タイトル: | 特許公報(B2)_液晶パネル基板の検査装置及び検査方法 |
出願番号: | 2001257235 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 21/88,G01M 11/00,G02F 1/13,G09F 9/00,G09F 9/35 |
川隅 幸宏 松井 淳一 遠藤 政智 石田 茂 徳安 良紀 JP 4254085 特許公報(B2) 20090206 2001257235 20010828 液晶パネル基板の検査装置及び検査方法 株式会社日立プラントテクノロジー 000005452 特許業務法人 武和国際特許事務所 110000442 川隅 幸宏 松井 淳一 遠藤 政智 石田 茂 徳安 良紀 20090415 G01N 21/88 20060101AFI20090326BHJP G01M 11/00 20060101ALI20090326BHJP G02F 1/13 20060101ALI20090326BHJP G09F 9/00 20060101ALI20090326BHJP G09F 9/35 20060101ALI20090326BHJP JPG01N21/88 HG01M11/00 TG02F1/13 101G09F9/00 352G09F9/35 G01N21/84-21/958 G01M11/00-G01M11/08 PATOLIS 特開平03−217817(JP,A) 特開昭62−036545(JP,A) 特開昭63−136086(JP,A) 4 2003065962 20030305 15 20060127 樋口 宗彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて液晶表示パネル等を組み立てる際、基板上に配線や配向膜等が形成されていても、高精度に液晶の滴下状態の良否を判定,計測することができる液晶パネル基板の検査装置及び検査方法に関するものである。【0002】【従来の技術】液晶表示パネルの製造工程には、透明電極や薄膜トランジスタアレイなどを設けた2枚のガラス基板の間に、基板間の距離が数μmであるような空間を設け、その空間に液晶を封入する工程がある。この液晶封入工程には、例えば特開昭62−89025号公報記載のものがある。以下、この従来の液晶封入工程について説明する。【0003】まず、基板の一方の表面の周縁に、該周縁に沿って前記表面を囲うようにシール剤を塗布し、その内側に液晶を滴下する。この時、基板に滴下された液晶は、上記シール剤によって基板表面から外部に漏れないようになっている。【0004】次に、真空チャンバ内にて、この基板の上方に他方の基板を配置し、真空状態でこの2枚の基板の内の何れか一方を他方に向けて相対的に移動させ、シール剤の接着力を利用して貼り合わせを行う。ここで、シール剤の外周位置に接着剤を設けた後に基板を貼り合わせるようにしてもよい。以上のようにして、2枚のガラス基板の間に液晶が封入された基板が組み立てられる。【0005】【発明が解決しようとする課題】以上のようにして液晶が封入される際、液晶の供給量が適切でないと、種々の不具合が生じる。具体的には、液晶の供給量が多すぎる場合、液晶がシール剤で囲まれた表示領域から溢れてしまい、その結果、液晶表示パネルが表示不良になるという不具合がある。更に、液晶の供給量が多すぎるために液晶がシール剤を越えて溢れる時に、液晶がシール剤の接着面に付着するため、ガラス基板の接着不良が生じるという不具合もある。また、液晶の供給量が少ない場合には、液晶が十分に表示エリアに行き渡らず、その結果、液晶表示パネルが表示不良になるという不具合がある。【0006】更に、液晶の供給不良のために液晶の供給が不十分な状態でパネルを組み立てると、液晶表示パネルの組立プロセスに悪影響を及ぼす虞がある。具体的には、複数の液晶表示パネルを同時に組み立てる組立プロセスの場合、一つのパネルが不良品であるために、正常に液晶が供給されている同じ基板上の他のパネルも不良品と見なされ、それらの正常な液晶パネルが組み立てられないといった虞がある。【0007】以上の不具合を解消するため、液晶の供給量を画像処理により判断する方法を採用したが、液晶は半透明の乳白色であり、且つ液晶が供給されるガラス基板にはカラーフィルタやTFTアレイのようなパターンが設けられているため、画像認識による液晶の供給量の良否判定は困難であった。【0008】そこで本発明の目的は、上記不具合を解消し、液晶の供給状態の良否を精度良く判定,計測することができる液晶パネル基板の検査装置及び検査方法を提供することである。【0009】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の液晶パネル基板の検査装置は、液晶が供給された基板が載置された中空の基板テーブルと,前記基板テーブルの上方を、可動手段によって移動可能な撮像手段と,前記基板テーブル及び前記撮像手段の制御を行う制御手段と,を備え、前記基板テーブルにはバックライトと偏光板とが設けられると共に、前記撮像手段には、撮像手段のレンズ部に偏光板が設けられ、前記基板テーブルの偏光板と,前記撮像手段の偏光板とは、互いにクロスニコルになるように配置されている。【0010】また本発明の液晶パネル基板の検査装置は、前記制御手段が、データを格納する記憶部を有し、且つデータや画像を表示する表示部と,外部からデータを入力する入力部と,に接続され、また前記制御手段は、前記撮像手段の移動動作を制御する移動制御機能と、前記撮像手段により撮像された画像データの画像処理を行う画像処理機能と、前記入力部より入力され且つ前記記憶部に予め格納された入力データと,画像処理を施された画像データと,を比較し、液晶の供給状態の良否を判定する判定機能と、判定により得られた判定結果データを前記表示部に表示する表示機能と、を備えており、更にこの制御手段には、判定により得られた判定結果データを他の装置に送信する送信機能を備えている。【0011】また本発明の液晶パネル基板の検査方法は、撮像手段により撮像された液晶の画像データに画像処理を施す画像処理工程と、予め設定されている正常供給状態の液晶の物体数,重心位置,物体面積及び周囲長に関する特徴量データと,前記画像処理が行われた液晶の物体数,重心位置,物体面積及び周囲長に関する画像処理データと,を比較し、液晶供給状態の良否判定を行う判定工程と、を有している。【0012】【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による液晶パネル基板の検査装置を図1から図4を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態による液晶パネル基板の検査装置の構成を示す斜視図である。【0013】<液晶パネル基板の検査装置の構成>図1に示すように、本実施形態における液晶パネル基板の検査装置は、架台1と、図中Y軸方向に移動可能な第一リニアアクチュエータ4a,4bを介して前記架台1上に跨設されたカメラ支持架台2と、から成り、前記第一リニアアクチュエータ4a,4bを駆動することによって、カメラ支持架台2が架台1上をY軸方向に水平移動できるように構成されている。また前記架台1上には、第一リニアアクチュエータ4a,4bに挟まれるように、基板10を載置した基板テーブル3が備えられている。【0014】また基板テーブル3は中空とし、更に基板テーブル3の側面部にバックライト9が設けられている。このような構成により、基板テーブル3上に載置された基板10を、基板10の下方から略均一に照明することが可能となる。【0015】前記カメラ支持架台2には、撮像手段の画像認識カメラ6が、図中X軸方向に移動可能な第二リニアアクチュエータ5を介して取付けられており、第二リニアアクチュエータ5を駆動することにより、画像認識カメラ6はカメラ支持架台2に沿ってX軸方向に水平移動することができるよう構成されている。また前記画像認識カメラ6には、基板10表面に塗布されたシール剤16で囲まれる領域内の液晶11の滴下状態を認識するために、カメラ鏡筒7とレンズ8とが基板10の表面に対向するように設けられている。尚、本実施形態では、シール剤16を液晶を滴下した基板10に設けているが、貼り合わせる他方の基板にもシール剤を設けてもよい。【0016】また架台1には、第一リニアアクチュエータ4a,4b及び第二リニアアクチュエータ5の位置決めの制御処理機能,画像認識カメラ6で撮像した画像データの画像処理機能,各種データの演算,編集,管理処理機能,他の装置とデータの送受信を行うための通信処理機能等を有する制御部12が、データ通信のための配線15を用いて接続されている。この制御部12内には記憶部(図示せず)が備えられている。また、この制御部12にはモニタ13やキーボード14が接続されており、各種処理データはキーボード14から入力され、制御部12によって架台1における処理動作は制御される。またモニタ13には、画像認識カメラ6で捉えた画像や制御部12での処理状況が表示される。更に、キ−ボ−ド14からの入力データ等は、記憶装置であるハードディスク(図示せず)やフロッピディスク等の記憶媒体(図示せず)に格納される。【0017】<画像認識カメラ及び基板テーブルの構成>以上のような構成の検査装置における画像認識カメラ及び基板テーブルの構成を、図2を用いて詳細に説明する。図2は本実施形態の検査装置における画像認識カメラ及び基板テーブルの拡大構成図である。尚、図2において、図1に対応する部分は同一符号で示している。【0018】図2の如く、本検査装置における画像認識カメラ6のレンズ8には偏光板20が取り付けられており、更にバックライト9を具備した基板テーブル3の上面にも偏光板21が取り付けられている。また、これら2種類の偏光板20,21の間に、液晶11が供給された基板10が配置されている。ここで本実施形態では、偏光板20,21が互いにクロスニコルになるように配置されている。具体的には、偏光板20はY方向成分の光のみを透過し、偏光板21はX方向成分の光のみを透過するというように、偏光板20の透過光方向に対して偏光板21の透過光方向が90°ずれるように偏光板20,21は配置されている。このような関係を持つ2種類の偏光板20,21を配置することにより、バックライト9の光が偏光板20,21に遮られ、画像認識カメラ6にその光を入射させないよう、本実施形態の画像認識カメラ及び基板テーブルは構成されている。【0019】ここで、上記構成の基板テーブル3の偏光板21上に、液晶11が供給された基板10を搭載してバックライト9を点灯させると、偏光板21によりバックライト光はX軸方向に偏光されて基板10に入射するが、この基板10への入射後に更に液晶11内を伝播してから偏光板20に入射する光は、液晶11の持つ複屈折性により、液晶の種類や配向状態に関わらず90°捻られた成分を有するので、偏光板20にて遮られることなく画像認識カメラ6に入射できる。一方、基板10への入射後に液晶11内を伝播せずに偏光板20に入射する光は、偏光板20にて遮られ画像認識カメラ6に入射できない。つまり、液晶のある箇所のみ光が透過可能であるため、液晶部分は明るい像として画像認識カメラ6に認識され、他の部分は暗い像として画像認識カメラ6に認識される。これより、画像認識カメラ6に入射した光から2値画像を求め、それを用いて液晶の滴下位置,面積及び形状(形、外周長等)を計測することが可能となる。【0020】<液晶パネル基板の検査処理動作>以下、上記のように構成された検査装置による液晶パネル基板の検査処理動作を図3を用いて説明する。図3は本検査装置による液晶パネル基板の検査処理動作のフローチャートである。【0021】本検査装置において、まず電源をON状態とし(ステップ101)、しかる後に検査装置の初期設定が実行される(ステップ102)。この初期設定工程では、各リニアアクチュエータ4a,4b,5を駆動することにより、画像認識カメラ6を図中X方向及びY方向に移動させ、画像認識カメラ6を所定の基準位置に位置決めする処理が行われると共に、検査位置データ,液晶の滴下位置及び形状データ,画像処理の条件データ等の検査条件データの設定処理が行われる。【0022】ここで、ステップ102の検査位置データの設定処理について、具体例として図5を用いて説明する。図5(a)は本具体例における基板とシール剤印刷パターンとの位置関係を示しており、図5(b)は本具体例における液晶の滴下位置を示している。尚、本具体例では、1枚の基板から4個の液晶ディスプレイパネルを作成するものとしている。【0023】検査位置データの設定処理工程では、まず基板上の位置を座標で示すための基準点として、基板原点Oが基板上の任意の点に設定される。ここで本実施形態では、基板原点Oを図5(a)の如く基板の左下端点としている。次に、基板原点Oから4個のシール剤印刷パターン16a〜16dにおける各頂点の座標と、位置決め用マーク17a,17bの座標と、が表1のように設定される。尚、前記各座標データはキーボードからの入力により設定可能であるが、前処理工程にて使用されるシール剤滴下装置等(図示せず)の生産データをネットワーク(図示せず)を介して制御部12に転送し、記憶部に設定,格納することも可能である。【0024】【表1】【0025】上記のようにシール剤印刷パターン16a〜16dにおける各頂点の座標と、位置決め用マーク17a,17bの座標とが設定された後、図5(b)の如く正常に滴下された状態の液晶11A〜11Dの滴下位置11a〜11dの各座標が、表1と同様に、表2の如く設定され、制御部12の記憶部に登録される。また、実際に図5(b)の液晶11A〜11Dに示すように予め設定した量の液晶を正常に滴下し、その滴下状態を画像認識カメラ6で捉え画像処理し、液晶滴下後の液晶の拡がり状態を示す特徴量データを求めるという条件出しテスト運転を行い、その結果得られた特徴量データについても予め記憶部に登録される。ここで、前記特徴量データとは、表2に示すような、画像処理によって得られる物体数,重心位置,物体面積(例えば2値画像における白画素数),周囲長に関する各データであり、これらの特徴量データは、滴下状態良否判定時において用いられ、後述の如く、特徴量データと画像処理データを比較することにより、良否判定が行われる。【0026】【表2】【0027】更に、図6に示すような、基板10上における画像認識カメラ6の検査位置の座標データについても予め制御部12の記憶部に登録される。ここで本実施形態では、1つのパネルを1回の撮像で捉えられるように光学系(レンズ拡大率や視野範囲など)が設計されており、4回の移動撮像を行うよう検査位置が設定されている。また、位置Ca〜Cdは、画像認識カメラ6が各検査位置に位置決めされる時の基準位置を示しており、既知であるカメラの視野範囲の中心と検査位置との関係に基づき、画像認識カメラ6は、制御部12により前記基準位置を参照して所望の撮像位置に位置決めされる。【0028】以上に示した検査条件データの他、検査処理動作の順序に関するデータ,画像処理の際の2値化処理のしきい値データ,及び良否判定処理にて用いられる各しきい値(良不良判定条件範囲)についても予め制御部12内の記憶部に登録,格納される。ここで本実施形態において、良否判定処理にて用いられる各しきい値は、後述の如く、位置ずれしきい値,周囲長及び面積データの許容しきい値であるが、これに限ったことではない。尚、上述した各データの入力は、キーボード14から直接行うか、もしくは図示していない液晶滴下装置からネットワーク(図示せず)を介して滴下位置データを転送することにより行われる。また、入力された各データは制御部12内の記憶部に格納される。以上のようにして、ステップ102の初期設定処理が行われる。【0029】上記初期設定工程が終了すると、次に、クランプ機構(図示せず)もしくは真空吸引等による吸着機構(図示せず)を用いて、液晶が供給された基板10が、ずれないように基板テーブル3上に載置され(ステップ103)、続けて基板位置決め処理が行われる(ステップ104)。この基板位置決め処理では、基板テーブル3に搭載した基板10の位置決め用マーク17a,17bを画像認識カメラ6で撮影し、位置決め用マ−ク17a,17bの重心位置の座標を画像処理で求め、求められた座標データと,前記初期設定工程にて設定された位置決め用マーク17a,17bの座標データとから、基板10の位置決め処理が行われる。【0030】更に、ステップ104にて求められた位置決め用マ−ク17a,17bの座標データと,前記初期設定工程にて設定された位置決め用マーク17a,17bの座標データとから、基板10の搭載位置のずれや傾き(搭載誤差)が算出され、制御部12の記憶部に登録,格納される。登録された搭載誤差は、以降の処理において、カメラの位置決めを行う際の補正値として用いられる。尚、位置決め用マーク17a,17bを画像認識カメラ6で撮影する際には、このマーク17a,17bの材質に対して最適な照明(例えばLED式の同軸落射照明など)を画像認識カメラ6に取り付けておくとよい。【0031】ステップ104における基板位置決め処理が終了すると、液晶滴下基板の検査処理が行われる(ステップ105)。以下、図4を参照して、液晶滴下基板の検査処理工程を説明する。【0032】同図において、まず、前記初期設定工程(ステップ102)にて記憶部に予め格納された検査位置データを、ステップ104にて算出された搭載誤差データを基に補正し、この補正により得られた撮像位置に、各リニアアクチュエータ4a,4b,5を動作させて画像認識カメラ6の位置決めが行われ(ステップ201)、この位置決め終了後に液晶パネル基板の画像の撮像が行われる(ステップ202)。ここで、撮像により得られた画像データは、制御部12の記憶部に格納されると共に、画像処理(例えば、2値画像への変換処理,2値画像からの重心検出による位置計測処理もしくは画素数抽出による面積計測処理)が施され、その結果得られた画像処理データも記憶部に格納される(ステップ203)。次に、初期設定工程(ステップ102)で記憶部に予め格納されている液晶滴下位置データや形状データ等の検査条件データと、ステップ203にて求められた画像処理データとが比較され(ステップ204)、液晶滴下状態の判定が行われる(ステップ205)。【0033】ここで、ステップ204及びステップ205における画像処理データを用いた液晶滴下状態の比較,判定方法について、具体例として図7を参照して説明する。基板10上に滴下した液晶の形状に基づいて滴下状態の良否を判定するには、画像認識カメラ6でそのまま撮像して得られた画像からは、シール剤,基板10上に形成された電極パターン,並びに液晶滴下部分を明確に識別可能な状態にすることは難しい。そこで本発明の検査装置により、図7(b)のように、液晶部分を白く撮像すると共に、それ以外の箇所をシール剤や配線パターンの有無に関わらず黒く撮像することができるため、容易に液晶部分の2値化処理が可能となり、その結果、液晶滴下部分を識別可能な状態にしている。以下、図7(b)を例にとり、図7(b−1)〜(b−4)の各パターンの液晶滴下状態の判定方法を説明する。図7(b)はステップ203により得られた図7(a)の各パネルにおける2値化画像データである。【0034】【表3】【0035】図7のパネルPAの液晶は、液晶滴下量は適切であるが、滴下位置が正常位置からずれた状態になっている。このように滴下位置にずれが生じるのは、例えば液晶滴下装置の液晶滴下ノズルが偏心していたり、ノズルの一部が欠けていることによる。このように滴下位置がずれている場合、貼り合せの工程で、液晶の拡がりに偏りができ、液晶がシール剤を乗り越えて溢れ出たり、シール剤の位置まで広がらなかったりする不良の原因となってしまう。このような状態における液晶滴下状態の良否は、表3のように予め設定された特徴量データにおける正常滴下状態の滴下液晶の重心位置と、画像処理による検査結果から得られた滴下液晶の重心位置とのずれ量が、位置ずれしきい値(例えば設定位置±50μm等)以内であるか否かを比較することで判定される。前記ずれ量が位置ずれしきい値以内であれば、この液晶の滴下状態は「良」と判定され、位置ずれしきい値以上であれば、この液晶の滴下状態は「不良」と判定される。【0036】またパネルPBの液晶は、滴下量,滴下位置ともに正常であるが、周囲長が設定周囲長とは異なる状態となっている。このような状態は、液晶滴下装置は正常に運転しているが、基板上に形成されている配向膜の状態の変化や、前工程での洗浄不良,貼り合せ後の基板間のギャップを一定に保つためのスペーサの形成(散布)状態に変化がある時に生じる。このような結果になった場合、組み立て後の液晶パネルには表示ムラの不良が発生する。このような状態における液晶滴下状態の良否は、表3の特徴量データにおける周囲長データと、画像処理による検査結果から得られた周囲長データとの周囲長ずれ量(誤差)が、許容しきい値(例えば特徴量の周囲長±15%等)内であるか否かを比較することで判定される。前記周囲長が許容しきい値以内であれば、この液晶の滴下状態は「良」と判定され、許容しきい値以上であれば、この液晶の滴下状態は「不良」と判定される。【0037】またパネルPCでは、滴下量,滴下位置ともに正常であるが、視野範囲内のシール剤の付近にもう一つの液晶の存在が確認できる。この現象は、滴下動作中に液晶滴下装置の液晶滴下ノズル先端から液晶が垂れ落ちた時等に生じる。このような付着があると、基板貼り合わせ時の接着不良や、他パネルの液晶滴下量の不良といった虞がある。このような滴下状態の良否は、表3の特徴量データにおける物体数と、画像処理による検査結果から得られた物体数とを比較することで判定される。特徴量の物体数と検査結果の物体数とが一致すれば、この液晶の滴下状態は「良」と判定され、一致しなければこの液晶の滴下状態は「不良」と判定される。【0038】またパネルPDの液晶は、滴下量が少ない状態である。このような状態では、液晶剤の経時劣化等の不良が予測される。これは面積判定で確認することが可能である。このような状態における液晶滴下状態の良否は、表3の特徴量データにおける面積データと、画像処理による検査結果から得られた面積データとの誤差が、許容しきい値(特徴量の面積±5%等)内であるか否かを比較することで判定される。前記面積データが許容しきい値以内であれば、この液晶の滴下状態は「良」と判定され、許容しきい値以上であれば、この液晶の滴下状態は「不良」と判定される。【0039】以上のように、特徴量データ及び検査結果データの対応する各項目データが比較され(ステップ204)、予め入力されたしきい値等を用いて液晶滴下状態の良否判定が行われ(ステップ205)、滴下不良が無ければ制御部12の記憶部内の検査結果書込みデータに、OKのフラグがセットされ(ステップ206)、逆に不良箇所が検出された場合にはNGのフラグがセットされる(ステップ207)。そしてこれらの判定処理が終了すると、検査すべき全箇所において検査が終了したかどうかの判定が行われる(ステップ208)。未検査箇所がある場合には、ステップ201から処理を繰り返し行い、全箇所の検査が終了したのであれば、ステップ105における液晶滴下状態の検査処理工程は終了となる。【0040】図3に戻って、上述のようなステップ105における液晶検査工程が終了すると、基板10の保持が解除され、搬送装置(図示せず)により基板10が装置外に搬出される(ステップ106)。ここで、液晶検査工程にて得られた検査結果データのOKフラグ,又はNGフラグを搬送装置の制御部(図示せず)に送信することで、OKフラグがセットされた基板は下流の貼り合わせ装置(図示せず)に搬送され、NGフラグがセットされた不良検出基板は不良基板回収カセット(図示せず)等に搬送される(ステップ107)。【0041】そして、以上の全工程を停止するか否かを判定し(ステップ108)、複数枚の基板に対して同じ検査処理を行う場合には、各基板に対して上記基板搭載処理(ステップ103)以降の処理動作を繰り返し行い、全ての基板について一連の処理が終了すると、作業が全て終了となる。【0042】ここで、本実施形態における基板10と液晶11との濡れ性について考察すると、この濡れ性は、基板10上に形成された配向膜と液晶11の状態によって決まり、大きくばらつくことは無い。そして、生産条件を厳密に管理して大量生産される液晶パネルにおいては、濡れ性は変化することは無い。また、濡れ性にばらつきがあれば、いずれかのプロセスに何らかの障害が発生していると推測できるため、その障害の確認を促すための警報を発するように検査装置を構成すれば、大量に不良パネルを生産するというような事態は回避できる。【0043】また、配向膜の表面エネルギとラビング処理による粗さ状態によって、液晶11の界面に生じる表面張力は特性値的に決定する。ここで、液晶11の表面張力は液晶11の種類や濃度、温度、圧力により変化することが知られているが、これについても厳密に管理されているため、液晶11の表面張力は一定である。従って、液晶パネルの生産条件下では、基板10表面と液晶11との物性により決まる濡れ性は略一定である。言い換えれば、図8に示すような基板10表面と液晶11との接触角θは滴下量に関わらず略一定となる。従って、本実施形態の検査装置では、滴下後の液晶の拡がり面積を計測することで、滴下量を正確に求めることができる。また、濡れ性が一定であることから、例えば液晶11を基板10に線引き塗布した場合においても、上述した方法と同様に、線幅、及び塗布面積の検査を行うことにより、塗布量を確認することが可能である。【0044】以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述のような構成であるとは限らない。例えば、本発明の検査装置では画像認識カメラ6を動かして各液晶パネルを撮像しているが、液晶を滴下した基板を次工程の貼り合わせ工程に搬送する途中に画像認識カメラを固定し、且つ偏光板とバックライトとを具備する搬送台上に基板を搭載して基板を搬送させることにより、基板が画像認識カメラ固定位置を通過する際に画像認識カメラで撮像するように構成してもよい。【0045】また、1回の撮像で液晶塗布範囲の全てが撮像できないような基板に対しては、撮像位置を重複させた検査位置データを作成し、各リニアアクチュエータで画像認識カメラを動かしながら、図5の液晶画像撮像処理を繰り返し行うよう制御部にて制御するよう構成すればよく、他の方法としては、複数の画像認識カメラを設置して液晶画像撮像処理を行うようにしてもよい。更に、画像認識カメラとしてラインセンサを使用し、カメラ支持架台2を等速移動させて全面撮像した後、画像処理を行うように構成してもよい。【0046】また、二枚の偏光板により形成されるクロスニコルは、基板テーブルのX方向及びY方向に対応して直交するように限定する必要は無く、特に、ラビング処理等による配向方向に対して検出し易い角度に調節できる機構を備えていればよい。また、本実施形態では2値画像処理を用いているが、画像処理方法は、液晶の位置,及び面積が計測できる方法であれば如何なる方法でもよい。【0047】また、本発明の検査装置及び検査方法では、基板貼り合わせ前に液晶を滴下した基板を検査し、滴下位置及び滴下量の検査を行っているが、上述の検査装置及び検査方法は、貼り合わせ後の基板に封入された液晶の不足検査,はみ出し検査に使用することも可能である。【0048】【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、基板上に滴下された液晶の滴下状態を検査することにより、液晶の滴下不良を検出できるため、液晶の過不足やはみ出しによる基板貼り合わせ工程での生産不良を予防することができ、液晶パネルの生産性を向上させることができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の一実施形態を示す液晶検査装置の全体構成の斜視図である。【図2】本実施形態の検査装置における画像認識カメラ及び基板テーブルの拡大構成図である。【図3】本実施形態の検査装置による液晶パネル基板の検査処理動作を説明するフローチャートである。【図4】図3の検査処理動作における液晶滴下基板の検査処理工程のフローチャートである。【図5】各液晶パネルに正常に液晶を滴下した状態の一例を示す図である。【図6】図5に示された基板を撮像する際の画像認識カメラの検査位置と、前記画像認識カメラの認識可能範囲とを示す図である。【図7】図7は滴下した液晶の状態を示し、図7(a)は各パネルに液晶を滴下した状態の一例を、図7(b)は図7(a)の各パネルの像を2値化処理して得られる画像を、それぞれ示す図である。【図8】基板に滴下した液晶と基板との関係を示す図である。【符号の説明】1…架台、2…カメラ支持架台、3…基板テーブル、4a,4b…第一リニアアクチュエータ、5…第二リニアアクチュエータ、6…画像認識カメラ、7…鏡筒、8…レンズ、9…バックライト、10…基板、11…液晶剤(液晶)、20…偏光板、21…偏光板。 シール剤で囲まれた領域内に液晶が滴下されている基板が載置された中空の基板テーブルと、前記基板テーブルの上方を可動手段によって移動可能であって、前記基板の前記液晶が滴下されている表面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像によって得られる前記基板の画像データを処理する制御手段とを備え、 前記基板テーブルにバックライトと偏光板とが設けられると共に、前記撮像手段には、撮像手段のレンズ部に偏光板が設けられ、 前記基板テーブルの偏光板と前記撮像手段の偏光板とは、互いにクロスニコルになるように配置されており、 前記制御手段が、前記画像データの処理により、前記基板に滴下されている前記液晶の物体数,重心位置,物体面積及び周囲長に関する画像処理データを検出し、予め設定された正常に滴下されたときの液晶の物体数,重心位置,物体面積及び周囲長に関する特徴量データと比較して、前記基板に滴下されている前記液晶の良否の判定を行なう ことを特徴とする液晶パネル基板の検査装置。 前記制御手段は、データを格納する記憶部を有し、且つデータや画像を表示する表示部と外部からデータを入力する入力部とに接続され、 前記制御手段は、 前記撮像手段の移動動作を制御する移動制御機能と、 前記判定により得られた判定結果データを前記表示部に表示させる表示機能と を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル基板の検査装置。 前記制御手段は、前記判定により得られた判定結果データを他の装置に送信する送信機能を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶パネル基板の検査装置。 シール剤で囲まれた領域内に液晶が滴下されている基板の前記液晶が滴下されている表面を撮像する撮像手段によって撮像する撮像工程と、 撮像手段により撮像された前記液晶の画像データに画像処理を施す画像処理工程と、 予め設定されている正常に滴下された状態の液晶の物体数,重心位置,物体面積及び周囲長に関する特徴量データと,前記画像処理によって得られた液晶の物体数,重心位置,物体面積及び周囲長に関する画像処理データとを比較し、前記基板に滴下されている液晶の供給状態の良否判定を行う判定工程と、 を有することを特徴とする液晶パネル基板の検査方法。