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タイトル:特許公報(B2)_顆粒用微粉化防止剤、顆粒の微粉化防止方法及び微粉化防止性を有する顆粒の製造方法。
出願番号:2001163932
年次:2009
IPC分類:A23L 1/00,A61K 9/16,A61K 47/10,A61K 47/26,B01J 2/28


特許情報キャッシュ

青柳 信昌 小林 正志 宇野 明 JP 4261085 特許公報(B2) 20090220 2001163932 20010531 顆粒用微粉化防止剤、顆粒の微粉化防止方法及び微粉化防止性を有する顆粒の製造方法。 クラシエフーズ株式会社 393029974 青柳 信昌 小林 正志 宇野 明 20090430 A23L 1/00 20060101AFI20090409BHJP A61K 9/16 20060101ALI20090409BHJP A61K 47/10 20060101ALI20090409BHJP A61K 47/26 20060101ALI20090409BHJP B01J 2/28 20060101ALI20090409BHJP JPA23L1/00 DA61K9/16A61K47/10A61K47/26B01J2/28 A23L 1/00 A61K 9/16 A61K 47/10 A61K 47/26 B01J 2/28 特開平10−056969(JP,A) 特開2000−350555(JP,A) 特開2002−320454(JP,A) 特開平11−113525(JP,A) 特許第3435109(JP,B2) 特開平06−125717(JP,A) 特開2000−125784(JP,A) 特開2000−264835(JP,A) 5 2002354986 20021210 7 20070306 冨士 良宏 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、顆粒用微粉化防止剤、顆粒の微粉化防止方法及び微粉化防止性を有する顆粒の製造方法に関し、更に詳しくは、特定組成とした剤を顆粒に含有させることで、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性を有し、かつ、微粉化防止性に優れた顆粒とすることができる顆粒用微粉化防止剤、顆粒の微粉化防止方法及び微粉化防止性を有する顆粒の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】一般に粉末食品は、溶解性を高めたり、ダマを防止する目的で、造粒(顆粒化)することが行われる。造粒方法としては、押出造粒、流動層造粒、湿式造粒、解砕造粒、アルコール造粒等が挙げられ、適宜選択され行なわれる。これらは、特に水分をできるだけ添加したくない粉末材料の種類に応じて選択される。そして、該粉末材料を含有する場合には、通常、粉末材料に50容量%アルコール溶液を添加して造粒するアルコール造粒が行われる。【0003】上記のようにして得られた顆粒は、例えばコーヒー等に添加した場合には、溶解性に優れ、卓上調味料等に用いた場合には、さらさらとした状態を保つことができる。これは、上述の方法によって得られる造粒物が、硬くて、ある程度粒度が大きく、また保形性の良い顆粒であることに因るものである。【0004】しかしながら、上述のアルコール造粒物は、造粒物重量に対して10倍重量以上の水性媒体を添加したときには良好な溶解性を示すものの、微量の水分に対しては、溶解に時間を要したり、あるいは完全に溶解せずダマになることがある。従って、例えば、口中に直接粉末を添加するような喫食形態の場合には、口中での微量の唾液によって瞬時に溶解する瞬溶性が要求されるが、上述のアルコール造粒物では瞬溶性が得られないため、口中に入れた時、粉末のまま残ってむせてしまい、喫食し難いという問題点があった。【0005】そこで、上記問題点を改良するため、微量の水分によっても瞬時に溶解するような、瞬溶性を得るために、顆粒の粒度を単に小さくすることも考えられるが、製造工程上、顆粒が不均一形状になったり、また、得られる顆粒の強度も低下し、製造時や最終製品の保存時に顆粒の破損が起こり易い、すなわち微粉化防止性に劣り、商品価値が低下するという問題点がある。【0006】このように、従来の顆粒は、微粉化防止性と瞬溶性とが相反する性質であり、一方を向上させると他方が低下する傾向にあるため、両方の性質を共に十分に満足する顆粒、特に軟らかく小さい顆粒であっても微粉化防止性に優れる顆粒の開発が望まれているのが現状である。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性を有し、かつ、微粉化防止性に優れた顆粒とすることができる顆粒用微粉化防止剤、顆粒の微粉化防止方法及び微粉化防止性を有する顆粒の製造方法を提供するにある。【0008】【課題を解決するための手段】上記の目的は、エリスリトールと砂糖とを含有することを特徴とする顆粒用微粉化防止剤によって達成される。【0009】上記の目的は、エリスリトールと砂糖とを含有させることを特徴とする顆粒の微粉化防止方法によって達成される。【0010】また、上記の目的は、エリスリトールと砂糖とを含有する粉末材料と、濃度90容量%以上のアルコール溶液とを混合し、造粒した後、乾燥することを特徴とする微粉化防止性を有する顆粒の製造方法によって達成される。【0011】すなわち、本発明者らは、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性を有し、かつ、微粉化防止性に優れるという両方の性質を十分に満足する顆粒用微粉化防止剤について検討を行った結果、エリスリトールと砂糖とを含有した剤を用いて、顆粒を調製すると、微量の水分で瞬時に溶解するような軟らかく、小さい顆粒でありながら、製造工程時や最終製品の保存時に顆粒の破損が起こり難い、微粉化防止性に優れた顆粒が得られることを見出した。また、顆粒を調製する際に、上記エリスリトールと砂糖とを含有する粉末材料と、濃度90容量%以上のアルコール溶液とを混合し、造粒、乾燥の工程を経ることにより、微粉化防止性及び瞬溶性に優れた顆粒が得られることを見出し、本発明に到達した。【0012】【発明の実施の形態】次に、本発明を詳しく説明する。本発明の顆粒用微粉化防止剤及び顆粒の微粉化防止方法には、エリスリトールと砂糖とを用いる。【0013】本発明の顆粒用微粉化防止剤におけるエリスリトールと砂糖とを合わせた含有量は、適宜設定すればよいが、好ましくは、微粉化防止剤全体重量中、50重量%以上であることが顆粒の微粉化防止効果を得る点で好適である。また、剤の形態は、顆粒、粉末、液体、ペースト等各種挙げられる。【0014】エリスリトールとは、ブドウ糖を原料に、酵母の発酵により産出される四炭糖の糖アルコールである。本発明に用いるエリスリトールの形態は、適宜設定すればよく、例えば粉体等が挙げられる。その粒度は、特に限定するものではなく、適宜設定すればよい。また、微粉化防止剤におけるエリスリトールの含有量は、剤全体重量中、好ましくは50重量%以上に設定すると、微粉化防止効果を得る点で好適である。また、顆粒におけるエリスリトールの含有量は、顆粒全体重量中、好ましくは50〜75重量%、更に好ましくは65〜75重量%に設定すると、微粉化防止性に優れる点で好適である。【0015】次に、本発明に用いる砂糖は、特に限定されるものではなく、いわゆる蔗糖の他、グラニュー糖、粉糖、上白糖等、各種蔗糖の工業的製品を適宜選択して、単独もしくは複数組合せて用いればよい。この中でも、特に微粉化防止性に優れる点、かつ、流動性があり、ケーキングしにくく、また、顆粒のかさ比重が調整し易い点でグラニュー糖が好適に用いられる。また、砂糖の形態は、適宜設定すればよく、例えば粉体等が挙げられる。その粒度は、特に限定するものではなく、適宜設定すればよい。また、砂糖の含有量は、顆粒全体重量中、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは3〜10重量%に設定すると、顆粒の微粉化防止性に優れる点で好適である。【0016】なお、剤もしくは顆粒全体重量中における砂糖の含有量は、上記エリスリトールの全体重量に対して、4〜50重量%に設定することが望ましい。すなわち、上記範囲を逸脱すると、製造工程上、顆粒化し難くなり、顆粒の微粉化防止性に劣る傾向にある。【0017】また、本発明の顆粒用微粉化防止剤、もしくは本発明にかかる顆粒には、エリスリトールと砂糖の他に、副原料として糖類粉末、酸味料、ビタミン類、甘味料、重曹、色素、香料、乳化剤、ゲル化剤、乳製品、カカオ豆、カカオ豆由来の各種加工品、油脂、蛋白質、乳製品等を必要に応じ適宜単独もしくは複数組み合わせて用いてもよい。剤もしくは顆粒全体重量における副原料の含有量は、エリスリトールと砂糖との全体重量に対し、好ましくは52重量%以下に設定することが顆粒の微粉化防止性に優れる点で望ましい。【0018】上記糖類粉末としては、ブドウ糖等の単糖類、マルトース等の二糖類以上の天然糖質甘味料の他、粉飴、糖アルコール、非還元性少糖類(トレハロース、ラフィノース、各種オリゴ糖)、還元澱粉分解物、タガトース等の糖類の粉末が挙げられる。【0019】上記糖アルコールとは、糖類が持つカルボニル基を還元して得られる鎖状多価アルコールの総称であって、副原料として用いる糖アルコールとは、エリスリトール以外の糖アルコールを意味する。具体的には、マルチトール(還元麦芽糖)、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール(還元乳糖)、パラチニット(イソマルト、還元パラチノース)、還元澱粉糖化物、マンニトール等が挙げられる。これらは単独でも数種組み合わせてもよい。この中でも、特にキシリトール、ラクチトール、還元澱粉糖化物、マンニトールは、顆粒の微粉化防止性に優れる点で好適である。【0020】本発明の顆粒用微粉化防止剤は、例えば、エリスリトール、砂糖及び必要に応じて副原料等を混合することによって得られる。【0021】次に、微粉化防止性を有する顆粒は、例えば次のようにして製造される。まず、上記エリスリトール、砂糖及び必要に応じて副原料等の粉末材料を準備し、これらを粉体混合する。次いで、該粉体混合物と90容量%以上の濃度のアルコール溶液とを混合する。アルコール溶液に用いるアルコールとは、エタノール、酒類等が挙げられる。特に、エタノールは、顆粒の微粉化防止性、瞬溶性に優れる点で好適に用いられる。また、その溶媒は、例えば水等が挙げられる。また、アルコール溶液の濃度は、90容量%以上に設定することが望ましい。すなわち、この濃度よりも低いと、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性が得られ難い傾向にある。また、アルコール溶液の添加量は、エリスリトール、砂糖及び必要に応じて副原料の粉末原料全体100に対して11〜15に設定することが望ましい。すなわちアルコール溶液の添加量が、この範囲よりも多いと顆粒が硬くなり、逆に、少ないと顆粒が軟らかくなりすぎてつぶれやすく、微粉末に近くなるため、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性が得られ難い傾向にある。【0022】次に、上記混合物を造粒する。造粒方法としては、押出造粒、解砕造粒等が挙げられる。この中でも、押出造粒は、低水分条件下で、造粒物を円滑かつ効率よく生産することができ、顆粒の大きさを均一に調整できる点で好適である。また、その方法は、慣用の方法、例えば、所定の孔径を有するダイスを備えた押出造粒機から混合物を押出すことにより行われる。本発明の造粒の条件は、その造粒方法によって適宜設定すればよい。例えば、押出造粒の場合、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性を呈するかさ比重を得る点で、0.8mm程度の直径の押出孔を用いることが望ましい。【0023】次に、上記造粒物を乾燥して顆粒を得る。乾燥方法としては、流動層乾燥、振動乾燥、気流乾燥、トンネル型乾燥等が挙げられる。この中でも、特に流動層乾燥は、顆粒の短時間乾燥や設備コスト等の面から好適に用いられる。乾燥の条件は、その乾燥方法、装置、処理量等によっても異なるので適宜設定すればよい。例えば、流動層乾燥でバッチ式流動乾燥機を用いる場合は、吸気温度70℃で、排気温度が50℃に到達するまで約10〜15分程度行えばよい。【0024】 このようにして得られた顆粒は、好ましくは、1.50〜1.80ml/g、粒度16メッシュパス40メッシュオンとなっていることが望ましい。 すなわち、上記範囲を逸脱してしまうと、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性を有する顆粒が得られ難い傾向にある。【0025】また、上記のようにして得られた顆粒は、そのまま粉末状の製品として用いてもよいし、粉末飲料等の粉末食品の原料としてもよい。特に、この粉末は口中に直接入れても、唾液のような微量の水分存在下で瞬時に溶解するので、場所や時間を選ばず、簡便に喫食することができる。また、水分が少なくても、必要な栄養源や機能性成分を溶解摂取することができるので、嚥下の不得意な高齢者や幼児に摂取させる各種栄養食品、医薬品等に好適に用いることができる。あるいは、喉に一瞬にして広がり、独特の爽快な口溶け感が得られるので、眠気防止、気分転換等の用途にも好適に用いることができる。【0026】【発明の効果】以上のように、本発明の顆粒用微粉化防止剤、顆粒の微粉化防止方法もしくは微粉化防止性を有する顆粒の製法によれば、エリスリトールと砂糖とを微粉化防止剤として用いて造粒することによって、微量の水分にでも瞬時に溶解しうる良好な瞬溶性を有し、かつ、微粉化防止性に優れた所望の粒径の顆粒が安定して得られ、残存率、歩留まりがよい顆粒を得ることができる。また、微粉化し易い副原料でも適宜用いることができるので、風味、食感、形態等の異なる様々な顆粒に用いることができ、汎用性に富んでいる。また、本発明の微粉化防止性を有する顆粒の製法は、特別な製造設備を用いることなく、従来からある顆粒の製造設備を用いて簡便に製造することができる。【0027】【実施例】次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。【0028】〈実施例1〜5〉表1に示す組成にて、下記のようにして顆粒を調製した。《顆粒の調製》まず、エリスリトール、グラニュー糖、アスコルビン酸、香料とを粉体混合した。他方で、エタノールと水とを混合し、アルコール溶液を調製した。次いで、該混合物と該アルコール溶液とを混合した。そして、直径0.8mmの押出孔を有する押出造粒機を用いて造粒し、更に、その造粒物をバッチ式流動乾燥機を用いて吸気温度70℃で、排気温度50℃に到達するまで10分間という条件で流動層乾燥し、顆粒を得た。【0029】〈比較例1〜3〉比較例1は、砂糖を使用しない他は、実施例1と同様に顆粒を得た。【0030】比較例2は、エリスリトールを使用しない他は、実施例1と同様に顆粒を得た。【0031】比較例3は、砂糖の代わりにアスパルテームを用い、また、50容量%のエタノール溶液を用いる他は、実施例1と同様に顆粒を得た。【0032】実施例1〜5及び及び比較例1〜3について得られた顆粒を以下のように評価した。その結果を、表1に合わせて示す。【0033】《微粉化防止性の評価》粒度16メッシュパス40メッシュオンの製造直後の顆粒20gを1分間振動篩機にかけた後、整粒し、残存する粒径16メッシュパス40メッシュオンの顆粒重量を測定した。試験前後の重量から、同じ粒径の顆粒の残存率を算出し、評価した。【0034】《瞬溶性の評価》水10ccに溶解したときの顆粒10gの瞬溶性について評価した。【0035】【表1】【0036】表1の結果から、実施例1〜5の顆粒は、微量の水分で瞬時に溶解するような軟らかく小さい顆粒であっても、微粉化防止性に優れた顆粒を得ることができた。これに対し、比較例1、2の顆粒は、エリスリトール又は砂糖を用いない顆粒であったため、微粉化防止性に劣る顆粒であった。また、比較例3の顆粒は、砂糖の代わりにアスパルテームを用い、また、濃度が低いアルコール溶液を用いて顆粒を調製したため、微粉化防止性、瞬溶性共に劣る顆粒であった。 エリスリトールと砂糖とを含有する顆粒の微粉化防止方法であって、該エリスリトールを顆粒全体重量中50〜75重量%含有させることを特徴とする顆粒の微粉化防止方法。 砂糖を顆粒全体重量中3〜25重量%含有させることを特徴とする請求項1記載の顆粒の微粉化防止方法。 エリスリトールと砂糖とを含有する粉末材料と、濃度90容量%以上のアルコール溶液とを混合し、造粒した後、乾燥することを特徴とする請求項1又は2記載の顆粒の微粉化防止方法。 造粒を押出し造粒で行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の顆粒の微粉化防止方法。 乾燥を流動層乾燥で行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の顆粒の微粉化防止方法。


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