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タイトル:特許公報(B2)_2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体とその製造法
出願番号:2001196569
年次:2011
IPC分類:C08G 65/44,C07C 41/50,C07C 43/295


特許情報キャッシュ

雨谷 章一 石井 賢治 平松 聖生 宮本 真 JP 4736254 特許公報(B2) 20110513 2001196569 20010628 2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体とその製造法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 永井 隆 100117891 雨谷 章一 石井 賢治 平松 聖生 宮本 真 20110727 C08G 65/44 20060101AFI20110707BHJP C07C 41/50 20060101ALI20110707BHJP C07C 43/295 20060101ALI20110707BHJP JPC08G65/44C07C41/50C07C43/295 C C08G 65/00-48 特開昭63−295632(JP,A) 特開昭62−41223(JP,A) 特開昭54−33594(JP,A) 特公昭42−6991(JP,B1) 8 2003012796 20030115 10 20080509 大久保 智之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、両末端にフェノール性水酸基を有する2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体に関するもので、低誘電率、低誘電正接、高タフネスが要求される電子材料及びその中間体に関するものである。【0002】【従来の技術】電気・電子用途の材料には、高度情報化社会での大量データを高速で処理するための低誘電特性、熱衝撃等でマイクロクラックが発生しないための強靭性が必要とされている。これに対し、ポリフェニレンエーテル(PPE)などのエンジニアリングプラスチィクスの利用が提案されている。しかし、PPEは優れた高周波特性を有する反面、エポキシ樹脂やシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂との相溶性が悪いこと、溶融粘度が高く成形加工性が悪いこと、溶解する溶媒がトルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系あるいはメチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系に限定され作業性が悪いこと等の問題点をもつことが知られている。【0003】相溶性改善のためには、相溶化剤として他の樹脂とのブレンドにより改善する方法やPPEとシアネート樹脂の擬似IPN構造化の検討(特開平11-21452等)等がなされているが、成形加工性・耐熱性までは解決されていない。また、成形性改善のためには、高分子PPEを低分子にする方法等の検討がなされている。例えば、高分子PPEと2価のフェノールをラジカル触媒下で再分配させる方法(特開平9-291148等)、あるいは2価のフェノールと1価のフェノールを酸化重合する方法(特公平8-011747)等が知られている。いずれも高分子体が存在し、効率良く2官能性低分子オリゴマー体を得ることができない。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、PPEの優れた電気特性・強靭性を有し、他樹脂との相溶性、成形加工性を改善した樹脂であり、加えて汎用ケトン系溶媒に溶解し末端フェノール性水酸基の修飾が容易であるPPE構造を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーを提供することである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者等は、2官能性フェニレンエーテルについて鋭意研究を重ねた結果、構造式(1)で示される2官能性フェニレンエーテルを構造式(2)の2価のフェノールと構造式(3)の1価のフェノールをケトン系溶剤中で酸化重合することで、効率よく構造式(1)が製造できる事を発見し、本発明を完成するに至った。以下に、本発明を詳細に説明する。【0006】本発明の2価のフェノールとは、下記の構造式(2)に示す様にR1,R2は同一または異なってもよく、炭素数6以下のアルキル基である。R3は同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、R1,R2が水素原子でないことが必須の剛直なビフェニル骨格を有する2価のフェノールである。【化4】【0007】構造式(2)において、特に、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオールが好ましい。2位(構造式(2)のR2)に置換基を有さない2価のフェノールを原料に用いた場合、2価のフェノール自身の酸化速度が非常に高いため、2価のフェノールがジフェノキノンとなり反応溶液から析出する。その結果として、構造式(3)で示した1価のフェノールの単独重合が優先され、片末端にのみフェノール性水酸基を有するフェニレンエーテルの生長が反応液から析出するまで進む。したがって、メチルエチルケトンに可溶な2官能性フェニレンエーテルを効率よく合成することができない。例えば、2位に置換基を有さない2価のフェノールとして、3,3’,5,5’-テトラメチル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオールが挙げられるが、これを用いて合成した場合、析出物のGPCスペクトルは(図1)のようになり、高分子量体の生成が確認できる。一方、2位(構造式(2)のR2)に置換基を有する2価のフェノールとして、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオールが挙げられるが、この2価のフェノールを用いた場合の反応中のGPCスペクトル変化(図2)、平均分子量の推移(図3)より、得られる2官能性フェニレンエーテルの分子量分布は反応の終始でほとんど同じであり、高分子量体の生成は認められない。したがって、効率良く目的の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体を得ることができる。【0008】このように2,3,5位に置換基を入れた2価のフェノールを使うと、従来の3,5位に置換基を入れた原料では予想もつかなかった、分子量分布の生成物ができた。したがって、本発明の課題を解決する為には、2価のフェノール自身の酸化速度を緩和にすることが必要であり、2位(構造式(2)のR2)に置換基を有することが必須である。【0009】本発明の1価のフェノールとは、構造式(3)で示した1価のフェノールである。【化5】構造式(3)において、R1は同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R3は同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。特に、2, 6位に置換基を有するもの単独、又はこれと3位あるいは3,5位に置換基を有するものが併用されることが好ましい。更に好ましくは、単独では2,6-ジメチルフェノールがよく、併用では2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールがよい。3位あるいは3,5位に置換基を有する1価のフェノールを併用する場合の割合は、1価のフェノール全体の70mol%以下が好ましい。3位あるいは3,5位に置換基を有する1価のフェノールを併用する場合の割合が、1価のフェノール全体の70mol%より多い場合、結晶性の化合物となり平均分子量1000程度でもメチルエチルケトンに不溶となる。なお、2,6-ジメチルフェノール単独のときよりも2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールを混合した時に、より低分子のオリゴマー体が得られる。これは2,3,6-トリメチルフェノールの3位のメチル基が重合を抑制し、高分子量体の生成を抑えるためである。【0010】次に、本発明の製造法について説明する。本発明の構造式(1)で示される2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体は、構造式(2)で示される2価のフェノールと構造式(3)で示される1価のフェノールを酸化重合することによって得られる。酸化の方法については直接酸素ガスあるいは空気を使用する方法がある。又、電極酸化の方法もある。いずれの方法でも良く、特には限定されない。安全性および設備投資が安価である事から空気酸化が好ましい。空気で酸化する場合は、圧力は通常大気圧から20kg/cm2までの圧力が選ばれる。【0011】酸素ガスあるいは、空気を用いて酸化重合をする場合の触媒としては、CuCl、CuBr、Cu2SO4、CuCl2、CuBr2、CuSO4、CuI等の銅塩等の一種または二種以上が用いられ、上記触媒に加えて、モノ-及びジメチルアミン、モノ-及びジエチルアミン、モノ-及びジプロピルアミン、モノ-及びジ-n-ブチルアミン、モノ-及び-sec-ジプロピルアミン、モノ-及びジベンジルアミン、モノ-及びジシクロヘキシルアミン、モノ-及びジエタノールアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、アリルエチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、モルホリン、メチル-n-ブチルアミン、エチルイソプロピルアミン、ベンジルメチルアミン、オクチルベンジルアミン、オクチル−クロロベンジルアミン、メチル(フェニルエチル)アミン、ベンジルエチルアミン、ジ(クロロフェニルエチル)アミン、1-メチルアミノ‐4‐ペンテン、ピリジン、メチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ピペリジン等を一種または二種以上のアミンが併用される。銅塩及びアミンであれば、特にこれらに限定されるものではない。特に、アミンとしては、ジ-n-ブチルアミンが好ましい。ジ-n-ブチルアミンを用いる事で、構造式(3)で示した1価のフェノールの単独重合が抑制され、高分子量体が生成しづらく、シャープな分子量分布をもつ2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体となる。【0012】次に、本発明に使用される溶媒について説明する。酸化重合において貧溶媒と考えられていて、従来のPPEの酸化重合において使用できる割合が限られていたケトン系溶媒及びアルコール系溶媒を本発明では用いることができる。従来この種の反応は、有機溶媒に溶けずらいポリマーが生成するため、用いる反応溶媒のケトンやアルコールの割合を多くすることができなかったが、本発明の生成物は、上記チャート(図2)に示す如く低分子オリゴマーのみであることから、ケトン及びアルコールにも容易に溶解し、使用できる溶媒の範囲が大きく広がった。それらを単独、あるいは従来の溶媒であるトルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、エチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶剤等と併用することができる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、メチルプロピレンジグリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ブチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の目的である比較的低分子量でしかも分子量分布が鋭いピークを示すオリゴマーの生成は、特にケトン溶媒を使用した際にその効果が顕著に現れる。さらに原料である2価のフェノールの溶解性から、使用溶剤はメチルエチルケトン単独又はメチルエチルケトンを含んだ混合溶剤が最も好ましい。【0013】本発明の製造法における反応温度については、用いる溶媒の爆発限界に入らなければ、特には限定されないが、25〜50℃が好ましい。酸化重合が発熱反応のため、50℃以上では温度制御が困難で分子量制御がしづらい。25℃以下では爆発限界の範囲に入り、安定な製造ができない。【0014】次に、本発明の製造法におけるフェノール濃度について説明する。構造式(2)に示した2価のフェノールの濃度は、滴下する溶媒に対して2〜20wt%が好ましい。20wt%以上の場合、2価のフェノールが完全に溶媒に溶解しない場合がある。一方、2wt%未満の場合、重合の反応速度が低下する。又、構造式(3)で示した1価のフェノールの濃度は、溶媒に対して6〜50 wt%が好ましい。濃度が50wt%以上の場合、1価のフェノールが完全に溶媒に溶解しない場合がある。一方、6wt%未満の場合、重合の反応速度が低下する。【0015】本発明の製造法における構造式(2)で示した2価のフェノールと構造式(3)で示した1価のフェノールのモル比率は、1:1から1:10までの範囲が好ましい。特に、1:2〜1:8が好ましい。この範囲では1価のフェノールの単独重合が生じにくく、分子量制御を行うことが可能である。構造式(2)で示した2価のフェノールと構造式(3)で示した1価のフェノールの比率を1:2より少なくすると構造式(2)で示した2価のフェノールの残留が多くなる。又、比率を1:10より多くすると構造式(3)で示した1価のフェノールの単独重合が生じ、分子量が大きくなり過ぎて、メチルエチルケトンに不溶なオリゴマーとなってしまう。【0016】本発明の製造装置および製造方法について説明する。攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた縦長反応器に銅触媒、アミン、溶媒を仕込み、40℃にて攪拌を行い、あらかじめ溶媒に溶解させた2価のフェノールと1価のフェノールの混合溶液を空気のバブリングを行いながら滴下する。滴下時間は50分から210分の範囲が好ましい。滴下時間がこの範囲にない場合、得られるオリゴマーの分子量分布の分散が大きくなる。さらに滴下終了後5分から5時間攪拌を行うことが好ましい。5時間以上攪拌を行っても、さらに分子量の増加は起こらないので反応を終了すべきである。【0017】【実施例】次に、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。なお、数平均分子量及び重量平均分子量の測定にゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。試料のGPC曲線と分子量校正曲線よりデータ処理を行った。分子量校正曲線は、標準ポリスチレンの分子量と溶出時間の関係を次の式に近似して分子量校正曲線を得た。LogM = A0 X3+ A1X2 + A2 X+ A3+A4/X2ここで、M:分子量、X:溶出時間−19、A:係数である。また、水酸基当量は2,6-ジメチルフェノールを標準物質としてIR分析(液セル法)を行い、3600cm-1の吸収強度より求めた。【0018】(実施例1)攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuBr2 2.7g(0.012 mol)、ジ-n-ブチルアミン70.7g(0.55 mol)、メチルエチルケトン 600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ600gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール「2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチル-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジオール」「イ」55.7g(0.21mol)と2,6-ジメチルフェノール50.4g(0.41 mol)の混合溶液(構造式(2)で示される2価のフェノールと構造式(3)で示される1価のフェノールのモル比率1:2)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら攪拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、100.3gを得た。このものの数平均分子量は650、重量平均分子量810、水酸基当量が310であり、メチルエチルケトンに可溶であった。(以下この樹脂を「ハ」と記す。)【0019】(実施例2)攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl 1.3g(0.013 mol)、ジ-n-ブチルアミン79.5g(0.62 mol)、メチルエチルケトン 600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ600gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール「2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチル-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジオール」「イ」41.8g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール75.6g(0.62mol)の混合溶液(構造式(2)で示される2価のフェノールと構造式(3)で示される1価のフェノールのモル比率1:4)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後30分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら攪拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、111.4gを得た。このものの数平均分子量は1110、重量平均分子量1450、水酸基当量が580であり、メチルエチルケトンに可溶であった。(以下この樹脂を「ニ」と記す。)【0020】(実施例3)攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl 1.1g(0.011 mol)、ジ-n-ブチルアミン66.3g(0.51 mol)、メチルエチルケトン 500gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ600gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール「2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチル-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジオール」「イ」20.9g(0.077mol)と2,6-ジメチルフェノール75.6g(0.62 mol)の混合溶液(構造式(2)で示される2価のフェノールと構造式(3)で示される1価のフェノールのモル比率1:8)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後30分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら攪拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、91.4gを得た。このものの数平均分子量は1700、重量平均分子量2300、水酸基当量が820であり、メチルエチルケトンに可溶であった。(以下この樹脂を「ホ」と記す。)【0021】(実施例4)攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl 1.3g(0.013 mol)、ジ-n-ブチルアミン79.5g(0.62 mol)、メチルエチルケトン 600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ600gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール「2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチル-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジオール」「イ」41.8g(0.15mol)と2,6-ジメチルフェノール56.7g(0.46 mol)と2,3,6-トリメチルフェノール21.1g(0.16mol)の混合溶液(構造式(2)で示される2価のフェノールと構造式(3)で示される1価のフェノールのモル比率1:4)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後30分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら攪拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、111.9gを得た。このものの数平均分子量は1000、重量平均分子量1350、水酸基当量が520であり、メチルエチルケトンに可溶であった。(以下この樹脂を「ヘ」と記す。)【0022】(比較例1)攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl 1.3g(0.013 mol)、ジ-n-ブチルアミン79.5g(0.62 mol)、メチルエチルケトン 600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ520gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール「3,3',5,5'-テトラメチル-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジオール」「ロ」37.4g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール75.6g(0.62 mol)の混合溶液(構造式(2)で示される2価のフェノールと構造式(3)で示される1価のフェノールのモル比率1:4)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後30分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら攪拌を行ったところ、反応溶液に多量の沈殿物が得られた。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止し、固形物をろ過した。その後、得られた固形物をメタノールで3回洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、80.1gを得た。このものの数平均分子量は5300、重量平均分子量9000、水酸基当量が3800であり、メチルエチルケトンに不溶であった。以下この樹脂を「ト」と記す。)【0023】(実施例5)攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl 1.3g(0.013 mol)、ピリジン48.7g(0.62 mol)、メチルエチルケトン 600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ520gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール「2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオール」「イ」41.8g(0.16 mol)と2,6-ジメチルフェノール75.6g(0.62 mol)の混合溶液(構造式(2)で示される2価のフェノールと構造式(3)で示される1価のフェノールのモル比率1:4)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後30分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら攪拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、110.2gを得た。このものの数平均分子量は1100、重量平均分子量1820、水酸基当量が600であった。(以下この樹脂を「チ」と記す。)【0024】以上の結果を表1にまとめた。実施例1、2、3から2価のフェノールのモル比を多くすることにより数平均分子量及び重量平均分子量が大きくなり、モル比を変えることにより望みの分子量分布を有する2官能オリゴマーを得ることができる。実施例2と比較例1の結果から2価のフェノールの3位に置換基を有さないビフェニルのフェノール「3,3',5,5'-テトラメチル-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジオール」を原料に用いると平均分子量5000以上のオリゴマーが生成し、メチルエチルケトンに可溶な2官能性フェニレンエーテルを効率よく合成することができない。【0025】すなわち、2価のフェノールの2位に置換基を有することがメチルエチルケトンに可溶な2官能性フェニレンエーテルを効率よく合成することに必須である。実施例2と実施例5の結果からアミンにジ-n-ブチルアミンを用いるとピリジンを用いた時よりシャープな分子量分布を有するオリゴマーが得られる。実施例2と実施例4の結果から1価のフェノールに2,6-ジメチルフェノール単独を用いた時よりも2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールを混合した時に、より低分子のオリゴマーが得られる。これは2,3,6-トリメチルフェノールの3位のメチル基が重合を抑制し、高分子体の生成を抑えているためである。【0026】【表1】【0027】【発明の効果】本発明の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体は、ケトン系の溶媒に充分に可溶であり、熱硬化性樹脂との相溶性がよく、例えば、積層板用のワニスが容易に調整でき、成形加工性に優れる積層材料を製造する事ができる。基本骨格が低誘電特性・強靭性をあわせもつエンジニアプラスチィクスの一つポリフェニレンエーテルであるため、PPEポリマーと同様な特性を有する電気・電子材料となる。更には、ケトン系溶媒中で末端フェノール性水酸基の変性反応が容易に行う事ができる。【図面の簡単な説明】【図1】比較例1における生成物のGPCスペクトル。【図2】実施例2における生成物のGPCスペクトル。【図3】GPCスペクトルの反応時間変化(実施例2) 構造式(2)で示した2価のフェノールと、構造式(3)で示した1価のフェノールとの酸化重合で得られる以下の構造式(1)(式中、R1,R2は、同一または異なってもよく、炭素数6以下のアルキル基である。R3は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。m, nは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜100の整数を示す。)で示したR1,R2が水素原子でないことが必須の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体。 上記構造式(1)で、R1,R2がメチル基である請求項1に記載の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体。 重量平均分子量が5000以下の請求項1に記載の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体。 分子量分布の分散(Mw/Mn)が、1.6以下の請求項1に記載の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体。 請求項1に記載の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体を製造する方法であって、上記構造式(2)で示される2価のフェノールが2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオールであることを特徴とする2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体の製造法。 請求項1に記載の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体を製造する方法であって、上記構造式(3)で示される1価のフェノールが、2,6-ジメチルフェノール単独かこれと2,3,6-トリメチルフェノールの混合系で用いられ、2,3,6-トリメチルフェノールの割合が1価のフェノール(3)の70mol%以下の1価のフェノールであることを特徴とする2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体の製造法。 請求項1に記載の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体を製造する方法であって、上記構造式(2)に示される2価のフェノールと構造式(3)に示される1価のフェノールのモル比率が1:1〜10であることを特徴とする2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体の製造法。 請求項1に記載の2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体を製造する方法であって、酸化重合において使用する溶媒がケトン系であることを特徴とする2官能性フェニレンエーテルのオリゴマー体の製造法。


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