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タイトル:特許公報(B2)_経口投与用製剤
出願番号:2001313559
年次:2007
IPC分類:A61K 9/58,A61K 9/62,A61K 47/32,A61K 47/38


特許情報キャッシュ

福森 義信 市川 秀喜 有本 昌弘 JP 3934383 特許公報(B2) 20070330 2001313559 20011011 経口投与用製剤 アルフレッサファーマ株式会社 000231394 高島 一 100080791 福森 義信 市川 秀喜 有本 昌弘 20070620 A61K 9/58 20060101AFI20070531BHJP A61K 9/62 20060101ALI20070531BHJP A61K 47/32 20060101ALI20070531BHJP A61K 47/38 20060101ALI20070531BHJP JPA61K9/58A61K9/62A61K47/32A61K47/38 A61K 9/00- 9/72 A61K 47/00-47/48 特開平08−026977(JP,A) 特開平07−275688(JP,A) 特開平07−002650(JP,A) 特開平04−312523(JP,A) 特開平04−282312(JP,A) 特開2000−103732(JP,A) 特開平07−010745(JP,A) 特開平06−296856(JP,A) 3 2003119123 20030423 14 20040623 保倉 行雄 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、医薬活性物質を消化管内の特定部位へ選択的に送達し得る型(以下「消化管内適所放出型」という。)の経口投与用製剤、または、医薬活性物質を経口投与から所定時間経過後に消化管内で放出させることができる型(以下「遅延放出型」という。)の経口投与用製剤に関する。【0002】【従来の技術】薬物療法において、潰瘍性大腸炎やクローン病等のような消化管内炎症性疾患に対する局所療法や、消化管内で化学分解や酵素分解を受けやすいタンパクやペプチド等の医薬活性物質、遺伝子治療を目的とした核酸やウイルスなどの経口投与療法などでは、消化管内の特定部位へ選択的に医薬活性物質を送達することが望まれている。【0003】このような消化管内特定部位への選択的な医薬活性物質の送達(部位選択性)を効率的に実現させるためには、消化管内特定部位で選択的に製剤から医薬活性物質を放出させるように、ヒト消化管内の物理的・生理学的要因及び製剤の消化管内移動時間を考慮した製剤設計が必要である。【0004】ヒト消化管内の物理的・生理学的要因については、これまでは胃内のpHは健常人で1.8〜4.5、腸内のpHは6.5〜7.5とされており、また小腸と大腸の間には本質的なpHの差はないとされていた。しかし、近年の研究では日本人において加齢に伴い胃酸分泌量の低いまたはほとんど分泌されない、胃内pHが5.5以上の低酸症・無酸症の割合が増加し、50歳代で60%以上のヒトで認められるとの報告がある(Journal of Pharmacobio-dynamics、第7巻、656-664頁、1984年)。更に、日本における高齢者の人口に占める割合の増加と薬剤の使用頻度が高齢者ほど高い傾向にあることを考慮すると、製剤設計において低酸症、無酸症患者への考慮が不可欠である。【0005】製剤の消化管内移動時間については、ヒトでの小腸通過時間は製剤の大きさや比重等(製剤側の物性)及び食事の影響等(生体側の条件)に関係なく約3±1時間であると言われているが、胃内容排出時間はこれら製剤側の物性並びに生体側の条件により、大きく影響されると言われている(International Journal of Pharmaceutics、第60巻、 89-97頁、1990年)。すなわち、一般に製剤の径が大きい錠剤やカプセル剤では、食事等の影響を受けて胃内容排出時間のばらつきが生じる。従って、胃内容排出時間のばらつきを最小限にするためには製剤の粒子径を小さくし、かつ多単位とするのが好ましい。【0006】消化管内の特定部位(小腸下部や大腸)で選択的に医薬活性物質を放出させる方法については、これまで様々な研究がなされており、腸溶性製剤や徐放性製剤のような古典的方法の他、徐放性製剤に腸溶性皮膜を被覆した製剤(Annals of the New York Academy of Science、第618巻、428-440頁、1991年)などが提唱されている。しかし、腸溶性製剤は胃内での医薬活性物質の放出を効果的に抑制するものの、小腸上部で急激に放出が開始されるために、医薬活性物質は小腸上部以降の目的部位に到達するまでに大部分が酸または酵素により失活する。また、腸溶性製剤の無酸症の患者への適用は胃内で既に医薬活性物質の放出が起こり、不適である。徐放性製剤は持続的に医薬活性物質が放出されるため、製剤が胃内に滞留する時間や小腸を移動する過程においても放出がおこり、消化管内の特定部位(小腸下部や大腸)に医薬活性物質を到達させる目的には効率的でない。【0007】また、大腸内に特異的に生存している微生物を利用した医薬活性物質放出システムも考案されている。例えば、アゾ結合を導入した新規高分子で医薬活性物質の組成物を被覆、またはマトリックス状にした製剤(Science、第233巻、1081-1084頁、1986年)やキトサンを硬カプセル化(Pharm Tech Japan、第15巻、1053-1062頁、1999年)したもの、またはキトサンで医薬活性物質を被覆した製剤があげられる。これらの製剤は大腸内に常在する腸内細菌によって医薬活性物質を被覆等している上記の新規高分子やキトサン等が分解され医薬活性物質を大腸内に放出するというものである。しかし、アゾ結合を導入した高分子は、発ガン性を含め安全性に問題があり、また腸内細菌の酵素活性の変動により分解速度の制御が困難である。キトサンを含む製剤(例えばキトサンを含むポリサッカライド)は、操作性、形成性、成膜性に乏しいため、実用化・量産化に適さない。キトサンを含む製剤の操作性、形成性、成膜性の欠点を補うためキトサンとアクリル系高分子やセルロース系高分子とを混合し、これで医薬活性物質を被覆した製剤では、腸内細菌による高分子の分解速度が低下し、医薬活性物質の放出が十分にされないという問題等が報告されている。【0008】さらに、放出開始時間を制御する技術を利用した製剤(Chemica1&Pharmaceutica1 Bulletin、第40巻、3036-3041頁、1992年)が考案されている。しかしながら、この製剤は、錠剤やカプセル剤であるため、既に述べたように、胃内容排出時間のばらつきの影響を受け、部位選択性が不十分である。即ち、錠剤やカプセル剤のようなシングルユニット製剤では、製剤の放出開始時間内に大腸へ製剤が到達すれば大腸へ医薬活性物質を100%放出できるが、消化管内移動時間の変動、特に食事等の影響による胃内容排出時間の変動により、放出開始時間になっても製剤が大腸へ到達しなければ大部分の医薬活性物質が目的部位に到達するまでに放出されることになる。この問題点を補うために、顆粒型製剤が考案された(Journal of Drug Targeting、第2巻、35-44頁、1994年)(Pharmceutical Research、第11巻、111-116頁、1994年)。しかし、顆粒の粒子径は約1mmであり、胃内容排出時間の変動に関する問題を解決するには粒子径が未だ大きいため、部位選択性が十分であるとは言えない。【0009】また、放出開始時間を制御するシステムを腸溶性高分子で被覆した製剤が考案されている(International Journal of Pharmaceutics、第213巻、83-91頁、2001年)。この製剤は胃から排出され、小腸へ製剤が移動した時点で腸溶性皮膜が溶解し、小腸通過時間と同等の薬物放出までの遅延時間(以下「ラグタイム」という)を持たせたシステムにすることで、部位選択性を高める狙いである。即ち胃内容排出時間のばらつきを相殺できる製剤であるが、上述したように日本において成人の低酸・無酸症がかなりの割合を占めることを考慮すると、本システムでは部位選択性を高めることはできない。【0010】また、医薬活性物質(フェナセチン)及び結合剤であるポリビニルピロリドンK90(PVP−K90、和光純薬社製)からなる医薬活性物質層をエチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(EA/MMA/HEMA)の三元共重合体からなる放出制御膜で被覆したマイクロカプセル製剤が開示されている(Chemica1&Pharmaceutica1 Bulletin、第36巻、3070-3078頁、1988年)。この製剤は、製剤の内部へ導水が起こり、水溶性芯物質である乳糖の溶解により浸透圧が生じ、製剤が膨張し結果として膜圧の顕著な減少又はポリマー中の水路の拡張がおこることによって薬物が放出されるものである。しかし、上述のように胃内容排出時間のばらつきを最小限にするためには製剤の粒子径を100μm程度とするのが好ましいが、この製剤では、粒子径を100μm程度とし、かつ量産化しようとする場合には、PVP−K90の高粘性及び粘着性のため、医薬活性物質層の形成工程において芯粒子の凝集が起こり、粒子径100μm程度の製剤を量産することは困難である。また、この製剤では薬物放出の制御に浸透圧を利用するため、臨床上の利用では生体の薬物放出部位の浸透圧等の環境に影響される。【0011】特開平6−296856号公報および特開平7−275688号公報には、マイクロカプセルの被覆材料として、EA/MMA/HEMAの三元共重合体とハイドロゲルから成る複合構造ラテックスが開示されている。しかしながら、これらは活性成分の放出を温度により制御する温度応答性活性成分放出制御および徐放性の放出を目的としたものであり、所定時間経過後の放出を目的とするものではない。【0012】一方、時間薬理学的観点からは1日の間で病態の軽重が生活リズムとともに変化する疾患に対して、投与から一定時間は医薬活性物質が放出されず、一定時間経過後に病態の重篤となる時間等に合わせて放出させることができる製剤が望まれる。例えばリュウマチ患者における起床時の手足のこわばり、痛みに対し就寝前や夕食後に投与して、就寝中は薬物が放出されず起床直前より薬物放出が開始され、起床時には十分な薬効が示せる血漿中薬物濃度にまで上昇させることが可能であり、老人医療において、QOL(quality of life)の向上にも寄与しうる製剤が望まれている。【0013】【発明が解決しようとする課題】本発明は、量産可能な製剤であって、胃内容排出時間が食事等の影響を受けにくく一定で、医薬活性物質を消化管内の特定部位へ選択的に送達でき、経口投与から所定時間経過後速やかに医薬活性物質を放出することができ、消化管内の浸透圧や水分量に拘わらず十分に医薬活性物質を放出してバイオアベイラビリティが高く、低酸症、無酸症患者に適用でき、工業的に有用な消化管内適所放出型または遅延放出型の経口投与用製剤を提供することを目的とする。【0014】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、水溶性物質からなる芯粒子の周囲に、医薬活性物質を含む医薬活性物質層をEA/MMA/HEMA三元共重合体からなる放出制御膜で被覆してなる粒子を含む経口投与用製剤において、医薬活性物質層にメチルセルロース系誘導体を含有させることにより、所望の量産可能な消化管内適所放出型または遅延放出型の経口投与用製剤を得ることができることを見出した。すなわち、本発明者らはこのような製剤とすることで▲1▼製造段階での凝集による造粒が起きないので、胃内容排出時間が食事等の影響を受けにくい粒子径100μm程度の粒子を含む製剤の量産が可能となること、▲2▼生体内で膜を介して浸透してくる水分によって製剤に含まれる粒子中のメチルセルロース系誘導体が膨潤し放出制御膜の局所的な膨張が起こり、この局所的膨張によってポリマー中の水路の拡張がおこることにより薬物が放出されるので、医薬活性物質の放出に浸透圧の影響を受けず、速やかに医薬活性物質を放出できること▲3▼粒子径を小さくすることで医薬活性物質が放出されるために要求される水の量が少なくてすむため消化管内、特に水分の少ない大腸においても製剤から医薬活性物質の放出が十分に行われバイオアベイラビリティが高くなることを見出して本発明を完成させた。本発明の製剤は放出制御膜が水不溶性であり、かつ放出制御膜の化学構造上、消化管内のpHで解離する官能基を持たないため、腸溶性製剤のように消化管内のpHに医薬活性物質の放出が影響されない点で低酸症、無酸症患者にも適用できる。【0015】すなわち、本発明は、以下の(1)〜(3)に関する。(1)水溶性物質からなる芯粒子の周囲に、医薬活性物質及びメチルセルロース系誘導体を含む医薬活性物質層を形成し、該医薬活性物質層をエチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート三元共重合体からなる放出制御膜で被覆してなる粒子を含む経口投与用製剤。(2)メチルセルロース系誘導体が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースから選ばれる1種または2種以上である(1)記載の経口投与用製剤。(3)エチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート三元共重合体の各モノマーのモル比が、エチルアクリレート11〜8に対しメチルメタクリレート10〜7、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2〜6である、(1)または(2)記載の経口投与用製剤。【0016】【発明の実施の形態】放出制御膜は、EA/MMA/HEMA三元共重合体を使用する。EA/MMA/HEMA三元共重合体は公知の方法(例えば、福森ら、Chem.Pharm.Bull.36(8):3070-3078(1988)記載の方法等)により製造できる。【0017】EA/MMA/HEMA三元共重合体の好ましい各モノマーのモル比はEA:MMA:HEMAが11〜8:10〜7:2〜6であり、医薬活性ペプチドやタンパク等をマイクロカプセルに封入した時、キュアリング時の加熱安定性を考慮すると高分子の軟化温度が40℃以下である95:85:40が最も望ましい。【0018】芯粒子は、製剤への導水を促進する理由から水溶性物質であることが必須である。芯粒子は水溶性物質であれば、特に限定はされないが、例えば、単糖、単糖誘導体及び少糖からなる群から選択される糖質が好ましい。単糖誘導体しては例えば糖アルコール等が挙げられる。さらに好ましくは、グルコース、ガラクトース、マンノース、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、リビトール、麦芽糖、セロビオース、乳糖、ショ糖から選択されるものが望ましく、最も望ましいのは乳糖である。芯粒子の粒子径は50〜105μmが望ましい。上記の材料は単独で使用することもできるが、2種以上を混合して使用することもできる。【0019】医薬活性物質層にはメチルセルロース系誘導体を含むことが必須である。メチルセルロース系誘導体は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースから選択されるものが望ましく、最も望ましいのはメチルセルロースである。メチルセルロースとしては、粘度が3.2〜4.8mm2/s(20℃、2%水溶液の粘度)のものが好ましく、かかる粘度のメチルセルロースは市販品(例えば、SM−4、信越化学社製等)を使用すればよい。メチルセルロース系誘導体の量は芯粒子重量に対し通常1〜100重量%であり、2.5〜40重量%が最も好ましい。なお、メチルセルロース系誘導体の量によって医薬活性物質の放出開始時間の調節が可能である。メチルセルロース系誘導体は一般に結合剤として使用される医薬品添加物であるので、本発明においても結合剤としての役割を兼ねることができる。また、メチルセルロース誘導体を使用する本発明の製剤は、PVP−K90を結合剤として使用した従来のものに比べ、所定時間経過後の医薬活性物質の放出が速やかである。【0020】本発明の製剤に適用される医薬活性物質は、経口投与から一定時間経過した後、放出することが望まれるあらゆる物質、または、消化管内の適所で放出されることが望まれるあらゆる物質であって、薬物としては、経口投与を目的とするものであれば、特に限定されず、例えば、解熱鎮痛消炎薬(例えば、インドメタシン、アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、メフェナム酸、アズレン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン、ベンザダック、フェニルブタゾン、フルフェナム酸、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、サザピリン、エトドラックなど)、ステロイド系抗炎症薬(例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロンなど)、抗潰瘍薬(例えば、5−アミノサリチル酸、エカベトナトリウム、エンプロスチル、スルピリド、塩酸セトラキサート、ゲファルナート、マレイン酸イルソグラジン、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、塩酸ロキサチジンアセテートなど)、冠血管拡張薬(ニフェジピン、硝酸イソソルビド、塩酸ジルチアゼム、トラピジル、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、ベラパミル、ニカルジピン、塩酸ニカルジピン、塩酸ベラパミルなど)、末梢血管拡張薬(例えば、酒石酸イフェンプロジル、マレイン酸シネパシド、シクランデレート、シンナリジン、ペントキシフィリンなど)、抗生物質(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、塩酸バカンピシリン、塩酸ミノサイクリン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシン、セフタジジム、セフロキシムナトリウム、アスポキシリン、リチペネムアコキシル水和物など)、合成抗菌薬(例えば、ナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、シノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、スルファメトキサゾール・トリメトプリムなど)、抗ウイルス薬(例えば、アシクロビル、ガンシクロビルなど)、鎮けい薬(例えば、臭化プロパンテリン、硫酸アトロピン、臭化オキサピウム、臭化チメピジウム、臭化ブチルスコポラミン、塩化トロスピウム、臭化ブトロピウム、N−メチルスコポラミンメチル硫酸、臭化メチルオクタロピンなど)、鎮咳薬(例えば、ヒベンズ酸チペピジン、塩酸メチルエフェドリン、リン酸コデイン、トラニラスト、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジメモルファン、塩酸クロブチノール、塩酸ホミノベン、リン酸ベンプロペリン、塩酸エプラジノン、塩酸クロフェダノール、塩酸エフェドリン、ノスカピン、クエン酸ペントキシベリン、クエン酸オキセラジン、クエン酸イソアミニルなど)、去たん薬(例えば、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸エチルシステイン、塩酸メチルシステインなど)、気管支拡張薬(例えば、テオフィリン、アミノフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、塩酸プロカテロール、塩酸トリメトキノール、ジプロフィリン、硫酸サルブタモール、塩酸クロルプレナリン、フマル酸ホルモテロール、硫酸オルシプレナリン、塩酸ピルブテロール、硫酸ヘキソプレナリン、メシル酸ビトルテロール、塩酸クレンブテロール、硫酸テルブタリン、塩酸マブテロール、臭化水素酸フェノテロール、塩酸メトキシフェナミンなど)、強心薬(例えば、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、ドカルパミン、デノパミン、カフェイン、ジゴキシン、ジギトキシン、ユビデカレノンなど)、利尿薬(例えば、フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジド、メチクロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、エチアジド、シクロペンチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロロチアジド、ピレタニド、メフルシド、エタクリン酸、アゾセミド、クロフェナミドなど)、筋弛緩薬(例えば、カルバミン酸クロルフェネシン、塩酸トルペリゾン、塩酸エペリゾン、塩酸チザニジン、メフェネシン、クロルゾキサゾン、フェンプロバメート、メトカルバモール、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、アフロクアロン、バクロフェン、ダントロレンナトリウムなど)、脳代謝改善薬(例えば、ニセルゴリン、塩酸メクロフェノキサート、タルチレリンなど)、マイナートランキライザー(例えば、オキサゾラム、ジアゼパム、クロチアゼパム、メダゼパム、テマゼパム、フルジアゼパム、メプロバメート、ニトラゼパム、クロルジアゼポキシドなど)、メジャートランキライザー(例えば、スルピリド、塩酸クロカプラミン、ゾテピン、クロルプロマジン、ハロペリドールなど)、β−ブロッカー(例えば、フマル酸ビソプロロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ラベタノール、塩酸アセブトロール、塩酸ブフェトロール、塩酸アルプレノロール、塩酸アロチノロール、塩酸オクスプレノロール、ナドロール、塩酸ブクモロール、塩酸インデノロール、マレイン酸チモロール、塩酸ベフノロール、塩酸ブプラノロールなど)、抗不整脈薬(例えば、塩酸プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、硫酸キニジン、塩酸アプリンジン、塩酸プロパフェノン、塩酸メキシレチン、塩酸アジミライドなど)、痛風治療薬(例えば、アロプリノール、プロベネシド、コルヒチン、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、ブコロームなど)、血液凝固阻止薬(例えば、塩酸チクロピジン、ジクマロール、ワルファリンカリウム、(2R,3R)−3−アセトキシ−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2,3−ジヒドロ−8−メチル−2−(4−メチルフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン・マレイン酸塩など)、血栓溶解薬(例えば、メチル(2E,3Z)−3−ベンジリデン−4−(3,5−ジメトキシ−α−メチルベンジリデン)−N−(4−メチルピペラジン−1−イル)スクシナメート・塩酸塩など)、肝臓疾患用薬(例えば、(±)r−5−ヒドロキシメチル−t−7−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]フラン−c−6−カルボン酸ラクトンなど)、抗てんかん薬(例えば、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、メタルピタール、カルバマゼピンなど)、抗ヒスタミン薬(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、メキタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸サイクロヘブタジン、ベシル酸ベポタスチンなど)、鎮吐薬(例えば、塩酸ジフェニドール、メトクロプラミド、ドンペリドン、メシル酸ベタヒスチン、マレイン酸トリメブチンなど)、降圧薬(例えば、レシナミン、メチルドパ、塩酸プラロゾシン、塩酸ブナゾシン、塩酸クロニジン、ブドララジン、ウラピジル、N−[6−[2−[(5−ブロモ−2−ピリミジニル)オキシ]エトキシ]−5−(4−メチルフェニル)−4−ピリミジニル]−4−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼンスルホンアミド・ナトリウム塩など)、高脂血症用薬(例えば、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウムなど)、交感神経興奮薬(例えば、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、塩酸イソプロテレノール、塩酸エチレフリンなど)、経口糖尿病治療薬(例えば、グリベングラミド、トルブタミド、グリミジンナトリウムなど)、経口抗癌薬(例えば、マリマスタットなど)、アルカロイド系麻薬(例えば、モルヒネ、コデイン、コカインなど)、ビタミン剤(例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸など)、頻尿治療薬(例えば、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸テロリジンなど)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(例えば、塩酸イミダプリル、マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、塩酸デラプリルなど)など、種々の薬物が挙げられ、他に、タンパク質、ポリペプチド、核酸、ウイルスなどの活性物質が挙げられる。医薬活性物質層には上記の1または2種以上を含んでいてもよい。【0021】医薬活性物質層には、他の添加物、例えば、結合補助剤として、デキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース等;凝集抑制剤として、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、タルク等を含んでいてもよい。【0022】本発明の製剤は、芯粒子の周囲に医薬活性物質層をレイヤリングさせた後、放出制御膜で外郭を被覆して粒子を得、例えばマイクロカプセル等の剤形として製造することにより得ることができる。【0023】医薬活性物質層のレイヤリングは、一般的な方法、例えば医薬活性物質及びメチルセルロース系誘導体を含む溶液のスプレーコーティング方法、メチルセルロース系誘導体のみを含む溶液をスプレーしながら医薬活性物質の粉体を散布する方法等で行うことができる。これらの方法は当該技術分野で周知の方法を用いて行うことができ、例えば、ドラフトチューブ付き噴流層装置(Grow Max (140)、不二パウダル社製)等を用いて行うことができる。【0024】放出制御膜のコーティングは、当該技術分野で既知の方法を用いて行うことができる。例えば、公知方法(例えば、福森ら、Chem. Pharm. Bull. 36(8): 3070-3078 (1988) 記載の方法等)により製造したEA/MMA/HEMA三元共重合体ラテックスを、蒸留水等で適宜希釈してスプレー液として、上記のドラフトチューブ付き噴流層装置(Grow Max (140)、不二パウダル社製)等を用いて行うことができる。コーティング後、30〜80℃で、少なくとも1時間以上加熱キュアリングする。このとき、1〜5wt%量の軽質無水ケイ酸(例えば、Aerosil #200、日本アエロジル社製など)を混合するのが好ましい。【0025】コーティング率によって、医薬活性物質の放出開始時間の調節が可能であり、医薬活性物質の性質及び標的とする消化管内部位により適宜設定できる。コーティング率(芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%)としては、50〜500重量%が好ましい。【0026】本発明の経口投与用製剤の粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、胃内容排出時間の影響を最小限とする見地からは100μm程度が好ましく、50〜150μmが特に好ましい。【0027】本発明の経口投与製剤の剤形は、経口投与に使用される剤形であれば特に限定はされず、例えば必要に応じて適当な添加剤を添加して、散剤、細粒、マイクロカプセル等とすること、また、これらの1または2種以上を打錠して錠剤とすること、カプセルに充てんして硬カプセル剤とすること等ができる。【0028】【実施例】製造例1EA/MMA/HEMA三元共重合体ラテックスを文献(福森ら、Chem. Pharm. Bull. 36(8): 3070-3078(1988))の記載から乳化重合法により製造した。乳化剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、反応開始剤として、過硫酸アンモニウム(APS)を用いた。EA/MMA/HEMA共重合体の合成に用いられる各モノマーの合計重量が433gとなるようにモノマーの配合比に相当するEA、MMA及びHEMAからなるモノマー混合液を調製した。モノマー混合液中のモノマー比(EA:MMA:HEMA)は95:85:40である。上記のごとく調製したモノマー混合液から150gを予め4gのSDSを1300gの蒸留水に溶解させた水溶液に加え、ホモミキサーを用いて乳化した。得られた乳化物を攪拌機、還流冷却器、モノマー滴下ビュレット、窒素導入管及び反応開始剤投入口を付した内容量2Lの丸底5頸セパラブルフラスコに移した。この乳化液を投入したフラスコは反応停止まで窒素気流下80℃の恒温水槽に浸し、泡立たない程度に激しく攪拌した。乳化液入りのフラスコを浸している恒温水槽の温度が再度80℃に達した後、反応開始剤投入口から反応開始剤としてAPS水溶液(1g/50mL)を1mL添加した。投入30分後に残りのモノマー混合液を滴下ビュレットに入れ、約3時間かけてゆっくりと滴下した。全てのモノマー混合液を滴下した後、更に2時間反応をさせた。モノマー混合液滴下中は30分毎にAPS水溶液(1g/50mL)を1mLずつ添加した。滴下終了後は30分毎に高濃度のAPS水溶液(1g/15mL)を1mLずつ添加した。反応の停止は、反応に用いたフラスコを冷水で冷却することで行った。冷却後得られたラテックスを80メッシュの篩に通して、ラテックス中の凝集物を除去した。さらに、5日間のセルロースチューブでの透析により、ラテックス中の未反応物質及び水溶性物質を除去した。【0029】実施例1:乳糖芯粒子重量に対するメチルセルロースの重量%が10%、コーティング率(乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%)が100%、140%、180%、200%、220%、260%および300%のFITC-dextran含有マイクロカプセルの調製マイクロカプセルの調製はボトムスプレータイプのドラフトチューブ付き噴流層装置(Grow Max (140)、不二パウダル社製)により行った。先ず、90−105μmに分級した乳糖芯粒子(Pharmatose100M 、DMV社製)25gを装置に仕込んだ。水溶性高分子モデル薬物として、分子量9,500のフルオレッセンイソチオシアネートでラベルされたデキストラン(FITC-dextran、FD-10S、シグマ社製)0.25gとメチルセルロース(SM-4、信越化学社製)2.5gを蒸留水200mLに溶解し、スプレー液とした。操作条件は吸気温度45℃、排気温度25℃、流動化エア流速0.30m3/min、スプレー圧2.6atm、スプレー液流速1.6mL/min、スプレーノズル径1.0mmφで芯粒子の周囲に医薬活性物質層をレイヤリングした。次いで製造例1で調製したEA/MMA/HEMA三元共重合体ラテックスを固形分濃度が10%になるように蒸留水で希釈し、これをスプレー液とした。先に調製した医薬活性物質層をレイヤリングした粒子に上記三元共重合体のラテックスのスプレー液をコーティングし、放出制御層を形成させた。装置は上記の製造装置を用い、操作条件は 吸気温度40℃、排気温度22℃、流動化エア流速0.30m3/min、スプレー圧2.7atm、スプレー液流速3.5mL/minで行い、FITC-dextran含有マイクロカプセルを得た。【0030】実施例2:乳糖芯粒子重量に対するメチルセルロースの重量%が2.5%、コーティング率(乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%)が200%のFITC-dextran含有マイクロカプセルの調製実施例1と同じ製造装置を用い、90−105μmに分級した乳糖芯粒子(Pharmatose100M 、DMV社製)25gを装置に仕込んだ。水溶性高分子モデル薬物として、分子量9,500のFITC-dextran(FD-10S、シグマ社製)0.25gとメチルセルロース(SM-4、信越化学社製)0.625gを蒸留水60mLに溶解し、スプレー液とした。医薬活性物質層のレイヤリング操作は実施例1と同様に実施した。次いで、放出制御層のコーティング時のスプレー液組成及び操作条件も実施例1と同様に行い、FITC-dextran含有マイクロカプセルを得た。【0031】実施例3:乳糖芯粒子重量に対するメチルセルロースの重量%が40%、コーティング率(乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%)が200%のFITC-dextran含有マイクロカプセルの調製実施例1と同じ製造装置を用い、90−105μmに分級した乳糖芯粒子(Pharmatose100M 、DMV社製)25gを装置に仕込んだ。水溶性高分子モデル薬物として、分子量9,500のFITC-dextran(FD-10S、シグマ社製)0.25gとメチルセルロース(SM-4、信越化学社製)10gを蒸留水600mLに溶解し、スプレー液とした。医薬活性物質層のレイヤリング操作は実施例1と同様に実施した。次いで、放出制御層のコーティング時のスプレー液組成及び操作条件も実施例1と同様に行い、FITC-dextran含有マイクロカプセルを得た。【0032】実施例4:乳糖芯粒子重量に対するメチルセルロースの重量%が10%、コーティング率(乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%)が140%、160%、200%、260%の、カルバゾクロムスルフォン酸ナトリウム(CCSS)含有マイクロカプセルの調製実施例1と同じ製造装置を用い、90−105μmに分級した乳糖芯粒子(Pharmatose100M 、DMV社製)25gを装置に仕込んだ。水溶性低分子モデル薬物として、CCSS(三和ケミカル社製)2.5gとメチルセルロース(SM-4、信越化学社製)2.5gを蒸留水200mLに懸濁させ、スプレー液とした。医薬活性物質層のレイヤリング操作は実施例1と同様に実施した。次いで、放出制御層のコーティング時のスプレー液組成及び操作条件も実施例1と同様に行い、CCSS含有マイクロカプセルを得た。【0033】実施例5:乳糖芯粒子重量に対するメチルセルロースの重量%が2.5%、コーティング率(乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%)が100%、140%、180%、220%、260%および300%の、ウシインスリン含有マイクロカプセルの調製実施例1と同じ製造装置を用い、90−105μmに分級した乳糖芯粒子(Pharmatose100M 、DMV社製)25gを装置に仕込んだ。水溶性高分子モデル薬物として、ウシインスリン (シグマ社製)0.1gとメチルセルロース(SM-4、信越化学社製)5gを蒸留水200mLに溶解し、スプレー液とした。医薬活性物質層のレイヤリング操作は実施例1と同様に実施した。次いで、放出制御層のコーティング時のスプレー液組成及び操作条件も実施例1と同様に行い、ウシインスリン含有マイクロカプセルを得た。【0034】試験例1実施例1と同じ製造装置を用い90〜105μmに分級した乳糖芯粒子(Pharmatose100M 、DMV社製)25gを装置に仕込んだ。水溶性高分子モデル薬物として、分子量9500のFITC-dextran(FD-10S、シグマ社製)0.25gと結合剤として、メチルセルロース(SM−4、信越化学社製)またはPVP−K90(和光純薬社製)2.5gをそれぞれ蒸留水200mlに溶解し、スプレー液とした。医薬活性物質層のレイヤリングは実施例1と同様に実施した。医薬活性物質層レイヤリング終了時における粒度分布を図1に示した。粒度分布測定はふるい分け法により測定した。白三角は乳糖芯粒子、白丸はPVP-K90を結合剤として用いた場合、黒丸はメチルセルロースを結合剤として用いた場合の粒度分布を示す。メチルセルロースを結合剤として用いた場合は凝集が起こらず、乳糖芯粒子が単核で医薬活性物質がレイヤリングされていることを示す。一方PVP-K90の場合は半分以上の粒子が凝集していることを示す。なお、測定法は、日本薬局方第14改正、一般試験法粉体粒度測定法に従いふるい分け法にて実施した。【0035】試験例2実施例1で調製したコーティング率200%のFITC-dextran含有マイクロカプセルに2wt%量の軽質無水ケイ酸(Aerosil #200、日本アエロジル社製)を混合後、40℃で6時間加熱キュアリングしたものを放出試験に供した。放出試験は日本薬局方14局、パドル法により行った。パドルの回転数は100rpmで、放出試験液には日局崩壊試験第1液(pH1.2)、第2液(pH6.8)及びリン酸緩衝液(pH7.4)を用いて行った。試験液中のFITC-dextran濃度測定は、pHによりFITC-dextranの蛍光強度が変化するため、試験液が第1液及びpH7.4リン酸緩衝液の場合はpHを6.8に調整した後、励起波長493nm、測定波長515nmで測定を行った。また、芯粒子である乳糖の濃度測定は、フェノール硫酸法により呈色させ、485nmで測定した。各pHにおけるマイクロカプセルからの放出挙動を図2に示した。pH1.2(白四角)、pH6.8(白三角)及びpH7.4(白丸)を示す。マイクロカプセルからのFITC-dextran及び乳糖の放出は、試験液のpHに関係なく推移し、完全に放出されることを示す。FITC-dextranと乳糖との放出挙動を比較すると、ラグタイムはほぼ同等であることを示す。【0036】試験例3実施例1で調製したコーティング率を100%から300%まで変化させたFITC-dextran含有マイクロカプセルに2wt%量の軽質無水ケイ酸(Aerosil #200、日本アエロジル社製)を混合後、40℃で6時間加熱キュアリングしたものを放出試験に供した。放出試験は試験例2と同様の試験方法で、放出試験液には日局崩壊試験第2液(pH6.8)を用いて行った。試験液中のFITC-dextran濃度は、試験例2と同様の測定を行った。各マイクロカプセルからの放出挙動を図3に示した。図中の符号は乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%であることを示す。100%(白丸)、140%(黒丸)、180%(白三角)、220%(黒三角)、260%(白四角)、300%(黒四角)を示す。コーティング率の増加に伴い、ラグタイムの延長が認められることを示す。またラグタイム後のFITC-dextranの放出速度はコーティング率により若干の遅延が認められるが、マイクロカプセルからFITC-dextranは完全に放出されることを示す。【0037】試験例4実施例1、2及び3で調製したコーティング率が200%のFITC-dextran含有マイクロカプセルに2wt%量の軽質無水ケイ酸(Aerosil #200、日本アエロジル社製)を混合後、40℃で6時間加熱キュアリングしたものを放出試験に供した。放出試験は試験例2と同様の試験方法で、放出試験液には日局崩壊試験第2液(pH6.8)を用いて行った。試験液中のFITC-dextran濃度は、試験例2と同様の測定を行った。各マイクロカプセルからの放出挙動を図4に示した。図中の符号は乳糖芯粒子重量に対するメチルセルロースの重量%であることを示す。2.5%(白丸)、10%(黒丸)、40%(白三角)を示す。同じ放出制御膜厚でもメチルセルロースの処方量が多くなれば、ラグタイムの短縮が認められることを示す。【0038】試験例5実施例4で調製したコーティング率が140%、200%および260%のCCSS含有マイクロカプセルに2wt%量の軽質無水ケイ酸(Aerosil #200、日本アエロジル社製)を混合後、40℃で6時間加熱キュアリングしたものを用いた。溶出試験は試験例2と同様の試験方法で、放出試験液には日局崩壊試験第2液(pH6.8)を用いて行った。試験液中のCCSS濃度は、比色定量法(測定波長365nm)により定量した。各マイクロカプセルからの放出挙動を図5に示した。図中の符号は乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%であることを示す。【0039】試験例6試験例5と同様の実施例4で調製したコーティング率が140%、200%および260%のCCSS含有マイクロカプセルをイヌに経口投与し、経口投与から所定の時間経過後に血液を採取し、HPLCを用いて、血漿中CCSS濃度を測定した。各マイクロカプセル投与群の平均血漿中濃度推移を図6に示した。図中の符号は乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%であることを示す。図5と図6を比較すると放出試験での溶出のラグタイムとイヌへ経口投与後の血漿中にCCSSが見いだせる時間(吸収のラグタイム)との間に良好な相関が認められた。また、各マイクロカプセル投与群の薬物血中濃度時間曲線下面積(AUC)及びラグタイムを表1に示す。AUCの値からイヌにおいてラグタイムの延長に伴うバイオアベイラビリティの低下が少ないことを認めた。【0040】【表1】【0041】試験例7実施例5で調製したコーティング率を100%から300%まで変化させたウシインスリン含有マイクロカプセルに2wt%量の軽質無水ケイ酸(Aerosil #200、日本アエロジル社製)を混合後、40℃で6時間加熱キュアリングしたものを用いた。放出試験は試験例2と同様の試験方法で、放出試験液には日局崩壊試験第2液(pH6.8)を用いて行った。試験液中のウシインスリン濃度は、タンパク定量キット(500-0002、BIORAD社製)を用い比色定量した。各マイクロカプセルからの放出挙動を図7に示した。図中の符号は乳糖芯粒子重量に対する放出制御膜高分子固形成分重量%であることを示す。100%(白丸)、140%(黒丸)、180%(白三角)、220%(黒三角)、260%(白四角)、300%(黒四角)を示す。FITC-dextranと同様に、コーティング率の増加に伴い、ラグタイムの延長が認められることを示す。またラグタイム後のウシインスリンの放出速度はコーティング率により若干の遅延が認められるが、マイクロカプセルからウシインスリンは完全に放出されることを示す。【0042】試験例8実施例1で調製したコーティング率200%のFITC-dextran含有マイクロカプセルに2wt%量の軽質無水ケイ酸(Aerosil #200、日本アエロジル社製)を混合後、40℃で6時間加熱キュアリングしたものを放出試験に供した。放出試験は試験例2と同様の試験方法で、放出試験液には水、0.5mol/Lのグルコース溶液及び1mol/Lのグルコース溶液を用いて行った。試験液中のFITC-dextran濃度は、試験例2と同様の測定を行った。また、実施例1のメチルセルロース2.5gの替わりにポリビニルピロリドンK90(PVP-K90、和光純薬社製)2.5gを用いて他は実施例1と同様の方法で調製したコーティング率160%のFITC-dextran含有マイクロカプセルについて比較した。各マイクロカプセルからの放出挙動を図8に示した。黒四角、黒丸、黒三角は、メチルセルロース、白四角、白丸、白三角はPVP-K90を結合剤として使用したものを示し、また黒四角、白四角は水、黒丸、白丸は0.5mol/Lのグルコース水溶液、黒三角、白三角は1mol/Lのグルコース水溶液を放出試験液として使用したものを示す。結合剤としてPVP-K90を用いたマイクロカプセルは試験液の浸透圧の増加に伴い放出が遅延した。一方結合剤としてメチルセルロースを用いたマイクロカプセルは浸透圧の影響をあまり受けなかった。【0043】【発明の効果】本発明の経口投与用製剤は、水溶性物質からなる芯粒子の周囲に医薬活性物質層を形成し、該医薬活性物質層をEA/MMA/HEMA三元共重合体からなる放出制御膜で被覆してなる経口投与用製剤において、医薬活性物質層にメチルセルロース誘導体を含むことで、製造工程における凝集を起こさず粒子径が100μm程度の粒子を含む製剤の量産可能とし、その結果、製剤の胃内容排出時間を食事等に影響されず一定とすることができるので、医薬活性物質を消化管内の特定部位へ選択的に送達でき、経口投与から所定時間経過後速やかに医薬活性物質を放出することができる。また、本発明の経口投与用製剤は、医薬活性物質の放出制御に浸透圧の影響を受けにくく、また、従来より少ない水分量でも十分に医薬活性物質を放出することができ、バイオアベイラビリティが高い。さらに、医薬活性物質の放出の制御にpHによる溶解性を利用しないので低酸症、無酸症患者に適用できる。すなわち、本発明の経口投与用製剤は、これらの効果を有する結果、例えば、タンパクやペプチド等の医薬活性物質、遺伝子治療を目的とした核酸やウイルス等、腸内の特定部位へ選択的に送達する必要のある薬物を用いた場合、有効性の優れた医薬製剤となる。また、本発明の製剤は時間薬理学的観点から一日の間で病態の軽重が生活リズムとともに変化する疾患(例えばリュウマチ)に対しても有効な医薬製剤となり、老人医療においてQOLの向上にも寄与しうる。【図面の簡単な説明】【図1】 PVP-90又はメチルセルロースを結合剤として用いた場合の医薬活性物質層レイヤリング終了時の粒度分布を示すグラフである。【図2】各pHにおけるマイクロカプセルからのFITC-dextran又は乳糖の放出挙動を示すグラフである。【図3】各コーティング率におけるマイクロカプセルからのFITC-dextranの放出挙動を示すグラフである。【図4】メチルセルロースが各重量%であるマイクロカプセルからのFITC-dextranの放出挙動を示すグラフである。【図5】各コーティング率におけるマイクロカプセルからのCCSSの放出挙動を示すグラフである。【図6】各コーティング率におけるマイクロカプセルのイヌ経口投与後のCCSSの平均血漿中濃度推移を示すグラフである。【図7】各コーティング率におけるマイクロカプセルからのウシインスリンの放出挙動を示すグラフである。【図8】各浸透圧の溶出試験液におけるPVP-K90又はメチルセルロースを結合剤として用いた場合のマイクロカプセルからのFITC-dextran放出挙動を示すグラフである。 水溶性物質からなる芯粒子の周囲に、医薬活性物質及びメチルセルロースを含む医薬活性物質層を形成し、該医薬活性物質層を、モノマーのモル比がエチルアクリレート11〜8に対しメチルメタクリレート10〜7、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2〜6である、エチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート三元共重合体からなる放出制御膜で被覆してなる粒子を含む経口投与用製剤。 上記メチルセルロースが、20℃、2%水溶液としたときの粘度が3.2〜4.8mm2/sのメチルセルロースである、請求項1記載の経口投与用製剤。 上記メチルセルロースの量が、芯粒子重量に対し、2.5〜40重量%である、請求項1または2記載の経口投与用製剤。


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