タイトル: | 特許公報(B2)_ハロー撮影装置およびハロー撮影方法 |
出願番号: | 2001287967 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C12M1/34,C12Q1/06 |
笹川 伸之 平田 三穂子 武士 甲一 JP 3584251 特許公報(B2) 20040813 2001287967 20010921 ハロー撮影装置およびハロー撮影方法 株式会社プラムネット 501364807 杉山 誠二 100104330 北海道 591190955 笹川 伸之 平田 三穂子 武士 甲一 20041104 7 C12M1/34 C12Q1/06 JP C12M1/34 B C12Q1/06 7 C12M 1/00 - C12M 3/10 特開平09−023896(JP,A) 特開昭61−247374(JP,A) 特表2001−525162(JP,A) 12 2003093042 20030402 8 20011001 田中 耕一郎 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は一般に、ハロー撮影装置およびハロー撮影方法に関する。より詳細には、本発明は、寒天培地上に形成される細菌(特に、リステリア菌、セレウス菌、黄色ブドウ球菌など)のコロニーのハローを撮影する装置および方法に関する。ここで、コロニーとは、細菌が分裂・増殖した結果、寒天培地上に形成される集落のことであり、ハロー(HALO)とは、細菌のコロニーの周辺に形成される混濁帯のことである。【0002】【従来の技術】食品は、公定法に準拠した細菌検査により、汚染指標菌および食中毒菌の有無を判定することが義務づけられている。このような細菌検査の方法は、厚生労働省の監修に係る「食品衛生法」および「食品衛生検査指針・微生物編」において公定法および検査指針として定められている。公定法および検査指針による検査では、シャーレ内に充填した寒天培地上に検体を塗沫し、一定時間培養した後に汚染指標菌および食中毒菌を定性あるいは定量試験により判定することを原則としている。【0003】一方、代表的な食中毒菌であるリステリア菌、セレウス菌、黄色ブドウ球菌等においては、コロニーの周辺にハローが形成されることが知られており、各細菌に対応した特定の寒天培地を用いた場合、ハローの形成が各細菌に特異的であることが知られている。したがって、ハローの判別が、これらハロー形成性食中毒菌の有無を判定するのに重要な意義を有している。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、培養初期にはハローが極めて薄いため、従来の装置および方法では、ハローを早期に視覚的に判別することが困難であった。したがって、本発明は、ハローを鮮明かつ培養後早期に撮影するハロー撮影装置および撮影方法を提供し、細菌検査の結果を早期に判定できるシステムを構築することを目的としている。【0005】【課題を解決するための手段】本願請求項1に記載のハロー撮影装置は、検体から細菌を検出するため寒天培地が充填されたシャーレが、カメラと白色で均一な平面形態を有する透過光源との間に配置されており、透過光源とシャーレとの距離が所定距離となるように透過光源の位置を調節することができ、透過光源からの光がシャーレ以外の個所に当たらないようにシャーレ以外の個所を遮蔽する第1の遮蔽板が、シャーレと実質的に同じ高さのところに配置されており、透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きい領域以外の領域を遮蔽する第2の遮蔽板が、透過光源に近接して配置されていることを特徴とするものである。【0006】本願請求項2に記載のハロー撮影装置は、前記請求項1の装置において、透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きく且つ前記第2の遮蔽板の遮蔽領域よりも小さい領域を遮蔽する第3の遮蔽板が、透過光源に近接して配置されていることを特徴とするものである。【0007】本願請求項3に記載のハロー撮影装置は、前記請求項1の装置において、透過光源とシャーレとの前記所定距離が、5〜15cmであることを特徴とするものである。【0008】本願請求項4に記載のハロー撮影装置は、前記請求項3の装置において、透過光源とシャーレとの前記所定距離が、10cmであることを特徴とするものである。【0009】本願請求項5に記載のハロー撮影装置は、前記請求項1〜4のいずれか1項の装置において、第2の遮蔽板における前記所定寸法が、0〜3cmであることを特徴とするものである。【0010】本願請求項6に記載のハロー撮影装置は、前記請求項5の装置において、第2の遮蔽板における前記所定寸法が、1cmであることを特徴とするものである。【0012】本願請求項7に記載のハロー撮影方法は、カメラと白色で均一な平面形態を有する透過光源との間に、検体を接種した培養シャーレを配置する第1の段階と、透過光源とシャーレとの距離が所定距離となるように透過光源の位置を調節する第2の段階と、透過光源からの光がシャーレ以外の個所に当たらないようにシャーレ以外の個所を遮蔽する第3の段階と、透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きい領域以外の領域を遮蔽する第4の段階と、透過光源によりシャーレを照明して撮影し、第1の画像を得る第5の段階とを備えていることを特徴とするものである。【0013】本願請求項8に記載のハロー撮影方法は、前記請求項7の方法において、透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きく且つ前記第4の段階における遮蔽領域よりも小さい領域を遮蔽する第6の段階と、透過光源によりシャーレを照明して撮影し、第2の画像を得る第7の段階とを更に備えていることを特徴とするものである。【0014】本願請求項9に記載のハロー撮影方法は、前記請求項7又は8の方法において、透過光源とシャーレとの前記所定距離が、5〜15cmであることを特徴とするものである。【0015】本願請求項10に記載のハロー撮影方法は、前記請求項9の方法において、透過光源とシャーレとの前記所定距離が、10cmであることを特徴とするものである。【0016】本願請求項11に記載のハロー撮影方法は、前記請求項7〜10のいずれか1項の方法において、前記第4の段階における前記所定距離が、0〜3cmであることを特徴とするものである。【0017】本願請求項12に記載のハロー撮影方法は、前記請求項10の方法において、前記第4の段階における前記所定距離が、1cmであることを特徴とするものである。【0019】【発明の実施の形態】次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係るハロー撮影装置に関して説明する。図1において全体として参照符号10で示される本発明の好ましい実施の形態に係るハロー撮影装置は、カメラ12を備えている。カメラ12は典型的には、CCD方式のものが使用されるが、他の方式のカメラを使用してもよい。カメラ12は、図1に示されるように、ベース14に固定された垂直ポール16にアーム18を介して取付けられている。【0020】ハロー撮影装置10は又、透過光源20を備えている。透過光源20は、図1に示されるように、ベース14に固定された垂直ポール22に、支持具24を介して昇降可能に取付けられている。すなわち、透過光源20を支持している支持具24が、垂直ポール22に取付けられたレール26に沿って、モータ28の駆動力を利用して垂直方向に移動するように構成されている。なお、このような昇降手段自体は、公知のものであるので、詳細な説明は省略する。【0021】透過光源20は、白色で均一な平面光源であり、均一な輝度になるように調整された白色発光ダイオードで形成するのが好ましい。【0022】ハロー撮影装置10は更に、検体から細菌を検出するために寒天培地が充填されたシャーレ30を備えている。円形の平面形状をもつシャーレ30は、アーム32を介して垂直ポール16に取付けられている。本発明者の行った実験によれば、透過光源20とシャーレ30との距離は、好ましくは5cm〜15cmであり、最も好ましくは10cmである。上述の昇降手段を利用して、透過光源20とシャーレ30との距離を適当に調整する。【0023】ハロー撮影装置10は更に、シャーレ30と略同じ高さのところに取付けられた第1の遮蔽板34を備えている。第1の遮蔽板34は、シャーレ30の平面形状と実質的に同一の平面形状をもつ開口34aを有しており、透過光源20からの光がシャーレ30以外の個所からカメラ12に到達しないようにするのに役立つ。第1の遮蔽板34を設けたことにより、シャーレ30の側壁等に当たった光が乱反射するのが防止される。【0024】ハロー撮影装置10は更に、透過光源20の直下に取付けられた第2の遮蔽板36を備えている。第2の遮蔽板36は、後述する大きさをもつ開口36aを有しており、透過光源20の光量を調節するのに役立つ。【0025】第2の遮蔽板36の開口36aは、シャーレ30の画像内の輝度のムラを最小限に抑えるような大きさを有しているのが望ましい。本発明者は、種々の実験を行った結果、ハローを撮影するのに最適の大きさの開口36aを見い出した。いま、図2に示されるように、カメラ12とシャーレ30との距離をL1 、シャーレ30と透過光源20との距離をL2 、シャーレ30の直径をDとすると、透過光源20におけるシャーレ30のカメラ12から見た射影領域の直径Eは、E=D×(L1 +L2 )/(L1 )で表され、開口36aの大きさは、E+2Xとなる。本発明者の実験によれば、Xは、好ましくは0〜3cmであり、最も好ましくは1cmであることが分かった。【0026】ハロー撮影装置10は更に、図3に示されるように、透過光源20の直下に取付けられた第3の遮蔽板38を備えている。第3の遮蔽板38は、シャーレ30のカメラ12から見た射影領域の直径Eよりも僅かに大きい直径E+2Yを有している(第4図参照)。本発明者の行った実験によれば、Yは、好ましくは0〜1cmである。第3の遮蔽板38は、シャーレ30を直接照明しないようにするのに役立つ。なお、第3の遮蔽板38は、第2の遮蔽板36の開口36aよりも小さくなければならない。【0027】以上のように構成されたハロー撮影装置10を用いてハローを撮影する方法について説明する。まず、シャーレ30内に寒天培地を充填し、検体を塗沫した後、一定時間培養する。次いで、シャーレ30と透過光源20との距離L2 を5〜15cmにし、第1の遮蔽板34と第2の遮蔽板36を配置した状態で撮影し、第1の画像を得る(第1の画像では、シャーレ全体が明るく表され、ハローが相対的に暗く表される)。次いで、上述の状態に加えて第3の遮蔽板38を配置した状態で撮影し、第2の画像を得る(第2の画像では、シャーレ全体が暗く表され、ハローが相対的に明るく表される)。【0028】上述のようにして得られた第1および第2の画像は、次のように処理される。第1の画像と第2の画像の同座標画素の各濃度値の差の絶対値を画素値とする画像を作成し、これを第3の画像とする。同様に、第1の画像と第2の画像の反転画像の同座標画素の各濃度値の差の絶対値を画素値とする画像を作成し、これを第4の画像とする。このようにして画像処理することにより、ハローが鮮明に表される。【0029】本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。【0030】たとえば、前記実施の形態においては、シャーレ30は、円形の平面形状を有するものとして示されているが、矩形の平面形状を有するシャーレを使用してもよい。また、前記実施の形態では、光源20とシャーレ30との距離L2 が機械的に調節することができるように構成されているが、距離L2 を手動で調節するようにしてもよい。【0031】【発明の効果】本発明によれば、従来の装置および方法では、培養後早期に視覚的に判別するのが困難であったハローの鮮明な画像を得ることが可能になり、これによりハローを形成する食中毒菌の有無およびその数を正確に判定することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の好ましい実施の形態に係るハロー撮影装置を示した模式図である。【図2】図1において遮蔽板の寸法を示した図である。【図3】図1において第3の遮蔽板を配置した状態を示した図である。【図4】図3において遮蔽板の寸法を示した図である。【符号の説明】10 ハロー撮影装置12 カメラ14 ベース16、22 垂直ポール20 透過光源30 シャーレ34 第1の遮蔽板36 第2の遮蔽板38 第3の遮蔽板 細菌コロニーの周辺に形成されるハローを撮影する装置であって、検体から細菌を検出するため寒天培地が充填されたシャーレが、カメラと白色で均一な平面形態を有する透過光源との間に配置されており、透過光源とシャーレとの距離が所定距離となるように透過光源の位置を調節することができ、透過光源からの光がシャーレ以外の個所に当たらないようにシャーレ以外の個所を遮蔽する第1の遮蔽板が、シャーレと実質的に同じ高さのところに配置されており、透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きい領域以外の領域を遮蔽する第2の遮蔽板が、透過光源に近接して配置されている、ことを特徴とする装置。 透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きく且つ前記第2の遮蔽板の遮蔽領域よりも小さい領域を遮蔽する第3の遮蔽板が、透過光源に近接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 透過光源とシャーレとの前記所定距離が、5〜15cmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。 透過光源とシャーレとの前記所定距離が、10cmであることを特徴とする請求項3に記載の装置。 第2の遮蔽板における前記所定寸法が、0〜3cmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。 第2の遮蔽板における前記所定寸法が、1cmであることを特徴とする請求項5に記載の装置。 細菌のコロニーのハローを撮影する方法であって、カメラと白色で均一な平面形態を有する透過光源との間に、検体を接種した培養シャーレを配置する第1の段階と、透過光源とシャーレとの距離が所定距離となるように透過光源の位置を調節する第2の段階と、透過光源からの光がシャーレ以外の個所に当たらないようにシャーレ以外の個所を遮蔽する第3の段階と、透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きい領域以外の領域を遮蔽する第4の段階と、透過光源によりシャーレを照明して撮影し、第1の画像を得る第5の段階とを備えていることを特徴とする方法。 透過光源におけるシャーレのカメラから見た射影領域よりも外方にそれぞれ所定寸法大きく且つ前記第4の段階における遮蔽領域よりも小さい領域を遮蔽する第6の段階と、透過光源によりシャーレを照明して撮影し、第2の画像を得る第7の段階とを更に備えていることを特徴とする請求項7に記載の方法。 透過光源とシャーレとの前記所定距離が、5〜15cmであることを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。 透過光源とシャーレとの前記所定距離が、10cmであることを特徴とする請求項9に記載の方法。 前記第4の段階における前記所定寸法が、0〜3cmであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。 前記第4の段階における前記所定寸法が、1cmであることを特徴とする請求項11に記載の方法。