生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_環状オリゴマーの酵素加水分解
出願番号:2001193537
年次:2005
IPC分類:7,C12P7/62,C08G63/90,C12P1/00,D06M16/00,C12S11/00,D06M101:32


特許情報キャッシュ

リーゲルス,マルティン コフ,ラインハルト ペダーセン,ラルス サーベイ ルンド,ヘンリク JP 3628984 特許公報(B2) 20041217 2001193537 20010626 環状オリゴマーの酵素加水分解 ノボザイムス アクティーゼルスカブ 500586299 石田 敬 100077517 鶴田 準一 100092624 福本 積 100087871 西山 雅也 100082898 樋口 外治 100081330 リーゲルス,マルティン コフ,ラインハルト ペダーセン,ラルス サーベイ ルンド,ヘンリク DK 0066/96 19960122 20050316 7 C12P7/62 C08G63/90 C12P1/00 D06M16/00 C12S11/00 D06M101:32 JP C12P7/62 C08G63/90 C12P1/00 D06M16/00 Z C12S11/00 D06M101:32 7 BIOSIS/WPI(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) 特開昭56−118420(JP,A) 特開平4−94683(JP,A) J.Biomed.Mater.Res.,Vol.21,No.8(1987)p.991-1003 Agric.Biol.Chem.,Vol.50,No.5(1986)p.1323-1325 J.Appl.Polymer Sci.,Vol.32,No.4(1986)p.4719-4733 9 1997526450 19970120 2002065300 20020305 11 20031203 高堀 栄二 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーの酵素加水分解方法であって、該環状オリゴマーを1または複数のカルボン酸エステル加水分解酵素の作用にかけることを含んで成る方法に関する。【0002】【従来の技術】ポリ(エチレンテレフタレート)繊維は、繊維工業により用いられるポリエステルの主部分を占める。該繊維は例えばテレフタル酸とエチレングリコールの重縮合と、溶融液からの繊維の延伸によって製造される。それらの工程中、高温では、繊維の中や上に環状オリゴマー、特に環状トリ(エチレンテレフタレート)が形成される。【0003】環状オリゴマーは、ある含量のポリ(エチレンテレフタレート)繊維を有する織物を灰色かがった外観にする傾向がある。これは織物表面に環状オリゴマーが付着するためであり、特にHT(高温)染色のような高温湿式法の後に表出する。環状オリゴマーは除去するのが困難であり、アルカリ後処理に対して耐性であることすらある〔G. Valk 他, Melliand Textilberichte 1970, 5, 504−508参照〕。従って、効果的にするために、アルカリ処理は苛酷でなければならないが、それは繊維材料の有意な損失を引き起こす。また、環状オリゴマーの有機抽出も技術的には可能性があるが、しかし工業的に適さない。【0004】【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】本発明の目的は、ポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマー、特に環状トリ(エチレンテレフタレート)の酵素的除去方法を提供することであり、該方法によると前記環状オリゴマーを直鎖状断片に酵素的に加水分解し、次いでその断片を穏和な条件下で除去することができまたはそのまま残すことも可能である。かくして本発明の方法は有害な化学薬品または有機抽出の必要性を回避する。【0005】従って、本発明は、ポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーの酵素加水分解方法であって、該環状オリゴマーを1または複数のカルボン酸エステル加水分解酵素の作用にかけることを含んで成る方法を提供する。【0006】【発明の実施の形態】本発明は、ポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーの酵素加水分解方法に関する。より具体的には、本発明はポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーの酵素加水分解方法であって、前記環状オリゴマーを1または複数のカルボン酸エステル加水分解酵素、特に脂肪分解酵素および/またはバイオポリエステル加水分解酵素の作用にかけることを含んで成る方法を提供する。【0007】本発明の方法は特に、ある含量のポリ(エチレンテレフタレート)繊維を有する糸または織物に適用することができ、当該方法の間に繊維の合成および加工中に副産物として形成された環状オリゴマーの含量が除去されるかまたは少なくとも有意に減少されたものになる。ポリエステル織物ポリ(エチレンテレフタレート)は縮合により合成され、溶融液から繊維に延伸され、多分ステープルに切断され、多分別の繊維種と混合され、そして糸に紡績される。糸が染色された後で織物に編まれるかまたはカーペットになり、あるいは糸が織物に織られた後に染色される。それらの工程後に仕上げ(後処理)工程を行うことができる。【0008】合成および延伸中に、ポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーが繊維の上や中に形成される。それらの環状オリゴマーは一部が機械の上に付着し、一部が繊維の上/中にとどまって最終の織物またはカーペットに望ましくない灰色がかった外観を与える。環状オリゴマーは有機抽出により除去することが可能であるが、そのような方法は、費用のため並びに取扱い上および大量の有機溶媒の再生上の問題のために工業上適していない。環状オリゴマーはアルカリ後精錬工程によって除去することも可能であるが、効果的であるためには、アルカリ処理は苛酷でなければならず、これは繊維材料の有意な損失も引き起こす。【0009】本発明によれば、1または複数の加水分解酵素を使った加水分解により、環状オリゴマー、特に環状トリマーの除去を達成することができる。前記酵素はエステル結合を加水分解することにより環状オリゴマーの環構造を破壊する。その結果得られる生成物はあまり問題を引き起こさない。というのは、それは穏やかな条件下で除去できるかまたは製品中に残存してもよいからである。【0010】酵素処理は有機抽出やアルカリ後精錬に認められる欠点を持たず、特に多量の有機溶媒を必要とすることがなく、且つ繊維材料の有意な損失が全くない。本発明の方法は、現存する湿式加工機械、例えばビーム染色機、パッドロール、ジッガー/ウインス、J−ボックス、またはパッドスチーム型の機械を使って実施できるので繊維工業において容易に適用可能である。本発明の方法は好ましくは仕上げ(後処理)段階の間に行われる。【0011】好ましい態様では、本発明の方法は、ポリ(エチレンテレフタレート)繊維の上および/または中またはポリ(エチレンテレフタレート)繊維から製造された(または部分的に製造された)糸もしくは織物の中に存在するポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーに対して実施することができる。ポリエステル糸または織物は、純粋なポリ(エチレンテレフタレート)から作られるか、またはポリ(エチレンテレフタレート)繊維と製糸または製織に汎用される任意の他の材料との混紡から作られる、どんな糸もしくは織物であってもよい。【0012】よって、好ましい態様では、本発明はポリエステル系繊維の酵素処理方法であって、前記ポリエステル系繊維または織物を1または複数のカルボン酸エステル加水分解酵素、特に脂肪分解酵素および/またはバイオポリエステル加水分解酵素の作用にかけることを含んで成る方法を提供する。ポリエステル織物はポリエステルを含む任意の織物または混紡織物であることができる。好ましくは、前記織物は50%(w/w) より多く、特に75%(w/w) より多く、90%(w/w) より多く、または95% (w/w) より多くポリエステルを含んで成る。最も好ましい態様では、本発明の方法はポリ(エチレンテレフタレート)ポリエステル材料から本質的に成る、即ち純粋なポリ(エチレンテレフタレート)ポリエステル材料から成る、織物または布または糸に適用される。加水分解酵素本発明の酵素仕上げ方法は、任意のカルボン酸エステル加水分解酵素、特に脂肪分解酵素および/またはバイオポリエステル加水分解酵素を使って行うことができる。そのような酵素は公知であり、文献中に明記されている。例えば、Borgstrom B. & Brockman H.L.編、Lipases , Elsevier Science Publishers B.V., 1984;およびKolattukudy P.E., The Biochemistry of Plants, Academic PressInc., 1980, 4:624−631 を参照のこと。【0013】本発明においては、脂肪分解酵素は真正リパーゼ、エステラーゼ、ホスホリパーゼおよびリゾホスホリパーゼを包含する。より具体的には、脂肪分解酵素はEC 3.1.1.3、EC 3.1.1.23 および/またはEC3.1.1.26に分類されるようなリパーゼ、EC 3.1.1.1、EC 3.1.1.2、EC 3.1.1.6、EC 3.1.1.7および/またはEC 3.1.1.8に分類されるようなエステラーゼ、EC 3.1.1.4および/またはEC 3.1.1.32 に分類されるようなホスホリパーゼ、並びにEC 3.1.1.5に分類されるようなリゾホスホリパーゼであることができる。【0014】脂肪分解酵素は好ましくは微生物由来、特に細菌、真菌または酵母由来のものである。特定の態様では、使用される脂肪分解酵素は、アブシディア(Absidia )、特にアブシディア・ブラケスレーナ(Absidia blakesleena )およびアブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera )の菌株、アクロモバクター(Achromobacter )、特にアクロモバクター・イオファグス(Achromobacter iophagus)の菌株、エロモナス(Aeromonas )の菌株、アルテルナリア(Alternaria)、特にアルテルナリア・ブラシッシオラ(Alternaria brassiciola)の菌株、アスペルギルス(Aspergillus )、特にアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger )およびアスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)の菌株、アクロモバクター(Achromobacter )、特にアクロモバクター・イオファグス(Achromobacter iophagus)の菌株、アウレオバシディウム(Aureobasidium )、特にアウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans )の菌株、バシラス(Bacillus)、特にバシラス・ピュミルス(Bacillus pumilus)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus )およびバシラス・サチリス(Bacillus subtilis)の菌株、ボーベリア(Beauveria )の菌株、ブロコスリックス(Brochothtix )、特にブロコスリックス・テルモスファクタ(Brochothtix thermosphacta )の菌株、カンジダ(Candida )、特にカンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea )〔カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)〕、カンジダ・パラリポリティカ(Candida paralipolytica)およびカンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)の菌株、クロモバクター(Chromobacter)、特にクロモバクター・ビスコサム(Chromobacter viscosum )の菌株、コプリヌス(Coprinus)、特にコプリヌス・シネリウス(Coprinus cinerius )の菌株、フザリウム(Fusarium)、特にフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani )、フザリウム・ソラニ・ピシィ(Fusarium solani pisi)およびフザリウム・ロセウム・クルモルム(Fusarium roseum culmorum)の菌株、ゲオトリクム(Geotricum )、特にゲオトリクム・ペニシラタム(Geotricum penicillatum)の菌株、ハンゼヌラ(Hansenula )、特にハンゼヌラ・アノーマラ(Hansenula anomala )の菌株、フミコラ(Humicola)、特にフミコラ・ブレビスポラ(Humicola brevispora )、フミコラ・ブレビス変種テルモイデ(Himicola brevis var.thermoidea)およびフミコラ・インソレンス(Humicola insolens )の菌株、ハイフォザイマ(Hyphozyma )の菌株、ラクトバシラス(Lactobacillus )、特にラクトバシラス・クルバタス(Lactobacillus curbatus)の菌株、メタリジウム(Metarhizium )の菌株、ムーコル(Mucor )の菌株、ペシロマイセス(Paecilomyces)の菌株、ペニシリウム(Penicillium )、特にペニシリウム・シクロピウム(Penicillium cyclopium )、ペニシリウム・クルストサム(Penicillium crustosum )およびペニシリウム・エクスパンサム(Penicillium expansum)の菌株、シュードモナス(Pseudomonas )、特にシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes )、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia )〔同義ブルコルデリア・セパシア(Burkolderia cepacia )〕、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens )、シュードモナス・フラギ(Pseudomonas fragi )、シュドモナス・マルトフィリア(Pseudomonas maltophilia )、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina )、シュードモナス・メフィチカ・リポリティカ(Pseudomonas mephitica lipolytica)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes )、シュードモナス・プランタリイ(Pseudomonas plantari)、シュードモナス・シュードアルカリゲネス(Pseudomonas pseudoalcaligenes )、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)およびシュードモナス・ウィスコンシネンシス(Pseudomonas wisconsinensis)の菌株、リゾクトニア(Rhizoctonia )、特にリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の菌株、リゾムーコル(Rhizomucor)、特にリゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei )の菌株、リゾプス(Rhizopus)、特にリゾプス・ジャポニカス(Rhizopus japonicus)、リゾプス・ミクロスポルス(Rhizopus microsporus)およびリゾプス・ノドサス(Rhizopus nodosus)の菌株、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、特にロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides )の菌株、ロドトルラ(Rhodotorula )、特にロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)の菌株、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)、特にスポロボロマイセス・シバタナス(Sporobolomyces shibatanus )の菌株、テルモマイセス(Thermomyces )、特にテルモマイセス・ラヌジノサス(Thermomyces lanuginosus )〔正式にはフミコラ・ラヌジノーサ(Humicola lanuginosa )〕の菌株、チアロスポレラ(Thiarosporella)、特にチアロスポレラ・ファセオリナ(Thiarosporella phaseolina )の菌株、トリコデルマ(Trichoderma )、特にトリコデルマ・ハージアナム(Trichoderma harzianum )およびトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)の菌株、および/またはベルティシリウム(Verticillium)の菌株から得ることができる。【0015】より好ましい態様では、本発明に従って使われる脂肪分解酵素は、アスペルギルス(Aspergillus )の菌株、アクロモバクター(Achromobacter )の菌株、バシラス(Bacillus)の菌株、カンジダ(Candida )の菌株、クロモバクター(Chromobacter)の菌株、フザリウム(Fusarium)の菌株、フミコラ(Humicola)の菌株、ハイフォザイマ(Hyphozyma )の菌株、シュードモナス(Pseudomonas )の菌株、リゾムーコル(Rhizomucor)の菌株、リゾプス(Rhizopus)の菌株、またはテルモマイセス(Thermomyces )の菌株から得られる。【0016】より好ましい態様では、本発明に従って使われる脂質分解酵素は、バシラス・ピュミルス(Bacillus pumilus)の菌株、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus )の菌株、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea )の菌株、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)の菌株、特にカンジダ・アンタークティカのリパーゼB(WO 88/02775 に記載のようにして得られる)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens )の菌株、ハイフォザイマ(Hyphozyma )の菌株、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia )の菌株、またはテルモマイセス・ラヌジノサス(Thermomyces lanuginosus )の菌株から得られる。【0017】本発明においては、バイオポリエステル加水分解酵素はエステラーゼおよびポリヒドロキシアルカノエート解重合酵素、特にポリ−3−ヒドロキシアルカノエート解重合酵素を包含する。実際、エステラーゼは脂肪分解酵素でもあり且つバイオポリエステル加水分解酵素でもある。より好ましい態様では、エステラーゼがクチナーゼまたはスベリナーゼである。また本発明においては、クチナーゼはクチンを分解することができる酵素であり〔例えば、Lin T.S. & Kolattukudy P. E., J. Bacteriol. 1978, 133(2): 942−951 参照〕、スベリナーゼはスベリンを分解することができる酵素であり〔例えば、Kolattukudy P.E., Science 1980, 208: 990−1000 ; Lin T.S. &Kolattukudy P.E., Physiol. Plant Pathol. 1980, 17: 1−15 ; およびThe Biochemistry of Plants, Academic Press, 1980, Vol.4: 624−634参照〕、そしてポリ−3−ヒドロキシアルカノエート解重合酵素はポリ−3−ヒドロキシアルカノエートを分解することができる酵素である〔例えばFoster他, FEMS Microbiol. Lett. 1994, 118: 279−282参照〕。クチナーゼは、例えば、トリブチリン基質の臨界ミセル濃度(CMC)付近で測定可能な活性化が全く観察されないという点で、典型的なリパーゼと異なる。また、クチナーゼはセリンエステラーゼの部類に属するとも考えられる。【0018】バイオポリエステル加水分解酵素は、好ましくは微生物由来、特に細菌、真菌または酵母由来のものである。好ましい態様では、バイオポリエステル加水分解酵素はアスペルギルス(Aspergillus )、特にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の菌株、アルテルナリア(Alternaria)、特にアルテルナリア・ブラシッシオラ(Alternaria brassiciola)の菌株、フザリウム(Fusarium)、特にフザリウム・ソラニ(Fusarium solani )、フザリウム・ソラニ・ピシィ(Fusarium solani pisi)、フザリウム・ロセウム・クルモルム(Fusarium roseum culmorum)またはフザリウム・ロセウム・サンブシウム(Fusarium roseum sambusium )の菌株、ヘルミントスポルム(Helminthosporum )、特にヘルミントスポルム・サティブム(Helminthosporum sativum )の菌株、フミコラ(Humicola)、特にフミコラ・インソレンス(Humicola insolens )の菌株、シュードモナス(Pseudomonas )、特にシュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina )またはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)の菌株、リゾクトニア(Rhizoctonia )、特にリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の菌株、ストレプトマイセス(Streptomyces)、特にストレプトマイセス・スカビイス(Streptomyces scabies)の菌株、またはウロクラジウム(Ulocladium)、特にウロクラジウム・コンソルティアレ(Ulocladium consortiale)の菌株から得られる。最も好ましい態様では、バイオポリエステル加水分解酵素はフミコラ・インソレンスの菌株、特にフミコラ・インソレンス DSM 1800 菌株から得られるクチナーゼである。【0019】別の好ましい態様では、ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート解重合酵素は、アルカリゲネス(Alcaligenes )、特にアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)の菌株、バシラス(Bacillus)、特にバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium )の菌株、カモモナス(Camomonas )、特にカモモナス・テストステロニ(Camomonas testosteroni)の菌株、ペニシリウム(Penicillium )、特にペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum )の菌株、シュードモナス(Pseudomonas )、特にシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens )、シュードモナス・レモイグネイ(Pseudomonas lemoignei )およびシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)の菌株、またはロドスピリルム(Rhodospirillum)、特にロドスピリルム・ルブルム(Rhodospirillum rubrum )の菌株に由来する。【0020】作業条件本発明に従った酵素処理は湿式法として実施される。現在のところ適当な浴比(処理液と織物との重量比)は約20:1〜約1:1の範囲、好ましくは約15:1〜約5:1の範囲であろうと思われる。酵素量は使われる1または複数の酵素並びに与えられる反応時間および反応条件の関数であるに違いない。現在のところ1または複数の酵素は糸または織物1kgあたり酵素約0.001 g〜約5g、好ましくは約0.001 g/kg〜約0.5 g/kgの総量で添加されると思われる。【0021】酵素加水分解は約30℃〜約100 ℃の温度範囲、好ましくは約50℃〜約100 ℃の温度範囲で実施することができる。pH範囲は使用する1または複数の酵素に依存し、約pH 4〜pH 11 であることができる。現在のところ適当な反応時間は約15分間〜約3時間の範囲内であると思われる。本発明の方法は、酵素−基質相互作用を改善することができる(基質の接近容易性を高めそして/または反応生成物を溶解させるため)1または複数の化学物質の添加を更に含んでもよく、前記化学物質は酵素処理の前にまたは酵素処理と同時に添加することができる。そのような化学物質は特に、界面活性剤、湿潤剤および分散剤、またはそれらの混合物であることができる。【0022】本発明の方法は、場合により、加水分解された環状オリゴマーを洗浄、特に希アルカリでの洗浄にかけるという洗浄段階を含んでもよい。希アルカリは環状オリゴマーの直鎖状断片を溶解し、そしてそれらの直鎖状断片を更に幾らか加水分解することができる。本発明においては、希アルカリは約pH 7〜約pH 11 の範囲、より好ましくは約pH 7〜約pH 10 、最も好ましくは約pH 7〜約pH 9の範囲のpHを有する水性溶液を含んで成る。媒質に緩衝剤を添加してもよい。【0023】【実施例】本発明を下記の実施例において更に説明するが、この実施例は決して本発明の請求の範囲に限定を加えるものではない。実施例1この実施例では、脂肪分解活性および/またはバイオポリエステル加水分解活性を有する11種の異なる酵素を、ポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーに対するそれらの活性について調べる。環状オリゴマーは、ポリエステル織物から1,4−ジオキサンでのソックスレー抽出により得られる。【0024】本例において試験する11種の酵素は次のものである:バシラス・ピュミラス リパーゼ(国際公開第WO 91/16422 号明細書に記載の通りに得られる);バシラス・ステアロサーモフィラス リパーゼ(昭和64年特許第744992号明細書に記載の通りに得られる);カンジダ・アンタークティカ リパーゼB(国際公開第WO 88/02775 号明細書に記載の通りに得られる);カンシダ・シリンドラセア(=カンジダ・ルゴサ) リパーゼ(日本油脂株式会社から得られる);シュードモナス・セパシア リパーゼ(欧州特許第331,376 号明細書に記載の通りに得られる);グルコサミン付加リポラーゼ(商標)(国際公開第WO 95/09909号明細書に記載の通りに得られる);テルモマイセス・ラヌジノサス(正式にはフミコラ・ラヌギノーサ)リパーゼ(欧州特許第305,216 号明細書に記載の通りに得られる);組換え生産されたモルモットリパーゼ(rGPL)(国際公開第WO 93/00426 号明細書に記載の通りに得られる);フミコラ・インソレンス クチナーゼ(米国特許第4,810,414 号明細書の実施例2に記載のようにフミコラ・インソレンス DSM 1800株から得られた、実際にクチナーゼ活性も有するリパーゼ);アスペルギルス・アクレータス ペクチンメチルエステラーゼ(PME;国際公開第WO 94/25575 号明細書に記載の通りに得られる);およびアスペルギルス・アクレータス アセチルエステラーゼ(AE;国際公開第WO95/02689 号明細書に記載の通りに得られる)。【0025】基質溶液を、フェノールレッドを含む寒天ゲル中で加水分解酵素製剤と共にインキュベートする。 17gのアガロース2型培地EEO(Sigma, A−6877)、 3gのNaNO3 、1gのK2HPO4、0.5gの KCl、1mlの1%(w/v)FeSO4および50mlの0.4 g/lフェノールレッド溶液から1000mlの寒天ゲルを調製し、pHを8.0 〜8.5 に調整する。【0026】【表1】【0027】基質溶液、15μlトリブチリンまたは環状オリゴマーを寒天中の差込み穴の中に注ぎ、そして水性酵素溶液を前記基質溶液の中に混合する。酵素が基質を加水分解することができるならば、酸が作られてゲル中に拡散し、pH指示薬であるフェノールレッドが赤から黄色に変わる。実施例2この実施例では、脂質分解酵素およびバイオポリエステル加水分解酵素(WO 96/13580 に記載のようなフミコラ・インソレンス DSM1800株から得られるフミコラ・インソレンスのクチナーゼ)を、環状トリ(エチレンテレフタレート)に対する活性について調べる。1,4−ジオキサンでのソックスレー抽出によりポリエステル織物から環状トリマーを得、エタノールおよび1,4−ジオキサン洗浄により更に精製する。【0028】下記組成の混合物を30℃で16時間インキュベートする:グリシルグリシン緩衝剤 0.2M、pH 8.5 0.25ml脱イオン水 2.50ml環状トリマー、1.4−ジオキサン中5.0 mM 0.25ml酵素 62.5μg5.0 mlの1,4−ジオキサンを添加することにより反応を停止させ、混合物を逆相HPLC用ODS(オクタデシルシリケート)カラム上でアセトニトリルとpH 3.0のリン酸緩衝液を用いた溶出により分析する。反応生成物の検出は、テレフタル酸とテレフタル酸誘導体の吸収波長である240 nmでの分光光度分析により行う。【0029】【表2】【0030】この実施例では、与えられた条件下で環状トリ(エチレンテレフタレート)の56%がフミコラ・インソレンスからのクチナーゼにより分解され、4つの検出可能な分解生成物を与えた。この実験の後で、それらの生成物のうちの3つがエチレンビス(テレフタル酸)エステル(MW= 342)、テレフタル酸モノ(2−ヒドロキシエチル)エステル(MW= 210)およびテレフタル酸(MW= 166)であると同定された。 ポリ(エチレンテレフタレート)の環状オリゴマーの酵素加水分解方法であって、前記環状オリゴマーをクチナーゼの作用にかけることを含んで成る方法。 前記クチナーゼが、アスペルギルスの菌株、アルテルナリアの菌株、フザリウムの菌株、ヘルミントスポリウムの菌株、フミコラの菌株、シュードモナスの菌株、リゾクトニアの菌株、ストレプトマイセスの菌株またはウロクラジウムの菌株に由来する、請求項1に記載の方法。 前記クチナーゼが、アスペルギルス・オリゼの菌株、アルテルナリア・ブラシッシオラの菌株、フザリウム・ソラニ、フザリウム・ソラニ・ピシィ、フザリウム・ロセウム・クルモルムもしくはフザリウム・ロセウム・サンブシウムの菌株、ヘルミントスポリウム・サティブムの菌株、フミコラ・インソレンスの菌株、シュードモナス・メンドシナもしくはシュードモナス・プチダの菌株、リゾクトニア・ソラニの菌株、ストレプトマイセス・スカビイスの菌株またはウロクラジウム・コンソルティアレの菌株に由来する、請求項2に記載の方法。 前記クチナーゼがフミコラ・インソレンスの菌株に由来する、請求項1に記載の方法。 前記クチナーゼがフミコラ・インソレンス DSM 1800 菌株に由来する、請求項4に記載の方法。 酵素−基質相互作用を高める1または複数の化学物質の添加を更に含んで成る、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 前記酵素−基質相互作用を高める1または複数の化学物質が界面活性剤、湿潤剤および/または分散剤である、請求項6に記載の方法。 前記酵素作用の後に、加水分解された環状オリゴマーをアルカリ溶液での処置にかける洗浄段階が行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。 前記環状オリゴマーが、ポリエステル含有織物または糸の繊維の中および上に存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。


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