タイトル: | 特許公報(B2)_酸素インジケーター |
出願番号: | 2001213263 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | G01N 31/00,G01N 31/22 |
大日方 野枝 落合 信哉 内村 元一 JP 3882542 特許公報(B2) 20061124 2001213263 20010713 酸素インジケーター 凸版印刷株式会社 000003193 大日方 野枝 落合 信哉 内村 元一 20070221 G01N 31/00 20060101AFI20070201BHJP G01N 31/22 20060101ALI20070201BHJP JPG01N31/00 LG01N31/22 122 G01N31/00〜31/22 特開2000−214152(JP,A) 特開2000−214155(JP,A) 特開平01−150883(JP,A) 特開平06−261794(JP,A) 特開2002−372523(JP,A) 3 2003028850 20030129 6 20050621 竹中 靖典 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するためのインジケーターに酸化防止剤を添加する事で耐熱性、長期安定性を付与した酸素インジケーターに関するものである。【0002】【従来の技術】酸素はその反応性の高さから食品や医薬品を酸化し、劣化を起こす事が知られている。多くの食品、医薬品は脱酸素剤を共存させる事によって劣化を防止しているが、その際、脱酸素剤の能力やピンホール、シール不良などによる酸素の進入を検知するために脱酸素剤が同時に投入されている。現在、酸化還元色素、還元剤、バインダー等の組み合わせを変えた何種類かの酸素インジケーターが上市されている。酸素インジケーターは酸化還元指示薬が還元型と酸化型とで異なる色調を呈する性質を利用したものであり、一般的に用いられているメチレンブルーは無酸素下では還元剤の働きによって還元型、すなわち無色を呈し、有酸素下では酸素により酸化され、青色を呈する。【0003】一般的には、2種類以上の色素を混合する事により変色を容易に確認できるインジケーターが汎用されている。【0004】酸素インジケーターの形状は液状、錠剤、インキタイプ、シート状、ペーパータイプなど多岐にわたる。さらには脱酸素剤一体型のものや包材一体型のものなどが開発されており、投入時の省力化がはかられている。【0005】【発明が解決しようとする課題】酸化還元色素を用いた数種の酸素インジケーターが上市されているが、多くは熱がかかる事により色素や還元剤が劣化を起こし、常温でも長期間の保存によりインジケーターが劣化し、有酸素色から無酸素色に変色しない、有酸素下で退色する等の問題があった。【0006】還元剤として使用されるアスコルビン酸は、熱に弱いという欠点が有った。【0007】特に、酸素インジケーター製造後の保管時、また製品流通時に高温にさらされて酸素インジケーターの退色や発色不良が起きる事が知られている。【0008】本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、酸素インジケーターへの高温環境下での保存や長期保存による劣化の防止を課題とするものである。【0009】【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために考えられたものであり、請求項1の発明は少なくとも酸化還元色素と、この色素を水の存在下ですべて還元型に変えうる量の還元剤と、水またはアルコールからなる酸素インジケーターにおいて、酸化防止剤を付与したことを特徴とする酸素インジケーターである。【0010】請求項2の発明は酸化還元色素がメチレンブルーであり、還元剤がアスコルビン酸であり、酸化防止剤がトコフェロールであることを特徴とする請求項1記載の酸素インジケーターである。【0011】請求項3の発明は酸化防止剤の添加濃度が500ppmから50000ppmである事を特徴とする請求項1または2記載の酸素インジケーターである。【0012】【発明の実施の形態】次に本発明の酸素インジケーターの実施の形態について具体的に説明する。酸化還元色素にはメチレンブルーの他、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンT、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、N−フェニルアントラニル酸等が使用できる。【0013】また、還元剤としては、アスコルビン酸の他にエリソルビン酸やその塩、アスコルビン酸塩、D−アラビノース、D−エリスロース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−グルコース、D−マンノース、D−フラクトース、D−ラクトースなどの還元糖、亜ニチオン酸塩、第一スズ塩、第一鉄塩等の金属塩等が使用できる。【0014】また、酸素インジケーターは水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムのようなアルカリ土類金属化合物や金属酸化物、ゼオライトなどの担体に担持させて使用するのが望ましい。固形で用いる場合にはセルロースやその他高分子化合物等の結合剤を用いるのが望ましい。【0015】酸化防止剤としては、芳香族アミン、ヒドロキノン、アルデヒドアミン縮合物、ビタミン類、ケルセチン、ジブチルオキシトルエン、ブチルオキシアニソール、プロトカテチュ酸エチル、没食子酸、没食子酸イソアミル、没食子酸プロピルなどが使用できる。特にトコフェノールが好適に利用できる。【0016】また、請求項3において酸化防止剤の含有濃度が500ppm以下であるとその効果が十分に発揮されず、また、5000ppm以上であると効果が飽和し、経済的ではない。【0017】また、本発明による酸素インジケーターは粉末状や液状、固型などその形態を問わず、更にはろ紙などに含浸させたシート状、またインキとして紙、フィルムなどに印刷して使用する事も可能である。【0018】本発明による酸素インジケーターは酸化防止剤が大気中の酸素、光、熱等によって還元剤が酸化されるのを防止し、長期にわたって酸素インジケーターの機能を維持させるものである。【0019】【実施例】以下、本発明の酸素インジケーターの実施例について具体的に説明する。<実施例>酸化還元色素としてメチレンブルーが0.014重量部、還元剤としてL−アスコルビン酸が2.0重量部、結合剤としてセルロースが27重量部、担持物質としてゼオライトが51重量部、水が20.086重量部からなる酸素インジケーターに、混合時に酸化防止剤DL−α―トコフェロール(ビタミンE)を最終濃度が5000ppmとなるように添加し、打錠成形した。【0020】<比較例>酸化還元色素としてメチレンブルーが0.014重量部、還元剤としてL−アスコルビン酸が2.0重量部、結合剤としてセルロースが27重量部、担持物質としてゼオライトが51重量部、水が20.086重量部からなる酸素インジケーターを打錠成形した。【0021】〔実験1〕上記酸素インジケーターを無酸素状態から有酸素状態に開放し、その変色を観察した。【0022】〔実験2〕上記酸素インジケーターをKOP/PE包材に入れて窒素または二酸化炭素で置換し嫌気的に密封した。この条件下で50℃の温度で2週間保存し、酸素インジケーターの呈色性を観察した。また、2週間経過後、酸素インジケーターを大気下に開放し、変色を確認した。【0023】〔実験3〕上記酸素インジケーターを有酸素状態で2週間放置し、呈色性を確認した。さらにKOP/PE包材に入れて窒素または二酸化炭素で置換し、嫌気的に密封して無酸素状態にし、有酸素色から無酸素色への変色時間を確認した。【0024】実験1の結果を表1に示す。【表1】【0025】無酸素から有酸素状態に開放すると実施例、比較例ともに5分以内に白色から青色に、速やかに変色した。【0026】実験2の結果を表2に示す。【表2】【0027】無酸素下で保存したところ、比較例は黄色化したのに対し、実施例は白色のままであった。また、これらを大気下に開放すると、実施例は青色に変色したのに対し、比較例は青緑色を呈した。【0028】実験3の結果を表3に示す。【表3】【0029】大気下において50℃の温度で2週間放置し、その後無酸素状態に密封保存すると、実施例は24時間以内に無酸素色に変色した。比較例は5日間経過後も完全には無酸素色には変色しなかった。【0030】実験1の結果より、本発明の酸素インジケーターは、無酸素状態から有酸素状態に開放されると直ちに酸素を検知し、変色する事が示された。【0031】また、実験2より、無酸素下で本発明による酸素インジケーターを高温下に保存しても、酸素インジケーターの色調が安定して保存される事が分かった。【0032】実験3より、高温条件下で大気下に長期間酸素インジケーターを放置しても、酸化防止剤によりアスコルビン酸の還元力が十分に残存している事が分かった。【0033】本発明による酸素インジケーターが耐熱性を有する事が示された。さらには、長期的にも安定して保存される事が予想された。【0034】また、上記実施例では、打錠された固形型の酸素インジケーターについて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、液状、粉末状、シート状、インキタイプなどの形状でも可能である。【0035】【発明の効果】本発明の酸素インジケーターは、酸化還元色素と、この色素を水の存在下ですべて還元型に変えうる量の還元剤と、結合剤からなる酸素インジケーターにおいて、酸化防止剤を添加する事により耐熱性を付与し、高温環境下での保存や長期保存による劣化を防止し、長期間にわたって酸素検知能力を維持する酸素インジケーターとすることができる。また、酸素インジケーターの安定化は脱酸素剤によって保護される製品の長期流通や長期にわたる品質保証を可能にする。 少なくとも酸化還元色素と、この色素を水の存在下ですべて還元型に変えうる量の還元剤と、水またはアルコールからなる酸素インジケーターにおいて、酸化防止剤を付与したことを特徴とする酸素インジケーター。 酸化還元色素がメチレンブルーであり、還元剤がアスコルビン酸であり、酸化防止剤がトコフェロールであることを特徴とする請求項1記載の酸素インジケーター。 酸化防止剤の添加濃度が500ppmから50000ppmである事を特徴とする請求項1または2記載の酸素インジケーター。