生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アナフィラキシー型アレルギー症状改善物質およびその製造方法
出願番号:2001327372
年次:2005
IPC分類:7,A61K35/78,A61K35/72,A61P11/06,A61P37/08


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金 辰彦 JP 2005035888 公開特許公報(A) 20050210 2001327372 20011025 アナフィラキシー型アレルギー症状改善物質およびその製造方法 株式会社ティーエーステビア 599165957 株式会社 豊栄 598072744 菊池 武胤 100075188 平山 洲光 100077872 中野 圭二 100118728 金 辰彦 7 A61K35/78 A61K35/72 A61P11/06 A61P37/08 JP A61K35/78 T A61K35/72 A61P11/06 A61P37/08 6 1 OL 6 4C087 4C088 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA03 4C087BC11 4C087CA10 4C087ZA59 4C087ZA89 4C087ZB13 4C088AB26 4C088AC05 4C088BA09 4C088CA25 4C088ZA59 4C088ZA89 4C088ZB13 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、花粉症、蕁麻疹、気管支喘息、アトピー症等の病因とされるアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質及びその製造方法に関する。【0002】アナフィラキシーとは、一般に免疫学的機序によって惹起される全身性のアレルギー反応をさす。近年、アレルギー疾患の中でIgE抗体を介するI型すなわちアナフィラキシー型のアレルギー反応により、肥満細胞あるいは好塩基球からヒスタミンやロイコトリエンが全身に遊離されるため、花粉症、蕁麻疹、気管支喘息などを発症すると考えられている。【0003】【従来の技術】アトピー症皮膚炎等に有効とされる外用皮膚病治療剤として、あるいは胃炎、胃カイヨウ等に有効とされる消化器系疾患治療用内服薬として、ステビア茎部の発酵濃縮液を有効成分とするものが知られている(特公平6−92314号、特公平7−13021号)。さらに、花粉症等のアレルギー症状に有効とされる抗ヒスタミン作用を有する物質として、ステビアの植物組織の抽出液を発酵させたものが知られている(特開平10−330279号)。【0004】【発明が解決しようとする課題】上記ステビアの植物組織を発酵させて得た治療剤、内服薬剤、抗ヒスタミン作用を有する物質は、それぞれその植物組織の発酵に90日以上の長期の期間が必要である。本発明は、ステビアの植物組織から抽出したステビアエキスの発酵に要する期間を短縮して、新規なアナフィラキシー型アレルギーの症状を改善させる物質を得ることを目的とするとともに、該新規な物質を得る新規な製造方法を提供することを目的とするものである。【0005】【課題を解決するための手段】そのために本発明アナフィラキシー型アレルギー症状改善物質は、ステビアの植物組織から抽出したステビアエキスにイースト菌を加えて発酵させてなるものである。そして、上記ステビアの植物組織がステビアの葉と茎である。【0006】また、本発明アナフィラキシー型アレルギー症状改善物質の製造方法は、ステビアの植物組織を粉砕、混合し、これを精製水に入れて加熱、攪拌、冷却、ろ過してろ液を得、このろ液を減圧濃縮してステビアエキスを得て、このステビアエキスにイースト菌を加えて発酵させてなるものである。【0007】上記製造方法において、ステビアの植物組織がステビアの葉と茎である。また、上記ろ液の減圧濃度は糖度8程度である。さらに、上記発酵期間が10日以上である。【0008】【発明の実施の形態】本発明のアナフィラキシー型アレルギーの症状を改善させる物質は、その原料を南米のステビア・レバウディアナ・ベルトニ(Stevia rebaudiana Bertoni)とする。【0009】先ず、ステビアの地上部、地面からおよそ15cm程から上部の葉と茎を用い、これを乾燥させて乾燥させた葉部、茎部を双方とも10ミクロンメートル以下に粉砕する。粉砕したステビアの葉部と茎部を3:10の割合で混合し、ステビア混合物を得て、このステビア混合物10kgを精製水120リットルに入れ、常温より加熱して、しばしば穏やかに撹拌しながら数時間抽出を続ける。その後常温まで冷却し、その後140メッシュの大きさでろ過を行ないろ液を得る。このろ液を取り出し、これをさらに80℃ほどの温度で1時間ほど加熱撹拌を行なう。上記ろ液を加熱撹拌後、糖度8度ほど(固形物濃度およそ8w/v%)まで減圧濃縮を行なう。濃縮された溶液をさらにほぼ0.45マイクロメートル以下の大きさにてろ過する。得られたろ液をステビアエキスとし、これを原料とする。【0010】上記工程で得たステビアエキス1リットルにつき、およそ2.0gの乾燥イースト菌を加え、常温にて穏やかに撹拌し、他の微生物の侵入を認めない条件下にて、発酵を行なう。乾燥イースト菌はサッカロマイセス(Saccharomyces)類を用いる。この発酵期間は10日間以上とするが、望ましくは10日〜14日間とする。10日程発酵させた液を0.45マイクロメーター以下の大きさにてろ過を行ない,完全に溶液状態とする。以上の方法で精製された液体が抗ヒスタミン作用を有する。【0011】このようにして得た本発明物質によってモルモット摘出回腸標本における、抗ヒスタミン作用に関し薬理学的実験を行った。実験では、上記製法にて得られた液体を試験液(ステビア試験液という)とし、この試験液を凍結乾燥処理し、得られた固形物(ステビア固形物という)を、ロックリンガー液(Lock−Ringer液)に溶解して用いた。実験には雄性モルモット(Hartley系、300 ̄350g)20匹を用いた。モルモットより回腸を摘出しマグヌス法によりヒスタミンによって誘発される等尺性収縮を測定した。収縮は張力トランスジューサー(BG−10,Kulite Semiconductor、U.S.A)を介し直流増幅器(AM 20、Unipulse)にて記録した。ステビア固形物(10−6 、10−5、10−4、10−3g/ml)をあらかじめモルモット摘出回腸に適用し、ヒスタミン10−6 M(histamine10−6 M)による収縮反応を検討した。抗ヒスタミン薬であるジフェインヒドラミンを対照薬として比較検討した。栄養液はロックリンガー液(mM)(Lock−Ringer液(mM))を用い、組成はNaCl 154、KCl 5.6、CaCl2 2.2、MgCl2 2.1、NaHCO3 5.9、Glucose 2.8(pH 7.4)であった。栄養液は95%O2と5%CO2の混合ガスを通気した。実験は室温(23〜24℃)で行なった。使用した薬物は、ステビア試験液、ヒスタミン(ワコ)(histamine(Wako))、ジフェインヒドラミン(ワコ)(diphenhydramine(Wako))であった。ステビア固形物はロックリンガー液(Lock−Ringer液)に溶解させマグヌス管に直接適用した。得られた成績はダネット(Dunnett’s)のマルチプル コンパリソン テスト(multiple comparison test)により危険率5%をもって有意差ありとした。【0012】その結果、ヒスタミンの収縮反応の及ぼすステビアの影響を観た。ヒスタミン10−6M(Histamine10−6M)をモルモット摘出回腸標本に適用すると収縮が誘発される。ヒスタミン(Histamine)は2回適用して定常状態になったことを確認してコントロールとした。図1は5例のヒスタミン(histamine)収縮反応に及ぼすステビア固形物の影響を検討したものである。ヒスタミン(Histamine)の収縮反応はステビア固形物10−6g/mlはその収縮反応に対して影響を及ぼさなかった。ステビア固形物10−5、10−4、10−3g/mlではヒスタミン(histamine)による収縮反応をそれぞれコントロールの93%、78%、55%に減少させた(図1,2)。ステビア固形物10−3g/mlは有意な抑制を示した。これらステビア固形物による反応はステビア固形物を洗浄することにより回復したことから可逆性であった。【0013】上記本発明物質をクリーム状(ステビアクリームと云う)とエキス状(ステビアエキスと云う)にして、このステビアクリーム及びステビアエキスの皮膚安全試験として、皮膚貼付試験をした。この試験は、富山県富山市杉谷2630番地の富山医科薬科大学医学部皮膚科学教室(医学博士、諸橋正昭教授)にて豊田雅彦講師が試験責任者となって行われた。この試験は、健常人18名(男性12名、女性6名、年齢21〜43歳、平均年齢32.5歳)を対象に行われた。その方法は、ステビアクリーム及びステビアエキスを両者ともas isにてフィンチャンバーを用いて上腕内側あるいは背部に貼付し、48時間後および72時間後に貼付試験の評価を行った。評価判定はICDRG基準の評価法にのっとって行った。結果は、ステビアクリーム及びステビアエキスの貼付試験を施行した18名全例において、貼付後48時間後及び72時間後ともいずれの物質も陽性反応(一時刺激、接触皮膚炎)を示さなかった。【0014】【発明の効果】本発明は、ステビア抽出エキスをイースト菌にて発酵させて生成された液体が、抗ヒスタミン作用を有することを初めて明らかにした。この作用はステビア固形物10−5 g/ml以上の濃度より観察され可逆的であった。ステビア固形物の抗ヒスタミン作用はヒスタミンH1(histamineH1)受容体の遮断作用と結論した。この作用機序はステビア固形物がヒスタミンのH1受容体に結合し、ヒスタミンの発現作用を抑制すると考えられる。ステビア抽出エキスをイースト菌にて発酵させて生成された液体(ステビア試験液)の中に抗ヒスタミン作用を示す化合物が含まれていることが示された。本発明物質がアナフィラキシー型アレルギーである、花粉症、蕁麻疹、気管支喘息あるいはアトピーなどの疾患に対する症状の軽減に有効であることが示された。さらに本発明方法では、ステビアエキスにイースト菌を加えて発酵させることにより、比較的短期間でアナフィラキシー型アレルギーの症状を改善させる物質を得ることができた。【図面の簡単な説明】【図1】本発明物質の製造工程を示すフローチャート。【図2】モルモット摘出回腸標本においてヒスタミン(10−6M)により誘発される収縮反応に及ぼすステビアの影響を示す図。それぞれの値は5例の平均値±標準誤差を示す。ステビアエキスは低い濃度から10−3g/mlまでの範囲で適用した。【図3】モルモット摘出回腸標本においてヒスタミン(10−6M)により誘発される収縮反応に及ぼすステビア10−5M、10−4M、10−3g/mlの影響を示す図。 ステビアの植物組織から抽出したステビアエキスにイースト菌を加えて発酵させ生成されるアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質。 上記ステビアの植物組織がステビアの葉と茎である上記請求項1に記載のアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質。 ステビアの植物組織を粉砕、混合し精製水に入れて加熱、攪拌、冷却、ろ過してろ液を得、このろ液を減圧濃縮してステビアエキスを得て、このステビアエキスにイースト菌を加えて発酵させてなるアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質の製造方法。 ステビアの植物組織がステビアの葉と茎である上記請求項3に記載のアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質の製造方法。 上記減圧濃縮して得られたろ液の濃度が糖度8程度である上記請求項3又は4に記載のアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質の製造方法。 上記発酵期間が10日以上である上記請求項3〜5の何れかに記載のアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質の製造方法。 【課題】新規なアナフィラキシー型アレルギー症状改善物質を得ることを目的とするとともに、該新規な物質を得る新規な製造方法を提供するものである。【解決手段】ステビアの植物組織から抽出したステビアエキスにイースト菌を加えて発酵させてなり、ステビアの植物組織を粉砕、混合し精製水に入れて加熱、攪拌、冷却、ろ過してろ液を得、このろ液を減圧濃縮してステビアエキスを得て、このステビアエキスにイースト菌を加えて発酵させてなる。【選択図】 図1


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