タイトル: | 特許公報(B2)_ベンズイミダゾール化合物の塩およびその用途 |
出願番号: | 2001235673 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07D 401/12,A61K 31/4439,A61P 1/04,A61P 25/20,A61P 31/04,A61P 35/00 |
神山 圭司 橋本 秀雄 JP 5412023 特許公報(B2) 20131115 2001235673 20010803 ベンズイミダゾール化合物の塩およびその用途 武田薬品工業株式会社 000002934 鍬田 充生 100090686 神山 圭司 橋本 秀雄 JP 2000236651 20000804 20140212 C07D 401/12 20060101AFI20140123BHJP A61K 31/4439 20060101ALI20140123BHJP A61P 1/04 20060101ALI20140123BHJP A61P 25/20 20060101ALI20140123BHJP A61P 31/04 20060101ALI20140123BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140123BHJP JPC07D401/12A61K31/4439A61P1/04A61P25/20A61P31/04A61P35/00 C07D401/12,A61K31/4439 特表平10−504290(JP,A) 特表平11−508590(JP,A) 特許第4536905(JP,B2) 特許第3283252(JP,B2) 10 2002114779 20020416 24 20080731 2012012614 20120703 井上 雅博 武重 竜男 齋藤 恵 本発明は、優れた薬理活性(例えば、抗潰瘍作用)を有するベンズイミダゾール化合物の塩およびその用途に関する。 抗潰瘍作用を有する2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールまたはその塩は、特開昭61−50978号公報などに報告されている。 WO94/27988号公報(特表平7−509499号公報)には、光学的に純粋な化合物として、光学的に純粋な(+)−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(オメプラゾール)のナトリウム、マグネシウム、リチウム、カリウム、カルシウム塩が開示されている。 WO99/38513号公報には、光学的に純粋な(R)−ランソプラゾール又はその薬理的に許容される塩を投与し、潰瘍などを治療する方法が開示されているが、具体的に塩は得られていない。 WO92/8716号公報には、光学対掌体的に純粋なピリジルメチルスルフィニル−1H−ベンズイミダゾール化合物又はその塩、並びにその製造方法が開示されている。 WO96/2535号公報(米国特許第5948789号明細書、特表平10−504290号公報)には、チオ化合物を酸化反応に付し、光学活性なオメプラゾールなどのスルホキシド化合物を生成させ、所望により慣用の方法により塩に変換する製造方法が開示されている。 これらの文献に記載されているピリジルメチルスルフィニル−1H−ベンズイミダゾール化合物(オメプラゾールやランソプラゾールなど)は比較的安定性に乏しい。また、純度の高い光学活性ランソプラゾールを得ることも困難である。しかし、これらの文献には、光学活性なランソプラゾールの安定性や純度を向上させる方法については開示されていない。発明が解決しようとする課題 従って、本発明の目的は、安定性の高い光学活性ランソプラゾールおよびその用途(例えば、抗潰瘍剤などの医薬組成物)を提供することにある。 本発明の他の目的は、純度の高い光学活性ランソプラゾールおよびその用途を提供することにある。 本発明のさらに他の目的は、より安定で溶解性および吸収性に優れた光学活性ランソプラゾールおよびその用途を提供することにある。課題を解決するための手段 本発明者らは、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの特定の金属塩(特に結晶形態の塩)を初めて合成し、このような塩が、予想外に優れた固体安定性、抗潰瘍作用を有し、医薬として充分満足できることを初めて見出し、これらの知見に基づいてさらに研究し、本発明を完成した。 即ち、本発明は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩またはバリウム塩に関する。この塩は結晶であってもよい。例えば、本発明の塩は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(特に結晶)、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのカリウム塩(特に結晶)などであってもよい。さらに、本発明の塩は溶媒和していてもよい。結晶の形態の塩において、X線回折スペクトルにおける結晶の回折ピークは、例えば、(i)15.02,7.53,7.05,5.53,4.17,3.96,3.42,3.33Å、(ii)16.00,12.65,7.98,7.51,6.35,5.09,4.99,4.92,4.82,4.21Å、(iii)8.89,8.47,5.64,5.24,4.84,4.23,4.20,4.09,3.60,3.36Å、(iv)16.35,8.17,6.81,5.78,4.93,4.50,4.25,4.08,3.65,3.36,3.02Åなどであってもよい。 本発明の方法では、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールと、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウムから選択された金属化合物とを反応させることにより、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの金属塩を製造する。この方法において、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの金属塩を結晶化に付すことにより、結晶形の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの金属塩を得ることができる。 本発明は、さらに、前記塩を含有する医薬組成物も開示する。この医薬組成物は、消化性潰瘍;胃炎;逆流性食道炎;NUD(Non Ulcer Dyspepsia);胃癌;胃MALTリンパ腫;上部消化管出血、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍;又はヘリコバクター・ピロリ菌に起因する疾患に対する予防・治療剤として利用できる。 本発明には、さらに、前記塩をヒトに投与し、消化性潰瘍;胃炎;逆流性食道炎;NUD(Non Ulcer Dyspepsia);胃癌;胃MALTリンパ腫;上部消化管出血、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍;又はヘリコバクター・ピロリ菌に起因する疾患を予防又は治療する方法、医薬組成物を製造するための前記塩の使用も開示する。 なお、本明細書において、「ナトリウム、リチウムおよびカリウム」およびこれらの金属化合物を、それぞれ、「アルカリ金属」「アルカリ金属化合物」と総称する場合がある。また、「マグネシウム、カルシウムおよびバリウム」およびこれらの金属化合物を、それぞれ、「アルカリ土類金属」「アルカリ土類金属化合物」と総称する場合がある。 本発明の特色は、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下、単に「ランソプラゾール」と称する場合がある)が光学活性な(R)体であり、かつ(R)−ランソプラゾールが特定の金属との塩を形成している点にある。 本発明の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはバリウム塩(以下、「本発明の塩」と略記することもある)は、光学的に純粋であり、例えば、(R)−エナンチオマーの光学純度は、90%以上のエナンチオマー過剰(e.e.)、好ましくは95%以上エナンチオマー過剰、より好ましくは99%以上エナンチオマー過剰である。 本発明の塩の形態は、特に制限されず、油状物、非晶、結晶であってもよい。好ましい塩の形態は結晶である。この結晶はX線回折スペクトルにおける回折ピークにより特徴付けられる。前記結晶の形態の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などが例示できる。結晶の形態の塩としては、具体的には、粉末X線回折の格子間隔(d)が(i)15.02,7.53,7.05,5.53,4.17,3.96,3.42,3.33Åに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有するナトリウム塩の結晶、(ii)16.00,12.65,7.98,7.51,6.35,5.09,4.99,4.92,4.82,4.21Åに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する、イソプロピルアルコールが溶媒和したナトリウム塩の結晶、(iii)8.89,8.47,5.64,5.24,4.84,4.23,4.20,4.09,3.60,3.36Åに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有するナトリウム塩の1水和物の結晶、(iv)16.35,8.17,6.81,5.78,4.93,4.50,4.25,4.08,3.65,3.36,3.02Åに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有するカリウム塩の結晶などが挙げられる。 本発明の塩は、溶媒(水、有機溶媒)と溶媒和した溶媒和物であってもよく、非溶媒和物であってもよい。すなわち、本発明の塩は、水和物であってもよく、非水和物であってもよい。 「水和物」としては、0.5水和物ないし5.0水和物が挙げられる。この水和物のうち、0.5水和物ないし3水和物、例えば、0.5水和物、1.0水和物、1.5水和物、2.0水和物が好ましい。 本発明の塩は、低毒性又は非毒性の溶媒を含んでいてもよく、前記のように溶媒と溶媒和していてもよい。「溶媒」としては、例えば、アルコール[例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)などのC1-4アルキルアルコール、ベンジルアルコールなど]などが挙げられる。これらの溶媒のうち、エタノール、2−プロパノールが好ましい。 「溶媒」の含有量は、本発明の塩1モルに対して、約0.5ないし5.0モル、好ましくは約0.5ないし2モル(例えば、約0.5ないし1.0モル)、さらに好ましくは約1.0モルである。 本発明の塩は、自体公知の方法、例えば、WO 94/27988号公報に記載の方法またはこれに準じる方法により製造することができ、例えば、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールと、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウムから選択された金属化合物とを反応させることにより、本発明の塩を得ることができる。金属化合物としては、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属アルコキシド、金属アミドなどが使用できる。好ましい金属化合物は、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなど)、金属アルコキシド(金属C1-4アルコキシドなど)および金属アミド(ナトリウムアミド、カリウムアミドなど)である。これらの金属化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。より具体的には、本発明の塩は、以下の反応1〜3により製造できる。 (反応1) (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールと、水酸化金属(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなど)、金属アルコキシド(例えば、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムエトキシドなどの金属C1-4アルコキシドなど)または金属アミド(ナトリウムアミド、カリウムアミドなど)とを反応させて、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはバリウム塩を得る。 「水酸化金属、金属アルコキシドまたは金属アミド」の使用量は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール 1モルに対し、0.1モルないし大過剰モル、好ましくは0.5ないし2.0モル(特に0.8〜1.5モル)である。「水酸化金属、金属アルコキシドまたは金属アミド」の使用量は、通常、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール 1モルに対して、0.5〜2当量、好ましくは0.7〜1.5当量、さらに好ましくは0.8〜1.2当量程度である。 本反応は、一般に無溶媒または不活性な溶媒中で行われる。「不活性な溶媒」としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル類(例えば、ギ酸エチル、酢酸エチルなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、極性溶媒(例えば、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドなど)またはこれら二種以上の混合物などが用いられる。これらの溶媒の中でも、水、水とアルコールとの混合溶媒(例えば、水とメタノールとの混合溶媒、水とエタノールとの混合溶媒、水と2−プロパノールとの混合溶媒)が好ましい。「不活性な溶媒」は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールに対し、通常、1ないし100倍重量、好ましくは2〜50倍重量用いられる。 反応温度は、通常、−10ないし80℃、好ましくは0ないし50℃、さらに好ましくは0ないし30℃である。反応時間は、通常、約1分ないし6時間、好ましくは約5分〜3時間、さらに好ましくは約15分ないし1時間である。 かくして得られた塩は、自体公知の分離手段(例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなど)により、反応混合物から単離、精製することができる。 (反応2) 上記の方法により得られた(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩またはカリウム塩)と、アルカリ土類金属化合物(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化バリウムなどの塩化物や硫酸塩)とを反応させ、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩またはバリウム塩)に変換してもよい。 アルカリ土類金属化合物「塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムおよび塩化バリウムなど」の使用量は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩またはカリウム塩)1モルに対し、0.1モルないし大過剰、好ましくは0.5ないし2.0モルである。アルカリ土類金属化合物の使用量は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ金属塩1モルに対して、通常、0.5〜2当量、好ましくは0.7〜1.5当量、さらに好ましくは0.8〜1.2当量程度である。 本反応は、通常、不活性な溶媒中で行なわれる。「不活性な溶媒」としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、極性溶媒(例えば、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドなど)またはこれら二種以上の混合物などが用いられる。これらの溶媒の中でも、水、水とアルコールとの混合溶媒(水とエタノールとの混合溶媒、水と2−プロパノールとの混合溶媒など)が好ましい。 「不活性な溶媒」は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩またはカリウム塩)に対し、通常、1ないし100倍重量、好ましくは2〜50倍重量用いられる。 反応温度は、通常、−10ないし80℃、好ましくは0ないし50℃(例えば、10〜50℃)、さらに好ましくは15ないし30℃である。反応時間は、通常、約1分ないし6時間、好ましくは約5分ないし3時間、さらに好ましくは約15分ないし1時間である。 かくして得られた塩は、自体公知の分離手段(例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなど)により、反応混合物から単離、精製することができる。 (反応3) (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールを、アミンまたはアンモニアで処理した後、アルカリ土類金属化合物(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化バリウムなどの塩化物や硫酸塩など)を反応させ、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩またはバリウム塩)を得る。 アミンとしては、アルキルアミン類(例えば、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミンなどのモノC1-6アルキルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミンなどのジC1-6アルキルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリC1-6アルキルアミンなど)、シクロアルキルアミン(例えば、シクロヘキシルアミンなどのC3-8シクロアルキルアミンなど)、アリールアミン(例えば、アニリン、N,N−ジメチルアニリンなど)、アラルキルアミン(ベンジルアミンなど)、複素環式アミン類(例えば、ピリジン、モルホリンなど)などが例示できる。 「アミンまたはアンモニア」の使用量は、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール 1モルに対し、0.1モルないし大過剰モル、好ましくは0.5ないし2.0モル(例えば、0.7ないし1.5モル)である。 アミンまたはアンモニアで処理する反応は、通常、不活性な溶媒中で行なわれる。「不活性な溶媒」としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、極性溶媒(例えば、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドなど)またはこれら二種以上の混合物などが用いられる。 反応温度は、通常−10ないし80℃、好ましくは0ないし50℃、さらに好ましくは0ないし30℃である。反応時間は、通常、約1分ないし6時間、好ましくは約5分ないし3時間、さらに好ましくは約15分ないし1時間である。 アミンまたはアンモニアで処理した後、アルカリ土類金属化合物(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化バリウム)との反応は、上記(反応2)と同様に行えばよい。 かくして得られた塩は、自体公知の分離手段(例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなど)により、反応混合物から単離、精製することができる。 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールは、例えば、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールまたはその塩を光学分割に付すか、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]チオ]−1H−ベンズイミダゾールを不斉酸化することにより製造することができる。なお、上記ラセミ体は、公知の方法、例えば、EP174726(特開昭61−50978号公報),EP302720に記載の方法、あるいはそれらに準じた方法により製造することができる。 光学分割の方法としては、自体公知の方法が挙げられ、例えば、分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物又は酵素を用いる方法などが用いられる。不斉酸化には、自体公知の方法を用いてもよい。 「分別再結晶法」としては、ラセミ体と光学活性な化合物[例えば、(+)−マンデル酸、(−)−マンデル酸、(+)−酒石酸、(−)−酒石酸、(+)−1−フェネチルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−(2−ナフチル)エチルアミン、(−)−1−フェネチルアミン、シンコニン、キニジン、(−)−シンコニジン、ブルシンなど)とで塩を形成させ、これを分別再結晶法などによって分離し、所望により中和工程に付し、フリーの光学異性体を得る方法が挙げられる。 「キラルカラム法」としては、ラセミ体またはその塩を光学異性体分離用カラム(キラルカラム)に付す方法が挙げられる。例えば、液体クロマトグラフィーの場合、「ENANTIO−OVM」(トーソー(株)製)または「CHIRALシリーズ」(ダイセル化学工業(株)製)などのキラルカラムにラセミ体を添加し、水、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)、有機溶媒(例えば、ヘキサン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、トリフルオロ酢酸、ジエチルアミン、トリエチルアミンなど)、またはこれらの混合溶媒で展開して光学異性体を分離する方法が挙げられる。例えば、ガスクロマトグラフィーの場合、「CP−Chirasil−DeX CB」(ジーエルサイセンス社製)などのキラルカラムを使用して分離する方法が挙げられる。 「ジアステレオマー法」としては、ラセミ体および光学活性な試薬を反応させ(好ましくは、ベンズイミダゾール基の1位に光学活性な試薬を反応させ)てジアステレオマーの混合物を生成させ、次いで通常の分離手段(例えば、分別再結晶、クロマトグラフィー法など)により一方のジアステレオマーを生成した後、化学反応(例えば、酸加水分解反応、塩基性加水分解反応、加水素分解反応など)に付して光学活性な試薬部位を切り離し、目的とする光学異性体を得る方法が挙げられる。「光学活性な試薬」としては、例えば、MTPA[α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸]、(−)−メントキシ酢酸などの光学活性な有機酸;(1R−エンド)−2−(クロロメトキシ)−1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの光学活性なアルコキシメチルハライドなどが挙げられる。 かくして得られた塩を結晶化に付すことにより、結晶の形態で(R)−ランソプラゾールの金属塩を得ることができる。この結晶化方法としては、自体公知の方法が挙げられ、例えば、溶液からの結晶化、蒸気からの結晶化、溶融体からの結晶化が挙げられる。 「溶液からの結晶化」の方法としては、例えば、濃縮法、除冷法、反応法(拡散法、電解法)、水熱育成法、融剤法などが挙げられる。用いられる溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、飽和炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、ケトン類(例えば、アセトンなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、酸アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、水などが用いられる。これらの溶媒は単独あるいは二種以上を適当な割合(例えば、容量比1:1ないし1:100)で混合して用いられる。 「蒸気からの結晶化」の方法としては、例えば、気化法(封管法、気流法)、気相反応法、化学輸送法などが挙げられる。 「溶融体からの結晶化」の方法としては、例えば、ノルマルフリージング法(引上げ法、温度傾斜法、ブリッジマン法)、帯溶融法(ゾーンレベリング法、フロートゾーン法)、特殊成長法(VLS法、液相エピタキシー法)などが挙げられる。 なお、(R)−ランソプラゾールの塩の結晶化には、一般的に、(1)50〜120℃(好ましくは70〜100℃)程度に加熱され、かつ(R)−ランソプラゾールが溶解した溶媒溶液(アルコール類、エーテル類、炭化水素類などの有機溶媒溶液)の冷却による晶析、(2)溶媒溶液(特に濃縮液)への貧溶媒の添加による晶析などが利用される。このような結晶化方法では、溶媒和した結晶を得ることもでき、(R)−ランソプラゾールと溶媒との混合液を、高温(例えば、溶媒の環流温度)で加熱処理して冷却すると、無水物結晶を得ることもできる。 得られた結晶の解析方法としては、X線回折による結晶解析の方法が一般的である。さらに、結晶の方位を決定する方法としては、機械的な方法または光学的な方法なども挙げられる。 本発明の塩は、優れた抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、粘膜保護作用、抗ヘリコバクター・ピロリ作用などを有し、また毒性は低いため、医薬品として有用である。しかも、純度が高く、安定性に優れ、長期にわたって室温で保存することができるだけでなく、取り扱いが容易になり、再現性良く固体の医薬組成物に製造することができる。また、本発明の塩を経口投与した場合、溶解性、吸収性に優れ、作用が速く発現する。また、本発明の塩を投与した場合、Cmax(最大血中濃度)は高く、AUC(area under the concentration-time curve)は大きくなり、かつ蛋白結合量が高くなることなどにより代謝されにくくなり、作用の持続時間が長くなる。従って、本発明の塩は、投与量が少量で、かつ副作用の少ない医薬品として有用である。とりわけ、本発明の塩の結晶は、純度が高く、より安定であり(実験例1参照)、また蛋白結合量が高くなり、作用持続時間が長くなることに加えて、製剤化での取扱い性,操作性が高いなどの特徴を有する。 なお、結晶に関して、一般に、本発明の塩を含めて全ての化合物又はその塩が結晶化できるとは限らないが、本発明の塩は、初めて結晶の形態でも得られた塩であり、本発明者らにより、これらの塩及びその結晶が、上述のように、医薬として優れた特性を有することが見いだされたものである。 本発明の塩は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において、消化性潰瘍(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger-Ellison)症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多形によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む)、胃MALTリンパ腫、ヘリコバクター・ピロリに起因する疾患、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍および出血性胃炎による上部消化管出血、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)による上部消化管出血、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍などの治療および予防にも有用である。さらには、ヘリコバクター・ピロリの除菌、上記上部消化管出血の抑制、および手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍の治療および予防、麻酔前投与などにも有用である。 本発明の塩は、毒性が低く、そのままあるいは自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体を混合した医薬組成物、例えば、固形剤(錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、口腔内崩壊錠、坐剤など)、液剤(注射剤を含む)、軟膏剤、貼布剤などの形態で、経口的または非経口的(例えば、局所、直腸、静脈投与など)に安全に投与することができる。医薬組成物は、ドラッグデリバリーシステムを利用して、例えば、徐放剤、ターゲット剤などとして投与してもよい。すなわち、本発明の塩は、前記疾患の予防および治療、ヘリコバクター・ピロリ除菌、前記上部消化管出血の抑制、麻酔前投与などのための医薬組成物を製造するために有利に使用される。 本発明の医薬組成物において、本発明の塩の含有量は、組成物全体の約0.01ないし100重量%である。投与量は、投与対象、投与ルート、疾患などによっても異なるが、例えば、抗潰瘍剤として、成人(60kg)に対し経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜1500mg/日、好ましくは約5〜150mg/日である。本発明の塩は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。 本発明の医薬組成物の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、水溶性高分子、塩基性無機塩;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが挙げられる。また、必要に応じて、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、酸味剤、発泡剤、香料などの添加物を用いることもできる。 「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、酸化チタンなどが挙げられる。 「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが挙げられる。 「結合剤」としては、例えば、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロースなど)、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。 「崩壊剤」としては、(1)クロスポビドン、(2)クロスカルメロースナトリウム(FMC−旭化成)、カルメロースカルシウム(五徳薬品)などスーパー崩壊剤と称される崩壊剤、(3)カルボキシメチルスターチナトリウム(例えば、松谷化学(株)製)、(4)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学(株)製)、(5)コーンスターチなどが挙げられる。「クロスポピドン」としては、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)、1−ビニル−2−ピロリジノンホモポリマーと称されているものも含め、1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーという化学名を有し架橋されている重合物のいずれであってもよく、具体例としては、コリドンCL(BASF社製)、ポリプラスドンXL(ISP社製)、ポリプラスドンXL−10(ISP社製)、ポリプラスドンINF−10(ISP社製)などが例示できる。 「水溶性高分子」としては、例えば、エタノール可溶性水溶性高分子[例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載することがある)などのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンなど]、エタノール不溶性水溶性高分子[例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載することがある)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガムなど]などが挙げられる。 「塩基性無機塩」としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。好ましくはマグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩である。さらに好ましくはマグネシウムの塩基性無機塩である。ナトリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。カリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。マグネシウムの塩基性無機塩としては、例えば、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16・CO3・4H2O]および水酸化アルミナ・マグネシウム、好ましくは、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。該カルシウムの塩基性無機塩としては、例えば、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。 「溶剤」としては、例えば、注射用水、アルコール(エタノールなど)、エチレングリコール、プロピレングリコール、マクロゴール、油脂(ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油など)などが挙げられる。 「溶解補助剤」としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。 「懸濁化剤」としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどの界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両性界面活性剤);例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。 「等張化剤」としては、例えば、ブドウ糖、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム、グリセリンなどが挙げられる。 「緩衝剤」としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩などの緩衝液などが挙げられる。 「無痛化剤」としては、例えば、ベンジルアルコールなどが挙げられる。 「防腐剤」としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸又はその塩などが挙げられる。 「抗酸化剤」としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロールなどが挙げられる。 「着色剤」としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素;食用レーキ色素、ベンガラなどが挙げられる。 「甘味剤」としては、例えば、糖類、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。 「酸味剤」としては、例えば、クエン酸(無水クエン酸)、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。 「発泡剤」としては、例えば、重曹などが挙げられる。 「香料」としては、合成物および天然物のいずれでもよく、例えば、レモン、ライム、オレンジ、メントール、ストロベリーなどが挙げられる。 本発明の塩は、自体公知の方法に従い、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤または滑沢剤などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の向上のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。腸溶性製剤とする場合、腸溶層と薬剤含有層との間に両層の分離を目的として、自体公知の方法により中間層を設けることもできる。 本発明の塩を口腔内崩壊錠とする場合、例えば、結晶セルロースおよび乳糖を含有する核を、本発明の塩および必要により塩基性無機塩で被覆し、さらに水溶性高分子を含む被覆層で被覆して組成物を生成し、得られた組成物をポリエチレングリコールを含有する腸溶性被覆層で被覆し、クエン酸トリエチルを含有する腸溶性被覆層で被覆し、ポリエチレングリコールを含有する腸溶性被覆層で被覆し、さらにマンニトールで被覆して細粒を生成し、得られた細粒と添加剤とを混合し、成形する方法などが挙げられる。上記「腸溶性被覆層」としては、例えば、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、(メタ)アクリル酸共重合体[例えば、オイドラギット(Eudragit)L30D−55(商品名;レーム社製)、コリコートMAE30DP(商品名;BASF社製)、ポリキッドPA30(商品名;三洋化成社製)など]、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックなどの水系腸溶性高分子基剤;(メタ)アクリル酸共重合体[例えば、オイドラギットNE30D(商品名)、オイドラギットRL30D(商品名)、オイドラギットRS30D(商品名)など]などの徐放性基剤;水溶性高分子;クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油などの可塑剤などを一種または二種以上混合したものなどが挙げられる。上記「添加剤」としては、例えば、水溶性糖アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトールなど)、結晶セルロース(例えば、セオラスKG 801、アビセルPH 101、アビセルPH 102、アビセルPH 301、アビセルPH 302、アビセルRC−591(結晶セルロース・カルメロースナトリウム)など)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、LH−22、LH−32、LH−23、LH−33(信越化学(株))およびこれらの混合物など)などが用いられ、さらに結合剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、賦形剤、崩壊剤なども用いられる。 本発明の塩は、さらに他の活性成分(例えば、1ないし3種の活性成分)と併用してもよい。 「他の活性成分」としては、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物、ビスマス塩、キノロン系化合物などが挙げられる。このうち、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物などが好ましい。「抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質」としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン、メシリナムなど)、セフェム系抗生物質(例えば、セフィキシム、セファクロルなど)、マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのエリスロマイシン系抗生物質)、テトラサイクリン系抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ストレプトマイシンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、アミカシンなど)、イミペネムなどが挙げられる。中でもペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質などが好ましい。「イミダゾール系化合物」としては、例えば、メトロニダゾール、ミコナゾールなどが挙げられる。「ビスマス塩」としては、例えば、ビスマス酢酸塩、ビスマスクエン酸塩などが挙げられる。「キノロン系化合物」としては、例えば、オフロキサシン、シプロキサシンなどが挙げられる。とりわけ、ヘリコバクター・ピロリ除菌のためには、本発明の塩と、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリンなど)及び/又はエリスロマイシン系抗生物質(例えば、クラリスロマイシンなど)との併用療法が好ましく用いられる。 「他の活性成分」と本発明の塩とを自体公知の方法に従って混合し、ひとつの医薬組成物(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤など)中に製剤化して併用してもよく、それぞれを別々に製剤化し、同一対象に対して同時にまたは時間差を置いて投与してもよい。 以下に、参考例および実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。 以下の参考例、実施例において、室温は、約15〜30℃を意味する。 1H−NMRは、Varian Gemini−200を用いて測定し、CDCl3またはDMSO−d6を溶媒として用い、内部標準のテトラメチルシランからのケミカルシフトδ(ppm)を示した。 IRは、SHIMADZU FTIR−8200で測定した。 旋光度[α]Dは、DIP−370 Digital polarimeter(日本分光(JASCO)製)を用い、20℃で測定した。 粉末X線回折は、X−ray Powder Diffractometer Rigaku RINT2500(ultraX18)No.PX−3を用いて測定した。 鏡像体過剰率(%ee)は、以下の条件の光学活性カラムを用いる高速液体クロマトグラフィーにより測定した。高速液体クロマトグラフィー条件; カラム:CHIRALCEL OD(ダイセル化学工業(株)製) 移動層:ヘキサン/エタノール=90/10 流速:1.0ml/min 検出:UV285nm その他の本明細書中の記号は以下の意味を示す。 s:シングレット d:ダブレット t:トリプレット q:クアルテット m:マルチプレット bs:ブロードシングレット J:結合定数 参考例1 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール 窒素気流下、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]チオ]ベンズイミダゾール(4.5kg,12.7mol,水分1.89gを含む)、トルエン(22L)、水(25g,1.39mol,全水分量として1.49mol)および(+)−酒石酸ジエチル(0.958L,5.60mol)を混合した。窒素気流下、50〜60℃で混合物にチタニウム(IV)イソプロポキシド(0.747L,2.53mol)を添加し、同温度で30分間攪拌した。窒素気流下、室温で、得られた混合液にジイソプロピルエチルアミン(0.733L,4.44mol)を加えた後、−5〜5℃でクメンヒドロペルオキシド(6.88L,含量82%,37.5mol)を加え、−5〜5℃で1.5時間攪拌し、反応液を得た。同反応液に、窒素気流下、30%チオ硫酸ナトリウム水溶液(17L)を加え、残存するクメンヒドロペルオキシドを分解した。分液し、得られた有機層に、水(4.5L)、ヘプタン(13.5L)、t−ブチルメチルエーテル(18L)およびヘプタン(27L)を順次加え、攪拌下、晶出させた。結晶を分離し、t−ブチルメチルエーテル−トルエン(t−ブチルメチルエーテル:トルエン=4:1)(4L)で洗浄した。攪拌下、同湿結晶のアセトン(20L)懸濁液を、アセトン(7L)および水(34L)の混液中に滴下し、ついで水(47L)を加えた。析出結晶を分離し、アセトン−水(アセトン:水=1:3)(4L)および水(12L)で洗浄した。同湿結晶を酢酸エチル(45L)および水(3L)に溶解後、分液した。有機層中の微量不溶物をろ去、ついでトリエチルアミン(0.2L)を添加した後、減圧下で液量が約7Lになるまで濃縮した。濃縮液にメタノール(2.3L)、約50℃の約12.5%アンモニア水(23L)および約50℃のt−ブチルメチルエーテル(22L)を加え、分液した。有機層に約12.5%アンモニア水(11L)を加え、分液した(本操作をもう一回繰り返した)。水層を合わせ、酢酸エチル(22L)を加え、冷却下で、酢酸を滴下し、pHを約8に調整した。分液し、水層を酢酸エチル(11L)で抽出した。有機層を合わせ、約20%食塩水(11L)で洗浄した。トリエチルアミン(0.2L)添加後、有機層を減圧濃縮した。濃縮物にアセトン(5L)を加え、減圧濃縮した。濃縮物をアセトン(9L)に溶解させ、同液をアセトン(4.5L)および水(22.5L)混合液へ滴下し、ついで得られた混合液に水(18L)を滴下した。析出結晶を分離し、冷アセトン−水(アセトン:水=1:3)(3L)、水(12L)で順次洗浄した。同湿結晶を酢酸エチル(32L)に溶解した。分離した水層を分液操作により分離し、得られた有機層を、液量が約14Lになるまで減圧濃縮した。残留液に酢酸エチル(36L)および活性炭(270g)を加え、攪拌した後、活性炭をろ過により除去した。ろ液を、液量が約14Lになるまで減圧濃縮した。約40℃でヘプタン(90L)を残留液物に滴下した。同温度で約30分間攪拌後、結晶を分離し、約40℃の酢酸エチル−ヘプタン(酢酸エチル:ヘプタン=1:8,6L)で洗浄した。乾燥し、表題化合物(3.4kg)を得た。該化合物のエナンチオマー過剰率は、100%eeであった。 実施例1 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールナトリウム塩の結晶 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(5.00g)のエタノール溶液(50mL)に氷冷下、1N水酸化ナトリウム水溶液(13.5mL)を加えた。ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。エタノール(50mL)を加えて残渣を溶かし、減圧濃縮した。再度エタノール(50mL)を加えて残渣を溶かし、減圧濃縮した。得られた泡状物にジエチルエーテル(50mL)を加え、超音波処理した後、30分間加熱還流した。室温まで冷却後、析出している固体をろ取し、ジエチルエーテル(10mL)で洗浄した。固体をジエチルエーテル(50mL)に懸濁し、30分間加熱還流した。室温まで冷却後、析出している固体をろ取し、ジエチルエーテル(10mL)で洗浄した。再度固体をジエチルエーテル(50mL)に懸濁し、1時間加熱還流した。室温まで冷却後、析出している固体をろ取し、ジエチルエーテル(10mL)で洗浄し、減圧下60℃で乾燥し、3.70gの白色粉末を得た。 得られた白色粉末(0.50g)を、エタノール(0.5mL)およびトルエン(50mL)混合溶液に懸濁し、モレキュラーシーブの入った脱水管をつけて16時間加熱還流した。室温まで冷却後、析出している固体をろ取し、トルエン(5mL)で2回洗浄した。減圧下、60℃で乾燥し、表題の結晶(0.48g)を得た。粉末X線回折のデータを[表1]に、粉末X線回折チャートを[図1]に示す。 元素分析 理論値(C16H13N3O2SF3Naとして): C:49.11,H:3.35,N:10.74,S:8.19,F:14.56 分析値:C:48.80,H:3.51,N:10.62,S:8.34,F:14.29 原子吸光によるNa含量:6.0%(理論値:5.87%) 1H−NMR(DMSO−d6):2.21(3H,s),4.46(1H,d,J=13.0Hz),4.78(1H,d,J=13.0Hz),4.90(2H,q,J=8.8Hz),6.89−6.94(2H,m),7.08(1H,d,J=5.8Hz),7.45−7.51(2H,m),8.36(1H,d,J=5.8Hz) IR(νcm-1):3400,1584,1474,1454,1377,1312,1265,1167,1113 [α]D=+107.9° (c=0.999%,MeOH) 実施例2 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールナトリウム塩のイソプロピルアルコール溶媒和物結晶 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール(150.0g,0.41mol)にメタノール(225mL)を加えて溶解させ、20%水酸化ナトリウム水溶液(81g,0.41mol)を加えた。減圧下で濃縮した。残留物にイソプロピルアルコール(1500mL)を加えて溶解させた。室温下で約24時間攪拌した。析出結晶を分離し、イソプロピルアルコール(300mL)で洗浄した。減圧下40℃で乾燥し、表題結晶(142.0g)を得た。粉末X線回折のデータを[表2]に、粉末X線回折チャートを[図2]に示す。 元素分析 理論値(C16H13N3O2SF3Na・C3H8O・1.5H2Oとして): C:47.70,H:5.06,N:8.78,S:6.70,F:11.91 分析値:C:47.68,H:5.02,N:8.70,S:7.00,F:11.84 原子吸光によるNa含量:4.8%(理論値:4.80%) 実施例3 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールナトリウム塩一水和物結晶 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール(50.0g,0.14mol)に、水酸化ナトリウム(5.4g,0.14mol)、水(100mL)およびメタノール(120mL)を加えて溶解させ、減圧下で濃縮した。水(20mL)を加えて晶出させ、氷冷下で約1時間攪拌した。析出結晶を分離し、水(100mL)で洗った。減圧下40℃で乾燥した。乾燥結晶にイソプロピルアルコール(158.3mL)および水(31.7mL)を加えて攪拌し、液量が約100mLになるまで濃縮した。イソプロピルアルコール(100mL)を加えて晶出させ、室温下で約1時間攪拌した。析出結晶を分離し、イソプロピルアルコール(100mL)で洗った。減圧下40℃で乾燥した。乾燥結晶に水(340mL)を加え、室温下で約3時間攪拌した。析出結晶を分離し、水(100mL)で洗った。減圧下40℃で乾燥し、表題結晶(20.0g)を得た。粉末X線回折のデータを[表3]に、粉末X線回折チャートを[図3]に示す。 元素分析 理論値(C16H13N3O2SF3Na・H2Oとして): C:46.94,H:3.69,N:10.26,S:7.83,F:13.92 分析値:C:47.04,H:3.67,N:10.27,S:7.75,F:13.93 原子吸光によるNa含量:5.6%(理論値:5.62%) 実施例4 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールマグネシウム塩 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(1.11g,3.0mmol)をメタノール(10mL)に溶解させ、25%アンモニア水 (0.34mL,4.5mmol)、続いて硫酸マグネシウム七水和物(555mg,2.25mmol)を加えた。室温で一晩撹拌した後、不溶物をろ別し、減圧濃縮した。再びメタノール(10mL)に溶解させ、撹拌しながら水(10mL)を少しずつ滴下した。約4時間撹拌した後、析出した固体をろ取し、水−メタノール(4:1)で洗浄、減圧下乾燥した。無色アモルファスの粗マグネシウム塩(747mg)を得た。この粗マグネシウム塩(720mg)にエタノール−エーテル(エタノール:エーテル=5:95,20mL)を加えた。超音波処理し、さらに約35℃に加熱した後、ろ取し、エーテルで洗浄した。同様の操作を繰り返した。得られた粉末状固体をエタノール(2mL)に溶解させ、撹拌しながらエーテル(40mL)を徐々に滴下した。一晩撹拌した後、析出した固体をろ取し、エーテルで洗浄した。減圧下60℃で乾燥し、表題化合物(430mg)をアモルファスとして得た。 元素分析 理論値(C32H26N6O4S2F6Mg・4.5H2Oとして): C:45.64,H:4.19,N:9.98 分析値:C:45.67,H:4.19,N:9.80 原子吸光によるMg含量:2.9%(理論値:2.89%) 水分含量測定結果:8.7% 実施例5 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールマグネシウム塩 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(5.0g,0.014mol)に8%マグネシウムエトキシド(6.5g,0.006mol)およびメタノール(5mL)を加えて溶解させた。減圧下で濃縮し、残留物にtert−ブチルメチルエーテル(100mL)を加えて晶出させた。析出固体を分離し、tert−ブチルメチルエーテル(10mL)で洗った。減圧下40℃で乾燥し、表題化合物(4.4g)をアモルファスとして得た。 元素分析 理論値(C32H26N6O4S2F6Mg・1.5CH3OH・2.5H2Oとして): C:47.11,H:4.37,N:9.84,S:7.51,F:13.35 分析値:C:47.21,H:4.40,N:9.79,S:7.58,F:13.21 原子吸光によるMg含量:2.8%(理論値:2.85%) 実施例6 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールカリウム塩の結晶 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(1.00g)のエタノール溶液(10mL)に氷冷下、10%水酸化カリウム水溶液(1.53mL)を加えた。減圧濃縮後、エタノール(10mL)を加えて残渣を溶かし、減圧濃縮した。再度エタノール(10mL)を加えて残渣を溶かし、減圧濃縮した。得られた泡状物にジエチルエーテル(10mL)を加え、超音波処理した後、静置して上澄液を除いた。再度ジエチルエーテル(10mL)を加え、超音波処理した後、静置して上澄液を除いた。残留物にジエチルエーテル(10mL)を加え、20分間攪拌した後、析出している固体をろ取し、ジエチルエーテル(10mL)で洗った。減圧下60℃で乾燥し、0.951gの白色粉末を得た。 得られた白色粉末(0.43g)を、ジエチルエーテル(15mL)に懸濁し、14時間加熱還流した。室温まで冷却後、ジエチルエーテルを除きトルエン(20mL)を加え、10分間加熱還流した。室温まで冷却後、トルエンを除き、イソプロピルエーテル(20mL)を加え、25分間加熱還流した。室温まで冷却後、イソプロピルエーテルを除き、トルエン(20mL)を加え、35分間加熱還流した。室温まで冷却後、析出している固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗った。減圧下、80℃で乾燥し、表題の結晶(0.218g)を得た。粉末X線回折のデータを[表4]に、粉末X線回折チャートを[図4]に示す。 元素分析 理論値(C16H13N3O2SF3K・0.75H2Oとして): C:45.65,H:3.47,N:9.98 分析値:C:45.83,H:3.71,N:9.97 原子吸光によるK含量:9.0%(理論値:9.29%) 1H−NMR(DMSO−d6):2.23(3H,s),4.42(1H,d,J=12.8Hz),4.82−4.95(3H,m),6.85−6.91(2H,m),7.06(1H,d,J=5.4Hz),7.43−7.48(2H,m),8.35(1H,d,J=5.4Hz) 実験例1 実施例1で得たナトリウム塩の結晶約5mgを無色ガラス瓶にとり、密栓して、60℃で4週間保存して安定性を調べた。保存終了後の試料を移動相に溶かして濃度約0.2mg/mLの試験溶液25mLを調製した。この試験溶液を、イニシャル品(上記と同じ期間凍結保存した製品)を用いて調製した標準溶液とともに、下記のHPLC条件で分析し、得られたピーク面積から含量(残存率)を算出した。 [HPLC分析条件] 検出波長 :紫外波長275nm カラム :YMC Pro C18 4.6φ150mm 移動相 :水/アセトニトリル/トリエチルアミン(63:37:1)にリン酸を加えてpH7に調整した液 流速 :1.0mL/分 カラム温度:40℃ 注入量 :10μL 表5に示す通り、60℃(気密条件)下で4週間保存しても99%以上の含量を有しており、R(+)−ランソプラゾールナトリウム塩の結晶が安定であり、医薬品などとして用いるのに優れているといえる。 製剤例1 下記組成のうち、実施例1のナトリウム塩、炭酸マグネシウム、白糖、コーンスターチおよび結晶セルロースをよく混合し、散布剤とした。遠心流動型コーティング造粒装置(フロイント産業(株)製、CF−360)にノンパレルを入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(4%:W/V)を噴霧しながら上記の散布剤をコーティングし、球形顆粒を得た。得られた球形顆粒を40℃で16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し12〜32メッシュの顆粒を得た。 [顆粒190mg中の組成] ノンパレル 75mg 実施例1のナトリウム塩 15mg 炭酸マグネシウム 15mg 白糖 29mg コーンスターチ 27mg 結晶セルロース 27mg ヒドロキシプロピルセルロース 2mg 水 (0.05ml) 計 190mg 製剤例2 製剤例1で得た顆粒に、下記組成の腸溶性コーティング液を流動噴霧乾燥機(大河原社製)中で給気温度50℃、顆粒温度40℃の条件でコーティングし、腸溶性顆粒を得た。得られた顆粒240mgをカプセル充填機(パークデービス社製)で2号硬カプセルに充填しカプセル剤を製造した。 [腸溶性コーティング液の組成] オイドラギットL−30D 104.7mg(固形成分 31.4mg) タルク 9.6mg ポリエチレングリコール6000 3.2mg ツィーン80 1.6mg 酸化チタン 4.2mg 水 (220μl) [腸溶性顆粒の組成] 製剤例1の顆粒 190mg 腸溶性皮膜 50mg 計 240mg [カプセル剤の組成] 腸溶性顆粒 240mg 2号硬カプセル 65mg 計 305mg発明の効果 本発明の塩は、優れた抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、粘膜保護作用、抗ヘリコバクター・ピロリ作用などを有し、また毒性は低いため、医薬品として有用である。しかも、純度が高く、安定性に優れ、長期にわたって室温で保存することができるだけでなく、取り扱いが容易になり、再現性良く固体の医薬組成物に製造することができる。また、本発明の塩を経口投与した場合、溶解性、吸収性に優れ、作用が速く発現する。また、本発明の塩を投与した場合、Cmax(最大血中濃度)は高く、AUC(area under the concentration-time curve)は大きくなり、かつ蛋白結合量が高くなることなどにより代謝されにくくなり、作用の持続時間が長くなる。従って、投与量が少量で、かつ副作用の少ない医薬品として有用である。とりわけ、本発明の塩の結晶は、純度が高く、より安定であり、また蛋白結合量が高くなり、作用持続時間が長くなることに加えて、製剤化での取扱い性,操作性が高いなどの特徴を有する。実施例1の結晶を示す粉末X線回折チャートである。実施例2の結晶を示す粉末X線回折チャートである。実施例3の結晶を示す粉末X線回折チャートである。実施例6の結晶を示す粉末X線回折チャートである。 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩またはカリウム塩の結晶。 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩である請求項1記載の塩の結晶。 X線回折スペクトルにおける回折ピークが、(i)15.02,7.53,7.05,5.53,4.17,3.96,3.42,3.33Å、(ii)16.00,12.65,7.98,7.51,6.35,5.09,4.99,4.92,4.82,4.21Å、または(iii)8.89,8.47,5.64,5.24,4.84,4.23,4.20,4.09,3.60,3.36Åである請求項1又は2記載の塩の結晶。 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのカリウム塩である請求項1記載の塩の結晶。 X線回折スペクトルにおける回折ピークが、(iv)16.35,8.17,6.81,5.78,4.93,4.50,4.25,4.08,3.65,3.36,3.02Åである請求項1又は4記載の塩の結晶。 溶媒和している請求項1記載の塩の結晶。 (R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールと、ナトリウムおよびカリウムから選択された金属化合物とを、モル当量比1:0.5〜2で、反応させて金属塩を形成し、この金属塩を結晶化に付し、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの金属塩の結晶を製造する方法であって、前記金属化合物が、金属水酸化物、金属アルコキシド又は金属アミドであり、アルコール類、エーテル類および炭化水素類から選択される少なくとも一種の溶媒に前記金属塩が溶解した溶液を濃縮する工程を経て、アルコール類、エーテル類および炭化水素類から選択される少なくとも一種の溶媒に前記金属塩が溶解した溶液から晶析し、前記金属塩の結晶を製造する方法。 請求項1記載の塩の結晶を含有してなる医薬組成物。 消化性潰瘍;胃炎;逆流性食道炎;非潰瘍性消化不良NUD(Non Ulcer Dyspepsia);胃癌;胃MALTリンパ腫;上部消化管出血、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍;又はヘリコバクター・ピロリ菌に起因する疾患に対する予防・治療剤である請求項8記載の医薬組成物。 医薬組成物を製造するための請求項1記載の塩の結晶の使用。