| タイトル: | 特許公報(B2)_水溶性ショウキョウエキス |
| 出願番号: | 2001236854 |
| 年次: | 2011 |
| IPC分類: | A61K 36/18,A61K 36/00,A61K 8/97,A61P 17/00,A61Q 7/02 |
渋谷 祐輔 森脇 繁 辻 尚子 JP 4759182 特許公報(B2) 20110610 2001236854 20010803 水溶性ショウキョウエキス 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 渋谷 祐輔 森脇 繁 辻 尚子 20110831 A61K 36/18 20060101AFI20110811BHJP A61K 36/00 20060101ALI20110811BHJP A61K 8/97 20060101ALI20110811BHJP A61P 17/00 20060101ALI20110811BHJP A61Q 7/02 20060101ALI20110811BHJP JPA61K35/78 CA61K35/78 YA61K8/97A61P17/00A61Q7/02 A61K 36/9068 A61K 8/97 A61P 17/00 A61Q 7/02 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平11−106321(JP,A) 特開平06−239736(JP,A) Nakamura H et al,Mutagen and anti-mutagen in ginger, Zingiber officinale.,Mutat Res,1982年,103(2),p.119-26 4 2003048845 20030221 8 20071026 菊池 美香 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ジンゲロール類を実質的に含有しない水溶性ショウキョウエキスに関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ショウキョウは、ショウガ科(Zingiberaceae)のショウガ(Zingiber officinale Roscoe)の根茎であり、芳香性健胃薬として古くから用いられている生薬である。斯かるショウキョウの抽出物は、毛髪の生長促進作用や止痒等の作用を有することから、化粧品素材としても広く利用されており、化粧品種別配合許可基準には「ショウキョウエキス」及び「油溶性ショウキョウエキス」が、化粧品原料基準には「ショウキョウチンキ」が収載されている。【0003】ショウキョウの主要成分としては、ジンギベロン、ギンギベレン等の精油成分と辛味・刺激成分であるジンゲロール類(6−ジンゲロール、8−ジンゲロール、10−ジンゲロール等)が知られており、主に後者に起因する血流上昇等の作用により、育毛剤等に応用されてきた。また、ジンゲロール類に関しては、ショウキョウの指標成分としての条件を満足するという報告(生薬学雑誌、40巻、333頁−339頁、1986年)もあり、既存の「ショウキョウエキス」、「油溶性ショウキョウエキス」においては、薄層クロマトによる確認試験、「ショウキョウチンキ」においては性状で「味が辛い」ことが要求されている。【0004】一方、ジンゲロール類には、強い皮膚刺激性があることから配合上限も定められており、厚生省の化粧品種別許可基準ではトウガラシチンキ、カンタリスチンキも含めた合計量で1%以下と規定されている。【0005】本発明は、このような従来のショウキョウエキスとは異なり、辛味・刺激成分であるジンゲロール類等を実質的に含まない、新たなショウキョウエキスを提供するものである。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、ショウキョウの抽出法について種々検討した結果、水又は含水アルコール抽出物に、吸着処理等の分離精製手段を講じることにより、ジンゲロール類を実質的に含まない水溶性ショウキョウエキスが得られ、驚くべきことに当該水溶性ショウキョウエキスには、体毛の生長を抑制する作用があり、抑毛剤及び外用剤として有用であることを見出した。【0007】すなわち、本発明は、ショウキョウの水又は含水アルコール抽出エキスであって、ジンゲロール類を実質的に含有しない水溶性ショウキョウエキス並びに当該エキスを含有する抑毛剤及び外用剤を提供するものである。【0008】【発明の実施の形態】本発明における「ショウキョウ」とは、ショウガ科(Zingiberaceae)のショウガ Zingiber officinale Roscoeの根茎を意味する。【0009】「ジンゲロール類を実質的に含有しない」とは、1−ジンゲロール、6−ジンゲロール、8−ジンゲロール、10−ジンゲロール等のジンゲロール類を実質的に含有しないこと、特に以下に示す条件におけるHPLC法において、6−ジンゲロールが0.5ppm以下、好ましくは検出限界以下であることを意味する。<HPLC分析条件>カラム:YMC−Pack ODS−A(4.6mmφ×150mm)溶媒:A液:アセトニトリル−水(30/70,v/v)、B液:アセトニトリルグラジエント:A液→(30分)→B液(10分保持)流速 :1.0mL/min検出波長 :UV 220nm【0010】本発明の水溶性ショウキョウエキスは、例えば(a)ショウキョウを水又は含水アルコールにより抽出し、(b)該水溶性抽出液を吸着剤処理、低極性溶媒を用いた液々分配処理等に付することにより製造することができる。以下、工程(a)及び(b)について説明する。【0011】工程(a)本工程は、ショウキョウを水又は含水アルコールで抽出する工程である。【0012】ここで、抽出原料のショウキョウは、そのままあるいは切断・粉砕したものを用いることができる。さらに、あらかじめジンゲロール類を除去する処理を施したもの、例えばヘキサン・アセトン・酢酸エチル等の低極性溶媒や、超臨界二酸化炭素によりジンゲロール類を抽出除去した後の残渣を用いることもできる。【0013】抽出溶剤には、水又は含水アルコールが用いられ、アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられ、このうち、エタノール、1,3−ブチレングリコールが特に好ましい。斯かる含水アルコールは、アルコール濃度として70%(v/v)以下であることが好ましく、70%を超える場合はジンゲロール類の混入量が多くなり除去が困難になる可能性がある。【0014】抽出法は、通常の生薬抽出に用いられる方法が適用でき、例えば、ショウキョウ1重量部に対して、水又は含水アルコール5〜30重量部を用い、5〜60℃で、0.5時間〜3日間攪拌しながら行えばよい。【0015】工程(b)本工程は、工程(a)で得られた抽出液を、吸着剤処理、低極性溶媒を用いた液々分配処理等に付して、本発明の水溶性ショウキョウエキスを得る工程である。【0016】ここでいう吸着剤処理には、活性炭(粉末活性炭、粒状活性炭等)、芳香族系吸着剤(ダイヤイオンHP20、アンバーライトXAD-2、XAD-4等)等を用いてジンゲロール類を吸着除去する処理が挙げられる。【0017】吸着剤処理は、例えば活性炭の場合、抽出液に対して約0.1〜約15重量%、好ましくは約0.4〜約5重量%用い、1〜6時間バッチ方式で吸着処理に付した後、ろ過・遠心分離等により吸着剤を除去すること、あるいはカラムに吸着剤を充填して該カラムに当該抽出液を通液して連続的に吸着処理すること等により行なうことができる。【0018】液々分配処理に用いられる低極性溶媒としては、ヘキサン、酢酸エチル、石油エーテル等が挙げられる。斯かる液々分配処理は、工程(a)で得られた抽出液に上記低極性溶媒を加え、振とう、攪拌等によって接触させた後、静置又は遠心操作によって二層に分離させ、6−ジンゲロールなどの低極性成分を含む上層(有機層)を除くことにより行なうことができる。また、分層性が悪い場合には、抽出液から減圧濃縮等の操作によりアルコール類を留去した後、液々分配に付しても良い。【0019】また、工程(b)における吸着剤処理又は液々分配処理後、メンブランフィルター等を用いた濾過等通常用いられる処理を必要に応じて行なうことができる。【0020】かくして得られた水溶性ショウキョウエキスのHPLCによる成分分析は、図1−Aに示すとおりであり、既存のショウキョウエキス(図1−B)に含まれる6−ジンゲロール等の辛味成分を実質上含まないものである。【0021】そして、当該水溶性ショウキョウエキスには、後記実施例に示すように毛の成長を抑制する作用があり、当該エキスをそのまま、或いは希釈調製して又は濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製し、抑毛剤及び外用剤として医薬又は化粧品とすることができる。【0022】本発明抑毛剤の投与方法は、その目的や適用対象又は部位によって、経皮投与、局所皮内投与、全身投与等から選択することができる。【0023】本発明抑毛剤又は外用剤を経皮投与剤として用いる場合の水溶性ショウキョウエキスの含有量は、一般的に固形分換算で0.00001〜10重量%とすることが好ましく、特に0.0001〜5重量%とすることが好ましい。【0024】本発明抑毛剤及び外用剤は、医薬品、化粧品又は医薬部外品として用いられ、特に除毛、脱毛又は髭剃り関連化粧品又は医薬品とすることが好ましい。このような化粧品又は医薬品としては、ペースト状、クリーム状、エアゾール状等の除毛剤、ワックス状、ジェル状、シート状等の脱毛剤、除毛又は脱毛の後処理に用いるローション、クリーム等の後処理料、デオドラントローション、デオドラントパウダー、デオドラントスプレー、デオドラントスティック等の制汗・防臭化粧料、プレシェーブローション等の髭剃り前処理料、シェービングクリーム等の髭剃り料、アフターシェーブローション等の髭剃り後処理料等が挙げられる。【0025】本発明の抑毛剤及び外用剤には、水溶性ショウキョウエキスに加えて、通常、医薬品、化粧品、医薬部外品等に用いられる各種成分、例えば精製水、エタノール、油性物質、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、薬効成分、粉体、紫外線吸収剤、色素、香料、乳化安定剤等を含有させることができる。薬効成分としては、例えば角質溶解剤やチオグリコール酸又はその塩等の制毛・脱毛作用を有する成分が挙げられ、当該角質溶解剤としては、例えば乳酸、ビオプラーゼ、サリチル酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられ、チオグリコール酸の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられる。これらの角質溶解剤、チオグリコール酸又はその塩の含有量は、0.01〜10重量%、特に0.05〜5%が好ましい。【0026】【実施例】実施例1市販のショウキョウ(栃本天海堂(株)製)200gを、室温下、20%(v/v)エタノール水溶液2Lで7日間抽出後ろ過し、抽出液を得た。この抽出液に活性炭(白鷺P,武田薬品工業(株)製)10.0gを加え、室温で2時間撹拌後、メンブレンフィルターでろ過し、得られたろ液を40℃で減圧濃縮したのち、20%(v/v)エタノール水溶液1Lで溶解しエキスを1L得た(固型分2.4%)。【0027】実施例2市販のショウキョウ(栃本天海堂(株)製)20gを、室温下、アセトン500mLで7日間抽出した。抽出残渣からアセトンを除去したのち、さらに20%(v/v)エタノール水溶液100mLで7日間、室温下で抽出したのちろ過し、抽出液を80mL得た。この抽出液に活性炭(白鷺P,武田薬品工業(株)製)1.0gを加え、室温で2時間撹拌後、メンブレンフィルターでろ過しエキスを70mL得た(固型分2.3%)。【0028】実施例3市販のショウキョウ(栃本天海堂(株)製)20gを、21MPa、40℃の条件において超臨界二酸化炭素2kgで抽出した。抽出残渣をさらに、室温下、20%(v/v)エタノール水溶液100mLで7日間抽出したのちろ過し、抽出液を80mL得た。この抽出液に活性炭(白鷺P,武田薬品工業(株)製)0.8gを加え、室温で2時間撹拌後、メンブレンフィルターでろ過しエキスを75mL得た(固型分2.1%)。【0029】実施例4市販のショウキョウ(栃本天海堂(株)製)20gを、室温下、50%(v/v)1,3−ブチレングリコール水溶液100mLで7日間抽出したのちろ過し、抽出液を72mL得た。この抽出液に活性炭(白鷺P,武田薬品工業(株)製)1.0gを加え、室温で2時間攪拌後、メンブランフィルターでろ過し、エキスを65mL得た(蒸発残分2.0%)。【0030】実施例5市販のショウキョウ(栃本天海堂(株)製)20gを、室温下、50%(v/v)エタノール水溶液100mLで7日間抽出したのちろ過し、抽出液を70mL得た。この抽出液を40℃で減圧濃縮しエタノールを留去後、水100mL及び酢酸エチル200mLで液々分配し、下層(水層)を得た。この水層を減圧濃縮後、20%(v/v)エタノール水溶液100mLに溶解し、エキスを得た(固形分1.8%)。【0031】実施例6市販のショウキョウ(栃本天海堂(株)製)20gを、室温下、70%(v/v)1,3−ブチレングリコール水溶液100mLで7日間抽出したのちろ過し、抽出液を70mL得た。この抽出液に活性炭(白鷺P,武田薬品工業(株)製)1.0gを加え、室温で2時間攪拌後、メンブランフィルターでろ過し、エキスを60mL得た(蒸発残分1.8%)。【0032】比較例粧原基記載のショウキョウチンキの製造法に準拠して製造を行なった。市販のショウキョウ(栃本天海堂(株)製)200gを、74%(v/v)エタノール水溶液1Lで7日間抽出し、ろ過後抽出液を得た。同エタノール水溶液を用いて1Lとしエキスを得た(固形分2.7%)。【0033】試験例1 試料中の6−ジンゲロールの定量試料2mLを正確にとり、アセトニトリル−水(30/70、v/v)を用いて10mLに定容し、試験溶液とした。この試験液を10μL正確にとり、下記条件にてHPLC法により定量した。尚、検量線は、6−ジンゲロール(生薬試験標準品、和光純薬工業製等)を用いて常法通り作成した。結果を表1に示す。<HPLC分析条件>カラム:YMC−Pack ODS−A(4.6mmφ×150mm)溶媒 :A液:アセトニトリル−水(30/70,v/v)、B液:アセトニトリルグラジエント:A液→(30分)→B液(10分保持)流速 :1.0mL/min検出波長 :UV 220nm【0034】【表1】【0035】試験例2 抑毛効果製造例1及び比較例で得られた抽出液を最終濃度1%となるように80%エタノールに溶解し、発毛抑制剤を調製した。生後49日齢のC3H/HeNCrjマウス1群20頭の背部毛を、電気バリカン及び除毛クリームを用いて皮膚を傷つけないように剃毛した。次いで、翌日より上記試料を剃毛部位に1日2回100mLずつ、4週間にわたり塗布した。なお、溶媒のみを塗布した群を対照群とした。毛再生を観察するため、上記剃毛部位を一定倍率で撮影し、画像解析装置を用いて再生毛面積比(再生毛面積/剃毛面積)の経日変化を測定した。その結果、表2から明らかなように、本発明のショウキョウ抽出物含有発毛抑制剤は優れた発毛抑制作用を示すことが判明した。一方、既存ショウキョウチンキの製造法に準拠して得た比較例エキスにおいては、むしろ発毛を促進する作用がみられた。【0036】【表2】【0037】【発明の効果】本発明の水溶性ショウキョウエキスは、ジンゲロール類を実質的に含まないことから皮膚刺激性が少なく、また優れた体毛生長抑制効果を有することから、安全性の高い抑毛剤及び外用剤として有用である。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、HPLCによる成分分析結果を示す図である(A:水溶性ショウキョウエキス(実施例1)、B:ショウキョウエキス(比較例))。 (a)ショウキョウを水又は含水アルコールにより抽出し、(b)該水溶性抽出液を吸着剤処理又は低極性溶媒による液々分配処理に付すことにより得られ、6−ジンゲロールの濃度が0.5ppm以下である、水溶性ショウキョウエキスを含有する抑毛剤。 (a)ショウキョウを水又は含水アルコールにより抽出し、(b)該水溶性抽出液を吸着剤処理又は低極性溶媒による液々分配処理に付すことにより得られ、6−ジンゲロールの濃度が0.5ppm以下である、水溶性ショウキョウエキスを含有する外用剤。 吸着剤が、活性炭又は芳香族系吸着剤である請求項1記載の抑毛剤又は請求項2記載の外用剤。 低極性溶媒が、ヘキサン、酢酸エチル及び石油エーテルから選ばれる請求項1記載の抑毛剤又は請求項2記載の外用剤。