洩を防止するため、サンプル液の採取・分析・洗浄はすべて自動かつ気密系中で連続運転で行うことが好ましい。系を気密系にするために、サンプル液はポンプで自動的に採取し、分析に必要な薬液の注入も密閉容器内にポンプで注入する。液の移送には、容器の気密性を利用して、容器上部よりの高純度窒素パージで圧送する。分析に必要な薬液類の投入量を低減するために分析セルの容積を低減するとともに小型定量ポンプを使用して注入精度を高める。また、従来の水銀を用いる電気化学分析装置では最大のメンテナンス項目であった水銀流路内にエアが混入する事による水銀の途切れを防止するため、前述したように水銀流路の接合部を液面より下方に設け、流路の最低断面積を大きく取りつつも定量的に安定性良く水銀を連続供給できる機構を採用し、メンテナンス頻度を低減できる。また操作を連続的自動的に行うためにプログラムを組んでコンピューターにより各段階での操作時間・温度を制御し、測定条件の均一化を測っている。【0020】本発明の測定法では、カソーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーを用いて被検液中の微量金属の測定を行うが、測定に当たっては測定すべき複数の金属種に応じて、1種または2種以上の錯形成剤を用い、且つ緩衝剤、pH値および電極条件が統合して選ばれ、それによって1回の電位掃引で存在する複数の微量金属の濃度を同時に測定することができる。本発明の測定法で使用する錯形成剤としては、コニフェロン、オキシン、ニオキシム、ニトロソジメチルアミノフェノール塩酸塩、アリザリンブルーブラック、ジヒドロキシナフタレンの中から1種を単独で、または2種以上を併用して使用する。これらの錯形成剤は測定対象とする金属の種類によって特定に選ぶ必要がある。例えば、測定対象である金属がニッケルである場合にはニオキシム、銅である場合はオキシン、また測定対象である金属がニッケルと鉄を含む場合にはニオキシムとコニフェロンを併用して使用する。また緩衝剤、pHおよび電極電位走査条件は、測定金属の種類および予想される濃度にならびに錯形成剤の種類に応じて統合的に選ばれ、例えばフッ酸中の500pptの銅を分析する場合には、緩衝剤として酢酸アンモニウム、pHを7.0、および電極電位走査条件として、速度20mV/sec、パルス電位50mV、パルス幅500msecを用いる。【0021】被検液中に過酸化水素が含まれている可能性がある場合には、過酸化水素を分解する前処理工程を組み込むことが好ましい。過酸化水素を分解しておくことによって過酸化水素による分析の妨害をなくすことができる。このための前処理方法としては、本発明者らが開示している特願2000−91094号に記載の方法を使用することができる。すなわち、被検液を触媒と接触させつつこの系に超音波を印加するか、被検液を白金粒を充填したカラムに通すか、または被検液に150〜250nmの波長の紫外線を含む光を照射する方法を利用することができる。【0022】また、測定に当たって、被検液のpHを常に一定にすることにより、測定のばらつきを防ぎ、より再現性の高い測定が可能となる。このための前処理として本発明者らが開示している特願2000−278024号に記載の方法を使用して被検液のpHを迅速に測定し、それを基に被検液のpHを所定値に調整することができる。特願2000−278024号に記載の方法では、被検液中に錯形成剤またはその金属錯体を添加して、被検液に挿し込んだ電極間に電圧を印加掃引したときに生じる電流が最大をとる時の電圧であるピーク電位を測定することにより被検液のpHを測定することができる。【0023】次に、本発明の装置および方法による水溶液中に存在する微量金属の測定方法を手順を追って説明する。測定対象試料として、例えば、半導体製造工程における洗浄液を採取する。試料溶液の採取に当たってのコンタミネーションを避けるために、半導体製造工程の試料採取可能部分から試料をポンプで自動採取する。採取された試料は、アルカリ液により所定のpHに調整し、更に必要な錯形成剤をポンプで、やはり自動的に測定セルに送液する。pH調整に先だって、必要なら上記のように測定セルに送液する前に過酸化水素分解工程を行わせるために自動的に分解ユニットを通過させる。また、必要ならセル内でpH測定の後希アルカリ液を注入して精密なpH調整を行わせる。測定セル内の試料の温度を20〜40℃の一定温度に保持した状態で測定を開始する。以上の特徴を備えた本発明の測定装置と測定法により測定精度100pptのオーダーの微量金属の濃度測定が可能である。本発明による微量金属の測定データの例を図3および図4に示した。図3は鉄とニッケルが共存する系での同時測定、図4は銅と亜鉛が共存する系での同時測定の結果を示すチャートである。【0024】次に、図2に示す装置系統図を用いて測定手順および方法の1例を更に具体的に説明する。(1)被検液の採取サンプリング計量管30上方の3方弁SV−E1を排気側、計量管下方の3方弁SV−E2をサンプリング側に向け、ダイヤフラムポンプP1を作動させると装置外部よりサンプル薬液が計量管に注入される。計量管が満杯になるまでポンプP1を動作しつづけたのち、ポンプの作動を停止する。次に計量管上方の3方弁SV−E1を加圧側、計量管下方の3方弁SV−E2を注入側に開け、前処理槽23の排気弁を開けるとサンプリングした薬液が前処理槽に注入される。ポンプP1によって上方の3方弁SV−E1を越えて送り込まれたサンプル液は自動的にドレン排出される。【0025】(2)前処理(含有過酸化水素の分解)前処理槽の排気弁を開け、ダイヤフラムポンプP2を作動させると薬液A槽24から前処理槽23に薬液Aが注入される。ダイヤフラムポンプP2は接液部がPTFEの定量ポンプであって、作動ストローク数と注入量が比例関係にあるので、前処理で注入されたサンプル液の濃度・量に計算上見合った量を正確に、しかも汚染無く注入することができる。薬液Aは酸であり、これを注入することによってサンプル液のpHを1〜2の範囲として過酸化水素工程分解中の金属イオンの水酸化物化を阻止することができる。【0026】次に前処理槽の弁SV-F2を開け、弁SV-F1およびSV-L3はカラム供給側に向けて、分解用カラム22上方の3方弁SV-L2を排気側、前処理槽の3方弁SV-F5を開けると分解カラム22の上方より酸性のサンプル薬液が注入され、内部に充填されている白金粒と接触して過酸化水素の分解が始まる。過酸化水素の分解が終わるまでの一定時間が経過したのち、カラムのバブリング弁SV-L1を開けて窒素をカラム下方から注入すると、サンプル液中の残存酸素が追い出される。カラム上方の3方弁SV-L2を加圧側、カラム下方の3方弁SV-L4をセル送液側、測定セル4下の3方弁SV-G1をセル送液側に向け、測定セルの排気弁SV-G4を開けるとカラム内の過酸化水素分解後のサンプル液は測定セル4に移送される。【0027】(3)サンプル液の調整次に、中和用アルカリ液B液、バッファー剤C液を注入する。これには測定セル上方の3方弁SV-G4を排気側に開け、ダイヤフラムポンプP3およびP4を作動させると薬液B槽25および薬液C槽26から測定セル4に薬液BおよびCが注入される。P3およびP4ポンプも定量ポンプであって、作動ストローク値と注入量が比例関係にあり、ストローク値を加減することによってサンプル液の濃度および量に計算上見合った量を正確に注入することができる。(4)測定次に、測定セル4の撹拌モーター6を回転してセル内の液を混合撹拌する。この工程で適度のpHに調整されたセル内の液中に含有される金属イオンは錯形成を受ける。この状態で、水銀電磁弁10(SV-H1)を数回開閉し、一定量の水銀を測定セル下方より内部に向かって取り付けられた水銀キャピラリー5を通じてセル4内に導入する。導入された水銀はキャピラリー先端6で水銀滴を形成し、水銀電極WEとして作用する。次に水銀電極WE、対極CE間に電解電位を印加し、水銀電極表面に錯化した金属イオンを電解濃縮させる。攪拌モーター9を止め、静置時間の後参照電極1の電位を走査して水銀キャピラリー先端6上に形成される水銀電極‐対極2間に流れる拡散電流を測定する。この時、参照電極1の電位走査にはパルス電圧を重畳して微分パルスボルタンメトリー法で測定を行う。拡散電流はアナログアンプで増幅して電圧出力を取りだし、A/Dコンバータを介してマイコンでサンプリングし、値をメモリーに保存する。【0028】(5)測定セルの洗浄と水銀の回収測定が終了すると測定セル4の加圧弁SV−G7、排出弁SV−G3を開け、セル内の液を排出し、その後SV−G7、SV−G3を閉じる。次にセルの排気弁SV−G4、給水弁SV−G6を開け、セル内に純水を導入すると同時にキャピラリー先端6の水銀滴を水流で落とす。SV−G4、SV−G6を閉じ、再びSV−G7、SV−G3を開け、セル内の液を排出後SV−G7、SV−G3を閉じることでセルの洗浄が完了し、初期状態に戻る。セルよりSV−G7、SV−G3を介してドレンされた液は水銀トラップ18を介して水銀フィルターカートリッジ19に流入する。水銀トラップ通過時、比重の大きい水銀は水銀トラップ内下方の水銀だめに落下して水銀フィルターカートリッジまでは流出しない。水銀トラップの水銀だめレベルは外部より上限近接センサーで監視されており、レベルが高くなるとSV−K1が開いて水銀回収槽21に落下する。水銀が落下して水銀液面レベルが下がり、下限近接センサーがOFFするレベルに達するとSV−K1が閉じて水銀の排出を停止する。また、水銀フィルターへの液ドレン時にはSV−J1が開いてフィルターカートリッジ内の内圧上昇を防止し、適正な流出速度で廃液がカートリッジ内を通過することで溶存していた水銀イオンを内部に充填されたイオン交換樹脂にて吸着除去する。【0029】【実施例】以下、本発明を実施例により、より詳細に且つ具体的に説明する実施例 1アンモニア性過酸化水素(SC1)中の鉄・ニッケル分析を行う構成について説明する。サンプルとして例えば1:5:20(体積比)のSC1を測定する場合、サンプリング量としては前述の「被検液の採取と前処理」の項で述べた計量管の体積が5mlであるから、この中に含まれるアンモニアの量としては1.2wt%、0.706Mであり、20wt%硫酸で中和するとすれば4.08Nであるからサンプル5mlに対し1mlを注入するとPH2程度の酸性とできる。次にこの酸性混合液をカラムに送り、約1分待って過酸化水素の大半を分解した後、約5分かけてゆっくりとセルに移送する事によりカラム内の白金層と接触して残りの過酸化水素も数ppm以下まで分解される。液性を中性に戻すためセルに2wt%、1.18Mアンモニア水を0.48ml注入する。また、バッファー剤として50wt%酢酸アンモニウム液0.5mlを注入する。錯形成剤として0.01Mのコニフェロン+ニオキシム液を0.2ml注入する。この後、3μlの水銀滴を電極として発生させ、3分電解してDPV法で測定する事により鉄・ニッケルとも400nA/ppbのピークが得られる。【0030】実施例 2希フッ酸(DHF)中の銅分析を行う構成について説明する。サンプルとして例えば1:100(体積比)のDHFを測定する場合、サンプリング量としては前述の「被検液の採取と前処理」の項で述べた計量管の体積が5mlであるから、この中に含まれるフッ酸の量としては0.57wt%、0.285Mであり、14wt%四ホウ酸カリで中和するとすれば4.08Nであるからサンプル5mlに対し0.87mlを注入するとフッ素イオンを除去できる。次にこのサンプル液をセルに送り、液性を中性に戻すためセルに10wt%、5.88Mアンモニア水を0.57ml注入する。また、バッファー剤として50wt%酢酸アンモニウム液0.5mlを注入する。錯形成剤として0.01Mのオキシン液を0.2ml注入する。この後、3μlの水銀滴を電極として発生させ、3分電解してDPV法で測定する事により150nA/ppbのピークが得られる。【0031】【発明の効果】本発明の装置による本発明の測定法により、複数の微量金属を含有する薬液中の金属濃度を複数金属を同時に短時間に且つ精度高く、100pptオーダーの濃度まで測定することができる。そのため本発明は、例えば半導体洗浄液のように微量の金属の混入をインラインで迅速に監視する必要のあるところに連続モニターとして有効に使用できる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の測定装置の概要図。【図2】 本発明の装置系統図。【図3】 本発明の方法により測定された微量金属測定データの1例(ボルタンメトリーチャート:鉄−ニッケル同時測定)。【図4】 本発明の方法により測定された微量金属測定データの他の1例(ボルタンメトリーチャート:銅−亜鉛同時測定)。【符号の説明】1:参照電極、2:対極、3:水銀供給ライン、4:測定セル、5:水銀キャピラリー、6:水銀キャピラリー先端、7:水銀槽、8:スプリング、9:測定セル撹拌モーター、10:水銀電磁弁、11:ブッシュ、12:ガイド、13:固定ベース、14:水銀槽下部継手、15:水銀電磁弁入口継手、16:水銀電磁弁出口継手、17:測定セル下部継手、18:水銀トラップ、19:水銀フィルターカートリッジ、20:水銀だめ、21:水銀回収槽、22:過酸化水素分解カラム、23:前処理槽、24:薬液A槽、25:薬液B槽、26:薬液C槽、27:薬液D槽、28:薬液E槽、30:サンプリング計量管、31:測定部、32:水銀供給部。 水銀槽から途中に水銀電磁弁を組み込んだ水銀供給細管を通して水銀を上部開放型水銀キャピラリーに定量的に供給する水銀供給ラインにおいて、1)水銀供給ラインと分析装置部との接合部分が水銀槽液面より下方に設けられており、2)水銀電磁弁が大オリフィス径且つ小ポンピング量を有し、および3)水銀槽液面と上部開放型水銀キャピラリーの上面とのヘッド差一定化機構を備えていることを特徴とする、水銀滴を一方の電極とする電気化学的分析装置であって、測定セル内に他方の電極に対して下方に配置した上部開放型水銀キャピラリーから水銀滴を上向きに押し出してこれを水銀電極とする水銀電極式電気化学的分析装置。 水銀槽液面と上部開放型水銀キャピラリーの上面とのヘッド差一定化機構が、水銀槽の水銀面が水銀槽に残存する水銀量に関係なく一定の水準を維持するように水銀槽を支持するスプリングのバネ定数が設定されている請求項1に記載の水銀電極式電気化学的分析装置。 サンプル液の採取・分析・洗浄をすべて自動かつ気密系中で連続運転が可能な請求項1または2に記載の水銀電極式電気化学的分析装置。 ストリッピング・ボルタンメトリー分析装置である請求項1、2または3に記載の水銀電極式電気化学的分析装置。 カソーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーを用いる微量金属濃度の測定において、請求項1〜4いずれかに記載の装置を使用し、測定すべき複数の金属種に応じた1種または2種以上の錯形成剤を用い、緩衝剤、pH値および電極条件を統合して選ぶことにより1回の電位掃引で存在する複数の金属の濃度を同時に測定する複数種の金属の微量金属測定方法。 カソーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーを請求項5に記載のストリッピング・ボルタンメトリー分析装置を用いて行う請求項5に記載の半導体薬液中の微量金属測定方法。 カソーディック・ストリッピング工程で使用する錯形成剤がコニフェロン、オキシン、ニオキシム、ニトロソジメチルアミノフェノール塩酸塩、アリザリンブルーブラック、ジヒドロキシナフタレンから選ばれる1種または2種以上の併用である請求項5または6に記載の微量金属測定方法。 被検液を触媒と接触させつつこの系に超音波を印加するか、被検液を白金粒を充填したカラムに通すか、または被検液に150〜250nmの波長の紫外線を含む光を照射するか、の被検液中に存在する過酸化水素を分解除去する少なくともひつとの工程を前処理として含む請求項5〜7のいずれかに記載の微量金属測定方法。 被検液中に錯形成剤またはその金属錯体を添加して、被検液に挿し込んだ電極間に電圧を印加掃引したときに生じる電流が最大をとる時の電圧であるピーク電位を測定することにより被検液のpHを測定し、その結果を基に被検液のpHを所定値に調整する工程を前処理として含む請求項5〜8のいずれかに記載の微量金属測定方法。


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