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タイトル:特許公報(B2)_メチル−t−ブチルエーテルおよびイソブテンをほとんど含有しないC4−炭化水素混合物の製造法、および処理生成物の使用
出願番号:2001318582
年次:2007
IPC分類:C07C 41/06,C07C 2/28,C07C 11/02,C07C 11/08,C07C 43/04,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

アルミン リックス ゲルダ グルント ヴィルフリート ビュシュケン JP 3906053 特許公報(B2) 20070119 2001318582 20011016 メチル−t−ブチルエーテルおよびイソブテンをほとんど含有しないC4−炭化水素混合物の製造法、および処理生成物の使用 オクセノ オレフィンヒェミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 398054432 OXENO Olefinchemie GmbH 矢野 敏雄 100061815 山崎 利臣 100094798 久野 琢也 100099483 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 ラインハルト・アインゼル 230100044 アルミン リックス ゲルダ グルント ヴィルフリート ビュシュケン DE 10051812.5 20001019 DE 10102082.1 20010118 20070418 C07C 41/06 20060101AFI20070329BHJP C07C 2/28 20060101ALI20070329BHJP C07C 11/02 20060101ALI20070329BHJP C07C 11/08 20060101ALI20070329BHJP C07C 43/04 20060101ALI20070329BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070329BHJP JPC07C41/06C07C2/28C07C11/02C07C11/08C07C43/04 EC07B61/00 300 C07C 41/06 C07C 2/28 C07C 11/02 C07C 11/08 C07C 43/04 C07B 61/00 特開昭62−077342(JP,A) 特開昭56−016424(JP,A) 特開昭58−103333(JP,A) 特開平05−269364(JP,A) 特開昭60−058932(JP,A) 10 2002179603 20020626 14 20031029 吉良 優子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、殊に純粋な1−ブテンおよびメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)の製造に好適な、少ないイソブテン含量を有する高純度ラフィネートII(C4−炭化水素混合物)を製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】イソブテンを有しないブテン混合物は、小さい分枝度を有する、高純度1−ブテンの製造および/またはブテンオリゴマーの製造に適当である。MTBEはオクタン価を高めるための需要のある気化燃料成分である。この目的のためには、MTBEが他のエーテル、例えばメチル−s−ブチルエーテルまたはC4−オレフィンのオリゴマーをも含有するのが無害である。溶剤として使用される高純度MTBEは、前記の随伴物質に関して明らかに、より狭い限度を要求する。【0003】MTBEおよび線状ブテンは、C4−オレフィン混合物から、例えば蒸気分解装置からのC4−切片から、またはFCC−単位から得られる。これらの混合物は、本質的にブタジエン、モノオレフィン、イソブテン、1−ブテンおよび2つの2−ブテンならびに飽和炭化水素 イソブタンおよびn−ブタンからなる。世界的に常用される、そのようなC4−切片のための後処理法は、次の工程を含む:最初にブタジエンの大部分が除去される。ブタジエンが良好に商品化されることができるか、または固有の消費に耐えるならば、例えば抽出または抽出蒸留によって分離される。他の場合には、1〜0.1%の濃度になるまで選択的に線状ブタジエンへと水素添加される。どちらの場合にも、飽和炭化水素(n−ブタンおよびイソブタン)以外にオレフィン(イソブテン、1−ブテンおよび2−ブテン)を含有する、炭化水素混合物(ラフィネートIもしくは水素添加されたクラック−C4)が残留する。この混合物からイソブテンを除去できる方法は、MTBEになるメタノールとの反応である。飽和炭化水素、線状ブテンおよび場合によってはイソブテンの残量が残留する。ブタジエンおよびイソブテンの除去後に得られるC4−混合物は、ラフィネートIIと呼ばれる。【0004】2つの流れ(MTBEおよびオレフィン混合物、ラフィネートII)の後使用に応じて、これらの流れの特別な品質は、決定的に重要である。C4−切片からのイソブテンが、気化燃料成分の製造(MTBEとしてであれ、またはオリゴマーとしてであれ)に使用される場合、MTBEの純度に関してわずかな要求が存在するだけである。MTBEは他のエーテル、例えばメチル−s−ブチルエーテルおよび/またはC4−オレフィンオリゴマーを含有していてよい。【0005】このC4−混合物が、例えば酸触媒によって、できるだけ分枝鎖状のC4−オリゴマー、殊にC8−オリゴマーおよびC12−オリゴマーに変換される場合には、ラフィネートIIは線状オレフィンとともに、大部分のイソブテンを含有していてよい。この混合物は水素添加後、ハイオクタン気化燃料成分を生じる。【0006】MTBEが、例えば純粋溶剤としてまたは高純度イソブテンの製造に、分解反応中で使用されるべき場合、ほんの少量の随伴物質だけを含有してよい。すなわちMTBEへの合成は、極めて選択的に実施されなければならない。【0007】ラフィネートIIが低いイソ係数、すなわち少ない分枝鎖状度を有するオリゴマーを製造するために使用されるべき場合、イソブテンの含量は極めて少なくなければならず、有利には1000wppm未満である。このラフィネートIIから純粋1−ブテンが取得されるべき場合、事実上イソブテンを有しないラフィネートIIが必要とされる。次に、ラフィネートII中のイソブテン濃度は,450wppmの数値を上回るべきではない。イソブテンと1−ブテンとの沸騰温度差は0.6℃にすぎないので、2つの成分の経済的な蒸留分離は不可能である。この場合、MTBE−合成の際のイソブテンは、ほとんど完全に変換されなければならない。【0008】MTBEが溶剤の品質で製造され、かつ同時にラフィネートIIが1−ブテン−製造のために使用されるべき場合、MTBE−合成に対して最高の要求が課される。この場合、極めて高いイソブテン−変換率ならびに極めて高いMTBE−選択率が必要とされる。【0009】イソブテン含有C4−炭化水素混合物、例えばラフィネートIまたは水素添加されたクラック−C4とメタノールからMTBEを製造するため、工業界では頻繁に酸性イオン交換樹脂(スルホン酸基)が不均一系触媒として使用される。反応は1つの反応器または直列に接続された複数の反応器中で行われ、この場合、触媒は有利に固体床中に配置されている。メタノール、イソブテンおよびMTBEが平衡状態にある生成物が生じる。各反応器中では反応条件(温度、メタノール−過剰、等)に相応して平衡変換率が調節される。このことは、工業的方法において常用される反応条件の場合、使用されるイソブテンの約96%が変換されることを意味する。この混合物は引き続き、蒸留によりMTBEを含有する塔底精留と、C4−炭化水素およびメタノールを内容物とする塔頂精留とに分離されることができる。共沸結合したメタノールの分離後、このようにして製造されたラフィネートIIは、イソブテン含量が高いため、純粋な1−ブテンの製造には不適当である。【0010】事実上完全なイソブテン変換率を得るため、工業界では反応性蒸留塔が使用される。これは、分離床(もしくは組織充填物)および触媒を、分離床上または他の内蔵物または組織充填物中に組み込み含有する塔である。塔内では残りのイソブテンとメタノールとの反応によるMTBEへの変換、および生成物の蒸留分離が同時に行われる。この種の塔内には、装入オレフィン混合物、例えばラフィネートIまたは選択水素添加されたクラック−C4も供給してよい。特に好適には、極めて高い変換率を得ることを目的とした、前記の平衡混合物のためのこの塔の使用である。生成物としては、頭頂部では、1−ブテン製造の場合、事実上イソブテンを含有すべきでない、メタノールとC4−炭化水素とからなる共沸混合物が生じ、および塔底部ではMTBEが生じる。【0011】米国特許第4504687号明細書中には、MTBEおよびイソブテンの少ないC4−流を製造する方法が記載されている。この場合、イソブテンならびに線状ブテンを含有するC4−流とメタノールとの反応が、塔内で構造的処理が可能にされ、種々の圧力で反応および蒸留が実施される反応蒸留塔内で行われる。圧力に関係した塔の、蒸留部分と反応部分への分離は、構造的に高価である。米国特許第4504687号明細書により製造された生成物の純度に関しては、明言されていない。反応蒸留塔に関しては、0.5〜20:1の大きな還流比が開示されている。【0012】米国特許第5120403号明細書中では、同一の反応が、触媒が溢流した反応蒸留塔内で実施される。液相中では確かにMTBEに至る反応が改善されて進行することができるが、しかし、蒸留は阻害され、それによって高純度生成物を製造するための成分は分離されない。【0013】欧州特許出願公開第0885866A1号明細書中には、イソブテンおよびn−ブテンを含有するC4−炭化水素流とメタノールとの反応によって、MTBEおよびイソブテンの少ないC4−流を製造するための方法が6つの実施態様で開示されている。全ての実施態様に共通の特徴は、少なくとも1つの前反応器、反応蒸留塔および後反応器が直列に接続されていることである。【0014】前記3つの全刊行物中では、製造されたMTBEの品質も、残留C4−流のイソブテン含量も公表されていない。【0015】米国特許第5368691号明細書には、反応蒸留塔中でのイソブテンおよび線状ブテンを含有するC4−炭化水素混合物とメタノールとの反応による、MTBE、および線状ブテンを有するC4−流への変換が記載されている。この場合、MTBEは塔底生成物として98%を上回る純度で得られるが、これは溶剤の品質でMTBEを製造するための要求には不十分である。この例には1.4%のイソブテン残量を有する塔頂生成物が記載されている。純粋1−ブテンを製造する目的の後加工処理には、このイソブテン含量は高すぎる。塔の還流比は0.5:1〜5:1で記載されている。【0016】反応蒸留塔の使用下にMTBEおよびイソブテンの少ないC4−流を製造するもう1つの方法は、米国特許第4475005号明細書の記載から公知である。この場合、塔は1の還流比を用いて運転される。蒸留物中のイソブテン含量は4830wppmであり、したがって純粋1−ブテンを製造するための後使用には、明らかに高すぎる。【0017】【発明が解決しようとする課題】公知の方法は塔頂生成物もしくは塔頂生成物から製造されるラフィネートII中のイソブテン含量、および/または取得されるMTBEの品質および/または投資および/またはエネルギー消費に関して納得させないので、1−ブテンの安価な製造に適当であり、かつ同時に溶剤の品質でMTBEを提供するラフィネートIIを製造する方法を開発するという課題が課された。【0018】【課題を解決するための手段】驚くべきことに、2段階装置、第2工程として反応蒸留塔中でメタノールとC4−オレフィン混合物との酸触媒反応の際に、99.9%を上回る全イソブテン変換率およびほとんどイソブテンを含有しないラフィネートIIを得ることができ、この場合、反応蒸留塔内で、還流比、温度および圧力によって特徴付けられた特別な反応条件が保たれる場合には、事実上汚染物は含有されないことが見出された。【0019】【発明の実施の形態】本発明の対象は、イソブテンを含有するC4−炭化水素流とメタノールとを酸触媒によって反応させることによって、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)およびほとんどイソブテンを含有しないC4−炭化水素混合物を製造する方法であり、この場合、第1工程において、1つまたは複数の反応器中で平衡状態になるまでイソブテンとメタノールとをMTBEに変換し、かつ混合物中に残留するイソブテンを第2工程において反応蒸留塔内で酸性のイオン交換樹脂によって反応させ、この場合、反応蒸留塔を3〜15バールの圧力範囲内および還流比1未満の場合に55〜75℃の反応領域温度範囲内で運転する。【0020】塔頂生成物は、高い変換率のためイソブテン450wppm未満を含有し、したがって、純粋1−ブテンの製造には傑出して好適である。製造されたMTBEは、溶剤として使用可能にする純度を有する。【0021】還流比とは、定義によれば塔内への還流と導出される蒸留流との割合を呼ぶ。【0022】低い還流比および触媒充填物中の低い温度の場合、高い還流比の場合よりも良好なイソブテン変換率が得られるという発見は、文献中に反対のことが記載されているので意外である。【0023】例えば、次の刊行物中には、蒸留の場合と同様、反応蒸留塔内でのイソブテン含有C4−流とメタノールとのMTBEへの変換の変換率は、還流比の増大をともなって上昇する。(Lawrence A. Smith, D. Hearn, Catalytic Destillation, Proc. Intersoc. Energy Convers. Conf. (1984) 19th, (第2巻), 998〜1002頁);Miguel A. Isla, Horazio A. Irazoqui, Modeling, Analysis, and Simulation of a Methyl tert-Butyl Ether Reactive Destillation Column, Ind. Eng. Chem. Res. 1966, 35, 2696-2708; Hoshang Subawalla, James R. Fair, Design Guideline for solid-Catalyzed Distillation Systems, Ind. Eng. Chem. Res. 1999,38, 3696 - 3709) または “Rate-Based Modeling of Reacktive Destillation Systems”, V. Pinjala and T. L. Marker 他、Topical Conference on Separations Technologies ATChE, 1-6, 11. 1992 中に示されている。したがって、小さい還流比に調節するという専門業界の傾向に向いていた。【0024】本発明による方法は一連の利点を有する。この方法を用いて、C4−炭化水素に対してイソブテン450wppm未満を有し、および/またはMTBE(メタノールを除外する)0.5wppm未満を有し、イソブテン1000wppm未満を有する純粋1−ブテンの製造に適当な蒸留物を得ることができる。MTBEは、高純度イソブテンを製造するための前駆体としてならびに溶剤として使用されることができるような高品質である。【0025】その上、還流比の低下は傑出した蒸気の節約をもたらし、その結果、本発明による方法は少ないエネルギー消費を有する。【0026】本発明による方法によれば、イソブテンとメタノールとのMTBEに至る変換は2工程で実施される(第1図参照)。第1工程は、MTBE、メタノールおよびイソブテンからなる熱力学的平衡状態になるまで、1つまたは複数の反応器中で、C4−混合物のイソブテンとメタノールとを反応させることを内容とする。一般には、イソブテン変換率94〜96%である。第1工程の反応器は、下記で第2工程のために記載される、同一の触媒を有する従来の固定床反応器であってよい。反応器は通常30〜110℃および5〜50バールで運転される。【0027】こうして得られた反応混合物の組成は例中に記載されている。一般にはこれらの混合物は、続く第2工程において反応蒸留塔内で極めて選択的にMTBEへと変換されるイソブテン1質量%未満を含有する。【0028】この反応蒸留塔は、補強塔中で触媒を含有し、触媒充填物の下方および上方には蒸留充填物の分離床がある。触媒は充填物、例えばカタマックス((KataMax)登録商標)(欧州特許第0428265明細書)、カタパック((KataPak)登録商標)(欧州特許第0396650号明細書)またはマルチパック((MultiPak)登録商標)(実用新案意匠第2987007.3号)中で組み込まれるか、または成形体上で重合される(米国特許第5244929号明細書)。【0029】触媒充填物上方の帯域は、分離床5〜20段、殊に10〜15段からなる。触媒帯域は、充填物高さ1メートル当たり理論分離床1〜5段の蒸留作用を用いて評価されることができる。触媒下方の分離帯は分離床12〜36段、殊に20〜30段を含む。【0030】固有触媒としては、この方法の2つの工程において、装入混合物中でも生成混合物中でも可溶性でない固体物質が、物質表面の酸性中心を用いて使用される。触媒は、生成混合物が収量の損失をまねきかねないので、反応条件下で生成混合物を酸性物質に与えてはならない。【0031】触媒の活性には、反応条件下にメタノールのイソブテンへの付加を生じさせ、しかし線状ブテンへの付加はほとんど生じさせないことが当てはまる。さらに、活性はオレフィンのオリゴマー化およびジメチルエーテル形成をほとんど触媒作用しない。【0032】本発明による方法において使用可能な酸性触媒の基は、スルホン酸基を有する固体のイオン交換樹脂である。適当なイオン交換樹脂は、例えばフェノール/アルデヒド−縮合物、または芳香族ビニル化合物のコオリゴマーをスルホン化することによって製造されるような化合物である。コオリゴマーを製造するための芳香族ビニル化合物の例は次のものである:スチロール、ビニルトルオール、ビニルナフタリン、ビニルエチルベンゾール、メチルスチロール、ビニルクロルベンゾール、ビニルキシロールおよびジビニルベンゾール。殊に、スチロールとジビニルベンゾールとを反応させることによって生じるコオリゴマーは、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂を製造するための前駆体として使用される。樹脂はゲル状、大孔状またはフォーム状に製造されることができる。スチロール−ジビニル型の強酸樹脂は、特に次の商標名の下に市販されている:デュオライト(Duolite)C20、デュオライトC26、アンバーリスト(Amberlyst) A15、アンバーリストA35、アンバーライト(Amberlite) IR−120、アンバーライト200、ダウエックス(Dowex) 50、ルワタイト(Lewatit) SPC118、ルワタイトSPC108、K2611、K2621、OC1501。【0033】これらの樹脂の性質、殊に比表面積、多孔性、安定性、膨潤性もしくは収縮性および交換容量は、製造工程によって変動されることができる。【0034】本発明による方法の場合、イオン交換樹脂はH形で使用されることができる。有利には大孔性樹脂、例えばルワタイト(Lewatit) SCP118、ルワタイトSCP108、アンバーリスト(Amberlyst) A15またはアンバーリストA35、K2621が使用される。孔容積は、0.3〜0.9ml/g、殊に0.5〜0.9ml/gである。樹脂の粒度は0.3mm〜1.5mm、殊に0.5mm〜1.0mmである。粒度分布は狭くまたは広く選択してよい。すなわち、例えば極めて単一の粒度を有するイオン交換樹脂(単分散樹脂)を使用してよい。イオン交換樹脂の容量は提供型に対して、0.7〜2.0モル/リットル、殊に1.1〜2.0モル/リットルである。【0035】本発明による方法のための装入物質としては、イソブテンならびに線状ブテンを含有し、但し、アセチレン誘導体を含有せず、かつブタジエン8000wppm未満を含有するC4−炭化水素混合物を使用してよい。イソブテンならびに線状ブテンを含有していてよい工業的混合物は、例えば精製所から得られる軽ベンジン精留、FCC−単位または蒸気分解装置からのC4−精留、フィッシャー−トロプシュ合成から得られる混合物、ブタンの脱水素化から得られる混合物、線状ブテンの骨格異性化から得られる混合物、オレフィンの複分解または他の工業的プロセスによって生じる混合物である。【0036】これらの混合物は、多重に不飽和の化合物の除去後、本発明による方法に使用されることができる。例えば蒸気分解装置のC4−精留からの適当な装入混合物取得は、ブタジエンの抽出または線状ブテンへの選択水素添加によって行われる。これらの混合物(ラフィネートIもしくは選択水素添加されたクラック−C4)は、n−ブタン、イソブタン、3つの線状ブテンおよびイソブテンからなり、かつ本発明による方法にとって好ましいエダクトである。【0037】装入炭化水素混合物は、メタノールと一緒に第1処理工程に供給されることができる。触媒としては、反応蒸留塔中と同一または類似した触媒が使用される。この場合、イソブテン、メタノールおよびMTBEが平衡状態にある混合物が生じる。本発明による方法の好ましい実施態様は、平衡混合物または平衡状態に近い混合物を第1工程で製造し、かつ反応蒸留塔(第2工程)に導くことである。【0038】第2工程の蒸留塔流入物中では、なお存在するイソブテンの完全な変換に使用されるよりも多量のメタノールが含有されていてよい。しかし、メタノールの過剰量は、一方では、メタノールとC4−炭化水素とから形成される共沸混合物にとって十分なメタノール量が存在し、もう一方では、メタノールが塔底生成物中に導かれたほど多くはなく存在し、その結果、規格値に好ましいMTBE(メタノール含量5000wppm未満)が得られるように、制限されるべきである。【0039】任意に、塔流入物中のメタノール含量が許容される最大値未満である場合、付加的なメタノールはエダクト混合物の蒸留塔流入前に供給されることができる。その上、反応蒸留塔の頭頂部では、特別な装置を介してメタノール供給が行われてよい。【0040】塔流入物の温度は、組成、塔内の反応圧力および通過量に無関係に、50〜80℃、有利に60〜75℃である。【0041】触媒帯域中の平均温度は、塔内の圧力に依存して、有利に55〜70℃、特に好ましくは58〜67℃である。【0042】反応蒸留塔は、蒸留塔頭頂部で測定した、3〜15バール、好ましくは5〜9バール、殊に7〜8.5バールの圧力で運転される。【0043】塔の触媒充填物中の液圧は、好ましくは溢流点圧の10〜110%、有利に20〜70%である。蒸留塔の液圧とは、上昇する蒸気−物質流および還流する液体−物質流による、蒸留塔横断面の均一な溢流技術的負荷であると理解される。負荷上限は、蒸気および還流液によって最大負荷を示し、その上部では上昇する蒸気流によって還流液を連行またはせき止める結果、分離作用が低減する。下方の負荷は、最小負荷を示し、その下部では分離作用が低下するか、または不規則な溢流または塔 − 例えば床の − 空転の結果、崩壊する。(Vauck/Mueller, “Grundoperationen chemischer Verfahrenstechnik”, 626頁、VEB Deutscher Verlag fuer Grundstoffindustrie.)溢流点では、気体から液体に移行するずれ応力は、全液体量が気体を有する液滴の形で連行されるか、または蒸留塔内の相転換に至るほど大きくなる(J. Mackowiak, “Fluiddynamik von Kolonnen mit modernen Fuellkoerpern und Packungen fuer Gas/Fluessigkeitssysteme”, Otto Salle Verlag 1991年)。【0044】本発明による方法の場合、蒸留塔は1未満の還流比、殊に0.6を上回り1未満、好ましくは0.7〜0.9の間にある還流比を用いて運転される。【0045】この還流比を用いて、本発明によれば450wppm未満、好ましくは400wppm未満、全く特に好ましくは300wppm未満のラフィネートII中のイソブテン−残留濃度(蒸留物中のC4−混合物に対して)が得られる。最適な還流比は、蒸留塔流入物の通過量、組成および塔内圧力に依存する。しかしながら、前記の範囲内である。【0046】任意に、処理の第2工程では、C4−炭化水素混合物およびメタノールを含有し、450wppm未満、好ましくは400wppm未満、全く特に好ましくは300wppm未満のイソブテン含量を有する塔頂生成物、ならびに2500wppm未満のメチル−s−ブチルエーテル(MSBE)含量を有するMTBEを含有する塔底生成物が得られる。【0047】この塔頂生成物は、新たにC4−炭化水素混合物とメタノールとに分離されることができ、この場合、C4−炭化水素混合物はMTBEおよび/またはTBA0.5wppm未満を含有する。【0048】反応蒸留塔の塔底生成物は、好ましくはメチル−s−ブチルエーテル2500wppm未満およびC8−炭化水素2500wppm未満を有するMTBEからなる。MTBEのもう1つの浄化は、オットー燃料のための成分として使用される場合には、もはや不必要である。【0049】塔頂生成物からは、例えば水を用いた抽出によってメタノールが分離されることができる。このようにして得られたラフィネートIIからは、ブタジエンの痕跡が選択的水素添加(SHP)によって除去されることができる。これらの混合物は蒸留により、1−ブテン、イソブタンおよび2−ブテンからなる混合物、n−ブタンまたは1−ブテン、2−ブテンおよびn−ブタンに分離されることができる。【0050】この種の製造された、純粋1−ブテンは、イソブテン1000wppm未満を含有しており、かつ重要な中間生成物である。中間生成物は例えば、コモノマーとしてポリエチレン(LLDPEまたはHDPE)ならびにエチレン−プロピレン−共ポリマーの製造の際に使用される。さらに、アルキル化剤として使用され、かつブタン−2−オール、酸化ブテン、バレルアルデヒド製造のための出発物質である。【0051】さらに本発明により製造された、ほとんどイソブテンを含有しないラフィネートIIの使用は、殊にオクトール−プロセスによる、n−ブテン−オリゴマーの製造である。【0052】ラフィネートIIから線状ブテンを分離もしくは変換した後に残留する炭化水素は、場合によってはイソブタンおよびn−ブタンへの水素添加(CSP)により後処理されることができる。【0053】反応蒸留塔内で塔底生成物として生じるMTBEは、種々の目的のために利用されることができる。MTBEがほんの極めてわずかなメチル−s−ブチルエーテル(MSBE)を含有する場合、事実上線状ブテンは(メチル−s−ブチルエーテルの再分解によって)生じ得ないので、MTBEは再分解による高純度イソブテンの製造に適当である。MTBE−分解は、例えばドイツ連邦共和国特許第10020943.2号明細書により実施されることができる。わずかな含量の副生成物(MSBEおよびC8−オレフィン)に基づき、こうして得られたMTBEは残りのアルコールの分離後、分析または有機合成の際の溶剤として使用されることができる。【0054】さらに、オットー燃料のための成分としてのMTBEの利用が可能である。【0055】本発明による方法が実施されることができる装置のブロック図を、第1図中に表す。【0056】C4−炭化水素混合物(ラフィネートIまたは選択的に水素添加されたクラック−C4)(1)は、酸性のイオン交換樹脂を含有する反応器(3)中でメタノール(2)と反応し、MTBE含有反応混合物(4)に変換され、混合物は触媒充填物(5a)の下部の反応蒸留塔(5)内に供給される。塔頂生成物(6)として、メタノールおよび、イソブテン300wppm未満を有するC4−流が見られる。塔底生成物(7)として、MTBEが排出される。【0057】次の例につき、特許請求から生じる使用範囲に限定することなく本発明を詳説する。【0058】【実施例】例1:(比較例)C4−混合物と第1表中に記載した組成物との反応を、KATAMAX充填物中にアンバーリスト(Amberlyst)A15を装備した反応蒸留塔(第1図、参照)内で実施した。充填物を塔の上部に配置した。流入物の上方には、分離床があり、したがって、それぞれ1つの液体分布器を有するKATAMAX充填物、最後には新たに蒸留床がある。流入物の下方には、C4−炭化水素からのMTBEの分離を実行するため、十分に量った蒸留分離部がある。【0059】塔を、8.2バールの塔頂圧、流入床から上に向かって見ると65.8℃、65.4℃、65.1℃の充填物内温度、36%の触媒充填物の液圧、および1.02の還流比で運転した。この運転法で、93.4%の反応蒸留塔内イソブテン変換率を達成したが、ラフィネート中で必要とされるイソブテン残留濃度を達成するためには不十分である(第1B表中の分析を参照)。【0060】第1A表:反応蒸留塔の流れの組成【0061】【表1】【0062】第1B表:混合物中のC4−KW分布および塔の蒸留物(それぞれ100%になるまで標準化する)【0063】【表2】【0064】本発明による例2反応蒸留塔を、例1の場合と同一の圧力(8.2バール)、66.5℃、66.2℃、65.8℃の充填物内温度、36%の触媒充填物中同一の液圧、および流入物の比較可能な組成の下に運転した。塔内の還流比を変化させ、0.89に低下させた。例1と同様に、第2A表および第2B表は流入物の組成を示し、かつ変換率および選択率を引き出すことができる。【0065】第2A表:反応蒸留塔の流れの組成【0066】【表3】【0067】第2B表:塔の流入物および蒸留物中の混合物中C4−KW分布【0068】【表4】【0069】例2は、例1と比較して、1.02から0.89への還流比の減少がいかに有利であるかを示している。蒸留物中のイソブテン濃度は、C4−炭化水素に対して、例2の場合0.018%である。この蒸留物は、例1の蒸留物と比較して、1000wppm未満のイソブテン含量を有する1−ブテンの製造に適当である。【0070】例3(本発明による)反応蒸留塔を、7.4バールの圧力、62.2℃、62.0℃、61.6℃の充填物内温度、37%の触媒充填物内液圧、および0.89の還流比で運転した。例1と同様に第3A表および第3B表は、塔内の流入物の組成を示す。【0071】第3A表:反応蒸留塔の流れの組成【0072】【表5】【0073】第3B表:塔の流入物および蒸留物中の混合物*中C4−KW分布【0074】【表6】【0075】例3は、例2の場合と同一の還流比で触媒充填物中の圧力を減少することによって、蒸留物中のイソブテン含量を上昇させることなく、塔底生成物中のメチル−s−ブチルエーテル(MSBE)の濃度を低下させた。この品質の塔底生成物は、溶剤の品質でのMTBEの製造に適当である。【図面の簡単な説明】【図1】本発明による方法を実施するための装置の模式図【符号の説明】1 クラック−C4、 2 メタノール、 3 反応器、 4 MTBE含有反応混合物、 5 反応蒸留塔、 5a 触媒充填物、 6 塔頂生成物、 7塔底生成物 イソブテンを含有するC4−炭化水素流とメタノールとを酸触媒によって反応させることによって、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)およびほとんどイソブテンを含有しないC4−炭化水素混合物を製造する方法において、第1工程において、1つまたは複数の反応器中で平衡状態になるまで、イソブテンとメタノールとを反応させてMTBEにし、かつ混合物中に残留するイソブテンを第2工程において反応蒸留塔内で酸性のイオン交換樹脂によって反応させ、この場合、反応蒸留塔を3〜15バールの圧力範囲内および55〜75℃の反応領域温度範囲内で還流比1未満において運転することを特徴とする、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)およびイソブテンをほとんど含有しないC4−炭化水素混合物の製造法。 0.6を上回り1未満の還流比で反応蒸留塔を運転する、請求項1記載の方法。 第2工程において、C4−炭化水素混合物に対して450wppm未満のイソブテン−含量を有する、メタノールおよびC4−炭化水素混合物を含有する塔頂生成物が得られる、請求項1または2記載の方法。 反応領域内の温度が55〜70℃である、請求項1または2記載の方法。 圧力が7バール〜8.5バールである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 反応蒸留塔を、10〜110%の触媒充填物の液圧で運転する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。 第2工程において、C4−炭化水素混合物に対して450wppm未満のイソブテン含量を有する、C4−炭化水素混合物およびメタノールを含有する塔頂生成物、ならびに2500wppm未満のメチル−s−ブチルエーテル(MSBE)の含量を有するMTBEを含有する塔底生成物が得られる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。 塔頂生成物をC4−炭化水素混合物とメタノールとに分離する、請求項7記載の方法。 C4−炭化水素混合物が0.5wppm未満のMBTEを含有する、請求項7または8記載の方法。 塔底生成物が2500wppm未満のMSBEおよび2500wppm未満のC8−炭化水素を含有する、請求項7または8記載の方法。


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