生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_歯科用組成物キット
出願番号:2001195703
年次:2011
IPC分類:A61K 6/00


特許情報キャッシュ

河島 光伸 小村 育男 山下 真弓 JP 4759170 特許公報(B2) 20110610 2001195703 20010628 歯科用組成物キット 株式会社クラレ 000001085 河島 光伸 小村 育男 山下 真弓 20110831 A61K 6/00 20060101AFI20110811BHJP JPA61K6/00 A A61K6/00-6/10 特開2001−122718(JP,A) 特開2000−026225(JP,A) 特開平09−255515(JP,A) 特開平09−157124(JP,A) 特開平08−301717(JP,A) 特開平08−217612(JP,A) 特開平05−255033(JP,A) 特開昭54−028339(JP,A) 国際公開第98/56332(WO,A1) 4 2003012430 20030115 18 20080324 辰己 雅夫 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用組成物キットに関する。詳しくは歯牙エナメル質および象牙質等の生体硬組織に対して優れた接着性を有し、歯牙患部の欠損部に対する充填修復、あるいは補綴物の合着に有用な歯科用組成物キットに関する。【0002】【従来の技術】歯牙患部の欠損部に対して充填修復する材料としてアマルガム、グラスアイオノマーセメント、コンポジットレジン充填材等が広く用いられている。一方、歯牙患部の欠損部に対してクラウン、インレー、ブリッジなどの補綴物を合着する材料として、リン酸亜鉛セメント、グラスアイオノマーセメント、コンポジットレジン系セメント等が広く用いられる。このように歯牙患部の修復において多種多用な材料が用いられているが、その内の一つに、グラスアイオノマーセメントがある。【0003】グラスアイオノマーセメントの基本構成はポリアルケン酸、水および溶出性ガラスフィラーであるが、例えば、特開平2−164807号公報、特開平2−6358号公報,特開平5−255033号公報、特開平8−26925号公報、特表平10−505868号公報、特表平10−506127号公報に開示されているように、さらなる要件を加えてグラスアイオノマーセメントの諸性能の改善が試みられている。これらのグラスアイオノマーセメントの改良型は、一般的にレジン強化型グラスアイオノマーセメントと呼ばれ、近年普及しつつある。【0004】【発明が解決しようとする課題】歯牙欠損部修復の基本的な考え方は、歯牙欠損窩洞あるいは歯牙欠損部と補綴物との間隙に然るべき強度、審美性を有する材料を充填・填塞することで、当面の機能・形態改善を図ることではなく、恒久的な機能維持が期待され、さらには齲蝕の再発を抑制し続けることにある。【0005】一般にグラスアイオノマーセメントは齲蝕予防の観点から歯質強化に有効なフッ素を放出することが知られているが、これはあくまでも修復の観点からは補足的な機能と考えるべきである。すなわち、二次齲蝕の原因が排除されないことには、いくらフッ素が放出され歯質が強化されようとも本質的な解決手段とはならない。本質的な解決を求めるには、まずは接着面がセメントにより確実に封鎖され、それによって二次齲蝕をもたらす細菌およびその細菌の栄養源となる食物残渣の侵入を阻むことで二次齲蝕の発生を抑えることにあり、フッ素の機能は、万が一、接着に不具合が生じた時の予防的手段として考えるにとどめるべきである。「the Quintessence」Vol.16、No.4(1997年)69〜72頁に報告されているように、グラスアイオノマーセメントで修復した場合の再修復の原因として二次齲蝕が約50%と際だって多いことは、フッ素だけに期待した本末転倒な結果と考えられる。【0006】歯牙欠損部修復においては、修復物と歯質とのより高度な接着性の確立が要求されている。レジン強化型グラスアイオノマーセメントと歯質との接着性の改善を図る技術としては、例えば、特開平8−217612号公報にプライマー組成物が開示される。【0007】該公報にも開示されるプライマー技術のうち、有機過酸化物−アミン化合物、スルフィン酸塩からなる重合触媒、還元剤の組合せは、接着において効果の高い重合開始剤として知られている。しかしながら、該開始剤の構成要素である有機過酸化物−アミン化合物、スルフィン酸塩をプライマーに配合しようとすると、特開平8−217612号公報の実施例にも示されるように、プライマーは2液型とならざるを得ない。かかる2液型のプライマーは治療の場において使用するごとに混和しなければならないといった手法上の煩雑さが生ずる。また、臨床の場においては、治療の都合上、2液のプライマーを混和した後、しばらく放置してしまうこともあり得るが、そのような場合、混和物が重合硬化して使用することができなくなる、あるいは重合硬化までに至らなかったとしても、配合成分の反応が進行し、接着に有効な機能が失活してしまうこともある。【0008】さらには、セメントと歯質との接着は、その間に介在するプライマーの組成だけによって一義的に決定されるものでもない。すなわち、プライマーとセメントの反応性まで考慮に入れ、プライマーおよびセメントのトータルな組成を勘案することによって、より高次なセメントと歯質の接着が達成される。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべくプライマーおよびセメントの組成に関して、その重合開始剤の種類、配合方法等について鋭意検討した結果、優れた歯質接着性を有する1液型プライマー組成物とセメント組成物とからなる歯科用組成物キットを見出し、本発明を完成するに至った。【0010】すなわち本発明は、酸性基を有する重合性単量体(a)、並びに芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)を含有する1液型プライマー組成物(A)と、ポリアルケン酸(c)、溶出性ガラスフィラー(d)、重合性単量体(e)、水(f)、過酸化物(g)、芳香族スルフィン酸塩(h)を含有するセメント組成物(B)との組合せからなる歯科用組成物キットである。【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明する。本発明で使用される酸性基を有する重合性単量体(a)は、歯質に対して優れた接着性を得るために必須であり、かかる重合性単量体としては、例えば、リン酸基、ピロリン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、チオリン酸等の酸性基を少なくとも一つ以上有し、かつ、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基等の重合可能な不飽和基を有する重合性単量体であって、該化合物の具体例として、以下のものが挙げられる。なお本明細書においては、(メタ)アクリルをもってメタクリルとアクリルの両者を包括的に表現する。【0011】リン酸基含有重合性単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2’−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル フェニルホスホネート等;(5−メタクリロキシ)ペンチル−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノアセテート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノアセテート等;2−メタクリロイルオキシエチル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールホスフェートペンタ(メタ)アクリレート等の重合性単量体、およびこれらの酸塩化物等が挙げられる。【0012】ピロリン酸基含有重合性単量体としては、例えば、ピロリン酸ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕、ピロリン酸ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕、ピロリン酸ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕、ピロリン酸ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕等の重合性単量体、およびこれらの酸塩化物等が挙げられる。【0013】カルボン酸基含有重合性単量体としては、例えば、マレイン酸、メタクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸、およびこれらの酸無水物;5−(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘキサンジカルボン酸、8−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−オクタンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸等の重合性単量体、およびこれらの酸塩化物等が挙げられる。【0014】スルホン酸基含有重合性単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート等の重合性単量体、およびこれらの酸塩化物等が挙げられる。【0015】チオリン酸基含有重合性単量体としては、例えば、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンジチオホスフェート等の重合性単量体、およびこれらの酸塩化物等が挙げられる。【0016】これらの酸性基を有する重合性単量体のなかでも、歯質ならびに補綴物への接着性が優れることから、リン酸基またはチオリン酸基を有する重合性単量体を用いるのが好ましく、下記の一般式(I)で示される重合性単量体を用いるのがより好ましく、下記の一般式(II)および/または一般式(III)で示される重合性単量体を用いるのがさらに好ましい。【0017】【化4】【0018】(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2は炭素数2〜40の有機基を、Xは−O−基または−NH−基を、lは1〜5の整数を、mは0または1の整数を、nは1〜4の整数を、Yは−O−基または−S−基を、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表す。)【0019】【化5】【0020】(式中、R1は水素原子またはメチル基を、Xは−O−基または−NH−基を、xは4〜20の整数を、mは0または1の整数を、Yは−O−基または−S−基を、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表す。)【0021】【化6】【0022】(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R3は炭素数3〜10の有機基を、Xは−O−基または−NH−基を、yは2〜5の整数を、mは0または1の整数を、nは1〜4の整数を、Yは−O−基または−S−基を、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表す。)【0023】上記一般式(I)中のR2は炭素数2〜40の有機基を表しているが、好ましくは炭素数2〜40のアルキル基である。上記一般式(III)中の、R3は炭素数3〜10の有機基を表しているが、好ましくは炭素数3〜10のアルキル基である。【0024】本発明で使用される芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)としては、例えばN−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジン、N−メチル−m−トルイジン、N−メチル−o−トルイジン、N−エタノール−p−トルイジン、N−エタノール−m−トルイジン、N−エタノール−o−トルイジン、p−メチルアミノ安息香酸エチル、m−メチルアミノ安息香酸エチル、o−メチルアミノ安息香酸エチル、p−メチルアミノアニソール、m−メチルアミノアニソール、o−メチルアミノアニソール、1−メチルアミノナフタレン、2−メチルアミノナフタレン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−m−トルイジン、N,N−ジエタノール−o−トルイジン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、m−ジメチルアミノ安息香酸エチル、o−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノアニソール、m−ジメチルアミノアニソール、o−ジメチルアミノアニソール、1−ジメチルアミノナフタレン、2−ジメチルアミノナフタレンなどを挙げることができる。【0025】本発明で使用されるポリアルケン酸(c)とは、後述する溶出性ガラスフィラー(d)から溶出する陽イオンと反応してポリ塩を形成し得るカルボシキル基や他の酸性基を有する有機重合体であり、好ましくは不飽和モノカルボン酸、あるいは不飽和ジカルボン酸の重合体のことであり、これらの重合体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸、2−シアノアクリル酸、アコニチン酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ウトラコン酸等の単独重合体、あるいはこれらの不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体を挙げることができる。共重合体の場合には、不飽和カルボン酸単位の割合は、全構造単位に対して50モル%以上であることが好ましい。共重合可能な単量体としてはエチレン性不飽和重合性単量体が好ましく、例えばスチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸塩類,塩化ビニル,塩化アリル,酢酸ビニル、1,1,6−トリメチルヘキサメチレンジメタクリレートエステルなどを挙げることができる。これらポリアルケン酸の中でも、アクリル酸またはマレイン酸の単独重合体または共重合体が好ましい。これらのポリアルケン酸は、重量平均分子量が5,000以下の場合には、セメント組成物の硬化物の強度が低くなり、耐久性が劣る場合がる。一方、重量平均分子量が40,000を超える場合には、セメント組成物の練和時の稠度が硬くなり、操作性が低下する場合がある。従って、好ましいポリアルケン酸の重量平均分子量は、5,000〜40,000である。【0026】本発明で使用される溶出性ガラスフィラー(d)とは、上記のポリアルケン酸(c)と反応しうる2以上の原子価をもつ陽イオン、例えばストロンチウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、ジルコニウムを溶出するガラスフィラーのことである。具体的には、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、スロトンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスなどを挙げることができる。これらの中でも、フルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラスが好ましい。溶出性ガラスフィラーの平均粒径が20μmを超える場合には、表面のざらつき・粗造感が生じたり、操作性が低下する場合がある。一方、平均粒径が0.02μm未満の微粉を用いた場合には、液剤に対して混入可能な量が低くなりセメント組成物の物性が低下する場合がある。従って、好ましい溶出性ガラスフィラーの平均粒径は、0.02〜20μmである。【0027】溶出性ガラスフィラー(d)は、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。【0028】本発明で使用される重合性単量体(e)としては、特に制限はないが、例えば、前記した酸性基を有する重合性単量体(a)や、下記に示す酸性基を有しない重合性単量体(i)等を挙げることができる。酸性基を有しない重合性単量体(i)としては、親水性重合性単量体と非親水性重合性単量体とを挙げることができ、これらは1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。なお、ここで親水性とは、25℃における水に対する溶解度が10重量%以上、より好ましくは30重量%以上であることを意味する。【0029】親水性重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)等が挙げられる。【0030】非親水性重合性単量体としては、例えばα−シアノアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル、α−ハロゲン化アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、桂皮酸エステル、ソルビン酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等のエステル類、及び(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。【0031】本発明において使用することができる非親水性重合性単量体の具体例を以下に示す。一つのオレフィン性二重結合を有する単量体を一官能性単量体とし、オレフィン性二重結合の数に応じて、二官能性単量体、三官能性単量体等と表現する。【0032】一官能性単量体:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン等。【0033】二官能性単量体:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート、1,3−ジ(メタ)アクリロリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン等。【0034】三官能性以上の単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等。【0035】本発明で使用される水(f)は、セメント組成物の硬化や、歯牙との接着強度の発現に対して悪影響を及ぼすような不純物を含有していないものであれば使用することができるが、蒸留水またはイオン交換水を使用するのが好ましい。【0036】本発明で用いられる過酸化物(g)としては、例えば、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などが挙げらる。具体的には、ジアシルパーオキサイド類としてベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類として、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類として、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシケタール類として、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類として、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類として、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド等が挙げられる。【0037】本発明で使用される芳香族スルフィン酸塩(h)としては、例えばベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、o−トリエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等を挙げることができる。【0038】本発明の歯科用組成物キットは、酸性基を有する重合性単量体(a)、並びに芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)を含有する1液型プライマー組成物(A)と、ポリアルケン酸(c)、溶出性ガラスフィラー(d)、重合性単量体(e)、水(f)、過酸化物(g)、芳香族スルフィン酸塩(h)を含有するセメント組成物(B)との組合せからなる。【0039】プライマー組成物(A)は、酸性基を有する重合性単量体(a)を好ましくは1〜90重量%、さらに好ましくは5〜70重量%含有する。ここで酸性基を有する重合性単量体(a)は1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。【0040】さらにプライマー組成物(A)は、芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)を好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%含有する。ここで芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)は1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。【0041】プライマー組成物(A)は、必要に応じて、さらに水および/または常圧の沸点が150℃以下、特に100℃以下の揮発性有機溶剤、例えば、エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケンン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル化合物、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘプタン、ヘキサン、トルエン等の炭化水素化合物類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物等を含んでもよい。プライマー組成物(A)がこれらの水および/または揮発性有機溶剤を含有する場合には、その含有量は好ましくは0.1〜80重量%、さらに好ましくは0.5〜70重量%である。【0042】さらにプライマー組成物(A)は、必要に応じて、前記した酸性基を有しない重合性単量体(i)を含んでもよい。酸性基を有しない重合性単量体(i)を含有する場合には、その含有量は好ましくは1〜80重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。【0043】セメント組成物(B)は、ポリアルケン酸(c)を好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜20重量%含有する。ポリアルケン酸(c)は、1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。【0044】セメント組成物(B)は、溶出性ガラスフィラー(d)を好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%含有する。溶出性ガラスフィラー(d)は、1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。【0045】セメント組成物(B)は、重合性単量体(e)を好ましくは1〜70重量%、さらに好ましくは5〜50重量%含有する。重合性単量体(e)は、1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。【0046】セメント組成物(B)は、水(f)を好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%を含有する。【0047】セメント組成物(B)は、過酸化物(g)を好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%含有する。過酸化物(g)は1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。【0048】セメント組成物(B)は、芳香族スルフィン酸塩(h)を好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%含有する。芳香族スルフィン酸塩(h)は1種類のみならず複数を適宜併用してもよい。【0049】セメント組成物(B)は、その包装形態として例えば、ポリアルケン酸(c)、重合性単量体(e)、水(f)および過酸化物(g)を含有する液剤(C)と、溶出性ガラスフィラー(d)および芳香族スルフィン酸(h)を含有する粉剤(D)に分包されてもよい。あるいは、ポリアルケン酸(c)、重合性単量体(e)、水(f)および過酸化物(g)を含有するペースト組成物(E)と、溶出性ガラスフィラー(d)、重合性単量体(e)および芳香族スルフィン酸(h)を含有するペースト組成物(F)の2ペーストに分包されてもよい。いずれの場合も芳香族スルフィン酸塩(h)は、ポリアルケン酸(c)、過酸化物(g)および酸性基を有する重合性単量体と同一の組成物に入らないように分離して包装されていることが望ましい。【0050】さらにセメント組成物(B)に芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)を配合しても構わないが、その場合は、過酸化物(g)と同一の組成物に入らないように分離して包装されていることが望ましい。【0051】プライマー組成物(A)およびセメント組成物(B)は、それぞれ非溶出性フィラーを含んでもよい。かかるフィラーとしては、無機系フィラーあるいは有機系フィラー及びこれらの複合体が用いられる。無機系フィラーとしては、シリカあるいはカオリン、クレー、雲母、マイカなどのシリカを基材とする鉱物、シリカを基材とし、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、BaO、La2O3、SrO2、CaO、P2O5等を含有するセラミックスやガラスの類、特にランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等が挙げられる。さらには結晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリビウム、ジルコニア、硫酸バリウム等も用いられる。有機系フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機樹脂が挙げられる。また、これらの有機樹脂中に非溶出性ガラスフィラーを分散させたり、非溶出性ガラスフィラーを上記有機樹脂でコーティングした無機/有機複合フィラー等も挙げられる。これらのフィラーは、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。【0052】本発明を構成するセメント組成物(B)には、フッ素イオン放出量を高めるために、接着性に悪影響を及ぼさない範囲内で、さらに公知の水溶性フッ化化合物を含有させることができる。例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化亜鉛、フッ化アルミニウム、フッ化マンガン、フッ化銅、フッ化鉛、フッ化銀、フッ化アンチモン、フッ化コバルト、フッ化ビスマス、フッ化ベリリウム、フッ化スズ、フッ化ジアンミン銀、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化チタンカリウム、フッ化スズ酸塩、フルオロ珪酸塩等の水溶性の金属フッ化物を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。配合に際しては、例えば金属フッ化物を微粒子化する方法、あるいは金属フッ化物をポリシロキサンで被覆する方法などを併用することが好ましい。【0053】また、プライマー組成物(A)および/またはセメント組成物(B)は、必要に応じて、公知の安定剤、光重合開始剤、染料、顔料等を含んでもよい。【0054】本発明の歯科用組成物キットは、例えば以下のようにして使用される。まず、プライマー組成物(A)を歯牙表面に塗布し、必要に応じて歯科用エアーシリンジ等にて乾燥を行う。しかる後、充填修復を行う場合は単一のペースト状としたセメント組成物(B)を充填する。クラウン、インレーなどの補綴物を合着する場合は、単一のペースト状としたセメント組成物(B)にて補綴物を合着する。このようにプライマー組成物(A)を介して歯牙表面とセメント組成物(B)が接触することにより、接着界面において、プライマー組成物(A)中の芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)と、セメント組成物(B)中の過酸化物(g)/芳香族スルフィン酸塩(h)とからなる重合開始剤系(3成分系)が形成され、接着界面からラジカル重合反応が進行し、セメント組成物と歯牙との高い接着性が発現する。【0055】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。【0056】〔接着試験〕ウシ下顎前歯の唇面を流水下#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙(株)製)で研磨し、エナメル質または象牙質の平坦面を形成した。この平坦面が露出するようにステンレス製リング中に歯科用コンポジットレジンで包埋し、さらに平坦面を#1000までのシリコン・カーバイド紙(日本研紙(株)製)を用い流水下で研磨し、エナメル質または象牙質の平滑面を得た。エナメル質表面または象牙質表面に直径4mmの穴を開けた厚さ約150ミクロンの粘着テープを貼り、被着面とした。穴の部分にプライマー組成物を筆で塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジでプライマー組成物の流動性が無くなる程度まで乾燥させた。引き続き、被着面の位置に合わせ直径4mm×高さ2mmの円筒形テフロン製モールドを置き、均一なペースト状に練和したセメント組成物を充填した。30分放置し、セメント組成物を硬化させた後、テフロン製モールドを撤去し、試験体とした。試験片を37℃の水中に24時間浸漬させた後、万能試験機(インストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/minの条件で剪断接着強さを測定した。接着強さは、試験体8個の平均値で示した。【0057】実施例1〜7および比較例1〜5酸性基を有する重合性単量体(a)として10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート(MDP)、6−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート(MHP)、2−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフェニルホスフェート(フェニル−P)、グリセロールホスフェートジメタクリレート(GPDM)、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−META)を用い、芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)としてジエタノール p−トルイジン(DEPT)を用い、表1に示す配合割合でA−1、A−2、A−3、A−4およびA−5の1液型のプライマー組成物を調製した。また、ポリアルケン酸(c)として平均分子量25,000のポリアクリル酸を用い、溶出性ガラスフィラー(d)としてアルミノフルオロシリケートガラスGM35429(ショット社製)を用い、重合性単量体(e)として10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート(MDP)、2−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフェニルホスフェート(フェニル−P)、2,2−ビス[4−〔3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン(Bis−GMA)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPG)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を用い、過酸化物(g)として過酸化ベンゾイル(BPO)を用い、芳香族スルフィン酸塩(h)としてベンゼンスルフィン酸ナトリウム(BSS)を用い、表2に示すセメント組成物C−1、C−2およびC−3を調製した。これらプライマー組成物およびセメント組成物を用いて、表3に示す組合せで接着試験を実施し、それぞれ実施例1〜7とした。なお、接着試験においてプライマー組成物はダッペンディッシュに滴下し、30分放置した後、歯面塗布に用いた。エナメル質および象牙質に対する接着強さを求め、その結果を表3に併せて示した。一方、表1に示す配合割合でB−1、B−2のプライマー組成物を、表2に示す配合割合でD−1、D−2のセメント組成物を調製し、表4に示すような本発明の構成要件を欠如する組合せで実施例と同様に接着試験を実施し、それぞれ比較例1〜5とした。エナメル質および象牙質に対する接着強さを求め、その結果を表4に併せて示した。以上の結果より、本発明のプライマー組成物とセメント組成物の組合せの場合に、エナメル質と象牙質との双方に対し高い接着性が発現することは明らかである。【0058】【表1】【0059】【表2】【0060】【表3】【0061】【表4】【0062】比較例6実施例4で用いたプライマー組成物A−2にさらに有機過酸化物、スルフィン酸塩を配合した組成に相当するE−1−I液およびE−1−II液からなる2液型の以下のプライマー組成物を調製した。【0063】E−1−I液:MHP 30重量部HEMA 50重量部NPG 20重量部BPO 1.5重量部【0064】E−1−II液:水 80重量部エタノール 20重量部DEPT 10重量部BSS 1.5重量部【0065】E−1−I液とE−1−II液とをダッペンディッシュに当量滴下し、混和する作業を加えた以外は実施例と同様に接着試験を実施し、比較例6とした。ダッペンディッシュに当量滴下し、混和し30分放置された時点で、粘性が高まり、歯面への塗布が困難になったばかりでなく、接着強さもエナメル質に対し4.4MPa、象牙質に対しては3.4MPaと、実施例と比較して明らかに低い数値であった。【0066】【発明の効果】本発明の歯科用組成物キットは、操作性に優れ、かつ良好な歯質接着性が得られ、歯牙患部への充填修復、補綴材料の合着剤として有用である他、支台築造、咬合面のシーラント、根面コート材としても有用である。 酸性基を有する重合性単量体(a)、並びに芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)を含有する1液型プライマー組成物(A)と、ポリアルケン酸(c)、溶出性ガラスフィラー(d)、重合性単量体(e)、水(f)、過酸化物(g)、芳香族スルフィン酸塩(h)を含有するセメント組成物(B)との組合せからなる歯科用組成物キット。 プライマー組成物(A)における酸性基を有する重合性単量体(a)の含有量が1〜90重量%、芳香族第2級アミンおよび/または芳香族第3級アミン(b)の含有量が0.1〜20重量%であり、かつセメント組成物(B)におけるポリアルケン酸(c)の含有量が0.5〜50重量%、溶出性ガラスフィラー(d)の含有量が10〜90重量%、重合性単量体(e)の含有量が1〜70重量%、水(f)の含有量が1〜50重量%、過酸化物(g)の含有量が0.01〜10重量%、芳香族スルフィン酸塩(h)の含有量が0.01〜10重量%である請求項1記載の歯科用組成物キット。 酸性基を有する重合性単量体(a)が下記の一般式(I)で示される重合性単量体である請求項1記載の歯科用組成物キット。(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2は炭素数2〜40の有機基を、Xは−O−基または−NH−基を、lは1〜5の整数を、mは0または1の整数を、nは1〜4の整数を、Yは−O−基または−S−基を、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表す。) 酸性基を有する重合性単量体(a)が下記の一般式(II)および/または一般式(III)で示される重合性単量体である請求項1記載の歯科用組成物キット。(式中、R1は水素原子またはメチル基を、Xは−O−基または−NH−基を、xは4〜20の整数を、mは0または1の整数を、Yは−O−基または−S−基を、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表す。)(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R3は炭素数3〜10の有機基を、Xは−O−基または−NH−基を、yは2〜5の整数を、mは0または1の整数を、nは1〜4の整数を、Yは−O−基または−S−基を、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表す。)


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る