生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_低級アルケンの製造方法
出願番号:2001202750
年次:2007
IPC分類:C07C 5/333,C07B 61/00,C07C 11/02


特許情報キャッシュ

三村 直樹 高原 功 稲葉 仁 村田 和久 JP 3918048 特許公報(B2) 20070223 2001202750 20010703 低級アルケンの製造方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 三村 直樹 高原 功 稲葉 仁 村田 和久 20070523 C07C 5/333 20060101AFI20070426BHJP C07B 61/00 20060101ALI20070426BHJP C07C 11/02 20060101ALI20070426BHJP JPC07C5/333C07B61/00 300C07C11/02 C07C 5/333 C07B 61/00 C07C 11/02 特開平09−192488(JP,A) 特表平08−504440(JP,A) 特開平08−231441(JP,A) 国際公開第00/018853(WO,A1) 特開平06−330055(JP,A) Kiyoharu Nakagawa et al.,Dehydrogenation of ethane over gallium oxide in the presence of carbon dioxide,Chemical Communications,英国,The Royal Society of Chemistry,1998年 5月 7日,Number 9,1025-1026 3 2003012570 20030115 7 20030324 滝口 尚良 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、エタン等の低級アルカンからエチレン等の低級アルケンを製造する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】エチレンに代表される低級オレフィン類は石油化学工業で重要な中間製品のひとつであり、工業的にはエタン、プロパン、ブタン、ナフサ、ガスオイル等の炭化水素を原料とし、スチームとともに無触媒で熱分解することにより製造されている。一方、近年、エタンをクロム等の金属酸化物等の触媒に接触させることによりエチレンを製造する方法が研究されているが、これまでの研究では、充分な触媒活性、反応速度が得られていなかった(Applied Catalysis A: General 196 (2000) 1-8 など)。また、一般に、脱水素反応では、触媒表面上に原料などが分解して生成する炭素質が生成し、それにより活性点が覆われ、徐々に活性が低下するという問題もある。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明者はこれらの問題を解消するためになされたものであって、低級アルカンを触媒と接触させて低級アルケンを製造する方法において、更なる触媒能に優れた触媒を用い低級アルケンを高められた反応速度で工業的に有利に製造し得る方法を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、触媒担体としてZSM-5ゼオライトが有効であることを見いだし本発明を完成するに至った。 すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。(1)低級アルカンを触媒の存在下で脱水素させて低級アルケンを製造する方法において、触媒としてクロム酸化物を、触媒担体としてZSM-5ゼオライトを用いかつ二酸化炭素含有ガスの存在下で反応を行うことを特徴とする低級アルケンの製造方法。(2)触媒として、更にアルカリ金属を用いることを特徴とする上記(1)に記載の低級アルケンの製造方法。(3)低級アルカンがエタンであり、低級アルケンがエチレンであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の低級アルケンの製造方法。【0005】【発明実施の形態】本発明方法では触媒担体として、ZSM-5ゼオライトを用いる。このZSM-5ゼオライトは、国際ゼオライト学会(IZA)によって制定された結晶構造を示す記号をもって示せばMFI構造であるアルミノシリケートであり、Nan[AlnSi96-nO192]・xH2Oとして表される。理論上可能なnの値はn<27となっており(小野、八嶋著「ゼオライトの科学と工学」、講談社サイエンティフィック、7ページ)この条件を満たせば特に限定されないが、好ましくはSiO2/Al2O3≧25 (n≦1.9)特に好ましくはSiO2/Al2O3≧100(n≦0.48)である。ZSM-5と同じくMFI構造をとり、上記の式でn=0であるアルミナを含まないシリカライト-1も範囲に含まれる。【0006】担体として用いる際には交換可能カチオン(上記式ではNaに相当)はイオン交換などの方法によりH、またはNaに代表されるアルカリ金属にしておくのが望ましい。また、シリカ/アルミナ比を高めるためにさまざまな方法で脱アルミニウム処理を行う方法が知られているが、それによって生じた骨格外アルミニウムが完全に除去されず触媒表面に多少残留していてもかまわない。粒径は特に限定されないが、好ましくは10μm〜1000μmである。また、触媒の取り扱いを容易にし、機械的強度を与えるために微粒子状触媒をペレット状に成型してもよい。この場合、ペレットの大きさは限定されず、形状も限定されない。また、この際ペレットへの加工性を高めるために粘土系無機化合物などの成型助剤を触媒に混合しても良い。触媒の表面積は特に限定されない。好ましくは100〜500m2/gである。【0007】 本発明においては、触媒としてクロム酸化物を用いる。クロムの酸化状態は特に限定されず、2価〜6価の幅広い酸化状態であってもよい。また結晶構造も特に限定されず、非晶質ものであってもよい。【0009】また、本発明で用いる触媒に含まれる成分は、必ずしも前記金属酸化物に限定されず、たとえば触媒の生成物の選択性を高める目的などで適宜他の触媒成分、例えば、生成物の選択性を高めるための硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属成分、触媒粒子の機械的強度を高めるための粘土系無機化合物等の成分を混合あるいは添加しておくことが望ましい。【0010】本発明に係る触媒は上記金属酸化物をZSM-5ゼオライト触媒担体に担持させることにより得られる。触媒の担持方法としては、従来公知の方法、たとえば含浸法、イオン交換法、析出法などが挙げられる。担持方法は前記の例示に限定されない。金属酸化物の触媒担体に対する割合(担持率)は特に限定されないが0.1重量%〜30重量%が好ましい範囲であり、特に好ましくは2重量%〜10重量%である。担持率が低すぎれば、目的の触媒活性が得られず、担持率が高すぎれば、金属酸化物の原料コストの増加、目的外の副反応の進行、担体の好ましい効果を得にくいなどの問題点を生じる。【0011】本発明のZSM-5ゼオライト担持金属酸化物触媒を調製するには、たとえばクロム硝酸塩などの前記前駆体をZSM-5ゼオライトに担持した後、加熱焼成し、クロム硝酸塩などの前駆体を酸化物の状態にすればよい。加熱焼成の際の雰囲気は、空気、酸素などが挙げられるが限定されるものではない。焼成温度は特に限定されないが望ましい温度は500〜800℃である。加熱時間も特に限定されないが望ましい時間は10分〜10時間である。得られた触媒でZSM-5ゼオライトに担持された金属酸化物の結晶構造は特に限定されない。複合酸化物などとしての特定の結晶構造を示しても良いし、非晶質でもよい。【0012】また、この触媒は、活性が低下した後、空気中または酸素中で加熱することにより再生が可能である。再生時の加熱温度は300℃以上が好ましく、さらに好ましくは500〜800℃で、加熱時間は特に限定しないが好ましくは10分〜10時間である。【0013】本発明において用いる脱水素の対象となる反応原料は、エタン、プロパン、ブタンなどの低級アルカンであり、特にエタンが好ましく使用される。【0014】 本発明の低級アルカンの脱水素反応は、二酸化炭素含有ガスの存在下で行う。二酸化炭素含有ガスとしては、二酸化炭素ガス単独でもよいし他の共存ガスと混合されていても良い。【0015】共存ガスとしては空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム・アルゴンなどの不活性ガス、酸素、一酸化炭素、水蒸気、火力発電所などから出る燃焼排ガスのなかから少なくともひとつ選ばれたガス等が挙げられる。特に好ましいのは不活性ガスおよび窒素であるがこれに限定されるものではなく、前記の例示にも限定されない。【0016】また、本発明において用いられる二酸化炭素含有ガスは、NOx、SOx等の環境汚染物質を含まないほうがより望ましいが、これらの汚染物質の除去処理は必ずしも必要とされない。二酸化炭素含有ガスの使用量は、低級アルカン1モル当り、0.1〜100モル、好ましくは1〜20モルの割合である。【0017】本発明において、反応温度は特に限定されないが、300〜800℃の範囲、好ましくは450〜650℃である。反応温度が高すぎると目的生成物への選択率の低下、触媒上への炭素析出が顕著になり、低すぎると十分な転化率が得られない。【0018】本発明の脱水素反応(接触反応)は、固定床、流動床等いずれの方式でも行なうことができる。触媒の粒子径、形状は反応器の形式に応じて任意に選択できる。また、反応圧力は、加圧、常圧、減圧いずれでも実施できるが、0.5〜5気圧(絶対圧力)の範囲が特に好ましい。反応圧が0.5気圧未満では、減圧状態を維持するための装置の運転コストが多大になり、5気圧を超えると理論的に計算される平衡収率が低下し望ましい収率が得にくくなる。なお、前記したように、本発明の触媒は、一定時間使用後に活性が低下した場合、空気中で再度焼成することにより活性を回復させることができる。【0019】【実施例】【0020】実施例11.23gの硝酸クロムをイオン交換水に溶解し、4.75gのH-ZSM-5(シリカ/アルミナ比=1900)を分散し、充分撹拌した後、減圧乾燥を行い前駆体を得た。この前駆体を空気中、750℃で5時間焼成した。これによりクロム酸化物がCr2O3換算で5重量%含まれるクロム/H‐ZSM‐5触媒が調製された。得られた触媒0.3gを内径11mmの石英製反応管に充填した。二酸化炭素流通下で650℃まで昇温したのち、二酸化炭素に加えてエタンを供給した。混合の比率はエタン10体積%、二酸化炭素90体積%である。混合ガスの流速は毎分100mlとした。反応管を通過した出口ガスはオンラインガスクロマトグラフで分析した。結果を表1に示す。また、反応終了後の触媒表面に析出している炭素の重量を測定した。測定方法は熱重量分析装置(TAインスツルメント、TGA2950)により空気流通下で加熱昇温を行い炭素の燃焼に伴う重量減少を測定することに拠った。その結果、触媒重量に対して0.6%の重量減少が確認されたので炭素析出量とした。本例では6時間の反応終了後に肉眼では炭素は確認されなかった。前記よりこの反応における炭素析出量は非常に少ないことがわかる。【0021】実施例2実施例1において、硝酸クロムに加えてさらに第2成分として硝酸ナトリウムをナトリウムの量がクロムの20mol%になる量加え、実施例1と同様に触媒を調製し反応生成物の分析を行った。結果を表1に示す。この結果はナトリウムに代表されるアルカリ金属の添加により、収率をあまり低下させずにエチレンの選択率を向上することができることを示す。【0022】比較例1実施例1において、H-ZSM-5(シリカ/アルミナ比=1900)に代えてH-Y(シリカ/アルミナ比=4.8)を用い実施例1と同様に触媒を調整し、反応生成物の分析を行った。結果を表1に示す。この結果と実施例1および2の比較により担体のゼオライトとしてH-ZSM-5が優れていることが判る。【0023】比較例2文献(Applied Catalysis A: General 196 (2000) 1-8)に報告されているクロム酸化物を担持したシリカ(酸化ケイ素)を触媒に用いた反応結果(文献に記載されている表およびグラフから読み取った値)を示す。エチレン収率は高いが、これは原料ガスの流速が実施例1よりも小さく(エタン/二酸化炭素/窒素=6 / 24 / 30 ml/min)原料ガスと触媒の接触時間が長いためである。単位触媒重量あたりのエチレン生成速度を比較すれば実施例1および2が大きく優れていることが確認できる。【0024】【表1】【0025】【発明の効果】 本発明によれば、低級アルカンを脱水素して低級アルケンを製造するに当り、安定な触媒活性保持率を示し、また反応後の分解炭素質の堆積が極めて小さいZSM-5ゼオライト担持触媒を用いる共に触媒としてクロム酸化物を用い、かつ反応を二酸化炭素含有ガスの存在下で行うことにより、低級アルケンを高められた反応速度で工業的に有利に製造することができる。 低級アルカンを触媒の存在下で脱水素させて低級アルケンを製造する方法において、触媒としてクロム酸化物を、触媒担体としてZSM-5ゼオライトを用いかつ二酸化炭素含有ガスの存在下で反応を行うことを特徴とする低級アルケンの製造方法。 触媒として、更にアルカリ金属を用いることを特徴とする請求項1に記載の低級アルケンの製造方法。 低級アルカンがエタンであり、低級アルケンがエチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の低級アルケンの製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る