タイトル: | 特許公報(B2)_老化防止剤 |
出願番号: | 2001256573 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/198,A61K 8/64,A61K 38/00,A61P 17/00,A61P 43/00 |
桜井 哲人 宇田 正紀 宮本 達 三羽 信比古 JP 5000049 特許公報(B2) 20120525 2001256573 20010827 老化防止剤 株式会社ファンケル 593106918 特許業務法人 もえぎ特許事務所 110000774 桜井 哲人 宇田 正紀 宮本 達 三羽 信比古 20120815 A61K 31/198 20060101AFI20120726BHJP A61K 8/64 20060101ALI20120726BHJP A61K 38/00 20060101ALI20120726BHJP A61P 17/00 20060101ALI20120726BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120726BHJP JPA61K31/198A61K8/64A61K37/02A61P17/00A61P43/00 A61K 31/00-31/80 A61K 38/00-38/58 A61K 8/00-8/99 A23K 1/00-1/48 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開平05−170636(JP,A) 特開平05−170637(JP,A) 特開平03−086812(JP,A) 特表2002−534369(JP,A) 特開平09−323915(JP,A) 国際公開第00/056327(WO,A1) 特開平06−345797(JP,A) 特開2002−284668(JP,A) 4 2003063959 20030305 11 20080722 池上 京子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、皮膚等の老化防止効果を有する老化防止剤に関する。【0002】【従来の技術】紫外線などにより皮膚で発生する活性酸素は皮膚の角質層及び表皮細胞、真皮細胞にダメージを与え、老化の原因のひとつと考えられている。従来より、活性酸素消去作用を持つ皮膚化粧料としては、アミノチオスルホン酸を配合するもの(特開平6−80964)、リグニン加水分解物を配合するもの(特開平7−300422)などがあった。また、アラニルグルタミン、プロリルフェニルアラニンなどのジペプチド類(特開平8−325131)、Arg−Gly−AspあるいはArg−Gly−Asp−Serなどのオリゴペプチド類(特開平2−178207)を配合する皮膚化粧料も皮膚の老化防止効果を有するものとして開示されている。しかしながら、これらの活性酸素消去作用を有する化合物はその作用が緩慢であるという問題があり、より優れた老化防止効果を有する皮膚化粧料の提供が望まれている。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決しようとするもので、優れた老化防止効果を有し、かつ外用剤あるいは経口剤への配合の面で優れた性能を有する老化防止剤を提供することを課題とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、こうした課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定のL−チロシン誘導体またはその塩が、老化防止に優れた効果を発揮することを発見して、本発明を完成するに至った。【0005】従来、チロシン誘導体類については、α-分岐チロシン誘導体(特開平6−128203)、N−アセチルチロシン(特開平9−323915)をメラニン生成抑制剤として配合した皮膚外用剤が知られている。しかしL−チロシンを構成アミノ酸とするジペプチドおよびトリペプチドなど、L−チロシンを基本骨格とした誘導体類を皮膚老化防止剤として使用した例は知られていない。本発明は、特定のL−チロシン誘導体またはその塩が、紫外線照射により細胞内に酸化ストレスが生じ、引続きDNAが損傷され細胞死に至り、皮膚が老化するという連鎖反応を阻止することができるという、従来知られていなかったメカニズムを見出した結果なされたものである。【0006】すなわち本発明は、一般式(1)【化2】【0007】(式中、R1は、水素原子、メチル基、又は不飽和結合を含んでもよい炭素数2〜8の直鎖あるいは分岐炭化水素基を、R2は、水素原子、炭素数1〜20のアシル基、アミノ酸残基又は構成アミノ酸が2個以上5個以下のオリゴペプチドのアミノ酸残基を、R3は水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アミノ酸残基又は構成アミノ酸が2個以上5個以下のオリゴペプチドのアミノ酸残基を示す。但し、R2が水素原子でR3が水酸基のときは除く。)で表されるL−チロシンの誘導体またはその塩を一種以上含有することを特徴とする老化防止剤に関するものである。【0008】本発明のL−チロシンの誘導体またはその塩は、L−チロシンを構成アミノ酸とするジペプチドあるいはトリペプチド、又は、N−アセチル化チロシンあるいはチロシンエステルが好ましい。また、本発明は、上記のL−チロシンの誘導体またはその塩を含有する外用剤あるいは経口剤の形態である老化防止剤にも関する。さらにまた、本発明は、上記のL−チロシンの誘導体またはその塩を老化防止剤の製造に用いる方法にも関する。【発明の実施の形態】【0009】以下に本発明を詳細に説明する。本発明において、老化防止剤とは、皮膚等の老化防止効果を有するものをいうが、広義の意味であって、シワを改善することだけでなく、紫外線による炎症(紅斑)や、細胞の損傷を抑制することも含む。【0010】一般式(1)において、R1の炭素数2〜8の直鎖あるいは分岐炭化水素基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ビニル基、アリル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基などをあげることができる。一般式(1)のR2における炭素数1〜20のアシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、メタクロイル基などが、アミノ酸残基としてはグリシル、アラニル、セリル、トリプトファニル、フェニルアラニル、チロシル、スレオニル、バリルなどが、一般式(1)のR3における炭素数1〜20のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、nーブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基などをあげることができる。【0011】本発明に使用できる一般式(1)で表されるL−チロシン誘導体としては、特にグリシルチロシン、チロシルグリシン、アラニルチロシン、チロシルアラニン、セリルチロシン、チロシルセリン、トリプトファニルチロシン、チロシルトリプトファン、チロシルチロシン、フェニルアラニルチロシン、チロシルフェニルアラニン、ロイシルチロシン、チロシルロイシン、スレオニルチロシルセリン、チロシル−D−アラニルグリシンなどのジペプチド類、チロシルグリシルグリシン、チロシルチロシルロイシン、チロシルチロシルフェニルアラニン、チロシルチロシルチロシン、D−チロシルバリルグリシン、チロシルフェニルアラニルフェニルアラニンアミドなどのオリゴペプチド類、N−アセチルチロシン、N―ベンゾイルチロシン、L−チロシンメチルエステル、L−チロシンイソプロピルエステル、L−チロシンベンジルエステル、L−チロシンt−ブチルエステル、チロシルチロシルチロシルメチルエステルなどのL−チロシン誘導体類があげられる。これらの中でも、特に好ましいのは、グリシルチロシン、チロシルフェニルアラニン、チロシルチロシン、N−アセチル化チロシン又はチロシンメチルエステルである。【0012】L−チロシン誘導体またはその塩は、公知の物質であり、L−チロシンを出発物質として合成することができる。あるいはSIGMA社、Aldrich社等の市販品を購入する等の方法により容易に入手することができる。【0013】本発明に用いられるL−チロシン誘導体およびその塩の配合量は、製剤の総量を基準として0.001〜10.0重量%、より好ましくは0.01〜2.0重量%を配合すれば、本発明の目的とする効果が得られる。【0014】本発明の老化防止剤は例えば洗顔料類、ローション類、乳液類、クリーム類、ジェル類、ファンデーション類、パック類等の皮膚外用剤に適用することができる。さらにまた、本発明の老化防止剤は錠剤などの経口剤に適用することもできる。本発明の老化防止剤には上記の他に保湿剤、アミノ酸、ビタミン類、炭化水素、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、水溶性高分子、pH調整剤、水等を必要に応じて適宜配合することができる。これらの成分はそれぞれ一種を用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。【0015】保湿剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、乳酸ナトリウム、dl- ピロリドンカルボン酸塩、ヨクイニン抽出物、黒糖抽出物、キトサン誘導体、等が挙げられる。【0016】アミノ酸として、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、トリプトファン、シスチン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン、アスパラギン等の中性アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、およびアルギニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。【0017】ビタミン類としては、ビタミンA,B1,B2 ,B6 ,Cおよびその誘導体、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。【0018】炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィン、スクワラン、ワセリン等が挙げられる。【0019】高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、12- ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。【0020】エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、2-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2- エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2- ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリー2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2- ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。【0021】シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成しているシリコン樹脂、シリコンゴム等が挙げられる。【0022】アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム 等の高級アルキル硫酸エステル塩、POE ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸、等が挙げられる。【0023】カチオン界面活性剤としては、例えば、アシルグルタミン酸、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N'-ジメチル-3,5- メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、POE アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。【0024】両性界面活性剤としては、例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド-1- カルボキシエチロキシ2 ナトリウム塩等の、イミダゾリン系両性界面活性剤、2-ヘプタデシル-N- カルボキシメチル-N- ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。【0025】非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2- エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2- エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、α, α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオエレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等の POEソルビタン脂肪酸エステル類、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等の POEソルビット脂肪酸エステル類、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等の POEグリセリン脂肪酸エステル類、POE モノオレエート、POE ジステアレート、POE モノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE 脂肪酸エステル類、POEヒマシ油、 POE硬化ヒマシ油、 POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、 POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、 POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE 硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOE ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、が挙げられる。【0026】水溶性高分子としては、例えば、アラビアガム、ペクチン、カンテン、コメあるいはトウモロコシあるいはコムギデンプン、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー( カーボポール) 等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、4,000,000 、600,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系高分子、カチオンポリマー等が挙げられる。【0027】pH調製剤としては乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン−リン酸2水素ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。【0028】次に実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。【実施例】(1) 皮膚老化防止効果試験(試験方法)目尻に深さ100μm程度のシワを有する中高年被験者10名を対象に表1に示すクリームを4週間連続塗布し、その効果を評価した。すなわち、被験者の右目尻試験部位に1日1回、約0.5gを塗布し、試験開始前および試験終了後の皮膚の状態を判定基準により判定した。左目尻は試料を塗布せずに対照とした。(判定基準)著 効 ;顕著な改善有 効 ;中程度の改善やや有効 ;軽度の改善無 効 ;変化なし(判定)○;被験者のうち著効および有効を示す割合が8名以上の場合△;被験者のうち著効および有効を示す割合が5〜7名の場合×;被験者のうち著効および有効を示す割合が5名未満の場合【0029】[実施例1〜5及び比較例1〜3]表1に記載する原料から、常法にしたがって、実施例1〜5及び比較例のクリームを調整し、前記の皮膚老化防止効果試験を実施した。結果を表3に記載する。【0030】【表1】【0031】【表2】【0032】【表3】【0033】表3から明らかなように、皮膚老化防止効果は、L−チロシンおよびL−チロシンを基本骨格にもたない化合物を配合した比較例に比べて、L−チロシン誘導体を配合した実施例の方が優れていることが認められた。【0034】(2) 紅斑抑制効果試験(試験方法)中高年被験者10名の右腕上腕内側部に紫外線1.0MEDを照射し、紫外線照射部位に4週間連続塗布し、その効果を評価した。すなわち、被験者の試験部位に1日1回、上記の実施例1〜5、比較例1〜3各々約0.5gの試料を塗布し、紫外線照射直後および試験終了後の皮膚の状態を判定基準により判定した。(判定基準)著 効 ;顕著な紅斑の減少有 効 ;中程度の紅斑の減少やや有効 ;軽度の紅斑の減少無 効 ;変化なし(判定)○;被験者のうち著効および有効を示す割合が8名以上の場合△;被験者のうち著効および有効を示す割合が5名〜7名の場合×;被験者のうち著効および有効を示す割合が5名未満の場合【0035】結果を表4に記載する。【表4】【0036】表4から明らかなように、紫外線による紅斑抑制効果は、L−チロシンおよびL−チロシンを基本骨格にもたない化合物を配合した比較例に比べて、L−チロシン誘導体を配合した実施例の方が優れていることが認められた。【0037】(3)紫外線による細胞死防御試験(試験方法)24ウエルプレートに正常ヒト皮膚表皮由来細胞であるHaCaT細胞を4000cells/ウエルになるように播種し、20時間、37℃、5%CO2条件下で培養する。サンプルを含む培地に交換後、UVB(1mW/cm2)を35秒間照射し、更に48時間同条件で培養する。細胞を洗浄後、WST−1<2−(4−Iodophenyl−3−(4−nitrophenyl)−5−(2,4−disulfophenyl)−2H−tetrazolium−Na>を添加し、3時間反応後、マイクロプレートリーダーにより450nmの吸光度を測定する。細胞生存率は紫外線を照射しない細胞の吸光度を100%として紫外線を照射した時の各サンプルの吸光度から細胞生存率を計算する。【0038】[実施例6]培地としてグリチルチロシン無添加の対照区、グリチルチロシン1%添加、グリチルチロシン2%添加の試験区の合わせて3つのサンプルを用意して、上記の紫外線による細胞死防御試験を行った。結果を図1に示す。グリシルチロシンを配合しない系においては、紫外線を照射すると紫外線未照射の細胞と比較して15%の細胞生存率であり、細胞死が認められるのに対して、グリチルチロシン1%添加した系においては52%の細胞生存率、グリシルチロシンを2%添加した系においては60%の細胞生存率で細胞死を防御することが認められた。【0039】本発明の老化防止剤を用いる製剤の処方例を以下に示す。(処方例1) 保湿化粧水ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0クエン酸ナトリウム 0.031,3−ブチレングリコール 8.0ジグリセリン 15.0ソルビトール 2.0グリシルチロシン 0.5N−アセチルチロシン 0.5カワラナデシコ抽出物 0.01キラヤ抽出物 0.02精製水 残余【0040】(処方例2) 乳液状液体化粧料スクワラン 3.5ホホバ油 2.5イソノナン酸イソノニル 5.0ステアリン酸 1.2ポリオキシエチレンセチルエーテル 0.5ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.5イソステアリン酸ポリグリセリル 0.81,3−ブチレングリコール 7.9カルボキシビニルポリマー 0.1濃グリセリン 5.5コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.08水酸化カリウム 0.05グリシルチロシン 0.5チロシンメチルエステル 0.5ハイビスカス抽出物 0.01ブルーベリー抽出物 0.075精製水 残余【0041】(処方例3) モイスチャージェル1,3−ブチレングリコール 3.0グリセリン 5.0L−アスコルビン酸 2−グルコシド 2.0水酸化カリウム 0.3スクレロチウムガム 0.5グリシルチロシン 0.5チロシルフェニルアラニン 0.5防腐剤 適量香料 適量精製水 残余【0042】(処方例4) エモリエントクリームスクワラン 10.0ベヘニルアルコール 3.0POE(20)ステアリルエーテル 1.5ジプロピレングリコール 8.0濃グリセリン 5.0キサンタンガム 0.3スクレロチウムガム 1.0L−アスコルビルリン酸エステルマグネシウム塩 1.5グリシルチロシン 0.5チロシルチロシン 0.5pH調整剤 適量防腐剤 適量精製水 残余【0043】(処方例5) ファンデーションスクワラン 5.0デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0ホホバ油 2.0吸着精製ラノリン 1.0POE(60)硬化ヒマシ油 1.51,3−ブチレングリコール 8.0カラギーナン 0.3スクレロチウムガム 0.5タルク 4.7グリシルチロシン 0.5チロシルフェニルアラニン 0.5L−アスコルビルリン酸エステルナトリウム塩 1.0二酸化チタン 7.8ベンガラ 0.35黄酸化鉄 0.85黒酸化鉄 0.15調合粉末 適量防腐剤 適量精製水 残余【0044】(処方例6) シート状マスクグリセリン 5.0ジプロピレングリコール 2.0トリメチルグリシン 0.5L−アスコルビン酸 2−グルコシド 1.0グリシルチロシン 0.5チロシルフェニルアラニン 0.5水酸化カリウム 0.3スクレロチウムガム 0.5香料 適量防腐剤 適量精製水 残余【0045】(処方例7) 経口剤(錠剤)グリシルチロシン 10.0乳糖 86.0乾燥コーンスターチ 2.0タルク 1.8ステアリン酸カルシウム 0.2【0046】【発明の効果】本発明の老化防止剤は、老化の原因となる過酸化脂質の生体内での生成を抑制し、紫外線による皮膚の障害を防止し、老化防止する効果を奏するので高度の機能性組成物として有用である。【図面の簡単な説明】【図1】図1には、本発明の老化防止剤を用いるときの、紫外線による細胞死防御試験の結果を示す。 グリシルチロシン、チロシルフェニルアラニン、チロシルチロシンからなるL−チロシンの誘導体又はその塩を一種以上含有することを特徴とするシワ改善剤。 剤型が外用剤である請求項1に記載のシワ改善剤。 剤型が経口剤である請求項1に記載のシワ改善剤。 シワ改善剤を製造するためにグリシルチロシン、チロシルフェニルアラニン、チロシルチロシンからなるL−チロシンの誘導体又はその塩の一種以上を有効成分として使用する方法。