タイトル: | 特許公報(B2)_免疫賦活剤 |
出願番号: | 2001267183 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/197,A61P 37/04,A61P 43/00 |
中森 克 小田原 美樹子 倉地 道雄 伊佐 亜紀 JP 4945869 特許公報(B2) 20120316 2001267183 20010904 免疫賦活剤 大正製薬株式会社 000002819 中森 克 小田原 美樹子 倉地 道雄 伊佐 亜紀 JP 2000274974 20000911 20120606 A61K 31/197 20060101AFI20120517BHJP A61P 37/04 20060101ALI20120517BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120517BHJP JPA61K31/197A61P37/04A61P43/00 111 A61K 31/197 A61P 37/04 A61P 43/00 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) Phytochemistry,1990年,Vol.29 No.1,pp.81-84 J. Immunol.,1996年,Vol.157 No.5,pp.1913-1918 Life Sci.,1997年,Vol.60 No.25,pp.2349-2359 1 2002154955 20020528 6 20080829 鈴木 理文 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、免疫賦活剤に関する。【0002】【従来の技術】加齢やストレス等により、免疫力が低下することがある。免疫システムは、NK細胞、B細胞、T細胞やマクロファージ等様々な免疫細胞が関与し、それぞれ独立に、或いは密接に関係を持ち複雑に構成されている。【0003】低下した免疫を賦活化するため、様々な化合物が研究されいる。また、滋養強壮作用を有する生薬を用いて免疫賦活作用の研究が行われている。【0004】しかしながら、免疫賦活作用を有する薬剤は、数少なく、また薬効においても必ずしも満足できるものは少ない。従って、新たな免疫賦活剤の開発が望まれている。【0005】下記式で表される化合物は、冬虫夏草、ヒトデ、海綿動物や海藻類に含有されていることが知られている。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた効果を有する免疫賦活剤を提供することである。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意研究した結果、冬虫夏草や海綿動物や海藻類に含まれる特定の化合物が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。【0008】本発明は、式【0009】【化2】【0010】(式中、R1は、酸素原子又は式 =NCH2COOH で表される基を示し、R2は、式 -CH(CH2OH)CH2CH2CONH2 で表される基、式 -CH(CH2OH)CH2CH2COOH で表される基、式 -CH2CH2SO3H で表される基又は式 -COOH で表される基を示す。)で表される化合物を有効成分とする免疫賦活剤である。【0011】【発明の実施の形態】本発明の化合物は、冬虫夏草、ヒトデ、海綿動物や海藻類に含有される化合物として公知であるが、免疫賦活作用については全く知られていなかった。本発明にかかる化合物を免疫賦活剤として使用するために、経口投与製剤に調整する。経口投与製剤としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠、シロップ剤、ドリンク剤などであり、慣用的な方法で製造される。【0012】固形剤として調整するの場合には、必要に応じて、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤等を使用する。液剤として調整する場合には、必要に応じて、界面活性剤、溶解補助剤、緩衝剤等を使用する。また、他に保存剤、香料、色素、甘味剤、嬌味剤、清涼化剤等を使用することができる。【0013】【実施例】以下に、本発明を実施例及び試験例を示し、詳細に説明する。【0014】実施例1:冬虫夏草の粉末0.5gに水20mLを加え、10分間超音波を照射し、更に10分間振とうし、抽出エキスを得た。抽出エキスからイオン交感樹脂カラム等を用いて、当該免疫賦活物質画分を得、液体クロマトグラフ装置(紫外吸光光度計:波長290-360nm、カラム:TSKgel ODS-80T、カラム温度:50℃付近の一定温度、移動相:10mMリン酸二水素カリウムpH5.5)を用い、下記成分(化合物1及び化合物2)を得た。【0015】化合物1(一般名;マイコスポリン):上記式(1)中、R1が酸素原子であり、R2が式 -CH(CH2OH)CH2CH2CONH2 である化合物。化合物2(一般名;マイコスポリン−2):上記式(1)中、R1が酸素原子であり、R2が式 -CH(CH2OH)CH2CH2COOH である化合物。【0016】実施例2;下記文献1-3を参考にし、乾燥したヒトデや海藻類の粉末0.5gに水20mLを加え、10分間超音波を照射し、更に10分間振とうし、抽出エキスを得た。抽出エキスからイオン交感樹脂カラム等を用いて、当該免疫賦活物質画分を得、液体クロマトグラフ装置(紫外吸光光度計:波長290-360nm、カラム:TSKgel ODS-80T、カラム温度:50℃付近の一定温度、移動相:10mMリン酸二水素カリウムpH5.5)を用い、下記成分(化合物3及び化合物4)の特定を行った。【0017】文献1: Comp. Biochem. Physiol. 112B(1), 105-114, 1995.文献2: J Chromatography 250, 113-118, 1982.文献3: Physiol., C: Pharmacol., Endocrinol. 115C(3), 281-286, 1997.【0018】化合物3(一般名;マイコスポリン−タウリン):上記式(1)中、R1が酸素原子であり、R2が式 -CH2CH2SO3H である化合物。 化合物4(一般名;マイコスポリン−2−グリシン):上記式(1)中、R1が =NCH2COOH であり、R2が式 -COOH である化合物。【0019】実施例3製造方法:各成分及び分量を秤量し均一に混合した後、得られた混合粉末を直打法により打錠し、トローチ剤4錠を得た。【0020】実施例4製造方法:各成分及び分量を秤量し均一に混合した後、精製水に溶解し液剤を得た。【0021】試験例11.試験方法試験当日まで通常飼育したマウス20 匹を5匹ずつ4群に群分けし,うち2群については水投与群(水10mL/kg)、他の2群についてはそれぞれ化合物2投与群(50mg/kg、250mg/kg)を一日1回、7日間連投した。水投与群1群と化合物2投与群2群について、マウスの活動期である夜間に拘束ストレスを負荷した。負荷時間は 18:30〜翌 8:30(14 時間)とし、拘束はステンレス製の金網機具を用いて行った。残りの水投与群1群は同時間帯を絶食・絶水し、コントロール群とした。拘束ストレス負荷終了後、3時間後に剖検を行った。【0022】2.使用動物C3B6F1雄性マウス10週齢(日本エスエルシー)を用いた。マウスはすべて試験直前まで飼育用床敷きケージに10 匹飼いし,室温22±1℃で照明時間(7:00〜19:00)が12 時間サイクルで設定された動物室で飼育した。剖検日の各群の平均体重はコントロール群;25.7±0.6g(n=5)、ストレス負荷群で水投与群(水10mL/kg);25.5±0.6g(n=5)、化合物2低投与群(50mg/kg);25.9±0.6g(n=5)、化合物2高投与群(250mg/kg);26.1±0.7g(n=5)のマウスを使用した。【0023】3.材料及び方法1)材料以下の操作にて脾臓リンパ球細胞の浮遊液、洗浄液及び希釈液として用いる培養液は、標的細胞の培養に用いた培地で、10 非働化FCS及び100U/mL ペニシリンG、100μg/mL ストレプトマイシン(PENICILLIN STREPTOMYCINE, LIFE TECHNOLOGY社)、200mg/mL カナマイシン(SIGMA社)、0.3g/L グルタミン(日水製薬社)及び4μL/L 2−メルカプトエタノール(SIGMA社)を添加したRPMI-1640-培地(日水製薬社)を用いた。Phorbol 12-Myristate 13 Acetate(PMA)及び ionomycin は Sigma 社製、RPMI-1640 培地は日水製薬製、フローサイトメトリー用試薬 CD3 FITC、 NK 1.1 PE は Pharmingen 社製、FACS Flow はBECTON DICKINSON 社製、マウス IFN-γ ELIZA system は Amersham 社製を用いた。【0024】2)脾臓リンパ球の調製マウスにペントバルビタールナトリウム(ネンブタール注射液、ABBOTT社)を腹腔内に投与し(50mg/kg)、体重を計測した後、麻酔下で脾臓を摘出し、重量を計測した。【0025】得られた脾臓は計測後、滅菌シャーレにとりスライドグラス(MATSUNAMI GLASS社)2枚を用いて、スリのある部分で脾臓をかるくすりつぶし脾臓細胞を浮遊させた。非固着性シリコンガーゼ(富士システムズ社)を用いて、脾臓細胞浮遊液を濾過し、リンパ球細胞以外の細胞を除去した。【0026】赤血球の混入は免疫活性の測定に影響するため、脾臓細胞浮遊液中に混在する赤血球はGey'Solutionを用いて溶血させ赤血球を除去し、RPMI 培地 10 mLを用いて洗浄した(2回)。得られた脾臓細胞浮遊液の細胞濃度をコールターカウンター(CoulterMultisizerII,Coulter社)にて計測し、γIFN産生能の測定に使用した。【0027】3)IFN-γ産生能の測定PMA 及び ionomycin で刺激した際の脾臓リンパ球の IFN-γ産生量を指標に評価した。上記3−2)で得た脾臓リンパ球分散液を培地で希釈して3×106cell/mL とし、これに PMA 11μg/mL 溶液 50μL 及び ionomycin 50μg/mL 溶液40μL を添加した.CO2 5、37℃で 20時間インキュベートし、500×gで5分間遠心した上清について Amersham 社の手順書に倣い ELISA システムにより IFN-γ量を測定した。【0028】4.結果図1に拘束ストレスによるマウス脾臓リンパ球のγーIFN産生能低下に及ぼす化合物2投与の効果について示した。縦軸は脾臓リンパ球のγ-IFN産生量(ng/3×106個)を示す。【0029】ストレス負荷により、コントロール群はγIFN産生能が低下したが、化合物2投与群は用量依存的にγIFN産生能の低下を抑制した。化合物2はストレスにより低下しやすい免疫力にストレス抵抗性を付与し、ストレス後、早期に免疫力を回復させる効果があることを示された。【0030】したがって、本発明の組成物は、免疫賦活剤として有用であることが示された。【0031】【発明の効果】本発明の免疫賦活剤は、加齢やストレス等により、免疫力が低下した際、効果的に免疫力を高めることができる。【図面の簡単な説明】【図1】拘束ストレスによるマウス脾臓リンパ球のγーIFN産生能低下に及ぼす化合物2投与の効果を示す図面 式(式中、R1は、酸素原子を示し、R2は、式 -CH(CH2OH)CH2CH2COOH で表される基を示す。)で表される化合物を有効成分とするγIFN産生低下抑制剤。