| タイトル: | 特許公報(B2)_l−メントールの製造方法 |
| 出願番号: | 2001138438 |
| 年次: | 2011 |
| IPC分類: | C07C 29/20,B01J 23/44,B01J 23/46,B01J 25/02,B01J 31/24,B01J 31/26,C07C 35/12,C07C 45/62,C07C 49/603,C07B 53/00,C07B 61/00,C07C 29/145,C07C 35/17 |
佐用 昇 松本 崇司 JP 4795559 特許公報(B2) 20110805 2001138438 20010509 l−メントールの製造方法 高砂香料工業株式会社 000169466 須山 佐一 100077849 佐用 昇 松本 崇司 JP 2000137388 20000510 20111019 C07C 29/20 20060101AFI20110929BHJP B01J 23/44 20060101ALI20110929BHJP B01J 23/46 20060101ALI20110929BHJP B01J 25/02 20060101ALI20110929BHJP B01J 31/24 20060101ALI20110929BHJP B01J 31/26 20060101ALI20110929BHJP C07C 35/12 20060101ALI20110929BHJP C07C 45/62 20060101ALI20110929BHJP C07C 49/603 20060101ALI20110929BHJP C07B 53/00 20060101ALN20110929BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110929BHJP C07C 29/145 20060101ALN20110929BHJP C07C 35/17 20060101ALN20110929BHJP JPC07C29/20B01J23/44 ZB01J23/46 301ZB01J23/46 311ZB01J25/02 ZB01J31/24 ZB01J31/26 ZC07C35/12C07C45/62C07C49/603C07B53/00 BC07B61/00 300C07C29/145C07C35/17C07B61/00 Z C07C 29/20 B01J 23/44 B01J 23/46 B01J 25/02 B01J 31/24 B01J 31/26 C07C 35/12 C07C 45/62 C07C 49/603 C07B 53/00 C07B 61/00 C07C 29/145 C07C 35/17 CA/REGISTRY(STN) 特開昭48−028456(JP,A) 特開平03−048634(JP,A) 特開昭55−147234(JP,A) 特開平11−080053(JP,A) 特開平09−241195(JP,A) 特開平09−110750(JP,A) 特開平09−241194(JP,A) 特開昭54−003041(JP,A) 特開2001−031608(JP,A) 8 2002030009 20020129 22 20080403 岩井 好子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、医薬又は香料として用いられるl−メントール及びその中間体のプレゴンの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】メシチルオキシドとメチルビニルケトンとから容易に合成可能なピペリテノンからプレゴンへの水素化反応はいくつか報告例がある。1)J.SolodarらJ. Org. Chem., 43巻, 1787頁, 1978年に記載されているシクロヘキシルアニシルメチルホスフィンを配位子とするRh錯体を用いて水素化する例、2)P. L. MauxらTetrahedron, 44巻, 1409頁, 1988年に記載されているジフェニルネオメンチルホスフィンを配位子とするCo錯体を用いて水素化する例がある。また、プレゴンからプレゴールへの報告例は、T. OhkumaらSynlett, 1997年, 467頁に記載されている(S)-BINAP-Ru-(S,S)-ジフェニルエチレンジアミン-KOHという触媒系を用いる例がある。【0003】プレゴンの合成では、1)90%程度の選択性で得られるが光学純度は33%eeと低い。さらに反応溶媒にはDMF(ジメチルホルムアミド)を用いており、工業的に実施できる手法ではなかった。2)選択性は55%、光学純度も15%eeと低く、工業的に実施できるレベルではなかった。また、プレゴールの合成に用いる配位子は、(S)-BINAP、(S,S)-ジフェニルエチレンジアミンの組合せであり、どちらも光学活性体を使用していることから触媒コストが高すぎるといった問題点があった。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、以下の1)〜3)に示す具体的課題を解決するものである。1) ピペリテノンは水素化が可能な位置が3カ所あり、プレゴンを得るには水素化の位置選択性を上げる必要がある。従前の配位子であるシクロヘキシルアニシルメチルホスフィン、フェニルアニシルメチルホスフィン、シクロヘキシルo-tert-ブチルフェニルメチルホスフィン等の一座配位ホスフィンや、DIPAMP:1,2−ビス−[(o-メトキシフェニル)フェニルホスフィノ]エタン 、DIOP:2,3-o-イソプロピリデン-2,3-ジヒドロキシ-1,4-ビス-(ジフェニルホスフィノ)ブタン等の二座配位ホスフィンより優れた選択性と不斉収率を達成する触媒、つまり配位子及び遷移金属を選択することであり、それに影響を及ぼす溶媒系や添加物を検討することが必要である。2) プレゴンからプレゴールの調製は、従来技術のルテニウム−ジアミン−水酸化カリウムの系でかなりの成果が得らているので、それを安価な触媒に変えて同等の触媒活性、選択性を得ることが求められている。3) プレゴールを水素化してメントールを得る方法は、不均一系水素化触媒を用いて行うことができるが、さらに高選択性の触媒系の開発が望まれている。【0005】【課題を解決するための手段】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いるピペリテノンは、メシチルオキシドとメチルビニルケトンを水酸化カリウムの存在下で反応する(特公昭57−47168号公報参照)かメシチルオキシドと4-ジエチルアミノ-2-ブタノンを縮合して調製することができる。【0006】本発明では、第一次の水素化反応として、ピペリテノンの2位のオレフィンを水素化する。その反応式を以下に示す。【0007】【化8】【0008】ピペリテノンの2位のオレフィンを水素化する触媒に用いる配位子として、一般式(2)、【0009】【化9】【0010】(式中、R1は、置換基有していてもよいアリール基を示す。)で示される光学活性ホスフィンである。この一般式(2)において、R1は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していても良いナフチル基である。ここで置換基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチルなどの炭素数1乃至4の低級アルキル基;フッ素、クロル、ブロムなどのハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの炭素数1乃至4の低級アルコキシ基;トリフルオロメチル、トリクロロメチルなどのハロゲン化低級アルキル基またはベンジルオキシ基を例示することができる。好ましい具体例としてのR1は、フェニル基、4−トリル基、3−トリル基、4−メトキシフェニル基、3,5−キシリル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−3,5−ジtert-ブチルフェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。この一般式(2)において、好ましく用いられる光学活性ホスフィンとしては、例えば、特開昭61−63690号、特開昭62−265293号公報に記載されている第3級ホスフィンで、具体例としては、次のものを挙げることができる。【0011】2,2'- ビス( ジフェニルホスフィノ)-1,1'- ビナフチル( 以下、「BINAP」と略記する)、2,2'- ビス[ ジ(p-トリル) ホスフィノ]-1,1'- ビナフチル( 以下、「p-Tol-BINAP」と略記する)、2,2'- ビス[ ジ(3,5-キシリル) ホスフィノ]-1,1'- ビナフチル( 以下、「DM-BINAP」と略記する) 、2,2'- ビス[ ジ(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル) ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル( 以下、「t-Bu-2-BINAP」と略記する)、2,2'- ビス[ ジ(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル) ホスフィノ]-1,1'- ビナフチル( 以下、「DMM-BINAP」と略記する)、2,2'- ビス( ジシクロヘキシルホスフィノ)-1,1'- ビナフチル( 以下、「Cy-BINAP」と略記する)、2,2'- ビス( ジシクロペンチルホスフィノ)-1,1'- ビナフチル( 以下、「Cp-BINAP」と略記する)【0012】また、第一次の水素化反応の触媒に用いる他の配位子として、一般式(3)、【0013】【化10】【0014】(式中、R1は、置換基有していてもよいアリール基を示す。)で示される光学活性ホスフィンである。この一般式(3)において、R1は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していても良いナフチル基である。ここで置換基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチルなどの炭素数1乃至4の低級アルキル基;フッ素、クロル、ブロムなどのハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの炭素数1乃至4の低級アルコキシ基;トリフルオロメチル、トリクロロメチルなどのハロゲン化低級アルキル基またはベンジルオキシ基を例示することができる。好ましい具体例としてのR1は、フェニル基、4−トリル基、3−トリル基、4−メトキシフェニル基、3,5−キシリル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−3,5−ジtert-ブチルフェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。この一般式(3)において、好ましく用いられる光学活性ホスフィンとしては、例えば、特開平4−139140公報に記載されている第3級ホスフィンで、具体例としては、次のものを挙げることができる。【0015】2,2'-ビス{ジフェニルホスフィノ}-5,5',6,6',7,7',8,8'-オクタヒドロビナフチル(以下、「H8-BINAP」と略記する)、2,2'-ビス{ジ-p-トリルホスフィノ}-5,5',6,6',7,7',8,8'-オクタヒドロビナフチル(以下、「p-Tol-H8-BINAP」と略記する)、2,2'-ビス{ジ-(3,5-キシリル)ホスフィノ}-5,5',6,6',7,7',8,8'-オクタヒドロビナフチル(以下、「DM-H8-BINAP」と略記する)、2,2'-ビス{ジ-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ}-5,5',6,6',7,7',8,8'-オクタヒドロビナフチル(以下、「DMM-H8-BINAP」と略記する)。【0016】また、第一次の水素化反応の触媒に用いられるさらに他の配位子として、一般式(4)【0017】【化11】【0018】(式中、R1は、置換基有していてもよいアリール基を示し、R2は、水素原子または炭素数1乃至4の低級アルキル基を示し、R3は、水素原子、メチル基、メトキシ基またはハロゲン原子を示し、R4は、メチル基、メトキシ基またはを示し、或いは、R3とR4が一緒になってメチレンジオキシ基を形成してもよい。)で示される光学活性ホスフィンである。この一般式(4)において、R1は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していても良いナフチル基である。ここで置換基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチルなどの炭素数1乃至4の低級アルキル基;フッ素、クロル、ブロムなどのハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの炭素数1乃至4の低級アルコキシ基;トリフルオロメチル、トリクロロメチルなどのハロゲン化低級アルキル基またはベンジルオキシ基を例示することができる。好ましい具体例としてのR1は、フェニル基、4−トリル基、3−トリル基、4−メトキシフェニル基、3,5−キシリル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−3,5−ジtert-ブチルフェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。この一般式(4)において、好ましく用いられる光学活性ホスフィンとしては、例えば、特開平11−269185号公報に記載されている第3級ホスフィンで、具体例としては、次のものを挙げることができる。【0019】((5,6),(5',6')-ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル-2,2'-ジイル) ビス(ジフェニルホスフィン)( 以下、SEGPHOS と略記する)、((5,6),(5',6')-ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル-2,2'-ジイル) ビス(ジp-トリルホスフィン) (以下、p-Tol-SEGPHOS と略記する)、((5,6),(5',6')-ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル-2,2'-ジイル) ビス(ジ3,5-キシリルホスフィン) (以下、DM-SEGPHOS と略記する)、((5,6),(5',6')-ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル-2,2'-ジイル) ビス(ジ4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニルホスフィン)( 以下、DMM-SEGPHOS と略記する)、((5,6),(5',6')-ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル-2,2'-ジイル) ビス(ジ4-メトキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン) (以下、DTBM-SEGPHOS と略記する)、((5,6),(5',6')-ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル-2,2'-ジイル) ビス(ジシクロヘキシルホスフィン) (以下、Cy-SEGPHOS と略記する)【0020】それ以外に、一般式(4)に該当するものとして、次の光学活性ホスフィンを挙げることができる。2,2'-ジメチル-6,6'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメチル-6,6'-ビス(ジp-トリルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「p-Tol-BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメチル-6,6'-ビス(ジ3,5-キシリルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DM-BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメチル-6,6'-ビス(ジ4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DMM-BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメチル-6,6'-ビス(ジ4-t-ブトキシ-3,5-ジメチルフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DTBM-BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメチル-6,6'-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「Cy-BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメトキシ-6,6'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「MeO-BIPHEP」と略記する)、2,2'-ジメトキシ-6,6'-ビス(ジp-トリルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「p-Tol-MeO-BIPHEP」と略記する)、2,2'-ジメトキシ-6,6'-ビス(ジ3,5-キシリルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DM-MeO-BIPHEP」と略記する)、2,2'-ジメトキシ-6,6'-ビス(ジ4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DMM-MeO-BIPHEP」と略記する)、2,2'-ジメトキシ-6,6'-ビス(ジ4-t-ブトキシ-3,5-ジメチルフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DTBM-MeO-BIPHEP」と略記する)、2,2'-ジメトキシ-6,6'-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「Cy-MeO-BIPHEP」と略記する)、2,2'-ジメチル-3,3'-ジクロロ-4,4'-ジメチル-6,6'-ビス(ジp-トリルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「p-Tol-CM-BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメチル-3,3'-ジクロロ-4,4'-ジメチル-6,6'-ビス(ジ3,5-キシリルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DM-CM-BIPHEMP」と略記する)、2,2'-ジメチル-3,3'-ジクロロ-4,4'-ジメチル-6,6'-ビス(ジ4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル(以下、「DMM-CM-BIPHEMP」と略記する)【0021】 本発明では、上記した一般式(2)、(3)または(4)で示される光学活性ホスフィンと遷移金属とからなる錯体でピペリテノンの2位のオレフィンを水素化するが、この水素化におけるより好ましい触媒は、遷移金属錯体としてロジウムが選ばれ、光学活性ホスフィンと遷移金属とからなる錯体である。最も好ましくは、このような光学活性ホスフィンと遷移金属とからなる錯体にさらにアンモニウム塩、ホスホニウム塩又はアルカリ金属塩を添加して水素化することである。【0022】これらの第3級ホスフィンは、いずれも(S)-体及び(R)-体が存在するので、目的とする光学活性な化合物のプレゴンの絶対配置に応じて何方かを選択すればよい。すなわち、(1R)体を得るには(S)-体を用い、(1S)体を得るには(R)-体を用いればよい。【0023】ロジウム錯体:ロジウム錯体の製造法の具体的な例として、日本化学会編「第4版 実験化学講座」、第18巻、有機金属錯体、1991年、丸善、339−344頁に記載の方法に従い、例えば、ビス(1, 5-シクロオクタジエニル)ロジウム(I)テトラフロロホウ酸塩と光学活性二座配位ホスフィン(L)を反応せしめて合成することができる。ロジウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。【0024】[Rh(cod)(L)]ClO4 、[Rh(cod)(L)]PF6 、[Rh(cod)(L)]BF4 、[Rh(cod)(L)]BPh4 、[Rh(cod)(L)]OTf、[Rh(cod)(L)]OTs[Rh(cod)(L)]SbF6 、[Rh(cod)(L)]OCOCF3 、[Rh(cod)(L)]OCOC2F5 、[Rh(cod)(L)]OCOC3F7 、[Rh(nbd)(L)]ClO4 、[Rh(nbd)(L)]PF6 、[Rh(nbd)(L)]BF4 、[Rh(nbd)(L)]BPh4 、[Rh(nbd)(L)]OTf、[Rh(nbd)(L)]OTs、[Rh(nbd)(L)]SbF6 、[Rh(nbd)(L)]OCOCF3 、[Rh(nbd)(L)]OCOC2F5 、[Rh(nbd)(L)]OCOC3F7 、Rh(cod)(L)Cl 、Rh(nbd)(L)Cl 、Rh(cod)(L)Br 、Rh(nbd)(L)Br 、Rh(cod)(L)I 、Rh(nbd)(L)I【0025】上記の式中における各略称は、それぞれ次の化合物を示す。L:一般式(2)、(3)または(4)で示される光学活性ホスフィン、OTf:トリフルオロメタンスルホナート、OTs:p-トルエンスルホナート、Ph:フェニル、cod:1,5-シクロオクタジエン、nbd:ノルボルナジエン。【0030】ロジウムが使用された「光学活性ホスフィンと遷移金属とからなる錯体」の存在下、溶媒としては酢酸エチル(EtOAc)が、選択性、不斉収率ともに優れており、このEtOAc溶媒で選択性が高くなる系を検討した。その結果、一般式(8)、R5R6R7R8AB (8)(式中、R5,R6,R7,R8は、炭素数1〜16のアルキル基、フェニル基、ベンジル基を意味し、Aは窒素原子またはリン原子を意味し、Bはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、カルボキシラート、スルホナートを意味する。)で示される四級アンモニウム塩または四級ホスホニウム塩、具体的には、Me4NCl、Me4NBr、Me4NI、Et4NCl、Et4NBr、Et4NI、Bu4NCl、Bu4NBr、Bu4NI、(Benzyl)Me3NCl、(Benzyl)Me3NBr、(Benzyl)Me3NI、(Benzyl)Et3NCl、(Benzyl)Et3NBr、(Benzyl)Et3NI、(C8H17)Me3NCl、(C8H17)Me3NBr、(C8H17)Me3NI、(C16H33)Me3NCl、(C16H33)Me3NBr、(C16H33)Me3NI、Me4NOTf、Me4NOTs、Me4NOAc、Me4NOCOCF3、n-Bu4NOTf、n-Bu4NOTs、n-Bu4NOAc、n-Bu4NOCOCF3、などの四級アンモニウム塩、MePh3PCl、MePh3PBr、MePh3PI、EtPh3PCl、EtPh3PBr、EtPh3PI、BuPh3PCl、BuPh3PBr、BuPh3PI、Ph4PCl、Ph4PBr、Ph4PI、(C6H13)Ph3PCl、(C6H13)Ph3PBr、(C6H13)Ph3PI、(C7H15)Ph3PCl、(C7H15)Ph3PBr、(C7H15)Ph3PI、(C8H17)Ph3PCl、(C8H17)Ph3PBr、(C8H17)Ph3PI、(C16H33)Ph3PCl、(C16H33)Ph3PBr、(C16H33)Ph3PI、(C16H33)Bu3PCl、(C16H33)Bu3PBr、(C16H33)Bu3PI、ClPPh3CH2PPh3Cl、ClPPh3(CH2)2PPh3Cl、ClPPh3(CH2)3PPh3Cl、ClPPh3(CH2)4PPh3Cl、ClPPh3(CH2)5PPh3Cl、ClPPh3(CH2)6PPh3Cl、BrPPh3CH2PPh3Br、BrPPh3(CH2)2PPh3Br、BrPPh3(CH2)3PPh3Br、BrPPh3(CH2)4PPh3Br、BrPPh3(CH2)5PPh3Br、BrPPh3(CH2)6PPh3Br、IPPh3CH2PPh3I、IPPh3(CH2)2PPh3I、IPPh3(CH2)3PPh3I、IPPh3(CH2)4PPh3I、IPPh3(CH2)5PPh3I、IPPh3(CH2)6PPh3I、などの四級ホスホニウム塩が使用される。【0031】また、一般式(9)、MZ (9)(式中、Mは、Li、Na、Kの金属を意味し、Zは、Cl、Br、Iのハロゲン原子を意味する。)で表される塩、具体的には、LiCl、LiBr、LiI、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KIなどの金属塩が使用される。(Bn)Et3NCl、(Bn)Et3NBr、(Bn)Et3NIなどのアンモニウム塩が選択でき、BuPh3PCl、BuPh3PBr、BuPh3PI、(C6H13)Ph3PBr、BrPPh3(CH2)4PPh3Brなどのホスホニウム塩などが選択でき高い選択性が得られる(Bn:ベンジル基、Et:エチル基、Ph:フェニル基、Bu:ブチル基を表す。)。【0032】また、配位子では、BINAP類の中ではDM-BINAPを選択することができ、H8-BINAP類の中ではDM-H8-BINAPを選択することができ、さらにSEGPHOS類の中からはDTBM-SEGPHOSを選択することができ、高い選択性が得られる。【0033】この反応は、水素圧約5乃至100Kg/cm2(0.5〜10MPa)、反応温度約10乃至100℃、反応時間約5乃至30時間の条件で実施される。また、遷移金属−光学活性ホスフィン錯体の使用量は、ピペリテノンに対して約5000〜50000分の1モルである。添加剤(アンモニウム塩、ホスホニウム塩またはアルカリ金属塩)の使用量は、遷移金属−光学活性ホスフィン錯体に対して約0.2〜2.0当量である。上記溶媒の好ましいものは、溶媒なし、THF、アセトン、酢酸エチルである。【0034】本発明では、第二次の水素化反応として、式(5)で表されるプレゴンをルテニウム−ホスフィン−アミン錯体で水素化して、式(6)で表されるプレゴールを得る。その反応式を以下に示す。【0035】【化12】【0036】第二次の水素化反応の方法としては、得られたプレゴン(5)を水素化するルテニウム錯体-アミン-塩基の系が最も優れており、検討した結果、ルテニウム錯体としては、アキラルな配位子が使用できることがわかった。そのような配位子をもつルテニウム錯体の一例を以下に例示する。Etはエチル基、dmfはジメチルホルムアミド、nは1〜5を表す。【0037】Ru2Cl4((S)-binap)2(NEt3) 、Ru2Cl4((S)-tol-binap)2(NEt3) 、Ru2Cl4((S)-dm-binap)2(NEt3) 、RuCl2((S)-binap)(dmf)n 、RuCl2((S)-tol-binap)(dmf)n 、RuCl2((S)-dm-binap)(dmf)n 、RuCl2(PPh3)3 、RuCl2[(p-tolyl)3P]3 、RuCl2[(o-tolyl)3P]3 、RuCl2(bpbp) 、RuCl2(1,2-diphos)2 、RuCl2(1,3-diphos)2 、RuCl2(1,4-diphos)2 、RuCl2(1,5-diphos)2 、RuCl2(1,6-diphos)2【0038】上記の式中における各略称は、それぞれ次の化合物を示す。bpbp:2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビフェニル、1,2-diphos:1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-diphos:1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-diphos:1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5-diphos:1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6-diphos:1,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン【0039】アミンとしては、第1級アミン、第2級アミン、ジアミン等が用いられる。これらの例としてメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンなどの第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、フェニルエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどの第2級アミン;さらにメチレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、2,3−ブタンジアミン、1,2−シクロペンタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミンなどのジアミンが例示される。アミンとしては、好ましくは1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミンが選択され、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミンがもっとも優れている。【0040】また、塩基は、例えば、下記一般式(10)M’Y (10)(M’は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を示し、Yはヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、ナフチル基、カルボナート基を示す。)で表される金属塩あるいは4級アンモニウム塩とすることができる。また、具体的には、LiOH、LiOMe、LiOEt、LiOi−Pr、LiOt−Bu、NaOH、NaOMe、NaOEt、NaOi−Pr、NaOt−Bu、KOH、KOMe、KOEt、KOi−Pr、KOt−Bu、KC10H8、Li2CO3、K2CO3、Na2CO3等が例示される。さらに第4級アンモニウム塩も利用できる。塩基としては、水酸化カリウム(KOH)、t−ブトキシカリウム(KOt−Bu)が好ましい。基質であるプレゴンに対する触媒の量は約1000〜30000分の1モルである。アミンの使用量は、触媒に対して約1〜2当量である。塩基の使用量は、触媒に対して約0.5〜100当量であり、好ましくは約10〜50当量である。【0041】なお、この発明では、液体溶媒として、反応原料(プレゴン)及び触媒系を可溶化するものであれば適宜なものを用いることができる。例として、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレン、などのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、DMFやDMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒を用いることができる。生成物がアルコールであることからアルコール系溶媒が最適である。さらにより好ましくは2−プロパノールである。溶媒の量は、反応基質の溶解度および経済性により判断される。2−プロパノールの場合の基質濃度は、基質によっては1%以下の低濃度から無溶媒に近い状態で行うことができるが、好ましくは0.1〜2.0容量で用いることが望ましい。そして、本発明における水素の圧力は、本触媒系が極めて高活性であることから1Kg/cm2(0.1MPa)で十分であるが、経済性を考慮すると1〜100Kg/cm2(0.1〜10MPa)の範囲で、好ましくは5〜50Kg/cm2(0.5〜5MPa)の範囲が望ましいが、プロセス全体の経済性を考慮して10Kg/cm2(1MPa)以下でも高い活性を維持することが可能である。反応温度については、0〜150℃で行うことができるが、好ましくは10〜50℃の範囲が望ましい。また、反応時間は、反応基質濃度、温度、圧力等の反応条件によって異なるが、数分から30時間で反応は完結する。【0042】本発明では、第三次の水素化反応として、式(6)で表されるプレゴールを遷移金属触媒で水素化して、式(7)で表されるl−メントールを得る。その反応式を以下に示す。【0043】【化13】【0044】第三次の水素化としては、一般に良く用いられる不均一系水素化触媒が用いられる。例えば、ラネーニッケル、酸化白金、白金ブラック、パラジウムブラック、ロジウムブラック、パラジウム炭素、イリジウム炭素、ロジウム炭素、ルテニウム炭素、オスミウム炭素、パラジウムアルミナ、パラジウムシリカ、パラジウムシリカアルミナなどが挙げられる。好ましくは、ラネーニッケル、パラジウム炭素、イリジウム炭素、ロジウム炭素、ルテニウム炭素、パラジウムアルミナ、パラジウムシリカ、パラジウムシリカアルミナなどが挙げられ、より好ましくは、パラジウム炭素、パラジウムシリカアルミナが挙げられる。この反応は、水素圧約5〜50Kg/cm2(0.5〜5MPa)、反応温度約20〜100℃、反応時間約5〜20時間の条件で実施される。また、触媒の使用量はプレゴールに対して約0.01〜1.0重量%である。上記溶媒の好ましいものは、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、2−プロパノール、もしくは、溶媒なしである。【0045】また、第三次の水素化として、得られたプレゴール(6)をルテニウム−ホスフィン−ジカルボキシラート錯体である均一系触媒が用いられる。以下に、このルテニウム−ホスフィン−ジカルボキシラート錯体である均一系触媒について説明する。プレゴールのオレフィンを水素化する触媒に用いる配位子であるホスフィンとして、前記した一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)を用いることができる。【0046】また、第三次の水素化反応の触媒に用いられるさらに他の配位子として、一般式(11)(R1)2P−(CH2)n−P(R1)2 (11)(式中、R1は、前記と同じ意味を示し、nは1から7までの自然数を示す。)で表されるホスフィンである。この一般式(11)において、R1としては、前述した例示を挙げることができる。この一般式(11)において、好ましく用いられるホスフィンとしては、例えば、次のものを挙げることができる。【0047】ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,7-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘプタン、ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)ヘキサン、1,7-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)ヘプタン、ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)ヘキサン、1,7-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)ヘプタン、ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)ヘキサン、1,7-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)ヘプタン、ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)ヘキサン、1,7-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)ヘプタン、ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)ヘキサン、1,7-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)ヘプタン。【0048】それ以外に、下記一般式(12)【0049】【化14】【0050】(式中、R1は、前記と同じ意味を示し、R9乃至〜R12は、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基を示し、R7とR8、R8とR9、又は、R9とR10が一緒になってメチレンジオキシ基を形成するか、R8とR9とが一緒になってシクロアルキル環を形成してもよい。)で示されるホスフィンである。この一般式(12)において、R1としては、前述した例示を挙げることができる。この一般式(12)において、好ましく用いられるホスフィンとしては、例えば、次のものを挙げることができる。【0051】1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-4,5-メチレンジオキシベンゼン、1,2-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)-4,5-メチレンジオキシベンゼン、1,2-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)-4,5-メチレンジオキシベンゼン、1,2-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)-4,5-メチレンジオキシベンゼン、1,2-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)-4,5-メチレンジオキシベンゼン、1,2-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)-4,5-メチレンジオキシベンゼン、2,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)ナフタレン、2,3-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)ナフタレン、2,3-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)ナフタレン、2,3-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)ナフタレン、2,3-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)ナフタレン、2,3-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)ナフタレン、2,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)-5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン、2,3-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)−5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン、2,3-ビス(ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ)-5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン、2,3-ビス(ジ(4-メトキシ-3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン、2,3-ビス(ジ(3,5-ジフルオロフェニル)ホスフィノ)-5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン、2,3-ビス(ジ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)-5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン。【0052】ルテニウム−ジカルボキシラート錯体ルテニウム錯体の製造法の具体例としては、例えば、OhtaらのInorg. Chem. 1998年、27巻、566頁に記載の方法に従い、合成することができる。ジカルボキシラート錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。【0053】Ru(OAc)2(L) 、Ru(OCOPh)2(L) 、Ru(OCOC2H5)2(L) 、Ru(OCOC3H7)2(L) 、Ri(OCO-i-C3H7)2(L) 、Ru(OCOC4H9)2(L) 、Ru(OCO-t-C4H9)2(L) 、Ru(OCOCH2OCO)(L) 、Ru(OCOC2H4OCO)(L) 、Ru(OCOC3H6OCO)(L) 、Ru(OCOC4H8OCO)(L)【0054】上記の式中における各略称は、それぞれ次の化合物を示す。L:一般式(2)、(3)、(4)、(11)または(12)で示される光学活性ホスフィンAc:アセチルPh:フェニル【0055】第三次の水素化として、プレゴール(6)をルテニウムジカルボキシラート錯体で水素化したとき最も高い選択性が得られた。その他の反応条件は通常の水素化と変わりないが、水素圧5−50Kg/cm2(0.5〜5MPa)、反応温度20−100℃反応時間5−20時間、溶媒なし、もしくはトルエン、酢酸エチル、メタンール、エタノール、2−プロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフランなどの溶媒中で反応させる。反応式を次に示す。【0056】【化15】【0057】【発明の効果】本発明で見出した光学活性ホスフィン配位子と遷移金属錯体で、ピペリテノンを水素化する方法において、高い位置選択性でしかも高い不斉収率でプレゴンを製造することができるようになった。さらに塩基の存在下、ルテニウム−ホスフィン−アミン錯体で選択的な水素化を行いプレゴールと成した後、遷移金属触媒で水素化してl−メントールを製造することができる。つまり、3回水素化反応を繰り返すことにより、安価な方法で高い収率でl−メントールを製造する方法を提供するものである。【0058】【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制約されるものではない。尚、以下の実施例や比較例において、得られた化合物の物性の測定には、次の機器を用いた。【0059】【合成例1】4-ヒドロキシ-2-ブタノンを用いたピペリテノンの合成1L4つ口フラスコにメシチルオキシド688ml(6.0 mol)を仕込み、40%水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液4.18ml (10 mmol)を滴下し、80℃まで加熱する。4-ヒドロキシ-2-ブタノン172ml(2.0 mol)を80℃に保ちながら1時間かけて滴下する。滴下終了後30分撹拌した後、酢酸0.69mlを滴下して中和する。反応溶液を減圧下、蒸留を行い、ピペリテノン180gを得た。収率60%。【0060】【合成例2】4-ヒドロキシ-2-ブタノンを用いたピペリテノンの合成1L4つ口フラスコにメシチルオキシド688ml(6.0 mol)を仕込み、水酸化バリウム8水和物6.30g(0.02 mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド2.28g (10 mmol)を加え80℃まで加熱する。 4-ヒドロキシ-2-ブタノン172ml(2.0 mol)を80℃に保ちながら1時間かけて滴下する。滴下終了後30分撹拌した後、反応溶液を減圧下、蒸留を行い、ピペリテノン182gを得た。収率62%。【0061】【合成例3】メチルビニルケトンを用いたピペリテノンの合成1L4つ口フラスコにメシチルオキシド688ml(6.0 mol)を仕込み、炭酸カリウム13.82g(0.1mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド2.28g (10 mmol)を加え80℃まで加熱する。メチルビニルケトン166.48ml(2.0 mol)を80℃に保ちながら1時間かけて滴下する。滴下終了後30分撹拌した後、反応溶液を減圧下、蒸留を行い、ピペリテノン186gを得た。収率62%。【0062】【実施例1】プレゴンの合成100mlのオートクレーブに、ピペリテノン3g(20 mmol),[Rh(cod)Cl]2 2.5mg(0.005 mmol),(S)-DM-BINAP(2,2'-ビス(ジ-3,5-キシリルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル) 7.3mg(0.01 mmol)、HexPh3PBr 4.3mg(0.01 mmol)、THF9mlを加え、水素圧3MPa、50℃で18時間反応した。ガスクロマトグラフィーで変換率を求めたところ92%であった。そのうち、プレゴン90.1%、ピペリトン1.03%、メントン0.9%、イソメントン0.8%含まれていた。プレゴンの不斉収率は97.0%eeであった。【0063】【実施例2】プレゴンの合成HexPh3PBrの代わりにBnEt3NCl 2.3mg(0.01 mmol)を用いたほかは実施例1と同様に水素化反応を行ったところ、変換率は90.4%であった。そのうち、プレゴン90.5%、ピペリトン1.0%、メントン0.7%、イソメントン0.7%含まれていた。プレゴンの不斉収率は95.7%eeであった。【0064】【実施例3】プレゴンの合成(S)-DM-BINAPの代わりに(S)-DM-H8-BINAP(2,2'-ビス(ジ-3,5-キシリルホスフィノ)- 5,5',6,6',7,7',8,8'-オクタヒドロ-1,1'-ビナフチル) 7.4mg(0.01 mmol) を用いたほかは実施例1と同様に水素化反応を行ったところ、変換率は93.5%であった。そのうち、プレゴン87.3%、ピペリトン0.9%、メントン2.7%、イソメントン1.9%含まれていた。プレゴンの不斉収率は97.4%eeであった。【0065】【実施例4】プレゴンの合成100mlのオートクレーブに、ピペリテノン3g(20 mmol)、[Rh(cod)2]BF41.6mg(0.004 mmol)、(S)-DM-BINAP 2.9mg(0.004 mmol)、HexPh3PBr 1.7mg(0.004 mmol)、THF 9mlを加え、水素圧3MPa、50℃で18時間反応した。変換率を求めたところ92.6%であった。そのうち、プレゴン84%、ピペリトン1.5%、メントン1.9%、イソメントン1.8%含まれていた。プレゴンの不斉収率は97.4%eeであった。【0066】【実施例5】プレゴンの合成100mlのオートクレーブに、ピペリテノン3g(20 mmol)、[Rh(cod)Cl]2 1.0mg(0.002 mmol)、(S)-DM-BINAP 2.9mg(0.004 mmol)、HexPh3PBr 1.7mg(0.004 mmol)、アセトン 9mlを加え、水素圧3MPa、50℃で18時間反応した。変換率を求めたところ99.2%であった。そのうち、プレゴン88.3%、ピペリトン2.5%、メントン2.5%、イソメントン1.9%含まれていた。プレゴンの不斉収率は96.0%eeであった。【0067】【実施例6】プレゴンの合成100mlのオートクレーブにピペリテノン3g(20 mmol)、[Rh(cod)2]OCOC3F7 1.6mg(0.004 mmol)、(S)-DTBM-SEGPHOS((5,6), (5',6')-ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル-2,2'-ジイル)ビス(ジ-3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニルホスフィン) 4.7mg(0.004 mmol)、HexPh3PBr 1.7mg(0.004 mmol)、THF 9mlを加え、水素圧3MPa、50℃で18時間反応した。変換率を求めたところ95.5%であった。そのうち、プレゴン89.2%、ピペリトン2.4%、メントン2.0%、イソメントン2.4%含まれていた。プレゴンの不斉収率は98.1%eeであった。【0068】【実施例7】プレゴンの合成500mlのオートクレープに、ピペリテノン150g(1mol)、[Rh(cod)2]PF6 18.6mg(0.04mmol)、(S)-DTBM-SEGPHOS 47.2mg(0.04mmol)、BrPPh3(CH2)4PPh3Br14.8mg (0.02mmol)、酢酸エチル7.5mlを加え、水素圧3MPa、50℃で20時間反応した。反応終了後、水素をパージし、反応溶液を濃縮、減圧下蒸留を行い、プレゴンを136.8g得た。収率90%。【0069】【実施例8】プレゴールの合成100mlのオートクレーブに、プレゴン3.04g(20 mmol)、RuCl2(PPh3)3 19.1mg(0.02 mmol)、0.2M-1,3-ジアミノプロパン-2-プロパノール溶液(0.2 mL)、0.2 M 水酸化カリウム−2-プロパノール溶液(1.0 mL)、2−プロパノール(14 mL)を仕込み、水素2MPaを圧入し、25℃で3時間撹拌する。反応終了後、水素をパージし、反応溶液を濃縮、減圧下蒸留を行い、プレゴールを2.61g得た。収率85%。【0070】【実施例9〜12】プレゴールの合成各条件下でのプレゴンの水素化を行った。その結果を次の表1に示す。なお、表中、6:6'は、式(6)の化合物:式(6’)の化合物、を表す。各実施例のRu-cat.は、それぞれ、RuCl2(PPh3)3(実施例9)、Ru2Cl4((S)-tol-binap)2(NEt3)(実施例10)、RuCl2[(o-tolyl)3P]2(ethylendiamine)(実施例11)、RuCl2(bpbp)(ethylenediamine)(実施例12)を使用した。【0071】【表1】【0072】【実施例13】プレゴールの合成200mlのオートクレーブに、プレゴン30.4g(200 mmol)、RuCl2(PPh3)3(propanediamine)19.1mg(0.02 mmol)、t-BuOK 44.9mg(0.4mmol)、2−プロパノール(15 mL)を仕込み、水素3MPaを圧入し、30℃で18時間撹拌する。反応終了後、水素をパージし、反応溶液を濃縮、減圧下蒸留を行い、プレゴールを30.2g得た。収率98%。【0073】【実施例14】メントールの合成100mlのオートクレーブに、プレゴール1.0g(6.5 mmol)、5%Pd炭素(20 mg)、酢酸エチル(5 mL)を仕込み、水素2MPaを圧入し、60℃にて5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、反応溶液を濃縮した。メントール:ネオイソメントール=91:9の混合物を0.99g得た。収率90%。【0074】【実施例15〜22】メントールの合成各条件下でのプレゴールの水素化を行った。その結果を次の表2に示す。なお、表中、7:7"は、式(7)の化合物:式(7”)の化合物、を表す。【0075】【表2】【0076】【実施例23】メントールの合成100mlのオートクレーブにプレゴール3.1g (20 mmol) 、Ru(OAc)2(dppe) 6.2mg(0.01 mmol)、メタノール(3 mL) を仕込み、水素圧 3Mpa を圧入し、50℃で18時間攪拌した。反応終了後。室温まで冷却し、反応溶液を濃縮した。メントール:ネオメントール:ネオイソメントール=96:1.7:2.3の混合物を3.1g得た。収率95.5%。【0077】【実施例24〜33】メントールの合成均一系の遷移金属触媒として実施例23のRu(OAc)2(dppe)に代えて、表3に記載の遷移金属触媒を用い、実施例23と同様にプレゴールの水素化を行った。その結果を表3に示す。なお、表中における各略称は、それぞれ次の化合物を示す。dppb:ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、dppe:ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン【0078】【表3】 式(1)、で表されるピペリテノンを、一般式(2)、(式中、R1は、炭素数1乃至4の低級アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1乃至4の低級アルコキシ基、炭素数1乃至4のハロゲン化低級アルキル基またはベンジルオキシ基から選ばれる置換基を有してもよいアリール基を表す。)で示される光学活性ホスフィンとロジウムとからなる錯体、または一般式(3)、(式中、R1は、炭素数1乃至4の低級アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1乃至4の低級アルコキシ基、炭素数1乃至4のハロゲン化低級アルキル基またはベンジルオキシ基から選ばれる置換基を有してもよいアリール基を表す。)で示される光学活性ホスフィンとロジウムとからなる錯体、または一般式(4)、(式中、R1は、炭素数1乃至4の低級アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1乃至4の低級アルコキシ基、炭素数1乃至4のハロゲン化低級アルキル基またはベンジルオキシ基から選ばれる置換基を有してもよいアリール基を示し、R2は水素原子又は炭素数1乃至4の低級アルキル基を示し、R3は水素原子、メチル基、メトキシ基又はハロゲン原子を示し、R4 はメチル基、メトキシ基またはR3とR4が一緒になってメチレンジオキシキ基を形成する。)で示される光学活性ホスフィンとロジウムとからなる錯体で、水素化して、式(5)で表されるプレゴンを製造し、得られたプレゴンを塩基の存在下、ルテニウム−ホスフィン−アミン錯体で水素化して、式(6)、で表されるプレゴールとなし、更に遷移金属触媒で水素化することを特徴とする式(7)、で表されるl−メントールの製造方法。 請求項1記載の式(1)で表されるピペリテノンから、式(5)で表されるプレゴンを製造するに際し、請求項1記載の一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)で表される光学活性ホスフィンと、ロジウムとからなる光学活性ホスフィン錯体に、アンモニウム塩、ホスホニウム塩又はアルカリ金属塩を添加して水素化反応を行うことを特徴とする請求項1記載のl−メントールの製造方法。 請求項1記載の式(5)で表されるプレゴンから、式(6)で表されるプレゴールを製造するに際し、プレゴンのカルボニルを選択的に還元するルテニウム−ホスフィン−アミン錯体が、アキラルなホスフィン、ジアミン配位子である請求項1又は2記載のl−メントールの製造方法。 請求項1記載の式(1)で表されるピペリテノンから式(5)で表されるプレゴンを製造する方法において、請求項1記載の一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)で表される光学活性ホスフィンと、ロジウムとからなる光学活性ホスフィン錯体で、ピペリテノンを水素化することを特徴とする式(5)で表されるプレゴンの製造方法。 請求項4で定義された光学活性ホスフィンとロジウムとからなる錯体に、アンモニウム塩、ホスホニウム塩又はアルカリ金属塩を添加して水素化反応を行うことを特徴とする請求項4記載のプレゴンの製造方法。 請求項1記載の式(6)で表されるプレゴールから、式(7)で表されるl−メントールを製造する方法において、プレゴールのオレフィンを選択的に還元する遷移金属触媒が、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、オスミウム、白金の不均一系触媒であることを特徴とする請求項1記載のl−メントールの製造方法。 請求項1記載の式(6)で表されるプレゴールから、式(7)で表されるl−メントールを製造する方法において、プレゴールのオレフィンを選択的に還元する遷移金属触媒が、ルテニウム−ホスフィン−ジカルボキシラート錯体である均一系触媒であることを特徴とする請求項1記載のl−メントールの製造方法。 請求項1記載の式(5)で表されるプレゴンから、式(6)で表されるプレゴールを製造する方法において、塩基が、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載のl−メントールの製造方法。