生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_p−ヨードフェノールの選択的製造方法
出願番号:2001252040
年次:2012
IPC分類:C07C 37/62,C07C 39/27


特許情報キャッシュ

寺尾 啓二 国嶋 崇隆 谷 昇平 館 巌 鈴木 久之 萩原 滋 JP 4864247 特許公報(B2) 20111118 2001252040 20010822 p−ヨードフェノールの選択的製造方法 日宝化学株式会社 000227652 藤野 清也 100090941 吉見 京子 100113837 藤野 清規 100076244 寺尾 啓二 国嶋 崇隆 谷 昇平 館 巌 鈴木 久之 萩原 滋 20120201 C07C 37/62 20060101AFI20120112BHJP C07C 39/27 20060101ALI20120112BHJP JPC07C37/62C07C39/27 C07B 31/00-63/04 C07C 1/00-409/44 特開昭63−101342(JP,A) 特開平02−174738(JP,A) 特開平10−045609(JP,A) 特開昭51−088625(JP,A) 特開昭63−143749(JP,A) 4 2003064012 20030305 5 20080616 高橋 直子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はp-ヨードフェノールを選択的に製造する方法に関する。【0002】【従来技術】p-ヨードフェノールの製造は通常フェノールをアルカリ性溶液中でヨウ素と反応させることが行われている。フェノールをヨウ素化すると、通常そのオルトパラ配向性によりパラ体とオルト体が略7:3の割合で生成してくる。このためパラ体の収率を向上させようとする試みが種々行われている。例えば、特開昭63-101342号には、アルカリ性雰囲気下でフェノールとヨウ素とを反応させるに際しβ−シクロデキストリンの存在下で行うことが提案されている。その好ましい反応方法として、β−シクロデキストリン存在下、温度−5℃〜2℃でフェノールのアルカリ水溶液中にヨウ素を滴下する方法を挙げている。この方法による反応機構として、アルカリ水溶液中においてβ−シクロデキストリンとフェノールとの分子錯体が形成され、さらにヨウ素の三元分子錯体が形成され、その時フェノールはパラ炭素原子を先頭にβ−シクロデキストリンの空洞内に侵入し、その結果、ヨウ素化反応にいてパラ選択性が向上したものと推測されている。しかし、そのパラ体/オルト体は最高で96/4である。【0003】p−ヨードフェノールは種々の化合物の合成原料として用いられ、特に医薬や農薬の合成原料として用いられる場合には(パラ体/オルト体:99以上の)高純度品が要求されることが少なくない。このためパラ/オルト比を上げるべく精製が行われている。フェノールとヨウ素の反応によって得られるヨードフェノールのパラ/オルト比が96/4であっても通常の精製手段によっては純度を向上させることが困難であり、要求される純度にするために精製工程を繰り返し行うことを余儀なくしている。精製工程を繰り返すことによる収率の低下、コストの上昇が避けられない。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上述のような現状に鑑み、p-ヨードフェノールの製造において、更なるパラ選択性を向上させ、精製工程の負担を軽減させるべく鋭意研究した結果、ヨウ素を予めβ−シクロデキストリンに包接させた包接化物としてフェノールと反応させることにより、p-ヨードフェノールを高い選択率で製造できることを見出し本発明に到達した。【0005】【問題点を解決するための手段】本発明は、高い選択率でp-ヨードフェノールを製造する方法であって、アルカリ性雰囲気下、フェノールを予めβ-シクロデキストリンに包接されたヨウ素と反応させることを特徴とする。また、好ましくはフェノール1モルにβ-シクロデキストリンに包接されたヨウ素2モル以上とを氷冷下混合し、室温で反応させることを特徴とする。【0006】【発明の実施の形態】本発明においては、ヨウ素を予めβ-シクロデキストリンに包接させた包接化物として用いる。このヨウ素−β-シクロデキストリン包接化物(以下、BCDIと記す)は、β−シクロデキストリンと水溶化したヨウ素とを混合することにより容易に作ることができる(例えば、特開昭51−88625号公報)。本発明では、このBCDI形体のヨウ素をアルカリ水溶液中でフェノールと反応させる。フェノールとヨウ素のモル比は、1:1.5以上とする。フェノールに対するBCDIが1.5より少ないときは充分高いパラ選択率が得られず、後の煩雑な精製工程繰り返しを必要とする。好ましくは1:1.8〜5、さらに好ましくは1:2〜4である。このようにフェノールに対するBCDIの割合を高くすることにより、パラ/オルト比97以上のヨードフェノールを得ることができる。また、フェノールとBCDIとを混合するに当たり、フェノールを溶解した水酸化ナトリウムの溶液を予め氷冷した後、BCDIを加えて混合する。充分混合した後は、室温で約20時間以上攪拌反応させることによって、パラ体100%のヨードフェノールを得ることができる。室温での反応時間を充分に長くとることによってっフェノールの転化率を80%以上に高めることができる。【0007】本発明は反応を室温で行う方法であり、低温に保持する必要がない。反応溶液からの目的のヨードフェノールの分離は、反応液を中和してβ−シクロデキストリン(未反応のBCDIを含む)を沈降分離した後、クロロホルムなどの有機溶剤で抽出することにより容易に行うことができる。なお、分離したβ−シクロデキストリンを焼却してヨウ素を回収し、さらにBCDIの生成に使用する。なお、本発明方法においてフェノールとBCDIとの混合を室温で行った場合などでは生成するヨードフェノールの純度が100%に満たないことがあるが、なお97%以上の純度で得られ、97%以上の純度を有することにより、トルエン、ベンゼン、n−ヘキサンなどの有機溶剤による溶剤抽出→ろ過→晶析という簡単な方法によって純度99%以上に容易にすることができる。以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。【0008】(BCDIの製造)200mlフラスコに水100ml及びヨウ化カリウム9.88g(0.0595モル)を入れ室温で溶解した。これにヨウ素7.56g(0.0298モル)を入れ60分間攪拌して溶解させた。これにβ−シクロデキストリン22.68gを入れ室温で30分間攪拌して溶解した後90℃まで加温し直ちに冷却して20℃とした。析出したBCDIを分離、洗浄、乾燥してBCDI28.92gを得た。このもののヨウ素量は22.4質量%であった。【0009】【実施例1】500mlのフラスコ中、フェノール940mg(0.01モル)を溶解した20%水酸化ナトリウム水溶液100mlを充分に氷冷しここに粉末BCDI 25200mg(ヨウ素として、0.02モル)を加えて混合溶解させた後、溶液を室温にて攪拌しながら48時間反応させた。反応終了後、反応液を燐酸にて中和して沈殿したβ−シクロデキストリンを分離した後、クロロホルム100mlを用いて抽出した。さらに、沈殿分離したβ−シクロデキストリンに包接されている目的物をトルエン100ml溶媒に使用してソックスレー抽出した。双方の抽出液を合わせ、減圧下蒸発乾固するとヨードフェノールと未反応フェノールの混合物をほぼ定量的に1980mg、合わせて0.01モル得た。H−NMR分析の結果、フェノールの転化率83%、パラ/オルト比100/0であった。【0010】【実施例2】500mlのフラスコ中、フェノール940mg(0.01モル)を溶解した20%水酸化ナトリウム水溶液100mlを充分に氷冷しここに粉末BCDI 12600mg(ヨウ素として、0.01モル)を加えて混合溶解させた後、溶液を室温にて攪拌しながら20時間反応させた。反応終了後、反応液を燐酸にて中和して沈殿したβ−シクロデキストリンを分離した後、クロロホルム100mlを用いて抽出した。さらに、沈殿分離したβ−シクロデキストリンに包接されている目的物をトルエン100ml溶媒に使用してソックスレー抽出した。双方の抽出液を合わせ、減圧下蒸発乾固するとヨードフェノールと未反応フェノールの混合物をほぼ定量的に1190mg、合わせて0.01モル得た。H−NMR分析の結果、パラ/オルト比100/0であった。なお、フェノールの転化率19%であった。【0011】【比較例1】実施例2のBCDIに代えて、β−シクロデキストリンとヨウ素をそれぞれフェノールと等モル加え実施例2と同様に反応させた。得られたヨードフェノールのパラ/オルト比は89/11であった。なお、フェノールの転化率は48%であった。【0012】【実施例3】500mlのフラスコ中、フェノール940mg(0.01モル)を溶解した20%水酸化ナトリウム水溶液100mlに、室温(約21℃)にて粉末BCDI 25200mg(ヨウ素として、0.02モル)を加えて混合溶解させた後、室温にて攪拌しながら20時間反応させた。反応終了後、反応液を燐酸にて中和して沈殿したβ−シクロデキストリンを分離した後、クロロホルム100mlを用いて抽出した。さらに、沈殿分離したβ−シクロデキストリンに包接されている目的物をトルエン100ml溶媒に使用してソックスレー抽出した。双方の抽出液を合わせ、減圧下蒸発乾固するとヨードフェノールと未反応フェノールの混合物をほぼ定量的に1759mg、合わせて0.01モル得た。H−NMR分析の結果、パラ/オルト比97/3であった。なお、フェノールの転化率62%であった。【0013】【比較例2】実施例1のBCDIに代えて、β−シクロデキストリンとヨウ素をそれぞれフェノールと等モル加え実施例1と同様に反応させた。得られたヨードフェノールのパラ/オルト比は96/4であった。なお、フェノールの転化率は48%であった。この反応液を実施例3と同様にトルエンによる抽出、ろ過、晶析工程よりなる精製を2回行ったところ、パラ/オルト比98.8/1.2のp−ヨードフェノール750mgを得た。【0014】【発明の効果】フェノールのヨウ素化剤としてBCDIを約2倍モル用いる本発明方法によれば、高いパラ選択率でp-ヨードフェノールを製造することができ、精製工程の負担を軽減することができ、また反応を室温で行うことができる。さらに、ヨウ素化剤としてのBCDIを氷冷下でフェノールと混合して室温で反応させるときは、高い転化率のもとでパラ選択率100%でp-ヨードフェノールを製造することができ、反応終了後の精製工程を必要としない。 フェノールをアルカリ性雰囲気下、β−シクロデキストリンに包接されたヨウ素と反応させることを特徴とするp−ヨードフェノールの選択的製造方法であって、次の工程を含むp−ヨードフェノールの選択的製造方法。1)ヨウ素をシクロデキストリンに包接させてヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物を製造する工程2)ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物をフェノール溶液に添加する工程 フェノール1モルに、β−シクロデキストリンに包接されたヨウ素を室温で反応させる請求項1に記載の方法。 フェノール1モルに、β−シクロデキストリンに包接されたヨウ素を2〜3モル用いる、請求項1または請求項2に記載の方法。 フェノール1モルに、β−シクロデキストリンに包接されたヨウ素を氷冷下で混合し、室温で反応させる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方法。


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