生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_レポータープラスミド
出願番号:2001274877
年次:2011
IPC分類:C12N 15/09


特許情報キャッシュ

武吉 正博 JP 4745563 特許公報(B2) 20110520 2001274877 20010911 レポータープラスミド 一般財団法人 化学物質評価研究機構 000173566 高畑 靖世 100083688 武吉 正博 20110810 C12N 15/09 20060101AFI20110721BHJP JPC12N15/00 A C12N 15/00-15/90 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq WPI 日本内分泌撹乱化学物質学会・第二回研究発表会要旨集, 1999, Vol.2, p.230 Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology, 1983, Vol.47, p.985-988 Biochem. Biopys. Res. Commun., 1992, Vol.182, No.1, p.174-181 5 2003079368 20030318 12 20080602 鳥居 敬司 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、エンハンサー活性測定用プラスミドベクターに関し、更に詳述すれば、内分泌攪乱物質(いわゆる環境ホルモン等の化学物質)等のホルモン様作用濃度決定等に使用できるエンハンサー活性測定用プラスミドベクターに関する。【0002】【従来の技術】自然環境中には産業由来の化学物質が存在し、この化学物質の一部は、ホルモン様活性があるため、自然環境中に棲息する生物(以下、環境生物という)や人の生体内に取り込まれた場合、環境生物や人の内分泌系を攪乱し、生殖障害等を引き起こすことが疑われ、大きな社会問題となっている。この問題に対応する方法として、内分泌攪乱作用が疑われている化学物質に関する環境生物や人への暴露の実態調査や内分泌攪乱作用メカニズムの解明とともに、化学物質の内分泌物質様活性を評価する方法の開発が急務となっている。【0003】従来、化学物質の内分泌物質様活性を評価する方法、例えばホルモン受容体の一種であるエストロゲン受容体に対する内分泌物質様活性を評価する方法として、レポーター遺伝子アッセイがある。【0004】この方法は、エストロゲン等のホルモンの生体内作用メカニズムを模擬した方法である。即ち、エストロゲン等のホルモンは培養細胞核内に移動し、ここでエストロゲン受容体に結合するが、この結合体は染色体遺伝子の特定塩基配列を認識してその特定塩基配列の遺伝子(エンハンサー)に結合し、その下流にある遺伝子の転写を引き起す。その結果それに対応するタンパク質が合成される。【0005】レポーター遺伝子アッセイでは、培養細胞中に、ホルモン受容体を合成する発現遺伝子、及びホルモンとその受容体との結合体が特異的に結合する特定の塩基配列(エンハンサー)と、その下流に結合したプロモーターと、更にその下流に結合したレポーター遺伝子とを注入し、評価対象の化学物質に暴露させる。【0006】レポーター遺伝子としては、タンパク質の合成量を発光量等で高感度に測定できるホタルルシフェラーゼ等の遺伝子等を用いている。【0007】化学物質が細胞中で発現している受容体に結合しやすいものであれば、受容体と結合し、その結合体がエンハンサーの特定塩基配列に結合し、その結果、ルシフェラーゼ等のレポータータンパク質を発現する。このレポータータンパク質の発現量を、その発光量等を測定して求めることにより、前記化学物質のホルモン様の作用の程度を推定できる。【0008】従来、このような目的で用いる市販エンハンサー活性測定用レポータープラスミドのプロモーターには、SV40、CMV、TK等が使用されている。図6は、従来のレポータープラスミドの一例を示すもので、ルシフェラーゼ、LacZ(β−ガラクトシダーゼ)等のレポーター遺伝子の上流にはSV40のプロモーター配列を配し、更にその上流にはエンハンサー配列を挿入するためのマルチプルクローニングサイトを配置してある。【0009】しかし、これらのレポータープラスミドを用いてエストロゲン受容体レポーターアッセイを行う場合、バックグラウンドの発光量が大きく、例えばエストラジオール等のエストロゲンによる最大活性値はコントロールの5倍程度で光量差が小さく、このため測定値のばらつきも大きい。【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、ラットα2uグロブリン遺伝子プロモーターをレポータープラスミドのプロモーターとして用いると、上記問題を解決できること、特に、α2uグロブリンプロモーターのTATAボックスから上流に向う90〜300塩基がプロモーターとして有効であり、これを用いる場合は、転写活性化効率を低減させることなくバックグランドを低減させることができ、その結果コントロールに対する最大活性値を10〜20倍に向上できることを知得し、本発明を完成するに至った。【0011】従って、本発明の目的とするところは、高感度、高再現性のある測定値を得ることのできるレポータープラスミドを提供することにある。【0012】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、〔1〕 レポーター遺伝子の上流にプロモーター、更にその上流にエンハンサー挿入用マルチプルクローニングサイトを組込んだレポータープラスミドにおいて、前記プロモーターがα2uグロブリンプロモーターであることを特徴とするレポータープラスミド。【0013】〔2〕 プロモーターが、α2uグロブリンプロモーターのTATAボックスから上流へ向う90〜300塩基からなるプロモーターである〔1〕に記載のレポータープラスミド。【0014】〔3〕 マルチプルクローニングサイトにエストロゲンとエストロゲン受容体との結合体と結合するエンハンサーを挿入してなる〔1〕又は〔2〕に記載のレポータープラスミド。【0015】〔4〕 マルチプルクローニングサイトに男性ホルモンと男性ホルモン受容体との結合体と結合するエンハンサーを挿入してなる〔1〕又は〔2〕に記載のレポータープラスミド。【0016】以下、本発明を詳細に説明する。【0017】【発明の実施の形態】本発明のレポータープラスミドは、図1に示すように、レポーター遺伝子2の上流にプロモーター4、その上流にエンハンサー挿入用マルチプルクローニングサイト6を順次プラスミドに組み込んでなる。【0018】レポーター遺伝子2は、化学物質や光等を用いてその存在量を高感度で検出することのできるタンパク質を発現するものであればいずれのものでも良い。具体的には、発光量を検出できるルシフェラーゼ、LacZ(β-ガラクトシダーゼ)等のレポータータンパク質を発現する遺伝子を例示できる。【0019】本発明で使用するプロモーター4は、α2uグロブリンプロモーターである。プロモーターとして、α2uグロブリンプロモーターをそのまま用いても良いが、特にα2uグロブリンプロモーターのTATAボックスから上流へ向かって90〜300塩基までの部分が好ましく、より好ましくはTATAボックスから上流へ向かって100〜150塩基までの部分である。この塩基部分を用いることにより、後述するように、このレポータープラスミドを用いて環境ホルモンのレポーター遺伝子アッセイ等を行う場合、転写活性化効率を低減させることなく測定系の化学発光バックグラウンドを大幅に減少させることができ、その結果コントロールに対する最大活性化倍率を10〜20倍向上できる。【0020】α2uグロブリンプロモーターの塩基配列(配列番号1)は以下に示すものである。【0021】【表1】5'-GAACACCCACTGTTTTTCTTGGAAATATGCTTTGTGAAATGTATTAGTGAAAAAAATCAATCCATAGGAGATGAGATTGCCAAGTTGGAAAAGGGCAGGAACAATCCTTGGCTTCACATCAGTACATGAGAAAACATTCCAAAAAGCCTGAGGGAAGGAGGCCCATATGAGAAGGAAAAAAAAAACACTGGAACCCAGAGAGAGTATAAAGACGAGCAAAGTGCTGAAGGTGGAGTGTGGGCATCATCAGCAGAGAGAGATTGTCCCAACAGAGAGGCAATTCTATTCCCTACCAACATG-3'マルチクローニングサイト6は、アッセイの対象とする化合物等に応答する受容体と化合物との結合体と結合するエンハンサーの挿入用である。マルチクローニングサイト6としては、具体的には、5'-GGTACCGAGCTCTTACTCGTGCTAGCCCGGGCTCGAGATCTGCGATCTAAGTAAGCTT-3'(配列番号7)を例示できる。【0022】エンハンサーとしては、エストラジオール等の女性ホルモンやテストステロン等の男性ホルモンと結合する受容体とこれらホルモンとの結合体に結合するエンハンサーを例示できる。【0023】上記レポータープラスミドの製造方法は、女性ホルモン活性をみる場合には市販のルシフェラーゼレポーターベクター(pGL3 basic vector、プロメガ社製等)のマルチクローニングサイトにエンハンサーとして女性ホルモン応答配列(ERE)を組込んだ後、ルシフェラーゼ遺伝子の開始コドンからEREの間にα2uグロブリンプロモータを組込むことによって作製することができる。【0024】上記レポータープラスミドを用いてエストロゲンに対する環境ホルモンのレポーター遺伝子アッセイを行う場合は、上記レポータープラスミドと化学物質、女性ホルモン受容体を発現させるためのプラスミドを培養細胞に入れ、所定期間培養した後、ルシフェラーゼの発現量を発光量等として測定する。この発光量等の強弱により、化学物質のホルモン作用の強さの程度を推定する。【0025】なお、受容体発現プラスミドは市販の哺乳動物細胞発現ベクター(pCI;プロメガ株式会社、pCDNA3.3;インビトロゲン社など)に各ホルモン受容体遺伝子を挿入することにより、容易に作製することが可能である。また、既にホルモン受容体を発現している細胞(女性ホルモン受容体を発現しているMCF-7細胞など)等ではホルモン受容体発現プラスミドの導入は省略可能である。【0026】以下実施例により本発明を更に具体的に説明する。【0027】【実施例】 実施例1(女性ホルモン測定用レポータープラスミドの合成) ERE(配列番号3)を合成した。市販レポータープラスミド(商品名 pGL3-ベーシックベクター、プロメガ社)1μgを制限酵素Kpn IとSac Iとを用いて切断した後、上記のEREを組込みERE/pGL3-ベーシックベクターを作製した。【0028】さらに、プラスミド(ERE/pGL3-ベーシックベクター)を制限酵素Nco Iと Xho Iで切断し、EREとルシフェラーゼの開始コドンの間にAUG100(配列番号4)を組込んだ。【0029】上記AUG100を組込んだERE/pGL3-ベーシックベクター用いて大腸菌を形質転換した後、コロニーを培地で培養した。プラスミドの精製(GFXTM Micro Plasmid Prep Kit、アマシャムファルマシア社製又はプラスミド精製キット、キアゲン社製)を行って、ERE-AUG100-Luc+レポータープラスミドを得た。【0030】(女性ホルモン受容体発現遺伝子及びレポータプラスミドを含む培養細胞の調製)60%-80% コンフルエントの細胞培養シャーレを準備した[遺伝子導入直前に5ml イーグル基礎培地(EMEM)で2回洗浄後、培地を除去しておく]。【0031】女性ホルモン発現プラスミド(hER/pCI)2μgとERE-AUG100-Luc+レポータープラスミド 4μgをEMEM300μlに加えた後、LipofectAMINE PLUS 試薬(GibcoBRL社)、60μlを添加し混和後、15分間放置(A液)した。同時に別の容器にてLipofectAMINE (GibcoBRL社) 12μlとEMEM 300μlを混和後15分間放置(B液)した。(A液)及び(B液)を混合後、EMEM 2.4mlを加え、約3mlのDNA調製液を調製した後、前述の細胞培養シャーレに加え30分間放置した。次いで20%牛胎児血清を含むEMEM 3mlを添加後、一晩培養した。【0032】(女性ホルモンの活性の検出方法)細胞播種上記のようにして調製した細胞を1x105個/ml になるように調製し、マイクロプレートに100μlずつ添加した(10000個/ウエル)。【0033】化学物質として天然型女性ホルモン(17βエストラジオール、和光純薬)を、前記プレートに濃度を変えて添加し、CO2インキュベーター内で24時間培養した。【0034】インキュベータからプレートを取りだし、培地を捨てた後、リン酸緩衝液(10mM、pH7.2)でプレートを2回洗浄した。その後、細胞溶解剤(Cell Culture Lysis Reagent 5X、プロメガ社)を15μl添加し、10分間静置した後、発光基質[ルシフェラーゼ測定用キット、プロメガ(株)製]を加え、化学発光測定装置(LUMI star、BMG LabTecnologies社製)を用いて化学発光量を測定した。その結果を 図2(A)に示した。【0035】比較例1市販のレポータープラスミドpGL3(プロメガ(株)社製)を用いる以外は実施例と同様にして化学発光量を測定した。その結果を図2(B)に示した。【0036】図2から明らかなように、本発明に係るレポータープラスミドによる場合は、従来のレポータープラスミドによる場合と比較し、転写活性倍率が4倍高くなっていることが解る。また測定バックグランドを図3に示した。【0037】実施例1のバックグランドと、比較例1のバックグランドとを比較すると、実施例1のバックグランドの方が約1/4小さいことが解り、また測定値のばらつきも小さい。【0038】実施例2実施例1と同様に操作して、TATA上流のプロモーター塩基数150のAUG150(配列番号5)と、塩基数200のAUG200(配列番号6)とのレポータープラスミドを調製した。これらのレポータプラスミドと、実施例1で調製したレポータープラスミドAUG100(配列番号4)とを用いて、実施例1と同様に操作してE2(17βエストラジオール)の転写活性を求めた結果を図4に示した。【0039】図4から、プロモーター塩基数はTATA上流の塩基数が100程度の時に最も転写活性が高くなることが解る。【0040】実施例3実施例2と同様に操作して、TATA上流のプロモーター塩基数100のAUG100(配列番号4)、150のAUG150(配列番号5)と、塩基数200のAUG200(配列番号6)とのレポータープラスミドを調製した後、エンハンサーとして女性ホルモン応答配列ERE(配列番号3)の代わりに男性ホルモン応答配列ARE(配列番号2)を挿入した。これらのレポータプラスミドとを用いて、実施例2と同様に操作して男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン、和光純薬)の転写活性を求めた結果を図5に示した。【0041】図5から、男性ホルモン作用をみる場合にはTATA上流のプロモーター塩基数が150程度の時に最も転写活性が高くなることが解る。【0042】【発明の効果】本発明においては、レポータープラスミド中に、プロモーターとしてα2uグロブリンプロモーターを用いているので、これをレポーター遺伝子アッセイに用いる場合、転写活性が高く、且つバックグランドが低い。【0043】【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】本発明のレポータープラスミドの一例を示す説明図である。【図2】(A)は実施例1で、(B)は比較例1で得られた転写活性化倍率とエストロゲン濃度との関係を示すグラフである。【図3】実施例1と比較例1とのバックグラウンドの化学発光強度を示すグラフである。【図4】本発明プラスミドにおいて、女性ホルモン作用検出時のプロモータ塩基数と転写活性の関係を示すグラフである。【図5】本発明プラスミドにおいて、男性ホルモン作用検出時のプロモータ塩基数と転写活性の関係を示すグラフである。【図6】従来のエンハンサー活性測定用レポータープラスミドを示す説明図である【符号の説明】2 レポーター遺伝子4 プロモータ6 マルチプルクローニングサイト レポーター遺伝子の上流にプロモーター、更にその上流にエンハンサー挿入用マルチプルクローニングサイトを組込んだエンハンサー活性測定用のレポータープラスミドであって、 前記プロモーターが、配列番号1に記載のα2uグロブリンプロモーターから調製され、かつ前記α2uグロブリンプロモーターのTATAボックスから上流へ向う90〜300塩基からなるプロモーターであり、 前記α2uグロブリンプロモーターのTATAボックスから上流へ向う塩基の数は、前記マルチプルクローニングサイトに挿入されるエンハンサーの種類に対応して選択される、レポータープラスミド。 マルチプルクローニングサイトに、エストロゲンとエストロゲン受容体との結合体と結合する配列番号3に記載のエンハンサーを挿入してなる請求項1に記載のレポータープラスミド。 前記プロモーターが、配列番号4または配列番号5に記載のプロモーターである請求項2に記載のレポータープラスミド。 マルチプルクローニングサイトに、男性ホルモンと男性ホルモン受容体との結合体と結合する配列番号2に記載のエンハンサーを挿入してなる請求項1に記載のレポータープラスミド。 前記プロモーターが、配列番号5に記載のプロモーターである請求項4に記載のレポータープラスミド。


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